説明

給湯システム

【課題】本発明は、給湯器本体とポンプユニットの意匠の統一性を確保しつつ、膨張タンクの容量を増大可能とした給湯システムを提供することを目的とした。
【解決手段】給湯システム1は、湯水を加熱する燃焼装置8を有する給湯器本体2と、循環ポンプ13及び膨張タンク17を有するポンプユニット3とが配管によって接続され、双方の機器を含む間の循環回路19内に所定温度の湯水を滞留させることができる機能を備えている。ポンプユニット3の筐体6には、補助用配管継ぎ手80が設けられており、その補助用配管継ぎ手80は筐体6内部に配された配管の分岐部54と分岐配管83を介して接続可能な構成とされている。そして、補助用配管継ぎ手80には、筐体6の外部で補助用配管85を介して補助用膨張タンク18と接続可能な構成とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、即湯式の給湯システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、ホテルや銭湯等の商業施設における熱源手段の一形態として、リモコン等で設定された温度の湯水を、出湯時に備えて予め生成しておくことが可能な即湯機能を備えた給湯システム(以下、即湯式給湯システムとも言う)がある。この種の即湯式給湯システムは、通常の給湯装置の構成に加えて、湯水が循環する循環回路を備えており、その循環回路内で湯水を設定温度に維持して、出湯要求があるまで待機可能な構成とされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、燃焼部や熱交換器等が内蔵されてユニット化された汎用の給湯器本体(熱源手段)と、その給湯器本体とカラン等を接続する配管によって構成された即湯式給湯システムが開示されている。そして、その即湯式給湯システムは、配管等によって形成された循環回路に、水流を形成する循環ポンプと、加熱による湯水の体積膨張分を吸収する膨張タンクが備えられた構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−44973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年、即湯式給湯システムの施工性等の向上を目的とした技術が開発されている。即ち、1つの筐体内にユニット化された循環ポンプや膨張タンク等の機器を備えたポンプユニットが市場において普及している。このようなポンプユニットを採用すれば、施工現場において、循環ポンプや膨張タンク等を選定するような煩わしさが解消でき、施工上の余分な手間を省くことができる。
【0006】
しかしながら、従来技術のポンプユニットは、筐体のサイズが給湯器本体よりも大きく、また給湯器本体が壁掛け型であるのに対して、床置き型であるため、給湯システム全体としては意匠性に欠けるものであった。
なお、ここで言う「壁掛け型」とは、実際に壁に取り付ける場合と、架台などの支持部材に取り付ける場合を意味している。
【0007】
そこで、本発明者らは、図10に示すように、給湯器本体102とポンプユニット103の双方の筐体を同一のサイズとし、双方を壁掛け型とした即湯式給湯システム101を試作した。
この即湯式給湯システム101によれば、全体の意匠性を向上させつつ、従来技術とほぼ同程度の機能を発揮することを可能としている。
【0008】
ところが、この試作した給湯システム101は、膨張タンクを給湯器本体と同一サイズの筐体内に内蔵させた構成であるため、タンクの容積を一定以上大きくできないという物理的制限があった。即ち、試作した給湯システム101は、ポンプユニット103の筐体の大きさを超える容量を備えた膨張タンクを採用することができないという問題があった。このような事情により、給湯システムを構成する循環回路が一定以上長くなる施設、あるいは給湯器本体の設置台数が一定数以上となる施設においては、膨張タンクの容量が不足するため、試作した給湯システム101を設置することができないという懸念があった。
【0009】
そこで、本発明では、給湯器本体とポンプユニットの意匠の統一性を確保しつつ、膨張タンクの容量を増大可能とした給湯システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、湯水を加熱する熱源手段と、所定の筐体内に循環ポンプ及び膨張タンクを有したポンプユニットが配管によって接続され、双方の機器とその間の配管内に所定の温度の湯水を滞留させて、要求に応じて滞留された湯水から出湯させる機能を備えた給湯システムであって、前記筐体内に配された配管は、分岐部を有し、前記筐体には、分岐部に接続される分岐配管を外部の配管と連通させることが可能な補助用配管接続部が設けられていることを特徴とする給湯システムである。
【0011】
本発明の給湯システムは、熱源手段とポンプユニットの統一された意匠性を確保しつつ、膨張タンクの容量を増大することができる構成とされている。即ち、本発明では、ポンプユニットの筐体に分岐部と連通し得る補助用配管接続部を設け、その補助用配管接続部を介して分岐部と外部に配される配管とを連通可能な構成とした。そして、補助用配管接続部と接続される外部の配管と、増設用の膨張タンクを接続することで給湯システム全体の膨張タンクの容量を増強している。これにより、ポンプユニットの筐体の大きさによる物理的制限に関わらず、施工現場に適した容量の膨張タンクを設けることができる。換言すれば、本発明は、給湯システムを構成する湯水の流路が一定以上長くなる施設、あるいは熱源手段の設置数が一定数以上となる施設において、ポンプユニットの筐体の外部に増設用の膨張タンクを設けて、膨張タンクの容量の増強を図ることができる構成である。
【0012】
ここで、先にも説明したように、本発明者らは、ポンプユニットを給湯器本体(熱源手段)と同様、壁掛け型とし、給湯システム全体の意匠性の統一を図った給湯システムを試作した。また、このような壁掛け型のポンプユニットや熱源手段においては、通常、底面にあたる面に湯水の流路の一部を形成する配管の接続口が設けられる。そして、試作した給湯システムでは、各機器の底面のさらに下方の位置に、各機器に湯水を供給する主配管を配する構成としている。
即ち、本発明において、例えば、この試作した給湯システムの構成を採用した場合、増設用の膨張タンクを、ポンプユニットや熱源手段の下方の主配管が配された位置に設けることができる。これにより、膨張タンクを増設する前後で、給湯システム全体の意匠性が損なわれることがない。
したがって、本発明によれば、ポンプユニットの筐体の大きさを変えることなく、膨張タンクの容量を増大させることができるため、給湯システム全体の統一された意匠性を確保しつつ、施工現場に適した容量の膨張タンクを設置することが可能である。
【0013】
請求項2に記載の発明は、ポンプユニットは、熱源手段と接続された配管を接続する配管接続部を有し、配管接続部及び前記補助用配管接続部は、通常の設置状態を基準とした、ポンプユニットの同一方向の面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の給湯システムである。
【0014】
かかる構成によれば、ポンプユニットに接続する全ての配管を、通常の設置状態を基準とした、ポンプユニットの同一方向の面に設けたため、ポンプユニット単体のまとまりがあり、統一性がある意匠にすることができる。また、増設用の膨張タンクを、ポンプユニットの外部に配される配管と混在するように設けることができるため、増設用の膨張タンクを設けたとしても後付け感がなく意匠性が損なわれる心配がない。
【0015】
請求項3に記載の発明は、熱源手段とポンプユニットは、床面から一定以上離れた位置に固定されるもので、補助用膨張タンクを増設する場合、当該補助用膨張タンクは熱源手段あるいはポンプユニットの下方に配することを特徴とする請求項1又は2に記載の給湯システムである。
【0016】
かかる構成によれば、熱源手段とポンプユニットを床面から一定以上離れた位置に固定した、所謂壁掛け型とし、双方の機器の下方に形成された空間に増設した補助用膨張タンクを配する構成としたため、膨張タンクの増設の前後で統一ある意匠が損なわれる可能性が極めて低い。
なお、ここで言う「壁掛け型」とは、実際に壁に取り付ける場合と、架台などの支持部材に取り付ける場合を意味している。
【0017】
本発明の給湯システムは、前記分岐部は、筐体の内部であって、湯水が膨張タンクを往来する往来配管に配されているものであることが望ましい。(請求項4)
【発明の効果】
【0018】
本発明の給湯システムでは、ポンプユニットの筐体内に配された配管に分岐部を設け、分岐部とポンプユニットの筐体に設けた補助用配管接続部とを分岐配管を介して連通可能とし、さらにその補助用配管接続部とポンプユニットの外部に配する配管(補助外部配管という)とを連通可能とした。これにより、補助外部配管に増設用の膨張タンクを取り付けることができるため、ポンプユニットの筐体の大きさを変更することなく膨張タンクの容量を増強することができる。即ち、本発明では、膨張タンクの増設した後においても、意匠性が損なわれることがない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る給湯システムを示す作動原理図である。
【図2】実際の給湯システムの一部を示す正面図である。
【図3】図2の給湯器本体の筐体に注目した図で、(a)は斜視図で、(b)は下方から見た平面図である。
【図4】図2のポンプユニットの筐体に注目した図で、(a)は斜視図で、(b)は下方から見た平面図である。
【図5】図1の給湯システムの給湯運転時の湯水の流れを示す概念図である。
【図6】図1の給湯システムの即湯運転時の湯水の流れを示す概念図である。
【図7】図1の給湯システムに採用された連結架台を示す斜視図である。
【図8】図1の給湯システムの実体配管を示す側面図である。
【図9】図7の連結架台の下段側を覆うカバー部材を示す斜視図である。
【図10】試作した給湯システムの一部を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
次に、本発明の実施形態に係る給湯システム1について説明する。
本実施形態に係る給湯システム1は、図1、2に示すように、複数(本実施形態では2台)の給湯器本体(熱源部)2と、循環ポンプ13、14等を備えたポンプユニット3とを組み合わせたものであり、これらが配管等を用いて連結されている。そして、給湯システム1は、制御装置50を有し、その制御装置50によって、複数の給湯器本体2及びポンプユニット3が集約的に制御されるシステムである。
なお、本発明の給湯システム1の動作は公知技術と同様であり、特徴的構成は構造にあるため、以下においては、動作の説明は省略し、構造に注目して説明する。
【0021】
まず、給湯システム1における主要な部品に注目して説明する。
給湯器本体2は、公知のそれと同様のものが採用されており、本実施形態では2台とも同じ機能及び能力を備えたものである。具体的には、給湯器本体2は、熱源用筐体5を有し、熱源用筐体5内に燃料ガスを燃焼する燃焼装置8と、燃焼装置8等の制御を行うコントローラ51とが内蔵されている。
【0022】
熱源用筐体5は、図3に示すように、1面が開放された筐体本体5aと、筐体本体5aの開放部を覆う蓋部5bにより構成されている。
筐体本体5aは、通常の設置状態を基準に、底面側に複数(本実施形態では入水用、出湯用、排水用の3種類に注目)の配管継ぎ手40、41、42が装着されている。即ち、筐体本体5aは、図3(b)に示すように、底面において、二点鎖線を基準に、中央より若干下方右よりに熱源側入水用配管継ぎ手40が配され、中央より若干上方左よりに出湯用配管継ぎ手41が配され、上方左側に熱源側排水用配管継ぎ手42が配された構成とされている。
なお、熱源用筐体5は、図2に示すように、熱源側排水用配管継ぎ手42の下流側の位置にホッパー継ぎ手35が取り付けられている。このホッパー継ぎ手35は、公知のそれと同様のものである。
また、筐体本体5aには、ガス用の配管継ぎ手等も設けられているが、本発明に特に関係する構成ではないため、説明を省略する。
【0023】
燃焼装置8は、図1に示すように、燃焼部9と、燃焼部9で燃焼して生成された燃焼ガスの熱エネルギーを回収して湯水を加熱する熱交換部11と、燃焼装置8に空気を供給する送風機10とを備えている。
燃焼部9は、燃料系統(図示しない)が接続され、その図示しない燃料系統から供給される燃料ガスを燃焼する複数のバーナ12により構成されている。
熱交換部11は、主に顕熱を回収して湯水が加熱される一次熱交換器15と、一次熱交換器15より燃焼ガスの流れ方向下流側に位置し、燃焼ガスに含まれる水蒸気の主に潜熱を回収して湯水が加熱される二次熱交換器16を有する。なお、二次熱交換器16では、潜熱回収時に凝縮水(所謂ドレン)が発生するため、本実施形態の熱交換部11には、二次熱交換器16で発生したドレンを外部に排水するドレン排出系統65が設けられている。
送風機10は、公知のそれと同様のものであり、内部に図示しないファンを備え、燃焼部9の燃焼量に応じて、送風量等を調整できるものである。
【0024】
コントローラ51は、各給湯器本体2に設けられており、集約的に制御可能な制御装置50と電気的に接続されている。即ち、コントローラ51は、制御装置50と信号の送受信を行って、個々の給湯器本体2を制御するものである。
【0025】
ポンプユニット3は、ポンプユニット用筐体6を有し、ポンプユニット用筐体6内に、2つの循環ポンプ13、14と、配管内の過剰な圧力上昇や圧力低下を均一化する膨張タンク17と、循環ポンプ13、14等の制御を行うコントローラ53とが内蔵されている。
【0026】
ポンプユニット用筐体6は、給湯器本体2と同様、図4に示すように、1面が開放された筐体本体6aと、筐体本体6aの開放部を覆う蓋部6bにより構成されている。
筐体本体6aは、通常の設置状態を基準に、底面側に複数(本実施形態では入水用、吐出用、排水用、並びに、補助用の4種類)の配管継ぎ手44、43、45、80が装着されている。即ち、筐体本体6aは、図4(b)に示すように、底面において、二点鎖線を基準に、中央より若干下方右よりにユニット側入水用配管継ぎ手44が配され、中央より若干上方左寄りに吐出用配管継ぎ手43が配され、その吐出用配管継ぎ手43の左の位置に補助用配管継ぎ手80が配され、上方左側にユニット側排水用配管継ぎ手45が配された構成とされている。
なお、ポンプユニット用筐体6は、図2に示すように、ユニット側排水用配管継ぎ手45の下流側の位置にホッパー継ぎ手35が取り付けられている。このホッパー継ぎ手35は、公知のそれと同様のものである。
【0027】
循環ポンプ13、14は、図示しないモータを駆動源として湯水を送水するもので、公知の渦巻きポンプが採用されている。なお、本実施形態における循環ポンプ14は、メインの循環ポンプ13のメンテナンス時や故障時等に使用される臨時用あるいは、循環ポンプ13と所定時間おきに使用するローテンション用等として使用される。
膨張タンク17は、湯水の温度変化に起因した体積の膨張に伴う圧力上昇又は収縮に伴う圧力低下を抑制する密閉型のタンクである。そして、膨張タンク17の近傍には安全弁54が設けられており、膨張タンク17の許容範囲を超えた圧力上昇の際に、配管内の湯水を外部に排出する湯水排出系統66(図1)が設けられている。
【0028】
コントローラ53は、ポンプユニット3に設けられており、集約的に制御可能な制御装置50と電気的に接続されている。即ち、コントローラ53は、制御装置50と信号の送受信を行って、ポンプユニット3を制御するものである。
【0029】
また、本実施形態では、リモコン52と制御装置50が電気的に接続されており、使用者によってリモコン52が操作されると、制御装置50を介して各コントローラ51、53に信号が送信される。
【0030】
次に、本実施形態の給湯システム1における流路について説明する。
給湯システム1には、主に、給湯を目的とした給湯系統20と、排水を目的とした排水系統21が備えられている。
【0031】
本実施形態における給湯系統20は、大別して2経路あり、給湯運転時に湯水が流れる給湯時経路と、即湯運転時に湯水が流れる即湯時経路である。本実施形態では、それらの経路が、図示しない給水源から送水される湯水を給湯器本体2に流す給水流路22と、給湯器本体2から吐出された湯水をカラン60に流す出湯流路23と、カラン60から再び給湯器本体2側に湯水を循環させる給湯側戻り流路24とで構成されている。
具体的には、給湯時経路は、図5に示すように、給水流路22と、出湯流路23とによって形成され、即湯時経路は、図6に示すように、給水流路22の一部と、出湯流路23と、給湯側戻り流路24とを構成要素とする循環回路19によって形成されている。
【0032】
給水流路22は、図1に示すように、上流側から下流側に向かって順番に、給水源と接続された給水主配管25と、給水主配管25から分岐した給水分岐配管26、27と、給湯器本体2に取り付けられた熱源側入水用配管継ぎ手40と、給湯器本体2の内部の配管であって熱交換部11の上流側に接続された内部上流側流路33とで形成されている。また、内部上流側流路33には、熱交換部11をバイパスするバイパス配管48が接続されている。即ち、給水流路22は、給水主配管25を通過した湯水を、いずれか一方あるいは双方の給湯器本体2の熱交換部11に湯水を供給する流路である。
なお、給湯器本体2の内部上流側流路33の中途には、湯水流量センサ55や入水温度センサ56が設けられ、さらにバイパス配管48の中途には、バイパス水量センサ59と水量調整弁61が設けられ、各機器がコントローラ51と電気的に接続されている。
【0033】
出湯流路23は、下流側から上流側に向かって順番に、カラン60と接続された出湯主配管28と、出湯主配管28から分岐した出湯分岐配管29、30と、給湯器本体2に取り付けられた出湯用配管継ぎ手41と、給湯器本体2の内部の配管であって熱交換部11の下流側に接続された内部下流側流路34とで形成されている。即ち、出湯流路23は、熱交換部11を通過した湯水を、カラン60に供給する流路である。
なお、給湯器本体2の内部下流側流路34の中途には、流量調整弁57や出湯温度センサ58等が設けられており、各機器がコントローラ51と電気的に接続されている。
【0034】
給湯側戻り流路24は、出湯流路23よりも湯水の流れ方向下流側に位置した流路で、必要に応じて出湯流路23を通過した湯水を再び給湯器本体2側に湯水を循環させる流路である。即ち、給湯側戻り流路24は、カラン60を基準として上流側から下流側に向かって順番に、出湯主配管28の下流側端部と接続された戻り主配管31と、戻り主配管31の下流側端部とポンプユニット3との間に位置する繋ぎ配管32と、ポンプユニット3に取り付けられたユニット側入水用配管継ぎ手44と、ポンプユニット3の内部配管46と、吐出用配管継ぎ手43と、給水主配管25の中途に接続されたポンプユニット分岐配管(以下、単にユニット分岐配管とも言う)49とで形成されている。即ち、給湯側戻り流路24は、カラン60から出湯しない湯水を、ポンプユニット3を介して給水主配管25に流す流路である。
【0035】
また、ポンプユニット3の内部配管46は、中途に前記した循環ポンプ13、14が配されており、その循環ポンプ13、14よりも上流側に膨張タンク17が配されている。
本実施形態は、循環ポンプ13、14に繋がる流路から分岐したタンク往来配管62を有し、そのタンク往来配管62は膨張タンク17に繋がる流路を構成している。即ち、タンク往来配管62は、ユニット側入水用配管継ぎ手44と循環ポンプ13、14との間に接続されており、循環回路19における圧力の変化に応じて湯水が往来する流路である。
【0036】
また、タンク往来配管62の中途には、分岐部54が設けられており、その分岐部54に分岐配管83が接続されている。分岐配管83は、ポンプユニット3のポンプユニット用筐体6に設けられた補助用配管継ぎ手80に繋げられており、分岐部54で分岐した湯水をポンプユニット用筐体6の外部に導く流路である。なお、分岐部54には、「T」字型の継ぎ手で、所謂チーズが取り付けられている。
そして、補助用配管継ぎ手80は、ポンプユニット用筐体6の外部で補助用配管85と接続されている。
したがって、本実施形態では、分岐配管83は補助用配管継ぎ手80と接続し、その補助用配管継ぎ手80と外部に配する補助用配管85とを接続し、その補助用配管85に補助用膨張タンク18を接続した構成とされている。
【0037】
排水系統21は、上記したように、ドレン排出系統65を一部に備えたドレン排水流路63と、湯水排出系統66を一部に備えた湯水排水流路64によって構成されている。
ドレン排水流路63は、二次熱交換器16で発生するドレンを外部に排水する流路で、外部の配管等と接続された排水主配管67と、排水主配管67から給湯器本体2に分岐した給湯側排水分岐配管68と、給湯側排水分岐配管68の上流端に取り付けられたホッパー継ぎ手35(図2)と、給湯器本体2に取り付けられた熱源側排水用配管継ぎ手42と、ドレン排出系統65とで形成されている。
【0038】
また、湯水排水流路64は、循環ポンプ13、14よりも下流側の配管に接続された流路で、排水主配管67と、排水主配管67からポンプユニット3に分岐したユニット側排水分岐配管70と、ユニット側排水分岐配管70の上流端に取り付けられたホッパー継ぎ手35(図2)と、ポンプユニット3に取り付けられたユニット側排水用配管継ぎ手45と、湯水排出系統66とで構成されている。
即ち、排水系統21は、給湯器本体2やポンプユニット3から排出されたドレンや不要な湯水を外部に排水する流路である。
【0039】
次に、本実施形態の給湯システム1を架台に据え付け状態における各部材の位置関係について説明する。
本実施形形態は、上記したように、ポンプユニット用筐体6を、熱源用筐体5とほぼ同じ大きさに設計しており、壁掛け可能な構成としている。即ち、図7に示す連結架台7を利用し、2台の給湯器本体2と1台のポンプユニット3とを、連結架台7の高さ方向中央より上段側に並設して固定している(図2)。換言すれば、本実施形態では、本来、給湯器本体2専用に使用される連結架台7が、ポンプユニット3の固定手段としても使用される構成とされている。
【0040】
また、本実施形態では、連結架台7の高さ方向中央より下段側は、図2に示すように、湯水が各給湯器本体2やポンプユニット3へ分岐したり、湯水が各給湯器本体2やポンプユニット3から集約されたりする主配管25、28、31、67を配する構成とされている。主配管25、28、31、67は、連結架台7の上段側の給湯器本体2とポンプユニット3の並設方向に延伸するように配されると共に、各給湯器本体2に接続された給水分岐配管26、27及び出湯分岐配管29、30や、ポンプユニット3に接続された繋ぎ配管32及びユニット分岐管49が配されている。
【0041】
さらに、本実施形態では、連結架台7の高さ方向下段側において、ポンプユニット3に設けられた補助用配管継ぎ手80と連通するように補助用膨張タンク18が取り付けられた構成とされている。具体的には、ポンプユニット用筐体6の外部側においては、補助用配管継ぎ手80に、補助用配管85の一方の端部が接続され、その補助用配管85の他方の端部に補助用膨張タンク18が接続されている。即ち、補助用膨張タンク18は、ポンプユニット用筐体6の外部に配されて、ポンプユニット用筐体6の内部に配された膨張タンク17と並設された位置関係とされている。より具体的には、補助用膨張タンク18は、図8に示すように、ポンプユニット3の下方且つ主配管25、28、31、67よりも前面側(図8の左側)に位置するように設けられ、連結架台7の下段側に収まるように配されている。
なお、ポンプユニット用筐体6の内部側においては、分岐部54と接続された分岐配管83が補助用配管継ぎ手80と接続されている。
【0042】
以上により、本実施形態では、ポンプユニット3のポンプユニット用筐体6に膨張タンクを増設するための補助用配管継ぎ手80を設け、必要に応じて補助用膨張タンク18を取り付け可能な構成とされているため、ポンプユニット3に予め備えられた膨張タンク17の容量が施工現場に適していないような場合、つまり給湯システム1を構成する循環回路19が一定以上長くなる施設、あるいは給湯器本体2の設置台数が一定数(例えば3台)以上となる施設であっても、ポンプユニット用筐体6の大きさを変更することなく、膨張タンクの容量を容易に増強することができる。即ち、膨張タンク17の容量が施工現場に適していない場合においては、ポンプユニット用筐体6内部に設けられた、分岐部54と補助用配管継ぎ手80を分岐配管83で繋ぐと共に、ポンプユニット用筐体6の外部側で補助用配管85を補助用配管継ぎ手80と繋いで一連の流路を形成し、その一連の流路に補助用膨張タンク18を接続する。すると、補助用膨張タンク18が、既設の膨張タンク17と並列的な位置関係となり、実質的に膨張タンクの容量が増強される。
このように、本実施形態では、補助用膨張タンク18を、ポンプユニット用筐体6の外部に取り出した配管に接続する構成であるため、ポンプユニット用筐体6の内部に空間的余裕があるか否かに関わらず、膨張タンクの容量を増強することができる。即ち、ポンプユニット用筐体6の大きさを変更することなく補助用膨張タンク18を増設できるため、給湯器本体2とポンプユニット3との統一ある意匠性を損なうことがない。
【0043】
また、本実施形態では、図9に示す連結架台7の下段を覆うカバー部材90を備えている。即ち、カバー部材90によって、給湯器本体2及びポンプユニット3の下方に配された配管や補助用膨張タンク18等を隠すことができる。これにより、補助用膨張タンク18を増設した前後で、給湯システム1全体における意匠性が変化することがなく、高い意匠性を確保することが可能となる。
【0044】
上記実施形態では、ポンプユニット用筐体6に設けた補助用配管継ぎ手80を、吐出用配管継ぎ手43の左の位置に配した構成を示したが、本発明ではこれに限定されず、吐出用配管継ぎ手43の右であっても上であっても、いずれの箇所に配した構成であっても構わない。
【0045】
上記実施形態では、ポンプユニット3に設けた分岐部54を、タンク往来配管62に配した構成を示したが、本発明ではこれに限定されず、ポンプユニット用筐体6内部に配された配管であれば、いずれの箇所に配した構成であっても構わない。即ち、分岐部54の位置は、補助用配管継ぎ手80に繋がる分岐配管が接続でき、増設用の膨張タンクを既設の膨張タンク17と並列的に配置できる位置であればいかなる場所でも構わない。
【0046】
上記実施形態では、補助用膨張タンク18を補助用配管85に接続した構成を示したが、本発明ではこれに限定されず、補助用配管85を介さず、補助用配管継ぎ手80に直接接続した構成であっても構わない。なお、この構成を採用する場合は、補助用配管継ぎ手80の一定の範囲内に他の配管等がないことが前提条件となる。
【0047】
上記実施形態では、分岐部54に「T」字型のチーズを取り付けた構成を示したが、本発明では、補助用膨張タンク18の増設を要さない場合においては、チーズの換わりに直管型の配管継ぎ手を取り付けておくこともできる。
【符号の説明】
【0048】
1 給湯システム
2 給湯器本体
3 ポンプユニット
5 熱源用筐体
6 ポンプユニット用筐体
13 循環ポンプ
17 膨張タンク
18 補助用膨張タンク
40 熱源側入水用配管継ぎ手
41 出湯用配管継ぎ手
42 熱源側排水用配管継ぎ手
43 吐出用配管継ぎ手
44 ユニット側入水用配管継ぎ手
45 ユニット側排水用配管継ぎ手
54 分岐部
62 タンク往来配管
80 補助用配管継ぎ手
83 分岐配管
85 補助用配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を加熱する熱源手段と、所定の筐体内に循環ポンプ及び膨張タンクを有したポンプユニットが配管によって接続され、双方の機器とその間の配管内に所定の温度の湯水を滞留させて、要求に応じて滞留された湯水から出湯させる機能を備えた給湯システムであって、
前記筐体内に配された配管は、分岐部を有し、
前記筐体には、分岐部に接続される分岐配管を外部の配管と連通させることが可能な補助用配管接続部が設けられていることを特徴とする給湯システム。
【請求項2】
ポンプユニットは、熱源手段と接続された配管を接続する配管接続部を有し、
配管接続部及び前記補助用配管接続部は、通常の設置状態を基準とした、ポンプユニットの同一方向の面に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の給湯システム。
【請求項3】
熱源手段とポンプユニットは、床面から一定以上離れた位置に固定されるもので、
補助用膨張タンクを増設する場合、当該補助用膨張タンクは熱源手段あるいはポンプユニットの下方に配することを特徴とする請求項1又は2に記載の給湯システム。
【請求項4】
前記分岐部は、筐体の内部であって、湯水が膨張タンクを往来する往来配管に配されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の給湯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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