説明

給送制御プログラム、記憶媒体、並びに、画像形成装置

【課題】記録材を給紙して転写位置まで搬送するためにコンピュータに実行させる給送制御プログラムにおいて、装置仕様の相違に拘らず簡単に対処できる制御仕様を実現する。
【解決手段】本願発明の給送制御プログラムは、給紙モジュール54をシーケンス制御する給紙シーケンスモジュール51、縦搬送モジュール55をシーケンス制御する縦搬送シーケンスモジュール52、レジスト搬送モジュール56をシーケンス制御するレジスト搬送シーケンスモジュール53、及び、シーケンスモジュール51〜53群を統括的に管理する給送シーケンスモジュール50を備える。給紙シーケンスモジュール51は、縦搬送機構36の有無を識別する識別子に従って2種類の異なるシーケンス制御を実行可能である。給送シーケンスモジュール50は、識別子に従って、縦搬送シーケンスモジュール52でのシーケンス制御の実行の可否を設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、記録材を給紙して転写位置まで搬送するためにコンピュータに実行させる給送制御プログラム、前記給送制御プログラムを格納した記憶媒体、並びに、前記記憶媒体を備えている画像形成装置に関するものである。画像形成装置には、複写機、プリンタ、ファクシミリ及びこれらの機能を複合的に備えた複合機といった各種のものが含まれる。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子写真方式を採用した画像形成装置において、給紙された記録材をレジストローラまで搬送する構成としては、給紙ローラ単独にて搬送するものと、給紙ローラ及びその搬送下流側に配置した縦搬送ローラ(中間搬送ローラと言ってもよい)にて搬送するものとの2種類が存在する。換言すると、縦搬送ローラのない構成と、縦搬送ローラのある構成とに大別される(例えば特許文献1及び2等参照)。
【0003】
一般に装置仕様が異なるものであれば、それぞれに適用される制御仕様も当然異なる。例えば、縦搬送ローラのない前者の場合は、記録材の給紙と、転写位置への搬送タイミング調整(スキュー補正、ループ形成を含む)という2つの役割を、給紙ローラが単独で担っている。縦搬送ローラのある後者の場合は、記録材給紙の役割を給紙ローラが担い、転写位置への搬送タイミング調整の役割を縦搬送ローラが担うというように、給紙ローラと縦搬送ローラとで役割を分担している。この点、従来は、縦搬送ローラの有無(装置仕様の違い)に応じて、それぞれ専用の制御プログラムを開発し対処していた。すなわち、縦搬送ローラなしの場合の給紙制御プログラム、縦搬送ローラありの場合の給紙制御プログラム及び縦搬送制御プログラムを作り分けて対処していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−316131号公報
【特許文献2】特開2005−298168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで近年、画像形成装置の低コスト化要求を受けた装置仕様の変更・簡素化に伴い、制御仕様が複雑化している。その反面、製品サイクルの関係で短納期要求も強く、製品の開発サイクルが短くなる傾向にある。このような環境下でソフトウェア開発の効率改善が求められている。しかし、前記従来のように装置仕様毎に専用の制御プログラムを開発したのでは、多大な工数(労力及び時間)を要するため、短期間での開発が難しく、ソフトウェア開発の効率改善要求に十分に対応できないという問題があった。本願発明は上記の問題点に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、装置仕様の相違に拘らず簡単に対処できる制御仕様を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、記録材を給紙して転写位置まで搬送するためにコンピュータに実行させる給送制御プログラムであって、記録材を給紙する給紙機構に対する給紙モジュールをシーケンス制御する給紙シーケンスモジュールと、記録材の搬送を中継する縦搬送機構に対する縦搬送モジュールをシーケンス制御する縦搬送シーケンスモジュールと、記録材を転写位置に所定タイミングで搬送するレジスト搬送機構に対するレジスト搬送モジュールをシーケンス制御するレジスト搬送シーケンスモジュールと、前記シーケンスモジュール群を統括的に管理する給送シーケンスモジュールとを備えており、前記給紙シーケンスモジュールが、前記縦搬送機構の有無を識別する識別子に従って、2種類の異なるシーケンス制御を実行可能であり、前記給送シーケンスモジュールが、前記識別子に従って、前記縦搬送シーケンスモジュールでのシーケンス制御の実行の可否を設定するというものである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載した給送制御プログラムにおいて、前記給送シーケンスモジュールは、前記識別子が前記縦搬送機構ありを示す場合に、前記縦搬送シーケンスモジュールに起動指示を出す一方、前記識別子が前記縦搬送機構なしを示す場合に前記起動指示を出さないというものである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載した給送制御プログラムにおいて、前記給紙シーケンスモジュールは、前記識別子が前記縦搬送機構ありを示す場合の給紙停止タイミングを、搬送中の記録材を検出する縦搬送検出手段のオン動作時に設定する一方、前記識別子が前記縦搬送機構なしを示す場合の給紙停止タイミングを、記録材後端が所定の給紙完了位置を通過したときに設定するというものである。
【0009】
請求項4の発明は、請求項3に記載した給送制御プログラムにおいて、前記給紙シーケンスモジュールは、前記転写位置への搬送タイミング調整のために記録材の搬送を一時停止させる機能を有しており、前記レジスト搬送シーケンスモジュールからスキュー停止指示を受けたときに、前記給紙モジュールに停止指示を出すというものである。
【0010】
請求項5の発明は、請求項4に記載した給送制御プログラムにおいて、前記給紙シーケンスモジュールは、前記転写位置への搬送タイミング調整のために一時停止中の記録材の搬送を再開させる機能を有しており、前記レジスト搬送シーケンスモジュールからレジスト駆動指示を受けたときに、前記給紙モジュールに駆動指示を出すというものである。
【0011】
請求項6の発明は、請求項3に記載した給送制御プログラムにおいて、前記縦搬送シーケンスモジュールは、前記転写位置への搬送タイミング調整のために記録材の搬送を一時停止させる機能を有しており、前記レジスト搬送シーケンスモジュールからスキュー停止指示を受けたときに、前記縦搬送モジュールに停止指示を出すというものである。
【0012】
請求項7の発明は、請求項6に記載した給送制御プログラムにおいて、前記縦搬送シーケンスモジュールは、前記転写位置への搬送タイミング調整のために一時停止中の記録材の搬送を再開させる機能を有しており、前記レジスト搬送シーケンスモジュールからレジスト駆動指示を受けたときに、前記縦搬送モジュールに駆動指示を出すというものである。
【0013】
請求項8の発明は、請求項4〜7のうちいずれかに記載した給送制御プログラムにおいて、前記給紙モジュール、前記縦搬送モジュール及び前記レジスト搬送モジュールは、それぞれに対する前記機構を、前記給送シーケンスモジュールにおけるシーケンス制御の基準周期よりも短い周期にて制御可能であるというものである。
【0014】
請求項9の発明はコンピュータ読取可能な記憶媒体に係り、より詳しくは請求項1〜8のうちいずれかに記載した給送制御プログラムを格納したというものである。
【0015】
請求項10の発明は画像形成装置に係り、より詳しくは請求項9に記載した記憶媒体を備えているというものである。
【発明の効果】
【0016】
本願の請求項に記載された発明によると、異なる装置仕様に対しても、基本的に1種類の給送制御プログラムにおいて、給送シーケンスモジュールに定義される識別子の変更で簡単に対処できることになる。このため、装置仕様の相違に応じて給送制御プログラムを作り分ける必要がなく、装置仕様の相違に拘らず、実施形態の給送制御プログラムを適用できる。従って、汎用性(再利用性)のある給送制御プログラムの提供を達成でき、短期間での開発といったソフトウェア開発の効率改善に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】MFPの外観斜視図である。
【図2】給送部の概略説明図であり、(a)が縦搬送機構のない場合、(b)が縦搬送機構のある場合である。
【図3】制御部の構成を示すブロック図である。
【図4】給送制御系の機能ブロック図である。
【図5】搬送動作の概要を説明するためのタイミングチャートであり、(a)が縦搬送機構のない場合、(b)が縦搬送機構のある場合である。
【図6】縦搬送機構のない場合における搬送動作の概要を説明するためのシーケンスチャートである。
【図7】縦搬送機構のある場合における搬送動作の概要を説明するためのシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本願発明を画像形成装置の一例である複合機1(以下、MFPという)に適用した実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0019】
図1に示すMFP1は、コピー機能、スキャナ機能、プリンタ機能、ファックス機能といった多くの機能を有するものであり、例えばLANや電話回線といったネットワークを介してのデータ送受信が可能になっている。すなわち、MFP1は、原稿から読み取った画像データをネットワーク経由で他のコンピュータに出力したり、ネットワーク経由で他のコンピュータから画像データを入力して該画像データに基づく印刷を実行したり、FAXデータの送受信をしたりできるものである。
【0020】
MFP1における装置本体2の上部に、スキャナ部3と自動原稿搬送部4(以下、ADFという)とからなる画像読取部5が設けられている。画像読取部5は、スキャナ部3とADF4とを同期して作動させ、ADF4にセットされた原稿1枚ずつから画像を光学的に読み取ることにより、画像データを取得するように構成されている。すなわち、ADF4はスキャナ部3に向けて原稿を1枚ずつ搬送し、スキャナ部3は、原稿が所定の読取位置を通過する際に画像を読み取って、画像データを取得するように構成されている。
【0021】
装置本体2の下部に、記録材Pを給紙して画像プロセス部6の転写位置24(図2参照)に搬送する給送部7(給紙及び搬送部)が設けられている。装置本体2のうち画像読取部5と給送部7との間に、記録材P上にトナー画像を印刷する画像プロセス部6が設けられている。給送部7は記録材Pを1枚ずつ画像プロセス部6に供給し、画像プロセス部6は画像読取部5やネットワーク経由で取得された画像データに基づき、記録材P上にトナー画像を印刷するように構成されている。装置本体2のうち画像読取部5と画像プロセス部6との間にある凹みスペースは排紙貯留部8である。画像プロセス部6によってトナー画像が印刷された記録材Pは排紙貯留部8に排出される。
【0022】
装置本体2の正面側(前面側)には、複数のキー(ボタン)を有する操作パネル9が設けられている。ユーザは、操作パネル9の表示画面等を見ながらキー操作をすることによって、MFP1の各種機能の中から選択した機能について設定操作をしたり、MFP1に作業実行を指示したりできる。図示は省略するが、装置本体2内には、MFP1の制御全般を司る制御部10(図3参照)が配置されている。
【0023】
図2は給送部7の概略説明図であり、(a)が縦搬送機構36(詳細は後述する)のない場合、(b)が縦搬送機構36のある場合を示している。まず図2(a)(b)の共通構成を説明する。図2(a)(b)に示すように、給送部7は、記録材Pを収容する給紙カセット11、給紙カセット11内の記録材Pを最上層から1枚ずつ繰り出す繰り出しローラ12、繰り出しローラ12の搬送下流側に配置された給紙ローラ対13、及び、1枚に分離された記録材Pを所定のタイミングにて画像プロセス部6に搬送するレジストローラ対14等を備えている。給紙カセット11内の記録材Pは、繰り出しローラ12及び給紙ローラ対13の回転にて、最上層のものから1枚ずつ搬送経路15に送り出される。搬送経路15は印刷工程を経る記録材Pの通り道である。繰り出しローラ12及び給紙ローラ対13は、駆動源である給紙モータ16にて回転駆動するように構成されている。レジストローラ対14は、駆動源であるレジストモータ17にて回転駆動するように構成されている。
【0024】
搬送経路15のうち給紙ローラ対13よりも搬送下流側には、記録材Pを検出する給紙検出手段としての給紙センサ18が、給紙ローラ対13に近接して配置されている。搬送経路15のうちレジストローラ対14よりも搬送上流側には、レジスト検出手段としてのレジストセンサ19が、レジストローラ対14に近接して配置されている。これらセンサ18,19は各配置位置での記録材Pの有無を検出するものであり、光学的な非接触タイプのものでもよいし、感知アーム等のアクチュエータを有する接触タイプのものでもよい。
【0025】
レジストローラ対14の搬送下流側に、画像プロセス部6が位置している。画像プロセス部6は、像担持体の一例である感光体ドラム上のトナー画像を記録材Pに転写する役割を担うものであり、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の各色に対応する計4つの作像部(図示省略)、並びに中間転写ベルト21等を備えている。中間転写ベルト21は、駆動ローラ22等に巻き掛けられて図2の反時計方向に回転駆動可能に構成されている。中間転写ベルト21のうち駆動ローラ22に巻き掛けられた部分の外側に、二次転写ローラ23が配置されている。中間転写ベルト21と二次転写ローラ23との当接部分が転写位置24になっている。
【0026】
次に、図2(b)特有の構成を説明する。図2(b)の例では、搬送経路15のうち給紙ローラ対13とレジストローラ対14との間に、給紙された記録材Pの搬送を中継する縦搬送ローラ対31が配置されている。縦搬送ローラ対31は、駆動源である縦搬送モータ32にて回転駆動するように構成されている。搬送経路15のうち縦搬送ローラ対31よりも搬送下流側には、記録材Pを検出する縦搬送検出手段としての縦搬送センサ33が、縦搬送ローラ対31に近接して配置されている。縦搬送センサ33も、前記した各センサ18,19と同様に、配置位置での記録材Pの有無を検出するものである。また、縦搬送センサ33についても、光学的な非接触タイプ、及び、アクチュエータを有する接触タイプのどちらを採用してもよい。
【0027】
詳細は後述するが、縦搬送機構36のない図2(a)の例では、記録材Pの給紙と、転写位置24への搬送タイミング調整(スキュー補正、ループ形成を含む)という2つの役割を、給紙ローラ対13が単独で担っている。縦搬送機構36のある図2(b)の例では、記録材P給紙の役割を給紙ローラ対13が担い、転写位置24への搬送タイミング調整の役割を縦搬送ローラ対31が担っている。すなわち、給紙ローラ対13と縦搬送ローラ対31とで役割を分担している。
【0028】
記録材Pの印刷動作は概ね以下のように行われる。すなわち、中間転写ベルト21上に、各作像部によって各色トナー画像が一次転写されて重ねられる。一方、中間転写ベルト21の回転駆動にて転写位置24に向かう各色トナー画像の移動タイミングに合わせて、記録材Pがレジストローラ対14にて転写位置24に搬送される。記録材Pが転写位置24を通過する際に、各色トナー画像が記録材Pに一括して二次転写される。転写位置24を通過して片面に未定着トナー像を載せた記録材Pは、定着部(図示省略)を通過する際に加熱・加圧され、未定着トナー像を定着される。定着後(印刷済)の記録材Pが排紙貯留部8に排出される。
【0029】
繰り出しローラ12、給紙ローラ対13、給紙モータ16及び給紙センサ18は給紙機構35を構成し、レジストローラ対14、レジストモータ17及びレジストセンサ19はレジスト搬送機構37を構成している。また、縦搬送ローラ対31、縦搬送モータ32及び縦搬送センサ33は縦搬送機構36を構成している。
【0030】
図3は、MFP1の制御全般を司る制御部10の構成を示すブロック図である。制御部10は、外部端末やスキャナ部3等からの画像信号を受信して、これをデジタル化したY〜K色用の画像データに変換し、画像プロセス部6や給送部7等を制御して、印刷動作を実行するものである。実施形態の制御部10は、CPU41、ROM42、RAM43、記憶媒体としてのハードディスク44、及びネットワークインターフェイス45等を備えている。これら各部41〜45と、MFP1の各構成要素(スキャナ部3、ADF4、画像プロセス部6、給送部7及び操作パネル9)とは、各種信号等のデータをやり取りするための通信バス46を介して相互に接続されている。
【0031】
CPU41は、各種演算処理や制御を実行する。ROM42は、BIOSを含む各種プログラムやデータを格納する。RAM43は、作業領域として一時的にプログラムやデータを記憶する。ハードディスク44は、オペレーティングシステムを含む各種制御プログラムやデータを格納する。ネットワークインターフェイス45は、例えばLANや電話回線といったネットワークを介して、外部端末等の他の機器と通信するための物理的インターフェイスである。
【0032】
図4は、制御部10の機能構成(モジュール構成)の一部である給送制御系の機能ブロック図である。図4に示す給送制御系は、給紙機構35に対する給紙モジュール54をシーケンス制御する給紙シーケンスモジュール51と、縦搬送機構36に対する縦搬送モジュール55をシーケンス制御する縦搬送シーケンスモジュール52と、レジスト搬送機構37に対するレジスト搬送モジュール56をシーケンス制御するレジスト搬送シーケンスモジュール53と、これらシーケンスモジュール51〜53群を統括的に管理する給送シーケンスモジュール50とを備えている。
【0033】
給送シーケンスモジュール50は、1枚の記録材Pにおける給紙からレジストローラ対14通過までの一連の給送シーケンス制御を実行するモジュール(機能単位)であり、給送制御系の制御を統括管理している。給送シーケンスモジュール50は、MFP1全体を管理するシステムモジュール(図示省略)からの指示によって、印刷時に1枚の記録材P毎に起動し、状態遷移に伴って配下の給紙シーケンスモジュール51、縦搬送シーケンスモジュール52及びレジスト搬送シーケンスモジュール53を周期的に起動させる。また、起動させた全てのシーケンスモジュール51〜53のシーケンス完了を受け付けたら、給送シーケンスモジュール50は処理を終了して、完了状態を起動元のシステムモジュールに返す。
【0034】
給送シーケンスモジュール50には、縦搬送機構36の有無を識別する識別子と、転写位置24への搬送タイミング(以下、同期タイミングという)を取るための同期データとが定義されている。当該識別子を縦搬送機構36の有無に応じて変更することによって、配下の各シーケンスモジュール51〜53の制御パラメータが一意的に決まる。同期データは毎周期更新されるものであり、配下の各シーケンスモジュール51〜53に毎周期通知される。また、給送シーケンスモジュール50は、モジュール間インターフェイスとして、初期化関数、システムモジュールにて起動させるためのメイン関数、及び給送シーケンス制御の状態を返す関数を有している。なお、識別子としては、例えばコンパイルスイッチでもよいし、変数パラメータでも差し支えない。上記の説明から明らかなように、給送シーケンスモジュール50はあくまで、給送制御系の制御を統括管理する上位のシーケンスモジュールであり、給送部7以外の装置構成に関するモジュールを起動させることはない。すなわち、給送シーケンスモジュール50は、給送部7以外の装置構成の変更に影響を受けない独立のプログラム部品となっている。
【0035】
給紙シーケンスモジュール51は、給紙機構35に対する給紙モジュール54を用いて、記録材Pを給紙カセット11から繰り出し、記録材Pが給紙ローラ対13を抜けるまで搬送する一連の給紙シーケンス制御を実行するモジュールであり、給送シーケンスモジュール50からの指示によって、1枚の記録材P毎に起動する。給紙シーケンスモジュール51には、給紙開始タイミングのデータと、縦搬送機構36の有無に応じて(識別子に従って)設定を要する給紙機構35の給紙制御パラメータとが定義されている。給紙制御パラメータを識別子に従って変更することによって、縦搬送シーケンスモジュール52での縦搬送シーケンス制御の実行の可否を設定すると共に、給紙機構35における制御仕様の変更に対処している。
【0036】
給紙シーケンスモジュール51は、モジュール間インターフェイスとして、給送シーケンスモジュール50にて周期的に起動させるためのメイン関数、給紙開始タイミングの通知を取得する関数、給紙シーケンス制御の状態を返す関数、初期化関数、及び、同期データを取得する関数を有している。また、給紙シーケンスモジュール51のモジュール間インターフェイスには、レジスト搬送シーケンスモジュール53からのスキュー停止指示を取得する関数、及び、レジスト搬送シーケンスモジュール53からのレジスト駆動指示を取得する関数もある。
【0037】
縦搬送シーケンスモジュール52は、縦搬送機構36に対する縦搬送モジュール55を用いて、記録材Pが縦搬送ローラ対31を抜けるまで搬送する一連の縦搬送シーケンス制御を実行するモジュールである。これも、給送シーケンスモジュール50からの指示によって、1枚の記録材P毎に起動する。縦搬送シーケンスモジュール52には、縦搬送停止タイミングのデータと、縦搬送機構36の縦搬送制御パラメータとが定義されている。実施形態の縦搬送制御パラメータは、例えば縦搬送ローラ対31や縦搬送センサ33の配置位置といった機械的な位置データである。
【0038】
縦搬送シーケンスモジュール52は、モジュール間インターフェイスとして、給送シーケンスモジュール50にて周期的に起動させるためのメイン関数、縦搬送開始タイミングの通知を取得する関数、縦搬送シーケンス制御の状態を返す関数、初期化関数、及び、同期データを取得する関数を有している。また、縦搬送シーケンスモジュール52のモジュール間インターフェイスには、レジスト搬送シーケンスモジュール53からのスキュー停止指示を取得する関数、及び、レジスト搬送シーケンスモジュール53からのレジスト駆動指示を取得する関数もある。
【0039】
レジスト搬送シーケンスモジュール53は、レジスト搬送機構37に対するレジスト搬送モジュール56を用いて、記録材Pがスキュー補正やループ形成等を経てレジストローラ対14を抜けるまで搬送する一連のレジスト搬送シーケンス制御を実行するモジュールである。レジスト搬送シーケンスモジュール53には、レジスト開始タイミングのデータと、スキュー補正開始タイミングのデータと、レジスト停止タイミングのデータとが定義されている。レジスト搬送シーケンスモジュール53は、モジュール間インターフェイスとして、給送シーケンスモジュール50にて周期的に起動させるためのメイン関数、給送シーケンス制御よりも短い周期で起動されるレジスト搬送シーケンス関数、レジスト開始タイミングを給送シーケンスモジュール50に公開するための関数、レジスト開始タイミングの通知を取得する関数、レジスト搬送シーケンス制御の状態を返す関数、初期化関数、及び、同期データを取得する関数を有している。
【0040】
給紙モジュール54は、給紙機構35の制御に必要な全てのデータを定義し、給紙シーケンスモジュール51側で前記データにパラメータを設定して起動されるリカーシブ構造のモジュールであり、給紙シーケンスモジュール51の給紙シーケンス制御に基づき給紙モータ16及び給紙センサ18を制御している。この場合、縦搬送機構36の有無によって異なる独自のモジュール54a,54bが設定されている。実施形態では、縦搬送機構36のない場合を第1給紙モジュール54aとし、縦搬送機構36のある場合を第2給紙モジュール54bとしている。
【0041】
第1給紙モジュール54aには、給紙速度、給紙センサのオン動作タイミング、レジストセンサ19値、搬送経路15内の記録材位置、並びに、給紙ローラ対13を停止させるときの記録材後端位置(以下、給紙完了位置という)のデータが定義されている。記録材位置及び給紙完了位置のデータは、給紙センサ18による記録材P先端の検出結果と給紙速度とから求めてもよいし、給紙センサ18にて記録材P先端を検出してからの時間経過から求めることも可能である。これらのデータには、給紙シーケンスモジュール51にて給紙制御パラメータが設定され、当該給紙制御パラメータは、第1給紙モジュール54aにおけるメイン関数の引数として、第1給紙モジュール54aに通知される。第1給紙モジュール54aは、モジュール間インターフェイスとして、給紙シーケンスモジュール51にて周期的に起動させるためのメイン関数、給紙シーケンス制御に関連した駆動指示を取得する関数、メイン関数におけるシーケンス制御の状態を返す関数、レジスト駆動指示に関連した駆動指示を取得する関数、及び、スキュー停止指示に関連した停止指示を取得する関数を有している。
【0042】
一方、第2給紙モジュール54bには、給紙モータパラメータ(給紙速度やゲイン電流値等)、給紙センサのオン動作タイミング、レジストセンサ19値、並びに、搬送経路15内の記録材位置のデータが定義されている。この場合の記録材位置のデータも、第1給紙モジュール54bでの説明と同様に、給紙センサ18による記録材P先端の検出結果と給紙速度とから求めてもよいし、給紙センサ18にて記録材P先端を検出してからの時間経過から求めることも可能である。これらデータには給紙シーケンスモジュール51にてパラメータが設定され、当該パラメータは、第2給紙モジュール54bにおけるメイン関数の引数として、第2給紙モジュール54bに通知される。第2給紙モジュール54bは、モジュール間インターフェイスとして、給紙シーケンスモジュール51にて周期的に起動させるためのメイン関数、給紙ローラ対13の駆動指示を取得する関数、及び、メイン関数におけるシーケンス制御の状態を返す関数を有している。
【0043】
縦搬送モジュール55は、縦搬送シーケンスモジュール52の縦搬送シーケンス制御に基づき縦搬送モータ32及び縦搬送センサ33を制御するモジュールであり、縦搬送シーケンスモジュール52からの指示によって起動する。縦搬送モジュール55には、縦搬送モータパラメータ(駆動速度やゲイン電流値等)と、縦搬送センサ33値とが定義されている。また、縦搬送モジュール55は、モジュール間インターフェイスとして、縦搬送シーケンスモジュール52に縦搬送センサ33値を返す関数と、縦搬送ローラ対31の駆動指示を取得する関数と、初期化関数とを有している。
【0044】
レジスト搬送モジュール56は、レジスト搬送シーケンスモジュール53のレジスト搬送シーケンス制御に基づきレジストローラ対14及びレジストセンサ19を制御するモジュールであり、レジスト搬送シーケンスモジュール53からの指示によって起動する。レジスト搬送モジュール56には、レジストモータパラメータ(駆動速度やゲイン電流値等)と、レジストセンサ19値とが定義されている。また、レジスト搬送モジュール56は、モジュール間インターフェイスとして、レジスト搬送シーケンスモジュール53にレジストセンサ19値を返す関数と、レジストローラ対14の駆動指示を取得する関数と、初期化関数とを有している。
【0045】
図5は、1枚の記録材Pにおける給紙からレジストローラ対14通過までの搬送動作の概要を説明するためのタイミングチャートであり、(a)が縦搬送機構36のない場合、(b)が縦搬送機構36のある場合を示している。
【0046】
図5(a)を参照しながら、縦搬送機構36のない場合の搬送動作を説明する。まず、給紙モータ16を駆動させて、給紙ローラ対13(繰り出しローラ12も同時に)の駆動を開始すると(a−1)、給紙カセット11内の最上層の記録材Pが繰り出されて給紙開始となる。ここで、給紙モータ16の駆動速度(給紙速度)は、MFP1における各種駆動源のプロセス速度よりも速い設定になっている。記録材P先端が給紙ローラ対13を通過して給紙センサ16の箇所に到達すると、給紙センサ18がオンになる(a−2)。記録材P先端が更に進んでレジストローラ対14近傍に到達すると、レジストセンサ19がオンになる(a−3)。レジストセンサ19のオン動作後、記録材Pの後端がループ形成のための給紙完了位置に到達するまで記録材Pを搬送すると、給紙モータ16を停止させ(a−4)、給紙ローラ対13を停止させる。
【0047】
それから、同期タイミングに合わせて、給紙モータ16とレジストモータ17とを同時に駆動させることによって、給紙ローラ対13とレジストローラ対14とを同期して駆動開始させ、記録材Pを転写位置24まで搬送する(a−5)。この段階での給紙モータ16及びレジストモータ17の駆動速度はプロセス速度に設定される。その後、記録材Pの後端が給紙ローラ対13を通り過ぎた段階で給紙モータ16を停止させ(a−6)、給紙ローラ対13を停止させる。更に進んで記録材Pの後端が給紙センサ18を経てレジストセンサ19を通過した段階でレジストモータ17を停止させ(a−7)、レジストローラ対14を停止させるのである。
【0048】
次に、図5(b)を参照しながら、縦搬送機構36のある場合の搬送動作を説明する。始めに、縦搬送モータ32を駆動させて縦搬送ローラ対31の駆動を開始する(b−1)。それから、給紙モータ16を駆動させて給紙ローラ対13(繰り出しローラ12も同時に)の駆動を開始すると(b−2)、給紙カセット11内の最上層の記録材Pが繰り出されて給紙開始となる。ここで、縦搬送モータ31及び給紙モータ16の駆動速度はプロセス速度よりも速い設定になっている。
【0049】
記録材P先端が縦搬送ローラ対31を通過して縦搬送センサ33の箇所に到達すると、縦搬送センサ33がオンになり、給紙モータ16を停止させ(b−3)、給紙ローラ対13を停止させる。記録材Pは縦搬送ローラ対31にて引き続き搬送される。記録材P先端が更に進んでレジストローラ対14近傍に到達すると、レジストセンサ19がオンになる(b−4)。レジストセンサ19のオン動作後、ループ形成分だけ記録材Pを搬送すると、縦搬送モータ32を停止させ(b−5)、縦搬送ローラ対31を停止させる。
【0050】
それから、同期タイミングに合わせて、縦搬送モータ32とレジストモータ17とを同時に駆動させることによって、縦搬送ローラ対31とレジストローラ対14とを同期して駆動開始させ、記録材Pを転写位置24まで搬送する(b−6)。この段階での縦搬送モータ32及びレジストモータ17の駆動速度はプロセス速度に設定される。その後、記録材Pの後端が縦搬送センサ33を通り過ぎた段階で縦搬送モータ32を停止させ(b−7)、縦搬送ローラ対31を停止させる。更に進んで記録材Pの後端がレジストセンサ19を通過した段階でレジストモータ17を停止させ(b−8)、レジストローラ対14を停止させるのである。
【0051】
図6及び図7は、1枚の記録材Pにおける給紙からレジストローラ対14通過までの搬送動作の概要を説明するためのシーケンスチャートであり、図6が縦搬送機構36のない場合、図7が縦搬送機構36のある場合を示している。なお、以下の説明及び図面では、MFP1全体を管理するシステムモジュール(図示省略)からの指示によって、給送シーケンスモジュール50が起動する段階を省略している。
【0052】
まず、図6に示すシーケンス制御について説明する。始めに、給送シーケンスモジュール50が給紙シーケンスモジュール51に起動指示を出す(1.1)。この場合、識別子が縦搬送機構36なしを示しているので、縦搬送シーケンスモジュール52への起動指示はしない。次いで、給送シーケンスモジュール50は、レジスト搬送シーケンスモジュール53の起動タイミングを判定し(1.3)、起動タイミングになったら、レジスト搬送シーケンスモジュール53に起動指示を出す(1.4)。以後、起動させた各シーケンスモジュール51,53が完了になるまで、各シーケンスモジュール51,53のメイン関数の起動を維持する。また、各シーケンスモジュール51,53の起動中は毎周期、同期データの更新を実行し、配下の各シーケンスモジュール51,53に通知している(図示省略)。
【0053】
給紙シーケンスモジュール51は、給送シーケンスモジュール50からの起動指示を取得すると、給紙シーケンス制御(メイン関数の起動)を開始し、毎周期取得する同期データが給紙開始タイミングに達したか否かを判定する(2.1)。給紙開始タイミングに達したら、給紙シーケンスモジュール51が第1給紙モジュール54aに駆動指示を出す(2.2)。第1給紙モジュール54aは、給紙シーケンスモジュール51側で設定された給紙制御パラメータに従って、給紙モータ16及び給紙センサ18(給紙機構35)を制御する(5.1)。
【0054】
一方、レジスト搬送シーケンスモジュール53は、給送シーケンスモジュール50からの起動指示を取得すると、レジスト搬送シーケンス制御(メイン関数の起動)を開始し、毎周期取得する同期データがスキュー補正開始タイミングに達したか否かを判定する(4.1)。スキュー補正開始タイミングに達したら、レジスト搬送シーケンスモジュール53がレジスト搬送モジュール56に励磁指示を出してから(4.2.1)、所定のタイミングで給紙シーケンスモジュール51にスキュー停止指示を出す(4.2.3)。給紙シーケンスモジュール51は、レジスト搬送シーケンスモジュール53からのスキュー停止指示を取得すると、第1給紙モジュール54aに給紙ローラ対13の停止指示を出し(2.3)、給紙モータ16(給紙機構35)を停止させる(5.2)。ここまでが、図5(a)のタイミングチャートにおける(a−4)までの流れである。
【0055】
それから、レジスト搬送シーケンスモジュール53は、毎周期取得する同期データがレジスト開始タイミングに達したか否かを判定する(4.3)。レジスト開始タイミングに達したら、レジスト搬送シーケンスモジュール53がレジスト搬送モジュール56にレジストローラ対14の駆動指示を出し(4.4.1)、レジストモータ17(レジスト搬送機構37)を駆動させる(7.2)。また、これと同時に、レジスト搬送シーケンスモジュール53は、給紙シーケンスモジュール51にレジスト駆動指示を出す(4.4.3)。給紙シーケンスモジュール51は、レジスト搬送シーケンスモジュール53からのレジスト駆動指示を取得すると、第1給紙モジュール54aに給紙ローラ対13の駆動指示を出し(2.4)、給紙モータ16(給紙機構35)を駆動させる(5.3)。ここまでが、図5(a)のタイミングチャートにおける(a−5)までの流れである。
【0056】
その後、第1給紙モジュール54aが、給紙シーケンスモジュール51から取得した記録材位置及び給紙停止タイミングのデータに基づく停止判定を行い(5.4)、給紙モータ16(給紙機構35)を停止させる(5.5)。給紙モータ16を停止させたら、シーケンス完了を給紙シーケンスモジュール51に返す。給紙シーケンスモジュール51は、これを受けて給送シーケンスモジュール50に給紙シーケンス制御の完了状態を返す。ここまでが、図5(a)のタイミングチャートにおける(a−6)までの流れである。
【0057】
それから、レジスト搬送シーケンスモジュール53が、レジスト停止タイミングに達したか否かを判定し(4.5)、レジスト停止タイミングに達したら、レジスト搬送シーケンスモジュール53がレジスト搬送モジュール56にレジストローラ対14の停止指示を出し(4.6)、レジストモータ17(レジスト搬送機構37)を停止させる(7.3)。また、レジスト搬送シーケンスモジュール53は、給送シーケンスモジュール50にレジスト搬送シーケンス制御の完了状態を返す。ここまでが、図5(a)のタイミングチャートにおける(a−7)までの流れである。給送シーケンスモジュール50は、給紙シーケンスモジュール51及びレジスト搬送シーケンスモジュール53双方の完了状態を取得すると、自身の給送シーケンス制御を終了する。
【0058】
次に、図7に示すシーケンス制御について説明する。始めに、給送シーケンスモジュール50が給紙シーケンスモジュール51に起動指示を出す(1.1)。この場合、識別子が縦搬送機構36ありを示しているので、縦搬送シーケンスモジュール52にも起動指示を出す(1.2)。次いで、給送シーケンスモジュール50は、レジスト搬送シーケンスモジュール53の起動タイミングを判定し(1.3)、起動タイミングになったら、レジスト搬送シーケンスモジュール53に起動指示を出す(1.4)。以後、起動させた各シーケンスモジュール51〜53が完了になるまで、各シーケンスモジュール51〜53のメイン関数の起動を維持する。また、各シーケンスモジュール51〜53の起動中は毎周期、同期データの更新を実行し、配下の各シーケンスモジュール51〜53に通知している(図示省略)。
【0059】
給紙シーケンスモジュール51は、給送シーケンスモジュール50からの起動指示を取得すると、給紙シーケンス制御(メイン関数の起動)を開始し、毎周期取得する同期データが給紙開始タイミングに達したか否かを判定する(2.1)。給紙開始タイミングに達したら、給紙シーケンスモジュール51が第2給紙モジュール54bに駆動指示を出す(2.2)。第2給紙モジュール54bは、給紙シーケンスモジュール51側で設定された給紙制御パラメータに従って、給紙モータ16及び給紙センサ18(給紙機構35)を制御する(5.1)。
【0060】
縦搬送シーケンスモジュール52は、給送シーケンスモジュール50からの起動指示を取得すると、縦搬送シーケンス制御(メイン関数の起動)を開始し、毎周期取得する同期データが縦搬送開始タイミングに達したか否かを判定する(3.1)。縦搬送開始タイミングに達したら、縦搬送シーケンスモジュール52が縦搬送モジュール55に駆動指示を出す(3.2)。縦搬送モジュール55は、縦搬送制御パラメータに従って縦搬送モータ32及び縦搬送センサ33(縦搬送機構36)を制御する(6.1)。ここまでが、図5(b)のタイミングチャートにおける(b−2)までの流れである。
【0061】
一方、レジスト搬送シーケンスモジュール53は、給送シーケンスモジュール50からの起動指示を取得すると、レジスト搬送シーケンス制御(メイン関数の起動)を開始し、毎周期取得する同期データがスキュー補正開始タイミングに達したか否かを判定する(4.1)。スキュー補正開始タイミングに達したら、レジスト搬送シーケンスモジュール53がレジスト搬送モジュール56に励磁指示を出してから(4.2.1)、所定のタイミングで縦搬送シーケンスモジュール52にスキュー停止指示を出す(4.2.2)。縦搬送シーケンスモジュール52は、レジスト搬送シーケンスモジュール53からのスキュー停止指示を取得すると、縦搬送モジュール55に縦搬送ローラ対31の停止指示を出し(3.3)、縦搬送モータ32(縦搬送機構36)を停止させる(6.2)。
【0062】
この間、第2給紙モジュール54bは、給紙シーケンスモジュール51側で設定された給紙制御パラメータに基づく停止判定を行い(5.4)、給紙モータ16(給紙機構35)を停止させる(5.5)。給紙モータ16を停止させたら、シーケンス完了を給紙シーケンスモジュール51に返す。給紙シーケンスモジュール51は、これを受けて給送シーケンスモジュール50に給紙シーケンス制御の完了状態を返す。ここまでが、図5(b)のタイミングチャートにおける(b−4)までの流れである。
【0063】
さて、レジスト搬送シーケンスモジュール53は、毎周期取得する同期データがレジスト開始タイミングに達したか否かを判定する(4.3)。レジスト開始タイミングに達したら、レジスト搬送シーケンスモジュール53がレジスト搬送モジュール56にレジストローラ対14の駆動指示を出し(4.4.1)、レジストモータ17(レジスト搬送機構37)を駆動させる(7.2)。また、これと同時に、レジスト搬送シーケンスモジュール53は、縦搬送シーケンスモジュール52にレジスト駆動指示を出す(4.4.2)。縦搬送シーケンスモジュール52は、レジスト搬送シーケンスモジュール53からのレジスト駆動指示を取得すると、縦搬送モジュール55に縦搬送ローラ対31の駆動指示を出し(3.4)、縦搬送モータ32(縦搬送機構36)を駆動させる(6.3)。ここまでが、図5(b)のタイミングチャートにおける(b−6)までの流れである。
【0064】
その後、縦搬送シーケンスモジュール52が縦搬送センサ33値(オフ動作したか否か)に基づく停止判定を行って(3.5)、縦搬送モジュール55に縦搬送ローラ対31の停止指示を出し(3.6)、縦搬送モータ32(縦搬送機構36)を停止させる(6.4)。そして、縦搬送シーケンスモジュール52は、給送シーケンスモジュール50に縦搬送シーケンス制御の完了状態を返す。ここまでが、図5(b)のタイミングチャートにおける(b−7)までの流れである。
【0065】
それから、レジスト搬送シーケンスモジュール53が、レジスト停止タイミングに達したか否かを判定し(4.5)、レジスト停止タイミングに達したら、レジスト搬送シーケンスモジュール53がレジスト搬送モジュール56にレジストローラ対14の停止指示を出し(4.6)、レジストモータ17(レジスト搬送機構37)を停止させる(7.3)。また、レジスト搬送シーケンスモジュール53は、給送シーケンスモジュール50にレジスト搬送シーケンス制御の完了状態を返す。ここまでが、図5(b)のタイミングチャートにおける(b−8)までの流れである。給送シーケンスモジュール50は、3つのシーケンスモジュール51〜53の完了状態を取得すると、自身の給送シーケンス制御を終了する。
【0066】
以上の説明から分かるように、実施形態のモジュール構造を採用すれば、縦搬送機構36の有無といった異なる装置仕様に対しても、基本的に1種類の給送制御プログラムにおいて、給送シーケンスモジュール50に定義される識別子の変更で簡単に対処できることになる。このため、装置仕様の相違(縦搬送機構36の有無)に応じて給送制御プログラムを作り分ける必要がなく、装置仕様の相違に拘らず、実施形態の給送制御プログラムを適用できる。従って、汎用性(再利用性)のある給送制御プログラムの提供を達成でき、短期間での開発といったソフトウェア開発の効率改善に貢献できる。
【0067】
特に実施形態の給送制御プログラムでは、識別子の変更によって生ずる制御仕様の変更箇所が、給送シーケンスモジュール50での給紙停止タイミングのパラメータと、給紙シーケンスモジュール51での給紙モジュール54切換との2箇所で済み、対応が簡単である。それ以外のシーケンスモジュール52,53は一切変更の必要がない。更に、装置仕様の相違によって専用に開発すべきモジュールが給紙モジュール54だけで済む。これらの点でも、実施形態における給送制御プログラムの汎用性(再利用性)の高さが窺えるのである。
【0068】
なお、実施形態では、給紙モジュール54、縦搬送モジュール55及びレジスト搬送モジュール56が、それぞれに対する各機構35,36,37を、給送シーケンスモジュール50における給送シーケンス制御の基準周期よりも短い周期で制御することが可能になっている。このような制御を採用すると、例えば各モータ16,17,32を短い周期で駆動させ、各ローラ対13,14,31を細やかに駆動させることによって、記録材Pのループ形成量の調節精度を向上させたり、トナー画像に対する記録材Pの位置合せ精度を向上させたりできることになる。
【0069】
本願発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体化できる。例えば、画像形成装置としてMFPを例に説明したが、これに限らず、複写機、ファクシミリ又はプリンタ等でもよい。記憶媒体としては、ハードディスク44に限らず、例えばROM、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ、並びに、集積回路等のメモリ装置、光ディスク、光磁気ディスク(CD−ROM/DVD−RAM/DVD−ROM/MO等)、磁気記録媒体(フロッピー(登録商標)ディスク/ZIP等)等を採用できる。その他、各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 MFP
6 画像プロセス部
7 給送部
10 制御部
13 給紙ローラ対
14 レジストローラ対
16 給紙モータ
17 レジストモータ
18 給紙センサ(給紙検出手段)
19 レジストセンサ(レジスト検出手段)
24 転写位置
31 縦搬送ローラ対
32 縦搬送モータ
33 縦搬送センサ(縦搬送検出手段)
35 給紙機構
36 縦搬送機構
37 レジスト搬送機構
44 ハードディスク(記憶媒体)
50 給送シーケンスモジュール
51 給紙シーケンスモジュール
52 縦搬送シーケンスモジュール
53 レジスト搬送シーケンスモジュール
54 給紙モジュール
55 縦搬送モジュール
56 レジスト搬送モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材を給紙して転写位置まで搬送するためにコンピュータに実行させる給送制御プログラムであって、
記録材を給紙する給紙機構に対する給紙モジュールをシーケンス制御する給紙シーケンスモジュールと、記録材の搬送を中継する縦搬送機構に対する縦搬送モジュールをシーケンス制御する縦搬送シーケンスモジュールと、記録材を転写位置に所定タイミングで搬送するレジスト搬送機構に対するレジスト搬送モジュールをシーケンス制御するレジスト搬送シーケンスモジュールと、前記シーケンスモジュール群を統括的に管理する給送シーケンスモジュールとを備えており、
前記給紙シーケンスモジュールが、前記縦搬送機構の有無を識別する識別子に従って、2種類の異なるシーケンス制御を実行可能であり、
前記給送シーケンスモジュールが、前記識別子に従って、前記縦搬送シーケンスモジュールでのシーケンス制御の実行の可否を設定する、
給送制御プログラム。
【請求項2】
前記給送シーケンスモジュールは、前記識別子が前記縦搬送機構ありを示す場合に、前記縦搬送シーケンスモジュールに起動指示を出す一方、前記識別子が前記縦搬送機構なしを示す場合に前記起動指示を出さない、
請求項1に記載した給送制御プログラム。
【請求項3】
前記給紙シーケンスモジュールは、前記識別子が前記縦搬送機構ありを示す場合の給紙停止タイミングを、搬送中の記録材を検出する縦搬送検出手段のオン動作時に設定する一方、前記識別子が前記縦搬送機構なしを示す場合の給紙停止タイミングを、記録材後端が所定の給紙完了位置を通過したときに設定する、
請求項2に記載した給送制御プログラム。
【請求項4】
前記給紙シーケンスモジュールは、前記転写位置への搬送タイミング調整のために記録材の搬送を一時停止させる機能を有しており、前記レジスト搬送シーケンスモジュールからスキュー停止指示を受けたときに、前記給紙モジュールに停止指示を出す、
請求項3に記載した給送制御プログラム。
【請求項5】
前記給紙シーケンスモジュールは、前記転写位置への搬送タイミング調整のために一時停止中の記録材の搬送を再開させる機能を有しており、前記レジスト搬送シーケンスモジュールからレジスト駆動指示を受けたときに、前記給紙モジュールに駆動指示を出す、
請求項4に記載した給送制御プログラム。
【請求項6】
前記縦搬送シーケンスモジュールは、前記転写位置への搬送タイミング調整のために記録材の搬送を一時停止させる機能を有しており、前記レジスト搬送シーケンスモジュールからスキュー停止指示を受けたときに、前記縦搬送モジュールに停止指示を出す、
請求項3に記載した給送制御プログラム。
【請求項7】
前記縦搬送シーケンスモジュールは、前記転写位置への搬送タイミング調整のために一時停止中の記録材の搬送を再開させる機能を有しており、前記レジスト搬送シーケンスモジュールからレジスト駆動指示を受けたときに、前記縦搬送モジュールに駆動指示を出す、
請求項6に記載した給送制御プログラム。
【請求項8】
前記給紙モジュール、前記縦搬送モジュール及び前記レジスト搬送モジュールは、それぞれに対する前記機構を、前記給送シーケンスモジュールにおけるシーケンス制御の基準周期よりも短い周期にて制御可能である、
請求項4〜7のうちいずれかに記載した給送制御プログラム。
【請求項9】
請求項1〜8のうちいずれかに記載した給送制御プログラムを格納した、
コンピュータ読取可能な記憶媒体。
【請求項10】
請求項9に記載した記憶媒体を備えている、
画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−132980(P2012−132980A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−282789(P2010−282789)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】