説明

給湯システム

【課題】水流路の水が比較的高温であっても、この水流路の水を充分に殺菌・浄化できる給湯システムを提供する。
【解決手段】水流路(12)の水を浄化する水浄化ユニット(60)を備えた給湯システムにおいて、水浄化ユニット(60)は、水流路(12)に接続されて水が流入する水浄化流路(61)と、水浄化流路(61)の水中でストリーマ放電を生起する電極対(64,65)と、電極対(64,65)に直流電圧を印加する直流電源(70)とを有し、ストリーマ放電によって水浄化流路(61)の水中に過酸化水素を生成するように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の利用対象へ温水を供給する給湯システムに関し、特に給湯システムの水流路を流れる水を浄化する対策に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、浴槽等へ温水を供給する給湯システムが広く知られている。一方、この種の給湯システムでは、例えば浴槽等と連通する水流路において、菌が繁殖してしまい、浴槽の清浄度が損なわれてしまうという問題がある。
【0003】
このような問題を解決しようとする給湯システムとして、特許文献1には、電気槽内で電気分解を行って電解水を生成し、この電解水によって水流路の水を浄化するものが開示されている。具体的に、この給湯システムでは、浴槽と接続する循環流路の途中に、電解槽が設けられている。電界槽では、2つの電極に電圧が印加されることで、電気分解が行われる。これにより、電界槽では、次亜塩素酸や強酸性水等を含む電解水が生成される。この電解水が循環流路へ供給されることで、この循環流路を流れる水の殺菌・浄化が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−326261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の次亜塩素酸は、水温の上昇に伴い分解され易い特性を有する。具体的に、次亜塩素酸は、水温が約40℃を越えると、急激に分解され、塩素やトリハロメタン等が生成される虞もある。一方、浴槽等へ温水を供給する給湯システムでは、水流路を流れる水温が比較的高くなる。従って、この給湯システムでは、次亜塩素酸の分解が促進されて、充分な殺菌・浄化性能を得ることができないという問題が生じる。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、水流路の水が比較的高温であっても、この水流路の水を充分に殺菌・浄化できる給湯システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、温水が貯留される給湯タンク(41)と、該給湯タンク(41)に連通する水流路(12)と、該水流路(12)の水を浄化する水浄化ユニット(60)とを備えた給湯システムを対象とし、水浄化ユニット(60)は、水流路(12)に接続されて水が流入する水浄化流路(61)と、該水浄化流路(61)の水中でストリーマ放電を生起する電極対(64,65)と、該電極対(64,65)に直流電圧を印加する直流電源(70)とを有し、上記ストリーマ放電によって上記水浄化流路(61)の水中に過酸化水素を生成するように構成されていることを特徴とする。
【0008】
第1の発明では、給湯タンク(41)と連通する水流路(12)に、水浄化ユニット(60)の水浄化流路(61)が接続される。水浄化ユニット(60)では、直流電源(70)から電極対(64,65)に直流電圧が印加される。これにより、水浄化流路(61)の水中では、ストリーマ放電が生起する。このストリーマ放電に伴って水浄化流路(61)の水中では、過酸化水素が生成される。過酸化水素は、比較的高温の条件下においても、水中に残留し易い。具体的に、過酸化水素は、水温が約40℃以上の条件下で、約1時間経過したとしても、約4%程度の濃度しか分解されない。従って、本発明の給湯システムでは、水浄化流路(61)の水温が比較的高温であっても、過酸化水素によって水の殺菌・浄化を充分に行うことができる。
【0009】
また、水中では、ストリーマ放電の発生に伴い、水酸ラジカル等の活性種も生成される。このため、水中に含まれる有害物質(例えば硫黄系化合物)は、活性種によって酸化分解されて除去される。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において、上記水流路(12)は、水が循環する循環流路(13,14,16)を含み、上記水浄化ユニット(60)の水浄化流路(61)が、該循環流路(13,14,16)に接続されていることを特徴とする。
【0011】
第2の発明では、水が循環する循環流路(13,14,16)に水浄化流路(61)が接続される。循環流路(13,14,16)では、所定の水が適宜循環するので、水中で菌が増殖し易く、有害物質等も生成され易い。しかしながら、本発明では、循環流路(13,14,16)を流れる水に過酸化水素が付与されるため、循環流路(13,14,16)の水を確実に浄化できる。
【0012】
第3の発明は、第2の発明において、上記循環流路(13,14,16)は、浴槽(U1)内の水が循環するとともに循環水を加熱する加熱部(42b)を有する浴槽循環流路(16)を含み、上記水浄化ユニット(60)の水浄化流路(61)は、上記浴槽循環流路(16)に接続されていることを特徴とする。
【0013】
第3の発明の浴槽循環流路(16)では、浴槽(U1)から吸い込まれた水が加熱部(42b)によって加熱され、加熱後の水が再び浴槽(U1)へ供給される。本発明では、この浴槽循環流路(16)に水浄化ユニット(60)の水浄化流路(61)が接続される。このため、水浄化流路(61)で生成された過酸化水素は、浴槽循環流路(16)を流れる水だけでなく、浴槽(U1)の内壁等の殺菌・浄化にも利用される。
【0014】
第4の発明は、第3の発明において、上記水浄化ユニット(60)の水浄化流路(61)は、上記浴槽循環流路(16)における上記加熱部(42b)の下流側に接続されていること特徴とする。
【0015】
第4の発明では、水浄化流路(61)が加熱部(42b)の下流側に接続されるため、水浄化流路(61)の水の温度が比較的高温となる。このように水浄化流路(61)の水温が上昇すると、熱による殺菌効果が向上する。加えて、水温の上昇に伴い過酸化水素の活性が高まるため、水中での殺菌効果が更に向上する。
【0016】
第5の発明は、第1乃至4のいずれか1つにおいて、上記水浄化流路(61)に銅イオン又は鉄イオンを供給するイオン供給部(51)を備えていることを特徴とする。
【0017】
第5の発明では、イオン供給部(51)から銅イオンや鉄イオンが水浄化流路(61)へ供給される。過酸化水素を含む水中において、銅イオンや鉄イオンが共存する条件下では、いわゆるフェントン反応により、銅イオンや鉄イオンが触媒的に作用して、水酸ラジカルが生成される。よって、水浄化流路(61)の水中では、水酸ラジカルの生成量が増大し、有害物質の分解効率が向上する。
【0018】
第6の発明は、第5の発明において、上記イオン供給部(51)は、上記水浄化流路(61)の流入側に接続される銅製又は鉄製の配管(51)であることを特徴とする。
【0019】
第6の発明では、水浄化流路(61)の流入側に銅製又は鉄製の配管(51)を設けることで、この配管(51)がイオン供給部として機能する。つまり、銅製の配管(51)を水が流れると、この配管(51)の内壁から徐々に銅イオンが溶出する。また、鉄製の配管(51)を水が流れると、この配管(51)の内壁から徐々に鉄イオンが溶出する。従って、水浄化流路(61)には、銅イオンや鉄イオンが適宜供給され、上述のフェントン反応により、水酸ラジカルの生成量が増大する。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、水浄化流路(61)の水中において、ストリーマ放電を行い過酸化水素を生成するようにしている。過酸化水素は、次亜塩素酸と比較して、水温が上昇しても分解されにくい。このため、給湯タンク(41)と繋がる水流路(12)の水を過酸化水素によって充分に殺菌・浄化することができる。また、ストリーマ放電では、水中において多量の活性種が生成するため、この活性種により水中の有害物質を効果的に除去できる。
【0021】
また、本発明では、直流電源(70)を用いてストリーマ放電を行っているので、例えばパルス電源と比較して、電源部の簡素化、低コスト化、小型化を図ることができる。また、パルス電源を用いると、放電に伴って水中で発生する衝撃波や騒音が大きくなってしまう。これに対し、直流電源(70)を用いると、このような衝撃波や騒音も低減できる。
【0022】
第2の発明によれば、水が比較的汚染されやすい循環流路(13,14,16)において、この循環流路(13,14,16)を流れる水を確実に浄化できる。
【0023】
第3の発明によれば、浴槽(U1)と繋がる浴槽循環流路(16)において、この浴槽循環流路(16)を流れる水を確実に浄化できる。加えて、水浄化流路(61)で発生させた過酸化水素等を浴槽(U1)内へ供給できる。これにより、浴槽(U1)の内壁の殺菌や洗浄も行うことができる。
【0024】
第4の発明によれば、加熱部(42b)の下流側に水浄化流路(61)を接続しているため、水浄化流路(61)を流れる水を比較的高い温度に維持できる。水浄化流路(61)の水温が高くなると、熱による水の殺菌効果が向上する。加えて、過酸化水素の活性が高まり、過酸化水素による殺菌効果も向上する。その結果、水浄化ユニット(60)による殺菌性能を飛躍的に高めることができる。
【0025】
第5の発明によれば、過酸化水素の存在下に鉄イオン又は銅イオンを供給することで、フェントン反応を利用して多量の水酸ラジカルを発生できる。従って、この水酸ラジカルを用いて水中の有害物質等を効果的に除去できる。
【0026】
特に第6の発明によれば、水浄化流路(61)の流入側を銅製や鉄製の配管(51)とすることで、比較的簡素な構成で、水浄化流路(61)に銅イオンや鉄イオンを供給できる。また、この銅イオンを溶出させると、菌の繁殖、ひいてはいわゆるスライムの生成を未然に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図1は、実施形態1に係る給湯システムの全体構成を示す配管系統図である。
【図2】図2は、実施形態1に係る水浄化ユニットの全体構成図であり、水浄化動作を開始する前の状態を示すものである。
【図3】図3は、実施形態1に係る絶縁ケーシングの斜視図である。
【図4】図4は、実施形態1に係る水浄化ユニットの全体構成図であり、水浄化動作を開始して気泡が形成された状態を示すものである。
【図5】図5は、実施形態1の変形例に係る水浄化ユニットの全体構成図である。
【図6】図6は、実施形態1の変形例に係る絶縁ケーシングの斜視図である。
【図7】図7は、実施形態2に係る水浄化ユニットの全体構成図であり、水浄化動作を開始する前の状態を示すものである。
【図8】図8は、実施形態2に係る水浄化ユニットの全体構成図であり、水浄化動作を開始して気泡が形成された状態を示すものである。
【図9】図9は、実施形態2の変形例に係る絶縁ケーシングの蓋部の平面図である。
【図10】図10は、その他の実施形態に係る給湯システムの全体構成を示す配管系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0029】
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1に係る給湯システム(10)の全体構成について、図1を参照しながら説明する。給湯システム(10)は、浴槽(U1)やシャワー(U2)へ温水を供給するシステムである。給湯システム(10)は、いわゆるヒートポンプ式の給湯器であり、熱源ユニット(30)と給湯ユニット(40)とを有している。
【0030】
熱源ユニット(30)は、圧縮機(31)と加熱熱交換器(32)と膨張弁(33)と室外熱交換器(34)とを備えている。熱源ユニット(30)では、圧縮機(31)、加熱熱交換器(32)、膨張弁(33)、及び室外熱交換器(34)が冷媒配管を介して順に接続され、閉回路となる冷媒回路(11)が構成される。冷媒回路(11)には、冷媒として二酸化炭素が充填されている。
【0031】
加熱熱交換器(32)は、一次側伝熱部(32a)と二次側伝熱部(32b)とを有している。一次側伝熱部(32a)は、圧縮機(31)と膨張弁(33)との間の高圧ラインに接続されている。二次側伝熱部(32b)は、給湯ユニット(40)側の第1循環流路(13)に接続されている。加熱熱交換器(32)では、一次側伝熱部(32a)を流れる冷媒と、二次側伝熱部(32b)を流れる水とが熱交換する。室外熱交換器(34)の近傍には、ファン(35)が設けられている。室外熱交換器(34)では、その内部を流れる冷媒と、ファン(35)が送風する室外空気とが熱交換する。
【0032】
冷媒回路(11)では、圧縮機(31)が運転されて冷媒が循環することで、蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行われる。即ち、冷媒回路(11)では、圧縮機(31)で圧縮された冷媒が、一次側伝熱部(32a)で放熱し、膨張弁(33)で減圧される。減圧された冷媒は、室外熱交換器(34)で蒸発し、圧縮機(31)に吸入される。この冷凍サイクルは、冷媒としての二酸化炭素を臨界圧力以上まで圧縮する、いわゆる超臨界サイクルである。
【0033】
給湯ユニット(40)は、給湯タンク(41)と内部熱交換器(42)とを備えている。
【0034】
給湯タンク(41)は、縦長の円筒状の密閉容器で構成されている。給湯タンク(41)には、円筒形の周壁部(41a)と、周壁部(41a)の上側を閉塞する頂壁部(41b)と、周壁部(41a)の下側を閉塞する底壁部(41c)とが形成されている。給湯タンク(41)には、第1循環流路(13)と第2循環流路(14)と供給流路(15)とが接続されている。また、給湯タンク(41)には、該給湯タンク(41)内へ水道水を適宜補給する、給水路(20)も接続されている。これらの流路(13,14,15,20)は、給湯タンク(41)と連通する水流路(12)を構成している。
【0035】
第1循環流路(13)の始端は、給湯タンク(41)の周壁部(41a)の下部に接続され、給湯タンク(41)内の底壁部(41c)寄りに開口している。第1循環流路(13)の終端は、給湯タンク(41)の周壁部(41a)の上部に接続され、給湯タンク(41)内の頂壁部(41b)寄りに開口している。第1循環流路(13)には、第1ポンプ(43)が設けられている。第1ポンプ(43)は、第1循環流路(13)の始端側から終端側の方向(図1の矢印で示す方向)へ水を搬送する搬送機構である。第1循環流路(13)には、第1ポンプ(43)の下流側に二次側伝熱部(32b)が接続されている。
【0036】
第2循環流路(14)の始端は、給湯タンク(41)の周壁部(41a)の下部に接続され、給湯タンク(41)内の底壁部(41c)寄りに開口している。第2循環流路(14)の終端は、給湯タンク(41)の頂壁部(41b)に接続され、給湯タンク(41)内の頂壁部(41b)寄りに開口している。第2循環流路(14)には、第2ポンプ(44)が設けられている。第2ポンプ(44)は、第2循環流路(14)の始端側から終端側の方向(図1の矢印で示す方向)へ水を搬送する搬送機構である。第2循環流路(14)には、第2ポンプ(44)の下流側に内部熱交換器(42)の第1伝熱管(42a)が接続されている。
【0037】
内部熱交換器(42)は、第1伝熱管(42a)と第2伝熱管(42b)とを有している。第1伝熱管(42a)は、第2循環流路(14)に接続されている。第2伝熱管(42b)は、供給流路(15)の第3循環流路(16)に接続されている。
【0038】
供給流路(15)は、主供給路(17)、第1分岐路(18)、第2分岐路(19)、及び第3循環流路(16)を含んでいる。
【0039】
主供給路(17)の始端は給湯タンク(41)の頂壁部(41b)に接続され、給湯タンク(41)内の頂壁部(41b)寄りに開口している。主供給路(17)の終端側は、第1分岐路(18)と第2分岐路(19)とに分岐している。主供給路(17)には、第3ポンプ(45)が設けられている。第3ポンプ(45)は、主供給路(17)の始端側から終端側の方向(図1の矢印で示す方向)へ水を搬送する搬送機構である。
【0040】
第1分岐路(18)の終端は、第3循環流路(16)を介して浴槽(U1)と連通している。つまり、第1分岐路(18)は、浴槽(U1)側へ温水を供給するための浴槽側供給路を構成している。第1分岐路(18)には、第1開閉弁(46)が設けられている。第2分岐路(19)の終端は、シャワー(U2)と接続している。つまり、第2分岐路(19)は、シャワー(U2)へ温水を供給するシャワー側供給路を構成している。第2分岐路(19)には、第2開閉弁(47)が設けられている。
【0041】
第3循環流路(16)は、浴槽(U1)内の水を循環させる浴槽循環流路を構成している。第3循環流路(16)は、供給循環路(16a)と返送循環路(16b)とを有している。供給循環路(16a)の流出端は、浴槽(U1)の内部における上方寄りに開口している。返送循環路(16b)の流入端は、浴槽(U1)の内部における下方寄りに開口している。供給循環路(16a)には、第4ポンプ(48)が設けられている。第4ポンプ(48)は、主供給路(17)側の水、又は返送循環路(16b)側の水を浴槽(U1)内へ供給する搬送機構である。返送循環路(16b)には、内部熱交換器(42)の第2伝熱管(42b)が接続され、該第2伝熱管(42b)の下流側に第3開閉弁(49)が設けられている。
【0042】
内部熱交換器(42)では、第1伝熱管(42a)を流れる水と、第2伝熱管(42b)を流れる水とが熱交換する。給湯ユニット(40)では、返送循環路(16b)を流れる水と比較すると、第2循環流路(14)を流れる水の温度の方が高くなる。このため、内部熱交換器(42)では、第1伝熱管(42a)を流れる水の熱が、第2伝熱管(42b)を流れる水へ付与される。つまり、第2伝熱管(42b)は、第3循環流路(16)を流れる水を加熱する加熱部を構成している。
【0043】
〈水浄化ユニットの詳細構造〉
給湯システム(10)は、水浄化ユニット(60)を備えている。水浄化ユニット(60)は、水中でのストリーマ放電によって水中に過酸化水素等の浄化成分を生成し、この浄化成分によって水の浄化を行うものである。水浄化ユニット(60)は、水浄化タンク(61)と放電ユニット(62)とを有している(図2を参照)。
【0044】
水浄化タンク(61)は、水流路(12)の水が流入する水浄化流路を構成している。本実施形態の水浄化タンク(61)は、密閉型の容器状に形成され、第3循環流路(16)に接続されている。具体的に、水浄化タンク(61)には、流入管(51)及び流出管(52)が接続され、これらの配管(51,52)が供給循環路(16a)と繋がっている。即ち、水浄化タンク(61)は、第3循環流路(16)において、加熱部である第2伝熱管(42b)の下流側に配設されている。流入管(51)と流出管(52)とは、銅管で構成されている。流入管(51)は、その内壁から銅イオンを生成することで、水浄化タンク(61)に銅イオンを供給するイオン供給部を構成している。
【0045】
放電ユニット(62)は、放電電極(64)及び対向電極(65)とからなる電極対(64,65)と、この電極対(64,65)に電圧を印加する電源部(70)と、放電電極(64)を内部に収容する絶縁ケーシング(71)とを備えている。
【0046】
電極対(64,65)は、水中でストリーマ放電を生起するためのものである。放電電極(64)は、絶縁ケーシング(71)の内部に配置されている。放電電極(64)は、上下に扁平な板状に形成されている。放電電極(64)は、電源部(70)の正極側に接続されている。放電電極(64)は、例えばステンレス、銅等の導電性の金属材料で構成されている。
【0047】
対向電極(65)は、絶縁ケーシング(71)の外部に配置されている。対向電極(65)は、放電電極(64)の上方に設けられている。対向電極(65)は、上下に扁平な板状であって、且つ上下に複数の貫通孔(66)を有するメッシュ形状ないしパンチングメタル形状に構成されている。対向電極(65)は、放電電極(64)と略平行に配設されている。対向電極(65)は、電源部(70)の負極側に接続されている。対向電極(65)は、例えばステンレス、真鍮等の導電性の金属材料で構成されている。
【0048】
電源部(70)は、電極対(64,65)に所定の直流電圧を印加する直流電源で構成されている。即ち、電源部(70)は、電極対(64,65)に対して瞬時的に高電圧を繰り返し印加するようなパルス電源ではなく、電極対(64,65)に対して常に数キロボルトの直流電圧を印加する。電源部(70)のうち、対向電極(65)が接続される負極側は、アースと接続されている。また、電源部(70)には、電極対(64,65)の放電電力を一定に制御する定電力制御部が設けられている(図示省略)。
【0049】
絶縁ケーシング(71)は、水浄化タンク(61)の底部に設置されている。絶縁ケーシング(71)は、例えばセラミックス等の絶縁材料で構成されている。絶縁ケーシング(71)は、一面(上面)が開放された容器状のケース本体(72)と、該ケース本体(72)の上方の開放部を閉塞する板状の蓋部(73)とを有している。
【0050】
ケース本体(72)は、角型筒状の側壁部(72a)と、該側壁部(72a)の底面を閉塞する底部(72b)とを有している。放電電極(64)は、底部(72b)の上側に敷設されている。絶縁ケーシング(71)では、蓋部(73)と底部(72b)との間の上下方向の距離が、放電電極(64)の厚さよりも長くなっている。つまり、放電電極(64)と蓋部(73)との間には、所定の間隔が確保されている。これにより、絶縁ケーシング(71)の内部では、放電電極(64)とケース本体(72)と蓋部(73)との間に空間(S)が形成される。
【0051】
図2及び図3に示すように、絶縁ケーシング(71)の蓋部(73)には、該蓋部(73)を厚さ方向に貫通する1つの開口(74)が形成されている。この開口(74)により、放電電極(64)と対向電極(65)との間の電界の形成が許容されている。蓋部(73)の開口(74)の内径は、0.02mm以上0.5mm以下であることが好ましい。以上のような開口(74)は、電極対(64,65)の間の電流経路の電流密度を上昇させる電流密度集中部を構成する。
【0052】
以上のように、絶縁ケーシング(71)は、電極対(64,65)のうちの一方の電極(放電電極(64))のみを内部に収容し、且つ電流密度集中部としての開口(74)を有する絶縁部材を構成している。
【0053】
加えて、絶縁ケーシング(71)の開口(74)内では、電流経路の電流密度が上昇することで、水がジュール熱によって気化して気泡(B)が形成される。つまり、絶縁ケーシング(71)の開口(74)は、該開口(74)に気相部としての気泡(B)を形成する気相形成部として機能する。
【0054】
−給湯システムの運転動作−
給湯システム(10)の基本的な運転動作について図1を参照しながら説明する。この給湯システム(10)では、浴槽内へ温水を供給する「給湯運転」と、浴槽内の水を循環させながら加熱する「追い焚き運転」とが行われる。
【0055】
〈給湯運転〉
給湯運転では、熱源ユニット(30)の圧縮機(31)が運転され、冷媒回路(11)で冷凍サイクルが行われる。給湯ユニット(40)では、第1ポンプ(43)及び第3ポンプ(45)が運転され、第2ポンプ(44)及び第4ポンプ(48)が停止状態となる。また、第1開閉弁(46)、第2開閉弁(47)が開放状態となり、第3開閉弁(49)は閉鎖状態となる。
【0056】
第1ポンプ(43)が運転されると、給湯タンク(41)内の水が第1循環流路(13)へ流出する。この水は、加熱熱交換器(32)の二次側伝熱部(32b)を流れる。加熱熱交換器(32)では、一次側伝熱部(32a)を流れる冷媒の熱が、二次側伝熱部(32b)を流れる水へ放出され、この水が所定温度まで加熱される。加熱された水は、第1循環流路(13)を経由して給湯タンク(41)内に流入する。これにより、給湯タンク(41)内部には、所定温度の温水が蓄えられる。
【0057】
第3ポンプ(45)が運転されると、給湯タンク(41)内の水(温水)は、主供給路(17)に流出し、第1分岐路(18)と第2分岐路(19)とに分流する。第1分岐路(18)を流れた水は、第3循環流路(16)の供給循環路(16a)に流入する。この水は、水浄化タンク(61)を通過した後、浴槽(U1)内へ放出される。これにより、浴槽(U1)内に所定温度の温水が供給される。一方、第2分岐路(19)を流れた水は、シャワー(U2)側に供給される。
【0058】
〈追い焚き運転〉
追い焚き運転では、熱源ユニット(30)の圧縮機(31)が運転され、冷媒回路(11)で冷凍サイクルが行われる。給湯ユニット(40)では、第1ポンプ(43)、第2ポンプ(44)、及び第4ポンプ(48)が運転される。また、第1開閉弁(46)が閉鎖状態となり、第2開閉弁(47)及び第3開閉弁(49)が開放状態となる。
【0059】
第1ポンプ(43)が運転されると、給湯タンク(41)内の水が第1循環流路(13)を流れる。これにより、第1循環流路(13)の水は、加熱熱交換器(32)で加熱されて給湯タンク(41)へ返送される。
【0060】
第2ポンプ(44)が運転されると、給湯タンク(41)内の水は、第2循環流路(14)へ流出する。この水は、内部熱交換器(42)の第1伝熱管(42a)を流れる。内部熱交換器(42)では、第1伝熱管(42a)を流れる水の熱が、第2伝熱管(42b)を流れる水へ放出される。第1伝熱管(42a)で放熱した水は、第2循環流路(14)を経由して給湯タンク(41)内に流入する。
【0061】
第4ポンプ(48)が運転されると、浴槽(U1)の水は第3循環流路(16)の返送循環路(16b)へ吸い込まれる。返送循環路(16b)を流れた水は、内部熱交換器(42)で加熱された後、水浄化タンク(61)を通過して浴槽(U1)へ供給される。これにより、浴槽(U1)内の水の温度が徐々に高くなっていく。
【0062】
−水浄化ユニットの運転動作−
本実施形態の給湯システム(10)では、水浄化ユニット(60)が運転されることで、水流路(12)を流れる水の浄化がなされる。このような水浄化ユニット(60)による水の浄化動作について詳細に説明する。なお、この水浄化動作は、上述した「給湯運転」や「追い焚き運転」時に実行される。
【0063】
水浄化ユニット(60)の運転の開始時には、図2に示すように、絶縁ケーシング(71)の内の空間(S)が浸水した状態となっている。電源部(70)から電極対(64,65)に所定の直流電圧(例えば1kV)が印加されると、電極対(64,65)の間に電界が形成される。放電電極(64)の周囲は、絶縁ケーシング(71)で覆われている。このため、電極対(64,65)の間での漏れ電流が抑制されるとともに、開口(74)内の電流経路の電流密度が上昇した状態となる。
【0064】
開口(74)内の電流密度が上昇すると、開口(74)内のジュール熱が大きくなる。その結果、絶縁ケーシング(71)では、開口(74)の近傍において、水の気化が促進されて気泡(B)が形成される。この気泡(B)は、図4に示すように、開口(74)のほぼ全域を覆う状態となり、対向電極(65)に導通する負極側の水と、正極側の放電電極(64)との間に気泡(B)が介在する。従って、この状態では、気泡(B)が、放電電極(64)と対向電極(65)との間での水を介した導電を阻止する抵抗として機能する。これにより、放電電極(64)と対向電極(65)との間の漏れ電流が抑制され、電極対(64,65)間では、所望とする電位差が保たれることになる。すると、気泡(B)内では、絶縁破壊に伴いストリーマ放電が発生する。
【0065】
以上のようにして、気泡(B)でストリーマ放電が行われると、水浄化タンク(61)内の水中では、水酸ラジカル等の活性種や過酸化水素等が生成される。水酸ラジカル等の活性種や過酸化水素は、ストリーマ放電に伴う熱によって水浄化タンク(61)内を対流する。これにより、水中での活性種や過酸化水素の拡散が促される。また、気泡(B)でストリーマ放電が行われると、このストリーマ放電に伴ってこの気泡(B)でイオン風を生成し易くなる。よって、水浄化タンク(61)内では、このイオン風を利用して、活性種や過酸化水素の拡散効果を更に向上できる。
【0066】
また、上述したように、水浄化タンク(61)には、流入管(51)から溶出した銅イオンが供給される。過酸化水素と銅イオンの存在下では、フェントン反応により、銅イオンが触媒的に作用して水酸ラジカルの生成が促進される。これにより、水酸ラジカルによる水の浄化効率が向上する。加えて、銅イオンは菌の繁殖を抑制する効果があるため、水中での殺菌作用も高くなる。
【0067】
以上のようにして、水中に拡散した水酸ラジカル等の活性種は、水中に含まれる被処理成分(例えばアンモニア等)を酸化分解して水の浄化に利用される。また、水中に拡散した過酸化水素は、水の殺菌に利用される。「給湯運転」や「追い焚き運転」では、このような水浄化動作が適宜実行され、浄化された水が浴槽(U1)に供給される。これにより、本実施形態の給湯システム(10)では、浴槽(U1)内の清浄度が保たれる。
【0068】
−実施形態1の効果−
実施形態1では、水浄化タンク(61)の水中において、ストリーマ放電を行い過酸化水素を生成するようにしている。過酸化水素は、次亜塩素酸と比較して、水温が上昇しても分解されにくい。具体的に、過酸化水素であれば、水温が約40℃の条件下で約1時間放置されても、約8%程度しか濃度が低下しない。このため、上記実施形態1では、水浄化タンク(61)の水温が高温となっても、充分な殺菌効果を得ることができる。
【0069】
実施形態1では、浴槽(U1)と繋がる第3循環流路(13,14,16)に水浄化タンク(61)を設けている。このため、水浄化タンク(61)で生成した過酸化水素や活性種を浴槽(U1)に供給することができる。これにより、浴槽(U1)の壁面の除菌や洗浄を行うことができる。
【0070】
実施形態1では、内部熱交換器(42)で加熱した水を水浄化タンク(61)へ供給するようにしている。このため、水浄化タンク(61)の水温を比較的高温に維持できる。水浄化タンク(61)内の水温が高温になると、熱による殺菌効果が向上する。加えて、過酸化水素の活性が高まり、過酸化水素による殺菌効果も向上する。従って、水浄化ユニット(60)による殺菌性能を飛躍的に向上できる。
【0071】
実施形態1では、水浄化タンク(61)の流入側の流入管(51)を銅管としている。このため、流入管(51)から溶出した銅イオンを水浄化タンク(61)に適宜供給することができる。水浄化タンク(61)内において、過酸化水素と銅イオンとが併存した状態になると、フェントン反応により、水酸ラジカルの生成が促される。従って、この水酸ラジカルを用いて水中の有害物質を効果的に酸化分解することができる。
【0072】
〈実施形態1の変形例〉
上記実施形態1では、絶縁ケーシング(71)の蓋部(73)に1つの開口(74)が形成されている。しかしながら、例えば図5及び図6に示すように、絶縁ケーシング(71)の蓋部(73)に複数の開口(74)を形成してもよい。この変形例では、絶縁ケーシング(71)の蓋部(73)が、略正方形板状に形成され、この蓋部(73)に複数の開口(74)が等間隔を置きながら碁盤目状に配列されている。一方、放電電極(64)及び対向電極(65)は、全ての開口(74)に跨るような正方形板状に形成されている。
【0073】
この変形例においても、各開口(74)が、電流密度集中部、及び気相形成部として機能する。これにより、電源部(70)から電極対(64,65)に直流電圧が印加されると、各開口(74)の電流密度が上昇し、各開口(74)で気泡(B)が形成される。その結果、各気泡(B)でそれぞれストリーマ放電が生起され、水酸ラジカル等の活性種や、過酸化水素が生成される。
【0074】
《発明の実施形態2》
実施形態2に係る給湯システム(10)は、上述した実施形態1と放電ユニット(62)の構成が異なるものである。以下には、上記実施形態1と異なる点を主として説明する。
【0075】
図7に示すように、実施形態2の放電ユニット(62)は、水浄化タンク(61)の外側から内部に向かって挿入されて固定される、いわゆるフランジユニット式に構成されている。また、実施形態2の放電ユニット(62)は、放電電極(64)と対向電極(65)と絶縁ケーシング(71)とが一体的に組立てられている。
【0076】
実施形態2の絶縁ケーシング(71)は、大略の外形が円筒状に形成されている。絶縁ケーシング(71)は、ケース本体(72)と蓋部(73)とを有している。
【0077】
実施形態2のケース本体(72)は、ガラス質又は樹脂製の絶縁材料で構成されている。ケース本体(72)は、円筒状の基部(76)と、該基部(76)から水浄化タンク(61)側に向かって突出する筒状壁部(77)と、該筒状壁部(77)の外縁部から更に水浄化タンク(61)側に向かって突出する環状凸部(78)とを有している。また、ケース本体(72)には、環状凸部(78)の先端側に先端筒部(79)が形成されている。基部(76)の軸心部には、円柱状の挿入口(76a)が軸方向に延びて貫通形成されている。筒状壁部(77)の内側には、挿入口(76a)と同軸となり、且つ挿入口(76a)よりも大径となる円柱状の空間(S)が形成されている。
【0078】
実施形態2の蓋部(73)は、略円板状に形成されて環状凸部(78)の内側に嵌合している。蓋部(73)は、セラミックス材料で構成されている。蓋部(73)の軸心には、実施形態1と同様、蓋部(73)を上下に貫通する円形状の1つの開口(74)が形成されている。
【0079】
放電電極(64)は、軸直角断面が円形状となる縦長の棒状の電極で構成されている。放電電極(64)は、基部(76)の挿入口(76a)に嵌合している。これにより、放電電極(64)は、絶縁ケーシング(71)の内部に収容されている。実施形態2では、放電電極(64)のうち水浄化タンク(61)とは反対側の端部が、水浄化タンク(61)の外部に露出される状態となる。このため、水浄化タンク(61)の外部に配置される電源部(70)と、放電電極(64)とを電気配線によって容易に接続することができる。
【0080】
放電電極(64)のうち水浄化タンク(61)側の端部(64a)は、絶縁ケーシング(71)の内部の空間(S)に臨んでいる。なお、図7に示す例では、放電電極(64)の端部(64a)が、挿入口(76a)の開口面よりも上側(水浄化タンク(61)側)に突出しているが、この端部(64a)の先端面を挿入口(76a)の開口面と略面一としてもよいし、端部(64a)を挿入口(76a)の開口面よりも下側に陥没させてもよい。また、放電電極(64)は、実施形態1と同様、開口(74)を有する蓋部(73)との間に所定の間隔が確保されている。
【0081】
対向電極(65)は、円筒状の電極本体(65a)と、該電極本体(65a)から径方向外方へ突出する鍔部(65b)とを有している。電極本体(65a)は、絶縁ケーシング(71)のケース本体(72)に外嵌している。鍔部(65b)は、水浄化タンク(61)の壁部に固定されて放電ユニット(62)を保持する固定部を構成している。放電ユニット(62)が水浄化タンク(61)に固定された状態では、対向電極(65)の電極本体(65a)の一部が浸水された状態となる。
【0082】
対向電極(65)は、電極本体(65a)よりも小径の内側筒部(65c)と、該内側筒部(65c)と電極本体(65a)との間に亘って形成される連接部(65d)とを有している。内側筒部(65c)及び連接部(65d)は、水浄化タンク(61)内の水中に浸漬している。内側筒部(65c)は、その内部に円柱空間(67)を形成している。内側筒部(65c)の軸方向の一端は、蓋部(73)と当接して該蓋部(73)を保持する保持部を構成している。また、電極本体(65a)と内側筒部(65c)と連接部(65d)の間には、ケース本体(72)の先端筒部(79)が内嵌している。内側筒部(65c)の軸方向の他端側には、円柱空間(67)を覆うようにメッシュ状の漏電防止材(68)が設けられている。この漏電防止材(68)は、対向電極(65)と接触することで、実質的にアースされている。これにより、漏電防止材(68)は、水浄化タンク(61)の内部の空間(水中)のうち、円柱空間(67)の内側から外側への漏電を防止している。
【0083】
対向電極(65)は、電極本体(65a)の一部が水浄化タンク(61)の外部に露出される状態となる。このため、電源部(70)と対向電極(65)とを電気配線によって容易に接続することができる。
【0084】
−水浄化ユニットの運転動作−
実施形態2の給湯システム(10)においても、水浄化ユニット(60)が運転されることで、水流路(12)を流れる水の浄化がなされる。
【0085】
水浄化ユニット(60)の運転の開始時には、図7に示すように、絶縁ケーシング(71)の内の空間(S)が浸水した状態となっている。電源部(70)から電極対(64,65)に所定の直流電圧(例えば5kV)が印加されると、開口(74)の内部の電流密度が上昇していく。
【0086】
図7に示す状態から、電極対(64,65)へ更に直流電圧が継続して印加されると、開口(74)内の水が気化されて気泡(B)が形成される(図8を参照)。この状態では、気泡(B)が開口(74)のほぼ全域を覆う状態となり、円柱空間(67)内の負極側の水と、放電電極(64)との間に気泡(B)による抵抗が付与される。これにより、放電電極(64)と対向電極(65)との間の電位差が保たれ、気泡(B)でストリーマ放電が発生する。その結果、水中では、水酸ラジカルや過酸化水素を生成され、これらの成分が水の浄化に利用される。
【0087】
〈実施形態2の変形例〉
上記実施形態2では、円板状の蓋部(73)の軸心に1つの開口(74)を形成しているが、この蓋部(73)に複数の開口(74)を形成してもよい。図9に示す例では、蓋部(73)の軸心を中心とする仮想ピッチ円上に、5つの開口(74)が等間隔置きに配列されている。このように蓋部(73)に複数の開口(74)を形成することで、各開口(74)の近傍でそれぞれストリーマ放電を生起させることができる。
【0088】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0089】
〈給湯システムの構成〉
上記実施形態の給湯システム(10)を図10に示すような、他の方式としてもよい。
【0090】
具体的に、図10に示す例の給湯システム(10)は、加熱熱交換器(32)と第1ポンプ(43)とが、熱源ユニット(30)や給湯ユニット(40)と異なるユニット(ハイドロボックス(30a))に収容されている。また、この例では、給湯タンク(41)の内部に、コイル型熱交換器(13a)が収容されている。コイル型熱交換器(13a)は、給湯タンク(41)の底壁部(41c)寄りに配設されている。コイル型熱交換器(13a)では、熱媒体としての水が流れる伝熱管が、給湯タンク(41)の周壁部(41a)に沿うように螺旋状に形成されている。コイル型熱交換器(13a)は、一端が第1循環流路(13)の始端に接続し、他端が第1循環流路(13)の終端に接続している。
【0091】
図10に示す給湯システム(10)では、加熱熱交換器(32)で加熱された水が、コイル型熱交換器(13a)を流れる。これにより、コイル型熱交換器(13a)の伝熱管を流れる水の熱が、伝熱管の外部へ放出される。その結果、給湯タンク(41)内に貯留された水が加熱され、温水が生成される。
【0092】
〈放電ユニットの構成>
上述した各実施形態の電源部(70)には、ストリーマ放電の放電電力を一定に制御する定電力制御部を用いている。しかしながら、定電力制御部に代えて、ストリーマ放電時の放電電流を一定に制御する定電流制御部を設けることもできる。この定電流制御を行うと、水の導電率によらず放電が安定するため、スパークの発生も未然に回避できる。
【0093】
また、上述した各実施形態では、電源部(70)の正極に放電電極(64)を接続し、電源部(70)の負極に対向電極(65)を接続している。しかしながら、電源部(70)の負極に放電電極(64)を接続し、電源部(70)の正極に対向電極(65)を接続することで、電極対(64,65)の間で、いわゆるマイナス放電を行うようにしてもよい。
【0094】
〈イオン供給部の構成〉
上述した各実施形態では、水浄化タンク(61)の流入管(51)を銅管とすることで、流入管(51)を銅イオンのイオン供給部としている。しかしながら、イオン供給部としては、例えば鉄イオンを生成する鉄製の配管を用いることもできる。鉄イオンも銅イオンと同様、過酸化水素の存在下でフェントン反応を促進させるため、水酸ラジカルの生成量を増大できる。
【0095】
銅管や鉄管は、水浄化タンク(61)と連通する水流路(12)であれば、他の箇所に設けることもできる。具体的に、上記実施形態1や2においては、例えば内部熱交換器(42)の少なくとも第2伝熱管(42b)を銅管で構成することができる。また、例えば銅片や鉄片を水浄化タンク(61)内に浸漬することで、これらをイオン供給部とすることもできる。
【0096】
〈水浄化タンクの配置〉
上記実施形態1や2と異なる位置に水浄化タンク(61)を接続してもよい。具体的には、第1循環流路(13)、第2循環流路(14)、供給流路(15)、給水路(20)等に水浄化タンク(61)を接続してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0097】
以上説明したように、本発明は、所定の利用対象へ温水を供給する給湯システムに関し、特に給湯システムの水流路を流れる水を浄化する対策について有用である。
【符号の説明】
【0098】
10 給湯システム
12 水流路
13 第1循環流路(循環流路)
14 第2循環流路(循環流路)
16 第3循環流路(浴槽循環流路、循環流路)
41 給湯タンク
42b 第2伝熱管(加熱部)
51 流入管(イオン供給部、銅管)
60 水浄化ユニット
61 水浄化タンク(水浄化流路)
64 放電電極(電極対)
65 対向電極(電極対)
70 電源部(直流電源)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水が貯留される給湯タンク(41)と、該給湯タンク(41)に連通する水流路(12)と、該水流路(12)の水を浄化する水浄化ユニット(60)とを備えた給湯システムであって、
上記水浄化ユニット(60)は、上記水流路(12)に接続されて水が流入する水浄化流路(61)と、該水浄化流路(61)の水中でストリーマ放電を生起する電極対(64,65)と、該電極対(64,65)に直流電圧を印加する直流電源(70)とを有し、上記ストリーマ放電によって上記水浄化流路(61)の水中に過酸化水素を生成するように構成されていることを特徴とする給湯システム。
【請求項2】
請求項1において、
上記水流路(12)は、水が循環する循環流路(13,14,16)を含み、
上記水浄化ユニット(60)の水浄化流路(61)が、上記循環流路(13,14,16)に接続されていることを特徴とする給湯システム。
【請求項3】
請求項2において、
上記循環流路(13,14,16)は、浴槽(U1)内の水が循環するとともに循環水を加熱する加熱部(42b)を有する浴槽循環流路(16)を含み、
上記水浄化ユニット(60)の水浄化流路(61)は、上記浴槽循環流路(16)に接続されていることを特徴とする給湯システム。
【請求項4】
請求項3において、
上記水浄化ユニット(60)の水浄化流路(61)は、上記浴槽循環流路(16)における上記加熱部(42b)の下流側に接続されていること特徴とする給湯システム。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1つにおいて、
上記水浄化流路(61)に銅イオン又は鉄イオンを供給するイオン供給部(51)を備えていることを特徴とする給湯システム。
【請求項6】
請求項5において、
上記イオン供給部(51)は、上記水浄化流路(61)の流入側に接続される銅製又は鉄製の配管(51)であることを特徴とする給湯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−77927(P2012−77927A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220925(P2010−220925)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】