説明

綴じ装置の綴じ機構

【課題】容易迅速に綴じ処理を行える綴じ装置の綴じ機構を提供する。
【解決手段】櫛歯形ダイ11と櫛歯形パンチ41を上下に対向させて配置し、櫛歯形ダイの下面側の左右にローラ31,32を配置するとともに上方にカッター部21を配置する。門形のカッター部は左右にカッター刃23を備え、カッター刃の内側面に紙製ステープル101が装填される。カッター部を下降させると、カッター刃とともに紙製ステープルの脚部103,104が用紙を貫通し、その後にローラ31,32を接近方向へ移動させて紙製ステープルの脚部を折畳む。続いて、櫛歯形パンチ41が上昇して、重なった脚部の一部を凸状に剪断して結合する。カッター部及びパンチ機構の相対的な昇降動作により綴じ処理が行われ、1操作で綴じ処理を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、書類などの紙束を紙製綴じ具で綴じる綴じ装置の綴じ機構に関するものであり、特に、操作性を改良した綴じ装置の綴じ機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、紙束を簡易に綴じる手段として金属製のステープラが使用されている。しかしながら、金属線であるステープルで綴じられた紙は、紙資源を再利用する場合に、混入したステープルを除去しなければならない。また、廃棄する場合も環境保護の点から紙とステープルを分別することが望ましく、シュレッダーにより細断する場合は、シュレッダーの刃を傷めないようにステープルを取外さなければならず、この除去処理に余分な手間がかかる。
【0003】
このような手間を不要とする提案としては、金属ステープルに代えて紙製粘着テープで紙束を綴じる綴じ装置が知られている(特許文献1,2)。この綴じ装置は、剥離紙付の紙製粘着テープロールを用いるもので、一般の卓上用ステープラと同様な用紙テーブル上に、用紙を挟むためのクランププレートを備えたスライダと、昇降式カッター部とを備えている。
【0004】
紙製粘着テープロールは、所定長(一回の綴じ動作で使用される長さ)の紙製粘着テープを剥離紙に連続的に貼着したもので、その先端が用紙テーブルの下から上方へ起立し、用紙テーブル上の用紙の端面に粘着面が対向する状態にセットされる。
【0005】
スライダのクランププレートで紙束の縁部を挟み、スライダ及び紙束を前方へスライドさせると、紙束の端面が粘着テープの粘着面に当接する。
【0006】
次に、カッター部を下降させると、カッター部と一体の押さえ部材が粘着テープの先端部を紙束の縁部上面へ圧着し、カッター部の刃は紙束の縁部近傍を上から下へ貫通する。
【0007】
そして、刃の先端が粘着テープを押すことにより、先頭の一回分の粘着テープの後部が剥離紙から剥離される。刃の先端近傍には角穴が設けられていて、剥離された粘着テープの後部は弾性復元力によって角穴内へ入り、刃を前後へ貫通した状態となる。
【0008】
続いて、カッター部の手動押圧を解除すると、バネによりカッター部が上昇し、刃に引っ掛かっている粘着テープの後部が刃とともに紙の切込み穴を通じて紙束の上面側へ引上げられ、刃はさらに上昇して粘着テープの後部が刃の角穴から抜け、粘着テープの後部は起立する。
【0009】
そして、スライダ及び紙束を後退させると、用紙テーブル上に配置されているローラによって粘着テープの後部がしごかれ、既に紙束へ圧着されている粘着テープの前部へ粘着テープの後部が重ねて接着され、綴じ処理が完了する。
【特許文献1】特開平8-39959号公報
【特許文献2】特開平10-871号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の紙製粘着テープを用いる綴じ装置は、スライダのクランププレートで紙を挟んで前方へスライドさせ、カッター部を下降させた後に、スライダ及び紙を後方へスライドさせることにより一行程の綴じ処理が行われるものであって、操作工程数が多く、操作性や迅速性に改良すべき点がある。
【0011】
そこで、綴じ機構の作動行程を単純化して綴じ処理の迅速性及び綴じ状態の見栄えを改善するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明は上記課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明は、上記目的を達成するために提案するものであり、紙片を門形に折曲げ成形した紙製ステープルによって紙束を綴じる綴じ装置の綴じ機構であって、一対の下向きカッター刃を略平行に配置し、カッター刃間に前記紙製ステープルを装填できる門形のカッター部と、前記カッター部の下に配置されたダイ部材と、前記ダイ部材の下に配置され、紙製ステープルの脚部を内側へ折曲げる左右一対の押圧部材と、前記ダイ部材の下に配置されたパンチ部材とを備え、前記ダイ部材上に綴じるべき用紙を載せて、前記紙製ステープルを保持したカッター部を下降させることにより、前記カッター部の前記カッター刃並びに前記紙製ステープルの脚部を前記ダイ部材の上の用紙に貫通させたのち、前記左右一対の押圧部材により紙製ステープルの両脚部を内側へ折畳んで重合させ、その後、前記パンチ部材を上昇させて該パンチ部材と前記パンチ部材との協働で前記紙製ステープルの両脚部の重合部を部分的に剪断し、一方の脚部の剪断部を他方の脚部の剪断部へ係合するように構成されていることを特徴とする綴じ装置の綴じ機構を提供するものである。
【0013】
また、紙片を門形に折曲げ成形した紙製ステープルによって紙束を綴じる綴じ装置の綴じ機構であって、一対の下向きカッター刃を平行に配置し、カッター刃間に前記紙製ステープルを装填できる門形のカッター部と、前記カッター部の下に配置された櫛歯形ダイと、前記櫛歯形ダイの下に配置され、紙製ステープルの脚部を内側へ折曲げる左右一対の押圧部材と、前記櫛歯形ダイの下に配置されて前記櫛歯形ダイと噛合する凸状曲面の櫛歯形パンチとを備え、前記櫛歯形ダイ上に綴じるべき用紙を載せて、紙製ステープルを保持したカッター部を下降させることにより、カッター部のカッター刃並びに紙製ステープルの脚部が櫛歯形ダイ上の用紙を貫通し、前記左右一対の押圧部材により紙製ステープルの両脚部を内側へ折畳み、前記櫛歯形パンチを上昇させて前記櫛歯形ダイと噛合させ、紙製ステープルの折重なった両脚部を部分的に剪断して結合するように構成した綴じ装置の綴じ機構を提供するものである。
【0014】
また、紙片を門形に折曲げ成形した紙製ステープルによって紙束を綴じる綴じ装置の綴じ機構であって、一対の下向きカッター刃を平行に配置し、カッター刃間に前記紙製ステープルを装填できる門形のカッター部と、前記カッター部の下に配置され、水平にスライド移動するダイと、前記ダイの下に配置され、紙製ステープルの脚部を内側へ折曲げる左右一対の押圧部材と、前記ダイの下に配置された半円打抜き型のパンチとを備え、前記ダイ上に綴じるべき用紙を載せて、紙製ステープルを保持したカッター部を下降させることにより、カッター部のカッター刃並びに紙製ステープルの脚部がダイ上の用紙を貫通し、前記左右一対の押圧部材により紙製ステープルの両脚部を内側へ折畳み、前記パンチを上昇させて、前記ダイとの協働で紙製ステープルの折重なった両脚部を部分的に打ち抜き、前記パンチを下降後に前記ダイをスライド移動し、前記パンチによって半円形に打抜かれたタブ部を180度折曲げて、紙製ステープルの両脚部を結合するように構成した綴じ装置の綴じ機構を提供するものである。
【0015】
また、上記カッター部のカッター刃は、側面に上記押圧部材が通過できる穴を備え、上記押圧部材が前記穴を通じて紙製ステープルの両脚部を折曲げるように構成した綴じ装置の綴じ機構を提供するものである。
【0016】
また、上記カッター部の一対のカッター刃は、内側面の上部を下部に対して薄肉化し、この薄肉部間に紙製ステープルを装填して保持するように形成した綴じ装置の綴じ機構を提供するものである。
【0017】
また、上記ダイと半円打抜き型のパンチを二組並べて配置し、前記一対のパンチの軸心回りの角度を相互に180度相違させて配置するとともに、一対のダイを相互に反対方向へスライドさせる駆動機構を備え、一対の半円形且つ異なる向きに打抜かれたタブ部をそれぞれ180度折曲げて、紙製ステープルの両脚部を結合するように構成した綴じ装置の綴じ機構を提供するものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の綴じ装置の綴じ機構は、一対のカッター刃を備えたカッター部に門形の紙製ステープルを装填し、カッター部を用紙に向けて下降させることにより、カッター刃とともに紙製ステープルの脚部が用紙を貫通し、その後に押圧部材が脚部を折畳み、折畳んで重合させた両脚部をダイ部材とパンチ部材にて挟圧して結合するので、一般的なステープラと同様に機構部の昇降動作によって1サイクルの綴じ動作を行うことができ、綴じ処理の容易性と迅速性が向上する。
【0019】
また、紙製ステープルの折畳んだ脚部をダイ部材とパンチ部材にて部分的に剪断して結合するので、紙製ステープルに粘着剤を用いる必要がなく、粘着剤付の紙製ステープルを用いるものとは異なり、粘着剤が紙のリサイクルを困難にしたり、環境衛生に悪影響を及ぼしたりする虞もない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
この発明は、紙片を門形に折曲げ成形した紙製ステープルによって紙束を綴じる綴じ装置の綴じ機構を構成するにあたって、一対の下向きカッター刃を略平行に配置し、カッター刃間に前記紙製ステープルを装填できる門形のカッター部と、前記カッター部の下に配置されたダイ部材と、前記ダイ部材の下に配置され、紙製ステープルの脚部を内側へ折曲げる左右一対の押圧部材と、前記ダイ部材の下に配置されたパンチ部材とを備え、前記ダイ部材上に綴じるべき用紙を載せて、前記紙製ステープルを保持したカッター部を下降させることにより、前記カッター部の前記カッター刃並びに前記紙製ステープルの脚部を前記ダイ部材の上の用紙に貫通させたのち、前記左右一対の押圧部材により紙製ステープルの両脚部を内側へ折畳んで重合させ、その後、前記パンチ部材を上昇させて該パンチ部材と前記パンチ部材との協働で前記紙製ステープルの両脚部の重合部を部分的に剪断し、一方の脚部の剪断部を他方の脚部の剪断部へ係合するように構成することにより、綴じ機構の作動行程を単純化して綴じ処理の容易性と迅速性を改善するという目的を達成した。
【実施例1】
【0021】
図1に綴じ装置の綴じ機構の構成を示す。101は予め門形に折曲げられた紙製綴じ部材であり、以下この紙製綴じ部材を紙製ステープルという。紙製ステープル101は、水平なクラウン部102の左右両端から下方へ延びる一対の脚部103,104を備えており、綴じ機構により右脚部104を内側へ折畳んだ後に左脚部103を内側へ折畳んで、左右の脚部103,104を圧着結合する構成となっている。
【0022】
11は用紙を受ける櫛歯形ダイであり、上下に貫通する溝(図1においては三つ)が一定間隔で櫛歯形に配列されている。尚、溝は不等間隔で配列してもよい。櫛歯形ダイ11の上方に配置されたカッター部21は、横長のバー22の両端にカッター刃23を取付けた門形の部材で、カッター刃23の下端切っ先はV型に形成されていて、カッター刃23の前後幅は紙製ステープル101の前後幅と略同一に形成されている。
【0023】
左右のカッター刃23の相互に対向する面は、上下中間よりもやや下方を境にして上部は下部よりも肉薄に形成されており、左右のカッター刃23の対向する薄肉部23aの間隔は、紙製ステープル101の横幅とほぼ等しく、カッター部21の内側へ紙製ステープル101を挿入すると、紙製ステープル101は左右のカッター刃23の間に保持される。
【0024】
カッター刃23の内側面に段差を設けたことにより、カッター刃23の下降動作時に紙製ステープル101の脚部103は座屈することなく、カッター刃23とともに円滑に紙を貫通する。また、カッター刃23の薄肉部23aには角穴24が形成されていて、カッター部21の下降時には櫛歯形ダイ11の下に配置した押圧部材である一対のローラ31,32が角穴24から内側へ進入する。尚、押圧部材はローラに限定されず、カム等を用いてもよい。
【0025】
櫛歯形ダイ11の直下には、櫛歯形ダイ11と協働して紙製ステープル101の脚部103,104を結合するための櫛歯形パンチ41が配置されている。櫛歯形パンチ41は櫛歯形ダイ11の溝の数に対応する複数のパンチ部41aを備えており、パンチ部41aは前後中間部が盛り上がった凸状曲面となっていて、このパンチ部41aの形状と櫛歯形ダイ11の溝との協働により、紙に一本のパンチ部41aあたり二本の平行な切込みが形成される。
【0026】
櫛歯形ダイ11の下に配置された一対のローラ31,32は、櫛歯形ダイ11の左右両側に位置しており、一対のローラ31,32は対称的に接近及び離反する一対の軸(図示せず)へ遊転自在に取付けられていて、カッター部21の下降動作と連動して相互に接近する。
【0027】
次に、綴じ機構の動作を説明する。図2-1は綴じ処理の初期段階を示し、カッター部21の内側に紙製ステープル101をセットした状態であり、紙製ステープル101は左右のカッター刃23に保持されていて、綴じるべき用紙Pが用紙テーブル11上にセットされている。
【0028】
図2-2は、カッター部21が下降してカッター刃23が用紙Pを貫通し、紙製ステープル101のクラウン部がカッター部21に押されて用紙Pの表面及び櫛歯形ダイ11へ圧接した状態を示している。
【0029】
そして、図2-3に示すように、左右のローラ31,32がカッター刃23の角穴24を通じてカッター刃23の内側へ入り込み、紙製ステープル101の脚部103,104を内側へ折曲げる。左右のローラ31,32の移動タイミング或いは待機位置をずらして、一方のローラ(図の例では右ローラ32)の移動を遅延させることにより、左右の脚部103,104の先端が衝突することなく、左脚部103、右脚部104の順に曲げられて、左脚部103の表面へ右脚部104が重なるように折畳まれる。
【0030】
次に、図2-4に示すように櫛歯形パンチ41が上昇し、重なった脚部103,104を櫛歯形パンチ41と櫛歯形ダイ11とで圧迫して脚部103,104を部分的に剪断し、一方の脚部である脚部104を他方の脚部である脚部103の剪断部へ係合させて脚部103,104を結合させる。その後に図2-5に示すように櫛歯形パンチ41が下降し、左右のローラ31,32が初期位置へ戻るとともに、櫛歯形ダイ11が図において紙面の奥方向へ退避し、カッター部21が上昇して紙製ステープル101と用紙Pを解放する。
【0031】
図3は、用紙Pを紙製ステープル101で綴じた部分を裏面から見た図であり、脚部103,104が重なった箇所に、三列のブリッジ状切込みCが剪断成形されており、この切込みCは凹形にプレスされて、紙の繊維の剪断面の摩擦抵抗により凹形状を維持している。したがって、重なった脚部103,104を指などで引き剥がさない限り、容易には平坦形状に戻ることがなく、簡易綴じとしては十分な保持力を有している。
【0032】
紙製ステープル101は、両脚部103,104の先端を重ね合わせて部分剪断により結合され、用紙Pには貼付いていないので、一旦綴じた用紙Pを解く必要が生じた場合は、紙製ステープル101を破けば用紙Pを簡単に解くことができ、粘着テープを用紙に貼り付ける従来構成とは異なり、用紙Pが破けたりちぎれたりする虞は無い。また、用紙Pを廃棄する場合やシュレッダー装置にかける場合に、特に紙製ステープル101を除去する必要はない。また、紙製ステープル101は粘着剤を塗布したものも使用できることは当然であるが、図の例のように粘着剤を用いないものでも、必要十分な綴じ性能を有しており、粘着剤不使用の紙製ステープルを使用することにより、廃棄処理時における環境負荷をさらに低減することができる。
【0033】
尚、上記実施形態では、櫛歯形ダイ11が固定されていて櫛歯形パンチ41が上昇する説明をしたが、櫛歯形パンチ41が固定されていて櫛歯形ダイ11が或る一定の範囲を昇降できる構成としてもよい。即ち、図2-2のカッター刃23が用紙を貫通して下降を停止した位置で、櫛歯形ダイ11のロックが解除され、図2-2の状態から更にカッター刃23を押し下げると、櫛歯形ダイ11がカッター刃23に押されて櫛歯形パンチに向かって下降するように構成することにより、前述した説明と同様に綴じ動作が行われ、一般的なステープラと同様に、カッター部21の下降操作で一回の綴じ処理が完了する構成を実現でき、操作性の良い綴じ装置を提供できる。
【実施例2】
【0034】
図4は綴じ機構の他の実施形態を示し、カッター部21と一対のローラ31,32、紙製ステープル101は図1の実施形態のものと同一である。カッター部21の直下には左右一対のダイ51が配置され、ダイ51の下に左右一対のパンチ61が配置されている。一対のパンチ61は、丸棒の上端を斜めに切り欠いた形状で、全円ではなく半円を打ち抜くように形成されており、右と左のパンチ61は相互に180度反対向きに配置されている。左右一対のダイ51は、パンチ61に対応する円形抜き穴51aが形成されていて、図示しないスライド機構により初期位置から、矢印で示すように夫々前と後へ反対に水平移動される。
【0035】
次に、綴じ機構の動作を説明する。図5-1は綴じ処理の初期段階を示し、カッター部21の内側に紙製ステープル101をセットした状態であり、紙製ステープル101は左右のカッター刃23に保持されていて、綴じるべき用紙Pが一対のダイ上にセットされている。
【0036】
図5-2は、カッター部21が下降してカッター刃23が用紙Pを貫通し、紙製ステープル101のクラウン部が用紙Pの表面及びダイ51へ圧接した状態を示している。そして、図5-3に示すように、左右のローラ31,32がカッター刃23の角穴24を通じてカッター刃23の内側へ入り込み、紙製ステープル101の脚部103,104を内側へ折曲げる。左右のローラ31,32の移動タイミング或いは待機位置をずらして、左脚部103、右脚部104の順に曲げられて、左脚部103の表面へ右脚部104が重なるように折畳まれることは、実施例1と同様である。
【0037】
次に、図5-4に示すように左右一対のパンチ61が上昇し、重なった脚部103,104をパンチ61とダイ51とで圧迫し、脚部103,104の重なり箇所を剪断して半円形のパンチ穴を打ち抜き、その後に図5-5に示すようにパンチ61が下降し、ローラ31,32は初期位置へ戻る。図6-1は、図5-4の打ち抜き状態の側面断面を示し、図6-2は図5-5のパンチ下降状態の側面断面を示している。
【0038】
続いて、左右一対のダイ51は夫々前と後へ反対に水平移動され、図6-3に示すように、ダイ51の円形抜き穴51aの縁部が脚部103,104に打ち抜き形成された半円形タブ部Tを押して、上方へ反転させて折曲げ、図6-4に示すように、ダイ51は紙製ステープル101のループ間から完全に抜ける位置まで移動して、綴じられた用紙Pが解放される。
【0039】
図7は、用紙Pを紙製ステープル101で綴じた部分を裏面から見た図であり、脚部103,104が重なった箇所に二つの半円形のパンチ穴が相互に180度反対向きに打ち抜かれ、打ち抜かれた部分(半円形タブ部T)は脚部103,104と用紙Pとの間へ折り込まれていて、通常のページ開閉操作などによって加わる外力によっては脚部103,104の結合が外れることはなく、綴じ手段として十分な保持力を有している。また、一旦綴じた用紙Pを解く必要が生じた場合は、紙製ステープル101を破けば用紙Pを簡単に解くことができることは実施例1と同様である。
【0040】
尚、この発明は上記の実施形態に限定するものではなく、この発明の技術的範囲内において種々の改変が可能であり、この発明がそれらの改変されたものに及ぶことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】実施例1の綴じ機構の構成解説図。
【図2−1】実施例1の綴じ機構の工程解説図。
【図2−2】実施例1の綴じ機構の工程解説図。
【図2−3】実施例1の綴じ機構の工程解説図。
【図2−4】実施例1の綴じ機構の工程解説図。
【図2−5】実施例1の綴じ機構の工程解説図。
【図3】実施例1の綴じ部分の裏面斜視図。
【図4】実施例2の綴じ機構の構成解説図。
【図5−1】実施例2の綴じ機構の工程解説図。
【図5−2】実施例2の綴じ機構の工程解説図。
【図5−3】実施例2の綴じ機構の工程解説図。
【図5−4】実施例2の綴じ機構の工程解説図。
【図5−5】実施例2の綴じ機構の工程解説図。
【図6−1】実施例2の綴じ機構の工程解説図。
【図6−2】実施例2の綴じ機構の工程解説図。
【図6−3】実施例2の綴じ機構の工程解説図。
【図6−4】実施例2の綴じ機構の工程解説図。
【図7】実施例2の綴じ部分の裏面斜視図。
【符号の説明】
【0042】
11 櫛歯形ダイ
21 カッター部
22 バー
23 カッター刃
24 角穴
31.32 ローラ
41 櫛歯形パンチ
41a パンチ部
51 ダイ
51a 円形抜き穴
61 パンチ
101 紙製ステープル
102 クラウン部
103 左脚部
104 右脚部
P 用紙
C 切込み
T 半円形タブ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙片を門形に折曲げ成形した紙製ステープルによって紙束を綴じる綴じ装置の綴じ機構であって、一対の下向きカッター刃を略平行に配置し、カッター刃間に前記紙製ステープルを装填できる門形のカッター部と、前記カッター部の下に配置されたダイ部材と、前記ダイ部材の下に配置され、紙製ステープルの脚部を内側へ折曲げる左右一対の押圧部材と、前記ダイ部材の下に配置されたパンチ部材とを備え、
前記ダイ部材上に綴じるべき用紙を載せて、前記紙製ステープルを保持したカッター部を下降させることにより、前記カッター部の前記カッター刃並びに前記紙製ステープルの脚部を前記ダイ部材の上の用紙に貫通させたのち、前記左右一対の押圧部材により紙製ステープルの両脚部を内側へ折畳んで重合させ、その後、前記パンチ部材を上昇させて該パンチ部材と前記パンチ部材との協働で前記紙製ステープルの両脚部の重合部を部分的に剪断し、一方の脚部の剪断部を他方の脚部の剪断部へ係合するように構成されていることを特徴とする綴じ装置の綴じ機構。
【請求項2】
紙片を門形に折曲げ成形した紙製ステープルによって紙束を綴じる綴じ装置の綴じ機構であって、一対の下向きカッター刃を平行に配置し、カッター刃間に前記紙製ステープルを装填できる門形のカッター部と、前記カッター部の下に配置された櫛歯形ダイと、前記櫛歯形ダイの下に配置され、紙製ステープルの脚部を内側へ折曲げる左右一対の押圧部材と、前記櫛歯形ダイの下に配置されて前記櫛歯形ダイと噛合する凸状曲面の櫛歯形パンチとを備え、
前記櫛歯形ダイ上に綴じるべき用紙を載せて、紙製ステープルを保持したカッター部を下降させることにより、カッター部のカッター刃並びに紙製ステープルの脚部が櫛歯形ダイ上の用紙を貫通し、前記左右一対の押圧部材により紙製ステープルの両脚部を内側へ折畳み、前記櫛歯形パンチを上昇させて前記櫛歯形ダイと噛合させ、紙製ステープルの折重なった両脚部を部分的に剪断して結合するように構成した綴じ装置の綴じ機構。
【請求項3】
紙片を門形に折曲げ成形した紙製ステープルによって紙束を綴じる綴じ装置の綴じ機構であって、一対の下向きカッター刃を平行に配置し、カッター刃間に前記紙製ステープルを装填できる門形のカッター部と、前記カッター部の下に配置され、水平にスライド移動するダイと、前記ダイの下に配置され、紙製ステープルの脚部を内側へ折曲げる左右一対の押圧部材と、前記ダイの下に配置された半円打抜き型のパンチとを備え、
前記ダイ上に綴じるべき用紙を載せて、紙製ステープルを保持したカッター部を下降させることにより、カッター部のカッター刃並びに紙製ステープルの脚部がダイ上の用紙を貫通し、前記左右一対の押圧部材により紙製ステープルの両脚部を内側へ折畳み、前記パンチを上昇させて、前記ダイとの協働で紙製ステープルの折重なった両脚部を部分的に打ち抜き、前記パンチを下降後に前記ダイをスライド移動し、前記パンチによって半円形に打抜かれたタブ部を180度折曲げて、紙製ステープルの両脚部を結合するように構成した綴じ装置の綴じ機構。
【請求項4】
上記カッター部のカッター刃は、側面に上記押圧部材が通過できる穴を備え、上記押圧部材が前記穴を通じて紙製ステープルの両脚部を折曲げるように構成した請求項1、2または3記載の綴じ装置の綴じ機構。
【請求項5】
上記カッター部の一対のカッター刃は、内側面の上部を下部に対して薄肉化し、この薄肉部間に紙製ステープルを装填して保持するように形成した請求項1、2または3記載の綴じ装置の綴じ機構。
【請求項6】
上記ダイと半円打抜き型のパンチを二組並べて配置し、前記一対のパンチの軸心回りの角度を相互に180度相違させて配置するとともに、一対のダイを相互に反対方向へスライドさせる駆動機構を備え、一対の半円形且つ異なる向きに打抜かれたタブ部をそれぞれ180度折曲げて、紙製ステープルの両脚部を結合するように構成した請求項3記載の綴じ装置の綴じ機構。


【図1】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図2−4】
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【図2−5】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図5−4】
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【図5−5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図6−3】
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【図6−4】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−185727(P2007−185727A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−4240(P2006−4240)
【出願日】平成18年1月11日(2006.1.11)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】