説明

給紙カセット及び画像形成装置

【課題】用紙の大型化及び用紙の搬送性の低下を生じることなく、単一の給紙位置から複数種類の用紙を選択的に給紙できるようにする。
【解決手段】筐体411内に収納部412,413を上下に配置し、筐体411の内側面にレール414を設けた。収納部412に収納されている用紙を給紙する場合には、収納部413を退避位置に位置させ、ピックアップローラ441を収納部412に収納されている最上部の用紙に当接させる。収納部413に収納さている用紙を給紙する場合には、収納部413を収納部412の上方の露出位置に位置させる。ピックアップローラ441は、収納部413に収納されている最上部の用紙に当接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、用紙に対して処理部で所定の処理を施す主装置に備えられて処理部に供給すべき用紙(シート状の記録媒体)を収納する給紙カセット、及びこの給紙カセットを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置のように用紙に対して所定の処理を施す装置には、用紙を多量に収納する給紙カセットが配置されており、それぞれが紙質やサイズの異なる複数種類の用紙を収納する複数の給紙カセットを配置したものもある。
【0003】
特に、画像形成装置は、操作者の操作性を考慮して、操作者が前面側から作業できるようにしたフロントアクセス構造としたものが多い。このような構造の装置では、最下部に操作者の要求に応じた数の給紙カセットを配置するビルドアップ方式が採られている。フロントアクセス構造及びビルドアップ方式の画像形成装置は高さが高くなる傾向にあり、最上部に配置されている原稿読取部における原稿の取扱が困難になり、操作者の操作性が劣化する。
【0004】
そこで、1つの給紙カセットに複数種類の用紙を収納することが提案されている。例えば、装置が許容する最大サイズの用紙以外の用紙を収納する給紙カセット内に、第1及び第2の収納位置を並列に配置し、それぞれの収納位置から用紙を給紙するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
また、第1の収納位置に収納されている用紙と同一種類の用紙を第2の収納位置に収納しておき、第1の収納位置からのみ用紙を給紙し、第1の収納位置の用紙が無くなった時に第2の収納位置の用紙を第1の収納位置に移動させるようにしたものもある(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開平10−194486号公報
【特許文献2】特開2002−60064号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された構成では、1つの給紙カセットに対して複数の用紙搬送路及び複数の給紙機構(用紙送出ローラ等)を備える必要があり、用紙搬送路の構成が煩雑化して装置の大型化を招く。
【0007】
特許文献2に開示された構成では、第2の給紙位置から第1の給紙位置に用紙のみを移動させるようにしているため、最下部の用紙に皺や破れ等を生じ易い。また、下部の用紙が斜めに移動する可能性が高く、用紙の搬送性が低下する。これらによって、用紙のジャムが発生し易くなる。
【0008】
この発明の目的は、用紙の大型化及び用紙の搬送性の低下を生じることなく単一の給紙位置から複数種類の用紙を選択的に給紙することができる給紙カセット、及びこの給紙カセットを備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、用紙に対して処理部で所定の処理を施す主装置に備えられ、処理部に搬送すべき用紙を積載して収納する給紙カセットであって、筐体、複数の収納部、移動機構を備えている。筐体は、少なくとも上面が開放している。複数の収納部は、それぞれが、筐体内に配置されるとともに、用紙を積載して収納する。移動機構は、主装置から出力される選択データに応じて、複数の収納部のいずれかに収納されている最上部の用紙が単一の給紙位置に位置するように、複数の収納部の少なくとも1つを移動させる。
【0010】
この構成により、単一の給紙位置には、複数の収納部のうちで選択データに応じて選択された単一の収納部に収納されている最上部の用紙が位置する。複数の収納部のそれぞれに収納されている用紙のうち、選択データに応じた用紙が単一の給紙位置から給紙される。
【0011】
この構成において、複数の収納部の1つを第1収納部としてもよい。第1収納部は、給紙方向の上流側端部を支点にして下流側端部が上方に揺動する第1の載置板を備え、第1の載置板上に収納している用紙のうちで最上部の用紙が給紙位置に位置するように筐体の最下部に固定的に配置される。筐体の底面には、第1載置板の下流側端部を上方に付勢する付勢部材を設ける。付勢部材は、第1載置板の下流側端部を上方に付勢し、第1載置板上に収納されている最上部の用紙が給紙位置に位置する。
【0012】
また、複数の収納部の他の少なくとも1つを第2収納部としてもよい。第2収納部は、給紙方向の上流側端部を支点にして下流側端部が上方に揺動する第2の載置板を備え、第1給紙部に収納されている最上部の用紙よりも上方で、収納している最上部の用紙が給紙位置に位置する露出位置と給紙方向における露出位置よりも上流側の退避位置との間に移動自在にされる。第2収納部が露出位置に移動すると、第2収納部に収納されている最上部の用紙が給紙位置に位置する。
【0013】
この場合に、第2収納部の底面に開口部を備え、第2の積載板の下流側端部が開口部を経由して第1収納部に収納されている最上部の用紙から付勢部材の付勢力の伝達をうけるようにしてもよい。第2収納部に第2の積載板の下流側端部を上方に付勢する部材を設ける必要がない。
【0014】
上記の構成において、移動機構は、直線状のレール、回転体、第1駆動源を含むものとしてもよい。レールは、第2収納部の露出位置と退避位置との間に筐体の内側面に取り付けられている。回転体は、第2収納部に回転自在に支持されてレールの上面に周面を当接させる。第1駆動源は、回転体に正逆両方向の回転を選択的に供給する。第1駆動源から回転体に回転を供給することで、第2収納部が露出位置と退避位置との間を移動する。
【0015】
また、第1駆動源に代えて、回転体に第2収納部を退避位置から露出位置に移動させる方向の回転を選択的に供給する第2駆動源と、第2収納部を露出位置から退避位置に向かう方向に付勢する弾性部材と、を設けてもよい。
【0016】
さらに、露出位置で第2収納部を露出位置に選択的に固定する固定機構を備えてもよい。第2収納部に収納されている用紙を安定して給紙できる。
【0017】
第1収納部と第2収納部とには、互いに異なるサイズの用紙を収納してもよい。この場合に、第2収納部が収納する用紙の給紙方向に直交する方向の長さを、第1収納部が収納する用紙の給紙方向に直交する方向の長さよりも長くしてもよい。
【0018】
第1収納部の用紙収納高さを第2収納部の用紙収納高さよりも高くすることで、第1収納部に収納されている用紙を給紙する場合と第2収納部に収納されている用紙を給紙する場合とで、給紙機構による給紙状態の変動を小さくすることができる。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、複数の収納部のうちで選択データに応じて選択された単一の収納部に収納されている最上部の用紙を、単一の給紙位置に位置させることができる。複数の収納部のそれぞれに収納されている用紙のうち、選択データに応じた用紙を単一の給紙位置から給紙することができる。これによって、用紙の大型化及び用紙の搬送性の低下を生じることなく、単一の給紙カセットから複数種類の用紙を選択的に給紙することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、この発明の最良の実施形態に係るユニット引出機構を適用した画像記録装置を図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0021】
図1は、この発明の給紙カセットが適用される画像形成装置の概略の断面図である。画像形成装置100は、画像読取部200、画像記録部300、及び、給紙部400を備えている。
【0022】
画像読取部200は、原稿台201、第1ミラーベース202、第2ミラーベース203、結像レンズ204、及び、固体撮像素子(CCD:Charge Coupled Device)205を備えている。原稿台201は、硬質ガラス板で形成されており、原稿が載置される。第1ミラーベース202及び第2ミラーベース203は、原稿台201の下方において水平方向に移動自在にされている。第2ミラーベース203の移動速度は、第1ミラーベース202の移動速度の1/2にされている。第1ミラーベース202は、光源及び第1ミラーを搭載している。第2ミラーベース203は、第2ミラー及び第3ミラーを搭載している。
【0023】
原稿台201に載置された原稿の画像を読み取る際に、第1ミラーベース202及び第2ミラーベース203は、原稿台201の下方を水平方向に移動する。光源の光は、原稿台201上に載置された原稿の画像面に向けて照射され、原稿の画像面における反射光が第1ミラーによって第2ミラーベース203に向けて反射される。原稿の画像面における反射光は、光路長を一定にして、第2ミラー及び第3ミラーによって、結像レンズ204を経由してCCD205に入射する。CCD205は、原稿の画像面における反射光の光量に応じた電気信号を出力する。この電気信号は、画像記録ユニット300に画像データとして入力される。
【0024】
画像記録部300は、この発明の処理部であり、プロセスユニット301〜304、中間転写ベルト305、露光ユニット306、二次転写ベルト307、定着ユニット308、排紙トレイ309、用紙搬送路310,311を備えている。
【0025】
プロセスユニット301〜304は、それぞれブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの4色の各色相に対応した画像データに基づいて電子写真方式の画像形成処理を行い、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの各色のトナー像を形成する。
【0026】
中間転写ベルト305は、複数のローラによって張架されており、プロセスユニット301〜304で形成されたトナー像が転写される。カラー画像を形成する場合には、プロセスユニット301〜304のそれぞれで形成された各色のトナー像が、中間転写ベルト305の表面に重ね合わせて転写される。モノクロ画像を形成する場合には、プロセスユニット301で形成されたブラックのトナー像のみが、中間転写ベルト305の表面に転写される。
【0027】
露光ユニット306は、内部に半導体レーザ、ポリゴンミラー、fθレンズ等を備え、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの各色相の画像データによって変調されたレーザビームのそれぞれをプロセスユニット301〜304に向けて照射する。
【0028】
二次転写ベルト307は、複数のローラで張架されており、中間転写ベルト305の表面に転写されたトナー像を用紙の表面に転写する。
【0029】
定着ユニット308は、トナー像が転写された用紙が通過する一対の定着ローラを備えている。定着ローラの間を通過する用紙を加熱及び加圧し、トナー像を用紙の表面に定着させる。
【0030】
排紙トレイ309は、プロセスユニット301〜304の上方で画像読取部200の下方に配置されている。排紙トレイ309は、画像形成済みの用紙を積載して収納する。
【0031】
用紙搬送路310は、画像形成部300の最下部から中間転写ベルト305と二次転写ローラ307との間及び定着ユニット308を経由して排紙トレイ309に至る間に形成されている。
【0032】
用紙搬送路311は、用紙搬送路P1内のよし搬送方向における定着ユニット308の下流側と二次転写ベルト307の上流側との間に形成されている。用紙搬送路P2は、用紙の両面に画像を形成する両面画像形成時に、片面に画像が形成された用紙を前後端を反転した状態で搬送する。
【0033】
給紙部400は、給紙カセット401〜403、給紙機構404〜406、給紙搬送路407を備えている。給紙カセット401〜403のそれぞれは、同一サイズの複数枚の用紙を収納する。給紙カセット401は、この発明の給紙カセットであり、複数種類の用紙を収納する。給紙機構404〜406は、それぞれ給紙カセット401〜403から用紙を1枚ずつ給紙する。給紙搬送路407は、給紙カセット401〜403と用紙搬送路310との間に形成されている。
【0034】
給紙ユニット400は、給紙機構404〜406の何れかを選択的に駆動し、給紙カセット401〜403の何れかから1枚ずつ用紙を給紙する。給紙ユニット400から給紙された用紙は、給紙搬送路407から用紙搬送路310に搬送される。
【0035】
図2は、この発明の給紙カセットの断面図である。給紙カセット401は、上面が開放した筐体411内部に、収納部412,413、レール414を備えている。
【0036】
収納部412は、この発明の第1収納部であり、筐体411の底面に固定的に配置されている。第1収納部412は、載置板421、爪422、背面規制板423、側面規制板424、押圧部材425を備えている。第1収納部412は、載置板421の上面に複数枚の用紙を積載して収納する。載置板421は、矢印Xで示す用紙給紙方向の上流側端部421Aを支点にして下流側端部421Bを上方に向けて揺動自在に支持されている。爪422は、所定範囲内で上下方向に移動自在にされており、収納部412に収納されている最上部の用紙の角部に上方から当接し、最上部の用紙の上面の高さ方向の位置を規定する。背面規制板423は、収納部412内における部用紙の上流側端面の位置を規定する。側面規制板424は、収納部412内における用紙の側面位置を規定する。押圧部材425は、一端が筐体の底面に回転自在に支持されており、他端が載置板421の底面に当接する。押圧部材425は、図示しないモータの回転により、載置板421を上方に押し上げる。押圧部材425は、モータとともに、この発明の付勢部材に相当する。
【0037】
収納部413は、この発明の第2収納部であり、載置板431、爪432、背面規制板433、側面規制板434、コロ435を備えている。第2収納部413は、載置板431の上面に複数枚の用紙を積載して収納する。載置板431は、矢印Xで示す用紙給紙方向の上流側端部431Aを支点にして下流側端部431Bを上方に向けて揺動自在に支持されている。爪432は、所定範囲内で上下方向に移動自在にされており、収納部413に収納されている最上部の用紙の角部に上方から当接し、最上部の用紙の上面の高さ方向の位置を規定する。背面規制板433は、収納部413内における用紙の上流側端面の位置を規定する。側面規制板434は、収納部413内における用紙の側面位置を規定する。コロ435は、この発明の回転体であり、図示しない駆動源から回転が供給される。
【0038】
画像形成装置100で画像形成処理を受ける最大の用紙のサイズがA3サイズである場合、一例として、収納部412にはB5サイズの用紙が収納され、収納部413にはA4サイズの用紙が収納される。この例では、収納部412に収納される用紙のサイズよりも収納部413に収納される用紙のサイズの方が大きい。
【0039】
また、筐体411内で、より下側に位置する収納部412の用紙収納枚数は、上側に位置する収納部413の用紙収納枚数よりも多い。収納部412及び収納部413には、使用頻度を考慮して普通紙や写真画像形成用のコート紙等の種類の異なる用紙が収納される。
【0040】
レール414は、筐体411の内側面に矢印X方向に沿って配置されている。レール414の上面にコロ435の周面が当接する。コロ435の回転により、収納部413がレール414の長手方向に沿って移動する。収納部413の底面は、収納部412に収納されている最上部の用紙の上面よりも高い位置に配置されている。収納部413の移動時に、収納部413の底面が収納部412に収納されている用紙に当接することはない。コロ435に回転を供給する駆動源は、この発明の第1駆動源であり、後述するモータM1である。コロ435、レール414、モータM1が、この発明の移動機構に相当する。移動機構は、これに限るものではなく、収納部413の退避位置と露出位置との間にわたって張架されたベルト又はワイヤによって構成することもできる。
【0041】
画像形成装置100の給紙部400に配置されている給紙機構404は、ピックアップローラ441、給紙ローラ442、捌きローラ443を備えている。ピックアップローラ441は、給紙ローラ442の回転軸回りに揺動自在に支持されている。ピックあっ負ローラ441の周面は、収納部412又は収納部413に収納されている最上部の用紙の上面に当接する。ピックアップローラ441の回転によって最上部の用紙が給紙方向に繰り出される。給紙ローラ442は、図示しないモータの回転によって図2中の矢印R1で示す方向に回転する。捌きローラ443は、給紙ローラ442に向けて付勢されており、トルクリミッタを介して回転自在に支持されている。
【0042】
給紙ローラ442と捌きローラ443との間に1枚の用紙が導かれた場合、捌きローラ443にはトルクリミッタが許容する範囲の負荷が作用し、捌きローラ443は給紙ローラ442の回転に伴って矢印R2方向に回転する。給紙ローラ442と捌きローラ443との間に同時に2枚以上の用紙が導かれた場合、捌きローラ443にはトルクリミッタが許容する範囲を超える負荷が作用し、捌きローラ443は回転しない。ピックアップローラ441によって複数枚の用紙が同時に繰り出された場合にも、最上部の1枚の用紙のみが給紙ローラ442と捌きローラ443との間を通過して給紙搬送路407に給紙される。
【0043】
図3は、上記給紙カセットの平面図である。図3(A)は、第2収納部が退避位置に位置している状態を示している。図3(B)は、第2収納部が露出位置に位置している状態を示している。
【0044】
収納部413は、コロ435のレール414上での回転により、筐体411の内部で図3(A)に示す退避位置と図3(B)に示す露出位置との間に移動自在にされている。
【0045】
収納部412は、筐体411内でピックアップローラ441が載置板421の上面に対向する給紙位置に固定的に配置されている。図3(A)に示すように、収納部413が退避位置に位置している状態では、載置板421上に積載して収納された用紙がピックアップローラ441によって1枚ずつ給紙方向(矢印X方向)に繰り出される。退避位置における収納部413の移動は、ストッパ436によって規制される。ストッパ436は、一例として筐体411の底面に配置されており、給紙方向における収納部413の下流側端部に選択的に当接する。
【0046】
図3(B)に示すように、収納部413が露出位置に位置している状態では、収納部412の上方に収納部413が位置し、ピックアップローラ441は、収納部413の載置板431の上面に対向する。積載板431上に積載して収納された用紙がピックアップローラ441によって1枚ずつ給紙方向に繰り出される。露出位置における収納部413の移動は、ストッパ437によって規制される。ストッパ437は、この発明の固定機構であり、一例として筐体411の底面に配置されており、給紙方向における収納部413の上流側端部に選択的に当接する。ストッパ437に代えて、ストッパ436を共用することもできる。
【0047】
図4は、画像形成装置の制御部のブロック図である。画像形成装置100の主制御部500は、ROM502及びRAM503を備えたCPU501に、コントローラ504等を接続して構成されている。ROM502は、CPU501の動作を規定するプログラムを格納している。RAM503は、CPU501に入出力されるデータを記憶する。コントローラ504は、操作パネル510のディスプレイ511及びキースイッチ512が接続されている。
【0048】
操作パネル510は、画像形成装置100の本体上面に配置されている。ディスプレイ511は、画像形成装置100の動作状態等を表示する。キースイッチ512は、操作者による画像形成条件の入力操作を受け付ける。画像形成条件には、画像濃度、倍率、用紙サイズ等が含まれる。
【0049】
コントローラ504は、キースイッチ512の操作データをCPU501に入力する。CPU501は、操作データによって特定される画像形成条件に基づいて、画像読取部200、画像形成部300及び給紙部400の各機器の状態を設定する。また、CPU501は、コントローラ504に表示データを出力する。コントローラ504は、表示データをディスプレイ511に表示する。
【0050】
画像形成装置100の給紙部400に設けられている副制御部600は、ROM602及びRAM603を備えたCPU601に、ドライバ604〜607等を接続して構成されている。ROM602は、CPU601の動作を規定するプログラムを格納している。RAM603は、CPU601に入出力されるデータを記憶する。
【0051】
ドライバ604〜607は、CPU601から出力される駆動データに基づいてモータM1〜M4を駆動する。モータM1は、この発明の第1駆動源であり、コロ435に正逆両方向の回転を選択的に供給する。モータM1は、収納部413に搭載される。単一のモータM1に代えて、互いに反対方向にのみ回転する2個のモータを備えてもよい。モータM2は、押圧部材425に載置板421を上方に付勢するための回転を供給する。モータM3は、ストッパ436が収納部413に当接するための回転を供給する。モータM4は、ストッパ437が収納部413に当接するための回転を供給する。
【0052】
主制御部500のCPU501は、画像形成処理時に、キースイッチ512の操作によって入力された画像形成条件のうちの用紙種別データを、給紙要求とともに副制御部600のCPU601に送信する。CPU601は、CPU501から送信された用紙種別データに基づいて、給紙カセット401〜403の何れかに収納されている用紙を給紙する。用紙種別データが給紙カセット401の収納部412又は収納部413のいずれかに収納されている用紙を指定するものである場合、CPU601はドライバ604〜607に選択的に駆動データを出力する。
【0053】
なお、副制御部600は、主制御部500内に一体的に構成することもできる。
【0054】
図5は、画像形成装置における副制御部の処理手順を示すフローチャートである。画像経緯装置100に対する電源投入後に、CPU601は、CPU501からの給紙要求の入力を待機している(S1)。CPU501から給紙要求が入力されると、CPU601は給紙要求に含まれる用紙種別データを読み取り(S2)、複数の収納部を備えた給紙カセット401から用紙を給紙すべきか否かの判別を行う(S3)。給紙カセット401以外の給紙カセット402又は403から用紙を給紙すべき場合、CPU601は、他の処理を行う(S4)。
【0055】
給紙カセット401から用紙を給紙すべき場合、CPU601は、収納部412に収納されている用紙を給紙すべきか、収納部413に収納されている用紙を給紙すべきかの判別を行う(S5)。収納部412に収納されている用紙を給紙すべき場合、CPU601は、モータM3,M4を駆動してストッパ436,437を退避させ(S6)、モータM1を逆転駆動して収納部413を退避位置に移動させる(S7)。この後、CPU601は、モータM3の駆動により上流側のストッパ436を露出させ、収納部413の移動を規制する(S8)。
【0056】
収納部413に収納されている用紙を給紙すべき場合、CPU601は、モータM3,M4を駆動してストッパ436,437を退避させ(S9)、モータM1を正転駆動して収納部413を露出位置に移動させる(S10)。この後、CPU601は、モータM4の駆動により下流側のストッパ437を露出させて収納部413の移動を規制する(S11)。
【0057】
次に、CPU601は、モータM2を駆動して押圧部材425を揺動させ、載置板421又は431を上方に付勢し(S12)、ピックアップローラ441を下方に揺動させて用紙の給紙を開始する(S13)。用紙の給紙開始から所定時間が経過すると(S14)、CPU601は、次の用紙を給紙すべきか否かの判別を行い(S15)、必要枚数の用紙の給紙を繰り返し行う。
【0058】
図6は、給紙カセットにおける用紙の給紙動作を説明する断面図である。図6(A)は、第1収納部からの給紙動作を示している。図6(B)は、第2収納部からの給紙動作を示している。
【0059】
第1給紙部412に収納されている用紙を給紙する場合、図6(A)に示すように、第2収納部413を退避位置に位置させる。この状態で押圧部材425を上方に揺動させると、載置板421が上流側端部421Aを支点に揺動し、収納部412に収納されている用紙の下流側が上方に持ち上げられる。収納部412に収納されている最上部の用紙の上面には、下方に揺動したピックアップローラ441の周面が当接する。ピックアップローラ441の回転により、収納部412に収納されている用紙が給紙方向(矢印X方向)に繰り出される。
【0060】
第2給紙部413に収納されている用紙を給紙する場合、図6(B)に示すように、第2収納部413を露出位置に位置させる。この状態で押圧部材425を上方に揺動させると、載置板421が上流側端部421を支点に揺動し、収納部412に収納されている用紙の下流側が上方に持ち上げられ、載置板431を上方に押し上げる。載置板431が上流側端部431Aを支点に揺動し、収納部413に収納されている用紙の下流側が上方に持ち上げられる。収納部413に収納されている最上部の用紙の上面には、下方に揺動したピックアップローラ441の周面が当接する。ピックアップローラ441の回転により、収納部413に収納されている用紙が給紙方向に繰り出される。
【0061】
以上のようにして、給紙カセット401に設けられた2つの給紙部412,413のそれぞれに収納されている用紙が、単一の給紙機構404によって選択的に給紙される。画像形成装置100の給紙部400に、給紙カセット401に対して2津の給紙機構を設ける必要がなく、装置の構成を簡略化できる。また、給紙搬送路が複雑化することがなく、用紙のジャムの発生頻度の増加を防止できる。
【0062】
なお、収納部413の載置板を収納部412に収納されている用紙を介して上方に揺動させるようにしたが、収納部413に独立して押圧部材を備えてもよい。
【0063】
図7は、この発明の別の実施形態に係る給紙カセットの断面図である。図7(A)に示す給紙カセット450は、収納部453を退避位置に向けて付勢する弾性部材452を備えている。コロ455には収納部453が露出位置に向かう方向にのみ回転を供給すればよく、コロ455の駆動源として1方向にのみ回転するモータを備えればよい。
【0064】
収納部453を露出位置に向けて付勢する弾性部材を設け、コロ455に収納部453が退避位置に向かう方向にのみ回転を供給するモータを備えてもよい。
【0065】
図7(B)に示す給紙カセット460は、筐体461の上面の一部に蓋体464を備えている。蓋体464は、退避位置に位置している収納部463の上面を被覆する。画像形成装置100が店舗等の不特定人によって操作される可能性のある場所に設置されている場合、収納部463に収納されたコート紙等の高価な用紙が容易に視認されない状態にし、盗難を防止できる。
【0066】
蓋体464を備えていない場合でも、収納部463を常に露出位置に位置させるようにすることで、収納部462に収納された用紙が容易に視認されない状態にし、盗難を防止できる。
【0067】
図7(C)に示す給紙カセット470は、筐体471の内部に固定的に配置される第1収納部472に、第2収納部473に収納される用紙よりも大きいサイズの用紙を収納している。筐体471の内部を効率よく使用できる。
【0068】
図7(D)に示す給紙カセット480は、2個の第2収納部483,484を上下2段に備えている。筐体481の内側面には、上下2段にレール485,486を配置している。筐体481の内部に、第1収納部482と合わせて3個の収納部を設けることができ、3種類の用紙を収納できる。
【0069】
なお、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】この発明の実施形態に係る給紙カセットが適用される画像形成装置の概略の断面図である。
【図2】この発明の実施形態に係る給紙カセットの断面図である。
【図3】給紙カセットの平面図であり、(A)は第2収納部が退避位置に位置している状態を示し、(B)は第2収納部が露出位置に位置している状態を示している。
【図4】画像形成装置の制御部のブロック図である。
【図5】画像形成装置における副制御部の処理手順を示すフローチャートである
【図6】給紙カセットにおける用紙の給紙動作を説明する断面図であり、(A)は第1収納部からの給紙動作を示し、(B)は第2収納部からの給紙動作を示している。
【図7】この発明の別の実施形態に係る給紙カセットの断面図である。
【符号の説明】
【0071】
100 画像形成装置
400 給紙部
401 給紙カセット
404 給紙機構
411 筐体
412 収納部(第1収納部)
413 収納部(第2収納部)
414 レール(移動機構)
421 載置板(第1の載置板)
425 押圧部材
431 載置板(第2の載置板)
435 コロ(移動機構)
M1 モータ(第1駆動源)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙に対して処理部で所定の処理を施す主装置に備えられ、前記処理部に搬送すべき用紙を積載して収納する給紙カセットであって、
少なくとも上面が開放した筐体と、
それぞれが、前記筐体内に配置されるとともに、用紙を積載して収納する複数の収納部と、
前記主装置から出力される選択データに応じて、前記複数の収納部のいずれかに収納されている最上部の用紙が単一の給紙位置に位置するように、前記複数の収納部の少なくとも1つを移動させる移動機構と、を備えた給紙カセット。
【請求項2】
前記複数の収納部は、給紙方向の上流側端部を支点にして下流側端部が上方に揺動する第1の載置板を備えた第1収納部であって、前記第1の載置板上に収納している用紙のうちで最上部の用紙が前記単一の給紙位置に位置するように前記筐体内の最下部に固定的に配置された単一の第1収納部を含み、
前記筐体の底面に前記第1載置板の下流側端部を上方に付勢する付勢部材を備えた請求項1に記載の給紙カセット。
【請求項3】
前記複数の収納部は、給紙方向の上流側端部を支点にして下流側端部が上方に揺動する第2の載置板を備えた第2収納部であって、前記第1収納部に収納されている最上部の用紙よりも上方で、収納している最上部の用紙が前記単一の給紙位置に位置する露出位置と前記給紙方向における前記露出位置よりも上流側の退避位置との間に移動自在にされた少なくとも1つの第2収納部を含む請求項2に記載の給紙カセット。
【請求項4】
前記第2収納部は、底面に開口部を備え、前記第2の積載板の下流側端部に前記開口部を経由して前記第1収納部に収納されている最上部の用紙から前記付勢部材の付勢力が伝達される請求項3に記載の給紙カセット。
【請求項5】
前記移動機構は、前記筐体の内側面に前記露出位置と前記退避位置との間に沿って取り付けられた直線状のレールと、前記第2収納部に回転自在に支持されて前記レールの上面に周面が当接する回転体と、前記回転体に正逆両方向の回転を選択的に供給する第1駆動源と、を含む請求項3又は4に記載の給紙カセット。
【請求項6】
前記移動機構は、前記筐体の内側面に前記露出位置と前記退避位置との間に沿って取り付けられた直線状のレールと、前記第2収納部に回転自在に支持されて前記レールの上面に周面が当接する回転体と、前記回転体に前記第2収納部を前記退避位置から前記露出位置に移動させる方向の回転を選択的に供給する第2駆動源と、前記第2収納部を前記露出位置から前記退避位置に向かう方向に付勢する弾性部材と、を含む請求項3又は4に記載の給紙カセット。
【請求項7】
前記露出位置で前記第2収納部を選択的に固定する固定機構をさらに備えた請求項5又は6に記載の給紙カセット。
【請求項8】
前記第1収納部が収納する用紙のサイズと前記第2収納部が収納する用紙のサイズとが異なる請求項1乃至7の何れかに記載の給紙カセット。
【請求項9】
前記第1収納部が収納する用紙の給紙方向に直交する方向の長さは、前記第2収納部が収納する用紙の給紙方向に直交する方向の長さよりも長い請求項8に記載の給紙カセット。
【請求項10】
前記第1収納部の用紙収納高さが前記第2収納部の用紙収納高さよりも高い請求項2乃至9の何れかに記載の給紙カセット。
【請求項11】
請求項1〜10の何れかに記載の給紙カセットを備え、前記複数の給紙カセットの何れかが収納している用紙であって前記単一の給紙位置から給紙された用紙に対して画像形成部で画像形成処理を施す画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−195522(P2008−195522A)
【公開日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−34854(P2007−34854)
【出願日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】