緊張用ジャッキ装置
【課題】デッドスペースを削減することにより作業空間が狭い場所においてもPC鋼棒を緊張させることができるとともに歪の生じ難い緊張用ジャッキ装置を提供する。
【解決手段】中心部に貫通孔12が形成されたセンターホール形のジャッキ本体11と、ジャッキ本体11に往復動可能に嵌め込まれたピストン13と、貫通孔12に挿入されてPC鋼棒5に連結される緊張用ナット14と、PC鋼棒5に螺合された固定用ナット32に嵌合されるナット回し部材15と、を備えた構成とする。そして、ジャッキ本体11の貫通孔12には、底部11a側から緊張用ナット14を係止する係止部12cを形成し、緊張用ナット14には、係止部12cに係止される大径ナット部14bと、大径ナット部14bの構造物30側に配置される小径ナット部14aとを形成する。
【解決手段】中心部に貫通孔12が形成されたセンターホール形のジャッキ本体11と、ジャッキ本体11に往復動可能に嵌め込まれたピストン13と、貫通孔12に挿入されてPC鋼棒5に連結される緊張用ナット14と、PC鋼棒5に螺合された固定用ナット32に嵌合されるナット回し部材15と、を備えた構成とする。そして、ジャッキ本体11の貫通孔12には、底部11a側から緊張用ナット14を係止する係止部12cを形成し、緊張用ナット14には、係止部12cに係止される大径ナット部14bと、大径ナット部14bの構造物30側に配置される小径ナット部14aとを形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物に挿通された鋼棒を狭い場所でも緊張することのできる緊張用ジャッキ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、作動油の油圧によりピストンロッドが往復動する緊張用ジャッキ装置により、コンクリート構造物や鉄骨構造物などの構造物に挿通された鋼棒(例えば、PC鋼棒)を緊張することが行われている。具体的に説明すると、まず、構造物とジャッキとの間に配置されるラムチェアー内でPC鋼棒をテンションバーに連結し、このテンションバーの端部に固定された緊張用ナットをジャッキに連結する。次に、ジャッキのピストンロッドを押し出してテンションバーを引っ張ることで、PC鋼棒を緊張させる。すると、固定用ナットが構造物から離間するため、この固定用ナットを増し締めして構造物に当接させる。そして、ジャッキのピストンロッドを引き戻して緊張用ナットで受けていたPC鋼棒の引張力を固定用ナットに盛り替えている。
【0003】
特許文献1には、作業空間が狭い場所においてもPC鋼棒を緊張させることができるジャッキが開示されている。特許文献1に記載されたジャッキは、作動油の油圧により往復動するピストンロッドが複数個嵌め込まれたジャッキ本体をU字状に形成し、このU字状の溝にPC鋼棒を横方向から介挿するとともに、この溝の上端面に緊張用ナットを支持する緊張用ナット受部を形成するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−311143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、高い引張力を受ける緊張用ナットをジャッキ本体で支持するためには、ジャッキ本体の厚みを大きくする必要がある。しかしながら、特許文献1に記載されたジャッキのように、緊張用ナットとして一般的な形状のナットを採用すると、PC鋼棒が介挿される溝の厚さ分だけ、固定用ナット及び緊張用ナットの何れにもPC鋼棒が連結されないデッドスペースができる。このため、特許文献1に記載されたジャッキでは、構造物からPC鋼棒を当該デッドスペース分だけ長く引き出さないと、PC鋼棒を緊張用ナットに連結することができないため、PC鋼棒を緊張させることができないという問題がある。
【0006】
また、1つのジャッキ本体に複数個のピストンロッドを設けると、様々な影響により各ピストンロッドに作用する力が違ってくることも考えられる。このような場合、特許文献1に記載されたジャッキのように、ジャッキ本体を一方に開放されたU字状に形成すると、各ピストンロッドから受ける力がジャッキ本体の開放端で開放されることで、ジャッキ本体が大きく歪んでしまうという問題もある。
【0007】
そこで、本発明は、デッドスペースを削減することにより作業空間が狭い場所においても鋼棒を緊張させることができるとともに歪の生じ難い緊張用ジャッキ装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る橋梁支持ワイヤの張力検出装置は、構造物に挿通された鋼棒を緊張する緊張用ジャッキ装置であって、中心部に貫通孔が形成されたセンターホール形のジャッキ本体と、ジャッキ本体の貫通孔の周囲に嵌め込まれて、作動油により構造物側への往復動が可能な複数のピストンと、貫通孔に挿入されてPC鋼棒に連結される緊張用部材とを有し、ジャッキ本体には、構造物側から緊張用部材を係止する係止部が形成されており、緊張用部材には、係止部に係止される被係止部と、被係止部の構造物側に延びて鋼棒に連結される連結部とが形成されていることを特徴とすることで課題を解決している。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、構造物に挿通された鋼棒を緊張する緊張用ジャッキ装置であって、中心部に貫通孔が形成されたセンターホール形のジャッキ本体と、ジャッキ本体の貫通孔の周囲に嵌め込まれて、作動油により構造物側への往復動が可能な複数のピストンと、貫通孔に挿入されて鋼棒に連結される緊張用部材とを有し、ジャッキ本体には、構造物側から緊張用部材を係止する係止部が形成されており、緊張用部材には、係止部に係止される被係止部と、被係止部の構造物側に延びて鋼棒に連結される連結部とが形成されることにより、以下の効果を有する。
【0010】
すなわち、ジャッキ本体の貫通孔に緊張用部材を挿入して連結部を鋼棒に連結させるとともに被係止部をジャッキ本体の係止部に係止させ、この状態でピストンを往動させることで、鋼棒を緊張させることができる。このように、ジャッキ本体の貫通孔に挿入される緊張用部材に鋼棒を連結することで、緊張用ジャッキ装置全体の厚みを薄くすることができるため、作業空間が狭い場所においても鋼棒を緊張させることができる。そして、緊張用部材の連結部は、被係止部の構造物側に延びているため、貫通孔の長さに拘らず、緊張用部材と鋼棒との連結位置を構造物に近接させることができる。これにより、固定用ナット及び緊張用ナットの何れにも鋼棒が連結されない構造物と緊張用部材との間のデッドスペースを削減することができるため、更に作業空間が狭い場所においても鋼棒を緊張させることができる。しかも、ジャッキ本体は、開放端の無い無端のセンターホール形に形成されるため、各ピストンに作用する力が違ったとしても、これらの力をジャッキ本体内に閉じ込めることができるため、ジャッキ本体が歪むのを防止することができる。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、緊張用部材に、被係止部が係止部に係止された際に、ジャッキ本体から露出する頭部を形成したものからなるため、ジャッキ本体の係止部の形成位置によっては緊張用部材がジャッキ本体に埋没するが、なお緊張用部材の頭部はジャッキ本体から露出する。このため、外部からの緊張用部材の操作性を向上することができ、例えば、頭部をボルトのように多角形に形成することで、外部から緊張用部材を容易に回転させることができる。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、複数のピストンを、貫通孔を中心とした同一円周上に等間隔に配置したものからなるため、高精度に鋼棒を軸線方向に緊張させることができる。
【0013】
請求項4に係る発明によれば、鋼棒に螺合されて構造物に係止される固定用ナットに嵌合される嵌合穴が中心部に形成されて、固定用ナットの半径方向外側に延びるナット回し部材を更に備えたものからなるため、以下の効果を有する。すなわち、複数のピストンの内側に配置され固定用ナットを回転させるのは困難であるが、固定用ナットにナット回し部材を嵌合させると、より外側に配置されるナット回し部材を回転操作することで固定用ナットを回転させることができるため、固定用ナットの回転操作性を向上させることができる。
【0014】
請求項5に係る発明によれば、ナット回し部材が、嵌合穴を中心軸とした円板状に形成されて、ナット回し部材を回転させるためのガイド棒が挿入される半径方向に延びるガイド穴が形成されたものからなるため、ガイド棒をガイド穴に挿入することで、複数のピストンの外側からナット回し部材の回転操作を行える。これにより、固定用ナットの回転操作性を更に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】大梁に筋交部材を取り付ける状態を示した正面図である。
【図2】図1に示す筋交部材の取り付け構造を示したA−A線断面図である。
【図3】隣り合う2本のPC鋼棒にそれぞれ本実施形態に係る緊張用ジャッキ装置を取り付けた状態の平面図である。
【図4】図3に示す緊張用ジャッキ装置の底面図である。
【図5】図3に示す緊張用ジャッキ装置の一部を切り欠いたB−B線断面図である。
【図6】(a)は、緊張用ナットの一部切り欠いた断面図、(b)は、ナット回し部材の断面図である。
【図7】図5に示すC−C線の断面図である。
【図8】図5に示すD−D線の断面図である。
【図9】PC鋼棒が挿通された構造物にジャッキ本体を設置した状態の一部切り欠いた断面図である。
【図10】PC鋼棒に緊張用ナットを螺合させた状態の一部切り欠いた断面図である。
【図11】ピストンを往動させてPC鋼棒を緊張した状態の一部切り欠いた断面図である。
【図12】PC鋼棒の緊張力を固定用ナットに盛り替えた状態の一部切り欠いた断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明に係る緊張用ジャッキ装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、全図中、同一又は相当部分には同一符号を付すこととする。
【0017】
まず、本実施形態に係る緊張用ジャッキ装置を説明する前に、図1及び図2を参照して、本実施形態に係る緊張用ジャッキ装置の適用例について説明する。
【0018】
図1は、構造物30を構成する大梁1に筋交部材2を取り付ける状態を示した正面図である。図2は、図1に示す筋交部材2の取り付け構造を示したA−A線断面図である。
これらの図1及び図2に示すように、本発明に係る緊張用ジャッキ装置10は、次のような作業空間が狭い場合に用いられる。例えば、大梁1を格子状に組み込み施工された構造物30において、大梁1の斜め方向に筋交部材2が配置される。この筋交部材2を大梁1に連結する場合に、筋交部材2を支持する支持部材3が複数本の鋼棒5で大梁1と相対する大梁1の角隅部分に取り付けられるが、本発明に係る緊張用ジャッキ装置10は、この鋼棒5を作業空間の狭い場所で緊張しようとする場合に用いられる。
なお、前記鋼棒5は、以下の実施例でPC鋼棒として説明するが、それ以外に、ねじ付き鋼棒とアンカーボルトの組み合わせなどであってもよい。
【0019】
前記支持部材3は、大梁1に連結される平板状の水平板部3aと、水平板部3aに対して垂直方向に立設されて筋交部材2に連結される平板状の垂直板部3bと、筋交部材2が配置される方向に向くように垂直板部3bに対して垂直方向に立設されて筋交部材2に連結される平板状の連結片3cとを備えている。
【0020】
前記筋交部材2は、角管状に形成されており、その先端部に、垂直板部3bと連結片3cを挟み込む連結片2aを備えている。これらの筋交部材2と支持部材3を互いに連結するために連結片2aと連結片3cにより連結部材4を構成している。
【0021】
このように構成される前記筋交部材2を大梁1に取り付ける際は、まず、一対の支持部材3を大梁1の上下面に当接させ、両端部に雄ネジが刻設された棒状のPC鋼棒5を上下の支持部材3の水平板部3a及び大梁1に貫通させる。次に、上下の水平板部3aから露出した各PC鋼棒5の両端に固定用ナットを螺合し、大梁1と支持部材3とを仮止めする。
次いで、筋交部材2と支持部材3とを連結部材4で連結する。そして、大梁1と支持部材3との連結強度を向上させるために、緊張用ジャッキ装置によりPC鋼棒5を一方(例えば上)側から緊張させて、PC鋼棒5に螺合した固定用ナットを増し締めし、緊張用ジャッキ装置で受けているPC鋼棒5の緊張力を固定用ナットに盛り替える。
【0022】
ところで、図1の中央部に図示した支持部材3は、8本のPC鋼棒5(5a〜5h)により大梁1に連結されている。そのうち、中央側に配置される4本のPC鋼棒5c〜5fは、軸線延長線上に障害物が無く十分な作業空間が確保できるため、従来の軸線方向に長い緊張用ジャッキ装置6を用いて緊張させることが可能である。しかしながら、両端側に配置される4本のPC鋼棒5a,5b,5g,5hは、これらPC鋼棒5の軸線延長線上に連結部材4が配置されて十分な作業空間を確保できないため、図1の鎖線のように軸線方向に長い従来の緊張用ジャッキ装置6を用いて緊張させることが不可能である。
【0023】
そこで、PC鋼棒5a,5b,5g,5hのように十分な作業空間を確保できないPC鋼棒を緊張する際に、本実施形態に係る緊張用ジャッキ装置10が用いられる。
【0024】
図3は、本実施形態に係る緊張用ジャッキ装置10の平面図である。図4は、図3に示す緊張用ジャッキ装置の底面図である。図5は、図3に示す緊張用ジャッキ装置の一部を切り欠いたB−B線断面図である。
【0025】
図3〜図5に示すように、本実施形態に係る緊張用ジャッキ装置10は、中心部に貫通孔12が形成されたセンターホール形のジャッキ本体11と、ジャッキ本体11に嵌め込まれてピストンヘッド13aとピストンロッド13bとを備える略円柱状のピストン13と、貫通孔12に挿入される緊張用ナット14と、PC鋼棒5に螺合された固定用ナット32に嵌合されるナット回し部材15とを備えている。前記固定用ナット32の下端部には、ワッシャ33が設けられている。
前記固定用ナット32とワッシャ33は、互いに独立した汎用のものが用いられる。この場合、図11にて後述するように、固定用ナット32が上昇すると、ワッシャ33が置き去りになり、ナット回し部材15が固定用ナット32から外れることになる。そこで、図6(b)に示すように、ナット回し部材15の6個のガイド穴15bのうちの1つ置きの3個のガイド穴15bに、ボール15cと、コイルばね15dと、押しねじ15eからなる係止部材34を設け、このナット回し部材15の嵌合穴15aに固定用ナット32を上から嵌合すると、固定用ナット32の外周に係止して脱落しないようになっている。
なお、固定用ナット32とワッシャ33が一体のものを用いれば、ナット回し部材15がワッシャ33に係止するので、係止部材34は不要である。
【0026】
前記ジャッキ本体11は、角が面取りされた三角形の横断面に形成されており、構造物30側に配置される底面11aと構造物30の反対側に配置される上面11bとを備えた所定厚さの平板状に形成されている。このジャッキ本体11には、作動油が充填されてピストンヘッド13aが嵌め込まれるシリンダ16が、貫通孔12の周囲3箇所に形成されている。これらのシリンダ16は、貫通孔12を中心とした同一円周上に等間隔に形成されている。
前記ジャッキ本体11の形状を三角形としたのは、PC鋼棒5から3箇所のピストン13までの距離を等しくして均等な荷重を受けられることと、図3に示すように、隣り合うPC鋼棒5aと5bの距離dが近くてもジャッキ本体11の向きを180度変えてセットすることにより、PC鋼棒5から3箇所のピストン13までの距離を大きくとることができることによる。
【0027】
前記各シリンダ16は、貫通孔12の軸線方向と平行な方向に延びており、ジャッキ本体11の底面11aに開口している。このため、各ピストン13は、ピストンヘッド13aがシリンダ16内を摺動することで、ピストンヘッド13aがシリンダ16内を上面11b側から底面11a側に摺動してピストンロッド13bがジャッキ本体11側から構造物30側に進行する往動と、ピストンヘッド13aがシリンダ16内を底面11a側から上面11b側に摺動してピストンロッド13bが構造物30側からジャッキ本体11側に後退する復動とが可能となっている。
【0028】
図7は、図5に示すC−C線の断面図である。図7に示すように、全てのシリンダ16は、ピストンヘッド13aの上面11b側に配置される上部シリンダ領域16aにおいて、隣接する両隣のシリンダ16と第一油道17により連通されており、上部シリンダ領域16aに充填される作動油の油圧が、全てのシリンダ16において均一に保持されている。そして、この第一油道17には、第一油道17に作動油を送り出すと共に引き戻す第一油圧制御部18が連結されている。この第一油圧制御部18は、ピストン13を往動させる際に第一油道17に作動油を送り出し、ピストン13を復動させる際に第一油道17から作動油を引き戻す。なお、図7では、第一油圧制御部18のうち、ジャッキ本体11に連結されるコネクタ部分のみを図示している。
【0029】
図8は、図5に示すD−D線の断面図である。図8に示すように、全てのシリンダ16は、ピストンヘッド13aの底面11a側に配置される下部シリンダ領域16bにおいて、隣接する両隣のシリンダ16と第二油道19により連通されており、下部シリンダ領域16bに充填される作動油の油圧が、全てのシリンダ16において均一に保持されている。そして、この第二油道19には、第二油道19に作動油を送り出すと共に引き戻す第二油圧制御部20が連結されている。この第二油圧制御部20は、ピストン13を往動させる際に第二油道19から作動油を引き戻し、ピストン13を復動させる際に第二油道19に作動油を送り出す。なお、図8では、第二油圧制御部20のうち、ジャッキ本体11に連結されるコネクタ部分のみを図示している。
【0030】
そして、図5に示すように、ピストンヘッド13aの外周面には、シリンダ16の内周面に当接して上部シリンダ領域16aと下部シリンダ領域16bとの間をシールするシール部材21が嵌入されており、シリンダ16の内周面には、ピストンロッド13bに当接して下部シリンダ領域16bとジャッキ本体11との間をシールするシール部材22が嵌入されている。
【0031】
前記ピストンロッド13bの軸線方向の長さは、ピストンヘッド13aが最も底面11a側に後退した際に、ピストンロッド13bの先端が、ジャッキ本体11の底面11aと同一面、又は、底面11aから僅かに構造物30側に露出した位置になる寸法となっている。そして、ピストンロッド13bの先端には、ピストンロッド13bの軸線上に延びるスペーサ23が取り付けられている。
【0032】
スペーサ23は、ピストンロッド13bと略同径の円柱状に形成されており、構造物30と底面11aとの間に空間を形成して、ジャッキ本体11に固定用ナット32が当接するのを防止するための部材である。このスペーサ23は、固定用ナット32がジャッキ本体11に当接しないように、固定用ナット32の長さ(図5において上下方向の寸法)と同一、又は、固定用ナット32の高さよりも僅かに高い隙間ができる寸法となっている。
なお、このスペーサ23は、固定用ナット32の高さに応じた高さのものと交換することができる。
【0033】
前記ジャッキ本体11に形成される貫通孔12の内径は、PC鋼棒5の外径よりも大きい寸法となっている。また、貫通孔12は、軸線方向に沿って内径が異なる2段構造になっており、底面11a側に内径の小さい小径孔部12aが形成され、上面11b側に内径の大きい大径孔部12bが形成されている。
【0034】
前記小径孔部12aは、貫通孔12の軸線を中心軸とした円状に形成されており、その内径は、PC鋼棒5の外径よりも大きい寸法となっている。
【0035】
前記大径孔部12bは、小径孔部12aと同様に貫通孔12の軸線を中心軸とした円状に形成されており、その内径は、小径孔部12aの内径よりも大きい寸法となっている。また、大径孔部12bがシリンダ16を侵食しないように、大径孔部12bの内径半径は、貫通孔12の中心からシリンダ16までの最短距離よりも小さい寸法となっている。
【0036】
そして、小径孔部12aと大径孔部12bとの接続箇所には、小径孔部12aから大径孔部12bにかけて内径が不連続に大きくなる段状の係止部12cが形成されている。このため、小径孔部12aの内径よりも大きく、大径孔部12bの内径以下の部材が上面11bから貫通孔12に挿入されると、この部材は係止部12cにより底面11a側から係止され、底面11a側への移動が阻止される。
【0037】
なお、小径孔部12aの内周面には、貫通孔12に挿入される緊張用ナット14との摩擦を軽減するために、メタル部材などの滑り材31が配置されている。また、小径孔部12aの底面11a側端部には、緊張用ナット14の位置決めを行うとともに滑り材31の落下防止を行うために、半径方向内側に突出した突起が形成されている。
【0038】
図6(a)は、緊張用ナット14の一部切り欠いた断面図である。この緊張用ナット14は、軸線方向において外径の異なる3段構造になっている。すなわち、緊張用ナット14は、貫通孔12に挿入された状態において、ジャッキ本体11の底面11a側から順に、小径孔部12aに挿入される小径ナット部14a、大径孔部12bに挿入されて係止部12cに係止される大径ナット部14b、ジャッキ本体11の上面11bから露出する頭部14cが形成されている。
【0039】
小径ナット部14aは、円柱状に形成されており、その外径は、小径孔部12aの滑り材31の内径以下となっている。但し、小径孔部12aに挿入された小径ナット部14aのぐらつきを防止する観点から、小径ナット部14aの外径は、小径孔部12aの滑り材31の内径と同一、又は、小径孔部12aの滑り材31の内径よりも僅かに小さい寸法であることが好ましい。
【0040】
小径ナット部14aの半径方向中心部には、PC鋼棒5が螺合される螺合穴14dが形成されている。螺合穴14dは、小径ナット部14aの先端部において開口しており、その内周面には、PC鋼棒5の端部に刻設された雄ネジと噛み合う雌ネジが刻設されている。螺合穴14dの奥行きは、特に制限されないが、PC鋼棒5との螺合強度の観点から、PC鋼棒5の直径の1.5倍以上であることが好ましい。
なお、螺合穴14dが形成される小径ナット部14aの肉厚は、緊張したPC鋼棒5を十分保持することが可能な厚みとなっている。
【0041】
小径ナット部14aの軸線方向の長さは、特に限定されるものではない。但し、固定用ナット32と小径ナット部14aとの間の離間距離を縮める観点からは、大径ナット部14bが係止部12cに係止された状態で、小径ナット部14aの先端がジャッキ本体11の底面11aと同一面、又は、ジャッキ本体11から僅かに埋没した位置となる寸法であることが好ましい。
【0042】
大径ナット部14bは、円柱状に形成されており、その外径は、小径孔部12aの内径より大きく、大径部の内径以下となっている。これにより、緊張用ナット14を貫通孔12に挿入すると、小径ナット部14aは小径孔部12aに挿入されるが、大径ナット部14bの小径ナット部14a側の面である被係止面14eが係止部12cに当接されるため、大径ナット部14bは、小径孔部12aに挿入さることなく係止部12cに係止される。
【0043】
大径ナット部14bの軸線方向の長さは、大径ナット部14bが係止部12cに係止された際に頭部14cが上面11bから露出すれば、如何なる寸法であってもよい。但し、後述する頭部14cの操作性向上の観点からは、大径ナット部14bが係止部12cに係止された状態で、頭部14c側の上面がジャッキ本体11の上面11bと同一面、又は、上面11bから僅かに露出する位置となる寸法であることが好ましい。
【0044】
頭部14cは、工具などで緊張用ナットを軸周りに回転させる部位である。このため、頭部14cは、ナットと同様に工具などが嵌合される角柱状に形成されており、例えば、図に示したように六角柱状に形成されている。
【0045】
頭部14cの最大外径は、工具により頭部14cを回動させることができれば如何なる寸法であってもよいが、緊張用ナット14の貫通孔12への挿入作業性の観点から、大径ナット部14bの外径よりも小さい寸法であることが好ましい。
【0046】
ナット回し部材15には、中心部に固定用ナット32に嵌合する嵌合穴15aが形成されており、この嵌合穴15aを中心軸とした円板状に形成されている。ナット回し部材15の外径半径は、嵌合穴15aに固定用ナット32を嵌合した際にナット回し部材15がスペーサ23及びピストンロッド13bと干渉しないように、嵌合穴15aの中心軸からスペーサ23又はピストンロッド13bまでの最短距離よりも小さい寸法となっている。
【0047】
このナット回し部材15の外周面は、指などでナット回し部材15を回しやすいように粗面化処理されている。粗面化処理は、例えば、ナット回し部材15の外周面を格子状の凹凸に形成することにより行われる。
【0048】
更に、ナット回し部材15には、ナット回し部材15の半径方向に延びる複数の、例えば6個のガイド穴15bが等間隔で形成されている。このガイド穴15bは、ナット回し部材15を回転するためのガイド棒24を挿入するための穴であり、ナット回し部材15の外周面から嵌合穴15aの中心に向かって形成されている。ガイド棒24は、直線の棒状に形成されており、その長さは、ガイド穴15bに挿入した際に、スペーサ23から外方に突出する寸法となっている。この6個のガイド穴15bのうち、1つ置きの3個のガイド穴15bに、前述の係止部材34が設けられる。
【0049】
次に、本発明の緊張用ジャッキ装置10を用いたPC鋼棒5の緊張方法について説明する。
【0050】
図9は、PC鋼棒5が挿通された構造物30にジャッキ本体11を設置した状態を示す図である。図10は、PC鋼棒5に緊張用ナット14を螺合させた状態を示した図である。図11は、ピストン13を往動させた状態を示した図である。図12は、PC鋼棒5の緊張力を固定用ナット32に盛り替えた状態を示した図である。
【0051】
まず、図9に示すように、初期状態として、PC鋼棒5の上端の水平板部3aから突出して部分に螺合している固定用ナット32にナット回し部材15を嵌合させておく。
【0052】
また、ピストン13を復動させて、ピストンヘッド13aを最も上面11b側に配置した状態にしておく。ピストン13の復動は、第一油圧制御部18により上部シリンダ領域16aから作動油を引き戻すとともに、第二油圧制御部20により下部シリンダ領域16bに作動油を送り出すことにより行う(図5、図7、図8参照)。
【0053】
そして、固定用ナット32から突出したPC鋼棒5の先端がジャッキ本体11の貫通孔12に挿入されるように、PC鋼棒5の軸線と貫通孔12の軸線とを合致させてジャッキ本体11を構造物30に当接させる。このとき、構造物30には、スペーサ23が当接するが、このスペーサ23は、ピストンロッド13bの下端に一体に取り付けられている固定用ナット32と略同一高さであるため、固定用ナット32に干渉されること無くジャッキ本体11を構造物30に当接することができる。
【0054】
次に、図10に示すように、緊張用ナット14を貫通孔12に挿入する。そして、被係止面14eが係止部12cに当接するまで、工具などで頭部14cを回転させて、PC鋼棒5の端部に刻設された雄ネジを螺合穴14dに刻設された雌ネジに螺合させる。緊張用ナット14は、滑り材31により円滑に回転できる。これにより、緊張用ナット14とPC鋼棒5とが連結されるとともに、大径ナット部14bの被係止面14eが係止部12cにより底面11a側(構造物30側)から係止される。なお、PC鋼棒5と螺合穴14dとが螺合される長さは、PC鋼棒5の直径の1.5倍以上であることが好ましい。
【0055】
次に、図11に示すように、ピストン13を往動させて、ピストンロッド13bをジャッキ本体11から下方へ突出させる。ピストン13の往動は、第一油圧制御部18により上部シリンダ領域16aに作動油を送り出すとともに、第二油圧制御部20により下部シリンダ領域16bから作動油を引き戻すことにより行う(図5、図7、図8参照)。
【0056】
すると、ジャッキ本体11が構造物30から離間する上方向に移動するため、ジャッキ本体11に係止された緊張用ナット14に連結されているPC鋼棒5が緊張されるとともに、固定用ナット32が構造物30から離間する。このとき、PC鋼棒5に作用している緊張力は、構造物30とPC鋼棒5との間に介在されるジャッキ本体11及び緊張用ナット14が受けている。そして、ナット回し部材15は、固定用ナット32と一体のワッシャ33により支持されているため、固定用ナット32と一体となって構造物30から離間する。
【0057】
次に、図12に示すように、スペーサ23の間からナット回し部材15を回転操作して固定用ナット32が構造物30に当接するまで増し締めする。ナット回し部材15の回転操作は、負荷がかかっていない間は、ナット回し部材15の外周面を指などで回転させることにより行う。そして、指などによるナット回し部材15の回転が困難になると、図4に示すように、ガイド棒24をガイド穴15bに挿入し、このガイド棒24を回転させることにより行う。このとき、スペーサ23との干渉によりガイド棒24の回転角度が制限されるため、ガイド棒24がスペーサ23に当接又は近接すると、一旦ガイド棒24をガイド穴15bから抜き出す。そして、ナット回し部材15の回転方向においてスペーサ23から遠い位置に配置された他のガイド穴15bに再度ガイド棒24を挿入し、ガイド棒24によるナット回し部材15の回転操作を繰り返す。
【0058】
そして、固定用ナット32が構造物30に当接すると、第一油圧制御部18により上部シリンダ領域16aから作動油を引き戻すとともに、第二油圧制御部20により下部シリンダ領域16bに作動油を送り出して、ピストン13を復動させる。すると、PC鋼棒5に作用している緊張力が、ジャッキ本体11及び緊張用ナット14から固定用ナット32に盛り替えられる。なお、このときのピストン13の復動量は、少なくとも、PC鋼棒5に作用している緊張力をジャッキ本体11及び緊張用ナット14から固定用ナット32に盛り替えることができる量であればよい。
【0059】
その後、工具などで緊張用ナット14の頭部14cを回転させて、緊張用ナット14とPC鋼棒5との連結を解除する。そして、緊張用ナット14を貫通孔12から抜き出し、ジャッキ本体11を構造物30から取り外し、ナット回し部材15を固定用ナット32から取り外す。これにより、PC鋼棒5の緊張が完了する。
なお、1回の操作でPC鋼棒5に所定の緊張力を付与できないときには、スペーサ23の高さの高いものを用いて図9から図12までの操作を何回か繰り返すことにより所定の緊張力を付与する。所定の緊張力かどうかは、ピストン13に加える油圧の検出等によることができる。
【0060】
以上説明したように、本実施形態に係る緊張用ジャッキ装置10によれば、ジャッキ本体11の貫通孔12に挿入される緊張用ナット14にPC鋼棒5を連結することで、緊張用ジャッキ装置10の厚みを薄くすることができるため、作業空間が狭い場所においてもPC鋼棒5を緊張させることができる。そして、緊張用ナット14の小径ナット部14aは、大径ナット部14bの構造物30側に延びているため、貫通孔12の長さに拘らず、緊張用ナット14とPC鋼棒5との連結位置を構造物30に近接させることができる。これにより、固定用ナット15及び緊張用ナット14の何れにもPC鋼棒5が連結されない構造物30と緊張用ナット14との間のデッドスペースを削減することができるため、更に作業空間が狭い場所においてもPC鋼棒5を緊張させることができる。しかも、ジャッキ本体11は、開放端の無い無端のセンターホール形に形成されるため、各ピストン13に作用する力が違ったとしても、これらの力をジャッキ本体11内に閉じ込めることができるため、ジャッキ本体11が歪むのを防止することができる。
【0061】
また、緊張用ナット14の頭部14cは常にジャッキ本体11から露出するため、外部からの緊張用ナットの操作性を向上することができる。
【0062】
また、貫通孔12を中心とした同一円周上に等間隔にピストン13を配置することで、高精度にPC鋼棒5を軸線方向に緊張させることができる。
【0063】
また、固定用ナット32にナット回し部材15を嵌合させると、より外側に配置されるナット回し部材15を回転させることで固定用ナット32を回転させることができるため、固定用ナット32の回転操作性を向上させることができる。
【0064】
また、ガイド棒24をガイド穴15bに挿入することで、複数のピストンロッド13bの外側からナット回し部材15を回転させることができるため、固定用ナット32の回転操作性を更に向上させることができる。
【0065】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、緊張用部材の一例として緊張用ナット14を用いて説明したが、緊張用部材は、貫通孔に挿入されて鋼棒に連結されるものであって、係止部に係止される被係止部と、被係止部の構造物側に延びて鋼棒に連結される連結部とを備えるものであれば如何なるものであってもよい。
また、前記実施例では、ジャッキ本体11の形状を三角形とし、3箇のピストン13を等しい中心角で配置した。しかし、これに限られるものではなく、ピストン13は、2箇以上の複数個で、鋼棒5からそれぞれのピストン13までの距離と中心角を等しくし、ジャッキ本体11の形状をピストン13の数に対応した正多角形や歯車状の形にしたり、円形にしたりすることもできる。特に、歯車状の形にすると、隣り同士を互いに噛み合うように配置できるので、隣り合う2本の鋼棒5の距離dが近くても、鋼棒5から各ピストン13までの距離を大きくとることができる
【0066】
また、上記実施形態では、この緊張用ナット14に形成される螺合穴14dを、連結部に対応する小径ナット部14aにのみ形成するものとして説明したが、この螺合穴を、大径ナット部にまで形成してもよく、緊張用ナットを貫通して形成してもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、PC鋼棒5と緊張用ナット14との連結を螺合により行うものとして説明したが、PC鋼棒5に作用する引張強度に耐えることができれば、如何なる連結手法を用いてもよい。例えば、PC鋼棒の端部に凹部を形成するとともに、連結部材である緊張用ナットに当該切り欠きに引っ掛けられる凸部を形成し、この凸部を凹部に嵌め込むことで、PC鋼棒と緊張用ナットとを連結してもよい。
【0068】
なお、上記実施形態では、緊張用ジャッキ装置10の具体的な寸法や、ピストン13のストローク長などは特に説明しなかったが、緊張用ジャッキ装置10を用いる場所や状況に応じて、適宜設定することが可能である。
【0069】
また、上記実施形態では、緊張用ジャッキ装置10を図1及び図2に示すような大梁1に連結部材4を取り付ける場合に用いるものとして説明したが、緊張用ジャッキ装置10は如何なる場所や状況においても用いることができる。例えば、カルバートを構成する複数の部材をPC鋼棒で連結固定する際に作業空間が十分取れない場合などにも、本発明の緊張用ジャッキ装置を用いることができる。
【0070】
さらに、上記実施形態では、緊張用ジャッキ装置10によるPC鋼棒5の緊張方向が上下方向で、かつ、上下方向の作業空間が十分取れない場合について説明したが、緊張方向が横方向、斜め方向などであって、横方向、斜め方向などの作業空間が十分取れない場合であっても本発明の緊張用ジャッキ装置を用いることができる。
【符号の説明】
【0071】
1…大梁、2…筋交部材、2a…連結片、2b…連結片、3…支持部材、3a…水平板部、3b…垂直板部、3c…連結片、4…連結部材、5…PC鋼棒、5a〜5h…鋼棒、10…緊張用ジャッキ装置、11…ジャッキ本体、11a…底面、11b…上面、12…貫通孔、12a…小径孔部、12b…大径孔部、12c…係止部、13…ピストン、13a…ピストンヘッド、13b…ピストンロッド、14…緊張用ナット、14a…小径ナット部(連結部)、14b…大径ナット部(被係止部)、14c…頭部、14d…螺合穴、14e…被係止面(被係止部)、15…ナット回し部材、15a…嵌合穴、15b…ガイド穴、15c…ボール、15d…コイルばね、15e…押しねじ、16…シリンダ、16a…上部シリンダ領域、16b…下部シリンダ領域、17…第一油道、18…第一油圧制御部、19…第二油道、20…第二油圧制御部、21…シール部材、22…シール部材、23…スペーサ、24…ガイド棒、30…構造物、31…滑り材、32…固定用ナット、33…ワッシャ、34…係止部材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物に挿通された鋼棒を狭い場所でも緊張することのできる緊張用ジャッキ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、作動油の油圧によりピストンロッドが往復動する緊張用ジャッキ装置により、コンクリート構造物や鉄骨構造物などの構造物に挿通された鋼棒(例えば、PC鋼棒)を緊張することが行われている。具体的に説明すると、まず、構造物とジャッキとの間に配置されるラムチェアー内でPC鋼棒をテンションバーに連結し、このテンションバーの端部に固定された緊張用ナットをジャッキに連結する。次に、ジャッキのピストンロッドを押し出してテンションバーを引っ張ることで、PC鋼棒を緊張させる。すると、固定用ナットが構造物から離間するため、この固定用ナットを増し締めして構造物に当接させる。そして、ジャッキのピストンロッドを引き戻して緊張用ナットで受けていたPC鋼棒の引張力を固定用ナットに盛り替えている。
【0003】
特許文献1には、作業空間が狭い場所においてもPC鋼棒を緊張させることができるジャッキが開示されている。特許文献1に記載されたジャッキは、作動油の油圧により往復動するピストンロッドが複数個嵌め込まれたジャッキ本体をU字状に形成し、このU字状の溝にPC鋼棒を横方向から介挿するとともに、この溝の上端面に緊張用ナットを支持する緊張用ナット受部を形成するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−311143号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、高い引張力を受ける緊張用ナットをジャッキ本体で支持するためには、ジャッキ本体の厚みを大きくする必要がある。しかしながら、特許文献1に記載されたジャッキのように、緊張用ナットとして一般的な形状のナットを採用すると、PC鋼棒が介挿される溝の厚さ分だけ、固定用ナット及び緊張用ナットの何れにもPC鋼棒が連結されないデッドスペースができる。このため、特許文献1に記載されたジャッキでは、構造物からPC鋼棒を当該デッドスペース分だけ長く引き出さないと、PC鋼棒を緊張用ナットに連結することができないため、PC鋼棒を緊張させることができないという問題がある。
【0006】
また、1つのジャッキ本体に複数個のピストンロッドを設けると、様々な影響により各ピストンロッドに作用する力が違ってくることも考えられる。このような場合、特許文献1に記載されたジャッキのように、ジャッキ本体を一方に開放されたU字状に形成すると、各ピストンロッドから受ける力がジャッキ本体の開放端で開放されることで、ジャッキ本体が大きく歪んでしまうという問題もある。
【0007】
そこで、本発明は、デッドスペースを削減することにより作業空間が狭い場所においても鋼棒を緊張させることができるとともに歪の生じ難い緊張用ジャッキ装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る橋梁支持ワイヤの張力検出装置は、構造物に挿通された鋼棒を緊張する緊張用ジャッキ装置であって、中心部に貫通孔が形成されたセンターホール形のジャッキ本体と、ジャッキ本体の貫通孔の周囲に嵌め込まれて、作動油により構造物側への往復動が可能な複数のピストンと、貫通孔に挿入されてPC鋼棒に連結される緊張用部材とを有し、ジャッキ本体には、構造物側から緊張用部材を係止する係止部が形成されており、緊張用部材には、係止部に係止される被係止部と、被係止部の構造物側に延びて鋼棒に連結される連結部とが形成されていることを特徴とすることで課題を解決している。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に係る発明によれば、構造物に挿通された鋼棒を緊張する緊張用ジャッキ装置であって、中心部に貫通孔が形成されたセンターホール形のジャッキ本体と、ジャッキ本体の貫通孔の周囲に嵌め込まれて、作動油により構造物側への往復動が可能な複数のピストンと、貫通孔に挿入されて鋼棒に連結される緊張用部材とを有し、ジャッキ本体には、構造物側から緊張用部材を係止する係止部が形成されており、緊張用部材には、係止部に係止される被係止部と、被係止部の構造物側に延びて鋼棒に連結される連結部とが形成されることにより、以下の効果を有する。
【0010】
すなわち、ジャッキ本体の貫通孔に緊張用部材を挿入して連結部を鋼棒に連結させるとともに被係止部をジャッキ本体の係止部に係止させ、この状態でピストンを往動させることで、鋼棒を緊張させることができる。このように、ジャッキ本体の貫通孔に挿入される緊張用部材に鋼棒を連結することで、緊張用ジャッキ装置全体の厚みを薄くすることができるため、作業空間が狭い場所においても鋼棒を緊張させることができる。そして、緊張用部材の連結部は、被係止部の構造物側に延びているため、貫通孔の長さに拘らず、緊張用部材と鋼棒との連結位置を構造物に近接させることができる。これにより、固定用ナット及び緊張用ナットの何れにも鋼棒が連結されない構造物と緊張用部材との間のデッドスペースを削減することができるため、更に作業空間が狭い場所においても鋼棒を緊張させることができる。しかも、ジャッキ本体は、開放端の無い無端のセンターホール形に形成されるため、各ピストンに作用する力が違ったとしても、これらの力をジャッキ本体内に閉じ込めることができるため、ジャッキ本体が歪むのを防止することができる。
【0011】
請求項2に係る発明によれば、緊張用部材に、被係止部が係止部に係止された際に、ジャッキ本体から露出する頭部を形成したものからなるため、ジャッキ本体の係止部の形成位置によっては緊張用部材がジャッキ本体に埋没するが、なお緊張用部材の頭部はジャッキ本体から露出する。このため、外部からの緊張用部材の操作性を向上することができ、例えば、頭部をボルトのように多角形に形成することで、外部から緊張用部材を容易に回転させることができる。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、複数のピストンを、貫通孔を中心とした同一円周上に等間隔に配置したものからなるため、高精度に鋼棒を軸線方向に緊張させることができる。
【0013】
請求項4に係る発明によれば、鋼棒に螺合されて構造物に係止される固定用ナットに嵌合される嵌合穴が中心部に形成されて、固定用ナットの半径方向外側に延びるナット回し部材を更に備えたものからなるため、以下の効果を有する。すなわち、複数のピストンの内側に配置され固定用ナットを回転させるのは困難であるが、固定用ナットにナット回し部材を嵌合させると、より外側に配置されるナット回し部材を回転操作することで固定用ナットを回転させることができるため、固定用ナットの回転操作性を向上させることができる。
【0014】
請求項5に係る発明によれば、ナット回し部材が、嵌合穴を中心軸とした円板状に形成されて、ナット回し部材を回転させるためのガイド棒が挿入される半径方向に延びるガイド穴が形成されたものからなるため、ガイド棒をガイド穴に挿入することで、複数のピストンの外側からナット回し部材の回転操作を行える。これにより、固定用ナットの回転操作性を更に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】大梁に筋交部材を取り付ける状態を示した正面図である。
【図2】図1に示す筋交部材の取り付け構造を示したA−A線断面図である。
【図3】隣り合う2本のPC鋼棒にそれぞれ本実施形態に係る緊張用ジャッキ装置を取り付けた状態の平面図である。
【図4】図3に示す緊張用ジャッキ装置の底面図である。
【図5】図3に示す緊張用ジャッキ装置の一部を切り欠いたB−B線断面図である。
【図6】(a)は、緊張用ナットの一部切り欠いた断面図、(b)は、ナット回し部材の断面図である。
【図7】図5に示すC−C線の断面図である。
【図8】図5に示すD−D線の断面図である。
【図9】PC鋼棒が挿通された構造物にジャッキ本体を設置した状態の一部切り欠いた断面図である。
【図10】PC鋼棒に緊張用ナットを螺合させた状態の一部切り欠いた断面図である。
【図11】ピストンを往動させてPC鋼棒を緊張した状態の一部切り欠いた断面図である。
【図12】PC鋼棒の緊張力を固定用ナットに盛り替えた状態の一部切り欠いた断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明に係る緊張用ジャッキ装置の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、全図中、同一又は相当部分には同一符号を付すこととする。
【0017】
まず、本実施形態に係る緊張用ジャッキ装置を説明する前に、図1及び図2を参照して、本実施形態に係る緊張用ジャッキ装置の適用例について説明する。
【0018】
図1は、構造物30を構成する大梁1に筋交部材2を取り付ける状態を示した正面図である。図2は、図1に示す筋交部材2の取り付け構造を示したA−A線断面図である。
これらの図1及び図2に示すように、本発明に係る緊張用ジャッキ装置10は、次のような作業空間が狭い場合に用いられる。例えば、大梁1を格子状に組み込み施工された構造物30において、大梁1の斜め方向に筋交部材2が配置される。この筋交部材2を大梁1に連結する場合に、筋交部材2を支持する支持部材3が複数本の鋼棒5で大梁1と相対する大梁1の角隅部分に取り付けられるが、本発明に係る緊張用ジャッキ装置10は、この鋼棒5を作業空間の狭い場所で緊張しようとする場合に用いられる。
なお、前記鋼棒5は、以下の実施例でPC鋼棒として説明するが、それ以外に、ねじ付き鋼棒とアンカーボルトの組み合わせなどであってもよい。
【0019】
前記支持部材3は、大梁1に連結される平板状の水平板部3aと、水平板部3aに対して垂直方向に立設されて筋交部材2に連結される平板状の垂直板部3bと、筋交部材2が配置される方向に向くように垂直板部3bに対して垂直方向に立設されて筋交部材2に連結される平板状の連結片3cとを備えている。
【0020】
前記筋交部材2は、角管状に形成されており、その先端部に、垂直板部3bと連結片3cを挟み込む連結片2aを備えている。これらの筋交部材2と支持部材3を互いに連結するために連結片2aと連結片3cにより連結部材4を構成している。
【0021】
このように構成される前記筋交部材2を大梁1に取り付ける際は、まず、一対の支持部材3を大梁1の上下面に当接させ、両端部に雄ネジが刻設された棒状のPC鋼棒5を上下の支持部材3の水平板部3a及び大梁1に貫通させる。次に、上下の水平板部3aから露出した各PC鋼棒5の両端に固定用ナットを螺合し、大梁1と支持部材3とを仮止めする。
次いで、筋交部材2と支持部材3とを連結部材4で連結する。そして、大梁1と支持部材3との連結強度を向上させるために、緊張用ジャッキ装置によりPC鋼棒5を一方(例えば上)側から緊張させて、PC鋼棒5に螺合した固定用ナットを増し締めし、緊張用ジャッキ装置で受けているPC鋼棒5の緊張力を固定用ナットに盛り替える。
【0022】
ところで、図1の中央部に図示した支持部材3は、8本のPC鋼棒5(5a〜5h)により大梁1に連結されている。そのうち、中央側に配置される4本のPC鋼棒5c〜5fは、軸線延長線上に障害物が無く十分な作業空間が確保できるため、従来の軸線方向に長い緊張用ジャッキ装置6を用いて緊張させることが可能である。しかしながら、両端側に配置される4本のPC鋼棒5a,5b,5g,5hは、これらPC鋼棒5の軸線延長線上に連結部材4が配置されて十分な作業空間を確保できないため、図1の鎖線のように軸線方向に長い従来の緊張用ジャッキ装置6を用いて緊張させることが不可能である。
【0023】
そこで、PC鋼棒5a,5b,5g,5hのように十分な作業空間を確保できないPC鋼棒を緊張する際に、本実施形態に係る緊張用ジャッキ装置10が用いられる。
【0024】
図3は、本実施形態に係る緊張用ジャッキ装置10の平面図である。図4は、図3に示す緊張用ジャッキ装置の底面図である。図5は、図3に示す緊張用ジャッキ装置の一部を切り欠いたB−B線断面図である。
【0025】
図3〜図5に示すように、本実施形態に係る緊張用ジャッキ装置10は、中心部に貫通孔12が形成されたセンターホール形のジャッキ本体11と、ジャッキ本体11に嵌め込まれてピストンヘッド13aとピストンロッド13bとを備える略円柱状のピストン13と、貫通孔12に挿入される緊張用ナット14と、PC鋼棒5に螺合された固定用ナット32に嵌合されるナット回し部材15とを備えている。前記固定用ナット32の下端部には、ワッシャ33が設けられている。
前記固定用ナット32とワッシャ33は、互いに独立した汎用のものが用いられる。この場合、図11にて後述するように、固定用ナット32が上昇すると、ワッシャ33が置き去りになり、ナット回し部材15が固定用ナット32から外れることになる。そこで、図6(b)に示すように、ナット回し部材15の6個のガイド穴15bのうちの1つ置きの3個のガイド穴15bに、ボール15cと、コイルばね15dと、押しねじ15eからなる係止部材34を設け、このナット回し部材15の嵌合穴15aに固定用ナット32を上から嵌合すると、固定用ナット32の外周に係止して脱落しないようになっている。
なお、固定用ナット32とワッシャ33が一体のものを用いれば、ナット回し部材15がワッシャ33に係止するので、係止部材34は不要である。
【0026】
前記ジャッキ本体11は、角が面取りされた三角形の横断面に形成されており、構造物30側に配置される底面11aと構造物30の反対側に配置される上面11bとを備えた所定厚さの平板状に形成されている。このジャッキ本体11には、作動油が充填されてピストンヘッド13aが嵌め込まれるシリンダ16が、貫通孔12の周囲3箇所に形成されている。これらのシリンダ16は、貫通孔12を中心とした同一円周上に等間隔に形成されている。
前記ジャッキ本体11の形状を三角形としたのは、PC鋼棒5から3箇所のピストン13までの距離を等しくして均等な荷重を受けられることと、図3に示すように、隣り合うPC鋼棒5aと5bの距離dが近くてもジャッキ本体11の向きを180度変えてセットすることにより、PC鋼棒5から3箇所のピストン13までの距離を大きくとることができることによる。
【0027】
前記各シリンダ16は、貫通孔12の軸線方向と平行な方向に延びており、ジャッキ本体11の底面11aに開口している。このため、各ピストン13は、ピストンヘッド13aがシリンダ16内を摺動することで、ピストンヘッド13aがシリンダ16内を上面11b側から底面11a側に摺動してピストンロッド13bがジャッキ本体11側から構造物30側に進行する往動と、ピストンヘッド13aがシリンダ16内を底面11a側から上面11b側に摺動してピストンロッド13bが構造物30側からジャッキ本体11側に後退する復動とが可能となっている。
【0028】
図7は、図5に示すC−C線の断面図である。図7に示すように、全てのシリンダ16は、ピストンヘッド13aの上面11b側に配置される上部シリンダ領域16aにおいて、隣接する両隣のシリンダ16と第一油道17により連通されており、上部シリンダ領域16aに充填される作動油の油圧が、全てのシリンダ16において均一に保持されている。そして、この第一油道17には、第一油道17に作動油を送り出すと共に引き戻す第一油圧制御部18が連結されている。この第一油圧制御部18は、ピストン13を往動させる際に第一油道17に作動油を送り出し、ピストン13を復動させる際に第一油道17から作動油を引き戻す。なお、図7では、第一油圧制御部18のうち、ジャッキ本体11に連結されるコネクタ部分のみを図示している。
【0029】
図8は、図5に示すD−D線の断面図である。図8に示すように、全てのシリンダ16は、ピストンヘッド13aの底面11a側に配置される下部シリンダ領域16bにおいて、隣接する両隣のシリンダ16と第二油道19により連通されており、下部シリンダ領域16bに充填される作動油の油圧が、全てのシリンダ16において均一に保持されている。そして、この第二油道19には、第二油道19に作動油を送り出すと共に引き戻す第二油圧制御部20が連結されている。この第二油圧制御部20は、ピストン13を往動させる際に第二油道19から作動油を引き戻し、ピストン13を復動させる際に第二油道19に作動油を送り出す。なお、図8では、第二油圧制御部20のうち、ジャッキ本体11に連結されるコネクタ部分のみを図示している。
【0030】
そして、図5に示すように、ピストンヘッド13aの外周面には、シリンダ16の内周面に当接して上部シリンダ領域16aと下部シリンダ領域16bとの間をシールするシール部材21が嵌入されており、シリンダ16の内周面には、ピストンロッド13bに当接して下部シリンダ領域16bとジャッキ本体11との間をシールするシール部材22が嵌入されている。
【0031】
前記ピストンロッド13bの軸線方向の長さは、ピストンヘッド13aが最も底面11a側に後退した際に、ピストンロッド13bの先端が、ジャッキ本体11の底面11aと同一面、又は、底面11aから僅かに構造物30側に露出した位置になる寸法となっている。そして、ピストンロッド13bの先端には、ピストンロッド13bの軸線上に延びるスペーサ23が取り付けられている。
【0032】
スペーサ23は、ピストンロッド13bと略同径の円柱状に形成されており、構造物30と底面11aとの間に空間を形成して、ジャッキ本体11に固定用ナット32が当接するのを防止するための部材である。このスペーサ23は、固定用ナット32がジャッキ本体11に当接しないように、固定用ナット32の長さ(図5において上下方向の寸法)と同一、又は、固定用ナット32の高さよりも僅かに高い隙間ができる寸法となっている。
なお、このスペーサ23は、固定用ナット32の高さに応じた高さのものと交換することができる。
【0033】
前記ジャッキ本体11に形成される貫通孔12の内径は、PC鋼棒5の外径よりも大きい寸法となっている。また、貫通孔12は、軸線方向に沿って内径が異なる2段構造になっており、底面11a側に内径の小さい小径孔部12aが形成され、上面11b側に内径の大きい大径孔部12bが形成されている。
【0034】
前記小径孔部12aは、貫通孔12の軸線を中心軸とした円状に形成されており、その内径は、PC鋼棒5の外径よりも大きい寸法となっている。
【0035】
前記大径孔部12bは、小径孔部12aと同様に貫通孔12の軸線を中心軸とした円状に形成されており、その内径は、小径孔部12aの内径よりも大きい寸法となっている。また、大径孔部12bがシリンダ16を侵食しないように、大径孔部12bの内径半径は、貫通孔12の中心からシリンダ16までの最短距離よりも小さい寸法となっている。
【0036】
そして、小径孔部12aと大径孔部12bとの接続箇所には、小径孔部12aから大径孔部12bにかけて内径が不連続に大きくなる段状の係止部12cが形成されている。このため、小径孔部12aの内径よりも大きく、大径孔部12bの内径以下の部材が上面11bから貫通孔12に挿入されると、この部材は係止部12cにより底面11a側から係止され、底面11a側への移動が阻止される。
【0037】
なお、小径孔部12aの内周面には、貫通孔12に挿入される緊張用ナット14との摩擦を軽減するために、メタル部材などの滑り材31が配置されている。また、小径孔部12aの底面11a側端部には、緊張用ナット14の位置決めを行うとともに滑り材31の落下防止を行うために、半径方向内側に突出した突起が形成されている。
【0038】
図6(a)は、緊張用ナット14の一部切り欠いた断面図である。この緊張用ナット14は、軸線方向において外径の異なる3段構造になっている。すなわち、緊張用ナット14は、貫通孔12に挿入された状態において、ジャッキ本体11の底面11a側から順に、小径孔部12aに挿入される小径ナット部14a、大径孔部12bに挿入されて係止部12cに係止される大径ナット部14b、ジャッキ本体11の上面11bから露出する頭部14cが形成されている。
【0039】
小径ナット部14aは、円柱状に形成されており、その外径は、小径孔部12aの滑り材31の内径以下となっている。但し、小径孔部12aに挿入された小径ナット部14aのぐらつきを防止する観点から、小径ナット部14aの外径は、小径孔部12aの滑り材31の内径と同一、又は、小径孔部12aの滑り材31の内径よりも僅かに小さい寸法であることが好ましい。
【0040】
小径ナット部14aの半径方向中心部には、PC鋼棒5が螺合される螺合穴14dが形成されている。螺合穴14dは、小径ナット部14aの先端部において開口しており、その内周面には、PC鋼棒5の端部に刻設された雄ネジと噛み合う雌ネジが刻設されている。螺合穴14dの奥行きは、特に制限されないが、PC鋼棒5との螺合強度の観点から、PC鋼棒5の直径の1.5倍以上であることが好ましい。
なお、螺合穴14dが形成される小径ナット部14aの肉厚は、緊張したPC鋼棒5を十分保持することが可能な厚みとなっている。
【0041】
小径ナット部14aの軸線方向の長さは、特に限定されるものではない。但し、固定用ナット32と小径ナット部14aとの間の離間距離を縮める観点からは、大径ナット部14bが係止部12cに係止された状態で、小径ナット部14aの先端がジャッキ本体11の底面11aと同一面、又は、ジャッキ本体11から僅かに埋没した位置となる寸法であることが好ましい。
【0042】
大径ナット部14bは、円柱状に形成されており、その外径は、小径孔部12aの内径より大きく、大径部の内径以下となっている。これにより、緊張用ナット14を貫通孔12に挿入すると、小径ナット部14aは小径孔部12aに挿入されるが、大径ナット部14bの小径ナット部14a側の面である被係止面14eが係止部12cに当接されるため、大径ナット部14bは、小径孔部12aに挿入さることなく係止部12cに係止される。
【0043】
大径ナット部14bの軸線方向の長さは、大径ナット部14bが係止部12cに係止された際に頭部14cが上面11bから露出すれば、如何なる寸法であってもよい。但し、後述する頭部14cの操作性向上の観点からは、大径ナット部14bが係止部12cに係止された状態で、頭部14c側の上面がジャッキ本体11の上面11bと同一面、又は、上面11bから僅かに露出する位置となる寸法であることが好ましい。
【0044】
頭部14cは、工具などで緊張用ナットを軸周りに回転させる部位である。このため、頭部14cは、ナットと同様に工具などが嵌合される角柱状に形成されており、例えば、図に示したように六角柱状に形成されている。
【0045】
頭部14cの最大外径は、工具により頭部14cを回動させることができれば如何なる寸法であってもよいが、緊張用ナット14の貫通孔12への挿入作業性の観点から、大径ナット部14bの外径よりも小さい寸法であることが好ましい。
【0046】
ナット回し部材15には、中心部に固定用ナット32に嵌合する嵌合穴15aが形成されており、この嵌合穴15aを中心軸とした円板状に形成されている。ナット回し部材15の外径半径は、嵌合穴15aに固定用ナット32を嵌合した際にナット回し部材15がスペーサ23及びピストンロッド13bと干渉しないように、嵌合穴15aの中心軸からスペーサ23又はピストンロッド13bまでの最短距離よりも小さい寸法となっている。
【0047】
このナット回し部材15の外周面は、指などでナット回し部材15を回しやすいように粗面化処理されている。粗面化処理は、例えば、ナット回し部材15の外周面を格子状の凹凸に形成することにより行われる。
【0048】
更に、ナット回し部材15には、ナット回し部材15の半径方向に延びる複数の、例えば6個のガイド穴15bが等間隔で形成されている。このガイド穴15bは、ナット回し部材15を回転するためのガイド棒24を挿入するための穴であり、ナット回し部材15の外周面から嵌合穴15aの中心に向かって形成されている。ガイド棒24は、直線の棒状に形成されており、その長さは、ガイド穴15bに挿入した際に、スペーサ23から外方に突出する寸法となっている。この6個のガイド穴15bのうち、1つ置きの3個のガイド穴15bに、前述の係止部材34が設けられる。
【0049】
次に、本発明の緊張用ジャッキ装置10を用いたPC鋼棒5の緊張方法について説明する。
【0050】
図9は、PC鋼棒5が挿通された構造物30にジャッキ本体11を設置した状態を示す図である。図10は、PC鋼棒5に緊張用ナット14を螺合させた状態を示した図である。図11は、ピストン13を往動させた状態を示した図である。図12は、PC鋼棒5の緊張力を固定用ナット32に盛り替えた状態を示した図である。
【0051】
まず、図9に示すように、初期状態として、PC鋼棒5の上端の水平板部3aから突出して部分に螺合している固定用ナット32にナット回し部材15を嵌合させておく。
【0052】
また、ピストン13を復動させて、ピストンヘッド13aを最も上面11b側に配置した状態にしておく。ピストン13の復動は、第一油圧制御部18により上部シリンダ領域16aから作動油を引き戻すとともに、第二油圧制御部20により下部シリンダ領域16bに作動油を送り出すことにより行う(図5、図7、図8参照)。
【0053】
そして、固定用ナット32から突出したPC鋼棒5の先端がジャッキ本体11の貫通孔12に挿入されるように、PC鋼棒5の軸線と貫通孔12の軸線とを合致させてジャッキ本体11を構造物30に当接させる。このとき、構造物30には、スペーサ23が当接するが、このスペーサ23は、ピストンロッド13bの下端に一体に取り付けられている固定用ナット32と略同一高さであるため、固定用ナット32に干渉されること無くジャッキ本体11を構造物30に当接することができる。
【0054】
次に、図10に示すように、緊張用ナット14を貫通孔12に挿入する。そして、被係止面14eが係止部12cに当接するまで、工具などで頭部14cを回転させて、PC鋼棒5の端部に刻設された雄ネジを螺合穴14dに刻設された雌ネジに螺合させる。緊張用ナット14は、滑り材31により円滑に回転できる。これにより、緊張用ナット14とPC鋼棒5とが連結されるとともに、大径ナット部14bの被係止面14eが係止部12cにより底面11a側(構造物30側)から係止される。なお、PC鋼棒5と螺合穴14dとが螺合される長さは、PC鋼棒5の直径の1.5倍以上であることが好ましい。
【0055】
次に、図11に示すように、ピストン13を往動させて、ピストンロッド13bをジャッキ本体11から下方へ突出させる。ピストン13の往動は、第一油圧制御部18により上部シリンダ領域16aに作動油を送り出すとともに、第二油圧制御部20により下部シリンダ領域16bから作動油を引き戻すことにより行う(図5、図7、図8参照)。
【0056】
すると、ジャッキ本体11が構造物30から離間する上方向に移動するため、ジャッキ本体11に係止された緊張用ナット14に連結されているPC鋼棒5が緊張されるとともに、固定用ナット32が構造物30から離間する。このとき、PC鋼棒5に作用している緊張力は、構造物30とPC鋼棒5との間に介在されるジャッキ本体11及び緊張用ナット14が受けている。そして、ナット回し部材15は、固定用ナット32と一体のワッシャ33により支持されているため、固定用ナット32と一体となって構造物30から離間する。
【0057】
次に、図12に示すように、スペーサ23の間からナット回し部材15を回転操作して固定用ナット32が構造物30に当接するまで増し締めする。ナット回し部材15の回転操作は、負荷がかかっていない間は、ナット回し部材15の外周面を指などで回転させることにより行う。そして、指などによるナット回し部材15の回転が困難になると、図4に示すように、ガイド棒24をガイド穴15bに挿入し、このガイド棒24を回転させることにより行う。このとき、スペーサ23との干渉によりガイド棒24の回転角度が制限されるため、ガイド棒24がスペーサ23に当接又は近接すると、一旦ガイド棒24をガイド穴15bから抜き出す。そして、ナット回し部材15の回転方向においてスペーサ23から遠い位置に配置された他のガイド穴15bに再度ガイド棒24を挿入し、ガイド棒24によるナット回し部材15の回転操作を繰り返す。
【0058】
そして、固定用ナット32が構造物30に当接すると、第一油圧制御部18により上部シリンダ領域16aから作動油を引き戻すとともに、第二油圧制御部20により下部シリンダ領域16bに作動油を送り出して、ピストン13を復動させる。すると、PC鋼棒5に作用している緊張力が、ジャッキ本体11及び緊張用ナット14から固定用ナット32に盛り替えられる。なお、このときのピストン13の復動量は、少なくとも、PC鋼棒5に作用している緊張力をジャッキ本体11及び緊張用ナット14から固定用ナット32に盛り替えることができる量であればよい。
【0059】
その後、工具などで緊張用ナット14の頭部14cを回転させて、緊張用ナット14とPC鋼棒5との連結を解除する。そして、緊張用ナット14を貫通孔12から抜き出し、ジャッキ本体11を構造物30から取り外し、ナット回し部材15を固定用ナット32から取り外す。これにより、PC鋼棒5の緊張が完了する。
なお、1回の操作でPC鋼棒5に所定の緊張力を付与できないときには、スペーサ23の高さの高いものを用いて図9から図12までの操作を何回か繰り返すことにより所定の緊張力を付与する。所定の緊張力かどうかは、ピストン13に加える油圧の検出等によることができる。
【0060】
以上説明したように、本実施形態に係る緊張用ジャッキ装置10によれば、ジャッキ本体11の貫通孔12に挿入される緊張用ナット14にPC鋼棒5を連結することで、緊張用ジャッキ装置10の厚みを薄くすることができるため、作業空間が狭い場所においてもPC鋼棒5を緊張させることができる。そして、緊張用ナット14の小径ナット部14aは、大径ナット部14bの構造物30側に延びているため、貫通孔12の長さに拘らず、緊張用ナット14とPC鋼棒5との連結位置を構造物30に近接させることができる。これにより、固定用ナット15及び緊張用ナット14の何れにもPC鋼棒5が連結されない構造物30と緊張用ナット14との間のデッドスペースを削減することができるため、更に作業空間が狭い場所においてもPC鋼棒5を緊張させることができる。しかも、ジャッキ本体11は、開放端の無い無端のセンターホール形に形成されるため、各ピストン13に作用する力が違ったとしても、これらの力をジャッキ本体11内に閉じ込めることができるため、ジャッキ本体11が歪むのを防止することができる。
【0061】
また、緊張用ナット14の頭部14cは常にジャッキ本体11から露出するため、外部からの緊張用ナットの操作性を向上することができる。
【0062】
また、貫通孔12を中心とした同一円周上に等間隔にピストン13を配置することで、高精度にPC鋼棒5を軸線方向に緊張させることができる。
【0063】
また、固定用ナット32にナット回し部材15を嵌合させると、より外側に配置されるナット回し部材15を回転させることで固定用ナット32を回転させることができるため、固定用ナット32の回転操作性を向上させることができる。
【0064】
また、ガイド棒24をガイド穴15bに挿入することで、複数のピストンロッド13bの外側からナット回し部材15を回転させることができるため、固定用ナット32の回転操作性を更に向上させることができる。
【0065】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態では、緊張用部材の一例として緊張用ナット14を用いて説明したが、緊張用部材は、貫通孔に挿入されて鋼棒に連結されるものであって、係止部に係止される被係止部と、被係止部の構造物側に延びて鋼棒に連結される連結部とを備えるものであれば如何なるものであってもよい。
また、前記実施例では、ジャッキ本体11の形状を三角形とし、3箇のピストン13を等しい中心角で配置した。しかし、これに限られるものではなく、ピストン13は、2箇以上の複数個で、鋼棒5からそれぞれのピストン13までの距離と中心角を等しくし、ジャッキ本体11の形状をピストン13の数に対応した正多角形や歯車状の形にしたり、円形にしたりすることもできる。特に、歯車状の形にすると、隣り同士を互いに噛み合うように配置できるので、隣り合う2本の鋼棒5の距離dが近くても、鋼棒5から各ピストン13までの距離を大きくとることができる
【0066】
また、上記実施形態では、この緊張用ナット14に形成される螺合穴14dを、連結部に対応する小径ナット部14aにのみ形成するものとして説明したが、この螺合穴を、大径ナット部にまで形成してもよく、緊張用ナットを貫通して形成してもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、PC鋼棒5と緊張用ナット14との連結を螺合により行うものとして説明したが、PC鋼棒5に作用する引張強度に耐えることができれば、如何なる連結手法を用いてもよい。例えば、PC鋼棒の端部に凹部を形成するとともに、連結部材である緊張用ナットに当該切り欠きに引っ掛けられる凸部を形成し、この凸部を凹部に嵌め込むことで、PC鋼棒と緊張用ナットとを連結してもよい。
【0068】
なお、上記実施形態では、緊張用ジャッキ装置10の具体的な寸法や、ピストン13のストローク長などは特に説明しなかったが、緊張用ジャッキ装置10を用いる場所や状況に応じて、適宜設定することが可能である。
【0069】
また、上記実施形態では、緊張用ジャッキ装置10を図1及び図2に示すような大梁1に連結部材4を取り付ける場合に用いるものとして説明したが、緊張用ジャッキ装置10は如何なる場所や状況においても用いることができる。例えば、カルバートを構成する複数の部材をPC鋼棒で連結固定する際に作業空間が十分取れない場合などにも、本発明の緊張用ジャッキ装置を用いることができる。
【0070】
さらに、上記実施形態では、緊張用ジャッキ装置10によるPC鋼棒5の緊張方向が上下方向で、かつ、上下方向の作業空間が十分取れない場合について説明したが、緊張方向が横方向、斜め方向などであって、横方向、斜め方向などの作業空間が十分取れない場合であっても本発明の緊張用ジャッキ装置を用いることができる。
【符号の説明】
【0071】
1…大梁、2…筋交部材、2a…連結片、2b…連結片、3…支持部材、3a…水平板部、3b…垂直板部、3c…連結片、4…連結部材、5…PC鋼棒、5a〜5h…鋼棒、10…緊張用ジャッキ装置、11…ジャッキ本体、11a…底面、11b…上面、12…貫通孔、12a…小径孔部、12b…大径孔部、12c…係止部、13…ピストン、13a…ピストンヘッド、13b…ピストンロッド、14…緊張用ナット、14a…小径ナット部(連結部)、14b…大径ナット部(被係止部)、14c…頭部、14d…螺合穴、14e…被係止面(被係止部)、15…ナット回し部材、15a…嵌合穴、15b…ガイド穴、15c…ボール、15d…コイルばね、15e…押しねじ、16…シリンダ、16a…上部シリンダ領域、16b…下部シリンダ領域、17…第一油道、18…第一油圧制御部、19…第二油道、20…第二油圧制御部、21…シール部材、22…シール部材、23…スペーサ、24…ガイド棒、30…構造物、31…滑り材、32…固定用ナット、33…ワッシャ、34…係止部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物に挿通された鋼棒を緊張する緊張用ジャッキ装置であって、
中心部に貫通孔が形成されたセンターホール形のジャッキ本体と、
前記ジャッキ本体の前記貫通孔の周囲に嵌め込まれて、作動油により前記構造物側への往復動が可能な複数のピストンロッドと、
前記貫通孔に挿入されて前記鋼棒に連結される緊張用部材と、
を有し、
前記ジャッキ本体には、前記構造物側から前記緊張用部材を係止する係止部が形成されており、
前記緊張用部材には、前記係止部に係止される被係止部と、前記被係止部の前記構造物側に延びて前記鋼棒に連結される連結部とが形成されていることを特徴とする緊張用ジャッキ装置。
【請求項2】
前記緊張用部材には、前記被係止部が前記係止部に係止された際に、前記ジャッキ本体から露出する頭部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の緊張用ジャッキ装置。
【請求項3】
前記複数のピストンロッドは、前記貫通孔を中心とした同一円周上に等間隔に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の緊張用ジャッキ装置。
【請求項4】
前記鋼棒に螺合されて前記構造物に係止される固定用ナットに嵌合される嵌合穴が中心部に形成されて、前記固定用ナットの半径方向外側に延びるナット回し部材を更に備えることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の緊張用ジャッキ装置。
【請求項5】
前記ナット回し部材は、前記嵌合穴を中心軸とした円板状に形成されており、前記ナット回し部材を回転させるためのガイド棒が挿入される半径方向に延びるガイド穴が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の緊張用ジャッキ装置。
【請求項1】
構造物に挿通された鋼棒を緊張する緊張用ジャッキ装置であって、
中心部に貫通孔が形成されたセンターホール形のジャッキ本体と、
前記ジャッキ本体の前記貫通孔の周囲に嵌め込まれて、作動油により前記構造物側への往復動が可能な複数のピストンロッドと、
前記貫通孔に挿入されて前記鋼棒に連結される緊張用部材と、
を有し、
前記ジャッキ本体には、前記構造物側から前記緊張用部材を係止する係止部が形成されており、
前記緊張用部材には、前記係止部に係止される被係止部と、前記被係止部の前記構造物側に延びて前記鋼棒に連結される連結部とが形成されていることを特徴とする緊張用ジャッキ装置。
【請求項2】
前記緊張用部材には、前記被係止部が前記係止部に係止された際に、前記ジャッキ本体から露出する頭部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の緊張用ジャッキ装置。
【請求項3】
前記複数のピストンロッドは、前記貫通孔を中心とした同一円周上に等間隔に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の緊張用ジャッキ装置。
【請求項4】
前記鋼棒に螺合されて前記構造物に係止される固定用ナットに嵌合される嵌合穴が中心部に形成されて、前記固定用ナットの半径方向外側に延びるナット回し部材を更に備えることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の緊張用ジャッキ装置。
【請求項5】
前記ナット回し部材は、前記嵌合穴を中心軸とした円板状に形成されており、前記ナット回し部材を回転させるためのガイド棒が挿入される半径方向に延びるガイド穴が形成されていることを特徴とする請求項4に記載の緊張用ジャッキ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−36244(P2013−36244A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173579(P2011−173579)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(592182573)オックスジャッキ株式会社 (19)
【出願人】(591043905)株式会社建研 (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(592182573)オックスジャッキ株式会社 (19)
【出願人】(591043905)株式会社建研 (3)
【Fターム(参考)】
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