説明

緊急警報信号受信装置および緊急警報信号送信装置

【課題】県域符号および広域符号の設定を自動的に行い、且つ設定に必要なメモリ領域を大幅に縮小する。
【解決手段】緊急警報信号の受信地域区分を特定する県域符号データと広域符号データと地域共通符号データとが含まれた地域区分符号設定信号を受信する受信部220と、地域区分符号設定信号から県域符号データと広域符号データと地域共通符号データとを抽出する地域区分符号データ抽出部250と、抽出した県域符号データと広域符号データと地域共通符号データとを記憶する地域区分符号データ記憶部260と、緊急警報信号から地域区分符号を抽出し、この地域区分符号が地域区分符号データ記憶部260に記憶された県域符号データと広域符号データと地域共通符号データとに含まれるか否かを判定し、含まれる場合に、緊急警報信号に応じた切替制御を行う緊急警報データ処理部270とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緊急警報信号の送受信に用いられる緊急警報信号受信装置および緊急警報信号送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
日本では、東海地震の警戒宣言が発令された場合や津波警報が発表された場合等に、放送局が緊急警報放送を行う仕組みが整備されている。緊急警報放送は、中波放送、短波放送、超短波放送、テレビジョン放送、テレビジョン音声多重放送等により行われる。放送局は、緊急警報放送を行う際に緊急警報信号を発信する。そして、緊急警報信号対応機能を備えたラジオ受信機やテレビジョン受像機は、当該装置の待受状態において緊急警報信号を受信すると、その待受状態から作動状態に切り替えて緊急警報放送を受信することができる。待受状態は、ラジオ受信機やテレビジョン受像機が、放送電波を受信して復調し音声等に変換して出力する本来の機能を動作させずに、緊急警報信号の検出機能を動作させる状態である。作動状態は、ラジオ受信機やテレビジョン受像機が本来の機能であるラジオ音声の受信やテレビジョン映像の受信を動作させる状態である。
【0003】
放送局は、受信地域を特定して緊急警報信号を発信することができる。受信地域を特定するため、放送局は、緊急警報信号に地域区分符号を含めて放送する。この地域区分符号は、県域符号、広域符号、および地域共通符号のいずれかである。県域符号は、緊急警報信号の受信地域を都道府県いずれかの区域内とするための符号である。広域符号は、緊急警報信号の受信地域を広域圏内とするための符号である。地域共通符号は、緊急警報信号の受信地域を放送局の放送区域の全域とするための符号であり、全国共通の符号である。緊急警報信号対応機能を備えた受信機は、当該受信機が使用される場所に対応する地域の県域符号および広域符号と、地域共通符号とを設定しておくことにより、放送局から送信される当該地域向けの緊急警報信号を受信することができる。
【0004】
従来、緊急警報信号対応機能を備えた受信機は、当該受信機が使用される場所に対応する県域(都道府県のいずれか)を指定するためのスイッチ(例えば、ロータリスイッチ等)と、そのスイッチの値と県域符号と広域符号との対応テーブルとを備え、スイッチの調整値にしたがって、指定した県域に対応する県域符号とその県域に対応する広域の広域符号とを設定していた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平1−140819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、スイッチの初期調整をしなかったり、住所の移転等によって受信機の使用場所が変わった場合にスイッチの再調整をしないままでいたりすると、受信機に設定された県域符号や広域符号と、実際に受信機を使用する場所に対応する県域符号や広域符号とが合致しない場合が生じる。その場合、受信機は、この受信機の使用場所に対応する県域符号や広域符号を地域区分符号として含めた緊急警報信号を受信できないこととなる。
また、上記のような手動によるスイッチ調整を実現するためには、スイッチの値と県域符号と広域符号との対応テーブルをメモリ領域として確保する必要があるが、受信機のコストダウンのためにメモリ領域の縮小が望まれていた。
【0007】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、地域区分符号の設定を自動的に行うことができ、且つこの地域区分符号の設定に必要なメモリ領域を大幅に縮小することができる、緊急警報信号受信装置および緊急警報信号送信装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[1]上記の課題を解決するため、本発明の一態様である緊急警報信号受信装置は、緊急警報信号の受信地域区分を特定する地域区分符号データを記憶する地域区分符号データ記憶部と、電波を受信して受信信号を得る受信部と、前記受信部が得た前記受信信号を音声出力する音声出力部と、前記受信信号を前記音声出力部に供給する状態と供給しない状態とのいずれかに切替えるスイッチ部と、前記受信信号から前記地域区分符号データを抽出して前記地域区分符号データ記憶部に記憶させる地域区分符号データ抽出部と、前記受信信号から緊急警報信号における地域区分符号を抽出し、この抽出した地域区分符号が前記地域区分符号データ記憶部に記憶された前記地域区分符号データに含まれるか否かを判定し、含まれると判定した場合に、前記緊急警報信号の種類に応じて前記スイッチ部の切替制御を行う緊急警報データ処理部と、を備えることを特徴とする。
ここで、緊急警報信号は、緊急警報信号受信装置が災害に関する緊急警報放送を受信する補助のために緊急警報信号送信装置が送信する信号であり、第一種開始信号、第二種開始信号、または終了信号である。地域区分符号データは、県域符号データと広域符号データと地域共通符号データとのうち、少なくとも県域符号データ(行政区域符号データ)と広域符号データとを含む。
【0009】
[2]上記[1]記載の緊急警報受信装置において、前記受信信号は、周波数偏移変調された地域区分符号設定信号を含み、前記地域区分符号データは、行政区域符号データと広域符号データとを含むブロックデータを複数連接した、前記地域区分符号設定信号に含まれるデータであり、前記地域区分符号設定信号を周波数偏移復調して前記地域区分符号データを得る周波数偏移復調部と、前記周波数偏移復調部が得た前記地域区分符号設定データから前記ブロックデータを検出する地域区分符号設定データ検出部と、をさらに備え、前記地域区分符号データ抽出部は、前記地域区分符号設定データ検出部が検出したブロックデータから前記行政区域符号データと前記広域符号データとを抽出して前記地域区分符号データ記憶部に記憶させることを特徴とする。
【0010】
[3]上記の課題を解決するため、本発明の一態様である緊急警報信号送信装置は、緊急警報信号の受信地域区分を特定する地域区分符号データを記憶する地域区分符号データ記憶部と、前記地域区分符号データ記憶部から前記地域区分符号データを読み込んで、その地域区分符号データを含めた地域区分符号設定データを生成する地域区分符号設定データ生成部と、緊急警報データと前記地域区分符号設定データ生成部が生成した前記地域区分符号設定データとを重複しないように送出する送出部と、を備えることを特徴とする。
ここで、緊急警報信号送信装置は、定期的または特定日時に地域区分符号設定データを送出する。また、緊急警報信号送信装置は、実際の開始信号に対応する緊急警報データの送出の前段階(例えば、直前)に地域区分符号設定データを送出してもよい。また、緊急警報信号送信装置は、定期的または特定日時に地域区分符号設定データを送出するとともに、実際の開始信号に対応する緊急警報データの送出の前段階に地域区分符号設定データを送出してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、緊急警報信号受信装置において地域区分符号の設定を自動的に行うことができ、且つこの地域区分符号の設定に必要なメモリ領域を大幅に縮小することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態である緊急警報信号送信装置を適用した緊急警報送信装置の機能構成を表すブロック図である。
【図2】同実施形態における地域区分符号設定データと、終了信号に対応する緊急警報データとの各データ構成を表す図である。
【図3】同実施形態である緊急警報信号受信装置を適用した緊急警報受信装置の機能構成を表すブロック図である。
【図4】同実施形態において、地域区分符号設定信号送信モードに設定された緊急警報送信装置による地域区分符号設定信号の送信処理と、緊急警報受信装置による地域区分符号設定信号の受信処理との各処理手順を表すフローチャートである。
【図5】本発明の第2実施形態における地域区分符号設定データと、第一種開始信号および第二種開始信号に対応する緊急警報データとの各データ構成を表す図である。
【図6】同実施形態において、緊急警報送信装置による送信処理の手順を表すフローチャートである。
【図7】同実施形態において、緊急警報受信装置による受信処理の手順を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の各実施形態において、緊急警報信号およびこの緊急警報信号を受信する機能については、ARIB(Association of Radio Industries and Businesses)のBTA R−001「緊急警報受信機に関する技術基準」(以下、この技術基準を指す場合は、BTA R−001と記載する。)に規定されている。
【0014】
[第1の実施の形態]
本発明の第1実施形態である緊急警報信号送信装置および緊急警報信号受信装置をそれぞれ適用した、緊急警報送信装置および緊急警報受信装置について説明する。
BTA R−001に規定されているように、緊急警報信号は、緊急警報受信装置が災害に関する緊急警報放送を受信する補助のために緊急警報送信装置が送信する信号であり、その種類は、第一種開始信号、第二種開始信号、または終了信号である。第一種開始信号は、待受状態にある緊急警報受信装置を作動させて作動状態に切替えるための信号である。第二種開始信号は、特定の待受状態にある緊急警報受信装置のみを作動させて作動状態に切替えるための信号である。特定の待受状態とは、第二種開始信号を受信しないよう設定された状態での待受状態のことである。終了信号は、第一種開始信号または第二種開始信号を受信したことによって作動状態にある緊急警報受信装置を、当該緊急警報信号を受信する前の状態に復帰させるための信号である。
【0015】
図1は、本実施形態である緊急警報信号送信装置を適用した緊急警報送信装置の機能構成を表すブロック図である。同図に示すように、緊急警報送信装置10は、地域区分符号データ記憶部110と、地域区分符号設定データ生成部120と、緊急警報データ供給部130と、FSK(Frequency Shift Keying)変調部140と、音声データ供給部150と、切替部160と、タイミング制御部170と、送出部180と、送信アンテナ190とを備える。
【0016】
緊急警報送信装置10は、図示しない制御部による装置全体の制御によって、地域区分符号設定信号送信モードと、緊急警報信号送信モードと、音声信号送信モードとのうちいずれかの動作モードに設定されて動作する。地域区分符号設定信号モードは、緊急警報送信装置10が地域区分符号設定信号を送信する動作モードである。地域区分符号設定信号は、緊急警報信号の受信地域区分を特定する地域区分符号データを含み、当該地域区分符号設定信号を受信する緊急警報受信装置に地域区分符号データを設定させるための信号である。本実施形態において、地域区分符号データは、県域符号データ(行政区域符号データ)と広域符号データと地域共通符号データとである。緊急警報信号送信モードは、緊急警報送信装置10が緊急警報信号を送信する動作モードである。音声信号送信モードは、緊急警報送信装置10が災害に関する緊急警報情報の音声信号を送信する動作モードである。
【0017】
地域区分符号データ記憶部110は、緊急警報送信装置10が送信する緊急警報信号の受信可能地域に含まれる県域の県域符号データと、その県域に対応する広域圏の広域符号データと、全国共通の地域共通符号データとを記憶する。県域は行政区域の一種であり、日本国では、47都道府県いずれか一の区域である。広域圏は、日本国では、例えば、関東広域圏と、中京広域圏と、近畿広域圏と、島根・鳥取圏と、岡山・香川圏との5地域である。具体的に、関東広域圏は、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、群馬県、栃木県、および茨城県の区域を併せた地域である。中京広域圏は、愛知県、岐阜県、および三重県の区域を併せた地域である。近畿広域圏は、大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県、および滋賀県の区域を併せた地域である。島根・鳥取圏は、島根県および鳥取圏の区域を併せた地域である。岡山・香川圏は、岡山県および香川県の区域を併せた地域である。
【0018】
県域符号データと広域符号データと地域共通符号データとのそれぞれは、BTA R−001に規定された県域符号と広域符号と地域共通符号とのそれぞれと同一の16ビットデータである。例えば、緊急警報送信装置10が受信地域を東京都の区域内とする緊急警報信号を送信する装置である場合、地域区分符号データ記憶部110は、東京都の県域符号データである2進数“0110101010110011”と、東京都が含まれる関東広域圏の広域符号データである2進数“0101011010010111”と、地域共通符号データである2進数“0100110100110111”とを記憶する。これら3つの16ビットデータは、BTA R−001によれば、終了信号に対応する地域区分符号である。
なお、地域によって広域圏が存在しない場合、地域区分符号データ記憶部110は、広域符号データとして例えばヌルデータを記憶する。
地域区分符号データ記憶部110は、例えば、半導体記憶装置や磁気ハードディスク装置によって構成される。
【0019】
地域区分符号設定データ生成部120は、タイミング制御部170から供給される地域区分符号設定データ要求信号に基づいて、地域区分符号データ記憶部110から県域符号データと広域符号データと地域共通符号データとを読み込んで地域区分符号設定データを生成し、この地域区分符号設定データをFSK変調部140に供給する。地域区分符号設定データは、県域符号データと広域符号データと地域共通符号データとを含むデータである。地域区分符号設定データの詳細なデータ構成については後述する。
緊急警報データ供給部130は、タイミング制御部170から供給される緊急警報データ要求信号に基づいて、BTA R−001に規定された緊急警報信号のデータ(緊急警報データ)を生成し、この緊急警報データをFSK変調部140に供給する。緊急警報データは、地域区分符号データと月日区分符号データと年時区分符号データとを含むデータである。緊急警報データの詳細なデータ構成については後述する。
地域区分符号設定データ生成部120が出力する地域区分符号設定データと、緊急警報データ供給部130が出力する緊急警報データとは、タイミング制御部170によるタイミング制御により重複しない。
【0020】
FSK変調部140は、地域区分符号設定データ生成部120から供給される地域区分符号設定データと、緊急警報データ供給部130から供給される緊急警報データとのそれぞれをFSK変調し、このFSK変調後データを切替部160に供給する。FSK変調部140の変調方式は、BTA R−001に規定された2値のFSK変調(周波数偏移変調)である。ビット値“1”に対応するマーク周波数は1024Hz(ヘルツ)であり、ビット値“0”に対応するスペース周波数は640Hzである。また、FSK変調後データの伝送速度は、64ビット/秒である。
【0021】
つまり、本実施形態では、地域区分符号設定データのFSK変調処理機能と緊急警報データのFSK変調処理機能とを共通化することによって、緊急警報送信装置10の構成を簡単化するとともに実現コストを安価にすることができる。
【0022】
音声データ供給部150は、タイミング制御部170から供給される音声データ要求信号に基づいて、災害に関する緊急警報情報の音声データを供給する。この音声データは、あらかじめ録音された録音音声による音声データであってもよいし、外部から供給されるアナウンス音声(例えば、アナウンサの発声による緊急警報速報の音声)による音声データであってもよい。
【0023】
切替部160は、FSK変調部140から供給されるFSK変調後データ(地域区分符号設定データまたは緊急警報データに基づくFSK変調後のデータ)と、音声データ供給部150から供給される音声データとを、タイミング制御部170によるタイミング制御に基づき切替えて出力し、この出力データを送出部180に供給する。
【0024】
タイミング制御部170は、緊急警報送信装置10の動作モードにしたがって、地域区分符号設定データ生成部120と緊急警報データ供給部130と音声データ供給部150と切替部160とのそれぞれに対して所定の動作タイミングを供給する。
【0025】
具体的には、緊急警報送信装置10が地域区分符号設定信号送信モードに設定された場合、タイミング制御部170は、地域区分符号設定データ生成部120に地域区分符号設定データ要求信号を供給する。また、タイミング制御部170は、切替部160がFSK変調部140から供給されるデータを取り込んで出力するよう指定する切替信号を、切替部160に供給する。これにより、地域区分符号設定信号送信モードにおいては、地域区分符号設定データに基づくFSK変調後データが切替部160から出力される。
【0026】
また、緊急警報送信装置10が緊急警報信号送信モードに設定された場合、タイミング制御部170は、緊急警報データ供給部130に緊急警報データ要求信号を供給する。また、タイミング制御部170は、切替部160がFSK変調部140から供給されるデータを取り込んで出力するよう指定する切替信号を、切替部160に供給する。これにより、緊急警報信号送信モードにおいては、緊急警報データに基づくFSK変調後データが切替部160から出力される。
【0027】
また、緊急警報送信装置10が音声信号送信モードに設定された場合、タイミング制御部170は、音声データ供給部150に音声データ要求信号を供給する。また、タイミング制御部170は、切替部160が音声データ供給部150から供給されるデータを取り込んで出力するよう指定する切替信号を、切替部160に供給する。これにより、音声信号送信モードにおいては、音声データが切替部160から出力される。
【0028】
送出部180は、切替部160から供給されるデータ(地域区分符号設定データもしくは緊急警報データに基づくFSK変調後データ、または音声データ)を所定の変調方式で変調し、その変調後の信号(地域区分符号設定信号、緊急警報信号、または変調音声信号)を増幅して送信アンテナ190に供給する。この変調方式は、例えばAM(Amplitude Modulation)またはFM(Frequency Modulation)である。送出部180は、中波放送、短波放送、超短波放送、またはテレビジョン放送の周波数帯域での出力を行う。
送信アンテナ190は、送出部180から供給される信号を電波(例えば放送電波)として空中に送信する。
【0029】
図2は、地域区分符号設定データと、終了信号に対応する緊急警報データとの各データ構成を表す図である。同図(a)は、地域区分符号設定データのデータ構成を表す図であり、同図(b)は、終了信号に対応する緊急警報データのデータ構成を表す図である。同図(a),(b)ともに、左から右方向への時間経過に対応するデータ構成を表している。なお、同図(a),(b)において示すデータ長の単位はビットである。
【0030】
図2(a)に示すように、地域区分符号設定データは、複数のブロックデータとして構成される。単一のブロックデータは、4ビットの前置符号から始まって、順次、16ビットの固定符号、16ビットの県域符号、16ビットの固定符号、16ビットの広域符号、16ビットの固定符号、16ビットの地域共通符号、および92ビットの無信号期間である。つまり、1ブロックデータは192ビットである。地域区分符号設定データは、上記のブロックデータを、超短波放送、テレビジョン放送、およびテレビジョン音声多重放送においては少なくとも2ブロック連接し、また中波放送および短波放送においては少なくとも4ブロック連接したものである。
【0031】
図2(a)の地域区分符号設定データにおける県域符号、広域符号、および地域共通符号は、地域区分符号設定データ生成部120が地域区分符号データ記憶部110から読み込んで格納した県域符号データ、広域符号データ、および地域共通符号データである。前置符号は、各ブロックにおける先頭に位置するデータであり、固定符号と併せて、地域区分符号設定データの検出に用いられる。前置符号は、BTA R−001に規定された終了信号のデータにおける前置符号と同一の値(2進数“0011”)である。固定符号は、BTA R−001に規定された終了信号のデータにおける固定符号(2進数“0000111001101101”)と異なる固定値(例えば、2進数“0011000011110101”)である。
【0032】
図2(b)に示すように、終了信号に対応する緊急警報データは、複数のブロックデータとして構成される。単一のブロックデータは、4ビットの前置符号から始まって、順次、16ビットの固定符号、16ビットの地域区分符号、16ビットの固定符号、16ビットの月日区分符号、16ビットの固定符号、16ビットの年時区分符号、および92ビットの無信号期間である。つまり、1ブロックデータは192ビットである。終了信号に対応する緊急警報データは、上記のブロックデータを、超短波放送、テレビジョン放送、およびテレビジョン音声多重放送においては少なくとも2ブロック連接し、また中波放送および短波放送においては少なくとも4ブロック連接したものである。
【0033】
図2(b)の緊急警報データにおける地域区分符号、月日区分符号、および年時区分符号は、緊急警報データ供給部130が生成する地域区分符号データ、月日区分符号データ、および年時区分符号データである。前置符号は、各ブロックにおける先頭に位置するデータであり、固定符号と併せて、終了信号のデータの検出に用いられる。前置符号は、BTA R−001に規定された終了信号のデータにおける前置符号の値(2進数“0011”)である。固定符号は、BTA R−001に規定された終了信号のデータにおける固定符号の値(2進数“0000111001101101”)である。
【0034】
つまり、図2(a),(b)において明らかなように、地域区分符号設定データは、終了信号に対応する緊急警報データから、地域区分符号と月日区分符号と年時区分符号との各ワードを、県域符号と広域符号と地域共通符号との各ワードにそれぞれ置換したデータ構造を有している。このように、地域区分符号設定データと緊急警報データとの全体的なデータフォーマットを共通にしてワードのみを変更することにより、地域区分符号設定データ生成部120と緊急警報データ供給部130との回路の共用化を図ることができ、コストダウンや設計の効率化を実現することができる。
【0035】
図3は、本実施形態である緊急警報信号受信装置を適用した緊急警報受信装置の機能構成を表すブロック図である。同図に示すように、緊急警報受信装置20は、受信アンテナ210と、受信部220と、FSK復調部230と、地域区分符号設定データ検出部240と、地域区分符号データ抽出部250と、地域区分符号データ記憶部260と、緊急警報データ処理部270と、スイッチ部280と、音声出力部290とを備える。
緊急警報受信装置20は、緊急警報送信装置10から送信される緊急警報信号を受信して待受状態と作動状態との切替制御を行う装置である。
【0036】
受信アンテナ210は、緊急警報送信装置10から送信される放送電波を受信し、その受信信号(地域区分符号設定信号、緊急警報信号、または変調音声信号)を受信部220に供給する。
受信部220は、受信アンテナ210の受信信号を取り込み、その受信信号を、緊急警報送信装置10の送出部180の変調方式に対応する復調方式で復調する。そして、受信部220は、復調後のデータ(地域区分符号設定データもしくは緊急警報データに基づくFSK変調後データ、または音声データ)をFSK復調部230およびスイッチ部280に供給する。
【0037】
FSK復調部230は、受信部220から供給される復調後のデータのうちFSK変調後データについてFSK復調処理を行い、地域区分符号設定データまたは緊急警報データを抽出する。FSK復調部230で復調可能な変調方式は、前述したとおり、BTA R−001に規定された2値のFSK変調である。ビット値“1”に対応するマーク周波数は1024Hzであり、ビット値“0”に対応するスペース周波数は640Hzである。また、伝送速度は、64ビット/秒である。
【0038】
地域区分符号設定データ検出部240は、FSK復調部230が抽出した地域区分符号設定データまたは緊急警報データのうち、地域区分符号設定データを検出して取り込む。具体的には、地域区分符号設定データ検出部240は、FSK復調部230から供給されるデータをビットシフトさせながら前置符号および固定符号を検出することによって地域区分符号設定データを検出して取り込み、この取り込んだ地域区分符号設定データを地域区分符号データ抽出部250に供給する。
なお、地域区分符号設定データ検出部240は、検出して得た地域区分符号設定データのうち、1ブロックデータのみを地域区分符号データ抽出部250に供給してもよいし、複数のブロックデータを地域区分符号データ抽出部250に供給してもよい。
【0039】
地域区分符号データ抽出部250は、地域区分符号設定データ検出部240から供給される地域区分符号データ設定データまたはそのうちの1ブロックデータから、それぞれ16ビットの県域符号データと広域符号データと地域共通符号データとを抽出し、これら県域符号データと広域符号データと地域共通符号データとを地域区分符号データ記憶部260に供給する。
地域区分符号データ記憶部260は、地域区分符号データ抽出部250から供給される県域符号データと広域符号データと地域共通符号データとを記憶する。地域区分符号データ記憶部260は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等の再書き込み可能な不揮発性メモリで構成される。
【0040】
緊急警報データ処理部270は、FSK復調部230が抽出した地域区分符号設定データまたは緊急警報データのうち、緊急警報データを検出して取り込む。具体的には、緊急警報データ処理部270は、FSK復調部230から供給されるデータをビットシフトさせながら前置符号および固定符号を検出することによって緊急警報データを検出して取り込む。
そして、緊急警報データ処理部270は、地域区分符号データ記憶部260から県域符号データと広域符号データと地域共通符号データとを読み込み、これら県域符号データと広域符号データと地域共通符号データとの中に、上記の取り込んだ緊急警報データに含まれる地域区分符号と一致するデータがあるか否かを判定する。
【0041】
そして、緊急警報データ処理部270は、一致するデータがあると判定した場合、緊急警報データに基づく処理を実行する。具体的には、取り込んだ緊急警報データが第一種開始信号に対応するデータである場合、緊急警報データ処理部270は、スイッチ部280をオンさせるためのスイッチオン信号をスイッチ部280に供給する。また、緊急警報データ処理部270が第二種開始信号を受信することができる設定にあらかじめ設定されている場合において、取り込んだ緊急警報データが第二種開始信号に対応するデータである場合、緊急警報データ処理部270は、スイッチ部280をオンさせるためのスイッチオン信号をスイッチ部280に供給する。また、取り込んだ緊急警報データが終了信号に対応するデータである場合、緊急警報データ処理部270は、スイッチ部280をオフさせるためのスイッチオフ信号をスイッチ部280に供給する。
【0042】
スイッチ部280は、緊急警報データ処理部270からスイッチオン信号が供給されると、受信部220から供給される復調後のデータ(緊急警報データに基づくFSK変調後データ、または音声データ)を取り込んで音声出力部290に供給する(供給する状態)。
また、スイッチ部280は、緊急警報データ処理部270からスイッチオフ信号が供給されると、受信部220から供給される復調後のデータの音声出力部290への供給を停止する(供給しない状態)。
音声出力部290は、スイッチ部280から供給される復調後のデータをアナログ音声信号に変換して増幅し、この増幅されたアナログ音声信号を図示しないスピーカ等により音声として出力する。
【0043】
次に、本実施形態における緊急警報送信装置10および緊急警報受信装置20の動作について説明する。ここでは、地域区分符号設定信号送信モードに設定された緊急警報送信装置10が地域区分符号設定信号を送信し、緊急警報受信装置20がその地域区分符号設定信号を受信して県域符号データと広域符号データと地域共通符号データとを記憶する処理について説明する。
【0044】
図4は、地域区分符号設定信号送信モードに設定された緊急警報送信装置10による地域区分符号設定信号の送信処理と、緊急警報受信装置20による地域区分符号設定信号の受信処理との各処理手順を表すフローチャートである。
緊急警報送信装置10の制御部による制御によって緊急警報送信装置10が地域区分符号設定信号送信モードに設定されると、同図左側のフローチャートの処理を開始する。
まず、ステップS101において、タイミング制御部170は、地域区分符号設定データ生成部120に地域区分符号設定データ要求信号を供給し、切替部160に、FSK変調部140から供給されるデータを取り込んで出力するよう指定する切替信号を供給する。次に、地域区分符号設定データ生成部120は、地域区分符号データ記憶部110から県域符号データと広域符号データと地域共通符号データとを読み込んで地域区分符号設定データを生成し、この地域区分符号設定データをFSK変調部140に供給する。
【0045】
次に、ステップS102において、FSK変調部140は、地域区分符号設定データ生成部120から供給された地域区分符号設定データをFSK変調し、このFSK変調後データを切替部160に供給する。そして、切替部160は、FSK変調部140から供給されたFSK変調後データを送出部180に供給する。
【0046】
次に、ステップS103において、送出部180は、切替部160から供給されたFSK変調後データを変調し、その変調後の信号である地域区分符号設定信号を増幅して送信アンテナ190に供給する。そして、送信アンテナ190は、送出部180から供給された地域区分符号設定信号を放送電波として空中に送信する。
【0047】
次に、ステップS104において、タイミング制御部170は、地域区分符号設定データ生成部120に対する地域区分符号設定データ要求信号の供給を停止してあらかじめ設定された一定期間が経過するまで計時(S104:NO)する。この一定期間は、任意に設定される時間情報に基づくものであり、例えば30日間である。そして、一定期間が経過したとき(S104:YES)、ステップS101の処理に戻る。
【0048】
なお、タイミング制御部170は、一定期間を計時して地域区分符号設定データ要求信号を出力するのではなく、暦上の日付および時刻(特定日時)にしたがって地域区分符号設定データ要求信号を出力するようにしてもよい。例えば、タイミング制御部170は、毎月5日の午後11時59分00秒に地域区分符号設定データ要求信号を出力するようにしてもよい。また、例えば、タイミング制御部170は、現在、日本国で毎月実施されている試験信号放送(毎月1日(ただし、1月のみ4日)の午前11時59分から午後12時00分までの時間)の前後いずれかの近接する時間帯において、地域区分符号設定データ要求信号を出力するようにしてもよい。
【0049】
図4右側のフローチャートのステップS201において、緊急警報送信装置10から送信された放送電波を緊急警報受信装置20の受信アンテナ210が受信すると、受信部220は、その受信信号である地域区分符号設定信号を取り込む。そして、受信部220は、その地域区分符号設定信号を、緊急警報送信装置10の送出部180の変調方式に対応する復調方式で復調する。そして、受信部220は、復調後のデータ(地域区分符号設定データに基づくFSK変調後データ)をFSK復調部230およびスイッチ部280に供給する。
【0050】
次に、ステップS202において、FSK復調部230は、受信部220から供給された復調後のデータについてFSK復調処理を行って地域区分符号設定データを抽出する。
次に、ステップS203において、地域区分符号設定データ検出部240は、FSK復調部230が抽出した地域区分符号設定データを検出して取り込む。具体的には、地域区分符号設定データ検出部240は、FSK復調部230から供給されたデータをビットシフトさせながら前置符号および固定符号を検出することによって地域区分符号設定データを検出して取り込み、この取り込んだ地域区分符号設定データを地域区分符号データ抽出部250に供給する。
【0051】
次に、ステップS204において、地域区分符号データ抽出部250は、地域区分符号設定データ検出部240から供給された地域区分符号データ設定データから、それぞれ16ビットの県域符号データと広域符号データと地域共通符号データとを抽出して地域区分符号データ記憶部260に供給する。そして、地域区分符号データ記憶部260は、地域区分符号データ抽出部250から供給された県域符号データと広域符号データと地域共通符号データとを記憶する。
【0052】
以上、説明したとおり、本実施形態における緊急警報送信装置10は、終了信号に対応する緊急警報データと全体的なデータフォーマットが共通する地域区分符号設定データを、地域区分符号設定信号にして定期的または特定日時に送信する。そして、本実施形態における緊急警報受信装置20は、その定期的または特定日時に送信される地域区分符号設定信号を受信し、地域区分符号設定データに含まれる県域符号データと広域符号データと地域共通符号データとを地域区分符号データ記憶部260に記憶する。
【0053】
つまり、緊急警報受信装置20は、県域符号データと広域符号データと地域共通符号データとの設定を自動的に行うことができる。よって、緊急警報受信装置20の設置当初や、住所の移転等によって緊急警報受信装置20の使用場所が変わった場合でも、緊急警報受信装置20は、緊急警報信号を受信するために適切な県域符号データおよび広域符号データを取得して記憶することができる。
さらに、緊急警報受信装置20は、都道府県のいずれかを指定するためのスイッチと、そのスイッチの値と県域符号データと広域符号データとの対応テーブルを記憶するメモリとを備える必要がないため、当該緊急警報受信装置20が備えるメモリの使用領域を縮小することができる。
【0054】
[第2の実施の形態]
本発明の第2実施形態である緊急警報信号送信装置および緊急警報信号受信装置をそれぞれ適用した、緊急警報送信装置および緊急警報受信装置について説明する。
本実施形態における緊急警報送信装置および緊急警報受信装置の機能構成は、上述した第1実施形態における緊急警報送信装置10および緊急警報受信装置20の機能構成(図1および図3)と同一である。よって、本実施形態でも、図1および図3を参照することとし、緊急警報送信装置10および緊急警報受信装置20の機能構成の説明を省略する。
【0055】
図5は、地域区分符号設定データと、第一種開始信号および第二種開始信号(以下、両者を区別しない場合は、開始信号と記載する。)に対応する緊急警報データとの各データ構成を表す図である。同図(a)は、地域区分符号設定データのデータ構成を表す図であり、同図(b)は、開始信号に対応する緊急警報データのデータ構成を表す図である。同図(a),(b)ともに、左から右方向への時間経過に対応するデータ構成を表している。なお、同図(a),(b)において示すデータ長の単位はビットである。
【0056】
図5(a)に示すように、地域区分符号設定データは、複数のブロックデータとして構成される。単一のブロックデータは、順次、16ビットの固定符号、16ビットの県域符号、16ビットの固定符号、16ビットの広域符号、16ビットの固定符号、および16ビットの地域共通符号である。つまり、1ブロックデータは96ビットである。地域区分符号設定データは、4ビットの前置符号の直後から、上記のブロックデータを、超短波放送、テレビジョン放送、およびテレビジョン音声多重放送においては少なくとも4ブロック連接し、また中波放送および短波放送においては少なくとも10ブロック連接したものである。
【0057】
図5(a)の地域区分符号設定データにおける県域符号、広域符号、および地域共通符号は、地域区分符号設定データ生成部120が地域区分符号データ記憶部110から読み込んで格納した県域符号データ、広域符号データ、および地域共通符号データである。前置符号は、最初のブロックの直前に位置するデータであり、固定符号と併せて、地域区分符号設定データの検出に用いられる。前置符号は、BTA R−001に規定された開始信号のデータにおける前置符号と同一の値(2進数“1100”)である。固定符号は、BTA R−001に規定された開始信号のデータにおける固定符号(2進数“0000111001101101”および2進数“1111000110010010”)と異なる固定値(例えば、2進数“0011000011110101”)である。
【0058】
図5(b)に示すように、開始信号に対応する緊急警報データは、複数のブロックデータとして構成される。単一のブロックデータは、順次、16ビットの固定符号、16ビットの地域区分符号、16ビットの固定符号、16ビットの月日区分符号、16ビットの固定符号、および16ビットの年時区分符号である。つまり、1ブロックデータは96ビットである。開始信号に対応する緊急警報データは、4ビットの前置符号の直後から、上記のブロックデータを、超短波放送、テレビジョン放送、およびテレビジョン音声多重放送においては少なくとも4ブロック連接し、また中波放送および短波放送においては少なくとも10ブロック連接したものである。
【0059】
図5(b)の緊急警報データにおける地域区分符号、月日区分符号、および年時区分符号は、緊急警報データ供給部130が生成する地域区分符号データ、月日区分符号データ、および年時区分符号データである。前置符号は、最初のブロックの直前に位置するデータであり、固定符号と併せて、終了信号のデータの検出に用いられる。前置符号は、BTA R−001に規定された開始信号のデータにおける前置符号の値(2進数“1100”)である。固定符号は、BTA R−001に規定された開始信号のデータにおける固定符号の値(2進数“0000111001101101”および2進数“1111000110010010”)である。
【0060】
つまり、図5(a),(b)において明らかなように、地域区分符号設定データは、開始信号に対応する緊急警報データから、地域区分符号と月日区分符号と年時区分符号との各ワードを、県域符号と広域符号と地域共通符号との各ワードにそれぞれ置換したデータ構造を有している。このように、地域区分符号設定データと緊急警報データとの全体的なデータフォーマットを共通にしてワードのみを変更することにより、地域区分符号設定データ生成部120と緊急警報データ供給部130との回路の共用化を図ることができ、コストダウンや設計の効率化を実現することができる。
【0061】
次に、本実施形態における緊急警報送信装置10の動作について、緊急警報送信装置10が、実際の緊急警報信号(開始信号)の送信の前段階で地域区分符号設定信号を送信する処理を例として説明する。この例は、具体的には、緊急警報送信装置10が地域区分符号設定信号送信モードに設定されて地域区分符号設定信号を送信し、その次に、緊急警報信号送信モードに設定されて第一種開始信号を送信し、さらにその次に、音声信号送信モードに設定されて音声信号を送信する処理である。
【0062】
図6は、緊急警報送信装置10による送信処理の手順を表すフローチャートである。
まず、ステップS301において、緊急警報送信装置10の制御部は、緊急警報送信装置10を地域区分符号設定信号送信モードに設定する。
次に、ステップS302において、タイミング制御部170は、地域区分符号設定データ生成部120に地域区分符号設定データ要求信号を供給し、切替部160に、FSK変調部140から供給されるデータを取り込んで出力するよう指定する切替信号を供給する。次に、地域区分符号設定データ生成部120は、地域区分符号データ記憶部110から県域符号データと広域符号データと地域共通符号データとを読み込んで地域区分符号設定データを生成し、この地域区分符号設定データをFSK変調部140に供給する。
【0063】
次に、ステップS303において、FSK変調部140は、地域区分符号設定データ生成部120から供給された地域区分符号設定データをFSK変調し、このFSK変調後データを切替部160に供給する。そして、切替部160は、FSK変調部140から供給されたFSK変調後データを送出部180に供給する。
【0064】
次に、ステップS304において、送出部180は、切替部160から供給されたFSK変調後データを変調し、その変調後の信号である地域区分符号設定信号を増幅して送信アンテナ190に供給する。そして、送信アンテナ190は、送出部180から供給された地域区分符号設定信号を放送電波として空中に送信する。
【0065】
次に、ステップS305において、緊急警報送信装置10の制御部は、緊急警報送信装置10を緊急警報信号送信モードに設定する。
次に、ステップS306において、タイミング制御部170は、緊急警報データ供給部130に緊急警報データ要求信号を供給し、切替部160に、FSK変調部140から供給されるデータを取り込んで出力するよう指定する切替信号を供給する。次に、緊急警報データ供給部130は、BTA R−001に規定された緊急警報データ(ここでは、第一種開始信号に対応するデータ)を生成し、この緊急警報データをFSK変調部140に供給する。
【0066】
次に、ステップS307において、FSK変調部140は、緊急警報データ供給部130から供給された緊急警報データをFSK変調し、このFSK変調後データを切替部160に供給する。そして、切替部160は、FSK変調部140から供給されたFSK変調後データを送出部180に供給する。
【0067】
次に、ステップS308において、送出部180は、切替部160から供給されたFSK変調後データを変調し、その変調後の信号である緊急警報信号(ここでは、第一種開始信号)を増幅して送信アンテナ190に供給する。そして、送信アンテナ190は、送出部180から供給された緊急警報信号を放送電波として空中に送信する。
【0068】
なお、ステップS304の処理において地域区分符号設定信号を送信してからステップS308の処理において緊急警報信号を送信するまでの時間は、緊急警報受信装置20が地域区分符号設定信号を受信してから県域符号データと広域符号データと地域共通符号データとを地域区分符号データ記憶部260に記憶するまでに要する時間よりも長い時間となるようにする。
【0069】
次に、ステップS309において、緊急警報送信装置10の制御部は、緊急警報送信装置10を音声信号送信モードに設定する。
次に、ステップS310において、タイミング制御部170は、音声データ供給部150に音声データ要求信号を供給し、切替部160に、音声データ供給部150から供給されるデータを取り込んで出力するよう指定する切替信号を供給する。次に、音声データ供給部150は、災害に関する緊急警報情報の音声データを切替部160に供給する。そして、切替部160は、音声データ供給部150から供給された音声データを送出部180に供給する。次に、送出部180は、切替部160から供給された音声データを変調し、その変調後の信号である音声信号を増幅して送信アンテナ190に供給する。そして、送信アンテナ190は、送出部180から供給された音声信号を放送電波として空中に送信する。
【0070】
図7は、緊急警報受信装置20による受信処理の手順を表すフローチャートである。
まず、ステップS401において、緊急警報送信装置10から送信された放送電波を緊急警報受信装置20の受信アンテナ210が受信すると、受信部220は、その受信信号(ここでは、地域区分符号設定信号)を取り込む。そして、受信部220は、その地域区分符号設定信号を、緊急警報送信装置10の送出部180の変調方式に対応する復調方式で復調する。そして、受信部220は、復調後のデータ(地域区分符号設定データに基づくFSK変調後データ)をFSK復調部230およびスイッチ部280に供給する。
【0071】
次に、ステップS402において、FSK復調部230は、受信部220から供給された復調後のデータについてFSK復調処理を行って地域区分符号設定データを抽出する。
次に、ステップS403において、地域区分符号設定データ検出部240は、FSK復調部230が抽出した地域区分符号設定データを検出して取り込む。具体的には、地域区分符号設定データ検出部240は、FSK復調部230から供給されたデータをビットシフトさせながら前置符号および固定符号を検出することによって地域区分符号設定データを検出して取り込み、この取り込んだ地域区分符号設定データを地域区分符号データ抽出部250に供給する。
【0072】
次に、ステップS404において、地域区分符号データ抽出部250は、地域区分符号設定データ検出部240から供給された地域区分符号データ設定データから、それぞれ16ビットの県域符号データと広域符号データと地域共通符号データとを抽出して地域区分符号データ記憶部260に供給する。そして、地域区分符号データ記憶部260は、地域区分符号データ抽出部250から供給された県域符号データと広域符号データと地域共通符号データとを記憶する。
【0073】
次に、ステップS405において、緊急警報送信装置10から送信された放送電波を受信アンテナ210が受信すると、受信部220は、その受信信号(ここでは、第一種開始信号)を取り込む。そして、受信部220は、その第一種開始信号を、緊急警報送信装置10の送出部180の変調方式に対応する復調方式で復調する。そして、受信部220は、復調後のデータ(緊急警報データに基づくFSK変調後データ)をFSK復調部230およびスイッチ部280に供給する。
【0074】
次に、ステップS406において、FSK復調部230は、受信部220から供給された復調後のデータについてFSK復調処理を行って緊急警報データ(第一種開始信号に対応するデータ)を抽出する。
次に、ステップS407において、緊急警報データ処理部270は、FSK復調部230が抽出した緊急警報データを検出して取り込む。具体的には、緊急警報データ処理部270は、FSK復調部230から供給されるデータをビットシフトさせながら前置符号および固定符号を検出することによって緊急警報データを検出して取り込む。そして、緊急警報データ処理部270は、地域区分符号データ記憶部260から県域符号データと広域符号データと地域共通符号データとを読み込み、これら県域符号データと広域符号データと地域共通符号データとの中に、上記の取り込んだ緊急警報データに含まれる地域区分符号と一致するデータがあるか否かを判定する。
そして、緊急警報データ処理部270が一致するデータがあると判定した場合(S407:YES)はステップS408の処理に移り、一致するデータがないと判定した場合(S407:NO)は本フローチャートの処理を終了する。
【0075】
ステップS408において、緊急警報データ処理部270は、緊急警報データに基づく処理を実行する。具体的には、緊急警報データ処理部270は、スイッチ部280をオンさせるためのスイッチオン信号をスイッチ部280に供給する。そして、スイッチ部280は、緊急警報データ処理部270から供給されたスイッチオン信号に基づいて、受信部220から供給される復調後のデータ(緊急警報データに基づくFSK変調後データまたは音声データ)を取り込んで音声出力部290に供給するように動作する。
【0076】
次に、ステップS409において、緊急警報送信装置10から送信された放送電波を受信アンテナ210が受信すると、受信部220は、その受信信号(ここでは、変調音声信号)を取り込む。そして、受信部220は、その変調音声信号を、緊急警報送信装置10の送出部180の変調方式に対応する復調方式で復調する。そして、受信部220は、復調後のデータ(音声データ)をFSK復調部230およびスイッチ部280に供給する。そして、スイッチ部280は、受信部220から供給された音声データを音声出力部290に供給する。
【0077】
次に、ステップS410において、音声出力部290は、スイッチ部280から供給された復調後のデータをアナログ音声信号に変換して増幅し、この増幅されたアナログ音声信号をスピーカ等により音声として出力する。
【0078】
以上、説明したとおり、本実施形態における緊急警報送信装置10は、開始信号に対応する緊急警報データと全体的なデータフォーマットが共通する地域区分符号設定データを、地域区分符号設定信号にして実際の緊急警報信号(開始信号)の送信の前段階で送信する。そして、本実施形態における緊急警報受信装置20は、その地域区分符号設定信号を受信し、地域区分符号設定データに含まれる県域符号データと広域符号データと地域共通符号データとを地域区分符号データ記憶部260に記憶した後に、実際の緊急警報信号を受信する。
【0079】
つまり、緊急警報受信装置20は、県域符号データと広域符号データと地域共通符号データとの設定を自動的に行うことができる。よって、緊急警報受信装置20の設置当初や、住所の移転等によって緊急警報受信装置20の使用場所が変わった場合でも、緊急警報受信装置20は、緊急警報信号を受信するために適切な県域符号データおよび広域符号データを取得して記憶することができる。
さらに、緊急警報受信装置20は、都道府県のいずれかを指定するためのスイッチと、そのスイッチの値と県域符号データと広域符号データとの対応テーブルを記憶するメモリとを備える必要がないため、当該緊急警報受信装置20が備えるメモリの使用領域を縮小することができる。
【0080】
上述した第1実施形態および第2実施形態において、緊急警報受信装置20の適用例は、ラジオ受信機およびテレビジョン受像機である。ラジオ受信機の場合、受信部220はラジオ放送を行う放送局の送信周波数のうち所望の送信周波数に合致する受信周波数を任意に設定可能であり、且つ緊急警報放送を行う放送局の送信周波数に合致する受信周波数をも設定可能なチューナ部を含む。そして、ラジオ受信機は、待受状態である場合にも、緊急警報放送を行う放送局からの放送電波を受信部220で受信させて、FSK復調部230と地域区分符号設定データ検出部240と地域区分符号データ抽出部250と地域区分符号データ記憶部260と緊急警報データ処理部270とを機能させる。
【0081】
また、テレビ受像機の場合、受信部220はテレビジョン放送を行う放送局の物理チャンネルのうち所望の物理チャンネルを任意に設定可能であり、且つ緊急警報放送を行う放送局の物理チャネルをも設定可能なチューナ部を含む。そして、テレビジョン受像機は、待受状態である場合にも、緊急警報放送を行う放送局からの放送電波を受信部220で受信させて音声周波数に対応する受信信号を取得し、FSK復調部230と地域区分符号設定データ検出部240と地域区分符号データ抽出部250と地域区分符号データ記憶部260と緊急警報データ処理部270とを機能させる。また、不図示である映像出力部が、映像周波数に対応する受信信号に基づいて映像を出力する。
【0082】
なお、第1実施形態および第2実施形態において、FSK変調部140およびFSK復調部230それぞれにおける伝送速度は64ビット/秒であるが、これを例えば、地域区分符号設定データについてのみ128ビット/秒とするようにしてもよい。
【0083】
また、第1実施形態および第2実施形態において、地域区分符号設定データに地域共通符号データを含めないようにしてもよい。この場合は、緊急警報受信装置20が、地域共通符号データをあらかじめ有するようにすればよい。
【0084】
また、第2実施形態における地域区分符号設定データを第1実施形態に適用してもよいし、第1実施形態における地域区分符号設定データを第2実施形態に適用してもよい。
【0085】
また、緊急警報送信装置10は、定期的また特定日時に、地域区分符号設定信号を送信するとともに、実際の開始信号の送信の前段階(例えば、直前)でも地域区分符号設定信号を送信するようにしてもよい。
【0086】
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はその実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0087】
10 緊急警報送信装置
20 緊急警報受信装置
110 地域区分符号データ記憶部
120 地域区分符号設定データ生成部
130 緊急警報データ供給部
140 FSK変調部
150 音声データ供給部
160 切替部
170 タイミング制御部170
180 送出部
190 送信アンテナ
210 受信アンテナ
220 受信部
230 FSK復調部
240 地域区分符号設定データ検出部
250 地域区分符号データ抽出部
260 地域区分符号データ記憶部
270 緊急警報データ処理部
280 スイッチ部
290 音声出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
緊急警報信号の受信地域区分を特定する地域区分符号データを記憶する地域区分符号データ記憶部と、
電波を受信して受信信号を得る受信部と、
前記受信部が得た前記受信信号を音声出力する音声出力部と、
前記受信信号を前記音声出力部に供給する状態と供給しない状態とのいずれかに切替えるスイッチ部と、
前記受信信号から前記地域区分符号データを抽出して前記地域区分符号データ記憶部に記憶させる地域区分符号データ抽出部と、
前記受信信号から緊急警報信号における地域区分符号を抽出し、この抽出した地域区分符号が前記地域区分符号データ記憶部に記憶された前記地域区分符号データに含まれるか否かを判定し、含まれると判定した場合に、前記緊急警報信号の種類に応じて前記スイッチ部の切替制御を行う緊急警報データ処理部と、
を備えることを特徴とする緊急警報信号受信装置。
【請求項2】
前記受信信号は、周波数偏移変調された地域区分符号設定信号を含み、
前記地域区分符号データは、行政区域符号データと広域符号データとを含むブロックデータを複数連接した、前記地域区分符号設定信号に含まれるデータであり、
前記地域区分符号設定信号を周波数偏移復調して前記地域区分符号データを得る周波数偏移復調部と、
前記周波数偏移復調部が得た前記地域区分符号設定データから前記ブロックデータを検出する地域区分符号設定データ検出部と、
をさらに備え、
前記地域区分符号データ抽出部は、前記地域区分符号設定データ検出部が検出したブロックデータから前記行政区域符号データと前記広域符号データとを抽出して前記地域区分符号データ記憶部に記憶させる
ことを特徴とする請求項1記載の緊急警報信号受信装置。
【請求項3】
緊急警報信号の受信地域区分を特定する地域区分符号データを記憶する地域区分符号データ記憶部と、
前記地域区分符号データ記憶部から前記地域区分符号データを読み込んで、その地域区分符号データを含めた地域区分符号設定データを生成する地域区分符号設定データ生成部と、
緊急警報データと前記地域区分符号設定データ生成部が生成した前記地域区分符号設定データとを重複しないように送出する送出部と、
を備えることを特徴とする緊急警報信号送信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−70332(P2012−70332A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215506(P2010−215506)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【出願人】(591053926)財団法人エヌエイチケイエンジニアリングサービス (169)
【出願人】(594009302)日本キャステム株式会社 (5)
【Fターム(参考)】