説明

網膜下アクセス装置

【解決手段】本発明は、わずかなけん引力を利用して網膜下空間へのアクセスを可能にすることにより、感覚網膜を保持し、目の治療の導入及び実施に十分な大きさの開放性網膜下空間を生成及び維持する外科装置を提供する。このような治療には、照射材又は造影剤や照明器具又は撮像器具や手術器具の導入、医薬品又は生物学的作用物質の注入、及び移植片、移植組織又はインプラントの挿入及び密封材を投与することによる部位の閉鎖が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の参照]
本出願は、2009年1月23日に出願された同一出願人による米国特許出願No.12/359,157に基づく優先権を主張するものであり、前記出願の内容は、参照することにより、その全体があらゆる目的で本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は目に用いられる手術器具に関する。より詳しくは、本発明は、わずかなけん引力を利用して網膜下空間へのアクセスを可能にすることにより、感覚網膜を保持し、目の治療の導入及び実施に十分な大きさの開放性網膜下空間を生成及び維持する器具に関する。このような治療には、照射材又は造影剤や照明器具又は撮像器具や手術器具の導入、医薬品又は生物学的作用物質の注入、及び移植片、移植組織又はインプラントの挿入が含まれる。
【背景技術】
【0003】
ヒトの目の後眼部に影響を与えて、視力を低下させ、場合によっては失明する可能性のある多くの疾患や異常が存在する。疾患経過の悪化や生理解剖学的欠損は、感覚網膜、網膜色素上皮(RPE)及び脈絡膜等の目の後部組織に影響を与える。加齢性黄斑変性症、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、脈絡膜新生血管、網膜炎及び黄斑浮腫等の疾患や黄斑円孔、網膜剥離、網膜上膜及び網膜又は脈絡膜静脈閉塞等の異常は、すべて、軽度のものから全盲まで失明にいたる可能性がある。これらの疾患や異常の多くに対して、医薬品の全身注射や硝子体内注射又は硝子体腔を介した手術による治療が行なわれる。黄斑移動術、RPE細胞及び組織移植又は網膜インプラント埋植等の治療は、後部組織への侵襲的アクセスを最小限に抑えて、部位特異的な場所に治療を施す新しい手法及び技術である。
【0004】
外科的処置の間に損傷を受けやすい網膜の繊細な構造と網膜へのアクセスのしにくさとにより、感覚網膜の下の組織を標的とするインターベンション治療を行なうことは難しい。このため、硝子体腔を介して直接的にアクセスできない組織に安全にアクセスして治療を行なう手段が求められている。わずかなけん引力を利用して網膜下空間にアクセスして感覚網膜を保持することにより、網膜の外核層又は光受容体層並びにRPEを含む網膜下空間に隣接する組織への安全で直接的なインターベンション治療が可能になる。
【0005】
本発明は、切り出しアプローチによって網膜下へのアクセスを可能にして、網膜上での位置を維持し、網膜を保護すると共に、治療の導入及び実施に十分な大きさの開放性網膜下空間を生成及び維持する外科装置に関する。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、目に用いられる外科装置であって、
近位端と、遠位端と、近位端から遠位端まで貫通する第1の管腔と、を有し、強膜切開ポートを通るのに適当な大きさに形成された第1の長尺管状部材と、
近位端と遠位端とを有し、第1の長尺管状部材の第1の管腔内に配置される第2の長尺管状部材であって、近位端から遠位端まで貫通する内側流路を備える第2の長尺管状部材と、
第1の長尺管状部材の第1の管腔内の環状空間であって、第2の長尺管状部材を環状に囲む環状空間と、を備え、
第2の長尺管状部材の遠位端が、感覚網膜の組織に貫入可能な大きさと形状に形成された先端部を有し、
第1の長尺管状部材の遠位端は、開放端部であり、目の組織表面に接するように配置され、環状空間内の圧力を下げた状態で第1の長尺管状部材の遠位端によって遠位端に接する組織表面を密閉し、これにより、先端部を組織表面に貫入可能として、下層組織に損傷を与えることなく組織表面の下にポケットを形成する、外科装置を提供する。
【0007】
組織が網膜であり、先端部が感覚網膜に貫入可能な大きさと形状に形成された場合に、この外科装置は特に有用である。実施形態において、外科装置を、特に、網膜下色素上皮又は網膜下空間に貫入してアクセス可能な大きさと形状に形成するようにしてもよい。
【0008】
また、実施形態において、第2の管状部材内の内側流路が第2の管腔を形成するようにしてもよい。さらに、実施形態において、内側流路は、近位端から遠位端への流体の流れを可能にする第2の管状部材の多孔質内部でもよい。
【0009】
環状空間が、第1の長尺管状部材内に、内側流路とは別の外側流路を形成するようにしてもよい。
【0010】
また、実施形態において、第1の長尺管状部材によって十分に組織表面を密閉することにより、力学的に組織を安定化させて、第2の長尺管状部材の遠位端先端部の貫入及び内側流路への流体の注入を可能にし、下層組織に損傷を与えることなく、組織の下にポケットを形成するようにしてもよい。
【0011】
さらに、実施形態において、第1の長尺管状部材を引き抜くことにより組織を他の下層組織から離してポケットを形成可能なように、第1の長尺管状部材によって十分に組織表面を密閉するようにしてもよい。
【0012】
実施形態において、第2の管状部材の先端部は、とがっていてもよい。
【0013】
したがって、実施形態において、外科装置が、
近位端と、遠位端と、近位端から遠位端まで貫通する管腔と、を有し、強膜切開ポートを通るのに適当な大きさに形成された第1の長尺管状部材と、
近位端と遠位端とを有し、第1の長尺管状部材の管腔内に配置される第2の長尺管状部材であって、近位端から遠位端まで貫通する通路を備える第2の長尺管状部材と、
第1の長尺管状部材の管腔内の環状空間であって、第2の長尺管状部材を環状に囲む環状空間と、を備え、
第2の長尺管状部材の遠位端は尖った先端部を有し、
第1の長尺管状部材の遠位端は、開放端部であり、組織表面に接するように配置されて、第1の長尺管状部材を引き抜くことにより組織を組織下層の他の組織から離して組織の下にポケットが形成可能となるように、環状空間内の圧力を下げた状態で第1の長尺管状部材の遠位端により組織を十分に密閉し、これにより、下部組織に損傷を与えることなく、第2の長尺管状部材のとがった先端部が組織を貫通することによりポケットにアクセス可能となる。
【0014】
一実施形態において、第1の長尺管状部材の通路が、通路を介して、流体、懸濁液、密封材、接着剤、粘性固体若しくは気体を導入する、又は、流体、懸濁液、粘性固体若しくは気体を吸引するためのデバイスと連通するようにしてもよい。また、別の実施形態において、第2の長尺管状部材の通路が、通路を介して、流体、懸濁液、粘性固体若しくは気体を導入する、又は、流体、懸濁液、粘性固体若しくは気体を吸引するためのデバイスと連通するようにしてもよい。
【0015】
別の実施形態において、第2の長尺管状部材の遠位端を、第1の長尺管状部材の開放遠位端を越えて所定の距離伸長させて、下層組織への外傷を抑制するようにしてもよい。好ましくは、第2の長尺管状部材を、第1の長尺管状部材の開放遠位端を越えて、約0.005インチ(0.127mm)から約0.125インチ(3.175mm)伸長させる。
【0016】
また別の実施形態において、貫入部位から離れた領域の治療が可能になるように、第2の長尺管状部材を、第1の長尺管状部材内にスライド可能に配置してもよい。また、第2の長尺管状部材を、第1の長尺管状部材の管腔内に格納できるようにしてもよい。
【0017】
さらに別の実施形態において、外科装置の遠位端における環状空間内に遮断部材を配置するようにしてもよい。遮断部材は、環状空間における流体の流れを妨害することなく、開放遠位端を介して環状空間に組織が侵入するのを実質的に防ぐのに十分な構造を有する。実施形態において、遮断部材はコイル、ループ又は有孔シートを備えるものでもよい。ここで、シートの孔の平均直径は、約0.0001インチ(0.0025mm)から約0.005インチ(0.127mm)の範囲である。
【0018】
実施形態において、第2の長尺管状部材の通路は手術器具又は手術用具を収容するものでもよい。手術用具は、内視鏡等の撮像機器や組織又は血管から血栓を取り除くために用いられる器具又は用具等の顕微鏡下手術用具を備えるものでもよい。また、手術器具は、撮像機器である光ファイバー機器、又は標的部位にレーザーエネルギーを供給するように構成される光ファイバー機器等のエネルギー伝導素子を備えるものでもよいし、組織又は血管の切除を行なうために高周波エネルギーを供給するように構成される導電素子を備えるものでもよい。
【0019】
一実施形態において、外科装置の遠位端を、網膜下空間にアクセス可能な形状と寸法に形成するようにしてもよい。
【0020】
別の実施形態において、外科装置の遠位端を、網膜色素上皮の組織にアクセス可能な形状と寸法に形成するようにしてもよい。
【0021】
さらに別の実施形態において、外科装置の遠位端を、網膜の組織にアクセス可能な形状と寸法に形成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の網膜下アクセス用カニューレ装置を示す概略図。
【0023】
【図2】本発明の網膜下アクセス用カニューレ装置の一部を示す概略図。
【0024】
【図3】本発明の装置の遠位端の動作を示す概略図。
【0025】
【図4】本発明の装置の近位端を示す概略図。
【0026】
【図5】本発明の装置の遠位端を示す概略図。
【0027】
【図6】メインシャフトの遠位端先端部と同一平面上にある状態の組織遮断機構を備える、本発明の装置の遠位端を示す概略図。
【0028】
【図7】メインシャフトの遠位端先端部から突出した状態の組織遮断機構を備える、本発明の装置の遠位端を示す概略図。
【0029】
【図8】第2の長尺管状部材(マイクロニードル)の通路内に配置される補強部材を備える、本発明の装置の遠位端を示す概略図。
【0030】
【図9】強膜切開ポートを通って配置され、網膜下空間と連通する本発明の装置を示す概略図。
【0031】
【図10】本発明の装置内の流路を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、ヒトの目の網膜下空間へのアクセスを可能にして、後眼部、具体的には、網膜、網膜色素上皮及び脈絡膜に対する治療を導入する外科装置を提供する。この装置は、感覚網膜を安全に徐々に安定化させる機能を果たす一方で、網膜下空間へのアクセス制御を可能にする。また、この装置は、組織への直接的なアクセスを可能にして、外科的、医学的又は生物学的なインターベンション治療を容易にすることができる。この装置は、治療の直接的可視化を容易にする切り出しアプローチを介して、標準的な強膜切開ポートを通って、標的部位にアクセスするように構成されている。
【0033】
本発明の装置は、特に、隣接組織にデバイス、マテリアル、エネルギー又は物質を供給するために、網膜下空間へのアクセスを可能にする。本発明の装置を用いることにより、網膜の下で治療を実施している間、網膜上の位置を静かに保持及び維持することができる。
【0034】
本発明の装置は、2つの部材を備え、第1の部材は、真空を利用して網膜を保持及び安定化させるように構成され、一方、第2の部材は、制御下で網膜を貫通して、網膜下の空間にアクセスできるように構成される。
【0035】
第1の部材は、近位端と、遠位端と、近位端から遠位端まで貫通する管腔と、を有する第1の長尺管状部材を備える。遠位端は開放端部であり、遠位端を組織表面に接するように配置し、第1の長尺管状部材を引き抜くことにより、あるいは、流体を網膜下空間に注入することにより、この組織を組織下層の他の組織から離してこの組織の下にポケットが形成可能となるように、第1の管状部材内の圧力を下げた状態で遠位端により組織を十分に密閉する。第2の部材の先端部を貫入することにより、下部組織に損傷を与えることなく、第2の長尺管状部材がこの組織を貫通して、ポケットにアクセス可能になる。
【0036】
第2の部材は、近位端と遠位端とを有し、第1の管状部材の管腔内に配置される第2の長尺管状部材を備える。第2の管状部材は、その近位端から遠位端まで貫通する流路を備える。第2の長尺管状部材の遠位端は、感覚網膜に貫入可能な大きさと形状に形成された先端部を有する。
【0037】
各部材は、外部環境と連通し、さらに、必要に応じて互いに連通させるようにしてもよい。第2の部材を通して、さまざまなインターベンション治療器具及びマテリアルを導入可能であり、また、流体又は気体の注入や吸引が可能である。本発明の装置は、経毛様体扁平部において、強膜切開ポートを介して、目の内部に導入される。また、この装置は、経毛様体扁平部から硝子体腔を横切って目の後部領域における標的部位に到達する。
【0038】
第1の部材は、主に、真空を利用して、網膜を保持する一方で、部材内への組織の侵入を防ぐように構成されている。この機能により、網膜上における装置の位置が安定して、網膜下でのインターベンション治療が実施できる。また、流体又は気体の注入に第1の部材を用いるようにしてもよい。好適な実施例において、第1の部材は、注入源又は吸引源に取り付け可能な管状部材を備えるものでもよい。吸引源を用いることにより、真空にして安定化させることができ、また、注入源を用いることにより、少しずつ注入して、第1の部材から網膜組織を離すことができる。
【0039】
第2の部材は、所定の器具またはマテリアルの供給に適した大きさの剛性又は可撓性の管状部材を備えるものでもよい。第2の部材を用いて、網膜下空間に撮像装置又はマテリアルを収容及び/又は供給するようにしてもよい。撮像装置の例としては、内視鏡検査用の光ファイバー、光コヒーレンス・トモグラフィ(OCT)や照明が挙げられる。第2の部材の遠位端に、撮像の補助になる鏡、プリズム又はレンズを備えるようにしてもよい。
【0040】
第2の部材を用いて、網膜下空間に医薬品や生物学的作用物質を供給するようにしてもよい。医薬品の例としては、これらに限定されるものではないが、抗血管内皮細胞増殖因子(anti-VEGF)、ステロイド、抗生物質、抗炎症剤及びアポトーシス阻害剤が挙げられる。また、生物学的作用物質の例としては、これらに限定されるものではないが、遺伝子治療薬、放射性核種、幹細胞治療及び自己細胞注入が挙げられる。
【0041】
第2の部材内の流路を、第2の部材の遠位端先端部を介して流体、懸濁液、粘性個体又は気体を導入するデバイスと連通させるようにしてもよい。また、流路を、遠位端先端部を介して目から流体、懸濁液、粘性個体又は気体を吸引するデバイスと連通させるようにしてもよい。
【0042】
流路の近位端にルアー(Luer)継手やワンタッチ継手等の取付用継手を備えるようにしてもよい。このような継手を、手動で動かす注射器、注入ポンプ、又はその他デバイスに取り付けて、マテリアルを流路内に導入するようにしてもよい。
【0043】
また、第2の部材を、外科治療のためのアクセスに用いることもできる。たとえば、第2の部材を網膜下空間に手術器具や手術用具を導入することができる。手術用具の例としては、これらに限定されるものではないが、鉗子、ハサミ、プローブ(探針)及び組織マニピュレータ−が挙げられる。手術用具が内視鏡や光ファイバー機器等の撮像機器を備えるものでもよい。また、手術用具は、たとえば、組織や血管から血栓を取り除くために用いられるものでもよい。光ファイバー機器は、標的にレーザーや高周波エネルギー等のエネルギーを供給して、組織や血管を切除するものでもよい。このようなアクセス装置が用いられる治療、又は、このようなアクセス装置によって可能になる治療の例としては、黄斑移動術、RPE移動術又は移植、出血の分解または除去、血管狭窄症又は血管閉塞の拡張又は開放及び網膜脈絡膜吻合の治療が挙げられる。
【0044】
さらに、第2の部材を、網膜下空間にアクセスして、ドラッグデリバリー・デポ(薬物送達貯蔵所)等のインプラントの埋植や撮像インプラント、網膜色素上皮組織、細胞移植片及び感覚網膜組織等の細胞注入治療を行なうために用いることもできる。さらに、第2の部材を、上述した治療を組み合わせたものを行なうためのアクセスに用いることもできる。
【0045】
上述したような治療の完了後に、網膜下の治療部位を覆う網膜におけるアクセス創傷を密封することが望ましい場合もある。第1の部材を用いて、密封材、接着剤や治療完了後にアクセス部位を閉鎖するその他の手段を供給するようにしてもよい。このような密封材又は接着剤の例としては、自家血液、フィブリン接着剤やin-situ(体内)で結合又は架橋する生体適合性合成ポリマーが挙げられる。
【0046】
また、強膜切開ポートを用いて、後眼房に装置(デバイス)を導入することも望ましい。強膜切開ポートを経毛様体扁平部における強膜を介して導入することにより、後眼房へのアクセスが可能になる。ポートの導入により、力学的安定性及び後眼房の圧力を維持する密閉性が確保され、手術用具の交換が可能になる。強膜切開ポートシステムは、市販されており、直径20ないし25ゲージのデバイスに対応可能である。
【0047】
図1に示す装置は、第1の部材である外側管状部材1と、第2の部材である同軸の小径管状部材2と、装置内にマテリアルを導入したり、装置を介してマテリアルを吸引したり、さらに、管状部材と他のデバイスとの間を選択的に連通する1つ以上の接続デバイス3と、を備える。サイドアーム4は、管状部材の形状により形成される種々の流路に連通する。
【0048】
図2に示すように、中空の外側管状部材すなわちメインシャフト1は、従来の強膜切開ポートとの適合性を考え、通常は、約0.010インチ(0.254mm)から約0.050インチ(1.270mm)の範囲の外径を有する。メインシャフトの遠位端先端部は、滑らかな表面を持ち、真空に保持された際に網膜に力学的に傷をつけないものが望ましい。必要に応じて、メインシャフトの先端部をポリマーで被覆して、網膜をさらに保護し、真空環状部の密閉を促進するようにしてもよい。
【0049】
網膜下空間へのアクセスに用いられる第2の小径管状部材すなわちアクセスシャフト2は、メインシャフト内に同心円状に配置される。アクセスシャフトの遠位端先端部が、メインシャフトの遠位端先端部を越えて、たとえば、約0.0015インチ(0.0381mm)から約0.125インチ(3.175mm)の範囲の距離だけ伸長するようにしてもよい。さらに、アクセスシャフトをメインシャフト内にスライド可能に配置することにより、標的組織の治療の必要性に応じてアクセスシャフトを前後に動かすことができる。アクセスシャフトは、メインシャフトの長さに沿って、メインシャフト内で同軸上に配置され、アクセスシャフトが組織に貫入されて網膜下空間にアクセスする際に網膜の損傷を最小限に抑えるために、たとえば、約0.0020インチ(0.0508mm)から約0.010インチ(0.254mm)の外径に形成される。一般に、メインシャフトとアクセスシャフトの遠位端は、網膜下空間と網膜及び/又は網膜色素上皮等の隣接組織とへのアクセスに適した形状と寸法に形成される。この範囲の大きさのアクセスシャフトは、必ずしも網膜に貫入するとがった先端部すなわちべベル(斜角)を必要とするわけではないが、外科医の作業の助けとなるようにべベルを設けるようにしてもよい。アクセスシャフトは、ポリイミド等のポリマー材料で形成されるものでもよいし、ステンレス鋼やニッケル−チタン合金等の金属で形成されるものでもよい。
【0050】
サイドアーム4は、メインシャフトとアクセスシャフトとの間に形成される環状空間を含む外側流路に直接アクセス可能である。サイドアームを介して環状空間を真空にすると、真空状態の環状空間により網膜組織が保持されて、アクセスシャフトの遠位端先端部を網膜に貫入することができる。メインシャフトとアクセスシャフトとの間の環状空間における真空度をユーザーが決定するようにしてもよい。網膜に接する部分が真空状態になると、装置の遠位端先端部をある1つの場所で適当な位置に保持することができる。真空度は、通常、10から760mmHgの範囲で変動可能であるが、繊細な組織を安全に保持するためには50ないし100mmHgの範囲が望ましい。また、サイドアームを、外側環状空間に流体を注入する手段として用いることもできる。たとえば、真空状態が残留することにより、装置の外側環状空間に付着した感覚網膜を保持できる。平衡塩類溶液(BSS)等の安全な媒体をゆっくりと注入することにより、装置の先端部から徐々に組織を離すことができる。また、装置を取り出す際に流動性のある密封材を供給して、網膜下空間の貫入部位を密封して、網膜下部位に注入した治療薬剤の漏れや、貫入創傷に起因する網膜の損傷を防ぐようにしてもよい。接続デバイス3を用いて、アクセスシャフトを介して、さまざまな器具や薬剤を網膜下空間に挿入したり網膜下空間から取り除いたりできる。アクセスシャフト又はアクセスシャフト内の器具を前方に動かすことにより、貫入部位から離れた領域の治療が可能になる。可撓性のアクセスシャフトを用いれば、網膜下空間内で傷をつけないように動かすことが容易になる。このような器具や薬剤の例としては、これらに限定されるものではないが、ステロイド等の医薬品やプローブ等の手術器具が挙げられる。さまざまな流体を取り除くことにより、網膜下で流体や薬剤が蓄積するのを防ぐことができる。
【0051】
装置を真空源に接続して、装置の遠位端が網膜組織に接するように配置すると、真空状態の外側環状部が感覚網膜の表面を引っ張って捕捉するため、アクセスシャフトを組織に貫入することができる。あるいは、感覚網膜に貫入するまで感覚網膜にアクセスシャフトを押しつけるようにしてもよい。この場合には、貫入した部分を真空状態にして、アクセスシャフトの遠位端先端部から離して網膜組織を保持することができる。
【0052】
図3において、矢印5に示すように真空状態の外側環状部により感覚網膜を捕捉し適切な位置に保持する間に、アクセスシャフトを介して平衡塩類溶液を少しずつ注入することにより、保護ポケットを形成することができる。すなわち、治療終了時に、必要に応じて、アクセスシャフトを介して注入した流体を吸引することにより元に戻せる一時的な網膜剥離を形成する。図示するように、この保護空間内にアクセスシャフト2の遠位端先端部を留置することにより、網膜の感覚層、RPE及び脈絡膜に直接アクセスすることができる。
【0053】
図4に示すように、アクセスシャフト2は、メインシャフト6の全長に沿って、メインシャフト6の近位端まで、あるいは、近位端を越えて、伸長する。メインシャフト6とアクセスシャフト2との間の外側環状空間と連通するメインシャフト6の開口部7を介して、サイドアーム4は、メインシャフト6の外側環状空間と連通し、外側環状空間にアクセスできる。外側環状空間をサイドアームを介して(図示しない)接続デバイスの一回路に接続することにより、網膜のマニピュレーション及び制御や流体の注入や吸引が可能になる。また、アクセスシャフトを接続デバイス3の他の回路に接続することにより、マテリアルや手術器具、光ファイバーやその他治療手段の注入、吸引や留置が可能になる。
【0054】
図5に示すように、別の実施例では、アクセスシャフトは、遠位端べベル(斜角)先端部8のように、網膜下空間への侵入を容易にする構造を備える。流れ抵抗を最小限に抑えるために、大径のシャフト10を小径の遠位端アクセスシャフト9に重ねて、小径の遠位端アクセスシャフトを用いて、網膜組織に対する損傷を最小限にするようにしてもよい。大径のシャフト10を用いることにより、網膜下流体の吸引にアクセス通路を用いた場合のアクセス通路の吸引性能を向上させることができる。さらに、小径の遠位端アクセスシャフト9から大径のシャフト10に向かって緩やかな拡開部9aを備えることにより、滑らかな穴が形成され、さまざまな器具の導入が容易になる。
【0055】
図6に示すように、また別の実施例では、装置は、メインシャフトとアクセスシャフトとの間の外側環状空間への組織の侵入を防ぐ組織遮断機構11を備える。遮断機構は、外側環状空間に、コイル、ワイヤループ、又は有孔のシート装置を備えるものでもよい。孔の平均直径は、たとえば、約0.0001インチ(0.0025mm)から約0.005インチ(0.127mm)の範囲であり、気体と流体が通過可能な一方、組織は通過できない大きさであればよい。コイル又はループは、外側環状空間の遠位端内に留置されるものでもよい。装置を真空にすると、コイル又はループの働きにより、遠位端において、環状空間内への組織の侵入が遮断される。
【0056】
図7に示すように、さらに別の実施例では、コイル等の遮断部材11は、メインシャフト1の遠位端をわずかに越えて伸長するものでもよい。装置を真空にすると、組織から遮断部材に圧力が加わり、遮断部材が圧縮されて押し込まれ、同時に、組織の損傷を防ぐとともにアクセス通路を遮断する。
【0057】
また、図8に示すように、別の実施例では、装置が、アクセスシャフト2の管腔内に配置されて、ねじれを防ぐ補強部材12を備える。たとえば、小径の金属ワイヤを補強部材としてもよい。
【0058】
図9に示す装置は、第1の部材である外側管状部材1と、第2の部材である同軸の小径管状部材2と、装置内にマテリアルを導入したり、装置を介してマテリアルを吸引したり、さらに、管状部材と他のデバイスとの間を選択的に連通する1つ以上の接続デバイス3と、を備える。サイドアーム4は、管状部材の形状により形成される外側流路に連通する。装置は、従来の強膜切開ポート15を介して目に挿入される。真空状態の外側環状部により感覚網膜13を捕捉し適切な位置に保持する間に、アクセスシャフトを介して平衡塩類溶液を少しずつ注入することにより、網膜下に保護ポケット14を形成することができる。すなわち、治療終了時に、必要に応じて、アクセスシャフトを介して注入した流体を吸引することにより元に戻せる一時的な網膜剥離を形成する。図示するように、この保護空間内にアクセスシャフト2の遠位端先端部を留置することにより、網膜の感覚層、RPE及び脈絡膜に直接アクセスすることができる。
【0059】
図10に、好適な実施例の装置内部の流路の概略図を示す。図10において真空源16がサイドアーム4aに接続される。吸引流5が外側環状空間の遠位端に入り、小孔7aを介して、さらに、サイドアーム4aを介してメインシャフト1aから排出される。注射器等の入力装置が近位端コネクタ3aに接続されて、大径シャフト部10aから小径の管状部材2aを通って遠位端先端部18aから排出される流れ17が形成される。
【0060】
以下、本発明を例示する目的で実施例を説明するが、本発明は何らこれらの実施例に限定されるものではない。
【0061】
実施例1:アクセス装置
【0062】
長さ約2インチ(50.8mm)で0.020インチ(0.508mm)×0.012インチ(0.305mm)の大きさの薄肉25ゲージステンレス鋼ハイポチューブ(MicroGroup, Inc製)をメインシャフトとして用いた。ハイポチューブの遠位端部から約1.25インチ(31.75mm)の位置に穴を1つ開けた。長さ3インチ(76.2mm)で0.020インチ(0.508mm)×0.060インチ(1.52mm)の大きさのタイゴン(Tygon)チューブの一端から約0.010インチ(0.254mm)の部分にスカイブ(skive)を形成した。メインシャフトをスカイブを介してタイゴンチューブに挿入し、メインシャフトの穴をタイゴンチューブの管腔と連通させた。タイゴンチューブとメインシャフトとの間の近位接合面及び遠位接合面に紫外線硬化型シアノアクリレート接着剤(Loctite, Inc.製のLoctite4305)を塗布して、メインシャフトから分岐したタイゴンチューブとメインシャフトの管腔との間が連通されるように密封した。
【0063】
0.028インチ(0.711mm)のステンレス鋼マンドレルを、タイゴンチューブの近位端と共に加熱し、タイゴンチューブの近位端内に挿入し、約0.25インチ(6.35mm)の距離にわたって、タイゴンチューブの内径を0.020インチ(0.508mm)から0.028インチ(0.711mm)まで拡開させた。前もって近位端にLuer継手で結合させた長さ6インチ(152mm)で0.016インチ(0.406mm)×0.026インチ(0.406mm)の大きさのぺバックス(Pebax)チューブをタイゴンチューブ内に挿入して、紫外線硬化型シアノアクリレート接着剤を用いて、両方のチューブ間の接合面で接合させた。
【0064】
管腔が100ミクロン(0.0039インチ)で、外径が125ミクロン(0.0049インチ)で、長さが0.25インチ(6.35mm)のポリイミド管(Microlumen, Inc製)を、管腔が165ミクロン(0.0065インチ)で、外径が210ミクロン(0.0083インチ)で、長さが1.85インチ(46.99mm)の別のポリイミド管内に0.05インチ(1.27mm)の距離挿入して、アクセスシャフトを形成した。エポキシ樹脂(Loctite, Inc製のLoctite M-31CL)を塗布して、2つのポリイミドチューブを接合した。
【0065】
長さ0.170インチ(4.318mm)のステンレス鋼コイルと、コイルを越えて伸長する長さ2.0インチ(50.8mm)で外径250ミクロン(0.0846mm)の補助ワイヤ(ミネソタ州セントポールのHeraeus Vadnais社製)を組織侵入妨害機構として用いた。近位端に向かって補助ステンレス鋼ワイヤが伸長するように、ステンレス鋼コイルをポリイミド管アセンブリ上に配置した。上にコイルを載置したポリイミド管アセンブリをメインシャフト内に挿入して、近位端側で、ポリイミドチューブとステンレス鋼ワイヤとメインシャフトとの接合面を紫外線硬化型シアノアクリレート接着剤で接合して密封した。ポリイミド管アセンブリの遠位端先端部をメインシャフトから突出させ、コイルの遠位端がメインシャフトの遠位端に重なるように、メインシャフト内でコイルを捕捉した。
【0066】
メインシャフトの近位端をLuer継手に挿入して、エポキシ樹脂を用いて適当な位置に固定した。この装置を用いることにより、内側ポリイミドチューブと、ポリイミドチューブ及びメインシャフトにより形成された外側環状空間とに、別々にアクセスが可能である。タイゴンチューブが外側環状空間へのアクセスのみを可能にする一方で、Luer継手は内側ポリイミドチューブへのアクセスのみを可能にした。
【0067】
実施例2:アクセス装置の臨床試験
【0068】
アイバンクからヒトの死体目を入手した。角膜、虹彩、水晶体及び硝子体液を除いた後、網膜組織を大きく損傷することなく、眼球内部から網膜にアクセスした。開いた眼球をリン酸緩衝生理食塩水で満たした。
【0069】
実施例1で説明したアクセス装置を次のようにセットした。装置の側面ポートを真空源に接続して、外側環状部を吸引した。真空源は、300から600mmHgの真空度に調節可能なものであった。アクセスシャフトの遠位端先端部と連通するLuer継手に、長さ6インチの延長チューブを接続した。0.1%のアルシアンブルー(Alcian Blue)色素を入れた注射器を延長チューブに取り付けた。
【0070】
最初の試験では、準備時に下層のRPEから分離させた死体目の網膜の一部に接するように装置の先端部を配置した。外側環状部を真空吸引し、装置を用いて組織をわずかに引っ張ることにより、網膜表面への外側環状部の付着を確認した。網膜表面上で適当な位置に外側環状部を保持した状態で、内側アクセスシャフトを網膜下空間に挿入した。アルシアンブルーを網膜下空間に注入し、網膜組織下で流れる様子を観察した。注入を止めて、真空状態を解除して、装置を目から取り外した。色素が網膜下に存在し、硝子体腔内には存在しないことを目視で確認した。
【0071】
2番目の試験では、下層組織に付着したままの死体目の網膜の一部に対して装置を配置した。外側環状部が網膜表面に接触するまで、装置を下方に押し、外側環状部を真空吸引した。引っ張って組織を持ち上げることにより、装置が網膜に付着していることを確認した。網膜を上方に持ち上げ、網膜の下に作業ポケットを形成した。ポケット内にアルシアンブルー色素を注入して、網膜組織化の空間内で色素が広がる様子を視認した。注入が完了後に、マイクロニードルを真空吸引して、網膜化ポケットから流体/色素を取り除いた。
【0072】
実施例3:アクセス装置の臨床試験
【0073】
実施例1のアクセス装置の試験を行なって、組織を把持するのに適した外側環状部内の真空度を調べた。網膜組織のシミュレーションを行うために、2%のゼラチンから膜を生成した。生成した膜を乾燥後に、室温で10分間37%ホルムアルデヒドの飽和蒸気で架橋させて、網膜組織と大体同じ厚さと適合性を有する膜を完成させた。中央Luer継手を硝子体茎切除術コンソール(Bausch&Lomb社製のMillennium)に接続させた。シアノアクリレート接着剤で中央マイクロニードルを塞ぎ、メインシャフトの遠位端と同一平面になるようにマイクロニードルをトリミングして、装置の準備を行なった。皿に膜を入れ、リン酸緩衝生理食塩水内で、3%のグリセロールを用いて、再水和させた。遠位端先端部を膜に接触させた状態で真空源を50mmHgに設定した。装置を注意深く引き抜いて、遠位端先端部によりどの程度の網膜の操作が可能かを観察し、外側環状部の組織への付着度合いを調べた。真空度を段階的に550mmHgまで増大させて、各段階で同様の観察を行なった。真空レベルをゼロにすると、装置は簡単に組織から外れた。50mmHg未満の真空レベルでは、膜の非常に弱い把持が観察され、50mmHg以上のすべての真空レベルで、付着性及び膜の操作性能の増大傾向が見られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目に用いられる装置であって、
近位端と、遠位端と、前記近位端から前記遠位端まで貫通する第1の管腔と、を有する第1の長尺管状部材と、
近位端と遠位端とを有し、前記第1の長尺管状部材の前記第1の管腔内に配置される第2の長尺管状部材であって、前記第2の長尺管状部材の前記近位端から前記遠位端まで貫通する内側流路を備える第2の長尺管状部材と、
前記第1の長尺管状部材の前記第1の管腔内の環状空間であって、前記第2の長尺管状部材を環状に囲む環状空間と、を備え、
前記第2の長尺管状部材の前記遠位端が、目の組織に貫入可能な大きさと形状に形成された先端部を有し、
前記第1の長尺管状部材の前記遠位端は、開放端部であり、目の組織表面に接するように配置され、前記環状空間内の圧力を下げた状態で前記第1の長尺管状部材の前記遠位端によって前記組織表面を密閉し、これにより、前記第2の長尺管状部材の前記先端部を前記組織表面に貫入可能として、下層組織に損傷を与えることなく前記組織の下にポケットを形成する、装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記先端部は、感覚網膜の組織に貫入可能な大きさと形状に形成されている、装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、
前記第1の長尺管状部材によって十分に前記組織表面を密閉することにより、力学的に前記組織を安定化させて、前記第2の長尺管状部材の前記遠位端先端部の貫入及び前記内側流路への流体の注入を可能にし、下層組織に損傷を与えることなく、前記組織の下にポケットを形成する、装置。
【請求項4】
請求項1に記載の装置であって、
前記第1の長尺管状部材を引き抜くことにより前記組織を他の下層組織から離してポケットを形成可能なように、前記第1の長尺管状部材によって十分に前記組織表面を密閉する、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であって、
前記内側流路が第2の管腔を備える、装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であって、
前記内側流路が多孔質通路を備える、装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置であって、
前記環状空間が、前記第1の長尺管状部材内に、前記内側流路とは別の外側流路を形成する、装置。
【請求項8】
請求項1に記載の装置であって、
前記目の組織に貫入可能な大きさと形状に形成される前記先端部が、とがっている、装置。
【請求項9】
請求項1に記載の装置であって、
前記第1の長尺管状部材の前記環状空間は、前記通路を介して、流体、懸濁液、密封材、接着剤、粘性固体若しくは気体を導入する、又は、流体、懸濁液、粘性固体若しくは気体を吸引するためのデバイスと連通される、装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置であって、
前記第2の長尺管状部材の前記内側流路は、前記通路を介して、流体、懸濁液、粘性固体若しくは気体を導入する、又は、流体、懸濁液、粘性固体若しくは気体を吸引するためのデバイスと連通される、装置。
【請求項11】
請求項1に記載の装置であって、
前記第2の長尺管状部材の前記遠位端が前記第1の長尺管状部材の前記開放遠位端を越えて、所定の距離伸長する、装置。
【請求項12】
請求項1に記載の装置であって、
前記第2の長尺管状部材が、前記第1の長尺管状部材内にスライド可能に配置される、装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置であって、
前記第2の長尺管状部材が、前記第1の長尺管状部材の前記管腔内に格納できる、装置。
【請求項14】
請求項1に記載の装置であって、
さらに、前記装置の前記遠位端における前記環状空間内に配置される遮断部材であって、前記環状空間における流体の流れを妨害することなく、前記開放遠位端を介して前記環状空間に組織が侵入するのを防ぐのに十分な構造を有する遮断部材を備える、装置。
【請求項15】
請求項14に記載の装置であって、
前記遮断部材がコイルを備える、装置。
【請求項16】
請求項14に記載の装置であって、
前記遮断部材がループを備える、装置。
【請求項17】
請求項14に記載の装置であって、
前記遮断部材が有孔シートを備える、装置。
【請求項18】
請求項17に記載の装置であって、
前記シートの孔の平均直径が約0.0001インチ(0.0025mm)から約0.005インチ(0.127mm)の範囲である、装置。
【請求項19】
請求項11に記載の装置であって、
前記第2の長尺管状部材が前記第1の長尺管状部材の前記開放遠位端を越えて、約0.0015インチ(0.038mm)から約0.125インチ(3.175mm)伸長する、装置。
【請求項20】
請求項9に記載の装置であって、
前記第2の長尺管状部材がポリマーを含む、装置。
【請求項21】
請求項20に記載の装置であって、
前記ポリマーがポリイミドを含む、装置。
【請求項22】
請求項1に記載の装置であって、
前記第1の長尺管状部材が金属を含む、装置。
【請求項23】
請求項22に記載の装置であって、
前記金属がステンレス鋼を含む、装置。
【請求項24】
請求項22に記載の装置であって、
前記金属がニッケル−チタン合金を含む、装置。
【請求項25】
請求項9に記載の装置であって、
前記通路に連通する前記デバイスは、自家血液の形態の密封材を供給できる、装置。
【請求項26】
請求項9に記載の装置であって、
前記通路に連通する前記デバイスは、フィブリン接着剤の形態の密封材を供給できる、装置。
【請求項27】
請求項9に記載の装置であって、
前記通路に連通する前記デバイスは、生体適合性合成接着剤を供給できる、装置。
【請求項28】
請求項10に記載の装置であって、
前記通路に連通する前記デバイスは、前記通路を通して液体を供給できる、装置。
【請求項29】
請求項10に記載の装置であって、
前記通路に連通する前記デバイスは、前記通路を通して組織を供給できる、装置。
【請求項30】
請求項29に記載の装置であって、
前記組織は細胞移植片を含む、装置。
【請求項31】
請求項29に記載の装置であって、
前記組織は網膜色素上皮組織を含む、装置。
【請求項32】
請求項29に記載の装置であって、
前記組織は感覚網膜組織を含む、装置。
【請求項33】
請求項29に記載の装置であって、
前記組織は幹細胞を含む、装置。
【請求項34】
請求項10に記載の装置であって、
前記通路に連通する前記デバイスは、前記通路を通して医薬品を供給できる、装置。
【請求項35】
請求項10に記載の装置であって、
前記通路に連通する前記デバイスは、前記通路を通して生物学的作用物質を供給できる、装置。
【請求項36】
請求項35に記載の装置であって、
前記生物学的作用物質が放射性核種を含む、装置。
【請求項37】
請求項35に記載の装置であって、
前記生物学的作用物質が遺伝子治療薬を含む、装置。
【請求項38】
請求項10に記載の装置であって、
前記通路に連通する前記デバイスは、前記通路を通して気体を供給できる、装置。
【請求項39】
請求項10に記載の装置であって、
前記通路に連通する前記デバイスは、前記通路を通して液体を吸引できる、装置。
【請求項40】
請求項10に記載の装置であって、
前記通路に連通する前記デバイスは、前記通路を通して気体を吸引できる、装置。
【請求項41】
請求項1に記載の装置であって、
前記通路は手術器具又は手術用具を収容する、装置。
【請求項42】
請求項41に記載の装置であって、
前記手術用具が撮像機器を備える、装置。
【請求項43】
請求項42に記載の装置であって、
前記撮像機器が内視鏡を備える、装置。
【請求項44】
請求項41に記載の装置であって、
前記手術器具が顕微鏡下手術用具を備える、装置。
【請求項45】
請求項41に記載の装置であって、
前記手術器具又は手術用具は、組織又は血管から血栓を取り除くために用いられる、装置。
【請求項46】
請求項41に記載の装置であって、
前記手術器具が光ファイバー機器を備える、装置。
【請求項47】
請求項46に記載の装置であって、
前記光ファイバー機器が撮像機器である、装置。
【請求項48】
請求項46に記載の装置であって、
前記光ファイバー機器が、標的部位にエネルギーを供給するように構成される、装置。
【請求項49】
請求項48に記載の装置であって、
前記光ファイバー機器が、組織又は血管の切除を行なうためにレーザーエネルギーを供給するように構成される、装置。
【請求項50】
請求項48に記載の装置であって、
前記光ファイバー機器が、組織又は血管の切除を行なうために高周波エネルギーを供給するように構成される、装置。
【請求項51】
請求項1に記載の装置であって、
前記第1の長尺管状部材が、強膜切開ポートを通るのに適した大きさに形成される、装置。
【請求項52】
請求項1に記載の装置であって、
前記先端部が、網膜色素上皮に貫入してアクセス可能な形状及び寸法に形成される、装置。
【請求項53】
請求項1に記載の装置であって、
前記先端部が、網膜下空間の組織に貫入してアクセス可能な形状及び寸法に形成される、装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2012−515627(P2012−515627A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−548153(P2011−548153)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/021865
【国際公開番号】WO2010/085693
【国際公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(505097125)アイサイエンス・インターベンショナル・コーポレーション (13)
【氏名又は名称原語表記】ISCIENCE INTERVENTIONAL CORPORATION
【Fターム(参考)】