説明

給湯装置

【課題】沸上時に逃し弁33から外部に排出する熱量の損失を十分に少なくでき、沸上時間の短縮および消費電力の低減ができる給湯装置11を提供する。
【解決手段】貯湯タンク17の上部および中間部にそれぞれ接続した取出配管25,26を混合弁28に接続し、混合弁28に湯を給湯する給湯配管29を接続する。給湯配管29に、沸上時において貯湯タンク17内が所定圧力以上となった場合に開放して圧力を逃す逃し弁33を設ける。沸上時には、混合弁28で中間部の取出配管26から湯水を取り出すように調整する。逃し弁33から外部に排出する膨張水は、貯湯タンク17内の上部側に沸き上げて貯湯した高温の湯ではなく、貯湯タンク17内の中間部の水や、低い温度の湯とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯タンク内の水を沸き上げる沸上時に発生する湯水の膨張分を排出する逃し弁を備えた給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、貯湯タンクに貯湯する湯を沸き上げるのにヒートポンプユニットを用いた給湯装置では、沸上運転時において、貯湯タンクの下部から水を取り出してヒートポンプユニットで所定の沸上温度に沸き上げるとともに沸き上げた湯を貯湯タンクの上部に取り入れるように循環させることにより、温度の異なる湯と水との比重差で、貯湯タンクの上部側の湯と下部側の水との間に形成される湯と水の混合層を介して、湯が水と混合せずに貯湯タンク内の上部側から順に貯湯される。
【0003】
また、貯湯タンク内に貯湯された湯を給湯する場合には、貯湯タンク内の湯温や残湯量等に応じて、貯湯タンクの上部および中間部に接続された取出配管からの湯水の取出比率を調整弁で調整して取り出し、給湯している。
【0004】
また、貯湯タンク内の水の沸上時には、貯湯タンク内を含む密閉された管内で湯水の膨張が発生し、また沸上に伴って発生した気体が貯湯タンク内の上部に溜まるため、この湯水の膨張分および貯湯タンク内の上部に溜まる気体を外部に排出するのに逃し弁を用いている。この逃し弁は、貯湯タンクに接続された配管を利用し、ヒートポンプユニットで沸き上げた湯を貯湯タンクに戻す配管に設ける場合、または貯湯タンクの上部から湯を取り出す上部の取出配管に設けられる場合がある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2007−333337号公報(第9頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、逃し弁を、ヒートポンプユニットで沸き上げた湯を貯湯タンクに戻す配管に設けた場合、ヒートポンプユニットで沸き上げた直後の最も高温の湯の一部を膨張水として逃し弁から外部に排出してしまうため、熱量の損失が大きく、その分、沸上時間が長くかかり消費電力が増加する問題がある。
【0006】
また、逃し弁を、貯湯タンクの上部から湯を取り出す上部の取出配管に設けた場合、逃し弁を、ヒートポンプユニットで沸き上げた湯を貯湯タンクに戻す配管に設けた場合に比べれば熱量の損失が少なくなるものの、貯湯タンク内で一番温度の高い湯の一部を膨張水として逃し弁から外部に排出してしまうため、依然として熱量の損失が大きく、その分、沸上時間が長くかかり消費電力が増加する問題がある。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、沸上時に逃し弁から外部に排出する熱量の損失を十分に少なくでき、沸上時間の短縮および消費電力の低減ができる給湯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の給湯装置は、貯湯タンクと、この貯湯タンク内に給水する給水経路と、ヒートポンプユニットを有し、前記貯湯タンクの下部から水を取り出して前記ヒートポンプユニットで沸き上げ、沸き上げた湯を前記貯湯タンクの上部に戻す沸上回路と、前記貯湯タンクの上下方向の異なる高さ位置にそれぞれ接続される複数の取出配管、これら複数の取出配管からの湯の取り出しを調整する調整手段、およびこの調整手段から取り出される湯を給湯する給湯配管を有する給湯経路と、前記給湯配管に設けられ、前記貯湯タンク内が所定圧力以上となった場合に開放して圧力を逃す逃し弁とを具備しているものである。
【0009】
請求項2記載の給湯装置は、請求項1記載の給湯装置において、調整手段は、沸上手段による沸上時に、複数の取出配管のうち、上側の取出配管側を閉じるとともに、この上側の取出配管側より下側の取出配管側を開くものである。
【0010】
請求項3記載の給湯装置は、請求項2記載の給湯装置において、調整手段は、沸上完了後の給湯時に、所定の給湯量および所定の時間のいずれかに達するまで、最上部の取出配管側の開度をこの最上部の取出配管より下側の取出配管側の開度よりも少なくして最上部の取出配管側および下側の取出配管側の両方を開くものである。
【0011】
請求項4記載の給湯装置は、請求項1記載の給湯装置において、調整手段は、沸上手段による沸上時に、最上部の取出配管側の開度をこの最上部の取出配管より下側の取出配管側の開度よりも少なくして最上部の取出配管側および下側の取出配管側の両方を開くものである。
【0012】
請求項5記載の給湯装置は、請求項4記載の給湯装置において、調整手段は、最上部の取出配管側を閉じるとともに下側の取出配管側のみを開いた状態と、最上部の取出配管側の開度をこの最上部の取出配管より下側の取出配管側の開度よりも少なくして最上部の取出配管側および下側の取出配管側の両方を開いた状態とを、沸上中に切り換えるものである。
【0013】
請求項6記載の給湯装置は、請求項1ないし5いずれか記載の給湯装置において、複数の取出配管は、貯湯タンクの上部、中間部および下部の位置にそれぞれ接続され、
調整手段は、沸上手段による沸上時に、下部の取出配管を開くものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の給湯装置によれば、逃し弁を、貯湯タンクの上下方向の異なる高さ位置にそれぞれ接続される複数の取出配管から調整手段によって取り出される湯を給湯する給湯配管に設けたため、この調整手段によって下側の取出配管から湯水を取り出すように調整することにより、沸上時に逃し弁から外部に排出する膨張水として、貯湯タンク内の上部側に沸き上げられて貯湯される高温の湯より低い温度の湯水を用いることが可能となり、逃し弁から外部に排出する熱量の損失を十分に少なくでき、沸上時間の短縮および消費電力の低減ができる。
【0015】
請求項2記載の給湯装置によれば、請求項1記載の給湯装置の効果に加えて、沸上時には、調整手段により、複数の取出配管のうち、上側の取出配管側を閉じるとともに、この上側の取出配管側より下側の取出配管側を開くため、貯湯タンク内の上部側に沸き上げられて貯湯された高温の湯が逃し弁から排出されず、逃し弁から外部に排出する熱量の損失を十分に少なくできる。
【0016】
請求項3記載の給湯装置によれば、請求項2記載の給湯装置の効果に加えて、沸上完了後の給湯時に、所定の給湯量および所定の時間のいずれかに達するまで、調整手段により、最上部の取出配管側の開度をこの最上部の取出配管より下側の取出配管側の開度よりも少なくして最上部の取出配管側および下側の取出配管側の両方を開くため、貯湯タンク内の上部側に沸き上げられて貯湯された高温の湯が逃し弁から排出されるのを抑制しつつ、沸上時に貯湯タンク内の上部に溜まった気体を膨張水とともに逃し弁から外部に排出することができる。
【0017】
請求項4記載の給湯装置によれば、請求項1記載の給湯装置の効果に加えて、沸上時に、調整手段により、最上部の取出配管側の開度をこの最上部の取出配管より下側の取出配管側の開度よりも少なくして最上部の取出配管側および下側の取出配管側の両方を開くため、貯湯タンク内の上部側に沸き上げられて貯湯された高温の湯が逃し弁から排出されるのを抑制し、逃し弁から外部に排出する熱量の損失を十分に少なくでき、かつ、沸上時に貯湯タンク内の上部に溜まる気体を膨張水とともに逃し弁から外部に排出することができる。
【0018】
請求項5記載の給湯装置によれば、請求項4記載の給湯装置の効果に加えて、調整手段により、最上部の取出配管側を閉じるとともに下側の取出配管側のみを開いた状態と、最上部の取出配管側の開度をこの最上部の取出配管より下側の取出配管側の開度よりも少なくして最上部の取出配管側および下側の取出配管側の両方を開いた状態とを、沸上中に切り換えるため、貯湯タンク内の上部側に沸き上げられて貯湯された高温の湯が逃し弁から排出されるのを抑制しつつ、沸上時に貯湯タンク内の上部に溜まった気体を膨張水とともに逃し弁から外部に排出することができる。
【0019】
請求項6記載の給湯装置によれば、請求項1ないし5いずれか記載の給湯装置の効果に加えて、貯湯タンクの上部、中間部および下部の位置にそれぞれ取出配管が接続されている場合、沸上時に、調整手段により、最下部の取出配管を開くため、貯湯タンク内の最も温度の低い湯水を膨張水として用いることができ、逃し弁から外部に排出する熱量の損失を十分に少なくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0021】
図1および図2に第1の実施の形態を示す。
【0022】
給湯装置11は、湯を貯湯するためのタンクユニット12と、湯を沸き上げるためのヒートポンプユニット13とを備えている。
【0023】
タンクユニット12は、湯を貯湯する貯湯タンク17を有し、この貯湯タンク17には、貯湯タンク17の上部位置と、貯湯タンク17の上部から容量に対応した1/5位置、2/5位置、3/5位置、4/5位置と、貯湯タンク17の下部位置とに、貯湯タンク17内の湯水温度を検知する複数の温度検知手段としてのサーミスタ18a〜18fがそれぞれ配設されている。
【0024】
貯湯タンク17の下部には、水道管等の給水源に配管される給水経路20が接続されている。この給水経路20には、給水圧力を減圧する減圧弁21、逆流を阻止する逆止弁22が配設されている。
【0025】
貯湯タンク17の上部に上部の取出配管25が接続され、貯湯タンク17の上下方向中間位置であって1/5位置のサーミスタ18bと2/5位置のサーミスタ18cとの間に中間部の取出配管26が接続されている。これら上部の取出配管25と中間部の取出配管26とは調整手段27としての電動弁である混合弁28に接続され、この混合弁28により、上部の取出配管25から取り出す湯と中間部の取出配管26から取り出す湯との混合比率を調整する。この混合弁28で調整可能とする混合比率には、いずれか一方が100%、他方が0%の場合も含まれる。
【0026】
混合弁28には取り出された湯を給湯する給湯配管29が接続されている。給湯配管29には湯の温度を検知する取出温度検知手段としての取出温度検知センサ30が配設されている。
【0027】
そして、これら取出配管25,26、混合弁28、給湯配管29によって、貯湯タンク17から取り出した湯を給湯する給湯経路31が構成されている。
【0028】
給湯配管29には、沸上時の膨張水や貯湯タンク17内に溜まる気体を外部に排出する逃し弁33、およびこの逃し弁33で排出する膨張水や気体を外部に排出する排水経路34が接続されている。
【0029】
また、タンクユニット12の貯湯タンク17とヒートポンプユニット13とが沸上回路40によって接続されている。この沸上回路40は、貯湯タンク17とヒートポンプユニット13の入口側とを接続する往き経路41、貯湯タンク17とヒートポンプユニット13の出口側とを接続する戻り経路42を有している。往き経路41は、タンクユニット12内の配管41aとヒートポンプユニット13内の配管41bとを配管41cで接続して構成されている。戻り経路42は、タンクユニット12内の配管42aとヒートポンプユニット13内の配管42bとを配管42cで接続して構成されている。
【0030】
往き経路41の配管41aは貯湯タンク17の下部に接続され、この配管41aには貯湯タンク17内の水を外部に排水する排水バルブ43が配設されている。
【0031】
戻り経路42の配管42aには切換手段としての切換弁45が接続され、この切換弁45には、貯湯タンク17の上部に接続される上部戻り配管46、往き経路41の配管41aを通じて貯湯タンク17の下部に接続される下部戻り配管47が接続されている。そして、切換弁45により、ヒートポンプユニット13側に対して上部戻り配管46、および下部戻り配管47のいずれかを接続するように切り換える。
【0032】
また、ヒートポンプユニット13は、圧縮機、凝縮器として機能する熱交換器50、膨張弁、蒸発器等で構成される冷媒回路を有している。このヒートポンプユニット13の熱交換器50に沸上回路40が接続されている。このヒートポンプユニット13の熱交換器50の入口側の配管41bに、貯湯タンク17の下部の水を往き経路41側から戻り経路42側に循環させる循環ポンプ51が配設されている。また、熱交換器50の入口側の配管41bには往き経路41に取り入れた水の温度を検知する給水温度センサ52が配設され、熱交換器50の出口側の配管42bには熱交換器50を通過した湯の温度を検知する沸上温度センサ53が配設されている。
【0033】
また、給湯装置11は、この給湯装置11の動作を制御する制御部60を有している。この制御部60は、沸上時において、混合弁28を制御し、上部の取出配管25側を閉じるとともに中間部の取出配管26側を開くように混合弁28を制御する第1の逃し制御の機能、または上部の取出配管25側の開度を中間部の取出配管26側の開度よりも少なくして上部の取出配管25側および中間部の取出配管26側の両方を開くように混合弁28を制御する第2の逃し制御の機能を有している。
【0034】
第1の逃し制御の場合には、沸上完了後の給湯時に、所定の給湯量および所定の時間のいずれかに達するまで、上部の取出配管25側の開度を中間部の取出配管26側の開度よりも少なくして上部の取出配管25側および下側の取出配管26側の両方を開く機能を有している。
【0035】
第2の逃し制御の場合には、上部の取出配管25側を閉じるとともに中間部の取出配管26側のみを開いた状態と、上部の取出配管25側の開度を中間部の取出配管26側の開度よりも少なくして上部の取出配管25側および中間部の取出配管26側の両方を開いた状態とを、沸上中に切り換える機能を有している。
【0036】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0037】
貯湯タンク17内の水を沸き上げる沸上時において、ヒートポンプユニット13および循環ポンプ51を運転する。
【0038】
図1の配管黒表示および矢印に示すように、循環ポンプ51の運転により、貯湯タンク17の下部の水が、往き経路41の各配管41a,41c,41b、ヒートポンプユニット13の循環ポンプ51および熱交換器50、戻り経路42の各配管42b,42c,42a、切換弁45、上部戻り配管46または下部戻り配管47を経て貯湯タンク17に流れる。この沸上回路40内を流れる水をヒートポンプユニット13で沸き上げる。
【0039】
ヒートポンプユニット13の運転初期は沸上温度が低く、沸上温度センサ53での検知温度が所定の沸上温度より低いため、切換弁45で下部戻り配管47に切り換えてヒートポンプユニット13を通過した温度の低い湯水を貯湯タンク17の下部に戻すが、ヒートポンプユニット13の運転初期以降は沸上温度が高くなるため、沸上温度センサ53での検知温度が所定の沸上温度より高くなれば、切換弁45で上部戻り配管46に切り換えてヒートポンプユニット13で沸き上げた高温の湯を貯湯タンク17の上部に戻す。
【0040】
ヒートポンプユニット13で沸き上げた高温の湯を貯湯タンク17の上部に戻すことにより、貯湯タンク17内では温度の異なる湯と水との比重差で、貯湯タンク17の上部側の湯と下部側の水との間に形成される湯と水の混合層を介して、湯が水と混合せずに貯湯タンク17内の上部側から順に貯湯される。
【0041】
また、沸上時には、湯水の温度上昇により、貯湯タンク17内を含む密閉された管内で湯水が膨張し、さらに、ヒートポンプユニット13による沸き上げにより、気化した液中の気体が貯湯タンク17内に送り込まれてこの貯湯タンク17内の上部に溜まるが、これら膨張水および気体を逃し弁33から排水経路34を通じて外部に逃す。
【0042】
膨張水および気体を逃し弁33から外部に逃すには、第1の逃し制御または第2の逃し制御のいずれかが用いられる。
【0043】
第1の逃し制御では、沸上運転時において、予め、混合弁28により、上部の取出配管25側を閉じるとともに中間部の取出配管26側を開く状態としているため、貯湯タンク17内の中間部の水、または給湯に使われずに温度低下した湯が中間部の取出配管26を通じて膨張水として排出される。
【0044】
したがって、沸上時に逃し弁33から外部に排出する膨張水として、貯湯タンク17内の上部側に沸き上げられて貯湯される高温の湯より低い温度の湯水を用いることができ、つまり、貯湯タンク17内の上部側に沸き上げられて貯湯された高温の湯が逃し弁33から排出されず、逃し弁33から外部に排出する熱量の損失を十分に少なくでき、沸上時間の短縮および消費電力の低減ができる。
【0045】
さらに、沸上完了後の給湯時に、所定の給湯量(例えば50L)および所定の累積時間(例えば10分)のいずれかに達するまで、混合弁28により、上部の取出配管25側の開度を中間部の取出配管26側の開度よりも少なくしてこれに取出配管25,26側の両方を開く。
【0046】
これにより、図2の配管黒表示および矢印に示すように、貯湯タンク17内の上部側に沸き上げられて貯湯された高温の湯が逃し弁33から排出されるのを抑制しつつ、貯湯タンク17内の上部に溜まった気体を膨張水とともに逃し弁33から外部に排出することができる。
【0047】
なお、混合弁28の上部の取出配管25側の開度、所定の給湯量(例えば50L)または所定の累積時間(例えば10分)は、貯湯タンク17内の上部に溜まる気体を確実に排出できるように、適宜設定される。特に、給湯によって蛇口から出湯する湯と一緒に気体が流出するので、蛇口での気体の排出するによる音の発生や飛散が発生しないように、混合弁28の上部の取出配管25側の開度が設定される。
【0048】
一方、第2の逃し制御では、沸上運転時において、混合弁28により、上部の取出配管25側の開度を中間部の取出配管26側の開度よりも少なくしてこれに取出配管25,26側の両方を開く。
【0049】
これにより、図2の配管黒表示および矢印に示すように、逃し弁33からは、主に、貯湯タンク17内の中間部の水、または給湯に使われずに温度低下した湯が中間部の取出配管26を通じて膨張水として排出され、また、貯湯タンク17の上部に溜まる気体が排出されるとともに、貯湯タンク17の上部の湯が少量排出される。
【0050】
そのため、貯湯タンク17内の上部側に沸き上げられて貯湯された高温の湯が逃し弁33から排出されるのを抑制し、逃し弁33から外部に排出する熱量の損失を十分に少なくでき、かつ、貯湯タンク17内の上部に溜まる気体を膨張水とともに逃し弁33から外部に排出することができる。
【0051】
この第2の逃し制御では、混合弁28により、通常は、上部の取出配管25側を閉じるとともに中間部の取出配管26側のみを開いた状態とし、定期的(例えば30分毎に5分間の割合)または沸上完了直前に、上部の取出配管25側の開度を中間部の取出配管26側の開度よりも少なくしてこれに取出配管25,26側の両方を開く状態に切り換えるようにすれば、貯湯タンク17内の上部側に沸き上げられて貯湯された高温の湯が逃し弁33から排出されるのを極力抑制しながら、貯湯タンク17内の上部に溜まる気体を逃し弁33から外部に排出することができる。
【0052】
なお、混合弁28の上部の取出配管25側の開度、およびその開時間は、貯湯タンク17内の上部に溜まる気体を確実に排出できるように、適宜設定される。
【0053】
次に、図3に第2の実施の形態を示す。
【0054】
第1の実施の形態において、貯湯タンク17の下部に下部の取出配管71が接続され、中間部の取出配管26と下部の取出配管71とが調整手段27の一部を構成する切換弁72を介して混合弁28に接続されている。切換弁72は、中間部の取出配管26と下部の取出配管71とのいずれ一方を閉じ、他方を開くように切り換える。
【0055】
制御部60は、沸上時に、下部の取出配管71を開くように制御する。
【0056】
このように、貯湯タンク17の上部、中間部および下部の位置にそれぞれ取出配管25,26,71が接続されている場合、沸上時に、切換弁72により、中間部の取出配管26を閉じ、下部の取出配管71を開くため、沸上完了近くなるまで、貯湯タンク17内の水や最も温度の低い湯を膨張水として用いることができ、逃し弁33から外部に排出する熱量の損失を十分に少なくできる。
【0057】
また、第2の実施の形態の場合にも、切換弁72により、中間部の取出配管26を閉じ、下部の取出配管71を開くこと以外は、上述の第1の逃し制御や第2の逃し制御を適用することができる。
【0058】
また、給湯時には、切換弁72により、下部の取出配管71を閉じ、中間部の取出配管26を開いて、貯湯タンク17の中間部から湯を取り出して給湯可能とする。
【0059】
なお、貯湯タンク17内の中間部に残留する中温水の減少を優先する場合には、切換弁72で中間部の取出配管26を開き、また、逃し弁33から外部に排出する熱量の損出を少なくすることを優先する場合には、切換弁72で下部の取出配管71を開くように、選択設定できるようにしてもよい。
【0060】
次に、図4に第3の実施の形態を示す。
【0061】
第2の実施の形態において、下部の取出配管71を給水経路20に接続し、この給水経路20を介して貯湯タンク17の下部の水を取り出せるようにしたもので、これ以外の構成、および作用効果は第2の実施の形態と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示す給湯装置の沸上動作を示す構成図である。
【図2】同上給湯装置の他の沸上動作を示す構成図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態を示す給湯装置の沸上動作を示す構成図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態を示す給湯装置の沸上動作を示す構成図である。
【符号の説明】
【0063】
11 給湯装置
13 ヒートポンプユニット
17 貯湯タンク
20 給水経路
25,26 取出配管
27 調整手段
29 給湯配管
31 給湯経路
33 逃し弁
40 沸上回路
71 取出配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯湯タンクと、
この貯湯タンク内に給水する給水経路と、
ヒートポンプユニットを有し、前記貯湯タンクの下部から水を取り出して前記ヒートポンプユニットで沸き上げ、沸き上げた湯を前記貯湯タンクの上部に戻す沸上回路と、
前記貯湯タンクの上下方向の異なる高さ位置にそれぞれ接続される複数の取出配管、これら複数の取出配管からの湯の取り出しを調整する調整手段、およびこの調整手段から取り出される湯を給湯する給湯配管を有する給湯経路と、
前記給湯配管に設けられ、前記貯湯タンク内が所定圧力以上となった場合に開放して圧力を逃す逃し弁と
を具備していることを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
調整手段は、沸上手段による沸上時に、複数の取出配管のうち、上側の取出配管側を閉じるとともに、この上側の取出配管側より下側の取出配管側を開く
ことを特徴とする請求項1記載の給湯装置。
【請求項3】
調整手段は、沸上完了後の給湯時に、所定の給湯量および所定の時間のいずれかに達するまで、最上部の取出配管側の開度をこの最上部の取出配管より下側の取出配管側の開度よりも少なくして最上部の取出配管側および下側の取出配管側の両方を開く
ことを特徴とする請求項2記載の給湯装置。
【請求項4】
調整手段は、沸上手段による沸上時に、最上部の取出配管側の開度をこの最上部の取出配管より下側の取出配管側の開度よりも少なくして最上部の取出配管側および下側の取出配管側の両方を開く
ことを特徴とする請求項1記載の給湯装置。
【請求項5】
調整手段は、最上部の取出配管側を閉じるとともに下側の取出配管側のみを開いた状態と、最上部の取出配管側の開度をこの最上部の取出配管より下側の取出配管側の開度よりも少なくして最上部の取出配管側および下側の取出配管側の両方を開いた状態とを、沸上中に切り換える
ことを特徴とする請求項4記載の給湯装置。
【請求項6】
複数の取出配管は、貯湯タンクの上部、中間部および下部の位置にそれぞれ接続され、
調整手段は、沸上手段による沸上時に、下部の取出配管を開く
ことを特徴とする請求項1ないし5いずれか記載の給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−276033(P2009−276033A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−130283(P2008−130283)
【出願日】平成20年5月19日(2008.5.19)
【出願人】(000221269)東芝機器株式会社 (125)
【Fターム(参考)】