給紙装置、画像形成装置
【課題】フランジと中継ローラ、巻き戻しローラのスベリ量を最適化して長寿命化を達成し、バックテンションの最適化により搬送品質を向上させた給紙装置のとする。
【解決手段】取付可能なロール紙2の最大径より小径のフランジ1、フランジ1の回転を支持するフランジ受け台3、フランジ1を逆回転させてロール紙2をロールに巻き取るための巻き戻しローラ4、巻き戻しローラ4の駆動をフランジ1に伝える中継ローラ5、ロール紙2の順送り時にロール紙2をグリップして送り出し、かつロール紙2を介してロールに正回転を与える給紙ローラ6、給紙、巻き戻し各ローラに駆動を伝達する駆動系とモータ及びこれらの制御系を備えて、ロール紙2の残量に応じて、ロール紙2の送り出し、巻き戻し時にフランジ1の回転速度を可変とする。
【解決手段】取付可能なロール紙2の最大径より小径のフランジ1、フランジ1の回転を支持するフランジ受け台3、フランジ1を逆回転させてロール紙2をロールに巻き取るための巻き戻しローラ4、巻き戻しローラ4の駆動をフランジ1に伝える中継ローラ5、ロール紙2の順送り時にロール紙2をグリップして送り出し、かつロール紙2を介してロールに正回転を与える給紙ローラ6、給紙、巻き戻し各ローラに駆動を伝達する駆動系とモータ及びこれらの制御系を備えて、ロール紙2の残量に応じて、ロール紙2の送り出し、巻き戻し時にフランジ1の回転速度を可変とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロール紙などのロール型のシート媒体の給紙装置と、この給紙装置を搭載する、プリンタ、プロッタ、ファクシミリ、複写機などの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロール紙の保持方法は様々なサイズのロール紙に対応するために、スプール方式かフランジ方式が取られていた。すなわち従来のロール紙の給紙装置は、スプールをロール紙の中に一本通すことでロール紙を保持するか、フランジによってロール紙の両サイドを保持するかの2つに分けられる。
【0003】
スプール方式の特徴として、長いスプールをロール紙の紙管に通す必要がありユーザの操作性は悪いが、巻き戻しの機構などを設けるときに、スプールに駆動伝達機構を設けることで、ロール紙自体を容易に駆動ができるという利点があり、巻き戻し機構を設ける際には積極的に採用されてきた。
【0004】
また、フランジ方式は、ロール紙の両サイドからフランジを紙管に挿入して保持するため、ユーザの操作性は非常に高い。すなわち、フランジ方式ではどのようなサイズのロール紙においても両側からフランジをセットするだけでよいのでユーザのセット性は向上する。しかし、巻き戻しの際に駆動をロールに伝えるためにはフランジの径をロール紙の最大外径より大きくして対応している。そのため、ロール紙にフランジをセットする際にロール紙を持ち上げる必要がありセット性が悪化してしまっている。また、フランジの径が大きくなることによりレイアウト上の制約ができてしまい、機械サイズへの影響も懸念される。
【0005】
すなわち、ロール紙に直接駆動力を伝達するにはフランジの径をロール紙の最大外径よりも大きくしてフランジの外径に駆動力を伝える方式か、用紙搬送時の幅方向の基準を用紙の端部にとってフランジに駆動力を伝える方式のどちらかしかなく、フランジの外径を大きくすると、フランジの径が大きくなってしまい、機械サイズが大きくなり、ロール紙をセットするときに片側を持ち上げつつセットしなくてはいけないという欠点がある。また、搬送時の幅方向の基準を用紙の端部にしてしまうと、長尺の用紙を搬送する際にはシワ、ヨリ、スキューなどの搬送品質に問題が出る怖れがある。
【0006】
なお特許文献1に開示されているように、ロール紙をスプールにて保持して、ワンウェイギヤを使用することで巻き戻し時にのみ、スプールに駆動を伝達して高精度な搬送を達成することができる。また、特許文献2ではフランジ型でかつフランジの径がロール紙の最大外径よりも小さくなっており、フランジの受けコロにてロール紙を巻き戻す方式を採用している。この方法では、巻き戻す速度が一定の場合、ロール紙の残量が減ることによって受けコロのスリップ量が大きくなり耐久性に劣ると考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、ユーザの操作性と機能、寿命を満足する巻き戻し機構を提供する。すなわち、上述した従来の2種類の方式の欠点を補う形で、フランジ径がロール紙の最大外径よりも小さいフランジ型のセット方式を採用し、巻き戻しローラとフランジの間に中継ローラをはさむことによってフランジに駆動を伝達することでユーザビリティーを兼ね備えた巻き戻し機構を実現する。
【0008】
また従来方式の問題点として、中継ローラとフランジのスベリ量がロール紙の残量によって大きく異なるため寿命が短くなることが懸念されているため、ロール紙の残量に応じてフランジの回転速度を可変とすることで、フランジと中継ローラ、巻き戻しローラのスベリ量を最適化して長寿命化を達成し、バックテンションの最適化により搬送品質を向上することができる機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の給紙装置のうち請求項1に係るものは、用紙を巻き付けたロールの取付可能な最大径より小径のフランジ、該フランジの回転を支持するフランジ受け台、前記フランジを逆回転させて用紙を前記ロールに巻き取るための巻き戻しローラ、該巻き戻しローラの駆動をフランジに伝える中継ローラ、用紙順送り時に用紙をグリップして送り出し、かつ用紙を介して前記ロールに正回転を与える給紙ローラ、該給紙ローラと前記巻き戻しローラとに駆動を伝達する駆動系、モータ及びこれらの制御系を備え、該制御系が、前記フランジに取り付けたロールの用紙の残量に応じて用紙の送り出し量を可変とするとともに、巻き戻し時の前記フランジの回転速度を可変とすることを特徴とする。
【0010】
請求項2に係るものは、請求項1の給紙装置において、前記中継ローラと接触する前記フランジの外周面と、前記中継ローラの外周面とがそれぞれ同様の形状のテーパー形状をなし、前記中継ローラを前記ロールの長手方向に沿って移動自在とするとともに、該移動方向に加圧する加圧機構を設けてなることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係るものは、請求項2の給紙装置において、前記フランジに取り付けた前記ロールの用紙の残量がいかなる量であっても、前記用紙の巻き戻し、送り出し速度が前記給紙ローラの給紙速度よりも5から30%速くなるように、前記中継ローラ及び前記フランジのテーパー形状を設定してなることを特徴とする。
【0012】
請求項4に係るものは、請求項3の給紙装置において、前記制御系が、前記ロールへ用紙の巻き戻し時に前記巻き戻しローラに駆動を伝達し、前記ロールからの用紙送り出し時には駆動を伝達しないことを特徴とする。
【0013】
請求項5に係るものは、請求項4の給紙装置において、前記巻き戻しローラに電磁クラッチを設けてなることを特徴とする。
【0014】
請求項6に係るものは、請求項4の給紙装置において、前記巻き戻しローラにワンウェイクラッチを設けてなることを特徴とする。
【0015】
請求項7に係るものは、請求項1の給紙装置において、前記フランジに取り付けた前記ロールの用紙の残量を検知する検知手段を備え、前記巻き戻しローラのみに駆動力を伝える駆動系を備え、前記制御手段が、前記検知手段で検知した前記ロールの用紙の残量に応じて前記巻き戻しローラの回転数を制御することを特徴とする。
【0016】
請求項8に係るものは、請求項7の給紙装置において、前記検知手段が、前記ロールの用紙の搬送速度を検知するものであることを特徴とする。
【0017】
請求項9に係るものは、請求項8の給紙装置において、前記検知手段が前記ロールに対向させて従動コロを配置し、該従動コロの回転数を読み取ることによって前記ロールの用紙の残量を検知するものであることを特徴とする。
【0018】
請求項10に係るものは、請求項7の給紙装置において、前記検知手段が前記ロールの用紙の外径を検知することを特徴とした。
【0019】
請求項11に係るものは、請求項10の給紙装置において、前記検知手段が、前記ロールに対向させて従動コロを配置し、該従動コロの前記ロールに対する位置を、前記ロールの用紙の外径に応じて変位自在とし、前記検知手段が該従動コロの変位量を検知することを特徴とする。
【0020】
請求項12に係る画像形成装置は、請求項1から11のいずれかに記載の給紙装置を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ローラ残量に応じて巻き戻し速度を変更することで、巻き戻し速度と給紙ローラの速度の差が大きくなりすぎず、スベリ量を最小化でき寿命が長くなる。また、送り出し、巻き戻し時の給紙ローラとロール紙の間のバックテンションを最適化でき、所定の送り出し量、巻き戻し量を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明を利用したインクジェット方式のプリンタの全体図
【図2】同給紙装置の拡大側面図
【図3】同給紙装置の拡大平面図
【図4】ロール紙の残量が減ってきて、重量が軽くなった場合の給紙装置の拡大平面図
【図5】速度検知ローラの配置を示す給紙装置の拡大側面図
【図6】ロール紙の残量が減ってきてもロール紙に速度検知ローラが常に突き当たる状態を示す給紙装置の拡大側面図
【図7】ロール紙の外形に突き当たるようにアイドラローラを配置した給紙装置の拡大側面図
【図8】図7の給紙装置でロール紙の残量が減ってきても状態の拡大側面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下本発明を実施するための最良の形態を、図に示す実施例を参照して説明する。なお本発明は図示の画像形成装置への実施には限定されず、画像形成を行う種々の装置に適用可能である。
【0024】
一定のスピードで、ロール紙の送り出し、巻き戻しを行うとロール紙の残量が少なくなってロールの径が最小となった場合に合わせて送り出し、巻き戻しのスピードを設定しなくてはならないため、ロール紙の径が大きい場合、巻き戻しの速度が給紙ローラのスピードに比べて速くなり、スリップによる磨耗が懸念されるので、本発明の給紙装置は、取付可能なロール紙最大径より小径のフランジ、フランジの回転を支持するフランジ受け台、フランジを逆回転させて用紙をロールに巻き取るための巻き戻しローラ、巻き戻しローラの駆動をフランジに伝える中継ローラ、用紙順送り時に用紙をグリップして送り出し、かつ用紙を介してロールに正回転を与える給紙ローラ、給紙、巻き戻し各ローラに駆動を伝達する駆動系とモータ及びこれらの制御系を備えて、ロール紙の残量に応じて、用紙の送り出し、巻き戻し時にフランジの回転速度が可変とする。
【0025】
そして、ローラ残量に応じて巻き戻し速度を変更することで、巻き戻し速度と給紙ローラの速度の差が大きくなりすぎず、スベリ量を最小化でき寿命が長くなる。また、送り出し、巻き戻し時の給紙ローラとロール紙の間のバックテンションを最適化でき、所定の送り出し量、巻き戻し量を得ることが可能となる。
【0026】
また、中継ローラと接触するフランジの外周面がテーパー形状となっていて、中継ローラも同様のテーパー形状になっており、中継ローラがロール長手方向に自在に移動可能でかつ、その方向に加圧する加圧機構を設けることで、ロール紙の重量により、フランジと中継ローラの接触位置が変化し、そのことで、重量が重くロール紙の外形が大きい場合には中継ローラの外径が小さい部分でフランジが接触して回転速度が遅くなり、残量が減ってロール紙の重量が減った場合には中継ローラの外径が大きい部分でフランジと接触して回転速度が速くなるため、用紙の速度が一定となり、スベリ量が低減でき寿命が長くなる。
【0027】
また巻き戻し量を所定の量得る必要がある場合、ロール紙の残量がいかなる場合であってもロール紙の巻き戻し、送り出しのスピードが給紙ローラのスピードよりも5〜30%速くなるように、前記中継ローラ及び前記フランジのテーパー形状を設定することで、ロール紙の巻き戻しスピードが、給紙ローラの巻き戻しスピードよりも速いため適切なバックテンションを得ることができ、巻き戻し量が適切な値となる。
【0028】
またロール紙の速度が給紙ローラよりも速くなるように設定すると、送り出し時に給紙ローラとロール紙の間にたるみが生じてしまい適切なバックテンションをかけることができないため、ロール紙巻き戻し時に前記巻き戻しローラに駆動を伝達し、ロール紙送り出し時には駆動を伝達しないようにすることで、ロール紙送り出し時には給紙ローラのみでロール紙を送り出すことで適切なバックテンションを得ることが可能となる。
【0029】
この場合、巻き戻しローラに電磁クラッチを設けても良い。そして、巻き戻し時は電磁クラッチをONすることで駆動を伝達し、送り出し時には電磁クラッチをOFFとすることで給紙ローラとロール紙の間のたるみを防止できる。
【0030】
また、巻き戻しローラにワンウェイクラッチを設けても良い。ワンウェイクラッチを巻き戻し方向にのみ駆動を伝達するように配置する。
【0031】
ロールの紙の残量を検知する検知手段を備え、巻き戻しローラのみに駆動力を伝える駆動系を備え、検知したロール残量に応じて巻き戻しローラの回転数を制御しても良い。ロール紙の残量を検知することで、最適なフランジ回転速度を導き出すことが可能となる。また、巻き戻しローラのみに駆動力を伝えることで、その最適なフランジの回転速度に応じて巻き戻しローラの回転量を制御することが可能となる。検知手段が、ロール紙の搬送速度を検知するようにしても良い。
【0032】
また検知手段がロールに対向するように従動コロを配置して、従動コロの回転数を読み取ることにより、ロールの残量を検知しても良く、検知手段がロール紙の外径を検知する構成としても良い。
【0033】
さらに、検知手段が、ロールに対向するように従動コロを配置しており、従動コロがロール紙の外径に応じて変位自在となっていて、その変位量を検知するようにしても良い。
【実施例1】
【0034】
図1に本発明を利用したインクジェット方式のプリンタの全体図を示す。奔走値は、ロール給紙装置を3台備えており、それぞれのロール紙2の紙管の両サイドにフランジ1が2個セットされており。フランジ1の外形はロール紙の最大外形よりも小さくなっている。フランジ1がセットされたロール紙2はフランジ受け台3上にセットされており、駆動モータ7から駆動得る給紙ローラ6から、用紙テンション付加手段へと搬送される。さらに下流のレジストローラ13とレジスト加圧ローラ14の間に搬送された用紙はチャンバー18上のプラテン板上に搬送される。チャンバー18下部に配置された吸引ファン19にてチャンバー内に負圧が形成されて、プラテン板上に複数の穴を設けているため、用紙がプラテン板上に吸いつけられて用紙の平面度が維持される。プラテン板の上にはインクを吐出するためのヘッド15を搭載したキャリッジ16が配置されており、キャリッジ16は主走査ステー17に沿って用紙の幅方向に往復して、インクをプラテン板上の用紙に向かって吐出することで用紙に画像を形成する。用紙はヘッドの幅に対応してキャリッジ16が移動するたびにレジストローラ13より所定の長さ分送り出されて、画像形成がおわると、カッター20において、所定の長さに用紙をカットして反転用紙ガイド21に沿って搬送され、排紙トレー22に排出する。
【0035】
給紙装置の拡大図を図2に示す。図示していないロール受け台に中継ローラ5及びリアローラ24を備えており、ロール紙2の紙管の両側にフランジがはめ込まれた状態でロール受け台にセットされる。ロール紙2の両側のフランジ1はロール紙2の最大外径よりも小さく設定されており、セットされたロール紙2はフランジ1の外径にて中継ローラ5及びリアローラ24に接触することで支えられている。
【0036】
ロール紙2から送り出された用紙は給紙装置の出口である給紙ローラ6とその対向ローラとで上方の印字部へと搬送されていく。搬送中のロール紙2の適切なたるみ量を得るために、ロール紙2を巻き戻す際には中継ローラ5の下側で接触している巻き戻しローラ4が駆動することで中継ローラ5を回して、フランジ2を回すことで用紙を巻き取ることができる。駆動モータ7よりタイミングベルトを介して、巻き戻しローラ4と給紙ローラ6へと駆動が伝達されている。
【0037】
図3に示すように、中継ローラ5とフランジ2にはテーパー形状が施されており、テーパー部にて中継ローラ5とフランジ2が接触するようにレイアウトされている。中継ローラ5はロール紙2の長手方向に自在に動くようになっており、常に内側へと移動するようにバネ26が設けてある。ロール紙2の重量とバネ26の加圧力がつりあった部分にて接触することとなる。図3に示すように、ロール紙の残量が多く重い場合には、中継ローラ5の細い部分にてフランジ2と接触している。そこで、中継ローラ5には常に一定の角速度ω1が伝えられているとすると中継ローラの接触部からフランジ2へと伝わる速度はVf=R2ω1となり、フランジ2及びロール紙1の角速度ω2=Vf/R1となり、ロール紙2が実際に巻き戻される速度はVr=R2・R3/R1×ω1となる。
【0038】
ロール紙2の残量が減ってきて、重量が軽くなった場合を図4に示す。この場合、ロール紙2の残量が減って重量が軽くなるため、バネによる加圧力により、中継ローラ5が内側へと移動して、ロール紙2の重量とつりあった位置にて。そのため、上記同様に、中継ローラ5から伝わった駆動力によりロール紙2が巻き戻される速度はVr=R4・R5/R1×ω1となる。
【0039】
使用するロール紙の種類によりR3およびR5の値が決まるため、ロール紙2の最大外形から最小外形へと変化した場合においても、巻き戻される速度が常に給紙ローラの速度よりも5〜30%速くなるように中継ローラ5及びフランジ2のテーパー形状(R2及びR4)及びバネ26のバネ定数を設定している。
【0040】
また、巻き戻しローラ4にはワンウェイクラッチ27が接続されており、駆動モータ7からの駆動力を用紙送り出し方向に回転する際には遮断し、巻き戻し方向に回転する際には伝えるように配置することで用紙巻き戻し時に最適なバックテンションを得ることができ巻き戻しの精度を高めることが可能となる。また、用紙送り出し時に給紙ローラ6とロール紙2の間にたるみが生じることなく、用紙送り時にも適切なバックテンションを得ることが可能となる。
【0041】
以上述べてきた構成により、巻き戻し時にロール紙の残量がどの場合においても、給紙ローラ6の巻き戻し速度との速度差が30%以内になることから、用紙のスリップ量を抑えることができ、各種ローラの磨耗を低減でき長寿命化を達成できる。
【実施例2】
【0042】
実施例1の構成において、ワンウェイクラッチの代わりに電磁クラッチを使用して、用紙送り出し時には電磁クラッチOFFとして、用紙巻き戻し時にONとする制御を加えることで実施例1同等の効果が得られる。
【実施例3】
【0043】
図5に示すように、ロール紙2の外形に突き当たるように速度検知ローラ28を配置している。速度検知ローラ28はロール紙2の回転にあわせてつれまわっており、その回転をタイミングベルトによりエンコーダ29に伝えてセンサ30にてエンコーダ29の回転数を読み取る。速度検知ローラ28は、エンコーダ29を中心に回転自在に移動することができ、常にロール紙2の外形に突き当たるように力が加わるような機構を持っている。そのため、図6のように、ロール紙2の残量が減って、外径が小さくなっても、常にロール紙2に速度検知ローラ28が突き当たるように追従する機構となっている。
【0044】
また本実施例装置は巻き戻しモータ31を搭載しており、巻き戻しローラ31の駆動をタイミングベルトによって巻き戻しローラ4単独に伝えている。速度検知ローラ28によって読み取ったロール紙2の速度をフィードバックして、送り出し時には巻き戻しローラ4の速度が給紙ローラ6の速度より遅くなるように、巻き戻し時には速くなるように巻き戻しモータ31を制御している。
【0045】
以上の構成により、巻き戻し時、送り出し時ともに、ロール紙2の残量によらず、給紙ローラ6とロール紙2の速度を一定の差に抑えることが可能となりスリップ量を最低限にして適切なバックテンションを得ることが可能となる。
【実施例4】
【0046】
図7に示すように、ロール紙2の外形に突き当たるように、アイドラローラ32を配置している。アイドラローラ32はリンク33の先端に取り付いており、ロール紙2の回転にあわせてつれまわるようになっている。リンク33は回転自在に動くことができ、その回転中心にはエンコーダ34がリンク33に同期して回転できるように配置されている。リンク33の後端にはバネ36が取り付けてありアイドラローラ32が常にロール紙2に突き当たるように、リンク33に力を加えている。
【0047】
ロール紙2の残量が減ってくると図8のような状態になる。リンク33にバネ36によって力が加えられているため、ロール紙2の外径が小さくなってもリンク33が回転して、アイドラローラ32は外形に追従して移動することとなる。その際に、回転中心のエンコーダ34はリンクの回転角度と同様の角度変化するため、その変化量をセンサ35にて読み取る。
【0048】
巻き戻しモータ31がギヤを介して巻き戻しローラ4に駆動を伝えているため、上記の通りエンコーダ34から読み取った変異量より、ロール紙2の外径を演算して、その結果をフィードバックすることで巻き戻しローラの回転量を最適化する。実施例3同様に給紙ローラ6の速度よりも巻き戻しローラ4の速度が巻き戻し時には速くなり、送り出し時には遅くなるように設定することで、実施例3と同様の作用効果を奏することになる。
【符号の説明】
【0049】
1:フランジ
2:ロール紙
3:フランジ受け台
4:巻き戻しローラ
5:中継ローラ
6:給紙ローラ
7:駆動モータ
13:レジストローラ
14:レジスト加圧ローラ
15:ヘッド
16:キャリッジ
17:主走査ステー
18:チャンバー
19:吸引ファン
20:カッター
21:反転用紙ガイド
22:排紙トレー
24:リアローラ
26:バネ
27:ワンウェイクラッチ
28:速度検知ローラ
29:エンコーダ
30:センサ
31:巻き戻しモータ
32:アイドラローラ
33:リンク
34:エンコーダ
35:センサ
36:バネ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0050】
【特許文献1】特開2006−248683号公報
【特許文献1】特開2003−276264号公報
【技術分野】
【0001】
本発明はロール紙などのロール型のシート媒体の給紙装置と、この給紙装置を搭載する、プリンタ、プロッタ、ファクシミリ、複写機などの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ロール紙の保持方法は様々なサイズのロール紙に対応するために、スプール方式かフランジ方式が取られていた。すなわち従来のロール紙の給紙装置は、スプールをロール紙の中に一本通すことでロール紙を保持するか、フランジによってロール紙の両サイドを保持するかの2つに分けられる。
【0003】
スプール方式の特徴として、長いスプールをロール紙の紙管に通す必要がありユーザの操作性は悪いが、巻き戻しの機構などを設けるときに、スプールに駆動伝達機構を設けることで、ロール紙自体を容易に駆動ができるという利点があり、巻き戻し機構を設ける際には積極的に採用されてきた。
【0004】
また、フランジ方式は、ロール紙の両サイドからフランジを紙管に挿入して保持するため、ユーザの操作性は非常に高い。すなわち、フランジ方式ではどのようなサイズのロール紙においても両側からフランジをセットするだけでよいのでユーザのセット性は向上する。しかし、巻き戻しの際に駆動をロールに伝えるためにはフランジの径をロール紙の最大外径より大きくして対応している。そのため、ロール紙にフランジをセットする際にロール紙を持ち上げる必要がありセット性が悪化してしまっている。また、フランジの径が大きくなることによりレイアウト上の制約ができてしまい、機械サイズへの影響も懸念される。
【0005】
すなわち、ロール紙に直接駆動力を伝達するにはフランジの径をロール紙の最大外径よりも大きくしてフランジの外径に駆動力を伝える方式か、用紙搬送時の幅方向の基準を用紙の端部にとってフランジに駆動力を伝える方式のどちらかしかなく、フランジの外径を大きくすると、フランジの径が大きくなってしまい、機械サイズが大きくなり、ロール紙をセットするときに片側を持ち上げつつセットしなくてはいけないという欠点がある。また、搬送時の幅方向の基準を用紙の端部にしてしまうと、長尺の用紙を搬送する際にはシワ、ヨリ、スキューなどの搬送品質に問題が出る怖れがある。
【0006】
なお特許文献1に開示されているように、ロール紙をスプールにて保持して、ワンウェイギヤを使用することで巻き戻し時にのみ、スプールに駆動を伝達して高精度な搬送を達成することができる。また、特許文献2ではフランジ型でかつフランジの径がロール紙の最大外径よりも小さくなっており、フランジの受けコロにてロール紙を巻き戻す方式を採用している。この方法では、巻き戻す速度が一定の場合、ロール紙の残量が減ることによって受けコロのスリップ量が大きくなり耐久性に劣ると考えられる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明は、ユーザの操作性と機能、寿命を満足する巻き戻し機構を提供する。すなわち、上述した従来の2種類の方式の欠点を補う形で、フランジ径がロール紙の最大外径よりも小さいフランジ型のセット方式を採用し、巻き戻しローラとフランジの間に中継ローラをはさむことによってフランジに駆動を伝達することでユーザビリティーを兼ね備えた巻き戻し機構を実現する。
【0008】
また従来方式の問題点として、中継ローラとフランジのスベリ量がロール紙の残量によって大きく異なるため寿命が短くなることが懸念されているため、ロール紙の残量に応じてフランジの回転速度を可変とすることで、フランジと中継ローラ、巻き戻しローラのスベリ量を最適化して長寿命化を達成し、バックテンションの最適化により搬送品質を向上することができる機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の給紙装置のうち請求項1に係るものは、用紙を巻き付けたロールの取付可能な最大径より小径のフランジ、該フランジの回転を支持するフランジ受け台、前記フランジを逆回転させて用紙を前記ロールに巻き取るための巻き戻しローラ、該巻き戻しローラの駆動をフランジに伝える中継ローラ、用紙順送り時に用紙をグリップして送り出し、かつ用紙を介して前記ロールに正回転を与える給紙ローラ、該給紙ローラと前記巻き戻しローラとに駆動を伝達する駆動系、モータ及びこれらの制御系を備え、該制御系が、前記フランジに取り付けたロールの用紙の残量に応じて用紙の送り出し量を可変とするとともに、巻き戻し時の前記フランジの回転速度を可変とすることを特徴とする。
【0010】
請求項2に係るものは、請求項1の給紙装置において、前記中継ローラと接触する前記フランジの外周面と、前記中継ローラの外周面とがそれぞれ同様の形状のテーパー形状をなし、前記中継ローラを前記ロールの長手方向に沿って移動自在とするとともに、該移動方向に加圧する加圧機構を設けてなることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係るものは、請求項2の給紙装置において、前記フランジに取り付けた前記ロールの用紙の残量がいかなる量であっても、前記用紙の巻き戻し、送り出し速度が前記給紙ローラの給紙速度よりも5から30%速くなるように、前記中継ローラ及び前記フランジのテーパー形状を設定してなることを特徴とする。
【0012】
請求項4に係るものは、請求項3の給紙装置において、前記制御系が、前記ロールへ用紙の巻き戻し時に前記巻き戻しローラに駆動を伝達し、前記ロールからの用紙送り出し時には駆動を伝達しないことを特徴とする。
【0013】
請求項5に係るものは、請求項4の給紙装置において、前記巻き戻しローラに電磁クラッチを設けてなることを特徴とする。
【0014】
請求項6に係るものは、請求項4の給紙装置において、前記巻き戻しローラにワンウェイクラッチを設けてなることを特徴とする。
【0015】
請求項7に係るものは、請求項1の給紙装置において、前記フランジに取り付けた前記ロールの用紙の残量を検知する検知手段を備え、前記巻き戻しローラのみに駆動力を伝える駆動系を備え、前記制御手段が、前記検知手段で検知した前記ロールの用紙の残量に応じて前記巻き戻しローラの回転数を制御することを特徴とする。
【0016】
請求項8に係るものは、請求項7の給紙装置において、前記検知手段が、前記ロールの用紙の搬送速度を検知するものであることを特徴とする。
【0017】
請求項9に係るものは、請求項8の給紙装置において、前記検知手段が前記ロールに対向させて従動コロを配置し、該従動コロの回転数を読み取ることによって前記ロールの用紙の残量を検知するものであることを特徴とする。
【0018】
請求項10に係るものは、請求項7の給紙装置において、前記検知手段が前記ロールの用紙の外径を検知することを特徴とした。
【0019】
請求項11に係るものは、請求項10の給紙装置において、前記検知手段が、前記ロールに対向させて従動コロを配置し、該従動コロの前記ロールに対する位置を、前記ロールの用紙の外径に応じて変位自在とし、前記検知手段が該従動コロの変位量を検知することを特徴とする。
【0020】
請求項12に係る画像形成装置は、請求項1から11のいずれかに記載の給紙装置を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ローラ残量に応じて巻き戻し速度を変更することで、巻き戻し速度と給紙ローラの速度の差が大きくなりすぎず、スベリ量を最小化でき寿命が長くなる。また、送り出し、巻き戻し時の給紙ローラとロール紙の間のバックテンションを最適化でき、所定の送り出し量、巻き戻し量を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明を利用したインクジェット方式のプリンタの全体図
【図2】同給紙装置の拡大側面図
【図3】同給紙装置の拡大平面図
【図4】ロール紙の残量が減ってきて、重量が軽くなった場合の給紙装置の拡大平面図
【図5】速度検知ローラの配置を示す給紙装置の拡大側面図
【図6】ロール紙の残量が減ってきてもロール紙に速度検知ローラが常に突き当たる状態を示す給紙装置の拡大側面図
【図7】ロール紙の外形に突き当たるようにアイドラローラを配置した給紙装置の拡大側面図
【図8】図7の給紙装置でロール紙の残量が減ってきても状態の拡大側面図
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下本発明を実施するための最良の形態を、図に示す実施例を参照して説明する。なお本発明は図示の画像形成装置への実施には限定されず、画像形成を行う種々の装置に適用可能である。
【0024】
一定のスピードで、ロール紙の送り出し、巻き戻しを行うとロール紙の残量が少なくなってロールの径が最小となった場合に合わせて送り出し、巻き戻しのスピードを設定しなくてはならないため、ロール紙の径が大きい場合、巻き戻しの速度が給紙ローラのスピードに比べて速くなり、スリップによる磨耗が懸念されるので、本発明の給紙装置は、取付可能なロール紙最大径より小径のフランジ、フランジの回転を支持するフランジ受け台、フランジを逆回転させて用紙をロールに巻き取るための巻き戻しローラ、巻き戻しローラの駆動をフランジに伝える中継ローラ、用紙順送り時に用紙をグリップして送り出し、かつ用紙を介してロールに正回転を与える給紙ローラ、給紙、巻き戻し各ローラに駆動を伝達する駆動系とモータ及びこれらの制御系を備えて、ロール紙の残量に応じて、用紙の送り出し、巻き戻し時にフランジの回転速度が可変とする。
【0025】
そして、ローラ残量に応じて巻き戻し速度を変更することで、巻き戻し速度と給紙ローラの速度の差が大きくなりすぎず、スベリ量を最小化でき寿命が長くなる。また、送り出し、巻き戻し時の給紙ローラとロール紙の間のバックテンションを最適化でき、所定の送り出し量、巻き戻し量を得ることが可能となる。
【0026】
また、中継ローラと接触するフランジの外周面がテーパー形状となっていて、中継ローラも同様のテーパー形状になっており、中継ローラがロール長手方向に自在に移動可能でかつ、その方向に加圧する加圧機構を設けることで、ロール紙の重量により、フランジと中継ローラの接触位置が変化し、そのことで、重量が重くロール紙の外形が大きい場合には中継ローラの外径が小さい部分でフランジが接触して回転速度が遅くなり、残量が減ってロール紙の重量が減った場合には中継ローラの外径が大きい部分でフランジと接触して回転速度が速くなるため、用紙の速度が一定となり、スベリ量が低減でき寿命が長くなる。
【0027】
また巻き戻し量を所定の量得る必要がある場合、ロール紙の残量がいかなる場合であってもロール紙の巻き戻し、送り出しのスピードが給紙ローラのスピードよりも5〜30%速くなるように、前記中継ローラ及び前記フランジのテーパー形状を設定することで、ロール紙の巻き戻しスピードが、給紙ローラの巻き戻しスピードよりも速いため適切なバックテンションを得ることができ、巻き戻し量が適切な値となる。
【0028】
またロール紙の速度が給紙ローラよりも速くなるように設定すると、送り出し時に給紙ローラとロール紙の間にたるみが生じてしまい適切なバックテンションをかけることができないため、ロール紙巻き戻し時に前記巻き戻しローラに駆動を伝達し、ロール紙送り出し時には駆動を伝達しないようにすることで、ロール紙送り出し時には給紙ローラのみでロール紙を送り出すことで適切なバックテンションを得ることが可能となる。
【0029】
この場合、巻き戻しローラに電磁クラッチを設けても良い。そして、巻き戻し時は電磁クラッチをONすることで駆動を伝達し、送り出し時には電磁クラッチをOFFとすることで給紙ローラとロール紙の間のたるみを防止できる。
【0030】
また、巻き戻しローラにワンウェイクラッチを設けても良い。ワンウェイクラッチを巻き戻し方向にのみ駆動を伝達するように配置する。
【0031】
ロールの紙の残量を検知する検知手段を備え、巻き戻しローラのみに駆動力を伝える駆動系を備え、検知したロール残量に応じて巻き戻しローラの回転数を制御しても良い。ロール紙の残量を検知することで、最適なフランジ回転速度を導き出すことが可能となる。また、巻き戻しローラのみに駆動力を伝えることで、その最適なフランジの回転速度に応じて巻き戻しローラの回転量を制御することが可能となる。検知手段が、ロール紙の搬送速度を検知するようにしても良い。
【0032】
また検知手段がロールに対向するように従動コロを配置して、従動コロの回転数を読み取ることにより、ロールの残量を検知しても良く、検知手段がロール紙の外径を検知する構成としても良い。
【0033】
さらに、検知手段が、ロールに対向するように従動コロを配置しており、従動コロがロール紙の外径に応じて変位自在となっていて、その変位量を検知するようにしても良い。
【実施例1】
【0034】
図1に本発明を利用したインクジェット方式のプリンタの全体図を示す。奔走値は、ロール給紙装置を3台備えており、それぞれのロール紙2の紙管の両サイドにフランジ1が2個セットされており。フランジ1の外形はロール紙の最大外形よりも小さくなっている。フランジ1がセットされたロール紙2はフランジ受け台3上にセットされており、駆動モータ7から駆動得る給紙ローラ6から、用紙テンション付加手段へと搬送される。さらに下流のレジストローラ13とレジスト加圧ローラ14の間に搬送された用紙はチャンバー18上のプラテン板上に搬送される。チャンバー18下部に配置された吸引ファン19にてチャンバー内に負圧が形成されて、プラテン板上に複数の穴を設けているため、用紙がプラテン板上に吸いつけられて用紙の平面度が維持される。プラテン板の上にはインクを吐出するためのヘッド15を搭載したキャリッジ16が配置されており、キャリッジ16は主走査ステー17に沿って用紙の幅方向に往復して、インクをプラテン板上の用紙に向かって吐出することで用紙に画像を形成する。用紙はヘッドの幅に対応してキャリッジ16が移動するたびにレジストローラ13より所定の長さ分送り出されて、画像形成がおわると、カッター20において、所定の長さに用紙をカットして反転用紙ガイド21に沿って搬送され、排紙トレー22に排出する。
【0035】
給紙装置の拡大図を図2に示す。図示していないロール受け台に中継ローラ5及びリアローラ24を備えており、ロール紙2の紙管の両側にフランジがはめ込まれた状態でロール受け台にセットされる。ロール紙2の両側のフランジ1はロール紙2の最大外径よりも小さく設定されており、セットされたロール紙2はフランジ1の外径にて中継ローラ5及びリアローラ24に接触することで支えられている。
【0036】
ロール紙2から送り出された用紙は給紙装置の出口である給紙ローラ6とその対向ローラとで上方の印字部へと搬送されていく。搬送中のロール紙2の適切なたるみ量を得るために、ロール紙2を巻き戻す際には中継ローラ5の下側で接触している巻き戻しローラ4が駆動することで中継ローラ5を回して、フランジ2を回すことで用紙を巻き取ることができる。駆動モータ7よりタイミングベルトを介して、巻き戻しローラ4と給紙ローラ6へと駆動が伝達されている。
【0037】
図3に示すように、中継ローラ5とフランジ2にはテーパー形状が施されており、テーパー部にて中継ローラ5とフランジ2が接触するようにレイアウトされている。中継ローラ5はロール紙2の長手方向に自在に動くようになっており、常に内側へと移動するようにバネ26が設けてある。ロール紙2の重量とバネ26の加圧力がつりあった部分にて接触することとなる。図3に示すように、ロール紙の残量が多く重い場合には、中継ローラ5の細い部分にてフランジ2と接触している。そこで、中継ローラ5には常に一定の角速度ω1が伝えられているとすると中継ローラの接触部からフランジ2へと伝わる速度はVf=R2ω1となり、フランジ2及びロール紙1の角速度ω2=Vf/R1となり、ロール紙2が実際に巻き戻される速度はVr=R2・R3/R1×ω1となる。
【0038】
ロール紙2の残量が減ってきて、重量が軽くなった場合を図4に示す。この場合、ロール紙2の残量が減って重量が軽くなるため、バネによる加圧力により、中継ローラ5が内側へと移動して、ロール紙2の重量とつりあった位置にて。そのため、上記同様に、中継ローラ5から伝わった駆動力によりロール紙2が巻き戻される速度はVr=R4・R5/R1×ω1となる。
【0039】
使用するロール紙の種類によりR3およびR5の値が決まるため、ロール紙2の最大外形から最小外形へと変化した場合においても、巻き戻される速度が常に給紙ローラの速度よりも5〜30%速くなるように中継ローラ5及びフランジ2のテーパー形状(R2及びR4)及びバネ26のバネ定数を設定している。
【0040】
また、巻き戻しローラ4にはワンウェイクラッチ27が接続されており、駆動モータ7からの駆動力を用紙送り出し方向に回転する際には遮断し、巻き戻し方向に回転する際には伝えるように配置することで用紙巻き戻し時に最適なバックテンションを得ることができ巻き戻しの精度を高めることが可能となる。また、用紙送り出し時に給紙ローラ6とロール紙2の間にたるみが生じることなく、用紙送り時にも適切なバックテンションを得ることが可能となる。
【0041】
以上述べてきた構成により、巻き戻し時にロール紙の残量がどの場合においても、給紙ローラ6の巻き戻し速度との速度差が30%以内になることから、用紙のスリップ量を抑えることができ、各種ローラの磨耗を低減でき長寿命化を達成できる。
【実施例2】
【0042】
実施例1の構成において、ワンウェイクラッチの代わりに電磁クラッチを使用して、用紙送り出し時には電磁クラッチOFFとして、用紙巻き戻し時にONとする制御を加えることで実施例1同等の効果が得られる。
【実施例3】
【0043】
図5に示すように、ロール紙2の外形に突き当たるように速度検知ローラ28を配置している。速度検知ローラ28はロール紙2の回転にあわせてつれまわっており、その回転をタイミングベルトによりエンコーダ29に伝えてセンサ30にてエンコーダ29の回転数を読み取る。速度検知ローラ28は、エンコーダ29を中心に回転自在に移動することができ、常にロール紙2の外形に突き当たるように力が加わるような機構を持っている。そのため、図6のように、ロール紙2の残量が減って、外径が小さくなっても、常にロール紙2に速度検知ローラ28が突き当たるように追従する機構となっている。
【0044】
また本実施例装置は巻き戻しモータ31を搭載しており、巻き戻しローラ31の駆動をタイミングベルトによって巻き戻しローラ4単独に伝えている。速度検知ローラ28によって読み取ったロール紙2の速度をフィードバックして、送り出し時には巻き戻しローラ4の速度が給紙ローラ6の速度より遅くなるように、巻き戻し時には速くなるように巻き戻しモータ31を制御している。
【0045】
以上の構成により、巻き戻し時、送り出し時ともに、ロール紙2の残量によらず、給紙ローラ6とロール紙2の速度を一定の差に抑えることが可能となりスリップ量を最低限にして適切なバックテンションを得ることが可能となる。
【実施例4】
【0046】
図7に示すように、ロール紙2の外形に突き当たるように、アイドラローラ32を配置している。アイドラローラ32はリンク33の先端に取り付いており、ロール紙2の回転にあわせてつれまわるようになっている。リンク33は回転自在に動くことができ、その回転中心にはエンコーダ34がリンク33に同期して回転できるように配置されている。リンク33の後端にはバネ36が取り付けてありアイドラローラ32が常にロール紙2に突き当たるように、リンク33に力を加えている。
【0047】
ロール紙2の残量が減ってくると図8のような状態になる。リンク33にバネ36によって力が加えられているため、ロール紙2の外径が小さくなってもリンク33が回転して、アイドラローラ32は外形に追従して移動することとなる。その際に、回転中心のエンコーダ34はリンクの回転角度と同様の角度変化するため、その変化量をセンサ35にて読み取る。
【0048】
巻き戻しモータ31がギヤを介して巻き戻しローラ4に駆動を伝えているため、上記の通りエンコーダ34から読み取った変異量より、ロール紙2の外径を演算して、その結果をフィードバックすることで巻き戻しローラの回転量を最適化する。実施例3同様に給紙ローラ6の速度よりも巻き戻しローラ4の速度が巻き戻し時には速くなり、送り出し時には遅くなるように設定することで、実施例3と同様の作用効果を奏することになる。
【符号の説明】
【0049】
1:フランジ
2:ロール紙
3:フランジ受け台
4:巻き戻しローラ
5:中継ローラ
6:給紙ローラ
7:駆動モータ
13:レジストローラ
14:レジスト加圧ローラ
15:ヘッド
16:キャリッジ
17:主走査ステー
18:チャンバー
19:吸引ファン
20:カッター
21:反転用紙ガイド
22:排紙トレー
24:リアローラ
26:バネ
27:ワンウェイクラッチ
28:速度検知ローラ
29:エンコーダ
30:センサ
31:巻き戻しモータ
32:アイドラローラ
33:リンク
34:エンコーダ
35:センサ
36:バネ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0050】
【特許文献1】特開2006−248683号公報
【特許文献1】特開2003−276264号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙を巻き付けたロールの取付可能な最大径より小径のフランジ、
該フランジの回転を支持するフランジ受け台、
前記フランジを逆回転させて用紙を前記ロールに巻き取るための巻き戻しローラ、
該巻き戻しローラの駆動をフランジに伝える中継ローラ、
用紙順送り時に用紙をグリップして送り出し、かつ用紙を介して前記ロールに正回転を与える給紙ローラ、
該給紙ローラと前記巻き戻しローラとに駆動を伝達する駆動系、モータ及びこれらの制御系を備え、
該制御系が、
前記フランジに取り付けたロールの用紙の残量に応じて用紙の送り出し量を可変とするとともに、
巻き戻し時の前記フランジの回転速度を可変とする
ことを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
請求項1の給紙装置において、
前記中継ローラと接触する前記フランジの外周面と、前記中継ローラの外周面とがそれぞれ同様の形状のテーパー形状をなし、
前記中継ローラを前記ロールの長手方向に沿って移動自在とするとともに、
該移動方向に加圧する加圧機構を設けてなる
ことを特徴とする給紙装置。
【請求項3】
請求項2の給紙装置において、
前記フランジに取り付けた前記ロールの用紙の残量がいかなる量であっても、前記用紙の巻き戻し、送り出し速度が前記給紙ローラの給紙速度よりも5から30%速くなるように、前記中継ローラ及び前記フランジのテーパー形状を設定してなる
ことを特徴とする給紙装置。
【請求項4】
請求項3の給紙装置において、
前記制御系が、
前記ロールへ用紙の巻き戻し時に前記巻き戻しローラに駆動を伝達し、
前記ロールからの用紙送り出し時には駆動を伝達しない
ことを特徴とする給紙装置。
【請求項5】
請求項4の給紙装置において、
前記巻き戻しローラに電磁クラッチを設けてなる
ことを特徴とする給紙装置。
【請求項6】
請求項4の給紙装置において、
前記巻き戻しローラにワンウェイクラッチを設けてなる
ことを特徴とする給紙装置。
【請求項7】
請求項1の給紙装置において、前記フランジに取り付けた前記ロールの用紙の残量を検知する検知手段を備え、
前記巻き戻しローラのみに駆動力を伝える駆動系を備え、
前記制御手段が、
前記検知手段で検知した前記ロールの用紙の残量に応じて前記巻き戻しローラの回転数を制御する
ことを特徴とする給紙装置。
【請求項8】
請求項7の給紙装置において、
前記検知手段が、前記ロールの用紙の搬送速度を検知するものである
ことを特徴とする給紙装置。
【請求項9】
請求項8の給紙装置において、
前記検知手段が前記ロールに対向させて従動コロを配置し、該従動コロの回転数を読み取ることによって前記ロールの用紙の残量を検知するものである
ことを特徴とする給紙装置。
【請求項10】
請求項7の給紙装置において、
前記検知手段が前記ロールの用紙の外径を検知することを特徴とした給紙装置。
【請求項11】
請求項10の給紙装置において、
前記検知手段が、前記ロールに対向させて従動コロを配置し、
該従動コロの前記ロールに対する位置を、前記ロールの用紙の外径に応じて変位自在とし、
前記検知手段が該従動コロの変位量を検知する
ことを特徴とする給紙装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の給紙装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
用紙を巻き付けたロールの取付可能な最大径より小径のフランジ、
該フランジの回転を支持するフランジ受け台、
前記フランジを逆回転させて用紙を前記ロールに巻き取るための巻き戻しローラ、
該巻き戻しローラの駆動をフランジに伝える中継ローラ、
用紙順送り時に用紙をグリップして送り出し、かつ用紙を介して前記ロールに正回転を与える給紙ローラ、
該給紙ローラと前記巻き戻しローラとに駆動を伝達する駆動系、モータ及びこれらの制御系を備え、
該制御系が、
前記フランジに取り付けたロールの用紙の残量に応じて用紙の送り出し量を可変とするとともに、
巻き戻し時の前記フランジの回転速度を可変とする
ことを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
請求項1の給紙装置において、
前記中継ローラと接触する前記フランジの外周面と、前記中継ローラの外周面とがそれぞれ同様の形状のテーパー形状をなし、
前記中継ローラを前記ロールの長手方向に沿って移動自在とするとともに、
該移動方向に加圧する加圧機構を設けてなる
ことを特徴とする給紙装置。
【請求項3】
請求項2の給紙装置において、
前記フランジに取り付けた前記ロールの用紙の残量がいかなる量であっても、前記用紙の巻き戻し、送り出し速度が前記給紙ローラの給紙速度よりも5から30%速くなるように、前記中継ローラ及び前記フランジのテーパー形状を設定してなる
ことを特徴とする給紙装置。
【請求項4】
請求項3の給紙装置において、
前記制御系が、
前記ロールへ用紙の巻き戻し時に前記巻き戻しローラに駆動を伝達し、
前記ロールからの用紙送り出し時には駆動を伝達しない
ことを特徴とする給紙装置。
【請求項5】
請求項4の給紙装置において、
前記巻き戻しローラに電磁クラッチを設けてなる
ことを特徴とする給紙装置。
【請求項6】
請求項4の給紙装置において、
前記巻き戻しローラにワンウェイクラッチを設けてなる
ことを特徴とする給紙装置。
【請求項7】
請求項1の給紙装置において、前記フランジに取り付けた前記ロールの用紙の残量を検知する検知手段を備え、
前記巻き戻しローラのみに駆動力を伝える駆動系を備え、
前記制御手段が、
前記検知手段で検知した前記ロールの用紙の残量に応じて前記巻き戻しローラの回転数を制御する
ことを特徴とする給紙装置。
【請求項8】
請求項7の給紙装置において、
前記検知手段が、前記ロールの用紙の搬送速度を検知するものである
ことを特徴とする給紙装置。
【請求項9】
請求項8の給紙装置において、
前記検知手段が前記ロールに対向させて従動コロを配置し、該従動コロの回転数を読み取ることによって前記ロールの用紙の残量を検知するものである
ことを特徴とする給紙装置。
【請求項10】
請求項7の給紙装置において、
前記検知手段が前記ロールの用紙の外径を検知することを特徴とした給紙装置。
【請求項11】
請求項10の給紙装置において、
前記検知手段が、前記ロールに対向させて従動コロを配置し、
該従動コロの前記ロールに対する位置を、前記ロールの用紙の外径に応じて変位自在とし、
前記検知手段が該従動コロの変位量を検知する
ことを特徴とする給紙装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれかに記載の給紙装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2010−189098(P2010−189098A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−33431(P2009−33431)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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