説明

給紙装置および画像形成装置

【課題】搬送機構を引き出した際に生じる搬送機構の左右へのガタツキ、下方への垂れを抑制することが可能な給紙装置を提供する。
【解決手段】この給紙装置10は、互いに並設されたシート収納装置10a、10bと、シート収納装置10aのシートを送り出すピックアップローラー23aと、シート収納装置10bのシートを送り出すピックアップローラー23bと、シート収納装置を同一方向に引き出し可能に支持するレール機構160と、シート収納装置10bから送り出されるシートを略水平方向に搬送する水平搬送ユニット40(搬送機構)とを備えている。水平搬送ユニット40はシート収納装置と同一方向に引き出し可能に構成されており、シート収納装置10a、10bの少なくとも一方に、水平搬送ユニット40と係合して水平搬送ユニット40を引き出し方向にガイドする係合部34が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンター、ファクシミリ等に代表される画像形成装置およびその画像形成装置に用いられる給紙装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンター等に代表される画像形成装置には、複数枚のシートを収容するとともに、画像形成装置内の画像形成部に給紙を行うための給紙装置が備えられている。
【0003】
ここで、例えば1台の画像形成装置を多数のユーザーが共用するような場合には画像形成装置1台当たりのシート消費量が増大する。このため、収納可能なシート枚数をより増加させた大容量のシート収納装置(シート積載機構)を備えた給紙装置が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
上記特許文献1には、2つの大容量の給紙カセット(シート積載機構)を有し、これらの給紙カセットが互いに並設された給紙装置が記載されている。この給紙装置では、各給紙カセットに給送機構が設けられており、各給紙カセットに積載されているシートが給送機構によって同方向に送り出される。また、上記給紙装置では、給紙カセットの上方に、一方の給紙カセットから送り出されたシートを水平方向に搬送する搬送トランスポート部(搬送機構)が設けられている。
【0005】
搬送トランスポート部は給紙カセットと同方向に引き出し可能に構成されている。そして、搬送トランスポート部において紙詰まりが生じた場合には、搬送トランスポート部が引き出されて紙詰まりを解消するための処理(ジャム処理)が行われる。また、上記搬送トランスポート部は引き出しレールによって引き出し可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開1998−194486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記搬送トランスポート部を引き出し可能に構成した場合、搬送トランスポート部を引き出した際に、搬送トランスポート部が左右にがたついたり、下方に垂れたりするという不都合が生じる。この場合、搬送トランスポート部が他の部材と接触して搬送トランスポート部が破損するおそれがある。特に、引き出しレールの強度や精度が低い場合には、このような不都合が生じ易い。
【0008】
また、搬送トランスポート部を引き出した際に生じる左右のガタツキや、下方への垂れを抑制しようとする場合、強度および精度の高いレール(スライダー)を用いる方法が考えられるが、このようなレールは高価であるため給紙装置の製造コストを上昇させる。また、レールの強度を保つためにレールの幅や高さが大きくなっているため、スペース的にレールを収納することが困難になる。特に、最近の給紙装置では高さ方向の制限が厳しいため、このようなレール(スライダー)を用いて搬送トランスポート部を引き出し可能に構成することが困難となっている。
【0009】
このように、従来の給紙装置では、搬送トランスポート部を引き出した際に生じる搬送トランスポート部の左右へのガタツキや、搬送トランスポート部の下方への垂れを抑制することが困難であるという問題点がある。
【0010】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、搬送機構を引き出した際に生じる搬送機構の左右へのガタツキ、下方への垂れを抑制することが可能な給紙装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の給紙装置は、各々が複数枚のシートを積載して収納するとともに、互いに並設された第1および第2シート積載機構と、第1シート積載機構に積載されているシートを送り出す第1給送機構と、第2シート積載機構に積載されているシートを送り出す第2給送機構と、第1および第2シート積載機構をその並設方向と交差する同一方向に引き出し可能に支持するレール機構と、第1および第2シート積載機構の上方に配され、第2シート積載機構から第2給送機構により送り出されるシートを略水平方向に搬送する搬送機構とを備えている。そして、搬送機構は、第1および第2シート積載機構の引き出し方向と同一方向に引き出し可能に構成されており、第1および第2シート積載機構の少なくとも一方には、搬送機構と係合して搬送機構を引き出し方向にガイドする係合部が設けられている。
【0012】
上記構成の給紙装置では、第1および第2シート積載機構の少なくとも一方に搬送機構と係合して搬送機構を引き出し方向にガイドする係合部が設けられているため、この係合部により、搬送機構を引き出した際に生じる搬送機構の左右へのガタツキが規制される。また、搬送機構を引き出した際に搬送機構がシート積載機構の係合部と係合されるため、搬送機構がシート積載機構によって支持され、搬送機構の下方への垂れが抑制される。したがって、上記構成により、搬送機構を引き出した際に生じる搬送機構の左右へのガタツキおよび下方への垂れが抑制される。これにより、搬送機構が他の部材(部分)と接触して搬送機構が破損するという不都合が生じるのを抑制することができる。
【0013】
また、本発明の給紙装置は、上記構成により、強度や精度の高いレール(スライダー)を用いることなく、搬送機構の左右へのガタツキや下方への垂れを抑制することができる。このため、高価なレールを用いることなく、給紙装置を作製することが可能となるので、製造コストの上昇を抑制することができる。また、このようなレールを収納するスペースを確保する必要もないため、設計自由度を向上させることもできる。
【0014】
また、本発明の給紙装置において、好ましくは、第1および第2シート積載機構を引き出した際に、第1シート積載機構と第2シート積載機構との間に生じる隙間によって係合部が形成される。この場合、搬送機構には、係合部と係合して搬送機構を引き出し方向にガイドするガイド部が設けられていると好ましい。このように構成されていれば、係合部を容易に形成することができるとともに、搬送機構に設けられたガイド部によって、より精度よく搬送機構を引き出し方向にガイドすることができる。これにより、搬送機構を引き出した際に生じる搬送機構の左右へのガタツキおよび下方への垂れを効果的に抑制することができる。
【0015】
また、この場合、上記ガイド部は、第1および第2シート積載機構側に突出する凸部を含み、係合部は、凸部と係合する凹状に構成されているとより好ましい。
【0016】
また、本発明の給紙装置において、第1および第2シート積載機構は、それぞれ、底部および壁部を有しており、搬送機構を引き出した際に、シート積載機構の壁部によって搬送機構が支持されるように構成されているのが好ましい。このように構成されていれば、搬送機構を引き出した際に生じる搬送機構の下方への垂れをより効果的に抑制することができる。
【0017】
また、本発明の画像形成装置は上記給紙装置を備えた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0018】
以上のように、本発明によれば、搬送機構を引き出した際に生じる搬送機構の左右へのガタツキ、下方への垂れを抑制することが可能な給紙装置およびその給紙装置を備えた画像形成装置を容易に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態による給紙装置を備えた画像形成装置の概略構成図である。
【図2】本発明の一実施形態による給紙装置の外観斜視図(シート収納装置および水平搬送ユニットを収納した状態の図)である。
【図3】本発明の一実施形態による給紙装置の外観斜視図(シート収納装置を引き出した状態の図)である。
【図4】本発明の一実施形態による給紙装置の外観斜視図(水平搬送ユニットを引き出した状態の図)である。
【図5】本発明の一実施形態による給紙装置の一部を模式的に示した平面図である。
【図6】本発明の一実施形態による給紙装置に用いられる2つのシート収納装置を示した平面図(2つのシート収納装置を並設した状態の図)である。
【図7】図5のE−E線に沿った概略断面図である。
【図8】本発明の一実施形態による給紙装置の一部を拡大して示した概略断面図である。
【図9】本発明の一実施形態による給紙装置に用いられるシート収納装置の斜視図(並設した状態を示した図)である。
【図10】本発明の一実施形態による給紙装置に用いられるシート収納装置の斜視図である。
【図11】本発明の一実施形態による給紙装置に用いられるシート収納装置の斜視図である。
【図12】本発明の一実施形態による給紙装置に用いられる水平搬送ユニットの斜視図(上面側の図)である。
【図13】本発明の一実施形態による給紙装置に用いられる水平搬送ユニットの斜視図である。
【図14】本発明の一実施形態による給紙装置に用いられる水平搬送ユニットの斜視図(下面側の図)である。
【図15】本発明の一実施形態による給紙装置に用いられる水平搬送ユニットのガイド部材の斜視図である。
【図16】本発明の他の例による給紙装置の一部を拡大して示した概略断面図である。
【図17】本発明のさらに他の例による給紙装置を模式的に示した図である。
【図18】本発明のさらに他の例による給紙装置を模式的に示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態による給紙装置を備えた画像形成装置の概略構成図である。図1は装置裏面側から見た断面図を示している。まず、図1を参照して、給紙装置を備えた画像形成装置の構成および動作について説明する。なお、以下では、画像形成装置の一例であるデジタル複合機について説明する。
【0022】
図1において、画像形成装置100では、コピー動作を行う場合、後述する画像読取部6において原稿の画像データを読み取り画像信号に変換する。一方、複合機本体2内の画像形成部3において、帯電ユニット4により図中のA方向に回転する感光体ドラム5が一様に帯電され、画像読取部6で読み取られた原稿画像データに基づく露光ユニット(レーザ走査ユニット等)7からのレーザビームにより感光体ドラム5上に静電潜像が形成され、現像ユニット8により静電潜像に現像剤(以下、トナーという)が付着されてトナー像が形成される。この現像ユニット8へのトナーの供給はトナーコンテナ9から行われる。
【0023】
また、画像形成装置100(複合機本体2)の下側には給紙装置10が配置されており、上記のようにトナー像が形成された感光体ドラム5に向けて、シート(用紙)Pが給紙装置10からシート搬送路11及びレジストローラー対12を経由して画像形成部3に搬送される。そして、この画像形成部3において転写ローラー13(画像転写部)により感光体ドラム5の表面におけるトナー像がシートに転写される。トナー像が転写されたシートは感光体ドラム5から分離され、定着ローラー対14aを有する定着部14に搬送されてトナー像が定着される。定着部14を通過したシートは、複数方向に分岐したシート搬送路15に送られて、シート搬送路15の分岐点に設けられた複数の経路切換ガイドを有する経路切換機構21、22によってシートの搬送方向が振り分けられ、そのまま(或いは、シート搬送路16に送られて両面コピーされた後に)、第1排出トレイ17a、第2排出トレイ17bから成るシート排出部に排出される。
【0024】
また、図示しないが、感光体ドラム5の表面の残留電荷を除去する除電装置がクリーニング装置18の下流側に設けられている。さらに、給紙装置10は、複合機本体2に着脱自在に取り付けられ、シートを収納する2つのシート収納装置10a、10bと、その上方に設けられるスタックバイパス(手差しトレイ)10cと、を備えてなり、これらはシート搬送路11によって感光体ドラム5及び現像ユニット8等からなる画像形成部3に繋がっている。なお、シート収納装置10a、10bは、それぞれ、本発明の「第1シート積載機構」および「第2シート積載機構」の一例である。
【0025】
これら2つのシート収納装置10a、10bは横方向に並べて配置(互いに並設)されている。また、シート収納装置10a、10b内には上下(Z方向)に往復移動可能なリフト板30が設けられており、リフト板30上に積載されたシート(用紙)Pはリフト板30によって給紙装置10を構成するピックアップローラー23a、23bに押し当てられ、シート搬送路11に給送される。
【0026】
ピックアップローラー23a、23bは各シート収納装置10a、10bに対応して設けられており、シート収納装置10a、10b内のシートPを互いにほぼ同じ方向に送り出す。具体的には、ピックアップローラー23aはシート収納装置10a内のシートPを1枚ずつシート搬送路11に送り出す。ピックアップローラー23bはシート収納装置10b内のシートPを1枚ずつピックアップローラー23aとほぼ同じ方向に送り出す。
【0027】
また、給紙装置10は、シート収納装置10bからピックアップローラー23bによって送り出されたシートPを略水平方向に搬送する水平搬送ユニット40をさらに有している。この水平搬送ユニット40は、シート収納装置10aの上方に配置されており、その一部がシート収納装置10bの上方に位置している。そして、シート収納装置10b内のシートPは、ピックアップローラー23bによって水平搬送ユニット40に送り出され、送り出されたシートPはこの水平搬送ユニット40を介して略水平方向にシート搬送路11へと搬送される。なお、ピックアップローラー23a、23bは、それぞれ、本発明の「第1給送機構」および「第2給送機構」の一例である。また、水平搬送ユニット40は、本発明の「搬送機構」の一例である。
【0028】
また、装置本体上部には、画像読取部6が配置されており、装置本体上面には画像読取部6のコンタクトガラス(図示せず)上に載置される原稿を押さえて保持するプラテン(原稿押さえ)24が開閉可能に設けられており、プラテン24上には原稿搬送装置27が付設されている。また、画像読取部6の前面には操作パネル(図示せず)が配置されている。
【0029】
シート搬送路15は、具体的には、定着ローラー対14aの下流側において、まず左右二股に分岐し、一方の経路(図1では右方向に分岐する経路)は第1排出トレイ17aに連通するように構成されている。そして、他方の経路(図1では左方向に分岐する経路)は搬送ローラー対19を経由して二股に分岐し、一方の経路(図1では左方向に分岐する経路)は第2排出トレイ17bに連通するように構成されている。これに対し、他方の経路(図1では下方向に分岐する経路)はシート搬送路16に連通するように構成されている。
【0030】
図2〜図4は、本発明の一実施形態による給紙装置の外観斜視図である。図5〜図15は、本発明の一実施形態による給紙装置を説明するための図である。次に、図1〜図15を参照して、本発明の一実施形態によるシート収納装置についてより詳細に説明する。
【0031】
一実施形態による給紙装置10は、図2〜図4に示すように、2つのシート収納装置10a、10bと、ピックアップローラー23a、23b(図1参照)と、水平搬送ユニット40とを備えている。
【0032】
シート収納装置10a、10bは、互いに同様の構成を有しており、シート搬送方向が同じ方向となるように並設されている。これら2つのシート収納装置10a、10bは、給紙装置10の筐体150内に引き出し可能に収納されている。また、給紙装置10は、シート収納装置10a、10bを支持するレール機構160を有しており、このレール機構160によって、シート収納装置10a、10bが前方方向(Y1方向)に引き出される。
【0033】
また、図5、図6および図9に示すように、シート収納装置10a、10bは千枚以上のシート(用紙)Pの収納が可能な大容量タイプであり、多数のシートPを積載して収納するシート収納部31を有している。このシート収納装置10a、10bではシート収納部31の上方からシートPの補給が行われる。また、シート収納装置10a、10bは、引き出し方向(Y1方向)と直交方向にシートPが搬送されるように構成されている。すなわち、本実施形態では、シート搬送方向(X1方向)は平面視において引き出し方向(Y1方向)と直交方向となっている。
【0034】
シート収納装置10a、10bのシート収納部31は底部31a(図5および図6参照)と壁部31bとを有している。また、シート収納装置10aのシート収納部31内(壁部31bで囲まれた領域内)には上下(Z方向)に昇降可能なリフト板30(図6および図9参照)が配置されている。そして、図1および図6に示すように、シート収納装置10a内に収納される多数のシートPはリフト板30上に積載されるように構成されている。そのため、例えばリフト板30が上方に移動することにより、リフト板30上に積載されるシートPも上方に持ち上げられてピックアップローラーに押し当てられる。
【0035】
また、図9〜図11に示すように、シート収納部31では搬送方向上流側及び下流側の壁部31bに補給用開口部31c、31dが形成されており、シート収納部31の上方からシートP(図1参照)を補給する際に、この補給用開口部31c、31dに手を差し入れることによりリフト板30上に多数のシートPが積載される。
【0036】
また、図6に示すように、シート収納部31内には、シート位置を規制してシートPの位置決めを行うカーソル35が立設されている。このカーソル35は、シート搬送方向(X1方向)の位置決め機能を持ちシートPの後端位置を規制するエンドカーソル36(35)と、シート搬送方向(X1方向)に対して直角方向(Y方向)の位置決め機能を持つ一対のサイドカーソル37(35)とを含んで構成されている。エンドカーソル36はシートPの後端を揃える機能を有しており、一対のサイドカーソル37はシートPの幅方向(Y方向)の位置決めを行う機能を有している。そして、エンドカーソル36およびサイドカーソル37を所定の位置に配置することにより、所定サイズのシートPをシート収納部31内の所定位置に収納できるようになっている。また、エンドカーソル36は、シート搬送方向(X1方向)とは反対側の壁部31b側に1つ設けられている。
【0037】
水平搬送ユニット40は、図1に示したように、シート収納装置10bから送り出されたシートPを略水平にシート搬送路11まで搬送する。そのため、水平搬送ユニット40は、図12〜図14に示すように、シート搬送のための送りローラー41を有している。なお、上述したように、水平搬送ユニット40は、シート収納装置10a、10bが給紙装置10内に収納された状態で、主としてシート収納装置10aの上方に位置しており、その一部がシート収納装置10bの上方にも位置している。
【0038】
水平搬送ユニット40は、図3および図4に示すように、レール部材151によって給紙装置10内に保持されており、シート収納装置10a、10bが引き出された後に、シート収納装置10a、10bの引き出し方向(Y1方向)と同一方向に引き出し可能に構成されている。そして、水平搬送ユニット40において紙詰まりが生じた場合には、水平搬送ユニット40が前方に引き出されてジャム処理が行われる。なお、レール部材151は給紙装置10の筐体150内に固定されており、水平搬送ユニット40が引き出された場合でも、同方向にレール部材151が引き出されない構成となっている。
【0039】
ここで、図5〜図7に示すように、シート収納装置10a、10bには、水平搬送ユニット40と係合して、水平搬送ユニット40を引き出し方向(Y1方向)にガイドする係合部34が形成されている。
【0040】
具体的には、図5、図9および図10に示すように、シート収納装置10bの一方の壁部31b(シート収納装置10a側の壁部311b)には、補給用開口部31dが形成されていない部分の上部に段差部32(図10参照)が形成されている。この段差部32は、底面32aと側面32bとを有しており、その側面32bがシート収納装置10aの壁部31b(シート収納装置10b側の壁部312b)と対向するように構成されている。そして、シート収納装置10bの一方の壁部31b(段差部32が形成されている壁部311b)と、その壁部31bと対向するシート収納装置10aの壁部31b(312b)とによって、図7に示すような断面凹状の隙間33が形成される。すなわち、互いに並設されたシート収納装置10a、10bの間には、引き出し方向(Y1方向)に延びる隙間33が形成されており、この隙間33によって上記係合部34(凹状の係合部34)が形成されている。
【0041】
一方、図8、図13および図14に示すように、水平搬送ユニット40の下面側(シート収納装置10a、10b側)には、シート収納装置10a、10bの係合部34と係合するガイド部材50(ガイド部)が設けられている。このガイド部材50は、図13〜図15に示すように、凸部51と平坦部52とを有している。凸部51および平坦部52は、それぞれ、引き出し方向(Y1(Y)方向)に延びるように形成されている。
【0042】
また、ガイド部材50の凸部51は、シート収納装置10a、10b側に突出するように形成されており、シート収納装置10aとシート収納装置10bとの間の隙間33に形成された凹状の係合部34と係合するように構成されている。さらに、ガイド部材50の平坦部52は、ガイド部材50の凸部51が係合部34と係合した際に、シート収納装置10aの壁部31b(シート収納装置10b側の壁部312b)の上面60(補給用開口部31cが形成されていない部分の上面60)と接するように構成されている。
【0043】
そして、水平搬送ユニット40において紙詰まりが発生して水平搬送ユニット40を引き出す際に、シート収納装置10a、10bの係合部34およびシート収納装置10aの壁部31b(312b)の上面60に沿って、水平搬送ユニット40の下面側に設けたガイド部材50をスライドさせる。これにより、水平搬送ユニット40を引き出す際の左右へのガタツキや下方への垂れが規制される。
【0044】
このように、本実施形態では、シート収納装置10a、10bに水平搬送ユニット40と係合して水平搬送ユニット40を引き出し方向(Y1方向)にガイドする係合部34を設けることによって、この係合部34により、水平搬送ユニット40を引き出した際に生じる水平搬送ユニット40の左右(X方向)へのガタツキを規制することができる。また、本実施形態では、ガイド部材50に平坦部52を設けるとともに、この平坦部52がシート収納装置10aの壁部31b(312b)の上面60と接するように構成されているため、シート収納装置10aによって水平搬送ユニット40を支える(支持する)ことができる。これにより、水平搬送ユニット40を引き出した際に生じる水平搬送ユニット40の下方への垂れをより効果的に抑制することができる。したがって、上記構成により、水平搬送ユニット40を引き出した際に生じる水平搬送ユニット40の左右(X方向)へのガタツキおよび下方への垂れを抑制することができる。これにより、水平搬送ユニット40が他の部材(部分)と接触して水平搬送ユニット40が破損するという不都合が生じるのを抑制することができる。
【0045】
また、本実施形態では、上記構成により、強度や精度の高いレール(スライダー)を用いることなく、水平搬送ユニット40の左右へのガタツキや下方への垂れを抑制することができる。このため、高価なレールを用いることなく、給紙装置10を作製することが可能となるので、製造コストの上昇を抑制することができる。また、このようなレールを収納するスペースを確保する必要もないため、設計自由度を向上させることもできる。
【0046】
また、本実施形態では、シート収納装置10aとシート収納装置10bとの間に生じる隙間33によって凹状の係合部34を形成することによって、係合部34を容易に形成することができる。また、水平搬送ユニット40に、係合部34と係合して水平搬送ユニット40を引き出し方向にガイドするガイド部材50(凸部51)を設けることによって、水平搬送ユニット40に設けられたガイド部材50により、より精度よく水平搬送ユニット40を引き出し方向にガイドすることができる。これにより、水平搬送ユニット40を引き出した際に生じる水平搬送ユニット40の左右へのガタツキおよび下方への垂れを効果的に抑制することができる。
【0047】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0048】
例えば、上記実施形態では、ガイド部材の平坦部がシート収納装置の壁部の上面と接することで水平搬送ユニットをシート収納装置で支えるように構成した例について示したが、本発明はこれに限らず、ガイド部材の凸部がシート収納装置の壁部に設けた段差部(底面)と接することで水平搬送ユニットをシート収納装置で支えるように構成してもよい。すなわち、水平搬送ユニットがシート収納装置の係合部と係合することで水平搬送ユニットをシート収納装置で支えるように構成してもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、シート収納装置に凹状の係合部を設け、水平搬送ユニットに凸部を有するガイド部材を設けた例を示したが、係合部およびガイド部材における係合の凹凸関係は上記と逆であってもよい。例えば、シート収納装置に凸状の係合部を設け、水平搬送ユニットに凸状の係合部と係合する凹部を含むガイド部材を設けるようにしてもよい。
【0050】
また、上記実施形態では、2つのシート収納装置の一方のシート収納装置に段差部を形成した例を示したが、本発明はこれに限らず、例えば図16に示すように、2つのシート収納装置の両方に段差部32を形成してもよい。このように構成した場合でも、凹状の係合部34を容易に形成することができる。なお、2つのシート収納装置のいずれにも段差部を設けず、並設された2つのシート収納装置の隙間によって左右のガタツキを規制するように構成することもできる。
【0051】
また、上記実施形態では、互いに分離された2つのシート収納装置を並設した例を示したが、本発明はこれに限らず、例えば図17に示すように、2つのシート収納装置が一体化されたシート収納装置110(シート収納部31を2カ所有するシート収納装置)を備えた構成とすることもできる。
【0052】
また、上記実施形態では、互いに並設された2つのシート収納装置の隙間によって係合部を形成することにより、2つのシート収納装置の各々に係合部を設けた例を示したが、本発明はこれに限らず、互いに並設された2つのシート収納装置の隙間以外の部分に係合部を形成することにより、2つのシート収納装置のいずれか一方に係合部を設けるようにしてもよい。例えば、図18に示すように、水平搬送ユニット40のガイド部材50と係合する係合部34を、シート収納装置10bのみに設けた構成としてもよい。この場合、給紙装置前面の化粧板200を分割しておけば、シート収納装置10aとシート収納装置10bとを独立して引き出し可能とすることができる。
【0053】
また、上記実施形態において、水平搬送ユニットを引き出す際の接触抵抗を低減するために、例えばシート収納装置の壁部に回転自在なコロを設け、そのコロの上に水平搬送ユニットを滑らすようにしてもよい。
【0054】
なお、上記実施形態では、シート収納装置の一例として大容量シート収納装置を用いた例を示したが、本発明はこれに限らず、シート収納装置は、大容量以外のシート収納装置であってもよい。
【符号の説明】
【0055】
10 給紙装置
10a シート収納装置(第1シート積載機構)
10b シート収納装置(第2シート積載機構)
11、15、16 シート搬送路
23a ピックアップローラー(第1給送機構)
23b ピックアップローラー(第2給送機構)
30 リフト板
31 シート収納部
31a 底部
31b、311b、312b 壁部
31c、31d 補給用開口部
32 段差部
32a 底面
32b 側面
33 隙間
34 係合部
40 水平搬送ユニット(搬送機構)
41 ローラー
50 ガイド部材
51 凸部
52 平坦部
60 上面
100 画像形成装置
151 レール部材
160 レール機構
P シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々が複数枚のシートを積載して収納するとともに、互いに並設された第1および第2シート積載機構と、
前記第1シート積載機構に積載されているシートを送り出す第1給送機構と、
前記第2シート積載機構に積載されているシートを送り出す第2給送機構と、
前記第1および第2シート積載機構をその並設方向と交差する同一方向に引き出し可能に支持するレール機構と、
前記第1および第2シート積載機構の上方に配され、前記第2シート積載機構から前記第2給送機構により送り出されるシートを略水平方向に搬送する搬送機構とを備え、
前記搬送機構は、前記第1および第2シート積載機構の引き出し方向と同一方向に引き出し可能に構成されており、
前記第1および第2シート積載機構の少なくとも一方に、前記搬送機構と係合して前記搬送機構を引き出し方向にガイドする係合部が設けられていることを特徴とする、給紙装置。
【請求項2】
前記第1および第2シート積載機構を引き出した際に、前記第1シート積載機構と前記第2シート積載機構との間に生じる隙間によって前記係合部が形成され、
前記搬送機構には、前記係合部と係合して前記搬送機構を引き出し方向にガイドするガイド部が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の給紙装置。
【請求項3】
前記ガイド部は、前記第1および第2シート積載機構側に突出する凸部を含み、
前記係合部は、前記凸部と係合する凹状に構成されていることを特徴とする、請求項2に記載の給紙装置。
【請求項4】
前記第1および第2シート積載機構は、それぞれ、底部および壁部を有しており、
前記搬送機構を引き出した際に、シート積載機構の前記壁部によって前記搬送機構が支持されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の給紙装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の給紙装置を備えることを特徴とする、画像形成装置。

【図1】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−166863(P2012−166863A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−26724(P2011−26724)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】