説明

給紙装置およびこれを備えた画像形成装置

【課題】給紙装置と画像形成装置本体との高さ調整をより容易に行うことができる給紙装置およびこれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】用紙Pを積層載置する収納部11がキャスタユニット12により、所定方向(X軸方向)に移動可能に構成される。キャスタユニット12のキャスタ固定手段122には、複数のキャスタ121が固定され、高さ調整機構123を介してキャスタユニット12が収納部11に対してキャスタユニット12の移動方向に一体的に相対移動可能である。そして、このキャスタユニット12をキャスタユニット12の移動方向に相対移動させる際、高さ調整機構123により、キャスタ固定部材122と収納部11との間の距離Zが変化する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置本体に用紙を給紙する給紙装置およびこれを備えたプリンタ、コピー機、ファクシミリおよびこれらの複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、コピー機、ファクシミリおよびこれらの複合機等の画像形成装置において、画像形成装置本体に用紙を供給する給紙装置を取り付けて用紙を給紙する構成が公知である。この場合、画像形成装置設置時等において、給紙装置の用紙排出口と画像形成装置本体の用紙導入口との位置(高さ)および角度を一致させる(給紙装置および画像形成装置本体のそれぞれの用紙搬送路を互いに真っ直ぐに合わせる)必要がある。特に、画像形成装置本体と給紙装置とがそれぞれの下方でのみ連結固定される場合には、その上方にそれぞれ設けられる用紙排出口および用紙導入口の間に間隙が生じ易い(給紙装置および画像形成装置本体のそれぞれの用紙搬送路が互いに真っ直ぐにならない場合が多い)ため、これを調整して、給紙ミスを生じることなく滑らかな用紙の搬送を実現する必要がある。
【0003】
一方、給紙装置は、収納部(用紙を積載するカセット部)が画像形成装置本体(および給紙装置本体)から引き出し可能に構成されるため、収納部の底面には幅方向に複数のキャスタが取り付けられている。このような給紙装置においては、従来、複数のキャスタの高さをそれぞれ個別に調整することにより、給紙装置の高さを調整していた(例えば、引用文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−233002号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術においては、複数のキャスタについてそれぞれ個別に高さ調整する必要があるため、調整作業が煩雑になる問題があった。また、複数のキャスタが幅方向に並んでいるため、前後方向(用紙搬送方向)だけでなく、幅方向の角度調整(水平出し)も必要となり、余計な手間となっていた。
【0005】
本発明はかかる従来技術の問題点を解決するべくなされたものであり、給紙装置と画像形成装置本体との高さ調整をより容易に行うことができる給紙装置およびこれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る給紙装置は、画像形成装置本体に取り付け可能に構成され、前記画像形成装置本体に用紙を供給する給紙装置であって、用紙を積層載置する収納部と、前記収納部を所定方向に往復移動させるためのキャスタユニットとを具備し、前記キャスタユニットは、複数のキャスタと、前記複数のキャスタが固定されるキャスタ固定部材と、前記キャスタ固定部材と前記収納部との間に介装され、前記キャスタ固定部材を前記収納部に対して前記キャスタユニットの移動方向に相対移動させることにより、前記キャスタ固定部材と前記収納部との間の距離を変更可能な高さ調整機構とを有することを特徴とするものである。
【0007】
上記構成の給紙装置によれば、用紙を積層載置する収納部がキャスタユニットにより、所定方向に移動可能に構成される。キャスタユニットのキャスタ固定手段には、複数のキャスタが固定され、高さ調整機構を介してキャスタユニットが収納部に対してキャスタユニットの移動方向に一体的に相対移動可能である。そして、このキャスタユニットをキャスタユニットの移動方向に相対移動させる際、高さ調整機構により、キャスタ固定部材と収納部との間の距離が変化する。
【0008】
したがって、このような給紙装置を画像形成装置本体に取り付ける際の給紙装置の高さ調整時において、複数のキャスタの高さを個々に調整することなく一体的に調整することができる。したがって、より容易に高さ調整を行うことができる。
【0009】
好ましくは、前記高さ調整機構は、前記キャスタ固定部材と摺接する摺接面を有し、収納部の底面に取り付けられた傾斜体を備え、前記摺接面は、画像形成装置設置面に対して前記キャスタユニットの移動方向に傾斜しているように構成される。
【0010】
この場合、収納部の底面に取り付けられた高さ調整機構の傾斜体は、画像形成装置設置面に対してキャスタユニットの移動方向に傾斜した摺接面を有し、キャスタ固定部材が当該摺接面に当接しつつ摺接面上を摺動可能である。このように摺接面が画像形成装置設置面に対してキャスタユニットの移動方向に傾斜している摺接面にキャスタ固定部材が摺接しつつ移動することにより、キャスタユニットの移動方向への移動を給紙装置の高さ方向への移動へと容易に変換することができる。
【0011】
好ましくは、前記キャスタユニットは、前記収納部の画像形成装置本体取り付け側とは反対側に偏位した位置にキャスタが配置されるように取り付けられ、前記高さ調整機構により、画像形成装置本体との取り付け角度を調整するように構成される。
【0012】
この場合、キャスタが収納部の画像形成装置本体取り付け側とは反対側に偏位した位置に配置されるようにキャスタユニットが取り付けられる。つまり、給紙装置と画像形成装置本体との連結部分に対して遠い側にキャスタが配置される。これにより、給紙装置と画像形成装置本体との取り付け角度の調整におけるキャスタ固定部材の高さ方向への移動に際し、力点(キャスタ)と支点(連結部分)との距離を比較的長くすることができるため、より少ない力で容易に高さ調整を行うことができる。
【0013】
また、本発明に係る画像形成装置は、上記構成の給紙装置を具備することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る給紙装置および画像形成装置によれば、キャスタユニットをキャスタユニットの移動方向に移動させる際、高さ調整機構により、キャスタ固定部材と収納部との間の距離が変化する。このようにして、複数のキャスタの高さを個々に調整することなく一体的に調整することができる。したがって、より容易に高さ調整を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る給紙装置およびこれを備えた画像形成装置の好ましい実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。図1は本発明に係る一実施形態における給紙装置を画像形成装置本体に取り付けた状態を示す側面図である。また、図2は図1の給紙装置を下方から見たときの部分斜視図であり、図3は図1の給紙装置におけるキャスタユニット近傍の部分拡大図である。図3(a)は側面図であり、図3(b)は図3(a)のA−A断面図である。
【0016】
本実施形態に係る給紙装置1は、図1に示すように、画像形成装置本体2に取り付け可能に構成され、前記画像形成装置本体2に用紙Pを供給する。給紙装置1は、用紙Pを積層載置する収納部11と、前記収納部11を所定方向に往復移動させるためのキャスタユニット12とを具備する。
【0017】
本実施形態において、給紙装置1は、画像形成装置本体2に取り付けられた際に、収納部11が画像形成装置本体2に対してX軸方向に移動可能とすべく、収納部11と相対移動可能な連結部16を具備する。そして、連結部16には、固定片17が設けられ、画像形成装置本体2と連結部16の固定片17とがビス等を用いて固定されることにより、画像形成装置本体2と給紙装置1とが収納部11をX軸方向に移動可能に固定される。
【0018】
また、本実施形態の給紙装置1は、収納部11に積層載置された用紙Pを搬送する搬送路13と搬送路13において用紙Pを送る搬送ローラ14とを有している。また、搬送路13の下流側端部に外部に開放される用紙排出口15が形成され、画像形成装置本体2への取り付け時において、キャスタユニット12において高さ調整することにより、画像形成装置本体2の用紙導入口21と上下方向位置が合わせられる。
【0019】
キャスタユニット12は、図2および図3に示すように、複数のキャスタ121と、前記複数のキャスタ121が固定されるキャスタ固定部材122と、前記キャスタ固定部材122と前記収納部11との間に介装され、前記キャスタ固定部材122を前記収納部11に対して前記キャスタユニット12の移動方向(X軸方向)に相対移動させることにより、前記キャスタ固定部材122と前記収納部11との間の距離(つまり、キャスタ接地面である画像形成装置設置面Gと収納部11の底面との距離L)を変更可能な高さ調整機構123とを有することを特徴とするものである。
【0020】
本実施形態において、高さ調整機構123は、前記キャスタ固定部材122と摺接する摺接面Sを有し、収納部11の底面に取り付けられた傾斜体123aを備え、前記摺接面Sは、画像形成装置設置面Gに対して前記キャスタユニット12の移動方向に傾斜しているように構成される。このため、キャスタ固定部材122の前記摺接面Sに摺接する摺接部122aは、摺接面Sに沿った形状とされる。これにより、摺接面S上の摺接部122aの摺動を安定的に行うことができる。一方、キャスタ固定部材122のキャスタ固定箇所は、収納部11の底面に水平に構成される。キャスタ固定部材122は、摺接部122aを含めて、例えば、鉄板等の板状部材を折り曲げ加工して一体的に形成される。
【0021】
上記構成の給紙装置1によれば、用紙Pを積層載置する収納部11がキャスタユニット12により、X軸方向に移動可能に構成される。キャスタユニット12のキャスタ固定手段122は、収納部11の底面において長手方向がキャスタユニット12の移動方向(X軸方向)に直交する方向にわたって取り付けられる。このキャスタ固定手段122には、複数(2つ)のキャスタ121がキャスタユニット12の移動方向と直交した軸上に(給紙装置1の幅方向に)並列に固定され、高さ調整機構123を介してキャスタユニット12が収納部11に対してキャスタユニット12の移動方向(X軸方向)に一体的に相対移動可能である。
【0022】
そして、このキャスタユニット12をキャスタユニット12の移動方向に移動させる際、高さ調整機構123により、キャスタ固定部材122と収納部11との間の距離Z、すなわち、キャスタ接地面である画像形成装置設置面Gと収納部11の底面との距離Lが変化する。本実施形態においては、給紙装置1の画像形成装置本体2取り付け側(固定片17側)とは反対側に向かう程距離Zが広がる(給紙装置1の位置が高くなる)ように構成される。
【0023】
より具体的には、収納部11の底面に取り付けられた高さ調整機構123の傾斜体123aは、画像形成装置設置面Gに対してキャスタユニット12の移動方向(X軸方向)に(固定片17から離れる程距離Zが大きくなるように)傾斜した摺接面Sを有している。そして、キャスタ固定部材122が当該摺接面Sに当接しつつ摺接面S上を摺動することにより、キャスタユニット12が収納部11に対して相対移動し、これにより、高さ方向の距離Z(ひいては、距離L)の変更が可能である。このように、摺接面Sが画像形成装置設置面Gに対してキャスタユニット12の移動方向に傾斜している摺接面Sにキャスタ固定部材122が摺接することにより、キャスタユニット12の移動方向(X軸方向)への相対移動を給紙装置1の高さ方向(Y軸方向)への相対移動へと容易に変換することができる。高さ調整後は、固定部材(ねじ等)124によりその高さ(距離Z,L)が保持される。
【0024】
以上のようにして、給紙装置1を画像形成装置本体2に取り付ける際の給紙装置1の高さ調整時において、複数のキャスタ121の高さを個々に調整することなく一体的に調整することができる。特に、本実施形態においては、キャスタ121が収納部11の幅方向に並列配置されるため、当該幅方向の角度調整(水平出し)が不要となる。したがって、より容易に高さ調整を行うことができる。
【0025】
本実施形態において、前記キャスタユニット12は、前記収納部11の画像形成装置本体10取り付け側(固定片17側)とは反対側に偏位した位置にキャスタ121が配置されるように取り付けられ、前記高さ調整機構123により、画像形成装置本体2との取り付け角度(給紙装置1の用紙排出口15と画像形成装置本体2の用紙導入口21との上下方向位置)を調整するように構成される。
【0026】
この場合、キャスタ121が収納部11の画像形成装置本体2取り付け側とは反対側に偏位した位置に配置されるようにキャスタユニット12が取り付けられる。つまり、給紙装置1と画像形成装置本体2との連結部分(固定片17)に対して遠い側にキャスタが配置される。しかも、固定片17は、給紙装置1および画像形成装置本体2の下方において両者を固定する。これにより、給紙装置1と画像形成装置本体2との取り付け角度の調整におけるキャスタ固定部材122の高さ方向への移動に際し、力点(キャスタ121であり、キャスタ121上部が作用点となる)と支点(連結部分である固定片17)との距離を比較的長くすることができるため、より少ない力で容易に高さ調整を行うことができる。
【0027】
以上、本発明に係る実施の形態を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更、修正が可能である。
【0028】
例えば、高さ調整機構123は、傾斜面Sを有する傾斜体123aを用いる替わりに、長手方向が収納部11の底面に対して傾斜した傾斜開口部126を有し、収納部11の底面のキャスタユニット12の移動方向(X軸方向)に直交する方向の両端部近傍に取り付けられた規制体127と、前記キャスタ固定手段122の両端部から延出した扁平シャフト125とを具備し、当該扁平シャフト125の扁平面が前記規制体127の傾斜開口部126内を長手方向に摺動可能に構成されることとしてもよい。図4は本発明に係る給紙装置の高さ調整機構の他の例を示すキャスタユニット近傍の部分拡大図である。図4(a)は側面図であり、図4(b)は図4(a)のB−B断面図である。
【0029】
この場合、収納部11の底面に規制体127が傾斜開口部126がX軸方向に直交する方向に向けられた状態で取り付けられる。キャスタ固定手段122の両端には、扁平シャフト125の扁平面がキャスタ固定手段122のキャスタ取り付け面(水平)に対して傾斜開口部126と略同方向に傾斜して取り付けられる。そして、扁平シャフト125が規制体127の傾斜開口部126内に挿通される。この状態で、扁平シャフト125が傾斜開口部126内を長手方向に摺動することにより、キャスタユニット12が収納部11に対して相対移動し、これにより、高さ方向(Y軸方向)の距離Z(ひいては、距離L)の変更が可能である(傾斜開口部126の長手方向開口線が上記実施形態の摺接面Sに相当する)。高さ調整後は、固定部材(ねじ等)124を扁平シャフト125の軸方向に設けられた固定穴(ねじ穴)128に取り付けることによりその高さ(距離Z,L)が保持される。
【0030】
この他、キャスタ121をX軸方向に移動させることにより、キャスタ固定部材122が収納部11に対して斜めに(互いに離れる方向に)相対移動可能な種々の構成が適用可能である。また、キャスタ121の数、位置、取り付け態様等も、種々適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る一実施形態における給紙装置を画像形成装置本体に取り付けた状態を示す側面図である。
【図2】図1の給紙装置を下方から見たときの部分斜視図である。
【図3】図1の給紙装置におけるキャスタユニット近傍の部分拡大図である。
【図4】図4は本発明に係る給紙装置の高さ調整機構の他の例を示すキャスタユニット近傍の部分拡大図である。
【符号の説明】
【0032】
1 給紙装置
2 画像形成装置本体
11 収納部
12 キャスタユニット
121 キャスタ
122 キャスタ固定部材
123 高さ調整機構
G 画像形成装置設置面
P 用紙
S 摺接面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体に取り付け可能に構成され、前記画像形成装置本体に用紙を供給する給紙装置であって、
用紙を積層載置する収納部と、
前記収納部を所定方向に往復移動させるためのキャスタユニットとを具備し、
前記キャスタユニットは、
複数のキャスタと、
前記複数のキャスタが固定されるキャスタ固定部材と、
前記キャスタ固定部材と前記収納部との間に介装され、前記キャスタ固定部材を前記収納部に対して前記キャスタユニットの移動方向に相対移動させることにより、前記キャスタ固定部材と前記収納部との間の距離を変更可能な高さ調整機構とを有することを特徴とする給紙装置。
【請求項2】
前記高さ調整機構は、前記キャスタ固定部材と摺接する摺接面を有し、収納部の底面に取り付けられた傾斜体を備え、前記摺接面は、画像形成装置設置面に対して前記キャスタユニットの移動方向に傾斜していることを特徴とする請求項1記載の給紙装置。
【請求項3】
前記キャスタユニットは、前記収納部の画像形成装置本体取り付け側とは反対側に偏位した位置にキャスタが配置されるように取り付けられ、
前記高さ調整機構により、画像形成装置本体との取り付け角度を調整することを特徴とする請求項1または2記載の給紙装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の給紙装置を具備すること特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−24389(P2008−24389A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−196348(P2006−196348)
【出願日】平成18年7月19日(2006.7.19)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】