説明

緑化用成型板及びその製造方法

【課題】 圧縮強度及び曲げ強度が高く、熱伝導率λ及び熱貫流率Kの低い緑化用成型板及びその製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】
普通セメントを12〜30重量%、粒径20mm以下のシラスを50〜80重量%、ゼオライトを3.0〜8.0重量%、混和材を0.4〜1.4重量%、混和剤を0.7〜1.5重量%、水を2.0〜8.0重量%を配合し、混練して固形化することにより、圧縮強度が0.5〜5N/mm、曲げ強度が0.1〜2N/mmであり、熱伝導率λ=0.1〜0.5、熱貫流率K=1.0〜25.0の範囲で熱の侵入を阻止し得るようにした。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は強度が高くかつ外断熱性に優れた緑化用成型板及びその製造方法に関するものである。
【0002】
現在、建物の断熱性能確保は、断熱材を室内側に設置するようにしている。このような断熱材は一般的に空気を内包するガラス繊維や岩綿の積層材、あるいはウレタンやスチレンを発泡させ固化した成形板が用いられており、それらの材質は軽くて柔らかい。しかしながら、これらの材質は当然のことながら強度や硬度が弱いため、そのままでは外部壁や屋根に設置することはできない。このようなことに起因して、熱伝導率の高い屋根や外壁に太陽熱が蓄積し、それを夜間に放出することから都市部のヒートアイランド現象が発生する。したがって、建物の断熱は建物外部での断熱、いわゆる外断熱であることが望ましい。
【背景技術】
【0003】
従来、例えば特開2003−245012号公報には、全配合原料の12%未満のセメントをシラスまたはシラスバルーンの表面に薄くまぶす程度にとどめ、ゼロスランプの混合原料を15〜110kgf/cmの圧力で成形加工し、シラス同士またはシラス/シラスバルーン間の接触面での強固な接合を行わせ、また軽量シラス基盤の表面の一部または全部を表面研削することによって、より植物の根付きが向上した軽量シラス基盤ができ、さらにセメントの含有量が著しく少ないため、環境にやさしい素材であり、芝類との一体成形によって、軽量シラス基盤と芝草類と一体化したものも製造できる旨が記載されている。
【0004】
しかしながら、上記従来の方法においては、セメント量12%未満のため攪拌に特殊な技術を要し、セメントを均等に行き渡らせることが難しい。また、混合材料を15〜110kgf/cmの圧力で成形加工するため特殊な加圧設備を要し、簡易な方法で製造できない。また、軽量シラス基盤の表面の一部または全部を表面研削する工程が必要となり複雑で、製造工程を簡略化することが出来ない。さらに、セメントの含有量が著しく少ないため、湿潤な材料を用いなければならず、必要資材の材質管理が難しい。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、圧縮強度及び曲げ強度が高く、熱伝導率λ及び熱貫流率Kの低い緑化用成型板及びその製造方法を提供するものである。
【課題を解決する手段】
【0006】
請求項1の発明は、圧縮強度が0.5〜5N/mm、曲げ強度が0.1〜2N/mmであり、熱伝導率λ=0.1〜0.5、熱貫流率K=1.0〜25.0の範囲で熱の侵入を阻止し得る緑化用成型板を提供するものである。
【0007】
この発明においては、植物の根をはるに充分なポーラス基板でありながら、圧縮強度及び曲げ強度が高く、さらに熱伝導率λ及び熱貫流率Kが低く、熱の侵入を阻止し得る緑化用成型板を提供することが出来る。
【0008】
圧縮強度が0.5N/mm未満であると成型板の耐力に支障を来たし、圧縮強度が5N/mmを超えると、強度は増してもセメント量が増えるためアルカリ性が強すぎ植物の生育に支障を来たす。
【0009】
曲げ強度が0.1N/mm未満であると集中荷重に耐えられず破壊するため土や植物の積載に支障を来たし、曲げ強度が2N/mmを超えると空隙率が減少するため根の発達に支障を来たす。
【0010】
熱伝導率λが0.1未満の場合はシラスの量が多くなるため、空隙率が大きすぎて強度に支障を来たし、熱伝導率λが0.5を超える場合は空隙率が小さくなるため断熱効果に支障を来たす。
【0011】
熱貫流率Kが1.0未満である場合シラスの量が多いため、空隙率が大きすぎて強度に支障を来たし、熱貫流率Kが25.0を超える場合空隙率が小さくなるため断熱効果に支障を来たす。
【0012】
請求項2の発明は、普通セメントを12〜30重量%、平均粒径20mm以下のシラスを50〜80重量%、ゼオライトを3.0〜8.0重量%、混和材を0.4〜1.4重量%、混和剤を0.7〜1.5重量%、水を2.0〜8.0重量%を配合混練して固形化した緑化用成型板の製造方法を提供するものである。
【0013】
この発明においては、圧縮強度及び曲げ強度が高く、熱伝導率λ及び熱貫流率Kが低い緑化用成型板の製造方法を提供することが出来る。
【0014】
普通セメントが12重量%未満では強度上支障を来たし、普通セメントが30重量%を超えるとポーラス構造が維持できなくなり、素材の多孔質性が失われる。
【0015】
平均粒径20mm以下のシラスが50重量%未満では空隙率が減少し根の発達に支障を来たし、平均粒径20mm以下のシラスが80重量%を超えると強度が劣化する。
【0016】
混和材が0.4重量%未満では混練に支障を来たし、混和材が1.4重量%を超えると強度上支障を来たす。
【0017】
混和剤が0.7重量%未満ではシラス粒子相互の接合に支障を来たし、混和剤が1.5重量%を超えると接合力が母材自体の強度を上回り、耐力性を上げるための意味がなくなる。
【0018】
水が2.0重量%未満では固化に支障を来たし、水が8.0重量%を超えると強度上支障を来たす。
【0019】
植物の生育に悪影響を及ぼし勝ちな強アルカリ性を低減させるためにゼオライトを使用している。このゼオライトが3.0重量%を未満では水分や肥料の吸放出能力に支障を来たし、ゼオライトが8.0重量%を超えると強度上支障を来たす。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に本発明の一実施形態を説明する。普通セメントとしてポルトランドセメント、平均粒径8mm以下のシラスと平均粒径8〜20mmのシラス、特殊加工天然ゼオライト((株)さい社製)、混和材TNS−100(太平洋セメント(株)社製)、混和剤セミックス(海洋興産(株)社製)、水とを第1表に示す割合で配合して混練し、型に詰め込んだ後乾燥固形化した。これら固形化した各試料について、圧縮強度(JIS A 1108で測定)、曲げ強度(JIS A 1106で測定)、熱伝導率λ(JIS A 1412で測定)、熱貫流率K(JIS A 1312で測定)、を測定し第2表に示す。尚、※印は本発明の範囲外を示し、(−)は測定せず。その他、空隙率及びアルカリ性については備考欄に示した。尚、シラスの平均粒径は製品の用途に応じて例えば、8〜13mm、6〜8mm、8mm以下と適宜変更することも出来る。この場合使用するシラスの平均粒径が大きいほどセメント量が増える。


【0023】
第1表から理解されるように、圧縮強度が0.5〜5N/mm、曲げ強度が0.1〜2N/mmであり、また熱伝導率λ=0.1〜0.5、熱貫流率K=1.0〜25.0の範囲が熱の侵入を阻止し得る良好な緑化用成型板であることが理解できる。
【0024】
また、普通セメントを12〜30重量%、粒径20mm以下のシラスを50〜80重量%、ゼオライトを3.0〜8.0重量%、混和材を0.4〜1.4重量%、混和剤を0.7〜1.5重量%、水を2.0〜8.0重量%の配合割合が本発明の緑化用成型板として有効であることが理解される。
【発明の効果】
【0025】
上記の如く本発明においては、植物の根をはるに充分なポーラス基板でありながら圧縮強度及び曲げ強度を高くでき、さらに熱伝導率λ及び熱貫流率Kを低くして熱の侵入を阻止し得る緑化用成型板及びその製造方法を提供することが出来る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮強度が0.5〜5N/mm、曲げ強度が0.1〜2N/mmであり、熱伝導率λ=0.1〜0.5、熱貫流率K=1.0〜25.0の範囲で熱の侵入を阻止し得る緑化用成型板。
【請求項2】
普通セメントを12〜30重量%、平均粒径20mm以下のシラスを50〜80重量%、ゼオライトを3.0〜8.0重量%、混和材を0.4〜1.4重量%、混和剤を0.7〜1.5重量%、水を2.0〜8.0重量%を配合混練して固形化した緑化用成型板の製造方法。

【公開番号】特開2007−312758(P2007−312758A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−173096(P2006−173096)
【出願日】平成18年5月27日(2006.5.27)
【出願人】(504384653)鹿児島共和コンクリート工業株式会社 (4)
【出願人】(506216062)ネオバース株式会社 (1)
【Fターム(参考)】