説明

綾巻きパッケージ交換装置用の空管グリッパ

【課題】付加的な組換え作業なしに確実に、種々異なった巻管型式の空管を、綾巻きパッケージを製造する繊維機械の作業箇所のパッケージフレームに導入可能で、かつ安価に製造可能で困難な環境条件に対しても耐性がある空管グリッパを提供する。
【解決手段】空管グリッパ31は2つの3点緊締装置38A;38Bを、空管14の固定及び方向付けのために有し、両3点緊締装置はそれぞれ、空管ホルダ27と接触検知レバー39A;39Bと対応緊締レバー40A;40Bとによって形成され、各接触検知レバーは所属の対応緊締レバーと形状結合式に連結され、空管貯え部13からの空管を固定するための3点緊締装置の閉鎖時に、受容された空管の回転軸線62が所定の巻管型式に相応して適正に方向付けられ、空管の回転軸線が空管引渡し箇所において、所属の作業箇所2のパッケージフレーム20の空管受容皿の回転軸線と合致する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念部記載の形式の空管グリッパ、すなわち綾巻きパッケージ交換装置用の空管グリッパであって、空管グリッパの基本構造部に定置に固定された、空管を受容及び位置決めするための空管ホルダが設けられており、該空管ホルダに対して可動に支承されていて対応緊締レバーとして形成されたグリッパフィンガが設けられていて、該グリッパフィンガは、作業箇所固有の空管貯え部から、綾巻きパッケージを製造する繊維機械の作業箇所の旋回可能に支承されたパッケージフレームに空管を引き渡す間に、該空管を固定するために働く形式のものに関する。
【背景技術】
【0002】
綾巻きパッケージを製造する繊維機械、例えば自動綾巻きワインダと一緒に、以前から、綾巻きパッケージ交換装置が公知である。
【0003】
このような綾巻きパッケージ交換装置は、繊維機械の作業箇所に沿って走行可能な作業装置であって、必要な場合に、作業箇所において自動的に補助作業を実施するものである。必要な場合というのは、例えば、作業箇所において綾巻きパッケージが所定のサイズに達した場合である。このような場合には、綾巻きパッケージ交換装置は、当該作業箇所に移動し、そこで位置決めされて、完成した綾巻きパッケージを新たな空管と交換する。
【0004】
このような綾巻きパッケージ交換装置は、例えばDE19524946B4及びDE102007036696A1に記載されており、それぞれ多数の取扱い装置を有していて、これらの取扱い装置は、交換過程中に所定されたプログラムに応じて使用される。
【0005】
このような綾巻きパッケージ交換装置は例えばフレームオープナ、フレームリフタ、パッケージ案内装置及び空管グリッパを有している。
【0006】
空管グリッパを用いて綾巻きパッケージ交換装置は、交換過程中に、作業箇所固有の空管貯え部から空管を取り出し、この空管を、完成した綾巻きパッケージの排出後に、当該作業箇所のパッケージフレームに供給もしくは導入する。
【0007】
例えばDE19524946B4に開示された綾巻きパッケージ交換装置は、空管グリッパを有していて、この空管グリッパは、空管を位置決めするための、プリズム形状に形成されていて調節機構を用いて機械式に調整可能な空管ホルダと、この空管ホルダに空管を固定するための、空気力式シリンダを用いて旋回可能なグリッパフィンガとを有している。
【0008】
このように形成された空管グリッパでは、空管の後の空管引渡し箇所は常に、プリズム形状に形成された空管ホルダの位置によって所定されている。
【0009】
つまりこのように形成された空管グリッパを備えた綾巻きパッケージ交換装置では、次のような場合、すなわち所属の繊維機械においてロット交換が必要となり、このロット交換過程中に例えば円筒形の空管を備えた綾巻きパッケージから、円錐形の空管を備えた綾巻きパッケージへの切換えがなされる場合に、新たな巻管型式への適合のために、空管ホルダの位置をも手動で新たに調節することが必要である。
【0010】
比較可能な空管グリッパを備えた綾巻きパッケージ交換装置は、DE102007036696A1にも開示されている。この公知の綾巻きパッケージ交換装置においても空管グリッパは、空管グリッパのベース体に配置されたプリズム形状に形成された空管ホルダと、空気力式シリンダを用いて可動のグリッパフィンガとから成っていて、このグリッパフィンガは、空管ホルダに位置決めされた空管に向かって下降可能である。
【0011】
しかしながらこの特許文献には、この公知の空管グリッパが種々様々な巻管型式に調節可能であるのか否か、又はどのように調節可能であるのかについては、まったく開示されていない。
【0012】
公知の綾巻きパッケージ交換装置は確かに実地において、ある程度有効であることが証明されているが、しかしながらこの公知の綾巻きパッケージ交換装置には、空管グリッパが巻管型式の交換時に常に手動で新たに調節されねばならないという欠点がある。さらに、このような綾巻きパッケージ交換装置はつねにただ1つの空管種類しか取り扱うことができず、従ってこのような綾巻きパッケージ交換装置は、繊維機械の1ロット運転(Einpartienbetrieb)においてしか使用できない。
【0013】
すなわち、綾巻きパッケージを製造する繊維機械を多数ロット運転(Mehrpartienbetrieb)で作業させたい場合には、このような繊維機械の作業箇所への空管供給のために、上記のように形成された綾巻きパッケージ交換装置が常に少なくとも2つ必要である。
【0014】
過去において既に提案されている別の綾巻きパッケージ交換装置は、面倒な組換えもしくは交換作業なしに、異なった巻管型式を取り扱うことが可能である。さらに、自動綾巻きワインダとの関連において既に開発されている空管供給装置は、空管の把持時に自動的にその都度の巻管型式に合わせられるようになっている。
【0015】
EP0126352B1に開示された綾巻きパッケージ交換装置では、空管グリッパは、綾巻きパッケージ交換装置の、旋回可能に支承された特殊な中間フレームに配置されている。綾巻きパッケージ交換装置のこの中間フレームは、円筒形の空管を取り扱わねばならないか又は円錐形の空管を取り扱わねばならないかに応じて、第1の作業箇所か又は第2の作業箇所に旋回させられる。
【0016】
このような綾巻きパッケージ交換装置はしかしながらその構造が極めて複雑であり、その結果このような綾巻きパッケージ交換装置の製造は極めて高コストである。
【0017】
旋回可能に支承された中間フレームに配置されている空管グリッパを備えた綾巻きパッケージ交換装置は、従って実地においては使用され得なかった。
【0018】
EP1197463B1に基づいて公知の空管供給装置は、特殊な空管グリッパを備えて構成されている。綾巻きパッケージ交換装置においても使用可能なこの公知の空管グリッパは、該空管グリッパが、受容された空管の直径及び形状に自動的に適合するように形成されており、この場合さらに、受容された空管の長手方向中心軸線が、該空管の形状又は直径とは無関係に、空管引渡し中に移動させられて、前記空管の長手方向中心軸線が空管引渡しポジションにおいて、作業箇所のパッケージフレームに配置された空管受容皿の回転軸線と合致するようになっている。
【0019】
しかしながらこの公知の空管供給装置はその機械式の構造が極めて複雑であり、特に、巻返し作業場に存在する環境条件、例えば浮遊する繊維屑に対して、極めて敏感である。
【0020】
従って、EP1197463B1に開示された空管供給装置もまた実地においては使用され得なかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【特許文献1】DE19524946B4
【特許文献2】DE102007036696A1
【特許文献3】DE19524946B4
【特許文献4】DE102007036696A1
【特許文献5】EP0126352B1
【特許文献6】EP1197463B1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
上に述べた先行技術を出発点とした本発明の課題は、冒頭に述べた形式の綾巻きパッケージ交換装置用の空管グリッパを改良して、一方では、付加的な組換え作業なしにかつ確実に、種々異なった巻管型式の空管を、綾巻きパッケージを製造する繊維機械の作業箇所のパッケージフレームに供給もしくは導入することができ、かつ他方では、安価に製造可能でかつ、困難な環境条件に対しても耐性がある空管グリッパを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
この課題を解決するために本発明による空管グリッパは、請求項1記載のように構成されており、すなわち本発明の構成では、冒頭に述べた形式の綾巻きパッケージ交換装置用の空管グリッパにおいて、空管グリッパは、互いに間隔をおいて配置された2つの3点緊締装置を、空管を固定するため及び適正に方向付けるために有しており、両3点緊締装置はそれぞれ、空管ホルダと、可動に支承された接触検知レバーと、可動に支承された対応緊締レバーとによって形成され、各接触検知レバーはそれぞれ所属の対応緊締レバーと形状結合式に連結されていて、空管貯え部から受容された空管を固定するための3点緊締装置の閉鎖時に、受容された空管の回転軸線が、所定の巻管型式に相応して規定されて適正に方向付けられ、これにより空管の回転軸線が空管引渡し箇所の領域において、所属の作業箇所のパッケージフレームの空管受容皿の回転軸線と合致するようになっている。
【0024】
本発明の別の有利な形態は、請求項2以下に記載されている。
【発明の効果】
【0025】
空管グリッパの本発明による構成には、特に次のような利点がある。すなわち本発明による空管グリッパでは、作業箇所固有の空管貯え部からの巻管もしくは空管の引渡し時に、直ちに、受容される空管の回転軸線を、所定の巻管型式に応じて、確実に方向付けかつ固定することができる。
【0026】
すなわち本発明による空管グリッパの、それぞれ空管ホルダと可動の接触検知レバーと可動の対応緊締レバーとから形成されていて互いに間隔をおいて配置された2つの3点緊締装置によって、受容された空管の回転軸線は、公知でありかつ綾巻きパッケージ交換装置の記憶装置に記憶されている巻管型式に相応して、直ちに規定されて方向付けられ、これにより空管の回転軸線は空管引渡し箇所の領域において、当該作業箇所のパッケージフレームの空管受容皿の回転軸線と合致させられる。
【0027】
本発明による空管グリッパを備えて構成された綾巻きパッケージ交換装置は従って、種々異なった直径及び/又は種々異なった巻管型式(円筒形又は円錐形)の空管を、難なく次々と取り扱うことができ、つまり作業箇所固有の空管貯え部から、作業箇所の所属のパッケージフレームの空管引渡し箇所に引き渡すことができる。
【0028】
種々様々な巻管型式を取り扱う必要がある多数ロット運転においても、空管グリッパにおける調節箇所はまったく不要である。
【0029】
空管引渡し箇所における空管グリッパによって保持された空管は、パッケージフレームの回転可能に支承された空管受容皿によって、パッケージフレームの閉鎖時に確実に引き受けられることができる。
【0030】
本発明による空管グリッパの有利な形態では、空管グリッパは、第1の軸を介して空管グリッパの中央保持体に旋回可能に支承された2つの接触検知レバーと、中央保持体の第2の軸に旋回可能に支承された2つの対応緊締レバーとを有している。
【0031】
両方の接触検知レバーはこの場合空気力式シリンダによって空管に向かって旋回可能であり、かつそれぞれ所属の対応緊締レバーと形状結合式に連結されている。
【0032】
すなわち、接触検知レバーに配置された滑り兼案内エレメントが、対応緊締レバーに組み込まれた所属のカム輪郭と対応している。
【0033】
実地においては、接触検知レバーの内方旋回時に同時に所属の対応緊締レバーもまた一緒に内方旋回させられ、空管ホルダに位置決めされた空管は規定されて方向付けられ、かつ固定される。空管に対して作用する両接触検知レバーと両対応緊締レバーとは、空管グリッパの空管ホルダとの関連において、互いに間隔をおいて配置された2つの3点緊締装置を形成しており、両3点緊締装置は空管を、指示通りに適正に方向付け、かつ確実に固定する。
【0034】
別の有利な形態では、対応緊締レバーはそれぞれ、該対応緊締レバーのカム輪郭が常に接触検知レバーの滑り兼案内エレメントに接触するように、ばねエレメントによって負荷されている。
【0035】
このようにして、対応緊締レバーが所属の接触検知レバーによって所定された位置を常に占めることが、保証される。
【0036】
受容された空管の回転軸線の位置を常に、既に述べたように、公知でありかつ綾巻きパッケージ交換装置の制御装置の記憶装置に記憶された巻管型式に相応して、正確に調節できるようにするために、第2の接触検知レバーの滑り兼案内エレメントは、空管グリッパの閉鎖時に空管の回転軸線が自動的に所定の位置に移動させられるように、形成されかつ規定されて調節可能である。
【0037】
滑り兼案内エレメントは有利には、偏心的に支承された調節ピンとして形成されていて、該調節ピンは、電動機式の駆動装置によって駆動されて、所定可能な作業箇所において規定されて位置決め可能である。
【0038】
すなわち、第2の接触検知レバーに配置されていて所属の対応緊締レバーのカム輪郭と対応する滑り兼案内エレメントの作業位置を介して、接触検知レバーの内方旋回時には、第2の3点緊締装置の中心、ひいては空管の回転軸線の位置は、正確に調節されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】繊維機械の作業箇所の上に走行可能に配置されていて本発明による空管グリッパを設けられた綾巻きパッケージ交換装置を備えた、綾巻きパッケージを製造する繊維機械を示す正面図である。
【図2】綾巻きパッケージを製造する繊維機械の作業箇所と、該作業箇所の前に位置決めされていて本発明による空管グリッパを備えた綾巻きパッケージ交換装置とを示す側面図である。
【図3】本発明による空管グリッパを斜め横から見た斜視図である。
【図4】本発明による空管グリッパを示す別の斜視図である。
【図5】本発明による空管グリッパの第2の3点緊締装置の滑り兼案内エレメントを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
次に図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
【0041】
図1には、全体を符号1で示された、綾巻きパッケージを製造する繊維機械、図示の実施形態では自動綾巻きワインダ(Kreuzspulautomat)が、正面図で示されている。
【0042】
このような自動綾巻きワインダ1は通常、その両端部箇所5,6の間に配置された、同一形式の多数の作業箇所2を有している。これらの作業箇所2は、一列に互いに並んで配置されていて、必要な場合には、繊維機械1の前に配置された操作通路から接近可能である。
【0043】
巻返し箇所とも呼ばれるこれらの作業箇所2においては、公知のように、ゆえに説明は省くが、紡績コップ9が大容積の綾巻きパッケージ11に巻き返される。紡績コップ9は巻返しプロセス中、繰出し箇所10に位置決めされており、これらの繰出し箇所10はそれぞれ、横方向搬送区間26の領域(図1には図示せず)に位置している。
【0044】
図1及び図2から明らかなように、作業箇所2に対する紡績コップ9もしくは空管4の供給・排出はコップ・巻管搬送システム3を介して行われる。図1には単に巻管戻し区間7だけが示されている、このコップ・巻管搬送システム3においては、搬送皿8に鉛直に立てられて、紡績コップ9もしくは空管4が循環する。
【0045】
紡績コップ9は単に巻き返されるのではなく、糸は巻返しプロセス中に監視され、かつ必要な場合にはクリアリングされるので、各作業箇所2は多数の特殊な糸監視装置及び糸加工装置を有しており、これらの装置は自体公知であり、当該装置については以下において図2との関係で簡単に述べる。
【0046】
図1において個々の作業箇所2には、最終製品である綾巻きパッケージ11、綾巻きパッケージ駆動ドラム17、及び作業箇所2の上に走行可能に配置された綾巻きパッケージ交換装置12が略示されており、綾巻きパッケージ交換装置12の走行機構18A,18Bは、作業箇所2の上に延在する走行レール21A,21Bに支承されている。
【0047】
各作業箇所2は、綾巻きパッケージ11を製造するために必要な複数の空管14を収容するために、作業箇所固有の空管貯え部13を有している。
【0048】
図1にさらに示されているように、各作業箇所2はさらに、作業箇所コンピュータ15を有しており、この作業箇所コンピュータ15は例えばバスシステム(図示せず)を介して繊維機械の中央インフォメータ16に接続されている。綾巻きパッケージ交換装置12の制御装置もまた、バスライン(図示せず)を介して繊維機械1の中央インフォメータ16に接続され、ひいては個々の作業箇所2の作業箇所コンピュータ15とも接続されている。つまり個々の作業箇所2と綾巻きパッケージ交換装置12との間においては、綾巻きパッケージ交換装置12の必要に応じた使用を可能にする情報伝達が行われる。
【0049】
図1に略示され、図2に詳しく示されているように、綾巻きパッケージ交換装置12の走行機構18A,18Bは、作業箇所2の上に配置されていて機械長さにわたって延びる走行レール21A,21Bに沿って、走行可能に配置されている。
【0050】
綾巻きパッケージ交換装置12は必要な場合に、つまり1つの作業箇所2において綾巻きパッケージ11が完成した場合に、綾巻きパッケージ11をパッケージフレーム20から綾巻きパッケージ搬送装置19に引き渡して、該当する作業箇所2のパッケージフレーム20に新たな空管14を供給もしくは導入するために働く。相応な空管14は綾巻きパッケージ交換装置12の本発明による空管グリッパ31によって、作業箇所固有の空管貯え部13から取り出される。
【0051】
図2には、綾巻きパッケージ11を製造する繊維機械1の1つの作業箇所2が側面図で示されている。上において既に述べたように、このような繊維機械は、広範囲にわたるコップ・巻管搬送システム3を有しており、このコップ・巻管搬送システム3のうち図2には、機械長さにわたって延びるコップ供給区間24と、可逆式の貯え区間25と、作業箇所2に通じる横方向搬送区間26のうちの1つと、巻管戻し区間7とが示されている。
【0052】
このコップ・巻管搬送システム3においては、既に述べたように、リング精紡機(図示せず)において製造されて搬送皿8に鉛直方向で起立配置された紡績コップ9と、処理後、つまり糸を繰り出された後の空管4とが、搬送される。
【0053】
供給された紡績コップ9は、作業箇所2の繰出し箇所10において、大容積の綾巻きパッケージ11に巻き返される。個々の作業箇所2はそのために、自体公知のように、ゆえに詳しくは述べないが、作業箇所2において整然とした運転を保証する種々の装置を有している。
【0054】
図2には符号30で、紡績コップ9から綾巻きパッケージ11に延びる糸が示され、符号32でサクションノズルが、符号33でグリッパ管が、符号34で糸スプライシング装置が、符号35で糸テンショナが示され、さらに符号36で糸切断装置を備えた糸クリアラが示され、符号37でパラフィン処理装置が示されている。
【0055】
綾巻きパッケージ11を巻返し過程中に摩擦接続によって駆動するパッケージ駆動ドラムは、符号17で示されている。
【0056】
巻返し過程中、綾巻きパッケージ11は、軸22に旋回可能に支承されたパッケージフレーム20に保持されている。
【0057】
作業箇所2の後ろには綾巻きパッケージ搬送装置19が延びており、この綾巻きパッケージ搬送装置19には、完成した綾巻きパッケージ11が搬出され、次いで機械端部側に配置された積込みステーション(図示せず)へと搬送される。各作業箇所2は空管貯え部13を有しており、この空管貯え部13には、綾巻きパッケージ11を巻成するための空管14が貯えられている。
【0058】
上において既に述べたように、作業箇所2では必要な場合に綾巻きパッケージ交換装置12による操作が実施される。すなわち走行機構18A,18Bが機械長さに亘る走行レール21A,21B上を作業箇所2に沿って走行可能に配置されている綾巻きパッケージ交換装置12は、所定の直径に達した綾巻きパッケージ11を、綾巻きパッケージ搬送装置19に搬出し、次いで空管貯え部13から新たな空管14を該当する作業箇所2のパッケージフレーム20に導入する。
【0059】
図2にはさらに、綾巻きパッケージ交換装置12によって綾巻きパッケージ/空管の交換過程中に必要となる操作エレメントが示されており、これらの操作エレメントは図2では、フレームオープナ23、フレームリフタ28、パッケージガイド装置29及び空管グリッパ31である。
【0060】
図面を見易くするために、このような綾巻きパッケージ交換装置12のその他の操作エレメントは図示を省かれている。
【0061】
例えばヘッドワインディングを形成するための装置や、空管14に糸30を当て付けるための装置は図示されていない。
【0062】
図3には、綾巻きパッケージ交換装置12の本発明による空管グリッパ31が斜視図で示されている。
【0063】
図面から分かるように、空管グリッパ31の保持部材は中央保持体42であり、この中央保持体42の端部側には位置固定に空管ホルダ27が固定されており、中央保持体42には、第1の軸41を介して接触検知レバー(Abtasthebel)39A,39Bが接続され、第2の軸47を介して対応緊締レバー40A,40Bが接続されている。
【0064】
中央保持体42は別の軸56を介してさらに、空気力式シリンダ43A,43Bのための対応支承部を形成しており、両空気力式シリンダ43A,43Bはそれぞれ対応する接触検知レバー39A,39Bに接続されている。
【0065】
すなわち空気力式シリンダ43A,43Bに圧力が供給されると、接触検知レバー39A,39Bは矢印Rの方向で下方に向かって旋回し、空管14(図3には示されていない)に上から接触する。
【0066】
接触検知レバー39A;39Bはそれぞれ滑り兼案内エレメント44A;44Bを備えており、この滑り兼案内エレメント44A;44Bは、所属の対応緊締レバー40A;40Bのカム輪郭55A;55Bと対応しており、その結果同時に対応緊締レバー40A;40Bもまた旋回させられ、対応緊締レバー40A,40Bは接触検知レバー39A,39B及び空管ホルダ27と共に、互いに間隔をおいて配置された3点緊締装置38A,38Bを形成している。
【0067】
滑り兼案内エレメント44Aと滑り兼案内エレメント44Bとはこの場合、以下において図5を参照して詳しく述べるように、以下の点において互いに異なっている。すなわち、接触検知レバー39Bに取り付けられた滑り兼案内エレメント44Bの位置はその作業位置に関して規定されて調節可能である。
【0068】
中央保持体42は平行四辺形リンク50,51を介して旋回アーム52と結合されており、この旋回アーム52は、特に図4から分かるように、旋回軸53を介して空管グリッパ31の電動機式の旋回駆動装置54に接続されている。
【0069】
図4からさらに分かるように、平行四辺形リンク51は調節レバー59を介してさらに間接的に調節駆動装置60に接続されている。
【0070】
図5には、接触検知レバー39Bに接続された滑り兼案内エレメント44Bの原理を示す図が示されている。
【0071】
この図5から分かるように、接触検知レバー39Bにはねじボルト58又はこれに類したものを用いて固定金属薄板57が固定されており、この固定金属薄板57は、規定されて制御可能な電動機46、有利にはステップモータを有している。
【0072】
このステップモータのモータ軸61には、偏心的に形成された滑り兼案内エレメント44Bが固定されており、この滑り兼案内エレメント44Bには、ばねエレメント45によって負荷されて、対応緊締レバー40Bのカム輪郭55が接触している。
【0073】
空気力式シリンダ43Bへの圧力供給時に接触検知レバー39Bは、矢印Rの方向で下方に向かって旋回して、空管ホルダ27に予め位置決めされた空管14に当接する。同時に接触検知レバー39Bは、対応緊締レバー40Bのカム輪郭55に沿って案内される滑り兼案内エレメント44Bを介して、対応緊締レバー40Bを、軸47を中心にして上方に向かって旋回させる。
【0074】
内方旋回する接触検知レバー39Bと内方旋回する対応緊締レバー40Bとはこの際に、空管ホルダ27と一緒に第2の3点緊締装置38Bを形成する。
【0075】
この3点緊締装置38Bの正確な位置、ひいては受容される空管14の回転軸線62の位置は、滑り兼案内エレメント44Bの角度位置の調節によって正確に所定可能である。
【0076】
滑り兼案内エレメント44Bは、図5に示されているように、有利には回転軸48に支承されていて偏心的に形成された調節ピンとして構成されている。
【0077】
綾巻きパッケージ交換装置に配置された本発明による空管グリッパの作業形式は以下の通りである:
例えば後で公開されたDE102010035068.0に詳しく記載されているように、本発明のように形成された空管グリッパを備えた綾巻きパッケージ交換装置が使用される繊維機械は、その都度交換導入される巻管型式に関連したパラメータを規定するための入力及び制御手段と、作業箇所もしくは綾巻きパッケージ交換装置の、規定された制御に対応する相応な駆動装置のための入力及び制御手段とを備えて構成されている。すなわち繊維機械の作業箇所及び/又は綾巻きパッケージ交換装置には入力装置が設けられており、これらの入力装置は操作員に次のこと、すなわち作業箇所の巻返し装置(Spulvorrichtung)の駆動装置及び綾巻きパッケージ交換装置の取扱い装置の駆動装置を、交換導入される空管の巻管型式に関連して手動で操作することを可能にし、これによって作業箇所のパッケージフレーム及び綾巻きパッケージ交換装置の空管グリッパは空管引渡し箇所においてその都度正確に、巻管型式に相応な箇所において位置決めされる。さらに、特に手動で実施された空管グリッパの移動経過が記憶される記憶装置が設けられており、記憶された前記移動経過は、後で綾巻きパッケージ交換装置の制御装置によって、作業箇所のパッケージフレームへの空管の挿入時に、空管の自動的かつ正確な位置決めのために使用される。これにより操作員は、空管グリッパの正確な位置決めのために必要なパラメータを規定する場合に、著しく助成される。それというのは、操作員は単に、駆動装置を手動で制御し、その都度の巻管型式に関連したポジションへと移動させるだけでよいからである。そして、なんらかのパラメータが数値的に操作員によって突き止められることは不要である。パラメータは、繊維機械もしくは綾巻きパッケージ交換装置の制御装置から自動的に得られる。それというのは、手動で行われた前記移動経過が記憶され、これによって後で、種々異なった巻管型式への空管グリッパの簡単な適合が可能になるからである。
【0078】
後で、巻返し過程中に自動綾巻きワインダ1の作業箇所2のうちの1つにおいて、綾巻きパッケージ11が所定のサイズ(=所定の直径又は所定の糸長さ)に達すると(これは当該作業箇所2の作業箇所コンピュータ15によって検出される)、綾巻きパッケージ交換器12は当該作業箇所2に呼び寄せられ、該作業箇所2は停止させられる。
【0079】
もちろん綾巻きパッケージ交換器12を作業箇所2の作業箇所コンピュータ15によって、綾巻きパッケージ11の完成直前に、当該作業箇所2に呼び寄せることも可能である。
【0080】
作業箇所2に呼ばれた綾巻きパッケージ交換器12は、当該作業箇所2において位置決めされ、相応な糸取扱い装置によって、紡績コップ9から綾巻きパッケージ11に延びる糸を掴む。
【0081】
把持された糸は切り取られ(gekappt)、紡績コップ9から延びている糸端部は、公知のように、新たな綾巻きパッケージ11を形成するために準備される。
【0082】
ほぼ同時に作業箇所2のパッケージフレーム20は、綾巻きパッケージ交換器12のフレームリフタ28によってその巻上げポジションからパッケージ搬出ポジションへと旋回させられ、フレームオープナ23によって開放され、かつ完成した綾巻きパッケージ11はパッケージガイド装置29によって確実に、作業箇所2の後ろを延びている機械長さに亘る綾巻きパッケージ搬送装置19へと引き渡される。
【0083】
次いで、パッケージフレーム20は空管引渡し箇所に位置決めされ、この空管引渡し箇所は、既に述べたように、当該作業箇所において使用される巻管型式によってその都度所定されている。
【0084】
綾巻きパッケージ搬送装置19への完成した綾巻きパッケージ11の引渡し中、さらに、綾巻きパッケージ交換器12の空管グリッパ31は、駆動装置54,60によって相応に制御されて、新たな空管14を受容するために、作業箇所固有の空管貯え部13に旋回させられ、接触検知レバー39Bの滑り兼案内エレメント44Bは、取り扱われる巻管型式に相応して調節される。この場合空管グリッパ31の空管ホルダ27は、空管貯え部13に貯えられた最も前の空管14の下に位置決めされる。
【0085】
次いで、空気力式シリンダ43A,43Bへの圧力供給によって接触検知レバー39A,39Bは矢印Rの方向で空管14に向かって下降させられる。
【0086】
接触検知レバー39A,39Bは滑り兼案内エレメント44A,44B及びカム輪郭55を介して、作用的に対応緊締レバー40A,40Bと結合されているので、同時に対応緊締レバー40A,40Bもまた空管14に向かって上方に旋回する。すなわち、空管ホルダ27は接触検知レバー39A,39B及び対応緊締レバー40A,40Bと一緒に、空管14に対して、互いに間隔をおいて配置された2つの3点緊締装置38A,38Bを形成している。
【0087】
3点緊締装置38Bの正確な位置を決定するための滑り兼案内エレメント44Bは、既に空管14を把持する前に、当該作業箇所2に存在する巻管型式に相応して位置決めされているので、掴まれた空管14の回転軸線62は空管グリッパ13の閉鎖時に自動的に適正に方向付けられる。
【0088】
すなわち、受容された空管14は空管引渡し箇所においてそれぞれ、空管グリッパ31において保持された空管14の回転軸線62が、当該作業箇所2のパッケージフレーム20の空管受容皿の回転軸線と合致するように、方向付けられている。
【0089】
空管14はこの位置において、作業箇所2のパッケージフレーム20の閉鎖時に問題なく、空管受容皿によって引き受けられることができる。同時に又は次いで、綾巻きパッケージ交換装置12の取扱い装置に準備されていて繰出しボビンに結合されている糸端部が、空管14において固定される。
【0090】
これによって交換サイクルが終了し、当該作業箇所2は新たにスタートすることができる。
【符号の説明】
【0091】
1 自動綾巻きワインダ;繊維機械、 2 作業箇所、 3 コップ・巻管搬送システム、 4 空管、 5,6 端部箇所、 7 巻管戻し区間、 8 搬送皿、 9 紡績コップ、 10 繰出し位置、 11 綾巻きパッケージ、 12 綾巻きパッケージ交換装置、 13 空管貯え部、 14 空管、 15 作業箇所コンピュータ、 16 中央インフォメータ、 17 綾巻きパッケージ駆動ドラム、 18A,18B 走行機構、 19 綾巻きパッケージ搬送装置、 20 パッケージフレーム、 21A,21B 走行レール、 22 軸、 23 フレームオープナ、 27 空管ホルダ、 28 フレームリフタ、 29 パッケージガイド装置、 30 糸、 31 空管グリッパ、 32 サクションノズル、 33 グリッパ管、 34 糸スプライシング装置、 35 糸テンショナ、 36 糸クリアラ、 37 パラフィン処理装置、 38A,38B 3点緊締装置、 39A,39B 接触検知レバー、 40A,40B 対応緊締レバー、 41 第1の軸、 42 中央保持体、 43A,43B 空気力式シリンダ、 44A,44B 滑り兼案内エレメント、 45 ばねエレメント、 46 電動機、 47 第2の軸、 48 回転軸、 50,51 平行四辺形リンク、 52 旋回アーム、 53 旋回軸、 54 旋回駆動装置、 55A,55B カム輪郭、 56 別の軸、 57 固定金属薄板、 58 ねじボルト、 59 調節レバー、 60 調節駆動装置、 61 モータ軸、 62 回転軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
綾巻きパッケージ交換装置用の空管グリッパであって、空管グリッパの基本構造部に定置に固定された、空管を受容及び位置決めするための空管ホルダが設けられており、該空管ホルダに対して可動に支承されていて対応緊締レバーとして形成されたグリッパフィンガが設けられていて、該グリッパフィンガは、作業箇所固有の空管貯え部から、綾巻きパッケージを製造する繊維機械の作業箇所の旋回可能に支承されたパッケージフレームに空管を引き渡す間に、該空管を固定するために働く形式のものにおいて、
空管グリッパ(31)は、互いに間隔をおいて配置された2つの3点緊締装置(38A;38B)を、空管(14)を固定するため及び適正に方向付けるために有しており、両3点緊締装置(38A;38B)はそれぞれ、空管ホルダ(27)と、可動に支承された接触検知レバー(39A;39B)と、可動に支承された対応緊締レバー(40A;40B)とによって形成され、各接触検知レバー(39A;39B)はそれぞれ所属の対応緊締レバー(40A;40B)と形状結合式に連結されていて、空管貯え部(13)から受容された空管(14)を固定するための3点緊締装置(38A;38B)の閉鎖時に、受容された空管(14)の回転軸線(62)が、所定の巻管型式に相応して規定されて適正に方向付けられ、これにより空管(14)の回転軸線(62)が空管引渡し箇所の領域において、所属の作業箇所(2)のパッケージフレーム(20)の空管受容皿の回転軸線と合致するようになっていることを特徴とする、綾巻きパッケージ交換装置用の空管グリッパ。
【請求項2】
接触検知レバー(39A;39B)は第1の軸線(41)を介して、空管グリッパ(31)の中央保持体(42)に回転可能に接続されている、請求項1記載の空管グリッパ。
【請求項3】
接触検知レバー(39A;39B)はそれぞれ、空気力式シリンダ(43A;43B)によって、受容された空管(14)に向かって旋回可能である、請求項2記載の空管グリッパ。
【請求項4】
対応緊締レバー(40A;40B)は第2の軸(47)を介して、空管グリッパ(31)の中央保持体(42)に接続されていて、カム輪郭(55A;55B)を介してそれぞれ形状結合式に、接触検知レバー(39A;39B)に配置された滑り兼案内エレメント(44A;44B)と結合されている、請求項1記載の空管グリッパ。
【請求項5】
対応緊締レバー(40A;40B)は、カム輪郭(55A;55B)が接触検知レバー(39A;39B)の滑り兼案内エレメント(44A;44B)に接触するように、各1つのばねエレメント(45)によって負荷されている、請求項4記載の空管グリッパ。
【請求項6】
第2の接触検知レバー(39B)の滑り兼案内エレメント(44B)は、受容された空管(14)の回転軸線(62)が空管グリッパ(31)の閉鎖時に第2の3点緊締装置(38B)によって自動的に所定の位置において位置決めされるように、形成されかつ規定されて調節可能である、請求項4記載の空管グリッパ。
【請求項7】
滑り兼案内エレメント(44B)は、偏心的に支承された調節ピンとして形成されていて、該調節ピンは、電動機式の駆動装置(46)によって駆動されて、所定可能な作業箇所において規定されて位置決め可能である、請求項4記載の空管グリッパ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−91935(P2012−91935A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−232964(P2011−232964)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(307031976)エーリコン テクスティル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (105)
【氏名又は名称原語表記】Oerlikon Textile GmbH & Co. KG
【住所又は居所原語表記】Leverkuser Strasse 65, D−42897 Remscheid, Germany
【Fターム(参考)】