説明

継電器

【課題】接点部電磁反発力による可動接点と固定接点間の開離をより確実に防止可能にする。
【解決手段】固定子13および可動子23のうち両者が近接する部位aを、固定子近接板部および可動子近接板部としたとき、固定子近接板部を流れる電流の向きDと可動子近接板部を流れる電流の向きCを同じにして、可動子近接板部を固定子近接板部側に吸引する板部間吸引力を発生させ、その板部間吸引力により、固定接点14と可動接点25とを当接させる向きに可動子近接板部が付勢されるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動接点と固定接点とを接離させて電気回路を開閉する継電器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の継電器は、固定接点を有する固定子を位置決め固定し、可動接点が装着された1つの可動子を移動させて可動接点と固定接点とを接離させることにより、電気回路を開閉するようになっている。より詳細には、コイルの電磁力により吸引される可動部材、固定接点と可動接点とが当接する向きに可動子を付勢する接圧ばね、固定接点と可動接点とが離れる向きに可動部材を介して可動子を付勢する復帰ばね等を備えている。
【0003】
そして、コイルに通電されると、電磁力により可動部材は可動子から遠ざかる向きに駆動され、可動子が接圧ばねに付勢されて移動して固定接点と可動接点とが当接するとともに、可動部材と可動子とが離れるように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3321963号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の継電器は、可動接点と固定接点の接触部において、可動接点と固定接点とが対向する部位で電流が逆向きに流れることにより電磁反発力が発生する(以下、この電磁反発力を接点部電磁反発力という)。その接点部電磁反発力は、可動接点と固定接点間を開離させるように作用する。そこで、接点部電磁反発力により可動接点と固定接点間が開離しないように、接圧ばねのばね力を設定している。
【0006】
しかしながら、流れる電流が多くなるほど接点部電磁反発力も大きくなるため、電流値が増加すればそれに応じて接圧ばねのばね力を大きくすることになる。その結果、接圧ばねの体格が大きくなり、ひいては継電器の体格が大きくなってしまうという問題が発生する。
【0007】
そこで、本出願人は、特願2010−165098(以下先願例という)にて、接点部電磁反発力に対抗する向きのローレンツ力により可動接点と固定接点間の開離を発生し難くした継電器を提案している。具体的には、先願例では、可動子に近接させて磁石を配置し、可動子を流れる電流と磁石が発生する磁束を利用して、接点部電磁反発力に対抗する向きのローレンツ力を可動子に作用させるようにしている。
【0008】
ここで、電流と磁束により発生するローレンツ力は、電流値や磁束密度に比例する。しかしながら、接点部電磁反発力は電流値の二乗に比例するため、先願例では大電流通電時に可動接点と固定接点間の開離が発生する虞があった。
【0009】
本発明は上記点に鑑みて、接点部電磁反発力による可動接点と固定接点間の開離をより確実に防止可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、固定接点(14)を有する2つの板状の固定子(13)と、可動接点(25)を有する板状の可動子(23)とを備え、可動子(23)の移動により固定接点(14)と可動接点(25)とを接離させて電気回路を開閉する継電器において、固定子(13)および可動子(23)のうち両者が近接する部位(a〜g)を、固定子近接板部および可動子近接板部としたとき、固定子近接板部を流れる電流の向き(D)と可動子近接板部を流れる電流の向き(C)を同じにして、可動子近接板部を固定子近接板部側に吸引する板部間吸引力を発生させるとともに、板部間吸引力により、固定接点(14)と可動接点(25)とを当接させる向きに可動子近接板部が付勢されるように構成されていることを特徴とする。
【0011】
これによると、板部間吸引力は電流値の二乗に比例するため、大電流通電時においても接点部電磁反発力による可動接点(25)と固定接点(14)間の開離を確実に防止することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の継電器において、固定子近接板部および可動子近接板部は、一方の固定子(13)の固定接点(14)と他方の固定子(13)の固定接点(14)との間に配置されていることを特徴とする。
【0013】
ところで、固定接点(14)と可動接点(25)との接触部は発熱し易いが、これによると、一方の接触部と他方の接触部との間の距離を大きくすることができるため、換言すると、熱源を分散することができるため、接触部の放熱に有利であり、接触部の温度上昇を抑制することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明では、請求項1に記載の継電器において、可動子(23)は、直方体で且つ可動子(23)全体が可動子近接板部をなし、固定子(13)は、固定子近接板部を流れる電流の向き(D)が可動子近接板部を流れる電流の向き(C)と同じになるように、固定接点(14)の取付部と固定子近接板部との間で曲げられていることを特徴とする。
【0015】
これによると、可動子(23)の小型化が可能になり、その結果、可動子(23)の駆動がスムーズになり作動音が小さくなる。
【0016】
請求項4に記載の発明では、固定接点(14)を有する2つの板状の固定子(13)と、可動接点(25)を有する板状の可動子(23)とを備え、可動子(23)の移動により固定接点(14)と可動接点(25)とを接離させて電気回路を開閉する継電器において、固定子(13)および可動子(23)のうち両者が近接する部位(h〜i)を、固定子近接板部および可動子近接板部としたとき、固定子近接板部を流れる電流の向き(D)と可動子近接板部を流れる電流の向き(C)を逆にして、可動子近接板部を固定子近接板部から遠ざける向きの板部間反発力を発生させるとともに、板部間反発力により、固定接点(14)と可動接点(25)とを当接させる向きに可動子近接板部が付勢されるように構成されていることを特徴とする。
【0017】
これによると、板部間反発力は電流値の二乗に比例するため、大電流通電時においても接点部電磁反発力による可動接点(25)と固定接点(14)間の開離を確実に防止することができる。
【0018】
請求項5に記載の発明では、請求項4に記載の継電器において、固定子近接板部と可動子近接板部は、可動子(23)の移動方向に沿って見たときに両者が重ならないように配置されていることを特徴とする。
【0019】
これによると、可動子近接板部の一方側にスペースが発生するため、可動子(23)を付勢する手段の設計が容易になる。
【0020】
請求項6に記載の発明では、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の継電器において、可動子(23)に近接して配置された磁石(26)を備え、可動子(23)を流れる電流と磁石(26)の磁束によって発生するローレンツ力が、固定接点(14)と可動接点(25)とを当接させる向きになるように構成されていることを特徴とする。
【0021】
これによると、電流と磁束によって発生するローレンツ力が付加されるため、接点部電磁反発力による可動接点(25)と固定接点(14)間の開離をより確実に防止することができる。
【0022】
請求項7に記載の発明では、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の継電器において、固定接点(14)および可動接点(25)は、それぞれ3つ設けられ、可動子(23)の移動方向に沿って見たときに、3つの固定接点(14)を結ぶ線および3つの可動接点(25)を結ぶ線が三角形をなしていることを特徴とする。
【0023】
これによると、固定接点(14)と可動接点(25)との接触部が3点となるため、可動子(23)の振動が防止され、ひいては可動子(23)の振動による異音および接点の消耗が防止される。
【0024】
請求項8に記載の発明では、請求項1ないし7のいずれか1つに記載の継電器において、通電時に電磁力を発生するコイル(15)と、コイル(15)の電磁力により吸引される可動部材(19、21、22)と、固定接点(14)と可動接点(25)とが当接する向きに可動子(23)を付勢する接圧ばね(24)とを備え、コイル(15)の電磁力により可動部材(19、21、22)が吸引されたときには、可動部材(19、21、22)が可動子(23)から離れる向きに移動するとともに、可動子(23)が接圧ばね(24)に付勢されて固定接点(14)と可動接点(25)とが当接するように構成されていることを特徴とする。
【0025】
これによると、板部間吸引力または板部間反発力により可動接点(25)と固定接点(14)間の開離を防止することができるため、接圧ばね(24)のばね力を小さく設定することが可能になり、接圧ばね(24)の小型化、ひいては継電器の小型化を図ることができる。
【0026】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施形態に係る継電器を示す正面断面図である。
【図2】図1のB−B線に沿う断面図である。
【図3】(a)は図1の可動子23および固定子13の平面図、(b)は(a)の可動子23の平面図、(c)は(a)の固定子13の平面図である。
【図4】(a)は本発明の第2実施形態に係る継電器における可動子23および固定子13を示す平面図、(b)は(a)の可動子23の平面図、(c)は(a)の固定子13の平面図である。
【図5】第2実施形態の第1変形例を示す可動子23および固定子13の斜視図である。
【図6】第2実施形態の第2変形例を示す可動子23および固定子13の平面図である。
【図7】第2実施形態の第3変形例を示す可動子23、固定子13および磁石26の平面図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る継電器における可動子23および固定子13を示す平面図である。
【図9】第3実施形態の第1変形例を示す可動子23、固定子13および磁石26の平面図である。
【図10】(a)は本発明の第4実施形態に係る継電器における可動子23および固定子13を示す平面図、(b)は(a)の固定子13の平面図である。
【図11】(a)は本発明の第5実施形態に係る継電器における可動子23および固定子13を示す平面図、(b)は(a)の可動子23の平面図、(c)は(a)の固定子13の平面図である。
【図12】第5実施形態の第1変形例を示す可動子23、固定子13および磁石26の平面図である。
【図13】第5実施形態の第2変形例を示す可動子23、固定子13および磁石26の平面図である。
【図14】(a)は第5実施形態の第3変形例を示す可動子23、固定子13およびベース11の平面断面図、(b)は(a)の可動子23の平面図、(c)は(a)の固定子13の平面図である。
【図15】図14(a)のE−E線に沿う断面図である。
【図16】(a)は本発明の第6実施形態に係る継電器における可動子23および固定子13を示す平面図、(b)は(a)の可動子23および固定子13の正面図、(c)は(a)のF−F線に沿う断面図である。
【図17】(a)は本発明の第7実施形態に係る継電器における可動子23および固定子13を示す平面図、(b)は(a)の可動子23および固定子13の正面図、(c)は(a)のG−G線に沿う断面図である。
【図18】(a)は本発明の第8実施形態に係る継電器における可動子23および固定子13を示す平面図、(b)は(a)の可動子23および固定子13の正面図、(c)は(a)のH−H線に沿う断面図である。
【図19】本発明の第9実施形態に係る継電器における可動子23および固定子13を示す平面図である。
【図20】本発明の第10実施形態に係る継電器における可動子23および固定子13の構成と外部の電気回路とを示す図である。
【図21】(a)は本発明の第11実施形態に係る継電器における可動子23および固定子13を示す平面図、(b)は(a)の可動子23および固定子13の正面図である。
【図22】本発明の第12実施形態に係る継電器を示す正面断面図である。
【図23】図22のK−K線に沿う断面図である。
【図24】(a)は図22の継電器における可動子23および固定子13を示す平面図、(b)は(a)の可動子23および固定子13の正面図、(c)は(a)のL−L線に沿う断面図である。
【図25】(a)は本発明の第13実施形態に係る継電器における可動子23および固定子13を示す平面図、(b)は(a)の可動子23および固定子13の正面図、(c)は(a)のM−M線に沿う断面図である。
【図26】(a)は本発明の第14実施形態に係る継電器における可動子23および固定子13を示す平面図、(b)は(a)の可動子23および固定子13の正面図、(c)は(a)のN−N線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付してある。
【0029】
(第1実施形態)
図1は本発明の第1実施形態に係る継電器を示す正面断面図であり、図2のA−A線に沿う断面図に相当する。図2は図1のB−B線に沿う断面図、図3(a)は図1の可動子23および固定子13の平面図、図3(b)は図3(a)の可動子23の平面図、図3(c)は図3(a)の固定子13の平面図である。
【0030】
図1、図2に示すように、本実施形態に係る継電器は、略直方体で内部に収容空間10を有する樹脂製のベース11を備え、収容空間10の一端側開口部を塞ぐようにして樹脂製のカバー12がベース11に結合されている。
【0031】
ベース11には、導電金属製の板材よりなる2つの固定子13が固定されている。固定子13は、一端側が収容空間10内に位置し、他端側が外部空間に突出している。なお、以下の説明では必要に応じて一方を第1固定子13a、他方を第2固定子13bという。
【0032】
固定子13における収容空間10側の端部には、導電金属製の固定接点14がかしめ固定されている。固定子13における外部空間側には、外部ハーネス(図示せず)と接続される負荷回路端子131が形成されている。そして、第1固定子13aの負荷回路端子131は、外部ハーネスを介して電源(図示せず)に接続され、第2固定子13bの負荷回路端子131は、外部ハーネスを介して電気負荷(図示せず)に接続される。
【0033】
通電時に電磁力を発生する円筒状のコイル15が、収容空間10の他端側開口部を塞ぐようにしてベース11に結合されている。このコイル15は、外部ハーネスを介してECU(図示せず)に接続されており、その外部ハーネスを介してコイル15に通電されるようになっている。
【0034】
ベース11とコイル15との間には、磁性体金属材料よりなる鍔付き円筒状のプレート16が配置されており、コイル15の反ベース側および外周側には、磁性体金属材料よりなるヨーク17が配置されている。プレート16およびヨーク17はベース11に固定されている。
【0035】
コイル15の内周側空間には、磁性体金属材料よりなる固定コア18が配置され、固定コア18はヨーク17に保持されている。
【0036】
コイル15の内周側空間内において、固定コア18に対向する位置には、磁性体金属製の可動コア19が配置されている。可動コア19はプレート16に摺動自在に保持されている。
【0037】
また、固定コア18と可動コア19との間には、可動コア19を反固定コア側に付勢する復帰ばね20が配置されている。そして、コイル通電時には、可動コア19は復帰ばね20に抗して固定コア18側に吸引される。
【0038】
なお、プレート16、ヨーク17、固定コア18、および可動コア19は、コイル15により誘起された磁束の磁路を構成する。
【0039】
可動コア19には、金属製のシャフト21が貫通して固定されている。シャフト21の一端は反固定コア側に向かって延びており、このシャフト21の一端側の端部には、電気絶縁性に富む樹脂よりなる絶縁碍子22が嵌合して固定されている。なお、可動コア19、シャフト21、および絶縁碍子22は、本発明の可動部材を構成する。
【0040】
収容空間10には、導電金属製の板材よりなる可動子23が配置されている。この可動子23とカバー12との間には、可動子23を固定子13側に付勢する接圧ばね24が配置されている。
【0041】
可動子23には、固定接点14に対向する位置に導電金属製の可動接点25がかしめ固定されている。そして、可動コア19等が電磁力により固定コア18側に駆動されたときには、固定接点14と可動接点25とが当接するようになっている。
【0042】
次に、固定子13および可動子23の詳細な構成や配置等について、図1〜図3に基づいて説明する。
【0043】
なお、図3中の矢印Cは、可動子23内の電流の流れを示し、図3中の矢印Dは、固定子13内の電流の流れを示している。また、本明細書では、2つの可動接点25の並び方向(図1〜図3の紙面左右方向)を可動接点並び方向といい、可動子23の移動方向(図1の紙面上下方向、図2および図3の紙面垂直方向)を可動子移動方向といい、可動接点並び方向および可動子移動方向に対して共に垂直な方向(図2および図3の紙面上下方向)を基準方向Zという。
【0044】
可動子23は、可動接点25が固定された2つの可動接点取付板部230、および可動接点取付板部230よりも可動接点並び方向の外側に位置する2つの可動子外側板部231を備えている。
【0045】
可動接点取付板部230および可動子外側板部231は、基準方向Zに平行に延びており、その延伸方向の一端側にて繋がっている。また、2つの可動子外側板部231は、その延伸方向の他端側が1つの可動子連結板部232にて繋がれている。この可動子連結板部232は、可動接点並び方向に延びている。
【0046】
可動子23は、接圧ばね24を受ける1つのばね受け板部233を備えている。このばね受け板部233は、2つの可動接点取付板部230間に位置し、可動子連結板部232における長手方向中間部から突出して基準方向Zに延びている。
【0047】
なお、図3(b)のように平面視したときの可動子23の形状は、直線Eを対称の軸とする線対称である。
【0048】
固定子13は、固定接点14が固定された固定接点取付板部132、および固定接点取付板部132よりも可動接点並び方向の外側に位置する固定子外側板部133を備えている。
【0049】
固定接点取付板部132および固定子外側板部133は、基準方向Zに平行に延びており、その延伸方向の一端側にて繋がっている。
【0050】
可動子移動方向に沿って見たときに、可動子外側板部231の全域が固定子外側板部133の一部と重なっており、この重なり部位は近接している。なお、この重なり且つ近接している部位を、以下、近接部位aという。図3には、この近接部位aを便宜的に綾目模様で示している。
【0051】
そして、近接部位aでは、可動子23を流れる電流の向きと固定子13を流れる電流の向きが同じになるように、固定子13および可動子23の形状や配置が設定されている。
【0052】
なお、可動子23において近接部位aを構成する部位、すなわち可動子外側板部231は、本発明の可動子近接板部に相当する。また、固定子13において近接部位aを構成する部位、すなわち固定子外側板部133のうち可動子外側板部231と可動子移動方向に重なる部位は、本発明の固定子近接板部に相当する。
【0053】
次に、本実施形態に係る継電器の作動を説明する。まず、コイル15に通電すると、可動コア19、シャフト21、および絶縁碍子22が、電磁力により復帰ばね20に抗して固定コア18側に吸引され、可動子23は接圧ばね24に付勢されて可動コア19等に追従して移動する。これにより、可動接点25が対向する固定接点14に当接し、2つの負荷回路端子131間が導通し、可動子23等を介して電流が流れる。因みに、可動接点25が固定接点14に当接した後、さらに可動コア19等が固定コア18側に向かって移動し、絶縁碍子22と可動子23は離れる。
【0054】
2つの負荷回路端子131間が導通しているとき、近接部位aでは可動子23を流れる電流の向きと固定子13を流れる電流の向きが同じであるため、近接部位aでは可動子23と固定子13との間にローレンツ力である吸引力が発生する。この近接部位aの吸引力を、以下、板部間吸引力aという。
【0055】
本実施形態のように、近接部位aでの電流経路が一経路の場合(換言すると、近接部位aで電流経路が分岐していない場合)の板部間吸引力aは、下式(1)にて求められる。
【0056】
a=(μ0・i/2・π・r)・L・i=(μ0/2・π・r)・L・i2…(1)
但し、μ0:可動子23と固定子13との間の流体の透磁率、i:近接部位aを流れる電流の値、r:可動接点25と固定接点14とが当接した状態での、近接部位aにおける可動子23と固定子13との間の対向距離、L:近接部位aの長さ。
【0057】
この式から明らかなように、近接部位aでの電流経路が一経路の場合の板部間吸引力aは電流値の二乗(すなわち、i2)に比例する。これに対し、近接部位aで電流経路が2つに分岐している場合の板部間吸引力aは、1/2・i2に比例する。したがって、近接部位aで電流経路が2つに分岐している場合と比較すると、本実施形態はその2倍の板部間吸引力aが得られる。
【0058】
この板部間吸引力aにより可動子23が固定子13側に吸引される。換言すると、板部間吸引力aにより、可動接点25と固定接点14とを当接させる向きに可動子23が付勢される。そして、板部間吸引力aにより可動子23が付勢される力は、接点部電磁反発力に対抗する力となるため、接点部電磁反発力による可動接点25と固定接点14間の開離が発生し難くなる。
【0059】
一方、コイル15への通電が遮断されると、復帰ばね20により接圧ばね24に抗して可動コア19等や可動子23が反固定コア側に付勢される。これにより、可動接点25が固定接点14から離され、2つの負荷回路端子131間が遮断される。
【0060】
本実施形態によると、板部間吸引力aは電流値の二乗に比例するため、大電流通電時においても接点部電磁反発力による可動接点25と固定接点14間の開離を確実に防止することができる。また、それに伴い、接圧ばね24のばね力を小さく設定することが可能になり、接圧ばね24の小型化、ひいては継電器の小型化を図ることができる。
【0061】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態について説明する。図4(a)は本発明の第2実施形態に係る継電器における可動子23および固定子13を示す平面図、図4(b)は図4(a)の可動子23の平面図、図4(c)は図4(a)の固定子13の平面図である。以下、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0062】
図4に示すように、可動子移動方向に沿って見たときに、可動子連結板部232の一部が固定接点取付板部132の一部と重なっており、この重なり部位は近接している。なお、この重なり且つ近接している部位を、以下、近接部位bという。図4には、この近接部位bを便宜的に綾目模様で示している。
【0063】
そして、近接部位bでは、可動子23を流れる電流の向きと固定子13を流れる電流の向きが同じになるように、固定子13および可動子23の形状や配置が設定されている。
【0064】
なお、可動子23において近接部位bを構成する部位は、本発明の可動子近接板部に相当する。また、固定子13において近接部位bを構成する部位は、本発明の固定子近接板部に相当する。
【0065】
本実施形態では、近接部位bでは可動子23を流れる電流の向きと固定子13を流れる電流の向きが同じであるため、近接部位bにおいても可動子23と固定子13との間にローレンツ力である吸引力が発生する。この近接部位bの吸引力を、以下、板部間吸引力bという。
【0066】
そして、板部間吸引力aのみならず、板部間吸引力bによっても可動子23が固定子13側に吸引されるため、接点部電磁反発力による可動接点25と固定接点14間の開離が一層発生し難くなる。
【0067】
なお、本実施形態においては、板部間吸引力bが、固定接点14と可動接点25との接触部(以下、接点接触部という)よりも基準方向Zの一方側に作用するため、板部間吸引力bにより可動子23が傾きやすくなり、その結果、接点以外の部分が接触して電流や電圧が不安定になったり、あるいは可動子23が振動して音が発生する虞がある。
【0068】
そこで、図5に示す第2実施形態の第1変形例のように、固定接点14および可動接点25をそれぞれ3つ設け、可動子移動方向に沿って見たときに、3つの固定接点14を結ぶ線および3つの可動接点25を結ぶ線が三角形をなすように、固定接点14および可動接点25を配置するのが望ましい。これによると、接点接触部が3点となるため、可動子23の揺動が防止され、ひいては可動子23の揺動による上記の不具合が防止される。
【0069】
また、図6に示す第2実施形態の第2変形例のように、可動接点25が固定接点14から離れる際に発生するアークを引き伸ばすための永久磁石26を設けてもよい。
【0070】
この永久磁石26は、可動接点取付板部230と可動子外側板部231との間に配置されている。そして、可動子23を流れる電流と永久磁石26の磁束とによって可動子23に作用するローレンツ力の向きが、可動接点25と固定接点14とを当接させる向きになるように、電流や磁束の向きが設定されている。これにより、接点部電磁反発力による可動接点25と固定接点14間の開離が一層発生し難くなる。
【0071】
さらに、図7に示す第2実施形態の第3変形例のように、可動接点25が固定接点14から離れる際に発生するアークを引き伸ばすための永久磁石26を、可動接点取付板部230とばね受け板部233との間に配置してもよい。この場合、永久磁石26の磁束の向きを、可動子23を流れる電流の向きにかかわらず自由に設定することができる。
【0072】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態について説明する。図8は本発明の第3実施形態に係る継電器における可動子23および固定子13を示す平面図である。以下、第2実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0073】
図8に示すように、本実施形態では、第1固定子13aの位置が変更されており、より詳細には、第1固定子13aの負荷回路端子131(図2参照)と、第2固定子13bの負荷回路端子131(図2参照)は、ベース11(図2参照)の対角位置にて外部に突出している。
【0074】
また、この第1固定子13aの位置変更に対応して、可動子23および固定子13の形状が変更されており、図8のように平面視したときの可動子23および固定子13の形状は、点Fを中心とする点対称の形状に変更されている。
【0075】
具体的には、可動子連結板部232は、第1固定子13aに近い側の第1可動子連結板部232aと、第2固定子13bに近い側の第2可動子連結板部232bとに分割されている。そして、第1可動子連結板部232aおよび第2可動子連結板部232bの一端側は可動子外側板部231に連結されており、第1可動子連結板部232aの他端側と第2可動子連結板部232bの他端側がばね受け板部233にて連結されている。
【0076】
そして、可動子移動方向に沿って見たときに、第1可動子連結板部232aの一部および第2可動子連結板部232bの一部が固定接点取付板部132の一部と重なっており、この重なり部位は近接している。なお、図8には、この重なり且つ近接している部位を近接部位bとして便宜的に綾目模様で示している。この近接部位bでは、可動子23と固定子13との間にローレンツ力である板部間吸引力bが発生する。
【0077】
本実施形態においては、近接部位bの吸引力である板部間吸引力bが、接点接触部よりも基準方向Zの一方側に発生するとともに、接点接触部よりも基準方向Zの他方側に発生するため、可動子23の姿勢が安定する。
【0078】
なお、図9に示す第3実施形態の第1変形例のように、可動接点25が固定接点14から離れる際に発生するアークを引き伸ばすための永久磁石26を設けてもよい。
【0079】
この永久磁石26は、可動接点取付板部230とばね受け板部233との間に配置されている。そして、可動子23を流れる電流と永久磁石26の磁束とによって可動子23に作用するローレンツ力の向きが、可動接点25と固定接点14とを当接させる向きになるように、電流や磁束の向きが設定されている。
【0080】
これにより、接点部電磁反発力による可動接点25と固定接点14間の開離が一層発生し難くなる。また、通電が集中する部位に磁力を効率的に発生させるため、可動子23を流れる電流と永久磁石26の磁束とによって可動子23に作用するローレンツ力を大きくすることができる。
【0081】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態について説明する。図10(a)は本発明の第4実施形態に係る継電器における可動子23および固定子13を示す平面図、図10(b)は図10(a)の固定子13の平面図である。以下、第2実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0082】
図10に示すように、本実施形態では、第1固定子13aを第2固定子13bと同形状にしている。
【0083】
具体的には、第1固定子13aは、固定接点14が固定された固定接点取付板部132、および固定接点取付板部132よりも第2固定子13b側(すなわち、可動接点並び方向の内側)に位置する固定子内側板部134を備えている。
【0084】
また、これに対応して、可動子23の形状が変更されており、図10のように平面視したときの可動子23の形状は、点Fを中心とする点対称の形状に変更されている。
【0085】
具体的には、可動子連結板部232は、第1固定子13aに近い側の第1可動子連結板部232aと、第2固定子13bに近い側の第2可動子連結板部232bとに分割されている。そして、第1可動子連結板部232aおよび第2可動子連結板部232bの一端側は可動子外側板部231に連結されており、第1可動子連結板部232aの他端側と第2可動子連結板部232bの他端側がばね受け板部233にて連結されている。
【0086】
そして、可動子移動方向に沿って見たときに、第2可動子連結板部232bの一部が固定接点取付板部132の一部と重なっており、この重なり部位は近接している。なお、図10には、この重なり且つ近接している部位を近接部位bとして便宜的に綾目模様で示している。この近接部位bでは、可動子23と固定子13との間にローレンツ力である板部間吸引力bが発生する。
【0087】
また、可動子移動方向に沿って見たときに、ばね受け板部233の一部が第1固定子13aにおける固定子内側板部134の一部と重なっており、この重なり部位は近接している。なお、図10には、この重なり且つ近接している部位を近接部位cとして便宜的に綾目模様で示している。
【0088】
そして、近接部位cでは、可動子23を流れる電流の向きと固定子13を流れる電流の向きが同じになるように、固定子13および可動子23の形状や配置が設定されている。したがって、近接部位cにおいても可動子23と固定子13との間にローレンツ力である吸引力が発生する。
【0089】
なお、可動子23において近接部位cを構成する部位は、本発明の可動子近接板部に相当する。また、固定子13において近接部位cを構成する部位は、本発明の固定子近接板部に相当する。
【0090】
本実施形態では、第1固定子13aと第2固定子13bとを同形状にしているため、それらの部品のコストを低減することができる。
【0091】
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態について説明する。図11(a)は本発明の第5実施形態に係る継電器における可動子23および固定子13を示す平面図、図11(b)は図11(a)の可動子23の平面図、図11(c)は図11(a)の固定子13の平面図である。以下、第2実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0092】
図11に示すように、可動子23は、可動接点25が固定された2つの可動接点取付板部230、および可動接点取付板部230よりも可動接点並び方向の内側に位置する2つの可動子内側板部234を備えている。
【0093】
可動接点取付板部230および可動子内側板部234は、基準方向Zに平行に延びており、その延伸方向の一端側にて繋がっている。また、2つの可動子内側板部234は、その延伸方向の他端側が1つの可動子連結板部232にて繋がれている。この可動子連結板部232は、可動接点並び方向に延びている。
【0094】
可動子23は、接圧ばね24を受ける1つのばね受け板部233を備えている。このばね受け板部233は、2つの可動子内側板部234間に位置し、可動子連結板部232における長手方向中間部から突出して基準方向Zに延びている。
【0095】
固定子13は、固定接点14が固定された固定接点取付板部132、および固定接点取付板部132よりも可動接点並び方向の内側に位置する固定子内側板部134を備えている。固定接点取付板部132および固定子内側板部134は、基準方向Zに平行に延びており、その延伸方向の一端側にて繋がっている。
【0096】
可動子移動方向に沿って見たときに、可動子内側板部234の全域が固定子内側板部134の一部と重なっており、この重なり部位は近接している。なお、この重なり且つ近接している部位を、以下、近接部位dという。図11には、この近接部位dを便宜的に綾目模様で示している。
【0097】
そして、近接部位dでは、可動子23を流れる電流の向きと固定子13を流れる電流の向きが同じになるように、固定子13および可動子23の形状や配置が設定されている。したがって、近接部位dにおいても可動子23と固定子13との間にローレンツ力である吸引力が発生する。この近接部位dの吸引力によって可動子23が固定子13側に吸引されるため、接点部電磁反発力による可動接点25と固定接点14間の開離が発生し難くなる。
【0098】
なお、可動子23において近接部位dを構成する部位、すなわち可動子内側板部234は、本発明の可動子近接板部に相当する。また、固定子13において近接部位dを構成する部位、すなわち固定子内側板部134のうち可動子内側板部234と可動子移動方向に重なる部位は、本発明の固定子近接板部に相当する。
【0099】
近接部位dは、第1固定子13aの固定接点14と第2固定子13bの固定接点14との間に位置し、固定接点14は、固定子13における可動接点並び方向の最も外側に位置している。また、可動接点25は、可動子23における可動接点並び方向の最も外側に位置している。
【0100】
ところで、接点接触部は発熱し易いが、本実施形態のように固定接点14および可動接点25を可動接点並び方向の最も外側に配置することにより、一方の接点接触部と他方の接点接触部との間の距離を大きくする(すなわち、熱源を分散する)ことができるとともに、外気で冷やされたベース11に接点接触部を近接させることができるため、接点接触部の放熱を効率的に行わせて接点接触部の温度上昇を抑制することができる。
【0101】
なお、図12に示す第5実施形態の第1変形例のように、可動接点25が固定接点14から離れる際に発生するアークを引き伸ばすための永久磁石26を設けてもよい。
【0102】
この永久磁石26は、可動接点取付板部230と可動子内側板部234との間に配置されている。そして、可動子23を流れる電流と永久磁石26の磁束とによって可動子23に作用するローレンツ力の向きが、可動接点25と固定接点14とを当接させる向きになるように、電流や磁束の向きが設定されている。これにより、接点部電磁反発力による可動接点25と固定接点14間の開離が一層発生し難くなる。
【0103】
また、固定接点14および可動接点25を可動接点並び方向の最も外側に配置しているため、アークの遮断空間が確保しやすい。
【0104】
さらに、図13に示す第5実施形態の第2変形例のように、可動接点25が固定接点14から離れる際に発生するアークを引き伸ばすための永久磁石26を、可動接点取付板部230よりも可動接点並び方向の外側に配置してもよい。
【0105】
この場合、可動子23を流れる電流と永久磁石26の磁束とによって可動子23に作用するローレンツ力は、第5実施形態の第1変形例よりも小さくなるため、必ずしもそのローレンツ力が得られるようにしなくてもよい。それにより、永久磁石26の磁束の向きを、可動子23を流れる電流の向きにかかわらず自由に設定することができる。
【0106】
また、固定接点14および可動接点25を可動接点並び方向の最も外側に配置しているため、アークの遮断空間が確保しやすい。
【0107】
さらにまた、図14、図15に示す第5実施形態の第3変形例のように、固定接点14および可動接点25をそれぞれ3つ設け、可動子移動方向に沿って見たときに、3つの固定接点14を結ぶ線および3つの可動接点25を結ぶ線が三角形をなすように、固定接点14および可動接点25を配置するのが望ましい。これによると、接点接触部が3点となるため、可動子23の揺動が防止され、ひいては可動子23の揺動による不具合が防止される。
【0108】
(第6実施形態)
本発明の第6実施形態について説明する。図16(a)は本発明の第6実施形態に係る継電器における可動子23および固定子13を示す平面図、図16(b)は図16(a)の可動子23および固定子13の正面図、図16(c)は図16(a)のF−F線に沿う断面図である。
【0109】
本実施形態は、可動子23の小型化を図ったものであり、以下、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0110】
図16に示すように、可動子23は、可動接点並び方向に細長い直方体であり、可動子23全体が本発明の可動子近接板部に相当する。
【0111】
第2固定子13bは、可動子23に近接して可動子23と平行に(すなわち、可動接点並び方向に)延びる固定子平行板部135を備え、固定子平行板部135と固定接点取付板部132との間は、屈曲した固定子連結板部136にて連結されている。
【0112】
固定子平行板部135と可動子23は、基準方向Zにずれていて、可動子移動方向に沿って見たときに重ならない位置関係になっている。また、固定子平行板部135と可動子23は、可動子移動方向にずれており、より詳細には、固定子平行板部135は、図16(c)のように可動接点並び方向に沿って見たときに、可動子23よりも固定接点取付板部132側に位置している。
【0113】
可動子23の全域と固定子平行板部135の一部が近接しており、この近接している部位を、以下、近接部位eという。図16には、この近接部位eを便宜的に綾目模様で示している。
【0114】
そして、近接部位eでは、可動子23を流れる電流の向きと固定子平行板部135を流れる電流の向きが同じになるように、第2固定子13bの形状が設定されている。具体的には、可動子移動方向に沿って見たときに固定子連結板部136が複数箇所で曲げられ、これにより第2固定子13bを流れる電流の向きが変えられて、固定子平行板部135を流れる電流の向きが可動子23を流れる電流の向きと同じになっている。
【0115】
なお、固定子平行板部135のうち可動子23と近接する部位、すなわち固定子平行板部135の近接部位eは、本発明の固定子近接板部に相当する。
【0116】
本実施形態では、近接部位eでは可動子23を流れる電流の向きと固定子平行板部135を流れる電流の向きが同じであるため、近接部位eにおいても可動子23と固定子平行板部135との間にローレンツ力である吸引力が発生する。この近接部位eの吸引力を、以下、板部間吸引力eという。
【0117】
そして、この板部間吸引力eの分力により可動接点25と固定接点14とを当接させる向きに可動子23が付勢されるため、接点部電磁反発力による可動接点25と固定接点14間の開離が発生し難くなる。
【0118】
また、本実施形態によると、可動子23の小型化が可能になり、その結果、可動子23の駆動がスムーズになり作動音が小さくなる。
【0119】
(第7実施形態)
本発明の第7実施形態について説明する。図17(a)は本発明の第7実施形態に係る継電器における可動子23および固定子13を示す平面図、図17(b)は図17(a)の可動子23および固定子13の正面図、図17(c)は図17(a)のG−G線に沿う断面図である。以下、第6実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0120】
図17に示すように、第2固定子13bは、固定接点取付板部132の一端から2つに分岐されており、固定子平行板部135および固定子連結板部136を2つ備えている。
【0121】
2つの固定子平行板部135は、可動子23を挟み込むように配置され、可動子23に近接して可動子23と平行に(すなわち、可動接点並び方向に)延びている。
【0122】
本実施形態においては、近接部位eの吸引力である板部間吸引力eが、接点接触部よりも基準方向Zの一方側に発生するとともに、接点接触部よりも基準方向Zの他方側に発生するため、可動子23の姿勢が安定する。
【0123】
また、本実施形態によると、可動子23の小型化が可能になり、その結果、可動子23の駆動がスムーズになり作動音が小さくなる。
【0124】
そして、この板部間吸引力eの分力により可動接点25と固定接点14とを当接させる向きに可動子23が付勢されるため、接点部電磁反発力による可動接点25と固定接点14間の開離が発生し難くなる。
【0125】
また、本実施形態によると、第2固定子13bを流れる電流は、各固定子平行板部135および各固定子連結板部136に2分されるため、各固定子平行板部135および各固定子連結板部136の断面積を小さくすることができ、第2固定子13bを製造する際の曲げ加工が容易になる。
【0126】
(第8実施形態)
本発明の第8実施形態について説明する。図18(a)は本発明の第8実施形態に係る継電器における可動子23および固定子13を示す平面図、図18(b)は図18(a)の可動子23および固定子13の正面図、図18(c)は図18(a)のH−H線に沿う断面図である。以下、第6実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0127】
図18に示すように、第1固定子13aも第2固定子13bと同様の形状になっている。すなわち、第1固定子13aは、可動子23に近接して可動子23と平行に(すなわち、可動接点並び方向に)延びる固定子平行板部135を備え、固定子平行板部135と固定接点取付板部132との間は、屈曲した固定子連結板部136にて連結されている。
【0128】
第1固定子13aの固定子平行板部135と可動子23は、基準方向Zにずれていて、可動子移動方向に沿って見たときに重ならない位置関係になっている。また、第1固定子13aの固定子平行板部135と可動子23は、可動子移動方向にずれており、より詳細には、固定子平行板部135は、図18(c)のように可動接点並び方向に沿って見たときに、可動子23よりも固定接点取付板部132側に位置している。
【0129】
可動子23の全域と第1固定子13aの固定子平行板部135の一部が近接しており、図18には、この近接部位eを便宜的に綾目模様で示している。
【0130】
そして、近接部位eでは、可動子23を流れる電流の向きと第1固定子13aの固定子平行板部135を流れる電流の向きが同じになるように、第1固定子13aの形状が設定されている。具体的には、可動子移動方向に沿って見たときに第1固定子13aの固定子連結板部136が複数箇所で曲げられ、これにより第1固定子13aを流れる電流の向きが変えられて、第1固定子13aの固定子平行板部135を流れる電流の向きが可動子23を流れる電流の向きと同じになっている。
【0131】
本実施形態では、第7実施形態と比較して各固定子平行板部135を流れる電流が2倍になるため、合計の板部間吸引力eも2倍になり、接点部電磁反発力による可動接点25と固定接点14間の開離が一層発生し難くなる。
【0132】
(第9実施形態)
本発明の第9実施形態について説明する。図19は本発明の第9実施形態に係る継電器における可動子23および固定子13を示す平面図である。以下、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0133】
図19に示すように、可動子移動方向に沿って見たときに、可動子23はL字状になっている。また、可動子23は可動接点25を3つ備え、可動子移動方向に沿って見たときに、3つの可動接点25を結ぶ線が三角形をなすように、可動接点25が配置されている。
【0134】
第1固定子13aは、可動接点25に対向する位置に固定接点(図示せず)が1つ設けられている。
【0135】
第2固定子13bは、2つに分岐され且つ長さが異なる第1分岐板部137および第2分岐部138を備え、各分岐板部137、138には、可動接点25に対向する位置に固定接点(図示せず)が設けられている。
【0136】
第1分岐板部137は、可動子23に近接して可動子23と平行に延びている。この近接している部位を、以下、近接部位fという。図19には、この近接部位fを便宜的に綾目模様で示している。
【0137】
そして、近接部位fでは、可動子23を流れる電流の向きと第1分岐板部137を流れる電流の向きが同じになるように、固定子13および可動子23の形状や配置が設定されている。
【0138】
なお、可動子23において近接部位fを構成する部位は、本発明の可動子近接板部に相当する。また、固定子13において近接部位aを構成する部位、すなわち第1分岐板部137は、本発明の固定子近接板部に相当する。
【0139】
本実施形態では、近接部位fで可動子23と第1分岐板部137との間にローレンツ力である吸引力が発生する。この近接部位fの吸引力を、以下、板部間吸引力fという。
【0140】
そして、この板部間吸引力fの分力により可動接点25と固定接点14とを当接させる向きに可動子23が付勢されるため、接点部電磁反発力による可動接点25と固定接点14間の開離が発生し難くなる。
【0141】
また、本実施形態によると、可動子23および固定子13を簡素な形状にすることができるため、それらの部品のコストを低減することができる。
【0142】
さらに、接点接触部が3点となるため、可動子23の揺動が防止され、ひいては可動子23の揺動による不具合が防止される。
【0143】
(第10実施形態)
本発明の第10実施形態について説明する。図20は本発明の第10実施形態に係る継電器における可動子23および固定子13の構成と外部の電気回路とを示す図である。以下、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0144】
図20に示すように、可動子23は、可動接点並び方向に細長い直方体であり、可動子23全体が本発明の可動子近接板部に相当する。
【0145】
第1固定子13aは、可動接点25に対向する位置に固定接点(図示せず)が設けられた細長い直方体の第1主固定子13amと、外部ハーネス90を介して電源91に接続される細長い直方体の第1副固定子13asとに分割されている。第1主固定子13amと第1副固定子13asは、外部ハーネス92によって電気的に接続されている。
【0146】
第2固定子13bは、可動接点25に対向する位置に固定接点(図示せず)が設けられた細長い直方体の第2主固定子13bmと、外部ハーネス93を介して接地される細長い直方体の第2副固定子13bsとに分割されている。
【0147】
第2主固定子13bmと第2副固定子13bsは、外部ハーネス94によって電気的に接続されている。また、外部ハーネス94の途中に電気負荷95が配置されている。
【0148】
第1副固定子13asおよび第2副固定子13bsは、可動子23に近接して可動子23と平行に(すなわち、可動接点並び方向に)延びるように配置されている。
【0149】
可動子23の全域と第1副固定子13asおよび第2副固定子13bsの一部が近接しており、図20には、この近接部位gを便宜的に綾目模様で示している。
【0150】
そして、近接部位gでは、可動子23を流れる電流の向きと第1副固定子13asおよび第2副固定子13bsを流れる電流の向きが同じになるように、可動子23、第1主固定子13am、第1副固定子13as、第2主固定子13bm、第2副固定子13bsの配置等が設定されている。
【0151】
なお、第1副固定子13asおよび第2副固定子13bsのうち可動子23と近接する部位、すなわち第1副固定子13asおよび第2副固定子13bsの近接部位gは、本発明の固定子近接板部に相当する。
【0152】
本実施形態では、近接部位gでは可動子23を流れる電流の向きと第1副固定子13asおよび第2副固定子13bsを流れる電流の向きが同じであるため、近接部位gにおいても可動子23と第1副固定子13asおよび第2副固定子13bsとの間にローレンツ力である吸引力が発生する。この近接部位gの吸引力を、以下、板部間吸引力gという。
【0153】
そして、この板部間吸引力gの分力により可動接点25と固定接点14とを当接させる向きに可動子23が付勢されるため、接点部電磁反発力による可動接点25と固定接点14間の開離が発生し難くなる。
【0154】
また、本実施形態によると、可動子23の小型化が可能になり、その結果、可動子23の駆動がスムーズになり作動音が小さくなる。
【0155】
さらに、可動子23、第1主固定子13am、第1副固定子13as、第2主固定子13bm、第2副固定子13bsを簡素な形状にすることができるため、それらの部品のコストを低減することができる。
【0156】
(第11実施形態)
本発明の第11実施形態について説明する。図21(a)は本発明の第11実施形態に係る継電器における可動子23および固定子13を示す平面図、図21(b)は図21(a)の可動子23および固定子13の正面図である。以下、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0157】
図21に示すように、可動子23は、可動接点並び方向に細長い直方体であり、可動子23全体が本発明の可動子近接板部に相当する。
【0158】
第2固定子13bは、可動子23に近接して可動子23と平行に(すなわち、可動接点並び方向に)延びる固定子平行板部139を備え、固定子平行板部139と固定接点取付板部132との間は固定子連結板部140にて連結されている。
【0159】
固定子平行板部139は、可動子23における固定接点取付板部132側の面とは反対側の面と対向している。また、可動子移動方向に沿って見たときに、固定子平行板部139の一部が可動子23と重なっており、この重なり部位は近接している。なお、この近接している部位を、以下、近接部位hという。図21には、この近接部位hを便宜的に綾目模様で示している。
【0160】
そして、近接部位hでは、可動子23を流れる電流の向きと固定子平行板部139を流れる電流の向きが逆になるように、第2固定子13bの形状が設定されている。具体的には、図21(b)に示すように、固定接点取付板部132と固定子連結板部140との境界部で90°曲げられ、また固定子平行板部139と固定子連結板部140との境界部で90°曲げられ、これにより第2固定子13bを流れる電流の向きが変えられて、固定子平行板部139を流れる電流の向きが可動子23を流れる電流の向きと逆になっている。
【0161】
なお、固定子平行板部139の近接部位hは、本発明の固定子近接板部に相当する。
【0162】
本実施形態では、近接部位hでは可動子23を流れる電流の向きと固定子平行板部139を流れる電流の向きが逆であるため、近接部位hでは可動子23を固定子平行板部139から遠ざける向きの力が発生する。換言すると、近接部位hでは可動子23と固定子平行板部139との間にローレンツ力である反発力が発生する。この近接部位hの反発力を、以下、板部間反発力hという。
【0163】
そして、この板部間反発力hにより可動接点25と固定接点14とを当接させる向きに可動子23が付勢されるため、接点部電磁反発力による可動接点25と固定接点14間の開離が発生し難くなる。
【0164】
また、板部間反発力hは電流値の二乗に比例するため、大電流通電時においても接点部電磁反発力による可動接点25と固定接点14間の開離を確実に防止することができる。
【0165】
(第12実施形態)
本発明の第12実施形態について説明する。図22は本発明の第12実施形態に係る継電器を示す正面断面図であり、図23のJ−J線に沿う断面図に相当する。図23は図22のK−K線に沿う断面図、図24(a)は図22の継電器における可動子23および固定子13を示す平面図、図24(b)は図24(a)の可動子23および固定子13の正面図、図24(c)は図24(a)のL−L線に沿う断面図である。以下、第11実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0166】
図22〜図24に示すように、第2固定子13bは、可動子23に近接して可動子23と平行に(すなわち、可動接点並び方向に)延びる固定子平行板部139を備え、固定子平行板部139と固定接点取付板部132との間は固定子連結板部140にて連結されている。
【0167】
固定子平行板部139と可動子23は、基準方向Zにずれていて、可動子移動方向に沿って見たときに重ならない位置関係になっている。また、固定子平行板部139と可動子23は、可動子移動方向にずれており、より詳細には、固定子平行板部139は、図24(c)のように可動接点並び方向に沿って見たときに、可動子23よりも反固定接点取付板部側に位置している。
【0168】
可動子23の全域と固定子平行板部139の一部が近接しており、この近接している部位を、以下、近接部位iという。図24には、この近接部位iを便宜的に綾目模様で示している。
【0169】
そして、近接部位iでは、可動子23を流れる電流の向きと固定子平行板部139を流れる電流の向きが逆になるように、第2固定子13bの形状が設定されている。具体的には、図24(b)に示すように、固定接点取付板部132と固定子連結板部140との境界部で90°曲げられ、また固定子平行板部139と固定子連結板部140との境界部で90°曲げられ、これにより第2固定子13bを流れる電流の向きが変えられて、固定子平行板部139を流れる電流の向きが可動子23を流れる電流の向きと逆になっている。
【0170】
なお、固定子平行板部139のうち可動子23と近接する部位、すなわち固定子平行板部139の近接部位iは、本発明の固定子近接板部に相当する。
【0171】
本実施形態では、近接部位iでは可動子23を流れる電流の向きと固定子平行板部139を流れる電流の向きが逆であるため、近接部位iでは可動子23を固定子平行板部139から遠ざける向きの力が発生する。換言すると、近接部位iでは可動子23と固定子平行板部139との間にローレンツ力である反発力が発生する。この近接部位iの反発力を、以下、板部間反発力iという。
【0172】
そして、この板部間反発力iの分力により可動接点25と固定接点14とを当接させる向きに可動子23が付勢されるため、接点部電磁反発力による可動接点25と固定接点14間の開離が発生し難くなる。
【0173】
また、固定子平行板部139と可動子23は、可動子移動方向に沿って見たときに重ならないように配置されているため、可動子23における反固定接点取付板部側にスペースが発生し、そのスペースに接圧ばね24を配置することができる。
【0174】
(第13実施形態)
本発明の第13実施形態について説明する。図25(a)は本発明の第13実施形態に係る継電器における可動子23および固定子13を示す平面図、図25(b)は図25(a)の可動子23および固定子13の正面図、図25(c)は図25(a)のM−M線に沿う断面図である。以下、第12実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0175】
図25に示すように、第2固定子13bは、固定接点取付板部132の一端から2つに分岐されており、固定子平行板部139および固定子連結板部140を2つ備えている。
【0176】
2つの固定子平行板部139は、可動子23を挟み込むように配置され、可動子23に近接して可動子23と平行に(すなわち、可動接点並び方向に)延びている。
【0177】
本実施形態においては、近接部位iの反発力である板部間反発力iが、接点接触部よりも基準方向Zの一方側に発生するとともに、接点接触部よりも基準方向Zの他方側に発生するため、可動子23の姿勢が安定する。
【0178】
また、本実施形態によると、第2固定子13bを流れる電流は、各固定子平行板部139および各固定子連結板部140に2分されるため、各固定子平行板部139および各固定子連結板部140の断面積を小さくすることができ、第2固定子13bを製造する際の曲げ加工が容易になる。
【0179】
(第14実施形態)
本発明の第14実施形態について説明する。図26(a)は本発明の第14実施形態に係る継電器における可動子23および固定子13を示す平面図、図26(b)は図26(a)の可動子23および固定子13の正面図、図26(c)は図26(a)のN−N線に沿う断面図である。以下、第12実施形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0180】
図26に示すように、第1固定子13aも第2固定子13bと同様の形状になっている。すなわち、第1固定子13aは、可動子23に近接して可動子23と平行に(すなわち、可動接点並び方向に)延びる固定子平行板部139を備え、固定子平行板部139と固定接点取付板部132との間は固定子連結板部140にて連結されている。
【0181】
第1固定子13aの固定子平行板部139と可動子23は、基準方向Zにずれていて、可動子移動方向に沿って見たときに重ならない位置関係になっている。また、第1固定子13aの固定子平行板部139と可動子23は、可動子移動方向にずれており、より詳細には、固定子平行板部139は、図26(c)のように可動接点並び方向に沿って見たときに、可動子23よりも反固定接点取付板部側に位置している。
【0182】
可動子23の全域と第1固定子13aの固定子平行板部139の一部が近接しており、図26には、この近接部位iを便宜的に綾目模様で示している。
【0183】
そして、近接部位iでは、可動子23を流れる電流の向きと第1固定子13aの固定子平行板部139を流れる電流の向きが逆になるように、第1固定子13aの形状が設定されている。具体的には、図26(b)に示すように、固定接点取付板部132と固定子連結板部140との境界部で90°曲げられ、また固定子平行板部139と固定子連結板部140との境界部で90°曲げられ、これにより第1固定子13aを流れる電流の向きが変えられて、固定子平行板部139を流れる電流の向きが可動子23を流れる電流の向きと逆になっている。
【0184】
本実施形態では、近接部位iでは可動子23を流れる電流の向きと固定子平行板部139を流れる電流の向きが逆であるため、近接部位iでは可動子23を固定子平行板部139から遠ざける向きの力が発生する。換言すると、近接部位iでは可動子23と固定子平行板部139との間にローレンツ力である反発力が発生する。この近接部位iの反発力を、以下、板部間反発力iという。
【0185】
そして、この板部間反発力iの分力により可動接点25と固定接点14とを当接させる向きに可動子23が付勢されるため、接点部電磁反発力による可動接点25と固定接点14間の開離が発生し難くなる。
【0186】
本実施形態では、第12実施形態と比較して各固定子平行板部139を流れる電流が2倍になるため、合計の板部間反発力iも2倍になり、接点部電磁反発力による可動接点25と固定接点14間の開離が一層発生し難くなる。
【0187】
(他の実施形態)
上記各実施形態では、コイル15の電磁力により可動コア19等を固定コア18側に吸引するようにしたが、コイル15以外の駆動手段によって可動コア19等を固定コア18側に駆動するようにしてもよい。
【0188】
また、上記各実施形態では、固定子13に、別部材の固定接点14をかしめ固定したが、固定子13に、可動子23側に向かって突出する突起部を例えばプレス加工にて形成し、その突起部を固定接点としてもよい。
【0189】
同様に、上記各実施形態では、可動子23に、別部材の可動接点25をかしめ固定したが、可動子23に、固定子13側に向かって突出する突起部を例えばプレス加工にて形成し、その突起部を可動接点としてもよい。
【0190】
上記各実施形態は、実施可能な範囲で任意に組み合わせが可能である。
【符号の説明】
【0191】
13 固定子
14 固定接点
23 可動子
25 可動接点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定接点(14)を有する2つの板状の固定子(13)と、可動接点(25)を有する板状の可動子(23)とを備え、前記可動子(23)の移動により前記固定接点(14)と前記可動接点(25)とを接離させて電気回路を開閉する継電器において、
前記固定子(13)および前記可動子(23)のうち両者が近接する部位(a〜g)を、固定子近接板部および可動子近接板部としたとき、
前記固定子近接板部を流れる電流の向き(D)と前記可動子近接板部を流れる電流の向き(C)を同じにして、前記可動子近接板部を前記固定子近接板部側に吸引する板部間吸引力を発生させるとともに、
前記板部間吸引力により、前記固定接点(14)と前記可動接点(25)とを当接させる向きに前記可動子近接板部が付勢されるように構成されていることを特徴とする継電器。
【請求項2】
前記固定子近接板部および前記可動子近接板部は、一方の前記固定子(13)の固定接点(14)と他方の前記固定子(13)の固定接点(14)との間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の継電器。
【請求項3】
前記可動子(23)は、直方体で且つ前記可動子(23)全体が前記可動子近接板部をなし、
前記固定子(13)は、前記固定子近接板部を流れる電流の向き(D)が前記可動子近接板部を流れる電流の向き(C)と同じになるように、前記固定接点(14)の取付部と前記固定子近接板部との間で曲げられていることを特徴とする請求項1に記載の継電器。
【請求項4】
固定接点(14)を有する2つの板状の固定子(13)と、可動接点(25)を有する板状の可動子(23)とを備え、前記可動子(23)の移動により前記固定接点(14)と前記可動接点(25)とを接離させて電気回路を開閉する継電器において、
前記固定子(13)および前記可動子(23)のうち両者が近接する部位(h〜i)を、固定子近接板部および可動子近接板部としたとき、
前記固定子近接板部を流れる電流の向き(D)と前記可動子近接板部を流れる電流の向き(C)を逆にして、前記可動子近接板部を前記固定子近接板部から遠ざける向きの板部間反発力を発生させるとともに、
前記板部間反発力により、前記固定接点(14)と前記可動接点(25)とを当接させる向きに前記可動子近接板部が付勢されるように構成されていることを特徴とする継電器。
【請求項5】
前記固定子近接板部と前記可動子近接板部は、前記可動子(23)の移動方向に沿って見たときに両者が重ならないように配置されていることを特徴とする請求項4に記載の継電器。
【請求項6】
前記可動子(23)に近接して配置された磁石(26)を備え、
前記可動子(23)を流れる電流と前記磁石(26)の磁束によって発生するローレンツ力が、前記固定接点(14)と前記可動接点(25)とを当接させる向きになるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の継電器。
【請求項7】
前記固定接点(14)および前記可動接点(25)は、それぞれ3つ設けられ、
前記可動子(23)の移動方向に沿って見たときに、3つの前記固定接点(14)を結ぶ線および3つの前記可動接点(25)を結ぶ線が三角形をなしていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の継電器。
【請求項8】
通電時に電磁力を発生するコイル(15)と、
前記コイル(15)の電磁力により吸引される可動部材(19、21、22)と、
前記固定接点(14)と前記可動接点(25)とが当接する向きに前記可動子(23)を付勢する接圧ばね(24)とを備え、
前記コイル(15)の電磁力により前記可動部材(19、21、22)が吸引されたときには、前記可動部材(19、21、22)が前記可動子(23)から離れる向きに移動するとともに、前記可動子(23)が前記接圧ばね(24)に付勢されて前記固定接点(14)と前記可動接点(25)とが当接するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の継電器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2013−41815(P2013−41815A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−138539(P2012−138539)
【出願日】平成24年6月20日(2012.6.20)
【出願人】(390001812)アンデン株式会社 (97)