説明

給湯発電システムおよびその運転制御方法

【課題】 ヒートポンプを利用した給湯機と発電ユニットとを含むシステムにおいて、その両方の廃熱を互いに利用し、両者の効率上昇を図ることができるシステムを提供する。
【解決手段】 この給湯発電システムは、室外に、外気の温度を測定する温度計34を備え、同じ室内に、外気を取り込むための給気口に近隣して設置されるヒートポンプユニット11と、発電ユニット20と、発電ユニット20から排出される加熱された空気をヒートポンプユニット11へ向けて放出させ、また、その空気の放出を停止させるために開閉される制御弁33と、温度計34により測定された外気の温度に応じて制御弁33を開閉させる図示しない制御回路とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同一室内に設置されたヒートポンプユニットおよび発電ユニットの廃熱を互いに利用して効率上昇を図る給湯発電システムおよびその給湯発電システムの運転制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
病院、保養所、ホテル、旅館、レジャー施設、家庭では、給湯システムとして、ボイラや給湯機が使用されているが、近年の大気汚染や地球温暖化の問題から、ヒートポンプを利用した給湯機が多く採用されるようになってきている。
【0003】
ヒートポンプは、外気と熱媒体との間で熱交換する熱交換器と、熱交換されて温度が上昇した熱媒体を圧縮する圧縮機と、圧縮された熱媒体と加熱対象物との間で熱交換する熱交換器と、温度は下がるものの圧縮された状態の熱媒体を膨張させる膨張弁とを備える構成とされている。
【0004】
このヒートポンプは、熱媒体を移動させるのに必要とされるエネルギーのみを与えればよいため、消費電力の約3倍の熱を有効利用できる点で効率的である。また、ボイラ等のように液体燃料を使用するものではないため、その市場価格に大きく影響を受けないという利点を有する。
【0005】
ところで、上記の病院等では、急な停電においても給電できるように発電ユニットを設置しているところが多い。また、電力事情の悪い山間部では、個々の家庭が発電ユニットを設置している。
【0006】
上記のヒートポンプを利用した給湯機は、圧縮機を備えるため、その圧縮機を駆動するための電力を供給しなければならない。上記の山間部では、給湯機と発電ユニットの両方を設置しており、発電ユニットで得られた電力は、給湯機へも供給されている。
【0007】
発電ユニットとしては、軽油等の燃料を燃焼させて発電するタイプの発電ユニットが一般的であり、それは、燃料タンクと、燃料を燃焼させて動力を取り出すエンジンと、取り出した動力から電磁誘導の法則を利用して電気エネルギーを得る発電機と、得られた電気を蓄電する蓄電池と、燃焼排ガスを排出するための排気管と、高温となるエンジンを冷却するためのラジエータ(放熱器)とを含んで構成されている。放熱器は、空気を吸引するファンや多数のフィンを備えており、空気を取り込み、それをフィンに接触させ、そのフィンに連続する高温のエンジンを冷却する。空気は、フィンに接触することにより加熱され、外部へ放出される。
【0008】
近年のエネルギーの有効利用という観点から、燃焼排ガスは、100℃を超える高温のガスであるため、水と熱交換して湯水を得るなど、有効に熱回収されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、放熱器から放出される空気は、50〜60℃程度の温度であり、有効に熱回収されることなく、大気中へ放出されている。
【0009】
そこで例えば、電動車両の充電システムとして、外部電源による発電時に、発熱したバッテリを車室内あるいは外気から取り込まれた冷却風により冷却し、バッテリからの廃熱により暖められた温風をヒートポンプ機構中の蒸発工程のための熱交換器へ供給するシステムが提案されている(特許文献2参照)。このシステムは、外部充電時に発生する廃熱をヒートポンプ機構での給湯に利用することで、廃熱の利用効率を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−37901号公報
【特許文献2】特開2009−143509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記の従来システムでは、廃熱を有効利用でき、その結果、消費電力を抑制することができるが、バッテリからの廃熱をヒートポンプ機構において有効に利用するだけである。
【0012】
ヒートポンプを利用した給湯機と発電ユニットとを含むシステムにおいて、その両方の廃熱を互いに利用することができれば、両者の効率向上を図ることができ、有用である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の発明者は、鋭意検討の結果、給湯機のヒートポンプユニットと放熱器を備える発電ユニットとを同一室内に設置し、外気温を測定し、その温度が設定温度以上であるかを判断し、設定温度未満の場合は、弁を開いてヒートポンプユニットへ発電ユニットから放出される空気を送り、設定温度以上の場合は、弁を閉じてその空気をヒートポンプユニットへ送らないように構成することにより、給湯機と発電ユニットの両方の効率向上を図ることができることを見出した。
【0014】
すなわち、冬期のように外気温が低い場合には、発電ユニットからの廃熱を供給し、外気からの空気を暖め、それをヒートポンプユニットへ供給する。これにより、ヒートポンプユニット内を流れる熱媒体へ熱を与えて圧縮機への吸引温度を上昇させることができるため、圧縮機の消費電力を抑制することができる。この消費電力の抑制により、温暖化ガスの排出量を削減することができる。また、ヒートポンプユニットにおいて、外気と熱媒体との間で熱交換を行う熱交換器に霜がつくのを防止することができ、熱交換器として適切に機能させることができる。
【0015】
一方、夏期のように外気温が高い場合には、発電ユニットからの廃熱供給を停止し、外気のみをヒートポンプユニットへ供給する。一般に、ヒートポンプユニットへ供給する空気の温度が高いほど圧縮機の消費電力を抑制することができるが、温度が高くなれば、同一室内に設置される発電ユニットのエンジンを冷却しにくくなり、エンジンで潤滑油として使用されるエンジンオイルも冷却されにくくなり、劣化を早める。また、空気の密度が低下することから、エンジンへ燃料の燃焼のために供給する空気量を増加する必要があり、その結果、燃料消費量が増加する。
【0016】
したがって、上記のように、外気のみをヒートポンプユニットへ供給し、発電ユニットへは、ヒートポンプユニットにより熱交換され温度が低下した空気を供給する。これにより、エンジンを容易に冷却することができ、エンジンオイルの劣化も遅延させることができ、燃料消費量も削減することができる。この燃料消費量の削減により、温暖化ガスの排出量を削減することができる。
【0017】
このように外気温に応じて発電ユニットから放出される空気の供給先を制御することにより、給湯機が取り込む空気の温度および発電ユニットが取り込む空気の温度を調整し、両者の効率向上を図ることができる。
【0018】
したがって、本発明では、ヒートポンプユニットを備える給湯機と、空気を取り込み、燃料を燃焼させて動力を発生するエンジンと該エンジンが発生させた動力により発電を行う発電機と該エンジンを冷却するために空気を取り込み、加熱された空気を排出する冷却手段とを備える発電ユニットとを含む給湯発電システムであって、室外に、外気の温度を測定する温度測定手段を備え、室内に、外気を取り込むための給気口に近隣して設置されるヒートポンプユニットと、給気口から離間して設置される発電ユニットと、発電ユニットから排出される加熱された空気をヒートポンプユニットへ向けて放出させ、該空気の放出を停止させるために開閉される開閉手段と、温度測定手段により測定された外気の温度に応じて開閉手段を開閉させる制御手段とを備える、給湯発電システムを提供することができる。
【0019】
ヒートポンプユニットは、外気の熱を吸収し熱媒体に与える吸熱手段と、その熱媒体を圧縮する圧縮手段と、圧縮された熱媒体によりタンク内に貯留された水や湯を加熱する加熱手段と、圧縮された熱媒体を膨張させ、吸熱手段へ供給する膨張手段とを備える。
【0020】
制御手段は、温度測定手段により測定された外気の温度が設定温度以上であるか否かを判断し、設定温度以上であれば、開閉手段を閉止させ、設定温度未満であれば、開放させる。設定温度は適宜設定することができるが、ヒートポンプユニットが備える吸熱手段が取り込む空気の温度が10℃未満の温度になると、ヒートポンプユニットの能力が低下し、また、吸熱手段に霜がつき、熱交換を適切に行うことができなくなることから、10℃に設定することができる。
【0021】
給湯発電システムの運転制御方法は、室外に設置された温度測定手段により外気の温度を測定する段階と、温度測定手段により測定された外気の温度が設定温度以上であるか否かを判定する段階と、設定温度以上と判定された場合、開閉手段を閉止させる段階と、設定温度未満と判定された場合、開閉手段を開放させる段階とを含む。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】給湯機の概略構成図。
【図2】発電ユニットの概略構成図。
【図3】給湯発電システムの概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の給湯発電システムは、ヒートポンプユニットを備える給湯機と、発電ユニットとを含み、ヒートポンプユニットと発電ユニットとが同一室内に設置され、互いの廃熱を有効に利用してシステム全体の効率向上を図ることができるシステムである。
【0024】
まず、図1を参照して、本発明の給湯発電システムに用いることができる給湯機について説明する。給湯機は、水を受け入れ、湯を供給する貯湯ユニット10と、ヒートポンプユニット11とから構成される。
【0025】
貯湯ユニット10は、所定量の湯を貯留することができる容器を有し、給水用のノズル、給湯用のノズル、ヒートポンプユニット11へ水または湯を供給するためのノズル、加熱されて戻される湯を受け入れるノズルといった4つのノズルを有している。また、貯湯ユニット10は、屋外に設置され、貯留する湯が放熱により冷めないように、外表面に保温材等が巻かれ、保温される。
【0026】
また、貯湯ユニット10は、内部の湯の温度を測定できるように、温度計を備えることができ、また、湯量を測定できるように、液面計(レベルゲージ)を備えることができる。この貯湯ユニット10は、ヒートポンプユニット11と同一の室内または別の室内に設置することができる。
【0027】
ヒートポンプユニット11は、外気の熱を吸収し熱媒体に与える吸熱手段12と、発電ユニットから電力が供給されることにより駆動し、熱媒体を圧縮する圧縮手段13と、圧縮された熱媒体により貯湯ユニット10から供給される水または湯を加熱し、貯湯ユニット10へ戻す加熱手段14と、圧縮された熱媒体を膨張させ、吸熱手段12へ供給する膨張手段15とを含む。このヒートポンプユニット11は、外気の熱を吸収しやすいように、部屋の給気口に近隣した位置に設置される。
【0028】
吸熱手段12は、部屋の給気口から取り入れられる外気や発電ユニットからの空気を取り入れ、内部の空気を排出する換気ファンを備え、取り入れた空気の熱を熱媒体へ伝えて、熱媒体を温める。そのため、吸熱手段12は、空気と熱媒体との間で熱交換する熱交換器を含み、管内に熱媒体を流し、外気をその管に接触させて外気の熱を管内の熱媒体へ与える。熱交換器において熱伝導効率を向上させるために、伝熱面積を大きくすることができ、例えば、熱媒体が流れる管をコイル状としたり、その管の表面にフィンを設けることができる。熱媒体としては、圧縮比を大きくとることができ、その圧縮により大きく温度上昇するガスが好ましく、空気や二酸化炭素等を挙げることができる。
【0029】
圧縮手段13は、吸熱手段12で温められた熱媒体を圧縮する。この圧縮手段13で行われる圧縮は、断熱圧縮に近いポリトロープ圧縮であるため、その吐出温度は圧縮比に依存して上昇する。例えば、熱媒体として空気を使用し、約0.1MPa、約20℃の空気を約0.7MPaまで圧縮すると、外部との熱の授受がない場合、その圧縮のために加えられたエネルギーは全て温度上昇となり、理論上約260℃となるが、現実には熱損失があり、約170〜200℃となる。熱損失があるとはいえ、100℃を超える温度であるため、十分に水を加熱することができる。この圧縮手段13としては、容積圧縮機が好ましく、例えば、往復圧縮機、ダイアフラム式圧縮機等を挙げることができる。
【0030】
このように圧縮され高温とされた熱媒体は、加熱手段14へ送られ、貯湯ユニット10へ供給された水へその熱を与える。加熱手段14は、熱交換器とすることができ、伝熱面積を大きくするために、コイル状としたり、フィンを設けることができる。
【0031】
加熱手段14において水へ熱を与えて温度が降下された熱媒体は、圧縮された状態で維持され、その温度も、貯湯ユニット10内に貯留される湯の温度以下には下がらない。これでは、吸熱手段12において外気の熱を吸収することができない。そこで、膨張手段15により膨張させ、温度を降下させる。膨張手段15としては、膨張弁を用いることができる。この膨張手段15では、圧縮手段13で約0.1MPaから約0.7MPaへ昇圧する場合、約0.7MPaから約0.1MPaへ降圧することができる。
【0032】
この給湯機へは、貯湯ユニット10に接続される給水管16を介して給水し、この給湯機からは、貯湯ユニット10に接続される給湯管17を介して浴室等へ給湯することができる。給水管16および給湯管17は、内部を流れる水が凍結しないように、また、給湯温度が降下しないように、保温材が巻かれており、その熱が外部へと放熱しないようにされている。
【0033】
次に、図2を参照して、本発明の給湯発電システムに用いることができる発電ユニットについて説明する。この発電ユニット20は、図1に示したヒートポンプユニット11と同一の室内に設置され、好ましくはヒートポンプユニット11に近隣して設置される。これは、外気の温度よりヒートポンプユニット11の吸熱手段12から排出される空気の温度の方が低く、ヒートポンプユニット11に近い方が高温になるエンジンを効率的に冷却することができ、燃焼用空気として利用する場合、後に詳述するように、その密度が高く、燃料消費量を抑制することができるからである。
【0034】
発電ユニット20は、室内の空気を取り込み、燃料タンクから燃料を供給し燃焼させて動力を発生するエンジン21と、そのエンジン21が発生させた動力により発電を行う発電機22と、エンジン21を冷却するために室内の空気を取り込み、加熱された空気を排出する冷却手段23とを備えている。
【0035】
この発電ユニット20は、ボックス内にエンジン21、発電機22、冷却手段23が収容され、ボックスには、空気を取り込むための空気取込口と、その空気を排出するための空気排出口が設けられる。
【0036】
エンジン21は、レシプロエンジンやガスタービンエンジン等とすることができる。レシプロエンジンは、自動車用エンジンとして一般的なもので、燃料の燃焼による熱エネルギーを往復運動へ変換し、それを回転運動として取り出す原動機である。このため、ピストン、シリンダ、キャブレター、燃料噴射装置、燃料ポンプ等を備えている。ガスタービンエンジンは、燃料を燃焼させて生成した高温のガスでタービンを回転させ、運動エネルギーを得る原動機である。タービンは、遠心式または軸流式の回転式圧縮機で、燃焼用空気を圧縮して燃焼器へ送り込み、燃料を燃焼器に吹き込んで燃焼させることにより高温高圧の燃焼ガスが生成し、その燃焼ガスが羽根車を回転させるというものである。
【0037】
エンジン21は、回転運動としての動力を発電機22へ与える。また、エンジン21は、燃料を燃焼して生成された二酸化炭素や水蒸気を含む高温の燃焼排ガスを、他の熱交換器等へ熱回収のために送ることができる。
【0038】
発電機22は、例えば、ロータコイルを回転子とし、ステーターの電機子より三相交流電力を取り出すオルタネータを挙げることができる。このようにして発生した電力は、バッテリに蓄えられる。発電機22が交流電力を発生させた場合、必要に応じて整流器により直流電力へ変換することができる。
【0039】
冷却手段23は、燃料を燃焼させることにより高温となったエンジン21を冷却する。冷却手段23としては、ラジエータを挙げることができ、そのラジエータとしては、空冷式のものや、水冷式のものを用いることができる。水冷式のラジエータは、多数のフィンを外表面に備える管の内部に水を流し、ファンにより空気を吸引し、吸引した空気を多数のフィンを備える管に接触させ、エンジン21の熱を、多数のフィンを通して空気へ与えてエンジン21を冷却する。一方、空冷式のラジエータは、エンジン21の外表面に多数のフィンが設けられた構成とされ、空気がそのフィンに接触することでエンジン21から多数のフィンを通して空気へ熱を与えてエンジン21を冷却する。これらフィンに接触した空気は、熱が与えられて温度が上昇し、約50〜60℃の空気となって発電ユニット20から排出される。
【0040】
発電ユニット20は、そのほか、燃料が軽油等の液体である場合、燃料タンクを含み、燃料が都市ガス等の気体であり、上記のガスタービンエンジンを用いる場合、ガスコンプレッサーを含むことができ、また、上述したバッテリ、燃焼排ガスを排出するための排気管、サイレンサ等を含むことができる。
【0041】
図3を参照して、本発明の給湯発電システムについて詳細に説明する。上述したように、このシステムは、給湯機と発電ユニット20とを含み、給湯機が備えるヒートポンプユニット11と発電ユニット20とが同一室内に設置される。ヒートポンプユニット11および発電ユニット20が設置される部屋30は、給気口31が設けられ、その給気口31から外気を取り込み、室内の空気を排出することができるようにされている。
【0042】
ヒートポンプユニット11は、給気口31に近隣して設置され、給気口31からヒートポンプユニット11を介し、その給気口31から離れた位置に発電ユニット20が設置される。発電ユニット20から排出されるエンジン21を冷却するために使用された空気は、途中分岐された排気ライン32を通して室外および給気口31とヒートポンプユニット11との間へ向けて送出され、ヒートポンプユニット11が外気とその空気とを混合した約15℃〜約25℃の中間温度帯の空気を取り込むことができるようにされている。この排気ライン32には、ヒートポンプユニット11へ向かうラインの途中に、このライン内の流路を開閉する開閉手段としての制御弁33が設けられている。
【0043】
制御弁33は、制御手段としての図示しない制御回路からの指示によりその流路を閉止し、または開放する。制御回路は、その処理を実現するためのプログラムを格納するメモリと、そのプログラムを読み出して実行するプロセッサとを備えている。この制御回路は、室外に設置された外気の温度を測定するための温度測定手段としての温度計34と電気的に接続され、温度計34から外気の温度を、適時、データとして取得することができる。
【0044】
制御回路は、予め設定された温度の設定値をメモリに設定温度のデータとして保持し、例えば一定時間間隔で、温度計34から取得した外気の温度が、その設定温度以上であるか否かを判定し、その設定温度以上と判定した場合は、制御弁33を閉じる。
【0045】
一般に、ヒートポンプユニット11の吸熱手段12が取り込む空気の温度は高い方が、圧縮手段13の消費電力を抑制できる点で好ましい。そのためには、この制御弁33を開き、発電ユニット20から排出される加熱された空気を放出し、吸熱手段12が取り入れる空気を暖める必要がある。しかしながら、発電ユニット20において使用されるエンジン21を冷却するための空気はできるだけ温度が低い方が好ましく、また、エンジン21の燃焼用空気も温度が低い方がその密度が高い点で好ましい。空気の密度が高いことは、空気中の酸素濃度が高く、燃焼効率が向上するため、燃料消費量を抑制することができ、ひいては温暖化ガスの発生を抑制することができる。
【0046】
したがって、本発明では、上記のことを考慮し、外気の温度が設定温度以上である場合には、あえて発電ユニット20から排出される空気を供給しないように制御する。
【0047】
一方、外気の温度が設定温度未満と判定した場合は、制御弁33を開く。発電ユニット20の効率という点では、上述したように、空気の温度が低い方が好ましい。しかしながら、あまり低すぎると、ヒートポンプユニット11の吸熱手段12がフィンを備える熱交換器であるような場合、そのフィンに霜がつき、熱交換器として機能しなくなる。このことから、設定温度未満の場合、発電ユニット20から排出される加熱された空気を供給し、これらに霜がつかないようにする。
【0048】
こういった吸熱手段12のフィンに霜がつき始めるのは、空気の温度が約10℃未満になったときである。したがって、制御回路では、設定温度を10℃に設定し、外気の温度が10℃以上であるか否かを判定し、10℃以上か否かにより制御弁33を開閉させることができる。
【0049】
ヒートポンプユニット11は、上述したように、給気口31に近隣して設置され、給気口31から入る外気と、制御弁33が開にされた場合に排気ライン32を通して供給される空気とが混合され、それが吸熱手段12へ取り込まれる。したがって、冬場のように外気の温度が10℃未満であっても、排気ライン32を通して供給される50〜60℃の空気と混合されることにより10℃以上の温度となり、また、この空気が断続的に供給されることにより霜がつかないようにすることができる。
【0050】
吸熱手段12では、空気の熱が吸収されるため、吸熱手段12から排出される空気の温度は下がる。その空気は、発電ユニット20へ送られ、燃焼用空気やラジエータの冷却用空気として取り込まれる。燃焼用空気は、上述したように温度が低い方が、密度が高くなる点で好ましい。ラジエータに取り込まれる空気は、霜がつく可能性を考慮すれば10℃以上であることが好ましいが、ラジエータは高温のエンジン21に連続しており、そのエンジン21からの熱が伝えられるので、10℃未満の空気が接触し、霜がついたにしてもすぐに解け、蒸発してしまうので、あまり問題とはならない。
【0051】
ここで、図3を参照しながら、このシステムの運転制御方法について説明する。発電ユニット20の燃料タンクに燃料が満たされ、給気口31を開き、燃焼用空気が十分に供給されることを確認し、燃焼排ガスラインおよび排気ライン32から排出可能であるかを確認する。
【0052】
発電ユニット20の起動準備が完了したところでエンジン21へ燃料および燃焼用空気の供給を開始し、エンジン21を起動する。エンジン21が起動すると、発電機22が起動し、エンジン21からの動力が伝えられて発電を開始する。発電機22により発電された電力は蓄電池へ蓄電され、また、照明等に使用される。このようにして電力が供給できるようになると、ヒートポンプユニット11の圧縮手段13へ電力を供給し、ヒートポンプユニット11を起動することが可能となる。なお、ヒートポンプユニット11の起動前に、貯湯ユニット10の貯湯タンク内には水を張っておく必要がある。
【0053】
ヒートポンプユニット11の起動前、制御回路は、温度計34から外気の温度をデータとして受け取り、その温度が設定温度以上であるか否かを判定する。設定温度以上であると判定した場合、制御弁33を閉じ、発電ユニット20から排出される加熱された空気は、排気ライン32を通して室外へ送られ、大気中へ放出される。
【0054】
一方、設定温度未満と判定した場合、制御回路は、制御弁33を開き、発電ユニット20から排出される加熱された空気をヒートポンプユニット11へ向けて送る。ヒートポンプユニット11の吸熱手段12のまわりの空気は、給気口31を通して入ってきた外気と、この排気ライン32を通して供給された空気とが混合し、所定の温度になった空気となる。
【0055】
その後、ヒートポンプユニット11の圧縮手段13を起動することによりヒートポンプユニット11を起動する。吸熱手段12は、上記の混合された空気を取り込み、その空気の熱を吸収し熱媒体を温め、熱媒体が圧縮手段13により圧縮され、圧縮されて高温となった熱媒体が貯湯タンク内の水へ熱を与え、貯湯タンク内の水を温める。
【0056】
吸熱手段12で熱を吸収されて温度が低下した空気は、周囲の空気と混合された後に発電ユニット20に取り込まれ、燃焼用空気やラジエータ冷却用の空気として使用される。
【0057】
このようにしてヒートポンプユニット11と発電ユニット20とが同一室内にあるシステムにおいて、互いから出る廃熱を互いが有効利用することで、発電ユニット20においては、燃料消費量を抑制することができ、温暖化ガスの排出量を抑制することができ、ヒートポンプユニット11においては、霜がつかないので吸熱手段12を効率良く稼働させることができ、システム全体としての効率向上を図ることができる。
【0058】
これまで本発明の給湯発電システムおよびその運転制御方法について図面に示した実施形態を参照しながら詳細に説明してきたが、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態や、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0059】
10…貯湯ユニット、11…ヒートポンプユニット、12…吸熱手段、13…圧縮手段、14…加熱手段、15…膨張手段、16…給水管、17…給湯管、20…発電ユニット、21…エンジン、22…発電機、23…冷却手段、30…部屋、31…給気口、32…排気ライン、33…制御弁、34…温度計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートポンプユニットを備える給湯機と、空気を取り込み、燃料を燃焼させて動力を発生するエンジンと該エンジンが発生させた動力により発電を行う発電機と該エンジンを冷却するために空気を取り込み、加熱された空気を排出する冷却手段とを備える発電ユニットとを含む給湯発電システムであって、
室外に、外気の温度を測定する温度測定手段を備え、
室内に、外気を取り込むための給気口に近隣して設置される前記ヒートポンプユニットと、前記発電ユニットと、該発電ユニットから排出される加熱された空気を前記ヒートポンプユニットへ向けて放出させ、該空気の放出を停止させるために開閉される開閉手段と、前記温度測定手段により測定された外気の温度に応じて前記開閉手段を開閉させる制御手段とを備える、給湯発電システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記温度測定手段により測定された外気の温度が設定温度以上であるか否かを判定し、前記設定温度以上と判定した場合、前記開閉手段を閉止させ、前記設定温度未満と判定した場合、前記開閉手段を開放させる、請求項1に記載の給湯発電システム。
【請求項3】
前記設定温度は、10℃である、請求項2に記載の給湯発電システム。
【請求項4】
ヒートポンプユニットを備える給湯機と、空気を取り込み、燃料を燃焼させて動力を発生するエンジンと該エンジンが発生させた動力により発電を行う発電機と該エンジンを冷却するために空気を取り込み、加熱された空気を排出する冷却手段とを備える発電ユニットとを含む給湯発電システムの運転制御方法であって、
室外に設置された温度測定手段により外気の温度を測定する段階と、
前記温度測定手段により測定された外気の温度が設定温度以上であるか否かを判定する段階と、
前記設定温度未満と判定された場合、前記発電ユニットから排出される加熱された空気を前記ヒートポンプユニットへ向けて放出させ、該空気の放出を停止させるために開閉される開閉手段を開放させる段階とを含む、運転制御方法。
【請求項5】
前記設定温度以上と判定された場合、前記開閉手段を閉止させる段階をさらに含む、請求項4に記載の運転制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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