説明

緑の通路およびその資材

【課題】本発明は、緑の通路を実現する手段の提供にある。
【解決手段】路盤上に、平板に開口し頂部が離脱可能な複数の筒部を有する基礎枠を連接しながら敷き設し、筒部間の空間にコンクリートを打設し、複数の筒部の中心位置に敷き石の端部が筒部の隅部にかかるように前記コンクリート面に接着した後、筒部の頂部を離脱させることで筒部空間を開放し、開放された筒部空間と敷き石間の間を植生空間とし、当該植生空間に客土し、客土した土壌に植物を育成させると共に、植生空間に植生が現出する隙間を設けた植物保護材で覆った緑の通路である。敷き石を基礎枠上に接着することで基礎枠上に追加の植生空間を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通路を緑化する技術に属する。
【背景技術】
【0002】
従来のブロック舗装による緑の通路は、特開2000-204507、特開2001-000051に、プラスチック製などの枠体内を複数に区画し、そのうち所定の区画内に木製、タイル製、石製のブロックを挿入しあるいはセメントなどを流し込んでブロックを形成し、他の区画は欠落可能な天井部で覆われ、ブロック舗装を完了した後欠落させ、その部分を雨水の透水性部とし、またその部分に芝を育成させ緑ゆたかなブロック舗装を可能とする手段を開示している。
【0003】
上記透水部は芝の育成あるいは砂利を充填することを目的の一部としているため露出され、芝生の培養土が充填されても流出したりして窪みとなり歩行時、特にかかとの細いハイヒールあるいは自転車、車椅子などに使用される細いタイヤが挟まるおそれもあった。そのため、上記透水部を格子状とし上記ハイヒールあるいは自転車、車椅子などに使用される細いタイヤが挟まるおそれを解消する提案がなされ本出願人により図10に示す区画枠体が特開2005-113542にて開示されている。上記区画枠体による緑化は、緑化部分が点状であり、より広い範囲を緑化するため直線状に緑化可能な方法が求められている。
【0004】
【特許文献1】特開2000-204507
【特許文献2】特開2001-000051
【特許文献3】特開2005-113542
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、緑化通路を実現する手段の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本第1の発明は、路盤上に、平板に開口し頂部が離脱可能な複数の筒部を有する基礎枠を連接しながら敷き設し、筒部間の空間にコンクリートを打設し、複数の筒部の中心位置に敷き石の端部が筒部の隅部にかかるように前記コンクリート面に接着した後、筒部の頂部を離脱させることで筒部空間を開放し、開放された筒部空間と敷き石間の間を植生空間とし、当該植生空間に客土し、客土した土壌に植物を育成させると共に、植生空間に植生が現出する隙間を設けた植物保護材で覆った緑の通路である。敷き石を基礎枠上に接着することで基礎枠上に追加の植生空間を設けた。
本第2の発明は、コンクリート盤であって、複数の貫通孔を有し、当該貫通孔を繋げるように表面に貫通孔より幅の狭い溝が設けられ、前記貫通孔と溝を植生空間とした緑の通路用資材である。本第1の発明である緑の通路用資材として客土充填までの行程を一つにまとめ緑の通路用資材とした。
本第3の発明は、本第2の緑の通路用資材における植生空間に客土をし、植物を生育させると共に植生空間を、植生が現出する隙間を設けた植物保護材で覆った緑の通路である。緑化部分を、貫通孔のみによる点状でなく、直線状となるよう、貫通孔に合わせ植生空間として緑の通路用資材の表面に貫通孔を連絡するよう溝を設けた。植物保護材を緑の通路用資材に固定できるよう貫通孔より幅の狭い溝とした。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、(1)基礎枠筒部間にコンクリートを打設し、そのコンクリート面上部にさらに敷き石を接着したため基礎枠筒部内に合わせ敷き石間に植生空間が設けられ、緑化の範囲が点状から直線状に広げることができる。(2)コンクリート盤に、貫通孔を設け、貫通孔間を連絡する貫通孔より幅の狭い溝を設け、植生空間としたため緑化の範囲が点状から直線状に広げることができる。(3)植生空間の一部である溝の幅を、貫通孔より狭くすることで貫通孔の隅部に張り出し部を形成したため植物保護材を張り出し部に契合させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下本発明を図により詳細に説明する。
図1は、基礎枠を示す概念図である。図1aは平面図、図1bはA-A’線での断面図である。
図に示すように基礎枠は平板上に9個の筒部が設けられている。各筒部の頂部は離脱可能なように例えばミシン目が施されている。
図では正方形の角柱であるが、特にその形状は限定されない。必要に応じて平板から上部に掛けて狭くなるようなテーパが設けておくこともできる。こうすることで入れ子状に積み重ね可能となるため、その運搬・貯蔵の際の容量を減ずることができる。
【0009】
図2は、基礎枠を連接し、筒部間にコンクリートを筒部と同じ高さまで打設した状態を示している。強度補強のため必要に応じて鉄筋を通してもよい。図でハッチングを施した部分がコンクリート部分である。コンクリート打設の後、筒部頂部を離脱させる。筒部の中に剥落させることができる。この開放された筒部に客土を入れ植生を育成することもできるが緑が点状となる。
【0010】
図3は、図2の状態に敷き石をコンクリート面に接着した状態を示している。図では4つの筒部の中心に敷き石を位置させ、敷き石の隅角が筒部開放口に一部掛かるようにしてある。これは後述する植物保護材を載置する際、敷き石の各隅に契合させて固定するためである。
【0011】
図4はさらに筒部と敷き石間に客土をした状態を示している。ハッチングの施されていない白地の部分が植生空間である。植生空間が、芝を植えあるいは種をまき、緑を育てる場所となる。同時に植生空間を介して雨水等が地中に浸透する場所ともなっている。
【0012】
図5は植物保護材の一例を示す図である。
本植物保護材は、敷き石部分を除き植生空間全体を覆うように構成されている。植物保護材の表面に設けた隙間から芝等の植物が現れ、格子状な緑の通路が形成される。通路は駐車場、駐車場へのアクセス道路、歩道などであり、植生空間と敷き石空間の比率など適宜変更可能である。
【0013】
図6は、図5に示す植物保護材を、植生空間を覆うように載置した状態を示している。敷き石以外の部分が緑化され、格子状の緑化が可能となる。
【0014】
図7は、本緑化通路の完成時の状態を示す概念図である。図に示すように点状の緑化ではなく格子状のより緑化比率の高い通路が可能となる。
基礎枠、植物保護材はステンレススチールなどの金属あるいは射出成形可能な熱可塑性樹脂により成形可能である。
【0015】
本第2、第3の発明に付き図を用いて説明する。
図8は緑の通路用資材の概念図である。第1の発明の図3に示した敷き石を接着した状態の各基礎枠部分に相当する。本通路用資材は型枠を用いて成形可能である。本資材は基礎枠を取り外したものに相当する。図9は本通路用資材を図3と同様配列させた状態を示している。敷き石を接着することなく一体として形成したためより強度の高いものとなる。緑の通路として使用するためには第1の発明と同様客土、植物の育成あるいは播種、さらに植物の保護材で覆うことで実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】緑の通路に使用する基礎枠の例を示す概念図である。
【図2】基礎枠を連接し筒部間にコンクリートを打設した状態を示す概念図である。
【図3】敷き石を更に載置した状態を示す概念図である。
【図4】客土を充填し、植生空間を示す概念図である。
【図5】植物保護材の一例を示す概念図である。
【図6】植物保護材を載置した状態を示す概念図である。
【図7】緑の通路の概念図である。
【図8】緑の通路用資材の概念図である。
【図9】緑の通路用資材を配列した状態を示す概念図である。
【図10】従来の点状に緑化するブロック舗装に使用する枠体の例を示す。
【符号の説明】
【0017】
1 緑の通路
2 基礎枠
21 筒部
22 盤部
23 ミシン目
3 コンクリート
31 鉄筋
4 敷き石
5 筒部空間
6 植生空間
7 植物保護材
8 緑の通路用資材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
路盤上に、平板に開口し頂部が離脱可能な複数の筒部を有する基礎枠を連接しながら敷き設し、筒部間の空間にコンクリートを打設し、複数の筒部の中心位置に敷き石の端部が筒部の隅部にかかるように前記コンクリート面に接着した後、筒部の頂部を離脱させることで筒部空間を開放し、開放された筒部空間と敷き石間の間を植生空間とし、当該植生空間に客土し、客土した土壌に植物を育成させると共に、植生空間に植生が現出する隙間を設けた植物保護材で覆った緑の通路。
【請求項2】
コンクリート盤であって、複数の貫通孔を有し、当該貫通孔を繋げるように表面に貫通孔より幅の狭い溝が設けられ、前記貫通孔と溝を植生空間とした緑の通路用資材。
【請求項3】
請求項2記載の、緑の通路用資材の植生空間に客土をし、植物を生育させると共に植生空間に植生が現出する隙間を設けた植物保護材で覆った緑の通路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−11805(P2010−11805A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−175612(P2008−175612)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(306024805)株式会社 林物産発明研究所 (155)
【Fターム(参考)】