説明

給湯装置

【課題】運転オフ状態において、結露水の発生を抑制できる給湯装置を提供する。
【解決手段】運転オフ状態においては水量調整弁22が一定以上の通水を許す状態で待機し、この状態で水量調整弁22が所定水量を検知した場合には水量調整弁22は通水量を絞る方向に動作し、水量調整弁22が通水量を絞った状態においても給水口51と出湯口52の間で規定の水量以上の通水が可能であり、水量調整弁22が通水量を絞った状態において水量センサ18が実質的に通水を検知しなくなった場合には水量調整弁22を一定以上の通水を許す状態に戻して待機させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯装置に関するものであり、特に給湯要求があった時のみ燃焼される燃焼装置を備えた給湯装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
出湯口から排出される湯水の出湯温度をリモコン等で任意に設定できる給湯装置が、一般家庭に広く普及している(例えば、特許文献1)。
また、このような給湯装置には、熱交換器を流れる湯水を燃焼装置で生成された高温の燃焼ガスの熱エネルギーで加熱する構成を備えたものがある。そして、この種の給湯装置では、リモコンの運転スイッチが入っている状態(以下、運転オン状態ともいう)でカラン等が操作されて、所定の条件になると、燃焼装置が燃焼する。即ち、運転オン状態で、給湯装置内の通水が生じれば、燃焼装置に点火される。一方、運転オフ状態であるならば、給湯装置内に通水が生じても、燃焼装置は燃焼しない。
【0003】
また一般家庭においては、台所や浴室にカランが設けられ、給湯装置の出湯口とカランの給湯栓とが配管で接続されている。
ここでカランの一形態として、一つの調整レバーによって湯水の混合割合と、総吐出量とを調整するものがある(所謂シングルレバー)(特許文献2)。
この種のカランは、例えば調整レバーを右に回動させれば湯の混合割合が増大してカランから出湯される湯水の温度が上昇し、調整レバーを左に回動させれば水の混合割合が増大してカランから出湯される湯水の温度が下がる。
また調整レバーの自由端側を上昇させると、湯水の総量が増加し、調整レバーの自由端側を下げると、湯水の総量が減少する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−58172号公報
【特許文献2】特開2002−106005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来技術の給湯装置では、例えば台所のカランの調整レバーを右に回動させて調整レバーの自由端側を上昇させると(湯を要求する状態)、運転オフ状態であっても、カランの給湯栓が開き、給湯装置に通水が生じる。そして、カランの蛇口から水又は湯が出る。
即ち、従来技術の給湯装置では、運転オフ状態であり、燃焼がなされない状態であっても、給湯装置内に通水が生じる場合がある。
それ故に、運転オフ状態では、熱交換器内に温度の低い水が流れて、熱交換器の表面温度が低下し、熱交換器の表面や燃焼部の内壁に結露水が付着することがあった。そのため、漏電や燃焼不良等の不具合が発生するおそれがあった。
【0006】
そこで、本発明は、上記した問題点を解決するものであり、運転オフ状態において、結露水の発生を抑制できる給湯装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、燃焼装置と、燃焼装置によって湯水を加熱する熱交換器と、給水口及び出湯口と、給水口及び出湯口の間に設けられ通水の有無を検知する通水検知手段と、給水口及び出湯口の間に設けられ通水量を制限する水量制御手段とを有し、給水口から供給された水を前記熱交換器で加熱して出湯口から出湯させる給湯装置であって、制御装置を有し、前記制御装置の一部又は全部は機能していて前記通水検知手段が燃焼可能最低水量を検知すれば燃焼が開始される運転オン状態と、制御装置の一部又は全部は機能しているが通水検知手段が燃焼可能最低水量を検知しても燃焼が開始されない運転オフ状態と、がある給湯装置において、運転オフ状態においては前記水量制御手段が一定以上の通水を許す状態で待機し、この状態で水量制御手段が所定水量を検知した場合には前記水量制御手段は通水量を絞る方向に動作し、水量制御手段が通水量を絞った状態においても給水口と出湯口の間で規定の水量以上の通水が可能であり、水量制御手段が通水量を絞った状態において通水検知手段が実質的に通水を検知しなくなった場合には前記水量制御手段を一定以上の通水を許す状態に戻して待機させることを特徴とする給湯装置である。
【0008】
かかる構成によれば、運転オフ状態においては前記水量制御手段が一定以上の通水を許す状態で待機し、この状態で水量制御手段が所定水量を検知した場合には前記水量制御手段は通水量を絞る方向に自動的に動作する。
例えば、通水量を少量になるように制御することによって、例え使用者が運転オフ状態でカランの給湯栓を開き、湯水を出した場合(湯を要求する状態)であっても、出湯口の開放量に対して、カランに設けられた蛇口から流れる水量が少なくなる。そのため、使用者は異常に気づきやすい。即ち、使用者は、運転オフ状態であることを認識することが可能である。その結果、使用者は、「カランの給湯栓を閉鎖するか」、「運転オン状態に変更する」ことが予想される。そして、使用者が、もしカランの給湯栓を閉鎖したのであれば、給湯装置の出湯口が閉鎖される。それ故に、熱交換器に一時的にしか水が流れず、熱交換器の表面温度があまり低下しない。即ち、熱交換器の表面や燃焼部の内壁での結露水の発生を抑制することが可能である。一方、使用者が、運転オン状態に変更したのであれば、使用者が給湯栓を開栓すると、燃焼装置の燃焼が始まる。そのため、熱交換器の表面温度が低下しない。即ち、熱交換器の表面や燃焼部の内壁での結露水の発生を抑制することが可能である。
また、本発明によれば、水量制御手段が通水量を絞った状態において通水検知手段が実質的に通水を検知しなくなった場合には前記水量制御手段を一定以上の通水を許す状態に戻して待機させる。
例えば、水量制御手段が弁であるならば、全開状態を許す状態に戻す。そうすると、使用者が、手動で運転オン状態に切り替え、さらにカランの給湯栓を開栓したとしても、出湯口が開放されてから、即座に、燃焼可能最低水量を検知することが可能である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、運転オフ状態において水量制御手段が所定水量を検知した場合に、使用者に報知する報知手段を有することを特徴とする請求項1に記載の給湯装置である。
【0010】
かかる構成によれば、報知手段は運転オフ状態において水量制御手段が所定水量を検知した場合に、使用者に報知するため、使用者は給湯装置が運転オフ状態であることに気づきやすい。
【0011】
請求項3に記載の発明は、燃焼装置は、液体燃料を加熱して気化させ、気化した燃料を燃焼させるものであり、燃料を気化する気化部を有し、運転オン状態においては前記気化部が予熱され、運転オフ状態においては前記気化部の予熱が解除されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の給湯装置である。
【0012】
かかる構成によれば、運転オン状態においては前記気化部が予熱され、運転オフ状態においては前記気化部の予熱が解除されているため、通常に比べてコスト面に優れている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の構成によれば、使用者は、運転オフ状態であることを認識しやすい。それ故に、熱交換器の表面や燃焼部の内壁での結露水の発生を抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態に係る給湯装置を示す作動原理図である。
【図2】図1の燃焼装置を表す説明図である。
【図3】図1のリモコンを表す説明図である。
【図4】図1の給湯装置の作動原理図であり、給湯流路を黒塗りで示した図である。
【図5】図1の給湯装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の変形例に係る給湯装置を示す作動原理図である。
【図7】本発明の変形例に係る給湯装置を示す作動原理図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の第1実施形態に係る給湯装置1について説明する。
給湯装置1は、図1に示すように、一缶二水路型の加熱装置2が内蔵され、その加熱装置2に接続された異なる2系統の流路5,6と、制御手段3を有している。
なお、2系統の流路5,6の内の1つは、給湯流路5であり、他方は、風呂追い焚き流路6である。
【0016】
加熱装置2は、1つの燃焼室7内に2系統の熱交換器10,11が内蔵され、さらに熱交換器10,11を加熱する燃焼装置8が設けられたものである。
燃焼装置8は、加熱装置2の燃焼室7の上端側に取り付けられており、この下方に給湯用の湯水を加熱するための給湯用熱交換器10と浴槽30内の湯水を追い焚きするための追い焚き用熱交換器11が設けられている。そして、燃焼装置8は、給湯用熱交換器10と追い焚き用熱交換器11に熱を供給する熱源として使用される。即ち、燃焼装置8は、下方に配された給湯用熱交換器10と追い焚き用熱交換器11に向けて火炎を発生させ、これにより発生した燃焼熱を給湯用熱交換器10と追い焚き用熱交換器11に供給することができる。
【0017】
ここで、燃焼装置8について詳説すると、燃焼装置8は、灯油等の液体燃料を気化部で気化し、この気化された燃料ガスを燃焼部に送って燃焼させる、いわゆる気化式燃焼装置である。また、燃焼装置8は、炎孔から下方に向けて燃料を噴出させて燃焼させる、いわゆる「下方燃焼型」の燃焼装置である。
即ち、燃焼装置8は、図2のように、液体燃料を気化して燃料ガスを生成するための気化部41と、気化部41において発生した燃料ガスを燃焼する燃焼部48とを備え、気化部41に通電により発熱するヒータ43が設けられている。
【0018】
燃焼装置8では、気化部41で気化された燃料ガスと空気とを予め混合して炎孔46から噴射する。そして燃焼部48には直接的に二次空気を供給し、燃料ガスは予め混合された空気と二次空気によって燃焼させる。即ち、気化部41をヒータ43によって加熱し、供給される液体燃料を効率良く気化させ、生成した燃料ガスを燃焼させるものである。
【0019】
また、燃焼装置8は、燃焼動作の開始に先だって、ヒータ43を作動させて気化部41を予熱した後、燃焼動作が開始されるタイミングまで待機すると共に、燃焼動作の開始命令が出るとヒータ43を作動させ、気化部41を所定の温度まで再加熱された時点から燃焼動作を開始する構成とされている。
燃焼装置8では、リモコン36に設けられた運転スイッチ34を運転オンにすると、ヒータ43に通電されて所定時間予熱が行われ、予熱が完了すると、報知手段38から予熱完了したことが報知され、燃焼指令の待機状態となる。この燃焼待機期間では、ヒータ43は通電されて待機予熱温度に維持されており、燃焼指令に応じていつでも着火、燃焼可能な状態を維持しつつ待機している。
従って、運転スイッチ34を運転オンにして予熱が完了すると、いつでも給湯などを開始することができ、使い勝手を向上させている。
【0020】
給湯用熱交換器10に目を移すと、給湯用熱交換器10には、給湯流路5が接続されている。給湯流路5は、図1のように給水口51から給湯用熱交換器10に水を供給する熱交往き配管55と、給湯用熱交換器10と水量調整弁22を接続し加熱された湯が通過する熱交戻り配管56と、給湯用熱交換器10において加熱された湯を水量調整弁22から出湯口52に供給するための給湯配管16と、熱交往き配管55と熱交戻り配管56とを接続し給湯用熱交換器10を迂回するバイパス配管17と、を有する。
【0021】
熱交往き配管55の中途には、湯水の流れ方向を基準に給水口51側から、バイパス水量調整弁21と、水量センサ18と、温度センサ20と、が設けられている。バイパス水量調整弁21は、熱交往き配管55からバイパス配管17側に流れる湯水の量を調整するものである。また、水量センサ18は、給湯用熱交換器10への給水量を検知するものであり、温度センサ20は、給湯用熱交換器10への給水温度を検知するものである。
【0022】
熱交戻り配管56の中途には、温度センサ19が設けられており、その湯水の流れ方向下流には、バイパス配管17が接続されている。温度センサ19は、給湯用熱交換器10を通過した湯水の温度を検知するものである。
【0023】
また、熱交戻り配管56と給湯配管16は、水量調整弁22と、出湯温度を検知するための温度センサ23と、を介して接続されている。水量調整弁22は、所望の開度に制御可能な弁である。
【0024】
追い焚き用熱交換器11には、風呂追い焚き流路6が接続されている。風呂追い焚き流路6は、風呂往き配管25と風呂戻り配管26とを有する。風呂往き配管25は、追い焚き用熱交換器11において加熱され浴槽30に供給される湯水を流すための配管であり、風呂戻り配管26は、浴槽30側から加熱装置2側に戻って来た湯水を流すための配管である。風呂戻り配管26の中途には、温度センサ28と、流水センサ27と、循環ポンプ31と、が設置されている。浴槽30には、循環アダプタや浴槽連結装置と称されるような従来公知の接続金具32が取り付けられている。加熱装置2は、風呂往き配管25及び風呂戻り配管26を介して接続金具32と接続することにより、浴槽30と追い焚き用熱交換器11との間で湯水が循環する循環流路を構成することができる。
【0025】
制御手段3に目を移すと、制御手段3は、図1のように制御装置35とリモコン36を有する。
制御手段3はタイマ機能を有しており、使用者が給湯装置1を使用しない時間帯に感知して自動的に運転オフ状態にする機能を有している。即ち、一定時間の間、給湯要求がない場合に運転スイッチ34をオフにすることができる。なお、使用者がリモコンで給湯装置1を使用しない時間帯を入力し、当該時間帯に自動的に運転オフ状態にする設定も可能である。
【0026】
制御装置35は、各部に設けられた温度センサ19,20,23,28や水量センサ18、流水センサ27等の検知結果や、使用者のリモコン36への入力に基づいて燃焼装置8や循環ポンプ31等の動作を制御するものである。
【0027】
制御装置35は、リモコン36の運転スイッチ34がオン状態において、カランの給湯栓12が開栓され、水量センサ18によって所定量以上の水流が検知されることを条件として、加熱装置2に対して給湯要求があったものと判断する。そして、制御装置35は、燃焼装置8を燃焼動作させる。また、制御装置35は、リモコン36から浴槽30内の湯水を追い焚きする追い焚き要求が入力されることを条件として、燃焼装置8を燃焼動作させると共に、循環ポンプ31を作動させる。これにより、浴槽30内の湯水が追い焚きされる。
【0028】
また、リモコン36は、図3のように運転スイッチ34と報知手段38を有している。
運転スイッチ34は、給湯装置1の状態を運転オン状態と運転オフ状態とを切り替えるスイッチである。
なお、ここでいう「運転オン状態」とは、制御装置35の一部又は全部が機能し、流量センサ18がMOQ(燃焼装置8を作動することができる最低限の単位時間当たりの流量)以上の水流を検知すれば燃焼動作が開始される状態を表す。一方、ここでいう「運転オフ状態」とは、制御装置35の一部又は全部は機能しているが、流量センサ18がMOQ以上の水流を検知しても燃焼動作を開始しない状態を表す。
【0029】
報知手段38は、給湯装置1に関する所定の情報を、表示や音声を発することなどにより使用者に報知するものである。
即ち、報知手段38は、音声出力部49と表示部50を有している。
報知手段38は、現在の時点の設定温度の情報、現在の時点で燃焼装置8が運転しているかどうかの情報、リモコン36の運転スイッチ34がオフとなっているかどうかの情報、リモコン36の運転スイッチ34がオフの時に給湯流路5内に通水があったことの情報、等を報知してこれらの情報を使用者に伝達することができる。
【0030】
報知手段38は、使用者に報知可能であれば、どのような方法でも良いが、例えば、情報を文字や図形などにして、これを表示部50に表示して使用者に情報を伝達する方法や、情報を音声化して音声出力部49から音声によって使用者に情報を伝達する方法などを用いることができる。
また、報知手段38による情報の伝達の時期は、いつ行っても良い。表示部50に表示する場合、常に報知を行っても良い。また、表示部50に表示する場合や音声出力部49から音声を発する場合には、所定の条件の場合にのみ報知することも可能である。具体的には、リモコン36が使用者によって操作されたときに、報知手段38による情報の報知を行うようにすることができる。また、使用者が、手動で給湯装置1の出湯口52に接続されたカランの給湯栓12を操作することにより、水量センサ18によって湯の利用を検知して、この検知により報知手段38を操作するようにすることもできる。
【0031】
さらに、報知手段38を用いて、現在の時点で燃焼装置8が運転しているかどうかを使用者に伝える場合には、燃焼装置8が運転しているときにのみ報知して、燃焼装置8の運転が停止しているときには報知しないようにすることができる。
また、報知手段38は、リモコン36の運転スイッチ34がオフの時に給湯流路5内に通水があった際と、リモコン36の運転スイッチ34がオンの時に給湯流路5内に通水があった際とで、音声出力部49から異なる音声情報を報知したり、音声情報の音質や発生の間隔を変えたりして行うことができる。
【0032】
そして、リモコン36の運転スイッチ34がオフとなっているかどうかの情報を報知する場合には、リモコン36の表示部50を報知手段38として用いて行うことができる。例えば、運転スイッチ34がオンの状態では、表示部50を点灯させ、運転スイッチ34がオフの状態では、表示部50を消灯する。また、リモコン36の運転スイッチ34がオフの時に給湯流路5内に通水があった場合には、表示部50が点滅する。即ち、使用者はこの表示部50を見ることによって、リモコン36の運転スイッチ34のオンオフ状態を確認することができる。
【0033】
続いて、本実施形態の給湯装置1の動作について説明する。
まず、本発明の特徴的な動作の説明に先立ち、リモコン36の運転スイッチ34がオンになっている際の動作(運転オン状態の動作)について説明する。
本実施形態の給湯装置1は、リモコン36の運転スイッチ34がオンになっている際に、給湯動作、追い焚き動作が可能であるが、特に給湯動作における出湯時の動作が本発明の特徴的な動作に関係するため、以下においては、給湯動作に注目して説明する。
なお、追い焚き動作は、出湯動作自体がなく、公知の動作と同様であるため、説明を省略する。
【0034】
まず、図4の作動原理図を用いて、運転オン状態の給湯動作の概要について説明する。
給湯装置1は、運転オン状態で、使用者によってカランの給湯栓12が操作されると、給水口51から水が供給され、熱交往き配管55を介して給湯用熱交換器10に導入される。このとき、温度センサ20や水量センサ18によって、給湯用熱交換器10に導入される湯水の入水温度が検知されると共に、単位時間当たりの流量が検知される。そして、水量センサ18による検知流量がMOQ(燃焼装置を作動することができる最低限の単位時間当たりの流量)以上であることが確認されると、燃焼量が演算されて燃焼装置8の燃焼動作が開始される。
【0035】
ここで、出湯開始時の燃焼量は、検知された前記情報と、予め制御装置35に設定された出湯温度(以下、設定温度Tsと言う)に基づいて演算される。より具体的には、前記検知された情報と、設定温度Tsに一定値上乗せした温度(以下、缶体側目標温度Tgと言う)に基づいて燃焼量が演算される。
そして、燃焼装置8では、その燃焼量で燃焼が行われる(フィードフォワード制御)。
【0036】
その後、給湯用熱交換器10で昇温した湯は、熱交戻り配管56を通過し、バイパス配管17を通過した水と混合されて出湯口52に向けて流れる。このとき、温度センサ23によって、混合された湯の温度(以下、出湯温度To)が検知される。そして、燃焼装置8は、この検知された出湯温度Toに基づいて、フィードフォワード制御で演算されて決定された燃焼量を補正する。
即ち、出湯温度Toの検知後においては、出湯温度Toを加味した燃焼量に補正されて燃焼が行われる(フィードバック制御)。以後、フィードフォワード制御及びフィードバック制御の組み合わせ制御によって、燃焼量が制御され、設定温度Tsに調整された湯が安定的に出湯される。
また、給湯装置1は、運転オン状態においては、原則的に水量調整弁22は全開状態で待機している。
以上が、リモコン36の運転オン状態における給湯動作の説明である。
【0037】
続いて、本発明の特徴的動作であるリモコン36の運転スイッチ34がオフになっている際(運転オフ状態)の動作について説明する。
以下、図1の作動原理図と図5のフローチャートを用いて説明する。
【0038】
まず、給湯装置1は、リモコン36の運転スイッチ34がオフの状態であることが確認され(ステップ1)、リモコン36の運転スイッチ34がオフの状態である場合、制御装置35に記憶される。このとき、燃焼装置8の燃焼動作を停止している。また、流量センサ18がMOQ以上の流水を検知しても燃焼が開始されない状態となっている。
その後、水量調整弁22を給湯配管16内に一定以上の通水を許す状態にする。ここでいう「一定以上の通水を許す状態」とは、一定以上の通水(例えば、MOQ以上の通水)が可能な状態を表し、全開も含む。本実施形態では水量調整弁22を全開状態にする(ステップ2)。
【0039】
そして、リモコン36の運転スイッチ34がオフの状態のままで、使用者によってカランの給湯栓12が開放状態に操作されると、給水口51から水が供給され、熱交往き配管55を介して給湯用熱交換器10に導入される。このとき、流量センサ18によって、熱交往き配管55内に水が通過したことを検知する(流量を検知する)と(ステップ3)、報知手段38によって、使用者に所定の情報が報知される(ステップ4)。
具体的には、報知手段38を介して、「運転スイッチがオンになっていないので、湯は使えません」などを、運転スイッチ34の切り替えやカランの給湯栓12を閉鎖状態への変更を促すメッセージを合わせて、使用者に伝達することができる。また、音声を発する周期(時間当たりの回数)については任意に変更してもよい。
【0040】
そして、給湯装置1は、報知手段38によって、所定の情報が報知しながら水量調整弁22の開度を閉方向に絞る。ただし、給湯配管16内には、少量の水が流れるようにしている。即ち、給湯配管16に所定の流量以上が流れるように所定の開度に制御する(ステップ5)。具体的には、給湯配管16内の流量がMOQ以上の流量になるように制御する。より具体的には、給湯配管16内の流量がMOQに所定の流量αを加算した流量になるように制御する。本実施形態では、この所定の流量αは、少量の流量であり、0.1L/min〜1L/minとなっている。この所定の流量αは、0.3L/min〜0.7L/minであることが好ましい。所定の流量αは、0.5L/minであることが特に好ましい。また、上限は、給湯栓12が全開放時における給湯配管16内の流量の1/3以下としている(水量調整弁22の全開放時)。上限は、MOQの2倍以下であることが好ましい。
本実施形態では、給湯配管16内の流量がMOQ以上の流量になるように制御するため、使用者が給湯栓12を閉鎖したかどうか検知できる。
【0041】
そして、使用者が手動で給湯栓12を開放すると、給湯栓12の蛇口から排出する湯水の量は、使用者が手動で行った給湯栓12の開放量に比べて少量となるので、使用者は、異常に気づく。即ち、使用者はリモコン36の運転スイッチ34がオフであることに気づく。その結果、使用者は、カランの給湯栓を閉鎖して給水栓を開放するか、給湯栓を開放したままで運転オン状態に変更する。
具体的には、カランが、上記した一つの調整レバーによって湯水の混合割合と、総吐出量とを調整するものである場合、即ち、シングルレバーの場合、カランの調整レバーを右に回動させて調整レバーの自由端側を上昇させた状態(給湯栓開状態)から、調整レバーの自由端側を上昇させた状態を維持しつつ、左に回動させて給水栓を開状態に変更するか、給湯栓開状態を維持しつつ、運転オン状態に変更する。
【0042】
前者の場合、即ち、リモコン36の運転スイッチ34がオフの状態のままで、使用者がカランの給湯栓12を閉鎖状態に操作すると、給湯装置1内では、給水口51から水の供給が停止され、給水流路5内の流水が停止する。
そして、流量センサ18が給水流路5内の流水を検知し(ステップ6)、流量センサ18が実質的に通水を検知しなくなることで(MOQ以下になることで)、使用者が給湯栓12を開放していないことを確認する。使用者による給湯栓12の閉鎖を確認後(ステップ7)、水量調整弁22を所定の開度(全開も含む)まで開方向に自動的に開く。本実施形態では、制御装置35の指令によって、水量調整弁22を全開状態に開く(ステップ8)。即ち、使用者が手動でカランの給湯栓12を開放していないことが確認できたので、水量調整弁22を開く。
また、後者の場合、即ち、使用者が、リモコン36の運転スイッチ34をオンに切り替えると、流量センサ18が給水流路5内の流水を検知する(ステップ6)。そして、流量センサ18が再び流水を検知すると、ステップ9に移り、水量調整弁22を任意の開度にする。即ち、燃焼装置8が燃焼可能となるので、水量調整弁22を開く。
【0043】
一方、リモコン36の運転スイッチ34の状態を確認した際に(ステップ1)、リモコン36の運転スイッチ34がオンの状態である場合、制御装置35に記憶される。
その後、制御装置35からの指令により自動的に水量調整弁22が全開状態とする(ステップ9)。そして、使用者が給湯栓12を開くと、流量センサ18によって、給水流路15内にMOQ以上の水が通過したことを検知し(流量を検知し)(ステップ10)、使用者に所定の情報が報知される(ステップ11)。その後、上述した燃焼動作が行われる。
具体的には、ステップ11では、表示部50に炎のマークの表示などを行うことで、燃焼装置8が稼働していることを使用者に視認させることができる。
【0044】
給湯装置1は、給湯流路5の通水量を少量になるように制御することによって、使用者が運転オフ状態でカランの給湯栓12を開き、湯水を出した場合であっても、カランの給湯栓12の開放量に対して、カランに設けられた蛇口から流れる水量が少なくなる。そのため、使用者は異常に気づきやすい。即ち、使用者は、給湯装置1が運転オフ状態であることを認識することが可能である。その結果、使用者が、もしカランの給湯栓12を閉鎖したのであれば、給湯装置1の出湯口52が閉鎖される。それ故に、給湯用熱交換器10に一時的にしか水が流れず、給湯用熱交換器10の表面温度があまり低下しない。即ち、給湯用熱交換器10の表面や燃焼室7の内壁での結露水の発生を抑制することが可能である。
一方、使用者が、リモコン36の運転スイッチ34を操作し、運転オン状態に変更したのであれば、使用者が給湯栓12を開栓すると、燃焼装置8の燃焼が始まる。そのため、給湯用熱交換器10の表面温度が低下しない。即ち、給湯用熱交換器10の表面や燃焼室7の内壁での結露水の発生を抑制することが可能である。
また、給湯装置1は、水量調整弁22の開度を閉方向に絞り、給湯配管16に所定の流量以上が流れるように所定の開度に制御する。即ち、水量調整弁22を全閉にしていない。そして、上記したように給湯装置1の制御手段3は、タイマ機能を有しており、使用者が給湯装置1を使用しない時間帯に感知して自動的に切れる(運転オフ状態にする)機能を有している。
また、水量調整弁22を全閉と全開を繰り返すと、水量調整弁22が磨耗し水量調整弁22の耐久性が低下する。しかし、本発明では水量調整弁22を全閉にしていないため、水量調整弁22の磨耗が生じにくい。即ち、全閉の場合に比べて、耐久性が高い。
【0045】
また、水量調整弁22を全閉状態のまま維持すると、運転オフ状態から運転オン状態に切り替えた最初の出湯がMOQ以下の場合に、給湯用熱交換器10内に溜まった熱い湯が冷やされることなく、流れ出ることがある。しかし、給湯装置1は、給湯配管16に所定の流量以上が流れるように所定の開度に制御するため、例え、運転オフ状態から運転オン状態に切り替えた最初の出湯がMOQ以下の場合であっても、給湯用熱交換器10内に溜まった熱い湯が給湯流路5内の水に冷やされる。
【0046】
上記した実施形態では、水量調整弁22を熱交戻り配管56とバイパス配管17との接続部分よりも湯水の流れ方向下流に設けたが、本発明はこれに限定されるものではなく、バイパス水量調整弁21よりも上流側に水量調整弁を設けてもよい。また、図6のように、熱交戻り配管56とバイパス配管17のそれぞれの中途に水量調整弁60,61を設けてもよい。この場合、ステップ5において、熱交戻り配管56内の流量とバイパス配管17内の流量との和がMOQ以上の流量になるように制御する。
【0047】
上記した実施形態では、水量調整弁の開度を閉方向に絞り、給湯配管16に所定の流量が流れるように所定の開度に制御したが、本発明はこれに限定されるものではなく、図7のように水量調整弁22に並列してMOQ以上の流量を通過可能なバイパス流路65を設けてもよい。即ち、熱交戻り配管56と給湯配管16にバイパス流路65を繋いでもよい。この場合、ステップ5において、水量調整弁22の開度を全閉にする。
【0048】
上記した実施形態では、ステップ3、ステップ6、ステップ7、ステップ10のそれぞれにおいて、給湯配管16の通水量の検知の判断基準を、全てMOQを基準としていたが、別の基準としてもよい。例えば、即ち、ステップ毎に異なる基準値を設けてもよい。
【符号の説明】
【0049】
1 給湯装置
7 燃焼室(燃焼部)
8 燃焼装置
10 給湯用熱交換器
18 水量センサ(通水検知手段)
22 水量調整弁(水量制御手段)
34 運転スイッチ
35 制御装置
38 報知手段
41 気化部
51 給水口
52 出湯口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼装置と、燃焼装置によって湯水を加熱する熱交換器と、給水口及び出湯口と、給水口及び出湯口の間に設けられ通水の有無を検知する通水検知手段と、給水口及び出湯口の間に設けられ通水量を制限する水量制御手段とを有し、給水口から供給された水を前記熱交換器で加熱して出湯口から出湯させる給湯装置であって、
制御装置を有し、前記制御装置の一部又は全部は機能していて前記通水検知手段が燃焼可能最低水量を検知すれば燃焼が開始される運転オン状態と、制御装置の一部又は全部は機能しているが通水検知手段が燃焼可能最低水量を検知しても燃焼が開始されない運転オフ状態と、がある給湯装置において、
運転オフ状態においては前記水量制御手段が一定以上の通水を許す状態で待機し、この状態で水量制御手段が所定水量を検知した場合には前記水量制御手段は通水量を絞る方向に動作し、水量制御手段が通水量を絞った状態においても給水口と出湯口の間で規定の水量以上の通水が可能であり、
水量制御手段が通水量を絞った状態において通水検知手段が実質的に通水を検知しなくなった場合には前記水量制御手段を一定以上の通水を許す状態に戻して待機させることを特徴とする給湯装置。
【請求項2】
運転オフ状態において水量制御手段が所定水量を検知した場合に、使用者に報知する報知手段を有することを特徴とする請求項1に記載の給湯装置。
【請求項3】
燃焼装置は、液体燃料を加熱して気化させ、気化した燃料を燃焼させるものであり、燃料を気化する気化部を有し、運転オン状態においては前記気化部が予熱され、運転オフ状態においては前記気化部の予熱が解除されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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