説明

給湯暖房システム

【課題】給湯装置と床暖房装置の両方が駆動されているときに,給湯装置側の貯湯タンクに蓄積された湯の量が少なくなってきた時には,加熱熱容量の大きい床暖房を犠牲にし(一時的に加熱を停止し),貯湯タンクの沸き上げ運転を優先するようにして,出来るだけ給湯運転と床暖房運転の両立をはかりうるようにした給湯暖房システムを提供すること。
【解決手段】上記床暖房機と給湯機とが前記水熱交換器によって同時に運転され,かつ,上記貯湯タンクに貯えられた湯の量が第1の所定量より少ない量まで減少した場合に,前記冷媒管と前記水回路との間での熱交換を継続すると共に,前記床暖房回路内の液体の前記水熱交換器への給液を停止するか,或いは減少させる制御を行う給湯暖房システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,ヒートポンプサイクルに循環される冷媒によって水やブライン(不凍液)などの流体を加熱する熱交換器を備えた給湯暖房システムに係り,特に,給湯に適した暖房制御を行うための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から,圧縮機や膨張弁,水熱交換器,室外空気熱交換器などが接続されたヒートポンプサイクルを備え,該ヒートポンプサイクルに循環される冷媒との熱交換によって,給湯や浴室,暖房などに用いる水を加熱するヒートポンプ式給湯機(システム)が知られている。
また,このようなヒートポンプ式給湯機を用いた給湯暖房システムの一例として,圧縮機と,冷媒水熱交換器と,膨張弁と,大気用熱交換器とを有するヒートポンプの冷媒回路と,貯湯タンクと,第1のポンプと,冷媒水熱交換器とを有する給湯回路と,浴槽と,第2のポンプと,冷媒水熱交換器とを有する浴槽回路とを備えたヒートポンプ風呂給湯機において,前記冷媒回路,前記給湯回路及び前記浴槽回路間で熱交換を行う一体形の冷媒水熱交換器を備えたヒートポンプ風呂給湯機が知られている(特許文献1)。
このような従来のヒートポンプ風呂給湯機では,図7を参照すると,貯湯タンク65を加熱するときは,圧縮機61を運転し,冷媒を冷媒水熱交換器62,膨張弁63,大気用熱交換器64の順に送る。第1のポンプ71bが運転され,冷媒水熱交換器62の内部で冷媒から水に熱が放熱されるとともに,大気用熱交換器64から送風ファン66を運転して大気から熱を吸熱する。浴槽70の水を加熱するときは,貯湯タンク65を加熱するときと同じ様に第2のポンプ71aを運転し,冷媒水熱交換器62の内部で冷媒から水に熱が放熱されて加熱される事となる。
なお,従来のヒートポンプ風呂給湯機では,給湯回路68と浴槽回路69が同時に運転される指令(給湯回路68では蛇口がひねられたとき,浴槽回路69では追炊き釦が押されたとき)が出たときは,給湯回路68が優先される。すなわち,この場合,第2ポンプ71aを停止させ,第1ポンプ71bを運転する。そして,給湯が終了したら,第1ポンプ71bを停止させ,第2ポンプ71aを駆動する。
このような制御を行なう理由は,上記特許文献1によれば,熱交換器を一体としたため,浴槽70内の水温が低いと給湯される湯の温度が低下してしまい必要な湯温が得られないことを防止するためである,と説明されている。
また,このような従来のヒートポンプ風呂給湯機では,上記のように冷媒水熱交換器62を冷媒回路67,給湯回路68,浴槽回路69が熱交換出来る一体形熱交換器としたことにより,冷媒開閉弁が不要になるなどのシステムが簡易となり安価なシステムとすることができる点で優れたヒートポンプ風呂給湯機が提供される。
【特許文献1】特開2003−65602号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら,従来のヒートポンプ風呂給湯機では,冷媒水熱交換器62を冷媒回路67と,比較的使用湯量の少ない給湯回路68および同じく比較的使用湯量の少ない浴槽回路69の間で熱交換出来る一体形熱交換器としてものであり,使用湯量の多い,例えば床暖房回路と,使用湯量の少ない,例えば給湯回路を1つの冷媒回路で加熱する給湯暖房システムには適用出来ない。それは,使用湯量の多い,例えば床暖房回路と,使用湯量の少ない,例えば給湯回路を1つの冷媒回路で加熱する給湯暖房システムには,下記するような特有の問題があり,このような問題を上記特許文献1に記載のようなシステムでは解決することが出来ないからである。
【0004】
このことを,前記のような冷媒管と,給湯管と床暖房用の管の3管を一体化した水熱交換器102によって床暖房機110と給湯用の貯湯タンク106の加熱を同時に行なうようにした給湯暖房システムについて,図6を参照して説明する。ここに,101は圧縮機,102は前記3管タイプの水熱交換器,103は膨張弁,104は冷媒―空気熱交換器,105は送風機,106は貯湯タンク,107は給水ポンプ,108は混合弁,109は給湯装置の一例としての蛇口,110は床暖房機,111は床暖房用ポンプである。
上記圧縮機101,膨張弁103,冷媒―空気熱交換器104,送風機105によってヒートポンプサイクルが構成され,前記3管タイプの冷媒−水熱交換器102の冷媒管に熱を供給する。
また,床暖房ポンプ111を駆動することで,水熱交換器102で加熱された水その他の媒体が床暖房機110に供給されて,床暖房が実行される。
さらに,給水ポンプ107の駆動によって,水熱交換器102で加熱された水その他の媒体が貯湯タンク106に供給されて,貯湯タンク106が熱せられると共に,蛇口109をひねることで,貯湯タンク106に貯められた湯が,蛇口109から出湯される。
このようなシステムにおいて,床暖房機110が運転されている途中で,蛇口109がひねられて貯湯タンク106の湯が使用され,貯湯タンク106を沸き上げる必要が生じた場合,冷媒管に給湯回路と暖房回路の2回路が接している水熱交換器102では,給湯回路と暖房回路で異なる温度の湯水が入ってくる事になる。例えば給湯入水温度5℃,暖房入水温度35℃のような状況である。
【0005】
この状態でヒートポンプ式熱源の圧縮機101を運転すると,貯湯タンク106の沸き上げ運転だけの時に比べてトータルの入水温度が高くなるため,冷凍サイクル的に低圧側の圧力が高くなり,給水ポンプ107で流量調整が難しい領域まで,多く水を流し,圧縮機101の運転を可能な限りしぼらないと,高圧側の圧力が高くなりすぎてしまう。
このような運転状態では,高圧側の圧力が一定値以上になると,圧縮機101の温度も高くなりすぎるため保護のために,運転を止めなければならない。
或いは,運転を止めなくてもよい状態で運転し続けられたとしても,給水ポンプ107でコントロール出来る水の流量が決まっているため,沸き上げられるお湯の温度が高くなりすぎてしまうと言うことになるという問題がある。
【0006】
このような問題を解決するために,床暖房機110の運転と,貯湯タンク106の沸き上げ運転を同時に行わなければならない状況になった時には,床暖房と貯湯タンク106による沸き上げ運転のいずれか1つを停止せざるを得ない。このような場合,前記特許文献1に開示された従来のヒートポンプ風呂給湯機のように,熱容量の比較的小さい(使用湯量の比較的少ない)給湯装置の運転と,風呂の炊きあげ運転では,いずれを止めてもユーザは,寒さや冷たさを感じてしまう。
例えば,給湯装置で食器を洗っているときに,貯湯タンク106の湯量が少なくなると,冷たい水が直ぐに蛇口109から出て,ユーザを驚かせることになる。
また,風呂に入っているときに炊きあげようとすると水が給水され,風呂が一度に冷えてしまったり,シャワーから突然冷水が出てくると言ったトラブルの原因となる可能性が高い。
【0007】
この点,前記したように一方が上記のように加熱熱容量の小さい装置であっても,他方が床暖房のように加熱熱容量が大きい装置に給熱するシステムであれば,床暖房を短時間とめても,床暖房装置の加熱熱容量が多く,短時間では温度低下しにくいので,ユーザが敏感に寒さを感じると言った問題が生じないと考えられる。このような,一時的に給熱を停止しても,特に敏感に感じることがないのは,加熱熱容量の大きい,床暖房装置を含む給湯暖房システムの特質である。
そして,上記のような加熱熱容量が多く,短時間では温度低下しにくい加熱対象を含むシステムでは,加熱熱容量が多い方の加熱対象に対する加熱を一時的に止めて,加熱熱容量の小さい方の,例えば貯湯タンクにしばらく給湯し,タンクの湯量の増加をはかった後,加熱熱容量が大きい加熱対象への加熱を再開するということを実行し,必要に応じてこのような制御を繰り返すことで,食器洗いや,シャワーを使うような給湯処理が終了するので,その後は,加熱熱容量の大きい対象に対する加熱に専念すれば,いずれの加熱対象についても急激な温度低下を来すことなく,処理を継続することが出来るようになると考えられる。
【0008】
従って,本発明は,上記のような事情に基づいて創案されたもので,給湯と床暖房の両方に対して1つのヒートポンプ式冷凍サイクルで給熱する給湯暖房システムにおいて,給湯装置と床暖房装置の両方が駆動されているときに,給湯装置側の貯湯タンクに蓄積された湯の量が少なくなってきた時には,加熱熱容量の大きい床暖房を犠牲にし(一時的に加熱を停止し),貯湯タンクの沸き上げ運転を優先するようにして,出来るだけ給湯運転と床暖房運転の両立をはかりうるようにした給湯暖房システムの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明は,
ヒートポンプ式熱サイクルと,
給湯機と,
床暖房機と,
前記給湯機で使用される湯を貯湯する貯湯タンクと,
前記給湯機と前記貯湯タンクとに連結された出湯回路と,
前記貯湯タンクの下層と上層とに連結された水回路と,
前記ヒートポンプ式熱サイクルに使用される冷媒が循環する冷媒管と,前記水回路と,前記床暖房機で使用される液体が循環する床暖房回路とを備え,前記冷媒管と,前記水回路および前記床暖房回路との間で熱交換する水熱交換器と,
を備えた給湯暖房システムにおいて,
前記床暖房機と給湯機とが前記水熱交換器によって同時に運転され,かつ,前記貯湯タンクに貯えられた湯の量が第1の所定量より少ない量まで減少した場合に,前記冷媒管と前記水回路との間での熱交換を継続すると共に,前記床暖房回路内の液体の前記水熱交換器への給液を停止するか,或いは減少させる制御を行うことを特徴とする給湯暖房システムとして構成されている。
【0010】
さらに本発明は,ガス加熱機を用いた場合,
ヒートポンプ式熱サイクルと,
給湯機と,
床暖房機と,
前記給湯機で使用される湯を貯湯する貯湯タンクと,
前記給湯機と前記貯湯タンクとに連結された出湯回路と,
前記貯湯タンクの下層と上層とに連結された水回路と,
前記ヒートポンプ式熱サイクルに使用される冷媒が循環する冷媒管と,前記水回路と,前記床暖房機で使用される液体が循環する床暖房回路とを備え,前記冷媒管と,前記水回路および前記床暖房回路との間で熱交換する水熱交換器と,
前記出湯回路と前記床暖房回路とのうち少なくとも前記出湯回路内の水または湯を加熱するガス加熱機と,
を備えた給湯暖房システムにおいて,
前記床暖房機と給湯機とが前記水熱交換器によって同時に運転され,かつ,前記貯湯タンクに貯えられた湯の量が第2の所定量と該第2の所定量より少ない第3の所定量との間の量まで減少した場合に,
前記冷媒管と前記水回路との間での熱交換を継続すると共に,前記床暖房回路内の液体を前記水熱交換器に給液する制御を停止するか,液量を減少させ,
前記貯湯タンクに貯えられた湯の量が前記第3の所定量未満になった場合,前記出湯回路に流入する湯または水を前記ガス加熱機により加熱する制御を行うことを特徴とする給湯暖房システムとして構成される。
【0011】
前記貯湯タンクに貯えられた湯の量が前記第3の所定量未満になった場合,前記ガス加熱機による加熱制御に加えて,前記冷媒管と前記水回路との間での熱交換により前記水回路に流入する水を加熱する制御を行うようにしてもよい。
【0012】
また,前記貯湯タンクに貯えられた湯の量が第3の所定値未満になった場合,前記床暖房回路内の液体を前記水熱交換器に給液する制御を再開すると共に,前記冷媒管と前記水回路との間での熱交換により前記水回路に流入する水を加熱する制御を停止させ,前記出湯回路に流入する湯または水を前記ガス加熱機により加熱する制御を開始するような給湯暖房システムも考えられる。
【0013】
前記第2の所定量が,前記貯湯タンク内の水の温度を検知するサーミスタの検知温度が所定値未満となることにより検知され,前記第3の所定量が,前記ガス加熱機に設けられ,該ガス加熱機に流入する水または湯の温度を検知する湯温サーミスタの検知温度が所定値未満になることにより検知されてなる給湯暖房システムも考えられる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば,ヒートポンプ式熱サイクルと,給湯機と,床暖房機と,前記給湯機で使用される湯を貯湯する貯湯タンクと,前記給湯機と前記貯湯タンクとに連結された出湯回路と,前記貯湯タンクの下層と上層とに連結された水回路と,前記ヒートポンプ式熱サイクルに使用される冷媒が循環する冷媒管と,前記水回路と,前記床暖房機で使用される液体が循環する床暖房回路とを備え,前記冷媒管と,前記水回路および前記床暖房回路との間で熱交換する水熱交換器とを備えた給湯暖房システムにおいて,前記床暖房機と給湯機とが前記水熱交換器によって同時に運転され,かつ,前記貯湯タンクに貯えられた湯の量が第1の所定量より少ない量まで減少した場合に,前記冷媒管と前記水回路との間での熱交換を継続すると共に,前記床暖房回路内の液体の前記水熱交換器への給液を停止するか,或いは減少させる制御を行うことを特徴とする給湯暖房システムとして構成されているので,給湯装置と床暖房装置の両方が駆動されているときに,給湯装置側の貯湯タンクに蓄積された湯の量が少なくなってきた時には,加熱熱容量の大きい床暖房を犠牲にし(一時的に加熱を停止し),貯湯タンクの沸き上げ運転を優先するようにして,出来るだけ給湯運転を止めることなく,給湯運転と床暖房運転の両立をはかりうるようにした給湯暖房システムが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は,本発明の一実施の形態に係るヒートポンプ式給湯暖房機Xの概略構成を示すブロック図,図2は,本発明の一実施の形態に係るヒートポンプ式給湯暖房機Xの概略構成を示すブロック図,図3は,本発明の一実施の形態に係るヒートポンプ式給湯暖房機Xの概略構成を示すブロック図,図4は,本発明の一実施の形態に係るヒートポンプ式給湯暖房機Xの概略構成を示すブロック図,図5は,ガス加熱機を備えた本発明の一実施の形態に係るヒートポンプ式給湯暖房機Yの概略構成を示すブロック図,図6は,仮想のヒートポンプ式給湯暖房機の概略構成を示すブロック図,図7は,従来のヒートポンプ式給湯暖房機の概略構成を示すブロック図である。
まず,図1を用いて,本発明の実施の形態に係るヒートポンプ式給湯暖房機Xの概略構成について説明する。なお,本実施の形態では,ヒートポンプ式給湯暖房機Xが,温水を給湯する給湯機能及び床暖房を行う床暖房機能を有する場合を例に挙げて説明する。
【0016】
図1に示すように,ヒートポンプ式給湯暖房機Xは,大別すると,冷媒が循環されるヒートポンプ式熱サイクル(冷凍サイクル)Aと,温水を給湯するための給湯回路Bと,床暖房を行うための床暖房回路Cとを備えて構成されている。ここに,ヒートポンプサイクルAに循環される冷媒には,例えばCO2冷媒などの炭酸ガス冷媒(自然冷媒の一種)や,R410AなどのHFC冷媒が用いられる。
なお,ヒートポンプ式給湯暖房機Xは,CPUやRAM,ROMなどを有する制御部50を備えており,該制御部50によって統括的に制御される。具体的に,ヒートポンプ式給湯暖房機Xの制御部は,後述の温度センサ15aによって検出される貯湯タンク6内の温度に基づいて当該ヒートポンプ式給湯暖房機Xの動作を制御する。
【0017】
ヒートポンプ式熱サイクルAは,冷媒を圧縮する圧縮機1と,圧縮機1から流出した冷媒と水との間で熱交換を行うことにより該水を加熱する水熱交換器2(本発明における水熱交換器の一例)と,水熱交換器2から流出した冷媒を膨張させる膨張弁3と,膨張弁3で膨張された冷媒と室外空気との間で熱交換を行うことにより該冷媒を加熱する室外空気熱交換器4とを備えている。5は,上記室外空気熱交換器4を空気に接触させる送風機である。
前記水熱交換器2は,ヒートポンプ式熱サイクルAに使用される冷媒が循環する冷媒管2bと,後記する水回路9bの一部である水管2cと,床暖房機110で使用される液体が循環する床暖房回路の水管2aとを備え,前記冷媒管2bと,前記水管2aおよび前記水管2cとの間で熱交換するための熱交換器である。
【0018】
給湯回路Bは,水熱交換器2において加熱された後の温水(例えば60℃程度)を貯溜するための貯湯タンク6と,貯湯タンク6の下層から水熱交換器2を経て貯湯タンク6の上層に水を循環させるための給水ポンプ7と,給水口16からの水と,貯湯タンク6からの湯を混合させて蛇口9に供給する混合弁8とを主な構成要素として備えている。
給湯機の一例である前記蛇口9と上記貯湯タンク6とを連結する回路を出湯回路9aと呼び,前記貯湯タンク6の下層と上層とに連結され,前記水熱交換器2と前記貯湯タンク6との間に湯水を循環させる回路を,水回路9bと呼ぶことにする。
【0019】
床暖房回路Cは,水熱交換器2において加熱された後の温水を用いて床暖房を行う床暖房機110と,水熱交換器2及び床暖房機110に水を循環させるための床暖房ポンプ11とを備えている。なお,床暖房回路Cでは,水に代えてブライン(不凍液)を用いる場合も考えられる。
前記給湯回路B,及び床暖房回路Cの基本的な動作については,従来と異なるところがないため,ここでは説明を省略する。
【0020】
本発明の実施の形態に係るヒートポンプ式給湯暖房機Xでは,前記水熱交換器2を通る前記床暖房機110側の水管2aの前記前記水熱交換器2への入り口と出口を接続するバイパス管110bが設けられている点と,このバイパス管110bの途中に,該バイパス管110bを通る流体の流量を調節する電磁弁などのバイパス制御弁12aが設けられている点が新しい。さらに,このバイパス制御弁12aが,前記のように貯湯タンク6内の所定高さに設けられた温度センサ15aからの信号を受信する前記制御部50に基づいて制御される点も新しい。
【0021】
そしてこのヒートポンプ式給湯暖房機Xで更なる新しい点は,前記制御部50が,上記床暖房機110と蛇口9などの給湯機とが前記水熱交換器2によって同時に運転され,かつ,上記貯湯タンク6に貯えられた湯の量が,前記温度センサ15aによって検出される第1の所定量より少ない量まで減少した場合に,前記ヒートポンプ式熱サイクルAを構成する水熱交換器2内の冷媒管2bと前記水回路9bを構成する水熱交換器2内の水管2cとの間での熱交換を継続すると共に,前記床暖房回路C内の液体の前記水熱交換器2への給液を停止する制御を行う点である。
詳細に説明する。
【0022】
貯湯タンク6内では,水と湯は実際には混じり合うことがないので,その境界は明確に仕切られており,上層部の湯が使用されることにより,上記境界が上昇していくことが知られている。従って,この実施形態のように,上記貯湯タンク6内の所定高さに前記温度センサ15aを設けておき,該温度センサ15aに接する湯水の温度を測定すれば,貯湯タンク6内に蓄えられた湯の量を検出することが出来る。上記温度センサ15aはこのような機能を備えたもので,それからの信号を前記制御部50に伝えることで,制御部50は,上記貯湯タンク6内の湯量に応じた制御を行うことが出来る。
このようにして,上記床暖房機110と給湯機の一例である蛇口9とが前記水熱交換器2によって同時に運転されている状態で,前記温度センサ15aによって検出される湯の量が第1の所定量,即ち温度センサ15aの設置位置より少ない量まで減少したことを示す信号が制御部50に伝えられる。この信号を受けると,上記制御部50は,前記冷媒管2bと前記水回路9b側の水管2cとの間で熱交換を行う給水ポンプ7の駆動を継続する(給湯動作が継続される)と共に,前記床暖房回路C内の液体の前記水熱交換器2への給液を停止或いは減量するべく,床暖房ポンプ11を停止するか,或いは,前記バイパス制御弁12aを解放(あるいは開度を調整する)する。これによって,床暖房用の水管110aを流れる湯の全量或いは一部が前記水熱交換器2を迂回して流れることで,床暖房機110への湯の供給を停止するか,或いは,床暖房機110を流れる湯量を減少させる制御が行われる。
【0023】
この制御によって,床暖房機110の運転が停止されるか,或いは供給する湯量が少なくなるように調整されるが,床暖房機110は,長い水管を備え,且つ室内の空気は大きい熱容量を備えているので,床暖房機110全体としての加熱熱容量が大きく,室温が直ぐに低下することはない。そのため,たとえ床暖房機110が停止されたとしても,少なくとも数分あるいは10数分の間は,ユーザが寒さを感じることはほとんどない。
これに対して,給湯装置側としては,この時点で貯湯タンク6内の湯量が前記した第1の所定量,即ち温度センサ15aの設置位置より少ない量まで減少しており,給湯動作の継続が困難になっているが,上記のように水熱交換器2を共用している床暖房機110側への給湯が停止され,或いは給湯量が減少されたので,給湯動作を継続することができ,さらにその間に,貯湯タンク6内の湯量を回復することが出来る。
通常,食器洗いやシャワーを使うといった給湯動作は,数分程度で終了する。従って,上記した床暖房機110の停止或いは給湯量の減少開始から数分後に,床暖房機110への給湯を再開しても,その時には食器洗いなどの給湯動作が終了しているので,その後は,水熱交換器2の加熱能力の大部分を床暖房機110側に使うことが出来,暖房効果を低下させることがない。
この処理によって,床暖房機110側でユーザが寒さを感じることなく,給湯動作を継続することが出来る給湯暖房システムが提供される。
このようなことが出来るのは,水熱交換器2を加熱熱容量の大きい床暖房回路Cと,加熱熱容量の小さい給湯回路Bとで共用している場合であり,前記特許文献1に記載のような,加熱熱容量の小さい2つの給湯装置で共用する場合には,いずれの給湯装置を停止しても,直ぐに冷水が供給されることになるので,ユーザにとっては使用に耐えないシステムとならざるを得ない。
【0024】
上記した図1の実施形態では,バイパス管110bに設けられたバイパス制御弁12a,或いは床暖房ポンプ11によって,水熱交換器2内の水管2a内を通過する床暖房用の流体の量を調整して,床暖房機110の制御を行っているが,床暖房機110の制御の仕方としては,これに限られるものではない。
例えば,図2の例では,バイパス管110bに図1と同様のバイパス制御弁12aを設けると共に,水管2aへの流入部に,前記バイパス制御弁12aと並列に流量制御用の電磁弁12bを設け,上記2つの弁12a及び12bの開度を制御部50によって制御を行うようにしている。この場合,図1の場合と同様,床暖房ポンプ11の吐出量制御と上記2つの弁の制御を組み合わせても良い。
【0025】
さらに,別の方法として,図1のバイパス制御弁12a,或いは図2のバイパス制御弁12aと電磁弁12bとの組み合わせに換えて,図3に示すように,水管2aへの流入部におけるバイパス管110bとの分岐部に,3方弁12cを設けて,これによって水管2aへ流れる流体量と,バイパス管110bへ流れる流体量との比率を調整してもよい。もちろん,床暖房ポンプ11による調整との併用も考えられる。
さらに,別の方法として,図3に示す3方弁12cに換えて,図4に示されるような流量調節弁12dを用いても良い。
これらの流量調整手法は,後記する図5の実施形態においても同様に適用されうる。
【0026】
次に,上記した図1〜図4に示した給湯暖房システムXにガス加熱機を組み込んだ実施形態に係るヒートポンプ式給湯暖房機Yについて説明する。
ヒートポンプ式給湯暖房機Yは,大別すると,冷媒が循環されるヒートポンプサイクル(冷凍サイクル)Aと,温水を給湯するための給湯回路Bと,床暖房を行うための床暖房回路Cとを備えて構成されている点,CPUやRAM,ROMなどを有する制御部50を備えており,該制御部50によって統括的に制御される点について,前記図1〜図4に示した実施形態と同様である。
具体的には,ヒートポンプ式給湯暖房機Yは,冷媒を圧縮する圧縮機1と,圧縮機1から流出した冷媒と水との間で熱交換を行うことにより該水を加熱する水熱交換器2と,水熱交換器2から流出した冷媒を膨張させる膨張弁3と,膨張弁3で膨張された冷媒と室外空気との間で熱交換を行うことにより該冷媒を加熱する室外空気熱交換器4とを備えている点,給湯回路Bが,水熱交換器2において加熱された後の温水(例えば60℃程度)を貯溜するための貯湯タンク6と,貯湯タンク6の下層から水熱交換器14を経て貯湯タンク6の上層に水を循環させるための給水ポンプ7と,給水口16からの水と,貯湯タンク6からの湯を混合させて蛇口9に供給する混合弁8とを主な構成要素として備えている点,床暖房回路Cが,水熱交換器2において加熱された後の温水を用いて床暖房を行う床暖房機110と,水熱交換器2及び床暖房機110に水を循環させるための床暖房ポンプ11とを備えている点,及びバイパス管110bにバイパス制御弁12aを設けると共に,水管2aへの流入部に,前記バイパス制御弁12aと並列に流量制御用の電磁弁12bを設け,上記2つの弁12a及び12bの開度を制御部50によって制御を行なうようにしている点,については,図2に示した実施形態と同様である。
また,床暖房機110が3台設けられているが,これは特に特徴ではなく,1台でも2台でも構わない。従って,これら3台の床暖房機をまとめて床暖房機110と呼ぶことにする。
さらに,給湯機の一例である前記蛇口9と上記貯湯タンク6とを連結する回路を出湯回路9aと呼び,前記貯湯タンク6の下層と上層とに連結され,前記水熱交換器2と前記貯湯タンク6との間に湯水を循環させる回路を,水回路9bと呼ぶことにする点についても前記実施形態と同様である。
【0027】
そしてこのヒートポンプ式給湯暖房機Yで新しい点は,貯湯タンク6に,該貯湯タンク6内の湯量に関する第2の所定量と該第2の所定量より少ない第3の所定量との2段階の湯量を検知する2個の温度センサ15b及び15cが上下に取付けられ,これらのセンサ15b,15cの信号が,上記制御部50に導入されている点,水熱交換器2と前記床暖房機110を接続する液管110d及び,貯湯タンク6から蛇口9に至る出湯回路9aとが,前記制御部50によって制御されるガス加熱機14に組み込まれており,床暖房機110及び蛇口9から出湯される湯が,水熱交換器2と上記ガス加熱機14の両方で加熱されうる構造となっている点,さらに,上記床暖房機110と給湯機(蛇口9で表される)とが前記水熱交換器2によって同時に運転され,かつ,上記貯湯タンクに貯えられた湯の量が第2の所定量と該第2の所定量より少ない第3の所定量との間の量まで減少した場合に,前記水熱交換器2の冷媒管2cと前記水回路9bとの間での熱交換を継続すると共に,前記床暖房回路C内の液体を前記水熱交換器2に給液する制御を停止するか,液量を減少させ,上記貯湯タンク6に貯えられた湯の量が前記第3の所定量未満になった場合,前記出湯回路9aに流入する湯または水を前記ガス加熱機14により加熱する制御を行う点である。
詳細に説明する。
【0028】
貯湯タンク6内では,前記したように水と湯は実際には混じり合うことがないので,その境界は明確に仕切られており,上層部の湯が使用されることにより,上記境界が上昇していく。従って,この実施形態のように,上記貯湯タンク6内の所定高さの位置とそれより低い所定高さの位置に,前記温度センサ15cと15bとを設けておき,これらの温度センサ15b,15cに接する湯水の温度を測定すれば,貯湯タンク6内に蓄えられた湯の量の変化を2段階で検出することが出来る。
上記温度センサ15b,15cはこのような機能を備えたもので,それからの信号を前記制御部50に伝えることで,制御部50は,上記貯湯タンク6内の湯量に応じた制御を行うことが出来る。
【0029】
このようにして,上記床暖房機110と給湯機の一例である蛇口9とが前記水熱交換器2によって同時に運転されている状態で,前記貯湯タンク6内の湯が減少してくると,低い位置にある前記温度センサ15bによって湯の量が第2の所定量,即ち温度センサ15bが検出する第2の所定量と,前記温度センサ15bよりも高い位置にある温度センサ15cによって検出される上記第2の所定量より少ない第3の所定量との間の量まで減少したと,これらのセンサ15b,15cからの信号を受け入れる制御部50によって判断された場合には,上記制御部50は,前記冷媒管2bと前記水回路9b側の水管2cとの間で熱交換を行う給水ポンプ7の駆動を継続する(給湯動作が継続される)と共に,前記床暖房回路C内の液体の前記水熱交換器2への給液を停止或いは減量するべく,それまで運転されていた床暖房ポンプ11を停止するか,或いは,前記バイパス弁12gと電磁弁12fを制御して運転していた床暖房機110への水管110aを流れる湯の全量或いは一部が前記水熱交換器2を迂回して流れることで,床暖房機110への湯の供給を停止するか,或いは,床暖房機110を流れる湯量を減少させる制御が行われる。
【0030】
この制御によって,床暖房機110の運転が停止されるか,或いは供給する湯量が少なくなるように調整されるが,床暖房機110は,長い水管を備えているので,加熱熱容量が大きく,暖房効果が直ぐに低下することはない。そのため,たとえ床暖房機110が停止されたとしても,少なくとも数分あるいは数10分の間は,ユーザが寒さを感じることはほとんどない。これに対して,給湯装置側としては,この時点で貯湯タンク6内の湯量が前記した第1の所定量,即ち温度センサ15aの設置位置より少ない量まで減少しているが,上記のように水熱交換器2を共用している床暖房機110側への給湯が停止され,或いは給湯量が減少されたので,給湯動作を継続することができ,さらにその間に,貯湯タンク6内の湯量を回復することが出来る。通常,食器洗いやシャワーを使うといった給湯動作は,数分で終了するので,上記した床暖房機110の停止或いは給湯量の減少開始から数分後に,床暖房機110への給湯を再開しても,その時には食器洗いなどの給湯動作が終了しているので,その後は,水熱交換器2の加熱能力の大部分を床暖房機110側に使うことが出来る。
【0031】
この処理によって,床暖房機110側でユーザが寒さを感じることなく,給湯動作を継続することが出来る給湯暖房システムが提供される。
【0032】
ヒートポンプ式水熱交換器で水を加熱する場合と比べ、ガスは効率がわるいので,できるだけ,ヒートポンプ式水熱交換器で熱交換を行うのが経済的である。ヒートポンプ式水熱交換器の給湯能力を大きくすれば,使用する湯量が多くなっても,十分に対応することが可能である。しかしながら,設置スペースなどを考慮した場合,それほど大きくすることができない。そこで,この実施形態では,貯湯タンク6内の湯量が,第1の所定湯量と第2の所定湯量の間である場合はヒートポンプ式水熱交換器で沸き上げ動作を行い,第2の湯量未満になったら,ガス加熱機を使用するようにしたものである。このようにすれば,大量の湯が使われ,貯湯タンク6内の湯量が少なくなってしまい,ヒートポンプ式水熱交換器ではまかないきれない場合に,少ない設置スペースでも大量の湯を沸かすことが出来るガス加熱機14を使用することで対応できる。なお,使用湯量が少ない場合は,ヒートポンプサイクルでまかなうことができるので,ガスは使用しない。このようにすると,ガスのみで対応する場合よりも省エネ性能を高めることができる。また,使用量が多いときは,ガスで湯を沸かすので,床暖房を止める必要がない。
【0033】
すでに前記図1の実施形態で述べたように,このようなことが出来るのは,水熱交換器2を加熱熱容量の大きい床暖房回路Cと,加熱熱容量の小さい給湯回路Bとで共用している場合であり,前記特許文献1に記載のような,加熱熱容量の小さい2つの給湯装置で共用する場合には,いずれの給湯装置を停止しても,直ぐに冷水が供給されることになるので,ユーザにとってはすぐに冷たさや寒さを感じてしまい,使用に耐えないシステムとならざるを得ない。
【0034】
このような状態が続くことで,貯湯タンク6内の湯量が回復して,前記第2の所定量を超えたことが前記温度センサ15bによって検知されれば,制御部50は,前記バイパス弁12gと電磁弁12fとを制御して,床暖房機110に供給される液体についても,水熱交換器2で加熱する状態に復帰する。
【0035】
しかしながら,上記床暖房機110の運転が停止され,或いは供給される湯量を減少する制御が行われている状態で,さらに大量の湯が蛇口9から排出され,貯湯タンク6内の湯量がさらに減少した場合,即ち,前記下側の温度センサ15bよりも上に位置する温度センサ15cが,湯から水に変化する層を検知した場合,即ち,上記温度センサ15cが,貯湯タンク6内の湯量が第3の所定量未満になったことを検知した場合には,前記制御部50は,ガス加熱機14の運転を開始して,前記出湯回路9aに流入する湯または水を前記ガス加熱機により追い炊き加熱する制御を行う。
【0036】
即ち,この場合,前記貯湯タンク6に貯えられた湯の量が,前記第3の所定量未満になった時に,前記ガス加熱機14による加熱制御と,前記冷媒管2bと前記水回路9bとの間での熱交換により前記水回路9bに流入する水を加熱する制御の両方が行われ,蛇口9から大量の湯が排出される状態でも,給湯温度が低下することがないように配慮されている。
但し,上記ガス加熱機14は経済性に劣るものではあるが,これによる加熱熱量は非常に大きいので,ガス加熱機14が運転され始めれば,ガス加熱機14に,床暖房と給湯装置の両方の運転を行わせるようにしても差し支えない場合もあり得る。
あるいは,上記貯湯タンク6に貯えられた湯の量が前記第3の所定値未満になった場合,前記床暖房回路C内の液体を前記水熱交換器2に給液する制御を再開すると共に,前記冷媒管2bと前記水回路9bとの間での熱交換により前記水回路9bに流入する水を加熱する制御を停止させ,前記出湯回路9aに流入する湯または水を前記ガス加熱機14により加熱する制御を開始するようにしてもよい。すなわち、床暖房はヒートポンプ式熱交換器にて行い、出湯はガス加熱機にて行うのである。
なお、本実施の形態においては、第3の所定値は貯湯タンク6に設けられた温度センサ15c(本発明における湯温サーミスタの一例)によって検知されていたが、温度センサ15cをガス加熱機14と出湯回路9aの貯湯タンク6側とを連結する部分に設けてもよい。
このように,タンクに貯湯した湯水を蛇口より出湯する前に,ガス加熱機が入っているシステムにおいては,最終的な出湯温度コントロールはガス加熱機が行なうことになる。そこでより精度良くスピーディーに出湯温度コントロールを行なおうとすれば,タンク上部の温度よりも,ガス加熱機に流入する湯水の温度を検出しコントロールする方がより精度のよい方法となる。即ち,上記のようにタンク上部の温度よりも,ガス加熱機に流入する湯水の温度を検出しコントロールするようにすれば、ガス加熱機14に流入する湯水の温度を、よりガス加熱機14に近い箇所で、検出できるので、ガス加熱機14による出湯温度のコントロールをより精度良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施の形態に係るヒートポンプ式給湯暖房機Xの概略構成を示すブロック図。
【図2】本発明の一実施の形態に係るヒートポンプ式給湯暖房機Xの概略構成を示すブロック図。
【図3】本発明の一実施の形態に係るヒートポンプ式給湯暖房機Xの概略構成を示すブロック図。
【図4】本発明の一実施の形態に係るヒートポンプ式給湯暖房機Xの概略構成を示すブロック図。
【図5】ガス加熱機を備えた本発明の一実施の形態に係るヒートポンプ式給湯暖房機Yの概略構成を示すブロック図。
【図6】仮想のヒートポンプ式給湯暖房機の概略構成を示すブロック図。
【図7】従来のヒートポンプ式給湯暖房機の概略構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0038】
A:ヒートポンプ式熱サイクル
B:給湯回路
C:床暖房回路
X:ヒートポンプ式給湯暖房機
Y:ヒートポンプ式給湯暖房機
1:圧縮機
2:水熱交換器
2a:水管
2b:冷媒管
2c:水管
3:膨張弁
4:室外空気熱交換器
5:送風機
6:貯湯タンク
7:給水ポンプ
8:混合弁
9:蛇口
9a:出湯回路
9b:水回路
11:床暖房ポンプ
11d:液管
12a:バイパス制御弁
12b:電磁弁
12c:3方弁
14:ガス加熱機
15a:温度センサ
50:制御部
110:床暖房機
110a:床暖房用の水管
110b:バイパス管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートポンプ式熱サイクルと,
給湯機と,
床暖房機と,
前記給湯機で使用される湯を貯湯する貯湯タンクと,
前記給湯機と前記貯湯タンクとに連結された出湯回路と,
前記貯湯タンクの下層と上層とに連結された水回路と,
前記ヒートポンプ式熱サイクルに使用される冷媒が循環する冷媒管と,前記水回路と,前記床暖房機で使用される液体が循環する床暖房回路とを備え,前記冷媒管と,前記水回路および前記床暖房回路との間で熱交換する水熱交換器と,
を備えた給湯暖房システムにおいて,
前記床暖房機と給湯機とが前記水熱交換器によって同時に運転され,かつ,前記貯湯タンクに貯えられた湯の量が第1の所定量より少ない量まで減少した場合に,前記冷媒管と前記水回路との間での熱交換を継続すると共に,前記床暖房回路内の液体の前記水熱交換機への給液を停止するか,或いは減少させる制御を行うことを特徴とする給湯暖房システム。
【請求項2】
ヒートポンプ式熱サイクルと,
給湯機と,
床暖房機と,
前記給湯機で使用される湯を貯湯する貯湯タンクと,
前記給湯機と前記貯湯タンクとに連結された出湯回路と,
前記貯湯タンクの下層と上層とに連結された水回路と,
前記ヒートポンプ式熱サイクルに使用される冷媒が循環する冷媒管と,前記水回路と,前記床暖房機で使用される液体が循環する床暖房回路とを備え,前記冷媒管と,前記水回路および前記床暖房回路との間で熱交換する水熱交換器と,
前記出湯回路と前記床暖房回路とのうち少なくとも前記出湯回路内の水または湯を加熱するガス加熱機と,
を備えた給湯暖房システムにおいて,
前記床暖房機と給湯機とが前記水熱交換器によって同時に運転され,かつ,前記貯湯タンクに貯えられた湯の量が第2の所定量と該第2の所定量より少ない第3の所定量との間の量まで減少した場合に,
前記冷媒管と前記水回路との間での熱交換を継続すると共に,前記床暖房回路内の液体を前記水熱交換機に給液する制御を停止するか,液量を減少させ,
前記貯湯タンクに貯えられた湯の量が前記第3の所定量未満になった場合,前記出湯回路に流入する湯または水を前記ガス加熱機により加熱する制御を行うことを特徴とする給湯暖房システム。
【請求項3】
前記貯湯タンクに貯えられた湯の量が前記第3の所定量未満になった場合,前記ガス加熱機による加熱制御に加えて,前記冷媒管と前記水回路との間での熱交換により前記水回路に流入する水を加熱する制御を行う請求項2記載の給湯暖房システム。
【請求項4】
前記貯湯タンクに貯えられた湯の量が前記第3の所定値未満になった場合,前記床暖房回路内の液体を前記水熱交換機に給液する制御を再開すると共に,前記冷媒管と前記水回路との間での熱交換により前記水回路に流入する水を加熱する制御を停止させ,前記出湯回路に流入する湯または水を前記ガス加熱機により加熱する制御を開始する請求項2記載の給湯暖房システム。
【請求項5】
前記第2の所定量が,前記貯湯タンク内の水の温度を検知する湯温サーミスタの検知温度が所定値未満となることにより検知され,前記第3の所定量が,前記ガス加熱機に設けられ,該ガス加熱機に流入する水または湯の温度を検知する湯温サーミスタの検知温度が所定値未満になることにより検知されてなる請求項2〜4のいずれかに記載の給湯暖房システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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