説明

緑内障の治療方法

【課題】
【解決手段】 本発明の実施形態は、眼圧を処置する方法およびシステムを提供する。標的となる眼の毛様体領域にレーザ光が向けられる。その光は、毛様体領域を刺激して、その中に詰まった破片を除去する。毛様体への刺激によって、免疫反応が引き起こされてよい。ブドウ膜−強膜流出経路を塞ぐ破片を除去することで、眼の前房からの房水の流出が増大し、眼圧が低減される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光エネルギを用いて前房隅角部の領域において組織の改善を引き起こすことで、ブドウ膜強膜面の経路を通しての房水流出を促進して眼圧(IOP)を低減する緑内障の治療に関する。
【背景技術】
【0002】
緑内障は、一般的な健康障害であり、米国民の約2%が罹患している。多くの種類の緑内障で、眼内の眼圧(IOP)が上昇し、視神経における病変や、中心視野および周辺視野の欠損を引き起こしうる。長期間にわたって高いIOPが続くと、完全に失明することもある。IOPの上昇は、眼における流体の流入と流出との不均衡によって引き起こされるものであり、治療の第1の目的は、眼圧を低下させることである。
【0003】
眼の前房は、水晶体の周りの毛様体によって絶え間なく産生される透明な流体である房水を含む。眼の前房を通る房水の一定の流れは、2つの異なる経路を通って流れ出る。1つの重要な房水流出経路は、線維柱帯およびシュレム管を通る経路である。線維柱帯は、「隅角」において眼の周囲を360°取り囲む濾過構造である。隅角とは、虹彩、強膜、および角膜の間の接合部分である。線維柱帯は、シュレム管に達する流出を濾過する膠原線維の層からなる。線維柱帯は、濾過構造に捕らえられる細胞外物質を分解するための酵素を産生する単層の線維柱帯細胞を有する。シュレム管は、線維柱帯に隣接して眼の周囲を囲む通路すなわち一連の隔壁である。房水は、シュレム管から上強膜静脈系に流出する一連の集水路を通してシュレム管から流出する。
【0004】
第2の房水流出経路は、毛様体およびブドウ膜強膜面の領域を通る経路であり、流体は、組織を通して毛様体の筋線維の間を直接的に外向きに移動する。
【0005】
正常な眼では、毛様体によって産生される房水が、流出する房水と等しく、それにより、IOPは、15ないし21mmHgの範囲で一定に保たれる。緑内障を罹患した患者では、流出系における抵抗は、約21mmHgを超える。最も一般的な種類の緑内障である原発開放隅角緑内障(POAG)では、流体の流出に対する主な抵抗は、シュレム管に隣接する線維柱帯の領域付近に集中する。
【0006】
眼圧を低下させることによって緑内障を治療するために、多くの治療法が開発されてきた。薬理療法としては、毛様体による房水の産生を低減する、もしくは、ブドウ膜強膜経路を通しての房水の流出を増大させる局所点眼薬や経口薬が挙げられる。しかしながら、薬剤は、視覚低下、アレルギー反応、頭痛、他の薬剤との相互作用の危険性など、深刻な副作用を起こすことがある。
【0007】
開放隅角緑内障を治療するための外科的な方法としては、レーザ線維柱帯形成術、線維柱帯切除術、および房水シャントの移植が挙げられる。
【0008】
線維柱帯切除術は、広く行われている手術であり、顕微鏡下手術によって、線維柱帯を切除して、線維柱帯を通して、より迅速に房水が流出することを可能にする。かかる処置は、長期的な成功は限られていることがわかっている。切除術は、しばしば、体の創傷治癒の反応と、線維柱帯における切開の開口部を修復して閉じる線維形成とによって、時間と共に効果がなくなる。切開部分が治癒すると、眼圧は再び上昇する。
【0009】
房水が、眼の前房から強膜または結膜下腔に流出する流路を提供するための移植可能なシャントや外科的方法も知られている。
【0010】
線維柱帯切除術およびシャント術と、その変形物は、いくつかの欠点を有し、成功率があまり高くない。かかる手術は、強膜の全層にわたって結膜下腔まで切開するために、かなりの外科的技量を必要とする。さらに、手術によって、眼に対してかなりの外傷を引き起こす。それらの処置は、一般に、手術室で実行され、長期間の療養期間を必要とする。
【発明の開示】
【0011】
本発明の一実施形態では、ほ乳類の眼の眼圧を処置するための方法であって、眼の毛様体領域にレーザ光を向ける工程と、毛様体領域を刺激する工程と、毛様体領域に詰まった破片を除去する工程と、を備える、方法が提供されている。
【0012】
本発明の別の実施形態では、レーザ光は、50μm以上の透過深さを有する、方法が提供されている。
【0013】
本発明の他の実施形態では、レーザ光は、70μm以上の透過深さを有する、方法が提供されている。
【0014】
本発明のさらに別の実施形態では、レーザ光は、200μm以上の透過深さを有する、方法が提供されている。
【0015】
本発明のさらに他の実施形態では、毛様体領域の毛様体線維柱帯をレーザ光の標的にする工程をさらに備える、方法が提供されている。
【0016】
本発明のまた別の実施形態では、免疫反応を引き起こす工程をさらに備える、方法が提供されている。
【0017】
本発明のまた他の実施形態では、免疫反応は、サイトカインおよびマクロファージの活性化を含む、方法が提供されている。
【0018】
本発明のまたさらに別の実施形態では、毛様体線維柱帯にレーザ光を隅角鏡によって供給する工程をさらに備える、方法が提供されている。
【0019】
本発明のまたさらに他の実施形態では、毛様体領域内に位置する毛様体を標的にする工程をさらに備える、方法が提供されている。
【0020】
本発明の一実施形態では、免疫反応を引き起こす工程をさらに備える、方法が提供されている。
【0021】
本発明の別の実施形態では、免疫反応は、サイトカインおよびマクロファージの活性化を含む、方法が提供されている。
【0022】
本発明の他の実施形態では、眼の強膜をレーザ供給装置で圧迫する工程をさらに備える、方法が提供されている。
【0023】
本発明のさらに別の実施形態では、眼の強膜を通してレーザ光を送る工程をさらに備える、方法が提供されている。
【0024】
本発明のさらに他の実施形態では、強膜上の複数の点を扱う工程をさらに備える、方法が提供されている。
【0025】
本発明のまた別の実施形態では、レーザ光は、600nmより大きい波長を有する、方法が提供されている。
【0026】
本発明のまた他の実施形態では、レーザ光は、700nmから1000nmの範囲の波長を有する、方法が提供されている。
【0027】
本発明のまたさらに別の実施形態では、レーザ光は、チタンサファイアレーザによって生成される、方法が提供されている。
【0028】
本発明の一実施形態では、ほ乳類の眼の眼圧を処置するためのシステムであって、50μmより大きい範囲の組織透過性を有するレーザ光を生成するレーザ生成器と、レーザに結合されたレーザ供給装置と、を備え、レーザ光は、眼の毛様体を標的にする、システムが提供されている。
【0029】
本発明の別の実施形態では、眼の前房の周りに配置された接触リングをさらに備え、レーザ光は、複数の標的点に同時に供給される、システムが提供されている。
【0030】
本発明の他の実施形態では、レーザ供給装置は、眼の強膜に直接的に接触するよう構成されている、システムが提供されている。
【0031】
本発明の一実施形態では、強膜越しに毛様体形成を行うための方法であって、眼の毛様体領域に近接した患者の眼の強膜を圧迫する工程と、強膜を通して毛様体領域にレーザ光のビームを向ける工程と、免疫反応を引き起こす工程と、を備える、方法が提供されている。
【0032】
本発明の別の実施形態では、レーザ光は、700nmから1000nmの範囲の波長を有する、方法が提供されている。
【0033】
本発明の他の実施形態では、レーザは、チタンサファイアレーザである、方法が提供されている。
【0034】
本発明のさらに別の実施形態では、免疫反応は、サイトカインおよびマクロファージの活性化を含む、方法が提供されている。
【0035】
本明細書に記載された特徴および利点は、包括的なものではなく、特に、図面、明細書、および請求項から、多くのさらなる特徴および利点が、当業者にとって明らかになる。さらに、本明細書で用いられている用語は、主に読みやすさと説明上の目的から選択されており、本発明の主題の範囲を限定するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
図1は、人間の眼の前房100に関する解剖学的構造を示している。本発明は、前房の周辺における狭い面内の標的組織領域105にエネルギを加えることにより、前房100からの房水の流出を促進する手段に関する。眼の前房は、毛様体によって絶え間なく産生される透明な流体である房水を含む。眼の前房を通る房水の一定の流れは、以下に示す2つの異なる経路を通って流れ出る。すなわち、(i)角膜−強膜間の線維柱帯およびシュレム管、(ii)ブドウ膜強膜経路、である。
【0037】
ブドウ膜強膜経路の周りの組織に光治療を施すことで、流出を促進できることがわかっている。標的組織は、ブドウ膜と強膜106との境界付近にあり、本明細書では、ブドウ膜−虹彩線維105(図1)と呼ぶこともある。標的組織領域105は、図1に110として示したブドウ膜−強膜面に移行する。眼のブドウ膜は、虹彩112と毛様体114と脈絡膜116とで構成される。図1の虹彩は、瞳孔118を取り囲む眼の覆いである。毛様体114は、虹彩と脈絡膜116とを結合する組織体であり、眼の水晶体(図示せず)に作用して形状を変化させる毛様体筋122の筋群を含む。眼の脈絡膜116は、強膜(白眼)106と網膜(眼底の内側を覆う神経層)との間に位置する眼の薄い血管中間層である。
【0038】
上述のように、毛様体104およびブドウ膜強膜面110の領域を通る重要な房水の流出経路があり、流体は、前房100から組織を通して毛様体の筋線維122の間を直接的に外向きに移動する。前房100と毛様体筋122との間には、ほぼ組織壁がない。したがって、房水が、筋束122の間を通り脈絡膜上の空間(すなわち、ブドウ膜強膜面110)内を通ることを妨げる膜や障壁がない。前房の周辺の領域は、虹彩112の最も外側の周辺のブドウ膜−虹彩線維105(すなわち、毛様体の線維柱帯)として説明した線維または組織の領域を含む(図1および2参照)。図2は、虹彩の線維組織領域105および毛様体筋束122を通るブドウ膜強膜流出経路を示している。本明細書で用いられているように、「ブドウ膜強膜流出」という用語は、角膜−強膜間の線維柱帯(小柱網)128およびシュレム管132(図1参照)の後方に位置する組織を通して前房100から流れ出す房水の流出を意味する。換言すれば、房水は、毛様体筋束122、虹彩112の周辺、および、通常は、ブドウ膜−虹彩線維105を通って、ブドウ膜強膜面110に流れる。その後、房水は、静脈系に入り、強膜に浸入もしくは通過することができると考えられている。脈絡膜116および毛様体突起114(図1)の血管は、透過性が高く、そのため、ブドウ膜の血管外の空間におけるタンパク質の濃度は、非常に高い。これらのタンパク質は、強膜(アルブミン)を通して眼の内部から出ることができる。
【0039】
図3は、角膜−強膜間の線維柱帯128およびシュレム管132を通る他の主要な房水流出路を示している。房水が、真の360°の管と言うよりも一連の隔壁であるシュレム管132に到達すると、流出は、さらに、外向きに伸びて流体を結膜140の内部の上強膜静脈系に通す集水路136を通り抜ける。本開示の図2および3などでは、これらの房水の流れを「シュレム流出」と呼んでいる。
【0040】
図3の分解図は、房水が前房100から流出する2つの異なる流路をよく示している。
【0041】
図4は、若く健康な眼を示しており、色素(例えば、水晶体や虹彩に由来するもの)およびその他の細胞破片150が、前房100内を循環し、ブドウ膜強膜流出およびシュレム流出を通して房水と共に自然に流出している。
【0042】
発明者は、若年者の眼と高齢者の緑内障眼とについて、比較形態学的研究を行った。予測通り、これらの研究によって、高齢者の緑内障眼におけるシュレム管の内皮下領域で細胞外物質が増加することがわかった。特に興味深いのは、発明者は、さらに、ブドウ膜強膜面100および筋束122の流出経路における細胞外物質の有意な増加を観察した。一部の研究では、ブドウ膜強膜流出経路の組織内で、ある種のプラークが形成されていると思われる。図5は、高齢者の緑内障眼に蓄積した破片150を示す図である。
【0043】
図7および8は、図4および5に対応する若年者の目および高齢者の緑内障眼の画像をそれぞれ示している。図7の画像において、若年者の目は、流体の流出を可能にする十分な筋肉間の空間を有する。図8の緑内障眼の画像においては、密性結合組織およびプラーク様の物質とが存在する。なお、プラーク様の物質は、細胞破片の集積と、結合組織の成長を引き起こす創傷治癒反応とに起因すると思われる。
【0044】
動物モデルに適用した本発明の一実施形態では、図6に示すように、角膜−強膜間の線維柱帯128の後部のブドウ膜および強膜の接合部(図1ないし8の組織領域105、本明細書では、ブドウ膜−虹彩線維または毛様体の線維柱帯組織105とも呼んでいる)の周辺にレーザを照射した結果、ブドウ膜強膜経路を通る流出が増進された。
【0045】
本発明の一実施形態は、ブドウ膜−虹彩線維105、周辺虹彩、および、一般的には、前房に露出したブドウ膜−強膜間の界面110に、レーザ照射によってエネルギを供給することに基づいており、それによって、図2および3に示した「ブドウ膜強膜流出」を通しての房水の流れが増進される。
【0046】
本発明の一実施形態は、前房100に露出したブドウ膜−強膜間の結合部の周囲、すなわち、図6に示すように、ブドウ膜虹彩線維組織105または毛様体の線維柱帯の領域にエネルギを供給する別のレーザ照射利用法を含む。レーザのエネルギは、当業者に周知のように、隅角鏡を用いて供給され、360°バンドであってもよいし、より小さい任意の角度領域であってもよい。以下のエネルギ供給パラメータが、組織の変更、および、組織領域105における流体の透過性および流出の増大を引き起こしうることがわかった。様々な実施形態によると、変更は、バイオショック、微小振動、短バイオショック、バイオウルトラショック、フォトキャビテーション、マイクロキャビテーション、衝撃波、または、熱的効果でよい。
【0047】
本発明の一実施形態では、レーザ照射は、400から1550ナノメートルの間の波長を有しており、750から1000ナノメートルの間の波長であることが、より好ましい。その方法では、1から500ミリジュール(mJ)の範囲のレーザパルス当たりのエネルギレベルを用いており、パルス当たり10から250ミリジュールの範囲のエネルギレベルが、より好ましい。その方法は、1から50マイクロ秒の範囲のレーザパルス幅を用いており、5から25マイクロ秒のパルス幅が、より好ましい。その方法は、約50から200ミクロンの範囲のレーザスポットサイズを用いる。適切なレーザ源の1つとして、785から795nmの範囲の波長を生成する種類のチタンサファイアレーザが挙げられる。
【0048】
本発明の一実施形態では、毛様体領域を刺激する方法が提供されており、毛様体114およびブドウ膜強膜流出路に、コヒーレント光が照射される。かかる刺激は、生物学的反応を活性化させるものであり、一実施形態では、この生物学的反応は、マクロファージおよびサイトカインの漸増を含む。コヒーレント光は、かかる光のビームを眼の前房100を通して毛様体の線維柱帯に向ける、もしくは、強膜を横断して毛様体にビームを向けることによって導入されてよい。一実施形態では、コヒーレント光は、790nmの波長を有するチタンサファイアレーザによって供給される。本発明の範囲内で、適切で有効な組織透過性を有する他のレーザを用いてよいことは、当業者にとって明らかである。
【0049】
眼の前房を通して光が照射される一実施形態では、レーザ光は、前房100内に向けられ、その焦点は、毛様体の線維柱帯105の近傍に合わされてよい。かかる一実施形態では、レーザの焦点は、ブドウ膜強膜流出経路、毛様体、および毛様体の線維柱帯によって規定される毛様体領域に配置されることが望ましい。かかる一実施形態では、光は、隅角レンズ、または、前房の隅角に向けた光の観察や方向に適切なその他の装置を用いて供給されてよい。
【0050】
あるいは、図9および図10に示すように、コヒーレント光は、強膜を通して毛様体114に向けられてもよい。強膜に圧力を掛けると、強膜は、特定の波長の光を通すようになる。強膜の特性により、プローブやその他の光供給装置を押しつけて強膜を圧迫した際に、強膜を通してのレーザ光の通過が可能になる。レーザプローブやその他のコヒーレント光供給装置を強膜の外側に押しつけることにより、コヒーレント光は、眼の外側を通して直接的に毛様体の領域に供給されてよい。かかる実施形態では、コヒーレント光は、通例、約200μmの透過を可能にする光源から選択される。一実施形態では、790nmの波長を有するレーザが用いられる。かかる実施形態では、正しい反応を引き起こすために、透過深さは、強膜の外側と標的領域との間に位置する構造の厚さよりも大きい必要がある。
【0051】
かかる実施形態では、光は、使用者が操作するペンまたは鉛筆のようなプローブによって供給されてよい。プローブは、光ファイバの光供給路と、レンズまたは鏡のアレイとからなってよく、それによって、光の焦点が、標的領域に合わせられる。一実施形態では、アレイ156のレンズが、プローブの末端に配置されており、使用の際には、対象となる眼の強膜に接触するように配置される。次いで、使用者は、強膜越しに毛様体形成を行うために角膜の周りの1または複数の位置を選択してよい。あるいは、レーザは、角膜の周りに環状に配置された複数のレンズを通して、角膜の周りの強膜に位置する事前に選択された複数の場所に同時に照射されてもよい。
【0052】
かかる実施形態では、生物学的効果と、毛様体の線維柱帯およびブドウ膜強膜流出経路を塞ぐデトリタスやその他の破片の切除または除去との両方が、流れの改善に寄与することで、上昇した眼圧を低下させる。食細胞、マクロファージ、およびサイトカインの作用は、生物科学分野の当業者によく理解されている。レーザによる毛様体形成は、体の免疫反応を効果的に刺激し、体が破片を除去するよう促す。破片の除去により、房水の流れの増進が実現されるため、眼圧が低減される。
【0053】
一実施形態では、標的領域は、少なくとも5マイクロ秒の光パルスにされてよい。別の実施形態では、このパルスは、7マイクロ秒であってもよいし、20マイクロ秒以上であってもよい。暴露時間が異なることにより、異なる生物学的反応が引き起こされることは、当業者にとって明らかである。
【0054】
本発明の実施形態の説明は、例示と説明のためになされたものである。その説明は、包括的であることも、本発明を開示された形態に限定することも意図されていない。本開示に照らして、多くの変形例や変更例が可能である。本発明の範囲は、この詳細な説明ではなく、添付の特許請求の範囲によって限定されるよう意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】ブドウ膜−強膜面の領域を示す患者の眼の解剖学的構造の説明図。
【図2】前房からの2つの房水の流出経路を示す図1と同様の説明図。
【図3】前房からの2つの房水の流出経路を示す図2の分解図。
【図4】若年者の眼の説明図。
【図5】ブドウ膜強膜流出経路に破片およびプラークを伴った高齢者の緑内障眼の図。
【図6】前房に露出したブドウ膜−強膜間の境界付近の組織領域のレーザ照射を示す本発明の方法の図。
【図7】流路と毛様体筋束とを示す若年者の眼の画像を示す図。
【図8】ブドウ膜強膜流出経路にプラークおよび密性結合組織を伴った高齢者の緑内障眼の画像を示す図。
【図9】本発明の一実施形態に従って、強膜越しの毛様体形成を示す人間の眼の部分断面正面図。
【図10】本発明の一実施形態に従って、強膜越しの毛様体形成を示す人間の眼の部分断面正面図。
【符号の説明】
【0056】
100…ブドウ膜強膜面
104…毛様体
105…線維組織領域
106…強膜
110…ブドウ膜強膜面
112…虹彩
114…毛様体突起
116…脈絡膜
118…瞳孔
122…毛様体筋束
128…線維柱帯
132…シュレム管
136…集水路
140…結膜
150…細胞破片
150…破片
156…レンズアレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ほ乳類の眼の眼圧を処置するための方法であって、
前記眼の毛様体領域にレーザ光を向ける工程と、
前記毛様体領域を刺激する工程と、
前記毛様体領域に詰まった破片を除去する工程と、を備える、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記レーザ光は、50μm以上の透過深さを有する、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
前記レーザ光は、70μm以上の透過深さを有する、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記レーザ光は、200μm以上の透過深さを有する、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
前記毛様体領域の毛様体線維柱帯を前記レーザ光の標的にする工程を備える、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、さらに、
免疫反応を引き起こす工程を備える、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法であって、
前記免疫反応は、サイトカインおよびマクロファージの活性化を含む、方法。
【請求項8】
請求項5に記載の方法であって、さらに、
前記毛様体線維柱帯に前記レーザ光を隅角鏡によって供給する工程を備える、方法。
【請求項9】
請求項1に記載の方法であって、さらに、
前記毛様体領域内に位置する毛様体を標的にする工程を備える、方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、さらに、
免疫反応を引き起こす工程を備える、方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、
前記免疫反応は、サイトカインおよびマクロファージの活性化を含む、方法。
【請求項12】
請求項9に記載の方法であって、さらに、
前記眼の強膜をレーザ供給装置で圧迫する工程を備える、方法。
【請求項13】
請求項9に記載の方法であって、さらに、
前記眼の強膜を通して前記レーザ光を送る工程を備える、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、さらに、
前記強膜上の複数の点を扱う工程を備える、方法。
【請求項15】
請求項1に記載の方法であって、
前記レーザ光は、600nmより大きい波長を有する、方法。
【請求項16】
請求項1に記載の方法であって、
前記レーザ光は、700nmから1000nmの範囲の波長を有する、方法。
【請求項17】
請求項1に記載の方法であって、
前記レーザ光は、チタンサファイアレーザによって生成される、方法。
【請求項18】
ほ乳類の眼の眼圧を処置するためのシステムであって、
50μmより大きい範囲の組織透過性を有するレーザ光を生成するレーザ生成器と、
前記レーザに結合されたレーザ供給装置と、を備え、前記レーザ光は、前記眼の毛様体を標的にする、システム。
【請求項19】
請求項18に記載のシステムであって、さらに、
前記眼の前房の周りに配置された接触リングを備え、前記レーザ光は、複数の標的点に同時に供給される、システム。
【請求項20】
請求項18に記載のシステムであって、さらに、
前記装置は、前記眼の強膜に直接的に接触するよう構成されている、システム。
【請求項21】
強膜越しに毛様体形成を行うための方法であって、
前記眼の毛様体領域に近接した患者の眼の強膜を圧迫する工程と、
前記強膜を通して前記毛様体領域にレーザ光のビームを向ける工程と、
免疫反応を引き起こす工程と、を備える、方法。
【請求項22】
請求項21に記載の方法であって、
前記レーザは、700nmから1000nmの範囲の波長を有する、方法。
【請求項23】
請求項21に記載の方法であって、
前記レーザは、チタンサファイアレーザである、方法。
【請求項24】
請求項21に記載の方法であって、
前記免疫反応は、サイトカインおよびマクロファージの活性化を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−518539(P2007−518539A)
【公表日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−551349(P2006−551349)
【出願日】平成17年1月24日(2005.1.24)
【国際出願番号】PCT/US2005/002118
【国際公開番号】WO2005/072294
【国際公開日】平成17年8月11日(2005.8.11)
【出願人】(506250251)ソルクス・インコーポレーテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】SOLX INCORPORATED
【Fターム(参考)】