説明

給紙装置、及びこれを用いた画像形成装置

【課題】シートが損傷するおそれを低減することができる給紙装置、及びこれを用いた画像形成装置を提供する。
【解決手段】給紙装置1は、シートの搬送方向と直交する引き出し方向へ移動可能な給紙カセット6と、給紙カセット6からシートを繰り出して搬送する給紙ローラー121及び分離ローラー122と、給紙カセット6とニップ部123との間に、給紙カセット6からニップ部123へ向けてシートをガイドするガイド面131を有するガイド板13とを備え、ガイド板13は、給紙カセット6とガイド面131ニップ部側の端縁133との距離が、ガイド面133の引き出し方向上流側の端部から引き出し方向に向かって漸増する拡大部135を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やファクシミリ装置、さらにはプリンタ装置等の画像形成装置に適用され、画像形成用のシートを給送するために用いられる給紙装置、及びこれを用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図9は、背景技術に係る給紙装置を説明するための説明図である。図9に示す給紙装置は、給紙カセット130に収納された用紙束から用紙Pを繰り出す給紙ローラー110と、この給紙ローラー110に当接してニップ部を構成し、重送されてきた用紙を分離するサバキローラー120とを備えている。給紙ローラー110とサバキローラー120とは、用紙幅のほぼ中央に対応する位置に配設されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、給紙装置100は、用紙Pをニップ部に案内するガイド部152を備えている。ガイド部152は、給紙ローラー110の長さとほぼ同じ長さにされており、用紙幅のほぼ中央に対応する位置に配設されている。また、給紙カセット130には、用紙幅を規制する幅カーソル140,140が配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−60075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、給紙カセットが、用紙の搬送方向と直交する方向(図中、X方向)へ引き出せるようにされた画像形成装置がある。図10は、このような画像形成装置で、給紙カセット130をX方向に引き出した場合の状態を説明するための説明図である。図10に示すように、用紙Pの先端がガイド部152に載った状態で給紙カセット130がX方向に引き出されると、慣性によってその位置に留まろうとする用紙束を奥側(X方向の上流側)のカーソル140が押し出そうとするため、用紙Pに皺Aが生じる。
【0006】
この状態でさらに給紙カセット130がX方向に引き出されると、皺Aがガイド部152の奥側のエッジに引っかかり、用紙Pが破れるなどして損傷する場合があった。
【0007】
本発明の目的は、シートが損傷するおそれを低減することができる給紙装置、及びこれを用いた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る給紙装置は、シートを給送する給紙装置であって、前記シートを収納すると共に、所定の給紙位置から前記シートの搬送方向と直交する引き出し方向へ移動可能な収納部と、前記シートの搬送路を挟んで対向配置され、前記給紙位置に位置付けられている前記収納部に収納されたシートをニップした状態で回転することにより、前記収納部から前記シートを繰り出して搬送する第1及び第2のローラーと、前記収納部と前記第1及び第2のローラーにおける前記シートをニップするニップ部との間に、前記収納部から前記ニップ部へ向けて前記シートをガイドするガイド面を有するガイド部材とを備え、前記ガイド部材は、前記収納部と前記ガイド面の前記ニップ部側の端縁との距離が、前記ガイド面の前記引き出し方向上流側の端部から前記引き出し方向に向かって漸増する拡大部を有する。
【0009】
この構成によれば、ガイド面にシートの先端が載った状態で収納部が引き出し方向へ引き出されたとき、仮にシートに皺が寄ったとすると、その皺は収納部の移動に伴いガイド面の引き出し方向上流側の端部に当たることになる。このとき、収納部とガイド面のニップ部側の端縁との距離が、引き出し方向上流側の端部から引き出し方向に向かって漸増するようにガイド面が形成されているから、ガイド面の引き出し方向上流側の端部が収納部から突出する突出量がすくない。そうすると、皺がガイド面に当たるとき、皺がガイド面に引っかかりにくくなり、シートがガイド面ですくい上げられるようにガイドされるため、シートの損傷が低減される。
【0010】
また、前記ガイド部材を支持する支持部材をさらに備え、前記ガイド部材は、前記ガイド面を形成する板状の弾性体であり、前記支持部材の前記ニップ部側の端部から、前記ニップ部へ向かって突出していることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、支持部材によって支持されたガイド部材によって、収納部からニップ部へ向けてシートをガイドするガイド面が形成されている。支持部材は、シートをニップ部へ向けてガイドするようにガイド面を形成するガイド部材を支持しなければならないから、シートの圧力に抗してガイド部材を支持可能な強度の高い材料で支持部材を構成する必要がある。ここで、もし仮にガイド部材を備えず、支持部材を延長してガイド面を形成した場合、強度の高い支持部材が第1及び第2のローラーに接触するとローラーを損傷してしまうため、装置の製造誤差を考慮して、支持部材と第1及び第2のローラーとの離間距離を大きくする必要がある。
【0012】
一方、シートを適切に搬送するためには、第1及び第2のローラーのニップ部に極力近い位置までシートをガイドすることが望ましい。そこで、本発明に係る給紙装置は、ガイド面を形成する板状の弾性体であるガイド部材を、支持部材の端部からニップ部へ向かって突出させるように配置しているため、強度の高い支持部材を第1及び第2のローラーから充分離間させつつ、弾性体であるガイド部材によってニップ部に極力近い位置までシートをガイドすることが可能となる。
【0013】
また、前記ガイド部材は、樹脂フィルムであることが好ましい。
【0014】
樹脂フィルムは、シートのガイド面を形成する板状の弾性体として適している。
【0015】
また、前記第1のローラーは、駆動回転することにより前記ニップされたシートを搬送する給紙ローラーであり、前記第2のローラーは、前記ガイド部材によりガイドされてきたシートを分離する分離ローラーであることが好ましい。
【0016】
この構成によれば、分離ローラーによって、シートの重送を防止することが可能となる。
【0017】
また、前記第1のローラーよりも前記シートの搬送方向上流側に、前記シートの上面に当接するように配設され、当該シートを前記ニップ部へ送り出すピックアップローラーをさらに備えることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、第1のローラーよりもシートの搬送方向上流側に配設されたピックアップローラーによってシートがニップ部へ送り出されるので、シート搬送の確実性が向上する。
【0019】
また、本発明に係る画像形成装置は、上述の給紙装置と、前記給紙装置から給紙されたシートに画像を形成する画像形成部とを備える。
【0020】
この構成によれば、画像形成に用いられるシートが損傷するおそれを低減することができる。
【発明の効果】
【0021】
このような構成の給紙装置及び画像形成装置は、収納部とガイド面のニップ部側の端縁との距離が、引き出し方向上流側の端部から引き出し方向に向かって漸増するようにガイド面が形成されているから、ガイド面の引き出し方向上流側の端部が収納部から突出する突出量がすくない。そうすると、皺がガイド面に当たるとき、皺がガイド面に引っかかるおそれが低減される結果、シートが損傷するおそれを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態による複写機の全体構成を説明するための断面図である。
【図2】図1に示す給紙装置の構成の一例を、大略的に示す斜視図である。
【図3】図2に示す給紙カセットを上方からみた図である。
【図4】図2に示すガイド板を示す説明図である。
【図5】図2に示す給紙機構の構成の一例を示す斜視図である。
【図6】図5に示す給紙機構を、用紙搬送方向に沿う垂直面で切断した断面図である。
【図7】図5に示す下部構造体の構成の一例を示す斜視図である。
【図8】図2に示す給紙装置において、給紙カセットが引き出し方向へ引き出された状態を説明するための説明図である。
【図9】背景技術に係る給紙装置を説明するための説明図である。
【図10】図9に示す給紙装置で、給紙カセットが手前に引き出された状態を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。図1は、本発明の一実施形態による複写機の全体構成を説明するための断面図である。なお、各図中の矢印FおよびRは、給紙カセットを複写機に装着したときの機器前面側(F)および機器後面側(R)を示している。まず、図1を参照して、本発明の一実施形態による複写機10の全体構成について説明する。
【0024】
本実施形態の複写機10は、センターレジスト方式の複写機であって、機器本体の下部に配設された4箇所の給紙装置1と、これらの給紙装置1の側方および上方に配設された用紙搬送部2と、この用紙搬送部2の上方に配設された画像形成部3と、この画像形成部3よりも用紙搬送方向下流側に配設された定着部4と、これらの画像形成部3および定着部4の上方に配設された光学系部材などからなる画像読取部5と、画像読取部5の上方に開閉可能に配設された自動原稿搬送装置(ADF)7とを備えている。
【0025】
給紙装置1は、機器本体に対して挿脱自在に装着された給紙カセット6に積層載置された用紙Pの束を、円弧外周部を有するピックアップローラー11の回転動作によって給紙カセット6の出口側(図1では右側)に送り出す(用紙Pをその長さ方向に送り出す)とともに、各給紙カセット6の右端上部に設けられた捌き部12によって捌くことにより、最上位置の用紙Pから1枚ずつ確実に用紙搬送部2に給紙するようになっている。なお、この複写機10は、上記給紙カセット6の機器本体に対する挿脱方向が給紙カセット6から機器本体への用紙Pの給紙方向と略直交するように構成されている。
【0026】
なお、用紙Pは、シートの一例である。シートは、例えばOHPフィルム等であってもよい。また、給紙カセット6は、収納部の一例に相当している。
【0027】
用紙搬送部2は、給紙装置1から給紙された用紙Pを、搬送ローラー対21およびレジストローラー対22によって画像形成部3に向けて搬送し、さらに、画像形成部3から定着部4において画像形成が施された用紙Pを排出ローラー対23によって排出トレイ24上に排出するようになっている。
【0028】
画像形成部3は、電子写真プロセスによって、用紙Pに所定のトナー像を形成するものであり、回転可能に軸支された光導電性を有する感光体ドラム31と、この感光体ドラム31の周囲に配設される帯電ユニット32、露光ユニット33、現像ユニット34、転写ユニット35、クリーナー36および除電ユニット37とを備えている。
【0029】
帯電ユニット32は、高電圧が印加される帯電ワイヤを備え、この帯電ワイヤからのコロナ放電によって感光体ドラム31の表面に所定電位を与えるものである。露光ユニット33は、後述する画像読取部5によって読み取られた原稿の画像データに基づいてレーザ発光器から出力されるレーザ光を、ポリゴンミラーおよび反射鏡を介して感光体ドラム31に照射することにより、感光体ドラム31表面の電位を選択的に減衰させて、この感光体ドラム31の表面に静電潜像を形成するものである。
【0030】
現像ユニット34は、上記静電潜像をトナーにより現像して、感光体ドラム31の表面にトナー像を形成するものである。転写ユニット35は、感光体ドラム31の表面のトナー像を用紙Pに転写するものである。この複写機においては、転写ユニット35は、感光体ドラム31から所定距離だけ離間した転写ローラーによって構成されている。クリーナー36は、転写後の感光体ドラム31の表面に残留しているトナーを除去するものである。除電ユニット37は、感光体ドラム31の表面の残留電荷を除去するものである。
【0031】
定着部4は、画像形成部3の用紙搬送方向の下流側に配置され、画像形成部3においてトナー像が転写された用紙Pを、加熱ローラー41と加圧ローラー42とによって挟んで加熱し、用紙P上にトナー像を定着させるものである。
【0032】
画像読取部5は、コンタクトガラス51上に載置された原稿に、露光ランプから光を照射し、その反射光を、反射鏡を介してCCDラインセンサ等からなる光電変換部に導くことにより、原稿の画像情報を読み取るものである。なお、露光ランプおよび反射鏡は走査動作部を形成しており、この走査動作部が、所定の速度で図1の左右方向に延びる移動領域52を移動動作することにより、コンタクトガラス51上に載置された原稿の全面を走査し、原稿全面の画像を読み取ることができるようになっている。
【0033】
次に、図2〜図8を参照して、給紙装置1の構成について詳細に説明する。図2は、図1に示す給紙装置1の構成の一例を、大略的に示す斜視図である。図2では、給紙カセット6が機器本体に挿入され、給紙可能な給紙位置に給紙カセット6が位置付けられた状態を示している。また、給紙カセット6は、機器前面側(F)に引き出し可能にされており、矢印Fの方向が、給紙カセット6の引き出し方向となっている。以下、給紙カセットの引き出し方向を引き出し方向Fと称する。
【0034】
図2に示す給紙装置1は、用紙束PPを収納する給紙カセット6と、給紙カセット6に収納された用紙Pを用紙搬送部2へ給紙する給紙機構8とを備えている。
【0035】
図3は、図2に示す給紙カセットを上方からみた図である。給紙カセット6は、トレイ用フレーム61上に給紙トレイ62を載置して取り付けることにより構成されている。トレイ用フレーム61は、スライド機構61aを介して機器本体に挿脱自在に取り付けられている。そして、トレイ用フレーム61の前面カバー61bに形成されたハンドルを引くことによりスライド機構61aがスライド動作して、当該給紙カセット6を手前に引き出すことが可能なようになっている。このようにして引き出した給紙カセット6の給紙トレイ62に対して、ユーザーが用紙Pの供給等を行う。
【0036】
給紙トレイ62は、図2に示すように、用紙Pを積載して収容することが可能な凹状の用紙収容部62aを備えている。その用紙収容部62aの底部には、用紙Pの幅方向(用紙の搬送方向と直交する方向)を規制する用紙幅規制ユニット63と、用紙Pの長さ方向を規制する長さカーソル78と、これを支持する長さカーソルレール部材79とが配設されている。そして、用紙幅規制ユニット63と長さカーソル78とによって、用紙Pのサイズに対応する所定の用紙位置が規制されるようになっている。
【0037】
長さカーソル78は、長さカーソルレール部材79上を用紙Pの長さ方向にスライド可能であり、この長さカーソル78とこれに対向する給紙トレイ62の内壁面(図2では右側の内壁面)とにより用紙Pの長さ方向(用紙の搬送方向に沿う方向)の用紙位置を規制している。
【0038】
用紙幅規制ユニット63の上部には、用紙Pの給紙方向前端部を持ち上げてピックアップローラー11に当接させる略板状のリフト部材65が設けられている。リフト部材65には、長さカーソル78と長さカーソルレール部材79とを避けるように設けられた切り欠き部が設けられており、この切り欠き部から、長さカーソル78がリフト部材65の上面に突出するようになっている。
【0039】
また、リフト部材65には、2つの開口部65aが設けられている。そして、この2つの開口部65aから、ベース板73上の幅カーソル71a,71bが、リフト部材65の上面に突出するようになっている。
【0040】
用紙幅規制ユニット63は、用紙Pの幅方向を規制する一対の幅カーソル71a,71bと、これら一対の幅カーソル71a,71bをスライド可能に支持するベース板73と、一対の幅カーソル71a,71bを連動させるための図略の連動機構とを備えている。
【0041】
幅カーソル71aおよび71bは、ベース板73上を用紙Pの幅方向にスライド可能であり、図略の連動機構により互いに離接して連動することにより両幅カーソル71a,71bの間隔(幅)を広げるあるいは狭めるようになっている。そして、幅カーソル71a,71bの内側(幅カーソル71a,71bが対向する側)の壁面711a,711bが用紙Pに当接することによって、用紙Pの幅が規制されるようになっている。
【0042】
また、幅カーソル71a,71bには、各幅カーソルをベース板に固定するストッパ部材72,77が設けられている。そして、ユーザーが用紙Pの幅に合わせて幅カーソル71a,71bを位置決めした後、ストッパ部材72,77を操作することで、幅カーソル71a,71bが動かないように固定されるようになっている。
【0043】
幅カーソル71a,71bの下部には、水平方向内側に延びる板状の水平部713a,713bが連接されて、幅カーソル71a,71bに付設されている。
【0044】
図2を参照して、給紙機構8は、給紙位置に位置付けられた給紙カセット6の上方に配設されるピックアップローラー11と、ピックアップローラー11よりも給紙方向下流側に配設された捌き部12と、ガイド板13(ガイド部材)とを備えている。
【0045】
捌き部12は、用紙Pの搬送路を挟んで互いに対向配置された給紙ローラー121(第1のローラー)と分離ローラー122(第2のローラー)とを含んでいる。給紙ローラー121と分離ローラー122とは、当接されてニップ部123を構成している。なお、給紙ローラー121と分離ローラー122とは、必ずしも当接されている例に限られず、例えば用紙の厚さ程度の距離で離間して対向配置された状態で、用紙をニップするようにされていてもよい。
【0046】
ガイド板13は、後述する支持部材85によって、給紙カセット6とニップ部123との間に架け渡されるように支持されている。そして、ガイド板13は、ピックアップローラー11によって搬送されてきた用紙Pを、ニップ部123へ向けてガイドする。
【0047】
図4は、図2に示すガイド板13を示す説明図である。ガイド板13は、弾性を有する板状の部材であり、例えば、厚さ0.1mm〜1.0mm程度の樹脂フィルムによって構成されている。樹脂フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いることができる。このようなPETフィルムとしては、例えば東レ株式会社製「ルミラー」(登録商標)を用いることができる。
【0048】
ガイド板13は、上面が用紙Pをガイドするガイド面131にされている。ガイド板13は、略長方形にされている。そして、ガイド板13の用紙搬送方向上流側の縁部(辺)132が、引き出し方向Fと平行な方向に配置される。そして、ガイド板13は、用紙搬送方向下流側(ニップ部123側)のガイド板13の縁部(辺)133が、縁部132に対して傾斜してテーパーを構成した拡大部134と、縁部132と縁部133とが略平行な平行部135とを有している。
【0049】
拡大部134の縁部133には、ガイド板13の幅(縁部132と縁部133との間隔)が、引き出し方向Fの上流側端部から引き出し方向Fの下流側に向かって漸増するように、テーパーが設けられている。
【0050】
ガイド板13は、給紙トレイ62とニップ部123との間に配設されているから、拡大部134では、給紙トレイ62と拡大部134の縁部133との距離、より具体的には給紙トレイ62の用紙搬送方向下流側の壁面の上端部であり用紙取り出し口となる縁部621と、縁部133との用紙搬送方向に沿う距離が、ガイド板13の引き出し方向Fの上流側端部から引き出し方向Fに向かって漸増するようになっている。
【0051】
そして、ガイド板13は、例えばガイド板13の下面に貼付された粘着テープ136によって、後述する支持部材85に固着されるようになっている。また、ガイド板13の平行部135が、ニップ部123と対向するようにガイド板13が配置される。
【0052】
図5は、図2に示す給紙機構8の構成の一例を示す斜視図である。図6は、図5に示す給紙機構8を、用紙搬送方向に沿う垂直面で切断した断面図である。図6には、給紙位置に位置付けられた給紙カセット6の断面図が合わせて記載されている。
【0053】
図5、図6に示す給紙機構8は、ピックアップローラー11及び給紙ローラー121を含む上部構造体Uと、上部構造体Uの下部に設けられ、分離ローラー122を含む下部構造体Dとが組み合わされて、構成されている。
【0054】
上部構造体Uは、上方が開放され、用紙搬送方向と直交する方向に長尺の有底の器状に板金が折り曲げ加工されたフレーム81内に、ピックアップローラー11を持ち上げるソレノイドM、ピックアップローラー11を保持する保持部材82、ピックアップローラー11、給紙ローラー121、及び複数の搬送ローラー14が収容されて構成されている。
【0055】
フレーム81は、給紙位置に配置された給紙カセット6の縁部621側から給紙カセット6の上部を覆うように突出して配設されている。ピックアップローラー11及び給紙ローラー121は、用紙搬送方向と直交する方向に延びる駆動軸によって、用紙Pの幅方向略中央付近に対応する位置で軸支されている。
【0056】
給紙ローラー121の軸はフレーム81により軸支され、ピックアップローラー11の軸は、保持部材82によって軸支されている。そして、モーター(図省略)の駆動力が給紙ローラー121及びピックアップローラー11の軸に伝達されて、給紙ローラー121及びピックアップローラー11が回転するようになっている。
【0057】
ピックアップローラー11及び給紙ローラー121の周面は、フレーム81の底面に設けられた開口部から、フレーム81の下部に突出するようになっている。これにより、ピックアップローラー11が給紙カセット6に収納された用紙Pの上面に当接し、給紙ローラー121が下部構造体Dに設けられた分離ローラー122と当接するようになっている。
【0058】
また、フレーム81内の給紙ローラー121の下流には、用紙搬送方向と直交する方向に延びる駆動軸141が配設され、駆動軸141によって複数の搬送ローラー14が軸支されている。各搬送ローラー14の周面は、フレーム81の底面に設けられた開口部からフレーム81の下部へ突出し、下部構造体Dに設けられた後述の搬送ローラー15と当接するようになっている。
【0059】
図7は、図5に示す下部構造体Dの構成の一例を示す斜視図である。図7に示す下部構造体Dは、例えば、板金が折り曲げ加工されて形成されたフレーム83内に、分離ローラー122、トルクリミッタ124、及び複数の搬送ローラー15が収容されて構成されている。
【0060】
フレーム83は、用紙Pをガイドする上部のガイド面831と、ガイド面831を支える側板832,832と、側板832,832を繋ぐ前後の側板833,833とを備えている。ガイド面831の用紙搬送方向上流側には、給紙カセット6から搬送されてきた用紙Pの先端を受け入れるように傾斜した傾斜面84が設けられている。
【0061】
分離ローラー122は、給紙ローラー121と対向する位置に配設されている。そして、分離ローラー122の周面が、ガイド面831に設けられた開口部834から上方へ突出して給紙ローラー121と当接するようにされている。
【0062】
トルクリミッタ124は、用紙搬送方向と直交する方向に延びる連結軸によって、分離ローラー122と連結されている。そして、トルクリミッタ124は、分離ローラー122が用紙を搬送する方向に回転するのを妨げる方向の回転トルク(以下、リミットトルクと称する)を、分離ローラー122に付与する。
【0063】
このリミットトルクとしては、1枚の用紙Pが給紙ローラー121と分離ローラー122との間にニップされたときに、給紙ローラー121が用紙Pを搬送することにより、用紙Pと分離ローラー122との間の摩擦力によって分離ローラー122を従動回転させようとするトルクよりも小さく、かつ、2枚の用紙Pが給紙ローラー121と分離ローラー122との間にニップされたときに、2枚の用紙間に生じる摩擦力によって分離ローラー122を従動回転させようとするトルクよりも大きなトルク値が設定されている。
【0064】
これにより、1枚の用紙Pが給紙ローラー121と分離ローラー122との間にニップされたときは、給紙ローラー121から用紙Pを介して分離ローラー122へ伝達されるトルクがリミットトルクに打ち勝って、分離ローラー122が従動回転することにより用紙Pが用紙搬送方向へ搬送される。
【0065】
一方、2枚の用紙Pが給紙ローラー121と分離ローラー122との間にニップされたときは、リミットトルクが2枚の用紙P間の摩擦力に打ち勝って、分離ローラー122が回転停止することで分離ローラー122に接する側の用紙Pの搬送を止め、あるいは分離ローラー122が逆回転することで分離ローラー122に接する側の用紙Pを給紙カセット6側へ押し戻す。このようにして、分離ローラー122は重なった用紙Pを分離し、用紙Pの重送を防止するようになっている。
【0066】
分離ローラー122の用紙搬送方向下流側には、図略の駆動軸で軸支された複数の搬送ローラー15が配設されている。各搬送ローラー15は、各搬送ローラー14と対向する位置に配設されている。そして、各搬送ローラー15の周面が、ガイド面831に設けられた開口部から上方へ突出して各搬送ローラー14とそれぞれ当接するようにされている。
【0067】
分離ローラー122の用紙搬送方向上流側における開口部834の縁部には、給紙ローラー121と分離ローラー122とのニップ部123に向かって傾斜する支持部材85が設けられている。支持部材85は、例えば次のように構成されている。例えば、開口部834の用紙搬送方向上流側の縁部となる位置において、傾斜面84の板金が、プレス加工などによって上方に押し出されるように変形加工され、傾斜面84よりも傾斜角が大きくなるように引き起こされて、ニップ部123に向かって傾斜する傾斜面を有する支持部材85が形成されている。
【0068】
この場合、傾斜面84から支持部材85へ滑らかに連続して傾斜角が変化するようになっている。
【0069】
そして、支持部材85の上面に、粘着テープ136によってガイド板13が貼付されて、ガイド板13が固着されている。
【0070】
そして、給紙トレイ62に収納された用紙束PPの最上面にピックアップローラー11が当接する。この状態で図略のモーターがピックアップローラー11及び給紙ローラー121を回転駆動すると、ピックアップローラー11によって用紙Pが捌き部12へ向かって搬送される。そして、用紙Pの先端が傾斜面84によって給紙機構8の搬送路に受け入れられると共に、用紙Pの先端がガイド板13の上面(ガイド面)に当接し、ガイド板13の傾斜に沿って用紙Pがニップ部123へ向かってガイドされる。
【0071】
そして、用紙Pがニップ部123に到達すると、用紙Pは給紙ローラー121と分離ローラー122とにニップされ、給紙ローラー121の駆動回転によって搬送ローラー14,15へ搬送される。用紙Pはさらに搬送ローラー14,15によってニップされて、搬送ローラー14,15の駆動回転により用紙搬送部2へ搬送される。
【0072】
図8は、図2に示す給紙装置1において、用紙Pの先端がガイド板13に載った状態で給紙カセット6が引き出し方向Fへ引き出された状態を説明するための説明図である。用紙Pの先端がガイド板13に載った状態で給紙カセット6が引き出し方向Fへ引き出されると、幅カーソル71aが用紙束PPを引き出し方向Fへ押し出そうとする。このとき、用紙束PPが慣性によってその位置に留まろうとするのに加えて、ピックアップローラー11が最上面の用紙Pに当接しているから、ピックアップローラー11と用紙Pとの摩擦により、用紙Pに皺Aが生じる。
【0073】
この状態でさらに給紙カセット6が引き出し方向Fに引き出されると、ガイド板13の引き出し方向Fの上流側(矢印R側)の端部(拡大部134の先端部)に皺Aが当たる。しかしながら、拡大部134の先端部は、給紙カセット6の縁部621と、拡大部134の縁部133との用紙搬送方向に沿う距離が最も短くなっており、縁部621からのガイド板13の突出量が少ない。これにより、皺Aがガイド板13の先端部に引っかかるおそれが低減される。その結果、用紙が損傷するおそれを低減することができる。
【0074】
そして、給紙カセット6の縁部621と、ガイド板13の縁部133との用紙搬送方向に沿う距離は、引き出し方向Fに向かって漸増し、拡大部134と平行部135とが滑らかに連続するように接続されているので、皺Aがガイド板13の縁部133に引っかかるおそれが低減される。その結果、用紙が損傷するおそれを低減することができる。
【0075】
もし、皺Aがガイド板13に引っかかって用紙Pが破れると、ユーザーは用紙Pの破片を除去しなければならず、面倒である。また、皺Aがガイド板13のエッジに引っかかると、ガイド板13が支持部材85から引き剥がされるおそれがある。しかしながら、給紙装置1においては、上述のように皺Aがガイド板13に引っかかるおそれが低減される結果、ユーザーが用紙Pの破片を除去する手間が削減され、また、ガイド板13が支持部材85から引き剥がされるおそれも低減される。
【0076】
さらに、ガイド板13を支持する支持部材85の、引き出し方向Fにおける上流側は、傾斜面84から滑らかに連続して傾斜角が変化するように、傾斜面84と接続されているので、支持部材85の、引き出し方向Fにおける上流側端部に皺Aが引っかかるおそれが低減される。その結果、用紙が損傷するおそれを低減することができる。
【0077】
なお、本発明に係る給紙装置1を、画像形成装置の一例としての複写機に適用した例について示したが、これに限らず、複写機以外のプリンタやファクシミリ、それらの複合機等にも適用可能である。また、例えば特許文献1に記載の給紙装置のように、ピックアップローラー11を備えない構成であってもよい。また、給紙ローラー121と分離ローラー122とは、配置が入れ替わっていてもよい。また、第1及び第2のローラーは、必ずしも給紙ローラー121及び分離ローラー122でなくてもよく、給紙(搬送)用のローラー対であってもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 給紙装置
2 用紙搬送部
3 画像形成部
4 定着部
5 画像読取部
6 給紙カセット
8 給紙機構
10 複写機
11 ピックアップローラー
12 捌き部
14,15 搬送ローラー
21 搬送ローラー対
22 レジストローラー対
23 排出ローラー対
24 排出トレイ
31 感光体ドラム
34 現像ユニット
35 転写ユニット
41 加熱ローラー
42 加圧ローラー
61a スライド機構
61 トレイ用フレーム
61b 前面カバー
62 給紙トレイ
62a 用紙収容部
65 リフト部材
71a,71b 幅カーソル
72,77 ストッパ部材
81,83 フレーム
82 ギアボックス
84 傾斜面
85 支持部材
121 給紙ローラー
122 分離ローラー
123 ニップ部
124 トルクリミッタ
130 給紙カセット
131 ガイド面
132,133 縁部
134 拡大部
135 平行部
136 粘着テープ
141 駆動軸
621 縁部
831 ガイド面
832,833 側板
834 開口部
D 下部構造体
P 用紙
U 上部構造体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを給送する給紙装置であって、
前記シートを収納すると共に、所定の給紙位置から前記シートの搬送方向と直交する引き出し方向へ移動可能な収納部と、
前記シートの搬送路を挟んで対向配置され、前記給紙位置に位置付けられている前記収納部に収納されたシートをニップした状態で回転することにより、前記収納部から前記シートを繰り出して搬送する第1及び第2のローラーと、
前記収納部と前記第1及び第2のローラーにおける前記シートをニップするニップ部との間に、前記収納部から前記ニップ部へ向けて前記シートをガイドするガイド面を有するガイド部材とを備え、
前記ガイド部材は、
前記収納部と前記ガイド面の前記ニップ部側の端縁との距離が、前記ガイド面の前記引き出し方向上流側の端部から前記引き出し方向に向かって漸増する拡大部を有する給紙装置。
【請求項2】
前記ガイド部材を支持する支持部材をさらに備え、
前記ガイド部材は、
前記ガイド面を形成する板状の弾性体であり、前記支持部材の前記ニップ部側の端部から、前記ニップ部へ向かって突出している請求項1記載の給紙装置。
【請求項3】
前記ガイド部材は、樹脂フィルムである請求項1又は2記載の給紙装置。
【請求項4】
前記第1のローラーは、駆動回転することにより前記ニップされたシートを搬送する給紙ローラーであり、
前記第2のローラーは、前記ガイド部材によりガイドされてきたシートを分離する分離ローラーである請求項1〜3のいずれか1項に記載の給紙装置。
【請求項5】
前記第1のローラーよりも前記シートの搬送方向上流側に、前記シートの上面に当接するように配設され、当該シートを前記ニップ部へ送り出すピックアップローラーをさらに備える請求項1〜4のいずれか1項に記載の給紙装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の給紙装置と、
前記給紙装置から給紙されたシートに画像を形成する画像形成部とを備える画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−166912(P2012−166912A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29742(P2011−29742)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】