説明

緑膿菌の血清型決定のためのアッセイ法およびキット、ならびにそのような方法およびキットにおいて有用なオリゴヌクレオチド配列

本発明は、種特異的かつ血清型特異的な、迅速な、高感度の、かつ信頼性が高い緑膿菌の検出のための、緑膿菌の検出のためのアッセイ法、キット、およびオリゴヌクレオチドに関する。特に、本発明は、緑膿菌の血清型特異的な検出のためのアッセイ法、緑膿菌の血清型特異的な検出のためのキットを提供し、そのようなアッセイ法またはキットにおいて有用なオリゴヌクレオチドも提供する。本発明は、そのようなアッセイ法またはキットによって特定の緑膿菌血清型が検出された患者における、緑膿菌感染の血清型特異的な処置のための、緑膿菌血清型特異的抗体の使用にさらに関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)の血清型特異的な検出のためのアッセイ、緑膿菌の血清型特異的な検出のためのキットに関し、そのようなアッセイまたはキットにおいて有用なオリゴヌクレオチドにも関する。本発明は、特定の緑膿菌血清型によって引き起こされた疾患に罹患している患者における、緑膿菌感染の血清型特異的な処置のための、緑膿菌血清型特異的抗体の使用にさらに関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
緑膿菌は、淡水および土壌に見出される遍在性のグラム陰性環境細菌である。オプソニン化抗体および食作用によって緑膿菌を除去する免疫適格宿主にとっては、通常、脅威とならない、古典的な日和見病原体である。しかしながら、嚢胞性繊維症患者および免疫低下個体(熱傷犠牲者、集中治療室の挿管中の患者、癌患者、エイズ患者、および臓器移植を受ける患者を含む)は、緑膿菌感染のような院内感染に罹患するリスクが特に高い。緑膿菌により引き起こされた人工呼吸器関連肺炎(VAP)が原因とされる死亡率(33〜50%)に示されるように、これらの患者における急性感染は、急速に致命的な経過をたどる場合がある。さらに重要なことには、抗生物質に対する緑膿菌の耐性は、有意に増加している。第三世代セファロスポリンであるセフタジジムに対して耐性の緑膿菌単離物の割合は、例えば、1995年の12%から、2001年には29%にまで増加した。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(S.aureus)(MRSA)およびバンコマイシン耐性腸球菌(enterococci)(VRE)と共に、緑膿菌は全ての院内感染の34%もの原因となっており、1975年の7.2/1000患者日から1995年の9.8/1000患者日にまで増加した。院内感染の最も高頻度に観察される形態としては、血流感染および肺炎がある。
【0003】
増加中の抗生物質耐性に関して、緑膿菌感染に対する受動免疫治療のためのヒトモノクローナル抗体の使用は、新たな有望なアプローチである。グラム陰性菌の表面上の主成分であるO抗原特異的糖質を標的とする抗体は、緑膿菌によって引き起こされる感染に対する特異的な防御における重要なメディエーターであることが示されている。外側糖質層(O抗原)は血清型によって異なるため、緑膿菌感染に対する広範な防御を提供するためには、数種の血清型特異的抗体が必要である。
【0004】
緑膿菌の異なる血清型を区別するため、多数のスキームが使用されている。一般に認められているIATS(International Antigenic Typing Scheme)は、O抗原特異的リポ多糖(LPS)関連糖質の血清学的特性に基づいており、少なくとも20の異なるO抗原血清型が記載されている。院内緑膿菌感染の大多数が、ある血清型に関連していることが示されている。血清型の発生率は国によって変動するが、血清型IATS-O1、IATS-O6、IATS-O11、および血清群2(IATS-O2、IATS-O5、IATS-O16)が、最も優勢であり、臨床緑膿菌単離物の70%を占めていることが、疫学調査によって示されている。
【0005】
緑膿菌感染に罹患している患者を、O抗原特異的抗体、従って、血清型特異的抗体により処置するためには、抗体処置の前に、感染性緑膿菌株の血清型を決定することが基本的に必要である。緑膿菌感染の検出のためには、診断的培養が最も標準的な方法と考えられるが、伝統的な培養に基づく方法によってシュードモナスを検出するためには、2日もの日数が必要とされる。残念なことに、培養後の細菌コロニーの形、サイズ、および形態学は、血清型の同定を可能にしない。血清学的方法は、血清型の明確な同定のため、有意な失敗率を有する。例えば、スライド凝集反応に基づく血清型決定は、時間を消費する方法であって、これらの方法により達成される結果は、試験者の経験および解釈に強く頼っており、さらに、自己凝集性または非凝集性の緑膿菌株によって制限される。
【0006】
最も信頼性が高い市販の血清型決定キットにおいて、自己凝集性株または非凝集性株のため「型決定不能」として緑膿菌株が分類される失敗の率は、およそ30%である。従って、標準的な微生物学的分析は、合理的な時間枠内で緑膿菌および関連する血清型を高い信頼性で同定するには、限定された能力しか有しない。患者が、抗生物質耐性緑膿菌株により引き起こされる感染に罹患した場合、感染の継続によって死亡率が強く増加するため、血清型同定のための期間は極めて重大である。
【0007】
従って、診断から血清型特異的抗体による処置までの時間を短くするため、迅速な血清型同定の方法が、医学的に高度に必要とされている。
【0008】
最近、バイオチップ、マイクロアレイ、またはPCRに基づく技術による分子的検出が、緑膿菌およびその他の院内感染を引き起こす細菌種の迅速な同定のための一般的な手法となっている。これらの方法のプロトコルにおいては、独特の種特異的サイン配列を含有している遺伝子が使用される。現在までに記載されたPCRに基づく方法の多くは、例えば、16S rRNAまたは23S rRNAの領域に特異的にアニールするオリゴヌクレオチドを使用することにより、系統学的遺伝子および機能的遺伝子を標的としている。しかしながら、これらの種特異的アッセイによって、ある特定の血清型の同定は可能ではない。
【0009】
US20080026370(特許文献1)は、バイオチップまたはマイクロアレイにおけるハイブリダイゼーションアッセイによる緑膿菌の遺伝子型決定および病原型決定のために有用なオリゴヌクレオチドプローブを開示している。血清型決定の方法は開示されていない。
【0010】
WO9741234(特許文献2)は、緑膿菌のLPS O抗原遺伝子クラスタに属する様々な遺伝子の特徴決定を開示している。PsbM(WbpM)またはPsbN(WbpN)をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子を増幅することができるプライマーにより、試料を処理することを含む、試料におけるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を介して血清型O1〜O20を検出する方法が提供されている。様々な緑膿菌血清型の信頼性が高い識別のために使用される特異的なオリゴヌクレオチド配列は、開示されていない。
【0011】
従って、特定の緑膿菌血清型の同定のための当技術分野において公知の方法は、深刻な欠点を示す。
【0012】
緑膿菌血清型の微生物学的分析は、時間を消費し、自己凝集性または非凝集性の緑膿菌株によって制限される。一般に、細菌株の遺伝子型決定および血清型決定のための公知の分子的方法を、細菌種内の信頼性が高い同定および識別のために使用することはできない。リボソーム遺伝子(16S rDNA、23S rDNA)のようないくつかの遺伝子は、様々な種の間で相同性を共有しているが、一つの細菌種内でそのような血清型の信頼性が高い同定および識別のために、これらの遺伝子を表す保存されたオリゴヌクレオチド配列を使用することは不可能である。
【0013】
従って、緑膿菌の細菌種および最も優勢な血清型に特異的な、緑膿菌血清型の迅速でかつ信頼性が高い検出を可能にする方法が、医学的に非常に必要とされている。細菌のコロニー形成(≦103〜6cfu/ml)と感染(>106cfu/ml)とを区別するためには、少なくとも6桁の範囲にわたって、緑膿菌の細菌量を決定する必要がある。従って、広範囲の鋳型濃度での緑膿菌血清型の信頼性が高い検出アッセイが、さらに必要とされている。
【0014】
個々のアッセイのプライマー対およびプローブ対が相互に影響を及ぼし、臨床的に不十分な検出限界をもたらすことが多いため、単一の反応から、いくつかの緑膿菌血清型(好ましくは、IATS-O1、IATS-O6、IATS-O11、および血清群2)を同時に検出することは、技術的に困難である。
【0015】
驚くべきことに、本発明に係るオリゴヌクレオチド、ならびにそのオリゴヌクレオチドを使用したアッセイおよびキットは、血清型特異的プライマーを使用した、緑膿菌の種および血清型の信頼性が高い迅速な同定を可能にすることが見出された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】US20080026370
【特許文献2】WO9741234
【発明の概要】
【0017】
発明の説明
従って、本発明の基礎となる技術的問題は、臨床的に最も優勢な緑膿菌血清型の特異的な決定のための、迅速で、正確で、高感度で、かつ信頼性が高い方法を提供することである。
【0018】
この問題は、以下に定義されるオリゴヌクレオチド、そのオリゴヌクレオチドを使用したアッセイおよびキットを提供することにより解決される。
【0019】
本発明によると、以下の工程を含む、試料中の緑膿菌の血清型特異的な検出のためのアッセイが提供される:
(a)(i)SEQ ID NO:1に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチドプライマー、およびSEQ ID NO:2に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチドプライマー、
(ii)SEQ ID NO:3に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチドプライマー、およびSEQ ID NO:4に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチドプライマー、
(iii)SEQ ID NO:5に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチドプライマー、およびSEQ ID NO:6に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチドプライマー、ならびに
(iv)SEQ ID NO:7に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチドプライマー、およびSEQ ID NO:8に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチドプライマー
からなる群より選択される、少なくとも1種の緑膿菌血清型特異的プライマー対を、試料中の標的核酸へアニールさせる工程;
(b)標的核酸を増幅する工程;ならびに
(c)増幅された標的核酸を検出する工程。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】LightCyclerに基づく融解曲線分析による陽性血清型検出の後の4価緑膿菌血清型決定試験のアッセイ結果を概略的に示す。
【図2A】検出されたTm値の再現性を示す。
【図2B】検出されたTm値の再現性を示す。
【図2C】検出されたTm値の再現性を示す。
【図3A】非機能性プライマー/プローブ組み合わせの例示的なTm値を示す。
【図3B】非機能性プライマー/プローブ組み合わせの例示的なTm値を示す。
【図3C】非機能性プライマー/プローブ組み合わせの例示的なTm値を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
「緑膿菌血清型」という用語は、本明細書において使用されるように、血清型特異性を担う緑膿菌の外側糖質のリポ多糖(LPS)の特異的なO抗原成分の存在を意味する。緑膿菌の外側糖質層、特に、O抗原は、これらの細菌の異なる単離物において著しく多様である。O抗原の違いに基づく、少なくとも20の異なる血清型が記載されている(Rivera et al.,1992)。最も優勢な緑膿菌血清型は、血清型IATS-O1、IATS-O6、IATS-O11、および血清群2(IATS-O2、IATS-O5、IATS-O16)である。
【0022】
「血清型特異的な検出」という用語は、本明細書において使用されるように、前記定義の最も優勢な「緑膿菌血清型」のうちの一つまたは複数の検出および同定を意味する。本発明によると、検出は、増幅技術によって関心対象の試料を分析することにより実施される。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)またはリガーゼ連鎖反応(LCR)に基づくテクノロジーを含む、多数のそのような増幅技術が、先行技術において記載されている。そのような増幅技術の使用は、当業者にとってルーチンの作業であり、それらは、本明細書において関連のある増幅技術の適当な例を表す。好ましい遺伝子増幅技術は、PCR、より好ましくは、リアルタイムPCRであり、最も好ましいのは、多重リアルタイムPCRまたはLightCyclerに基づくリアルタイム(多重)PCRである。
【0023】
「プライマー」、「オリゴヌクレオチドプライマー」、または「プライマー対」という用語は、本明細書において使用されるように、DNA標的配列を増幅するために、前述の増幅技術において使用される短いオリゴヌクレオチド(典型的には、10〜50bp、好ましくは、15〜35bp)をさす。本発明に係るプライマーは、SEQ ID NO:1〜8に示されるヌクレオチド配列のいずれかの少なくとも10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、または35個の連続するヌクレオチドを含有している分子である。本明細書において定義されるプライマーまたはオリゴヌクレオチドプライマーは、当技術分野において公知の技術、例えば、ホスホトリエステル法およびホスホジエステル法(Gait et al.,1980)、または自動化された技術(Conolly,1987)を使用して合成的に作製される。
【0024】
「緑膿菌血清型特異的プライマー」という用語は、本明細書において使用されるように、血清型特異的な標的、例えば、O抗原遺伝子座をコードするDNAに相当するかまたは相補的である、核酸配列の増幅を可能にする条件の下に置かれた時に合成の開始点として機能することができるプライマーを意味する。プライマー伸張産物の合成を可能にする条件には、ヌクレオチド基質の存在、DNAポリメラーゼのような重合のための薬剤、ならびに適当な温度およびpHが含まれる。好ましくは、プライマーは、プライマーの他のコピーと塩基対を形成せず、ヘアピン構造を形成しない核酸配列である。プライマー長は、約10〜50ヌクレオチド、好ましくは、約15〜35ヌクレオチドである。
【0025】
本発明は、検出工程が、本明細書中の前記定義のアッセイのアニーリング工程(a)の実施のために選択された少なくとも1種の緑膿菌血清型特異的プライマー対がアニールする配列の内部にある配列へ、少なくとも1種の緑膿菌血清型特異的ハイブリダイゼーションプローブ対をハイブリダイズさせる工程をさらに含む、本明細書中の前記定義のアッセイを提供する。ハイブリダイゼーション技術は、当技術分野において公知であり、例えば、Sambrook J,Fritsch EF,Maniatis T.in:Molecular Cloning,A Laboratory Manual,1989(Nolan C,Ed.),Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NYに記載されている。
【0026】
好ましい態様によると、前記定義のアッセイのアニーリング工程(a)の実施のために選択された少なくとも1種の緑膿菌血清型特異的プライマー対がアニールする配列の内部にハイブリダイズする少なくとも1種の緑膿菌血清型特異的ハイブリダイゼーションプローブ対は、
(i)SEQ ID NO:9に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチドプローブ、およびSEQ ID NO:10に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチドプローブ、
(ii)SEQ ID NO:11に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチドプローブ、およびSEQ ID NO:12に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチドプローブ、
(iii)SEQ ID NO:13に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチドプローブ、およびSEQ ID NO:14に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチドプローブ、ならびに
(iv)SEQ ID NO:15に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチドプローブ、およびSEQ ID NO:16に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチドプローブ
からなる群より選択される。
【0027】
「プローブ」、「オリゴヌクレオチドプローブ」、または「ハイブリダイゼーションプローブ」という用語は、本明細書において使用されるように、増幅された標的ヌクレオチド配列をハイブリダイゼーションによって検出するために使用される任意のヌクレオチド配列を意味する。本発明に係るプローブとは、短いオリゴヌクレオチド(典型的には、10〜50bp、好ましくは、15〜35bp)をさす。プローブとは、本明細書において使用されるように、SEQ ID NO:9〜16のいずれかに示されるヌクレオチド配列の少なくとも10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、または35個の連続するヌクレオチドを含む分子である。プローブまたはオリゴヌクレオチドプローブは、当技術分野において公知の技術を使用して合成的に作製可能である。プローブは、増幅産物の検出を可能にする、少なくとも1種の検出可能な標識に連結されていてもよく、好ましくは、共有結合により連結されていてもよい。そのような「オリゴヌクレオチドプローブ」は、ある血清型に特異的でありかつ第1のプライマーセットがアニールする配列の内部にある配列にハイブリダイズする場合、適したハイブリダイゼーションプローブを意味する。
【0028】
「検出可能な標識」という用語は、本明細書において使用されるように、具体的な限定を示さない。検出可能な標識は、放射標識、発光標識、蛍光色素、酵素活性を有する化合物、磁性標識、抗原、および検出可能な標識に対する高い結合親和性を有する化合物からなる群より選択され得る。例えば、プローブに連結された蛍光色素は、例えば、リアルタイムPCRにおいて、検出標識として機能することができる。適当な放射性マーカーは、P-32、S-35、I-125、およびH-3であり、適当な発光マーカーは、化学発光化合物、好ましくは、ルミノールであり、適当な蛍光マーカーは、好ましくは、ダンシルクロリド、フルオレセイン-5-イソチオシアネート、および4-フルオロ-7-ニトロベンズ-2-アザ-1,3ジアゾールであり、適当な酵素マーカーは、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ、αガラクトシダーゼ、アセチルコリンエステラーゼ、またはビオチンである。
【0029】
「リアルタイムPCR」は、自動化されたセットアップおよびデータ分析を受け入れる一工程閉管法に関する。本発明の好ましい態様によると、LightCyclerに基づくリアルタイムPCRが使用される。リアルタイムPCRに基づく手法は、一次診断および標的定量化を組み入れる可能性を有する。
【0030】
好ましい態様において、増幅工程において使用される特定のオリゴヌクレオチド配列(「オリゴヌクレオチドプライマー」)のセットは、さらに特異性を増加させるため、特定のオリゴヌクレオチド配列(「オリゴヌクレオチドプローブ」)のセットと組み合わせられる。最も好ましい態様において、プライマー対およびプローブ対は、以下のオリゴヌクレオチドプライマー配列およびオリゴヌクレオチドプローブ配列の対のうちの1種または複数種より選択される:
(i)SEQ ID NO:1および2に示される配列を有するオリゴヌクレオチドプライマー、ならびにSEQ ID NO:9および10に示される配列を有するオリゴヌクレオチドプローブ;
(ii)SEQ ID NO:3および4に示される配列を有するオリゴヌクレオチドプライマー、ならびにSEQ ID NO:11および12に示される配列を有するオリゴヌクレオチドプローブ;
(iii)SEQ ID NO:5および6に示される配列を有するオリゴヌクレオチドプライマー、ならびにSEQ ID NO:13および14に示される配列を有するオリゴヌクレオチドプローブ;ならびに
(iV)SEQ ID NO:7および8に示される配列を有するオリゴヌクレオチドプライマー、ならびにSEQ ID NO:15および16に示される配列を有するオリゴヌクレオチドプローブ。
【0031】
本発明の好ましい態様において、緑膿菌血清型を検出する工程は、
・既知の細菌濃度の標準曲線との比較によって細菌量を決定することができる定量化分析;
・シグナル強度の増加によってPCR産物の増幅の成功を観察することができる増幅曲線のモニタリング;および/または
・PCR増幅が個々の融解温度を有する産物の合成をもたらす融解曲線分析
によって実施される。
【0032】
本発明のハイブリダイゼーションプローブは、最高レベルの特異性を提供し、(a)標準曲線との比較による細菌量の定量化、(b)オンラインでの血清型特異的な増幅の観察、または(c)融解曲線分析による血清型の同定を可能にする。
【0033】
本発明のアッセイは、多くの実際の適用を有する。例えば、広範囲のコピー数の緑膿菌を含有していると推測される医学的試料、獣医学的試料、または環境試料において、最も優勢な緑膿菌血清型IATS-O1、IATS-O6、IATS-O11、および血清群2(IATS-O2、IATS-O5、IATS-O16)を個々にまたは同時に検出するため、アッセイを使用することができる。関心対象の試料における一つの血清型の特異的な検出のため、2セットのオリゴヌクレオチド配列:2個のプライマー(順方向=fwdおよび逆方向=rev)ならびに2個のプローブが使用される。本発明の好ましい態様において、多価アッセイまたは多重アッセイとも呼ばれる、二つ以上の緑膿菌血清型が同時に検出されるアッセイが提供される。例えば、前述の四つの最も優勢な緑膿菌血清型の特異的な検出のためには、4×2個のプライマーおよび4×2個のプローブが、一つのアッセイにおいて使用される(4価アッセイ)。好ましくは、検出すべき緑膿菌血清型は、最も優勢な血清型IATS-O1、IATS-O6、IATS-O11、ならびに血清型IATS-O2、IATS-O5、およびIATS-O16を含有している血清群2である。プライマー(順方向=fwdおよび逆方向=rev)ならびにプローブは、1工程で同時に使用されてもよいし、または別々の2工程で連続的に使用されてもよい。
【0034】
最も好ましいのは、本明細書において定義されるオリゴヌクレオチド配列の、4価Light Cyclerアッセイにおける使用である。「4価LightCyclerアッセイ」という用語は、四つの緑膿菌血清型の同時検出を可能にするアッセイを意味し、特に、4価LightCyclerアッセイは、緑膿菌の四つの最も優勢な血清型IATS-O1、IATS-O6、IATS-O11、および血清群2の平行検出を可能にする。アッセイは、さらに、単一の反応において極めて高い特異性および感度を示す。しかしながら、4価アッセイによって、型決定不能な株の量を低下させることができ、4価LightCyclerアッセイは、臨床的な気管支肺胞洗浄液(BAL)試料からの直接測定について成功裡に実証されている。LightCyclerに基づくリアルタイムPCRにおいては、増幅および検出が、閉鎖されたガラスキャピラリーの中で起こり、従って、アンプリコン相互汚染が防止される。LightCyclerは、ヒートブロック伝導ではなくファンにより駆動される空気によって、高速のサーマルサイクリングを達成する。従って、4価緑膿菌血清型決定試験の結果は、およそ1時間以内に入手可能である。
【0035】
本発明による緑膿菌の検出、特に、上記の4価血清型決定試験による検出は、単離された細菌DNAに対して実施されてもよいし、または痰、気管支肺胞洗浄液、もしくは気管吸引液のような臨床試料から直接実施されてもよく、一般的には、超高純度H2Oによる希釈の後に実施される。好ましいのは、肺障害を有するヒト患者のようなヒトの肺洗浄液から直接入手された試料である。臨床試料には、血液、尿、組織等のような生体材料も含まれ得る。典型的には、試料は、ヒトまたは哺乳動物の創傷、熱傷、肺、および尿路の感染から採取され得る。緑膿菌の血清型は、食物試料、土壌試料、または水試料からも検出され得る。
【0036】
緑膿菌感染肺炎患者においては、10cfu/ml〜109cfu/mlの範囲の細菌量をルーチンに見出すことができる。呼吸器分泌物(例えば、気管支肺胞洗浄液、気管内標本等)を入手する方法に依って、シュードモナスのコロニー形成または急性感染についての異なる解釈カットオフ点が、臨床的な日常のルーチンにおいて定義されている。これらのカットオフ点は、細菌コロニー形成についての≦103〜6cfu/ml、感染、例えば、肺炎についての>106cfu/mlの範囲にわたっている。従って、少なくとも6桁の範囲にわたって細菌量を決定する必要がある。従って、広範囲の鋳型濃度で信頼性が高い緑膿菌血清型同定を可能にする診断法を提供することが望ましいと考えられる。
【0037】
驚くべきことに、本発明によると、緑膿菌血清型の検出は、広範囲の試料中の鋳型濃度で実施可能である。本発明の一つの態様において、試料中の細菌量は、10cfu/ml〜109cfu/mlの範囲、または102cfu/ml〜108cfu/ml、または103cfu/ml〜108cfu/ml、または104cfu/ml〜108cfu/mlの範囲で検出可能である。
【0038】
本発明のさらなる態様によると、アッセイは種特異的である。特記しない限り、「種特異的」という用語は、緑膿菌種についての特異性を示すために本明細書において使用される。特に、「種特異的な検出」とは、アシネトバクター・バウマンニ(Acinetobacter baumannii)、クラミドフィラ・ニューモニエ(Chlamydophila pneumoniae)、エンテロバクター・エロゲネス(Enterobacter aerogenes)、エンテロバクター・クロアカ(cloacae)、大腸菌(Escherichia coli)、クレブシエラ・オキシトカ(Klebsiella oxytoca)、クレブシエラ・ニューモニエ、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、セラチア・マルセセンス(Serratia marcescens)、ステノトロホモナス・マルトフィリア(Stenotrophomonas maltophilia)、アクチノバチルス・アクチノミセテムコミタンス(Actinobacillus actinomycetemcomitans)、エロモナス・ハイドロフィラ(Aeromonas hydrophilia)、バクテロイデス・フラジリス(Bacterioides fragilis)、バルトネラ・ヘンセラ(Bartonella henselae)、百日咳菌(Bordetella pertussis)、ボレリア・ブルグドルフェリ(Borrelia burgdorferi)、バークホルデリア・セパシア(Burkholderia cepacia)、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)、カルジオバクテリウム・ホミニス(Cardiobacterium hominis)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenza)、レジオネラ・ニューモフィラ(Legionella pneumophila)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、モラクセラ・カタラーリス(Moraxella catarrhalis)、モルガネラ・モルガニー(Morganella morganii)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、パンテア・アグロメランス(Pantoea agglomerans)、ポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)、プレボテラ・デンチコラ(Prevotella denticola)、プロテウス・ブルガリス(Proteus vulgaris)、エルシニア・エンテロコリチカ(Yersinia enterocolitica)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、エンテロコッカス・フェシウム(faecium)、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、スタフィロコッカス・エピデルミデス(epidermidis)、スタフィロコッカス・ヘモリチカス(haemolyticus)、ストレプトコッカス・ニューモニエ(Streptococcus pneumoniae)、ストレプトコッカス・アガラクチア(agalactiae)、ストレプトコッカス・ピオゲネス(pyogenes)、ストレプトコッカス・ミティス(mitis)、バチルス・セレウス(Bacillus cereus)、クロストリジウム・パーフリンジェンス(Clostridium perfringens)、コリネバクテリウム・ジェイケイウム(Corynebacterium jeikeium)、ゲメラ・ヘモリサンス(Gemella haemolysans)、ヒストプラズマ・カプスラーツム(Histoplasma capsulatum)、マイコバクテリウム・フォーチュイタム(Mycobacterium fortuitum)、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)、マイコプラズマ・ニューモニエ(Mycoplasma pneumoniae)、ペプトストレプトコッカス・マグナス(Peptostreptococcus magnus)、プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)、アスペルギルス・フミガーツス(Aspergillus fumigatus)、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・グラブラタ(glabrata)、カンジダ・クルゼイ(krusei)、カンジダ・パラプローシス(parapsilosis)、カンジダ・トロピカリス(tropicalis)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、アデノウイルス(Adenoviruses)、ヘルペスウイルス(Herpesviruses)、オルソミクソウイルス(Orthomyxoviruses)、パラミクソウイルス(Paramycxoviruses)、およびピコルナウイルス(Picornaviruses)のような、緑膿菌以外の高頻度に存在する微生物(細菌、真菌、またはウイルス)が、本発明のアッセイ、キット、またはオリゴヌクレオチドによって検出されないことを意味する。
【0039】
前記定義のIATS O1、S2(IATS-O2、IATS-O5、IATS-O16を含む血清群2)、IATS O6、およびIATS O11の群より選択される一つまたは複数の緑膿菌血清型を特異的に決定することができるオリゴヌクレオチド対がさらに提供される。ここで、第1および第2のオリゴヌクレオチド対は、SEQ ID NO:1および2、3および4、5および6、7および8、9および10、11および12、13および14、または15および16に示されるヌクレオチド配列の少なくとも10個、11個、12個、13個、14個、15個、16個、17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個、25個、26個、27個、28個、29個、30個、31個、32個、33個、34個、または35個の連続するヌクレオチドを含む。特に、本発明は、
(a)SEQ ID NO:1に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチド、およびSEQ ID NO:2に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチド、
(b)SEQ ID NO:3に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチド、およびSEQ ID NO:4に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチド、
(c)SEQ ID NO:5に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチド、およびSEQ ID NO:6に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチド、
(d)SEQ ID NO:7に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチド、およびSEQ ID NO:8に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチド;
(e)SEQ ID NO:9に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチド、およびSEQ ID NO:10に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチド、
(f)SEQ ID NO:11に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチド、およびSEQ ID NO:12に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチド、
(g)SEQ ID NO:13に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチド、およびSEQ ID NO:14に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチド、ならびに
(h)SEQ ID NO:15に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチド、およびSEQ ID NO:16に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチド
からなる群より選択されるオリゴヌクレオチド対を提供する。
【0040】
本発明のオリゴヌクレオチドは、以下の表1に示される技術的特徴を有する。
【0041】
(表1)

*1「2+4規則」による融点計算(A/Tヌクレオチド=2℃、G/Cヌクレオチド=4℃)
【0042】
本発明に係るオリゴヌクレオチド配列は、シュードモナス血清型IATS O1、S2(IATS-O2、IATS-O5、IATS-O16を含む血清群2)、IATS O6、IATS O11を特異的に決定することができる。本発明に従って使用される好ましいオリゴヌクレオチドは、表2に示されるプライマーおよびプローブである。
【0043】
(表2)

【0044】
本明細書において定義されるプライマーの作用の組み合わせは、対応するハイブリダイゼーションプローブによるその後のまたは同時の血清型特異的な検出のため、適当な標的遺伝子を血清型特異的に増幅することができる。
【0045】
緑膿菌のLPS O抗原遺伝子クラスタに属する血清型特異的プライマー/プローブ対の設計のため、本発明により使用された標的遺伝子は、wzzおよびGtGr4と命名された遺伝子である。シュードモナス血清型IATS O1、S2(IATS-O2、IATS-O5、IATS-O16を含む血清群2)、IATS O6、IATS O11についての標的遺伝子wzzおよびGtGr4の配列は、配列表のSEQ ID NO:18〜21に示される。
【0046】
緑膿菌血清型IATS-O1についての標的遺伝子は、SEQ ID NO:18に示され:NCBIアクセッションAF498400(バージョンAF498400.1;ORF_4;領域:1284-2321 ORF_4;wzz;鎖長決定タンパク質(chain length determinant protein)に類似)に見出され得る。
【0047】
血清群2についての標的遺伝子(緑膿菌血清型IATS-O2、IATS-O5、およびIATS-O16;三つの血清型全てについて同一の配列)は、SEQ ID NO:19に示され、NCBIアクセッションAF498412(バージョンAF498412.1;ORF_19;領域:18769-19788 ORF_19;GtGr4;第4グループ糖転移酵素(Glycosyl transferase group 4)に類似;可能性のある複数の膜貫通ドメイン)に見出され得る。
【0048】
緑膿菌血清型IATS-O6についての標的遺伝子は、SEQ ID NO:20に示され、NCBIアクセッションAF498417(バージョンAF498417.1;ORF_14;領域:12654-13694,ORF_14;GtGr4;第4グループ糖転移酵素に類似;可能性のある複数の膜貫通ドメイン)に見出され得る。
【0049】
緑膿菌血清型IATS-O11についての標的遺伝子は、SEQ ID NO:21に示され、NCBIアクセッションAF498402(バージョンAF498402.1;ORF_13;領域:11073-12098,ORF_13;GtGr4;第4グループ糖転移酵素に類似;可能性のある複数の膜貫通ドメイン)に見出され得る。
【0050】
LPS-O抗原クラスタは高い遺伝的多様性を有する領域として同定されており、同定され決定された配列は、緑膿菌血清型を識別するための、DNA配列に基づくPCR法を開発する機会を提供すると推測されている(Raymond et al.,2002)。O抗原遺伝子クラスタの全部で11のグループが、20の緑膿菌血清型から、Raymondらによって定義されている。著者らは、各遺伝子クラスタがDNA配列レベルで相互に高度に相違することが示されたと主張したが、本発明者らは、可能性のある標的遺伝子の大多数のDNAの違いが、血清型特異的なオリゴヌクレオチド設計を可能にするには小さすぎることを経験した。さらに、高い遺伝的多様性を保有する数少ない遺伝子においてすら、血清型特異性の欠如、不十分な感度、低いシグナル強度、または適用される鋳型濃度に依存する強度のシグナル変動のため、設計されたオリゴヌクレオチドの大部分が使用可能でないことが判明した。
【0051】
本発明のアッセイを適用するための適当な試薬は、適当な容器にパッケージ化される、必要な材料を提供する便利なキットへとパッケージ化され得る。
【0052】
そのようなキットは、本明細書に記載された方法によって、試料中の緑膿菌血清型、好ましくは、IATS-O1、IATS-O6、IATS-O11、および血清群2(IATS-O2、IATS-O5、IATS-O16)を検出するのに必要とされる全ての試薬を含むことができ、任意で、本発明の方法の実施において有用な適当な支持体を含むこともできる。好ましくは、本発明に係るキットは、適切な陽性対照および/または内部対照の標的核酸配列、ならびに陰性対照として使用される核酸配列またはH2Oも含む。
【0053】
本発明のアッセイおよびキットは、多くの実際の適用を有する。例えば、本発明の方法およびキットは、緑膿菌を含有していると推測される医学的試料、獣医学的試料、または環境試料において、緑膿菌血清型IATS-O1、IATS-O6、IATS-O11、および血清群2(IATS-O2、IATS-O5、IATS-O16)を同時に検出するために使用され得る。
【0054】
キットは、さらに、病原性マーカーおよび耐性マーカーについての試薬および対照を提供してもよい。
【0055】
さらに好ましい態様によると、本発明は、定義された緑膿菌の血清型特異的な検出のためのアッセイを実施するためのキットを提供する。キットは、
(i)SEQ ID NO:1に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチドプライマー、およびSEQ ID NO:2に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチドプライマー、
(ii)SEQ ID NO:3に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチドプライマー、およびSEQ ID NO:4に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチドプライマー、
(iii)SEQ ID NO:5に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチドプライマー、およびSEQ ID NO:6に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチドプライマー、ならびに
(iv)SEQ ID NO:7に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチドプライマー、およびSEQ ID NO:8に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチドプライマー
からなる群より選択される少なくとも1種の緑膿菌血清型特異的プライマー対と、アニーリングに必要とされる試薬とを含み、任意で、増幅のための試薬および/または緑膿菌の血清型特異的な検出のための説明書を含む。
【0056】
そのようなキットにおいて有用な試薬は、DNA増幅酵素またはRNA増幅酵素を含有している酵素溶液、除染酵素を含有している酵素溶液、Mg2+を含有している緩衝溶液、dNTPミックス、ならびに/またはプライマーおよびハイブリダイゼーションプローブの混合物、適切な陽性対照および/または内部対照、ならびに陰性対照として使用される核酸配列またはH2Oである。
【0057】
本発明の好ましい態様において、キットは、少なくとも1種の血清型特異的プライマー対がアニールする配列の内部にある配列にハイブリダイズする少なくとも1種の緑膿菌血清型特異的ハイブリダイゼーションプローブ対をさらに含む。
【0058】
好ましくは、少なくとも1種の緑膿菌血清型特異的ハイブリダイゼーションプローブ対は、
(i)SEQ ID NO:9に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチドプローブ、およびSEQ ID NO:10に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチドプローブ、
(ii)SEQ ID NO:11に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチドプローブ、およびSEQ ID NO:12に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチドプローブ、
(iii)SEQ ID NO:13に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチドプローブ、およびSEQ ID NO:14に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチドプローブ、ならびに
(iv)SEQ ID NO:15に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチドプローブ、およびSEQ ID NO:16に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチドプローブ
からなる群より選択される。
【0059】
最も好ましくは、本発明のキットは、以下のオリゴヌクレオチド配列の対より選択される1種または複数種のプライマー対およびプローブ対を含有している:
(i)SEQ ID NO:1および2に示される配列を有するオリゴヌクレオチドプライマー、ならびにSEQ ID NO:9および10に示される配列を有するオリゴヌクレオチドプローブ;
(ii)SEQ ID NO:3および4に示される配列を有するオリゴヌクレオチドプライマー、ならびにSEQ ID NO:11および12に示される配列を有するオリゴヌクレオチドプローブ;
(iii)SEQ ID NO:5および6に示される配列を有するオリゴヌクレオチドプライマー、ならびにSEQ ID NO:13および14に示される配列を有するオリゴヌクレオチドプローブ;ならびに
(iv)SEQ ID NO:7および8に示される配列を有するオリゴヌクレオチドプライマー、ならびにSEQ ID NO:15および16に示される配列を有するオリゴヌクレオチドプローブ。
【0060】
本発明のキットは、ポリメラーゼ連鎖反応において、増幅された核酸分子または予定されたその断片を生成するのに必要とされる試薬、および増幅された配列をアッセイするための手段をさらに含有していてもよい。
【0061】
本発明のキットに含有される血清型特異的なプローブは、検出可能なマーカーにより標識される。好ましくは、検出可能なマーカーは、発光マーカー、蛍光マーカー、放射性マーカー、および酵素マーカーからなる群より選択される。
【0062】
好ましい態様において、本発明は、本明細書中の前記定義の血清型特異的プライマー対を含む、緑膿菌血清型IATS-O1、IATS-O6、IATS-O11、ならびにIATS-O2、IATS-O5、およびIATS-O16を含有している血清型2の同時検出のためキットを提供し、好ましくは、プライマー対は、
(a)SEQ ID NO:1に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチドプライマー、およびSEQ ID NO:2に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチドプライマー、
(b)SEQ ID NO:3に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチドプライマー、およびSEQ ID NO:4に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチドプライマー、
(c)SEQ ID NO:5に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチドプライマー、およびSEQ ID NO:6に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチドプライマー、ならびに
(d)SEQ ID NO:7に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチドプライマー、およびSEQ ID NO:8に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチドプライマー
からなる群より選択される。好ましい態様において、本発明に係るキットは、緑膿菌血清型IATS-O1、IATS-O6、IATS-O11、ならびに血清型IATS-O2、IATS-O5、およびIATS-O16を含有している血清群2を同時に特異的に検出することができる。
【0063】
本発明は、さらに、特定の緑膿菌血清型について診断された患者群における、緑膿菌感染のより有効な処置のための、血清型特異的抗体の使用に関する。
【0064】
本発明は、緑膿菌感染の処置のための医薬の調製のための、緑膿菌血清型IATS-O1、IATS-O6、IATS-O11、ならびに血清型IATS-O2、IATS-O5、およびIATS-O16を含有している血清群2のうちの一つまたは複数に特異的な抗体の使用を提供する。
【0065】
従って、好ましい態様において、本発明は、特定の緑膿菌血清型が本発明のアッセイによって検出された患者における、緑膿菌の処置のための医薬の調製のための、緑膿菌血清型IATS-O1、IATS-O6、IATS-O11、ならびに血清型IATS-O2、IATS-O5、およびIATS-O16を含有している血清群2のうちの一つまたは複数に特異的な抗体の使用を提供する。
【0066】
さらなる態様において、本発明は、緑膿菌感染の処置において使用するための、緑膿菌血清型IATS-O1、IATS-O6、IATS-O11、ならびに血清型IATS-O2、IATS-O5、およびIATS-O16を含有している血清群2のうちの一つまたは複数に特異的な抗体を提供する。
【0067】
好ましい態様において、本発明は、特定の緑膿菌血清型が本発明のアッセイによって検出された患者における、緑膿菌感染の処置において使用するための、緑膿菌血清型IATS-O1、IATS-O6、IATS-O11、ならびに血清型IATS-O2、IATS-O5、およびIATS-O16を含有している血清群2のうちの一つまたは複数に特異的な抗体を提供する。
【0068】
本発明は、さらに、緑膿菌の血清型特異的な検出のための、本明細書中の前記定義のオリゴヌクレオチドプライマーまたはオリゴヌクレオチドプローブの使用を提供する。
【0069】
以下の実施例は、本発明を例示するものであって、本発明の範囲を制限するためのものではない。本明細書を参照し、一般知識を考慮すれば、さらなる態様が、当業者には明らかになるであろう。
【実施例】
【0070】
材料および方法
LightCyclerに基づく4価緑膿菌血清型決定試験
4価緑膿菌血清型決定試験は、融解曲線分析と呼ばれる機能を通して、増幅産物の血清型特異的な配列の確認を提供することができる。各PCRランの完了後、サーマルチャンバー内の温度を徐々に高める。この過程の間に、各キャピラリー内の蛍光を頻繁な間隔で測定する。これは、増幅されたDNAの融解挙動を極めて精密にモニタリングすることを可能にする。温度が高まるや否や、プローブの一つが放出された時のFRET(蛍光共鳴エネルギー転写)中止の結果として、蛍光が減少するであろう。融解曲線分析の解釈のため、試料蛍光の一次微分の負の値を温度に対してプロットし、各試料の融解温度ピークとして示す。プローブが置換される温度は、配列、長さ、およびGC含量に依って大きく変動し、単一のヌクレオチドの違いですら、融解温度を変化させることができる。従って、特定のDNA産物を同定するため、融解温度プロファイルを使用することができる。本発明に係るプライマーおよびプローブを使用した4価緑膿菌血清型決定試験の実施の後、融解曲線分析を実施することにより、融解温度(Tm)を、陽性対照の増幅に起因する産物のTmと比較することによって、未知の臨床試料からのPCR産物のシュードモナス血清型を決定することができる。図1に示された例において、緑膿菌血清型IATS-O1、IATS-O6、IATS-O11、および血清群2についての血清型特異的なTm値が、例示的な検出チャンネルにおいて示されている。
【0071】
本質的に、PCRは広範な多重化を受け入れず、複数の遺伝子標的の調査には、複数の反応を必要とする。LightCyclerに基づくリアルタイムPCRにおいては、別々のチャンネルにおいて同時に蛍光を測定することができ、従って、単一の試料からの複数の標的配列の分析を可能にする光学ユニットにより、この障壁が解決される。単一の反応からのいくつかの緑膿菌血清型(好ましくは、IATS-O1、IATS-O6、IATS-O11、および血清群2)の同時検出を可能にするため、個別の色によって各々標識された複数のプローブおよび複数のプライマーが、4価緑膿菌血清型決定試験において使用され得る。
【0072】
そのような反応はより高い複雑度を提供し、従って、特異的かつ信頼性が高い結果をもたらす適当な反応条件を決定することが重要となる。しかしながら、そのような多重分析は、反応パラメーターが注意深く選ばれた場合にのみ、特異的かつ高感度である。アッセイ設計のための基準は、例えば、
・プライマーの設計
・(ハイブリダイゼーション)プローブの設計
・標的濃度
・分析される試料の中の非特異的な残余DNA(汚染)
・異なる生物学的マトリックスからの(例えば、気管支肺胞洗浄液からの)試料調製
である。
【0073】
標的遺伝子同定
標的遺伝子同定のため、異なる緑膿菌血清型のO抗原遺伝子座を構成するオープンリーディングフレーム(ORF)を遺伝子バンクからダウンロードし、Clustal様アラインメントによって比較した(Chenna et al.,2003)。第1選択過程において、問題の血清型のO抗原遺伝子座に存在しないか、または複数回存在するORFを棄却した。第2工程において、不十分な配列多様性を保有するORF、およびプライマー/プローブに基づくアッセイの設計にとって小さすぎるORFを排除した。これらの選択基準を適用すると、28個のORFのうちの4個のみがプライマー/プローブ設計のために適当であるようであった。シュードモナスO抗原遺伝子クラスタの遺伝子バンクデータに基づき、4個の残ったORFのうちの2個(アスパラギン合成酵素および酸化還元酵素ファミリーNAD結合ロスマンフォールド(Oxidoreductase family NAD-binding Rossmann fold))は、限られた数の血清型にのみ存在すると考えられた。しかしながら、プライマー/プローブ設計の後、両遺伝子から血清型非依存性のPCR増幅が観察されることが判明した。結果として、それぞれの血清型のO抗原遺伝子座の外部に、これらの遺伝子の複製物を見出すことができ、従って、これらの遺伝子は血清型識別のために適していない、と結論付けることができる。
【0074】
プライマー/プローブ設計
緑膿菌単離物の血清型特異的な検出のためには、特異的なプライマー/プローブオリゴヌクレオチドが必要である。そのような配列の設計のため、LightCycler Probe Design Software 2.0(Roche Applied Science)を使用した。第1に、2種の残った標的遺伝子(鎖長決定タンパク質に類似しているwzz、および第4グループ糖転移酵素に類似しているGtGr4)の配列データを、ソフトウェアにインポートし、続いて、得られたプライマー/プローブ配列の、選ばれた設計パラメーターによる、自動化された分析およびスコアリングを行った。本発明において記載されたプライマー/プローブ対について、いくつかの設計設定を適用した:定量的PCRのためのプライマー/プローブセット、融解曲線分析のためのプライマー/プローブセット、および多重PCR検出のためのプライマー/プローブセット。次の工程において、示唆されたプライマー/プローブ対を、NCBIウェブサイトへの直接サブミッションにより、可能性のある交差相補性について試験した。
【0075】
設計過程の完了後、得られたヌクレオチド配列を、まず、極めて限定された数の細菌単離物で試験した。異なる希釈率での特定の緑膿菌参照株の測定は、選ばれたプライマー/プローブ対の最初の評価のための最も有意義な実験であることが判明した。これらの条件の下で、設計されたアッセイの大部分が、信頼性が高い血清型検出シグナルも生成しないし、十分な感度での検出も可能にしなかった。しかしながら、広範囲の鋳型濃度での信頼性が高い安定した血清型検出は、臨床的に極めて重要であり、従って、診断アッセイの設計の成功にとって不可欠の必要条件である。従って、これらの要件を満たさなかったプライマー/プローブ対を直ちに棄却した。
【0076】
ソフトウェアに基づくプライマー/プローブ設計過程を要約すると、良好なプライマーおよびプローブの設計の一般的な要件(例えば、分子内の配列相同性の欠如、鋳型上の単一のアニーリング部位、アンプリコンサイズ、所望の融解温度等)を満たす多くのオリゴヌクレオチド配列が示唆された。にも関わらず、示唆されたプライマー/プローブ対の多くが、検出シグナルの過剰の変動のため、血清型特異性を欠いているため、または不十分な感度のため、信頼性が高い血清型同定のためには使用可能でなかった。
【0077】
同一反応条件、血清型特異性および種特異性、ならびに分析感度に関する全ての要件を満たす四つの別々の血清型決定試験(IATS-O1、IATS-O6、IATS-O11、および血清群2の検出)のプライマー/プローブ対を、四つの緑膿菌血清型の同時検出を可能にする多重アッセイを提供することを目標として、一つの反応において組み合わせた。この段階で、ソフトウェアに基づく設計を越えて、いくつかの試験のプライマー/プローブ対を改良しなければならなかった(例えば、シグナル強度を増加させるため、プローブパートナー間の間隔について血清群2特異的プローブを最適化し、異なる検出チャンネル間のシグナルクロストークを防止するため、一方のプローブの短縮および不安定化により、IATS-O11特異的プローブを改良した)。
【0078】
最終的な改良の後、緑膿菌血清型決定アッセイの4価フォーマットは、1反応当たり10〜107の特異的な遺伝子コピー(102〜109遺伝子コピー/mlに相当)の再現性のある検出を可能にする。そのような特異的な血清型同定は、両方に無関係の緑膿菌血清型、または他の種(例えば、細菌、真菌、およびウイルス)に由来するDNAが、1反応当たり106遺伝子コピー(108遺伝子コピー/mlに相当)まで存在していても、観察可能である。
【0079】
十分な量のプライマー/プローブが、分析される試料中の増幅すべき核酸分子またはそのオリゴヌクレオチド断片に相補的な配列を含有していることを条件として、プライマー/プローブが非相補配列を含有していてもよいことが認識されるであろう。増幅産物のクローニングおよび配列決定を容易にする、適切な制限酵素による増幅産物の消化を可能にする制限部位リンカーが、プライマーに組み込まれてもよい。
【0080】
(リアルタイム)PCRのための反応条件は、プライマーの長さおよび組成、鋳型濃度、増幅すべきDNAセグメントの長さ、熱安定性DNAポリメラーゼの特性、ならびにマグネシウム(Mg2+)濃度に一般に依存する。これらのパラメーターの各々は、従来の実務に従って、当業者によって容易に決定可能である。
【0081】
大部分の場合において、増幅されたDNAは、アガロースゲル電気泳動またはアクリルアミドゲル電気泳動、臭化エチジウム染色、およびUV照射によって検出される。PCRの感度を増加させるため、またはより迅速な結果を提供するため、オリゴヌクレオチドプライマーおよびオリゴヌクレオチドプローブの一方もしくは両方を上記のように標識してもよいし、または重合中に増幅されるDNAに標識を組み込んでもよい。標識されたDNA産物を増幅中にオンラインで分析し、それにより、ゲル電気泳動による結果解釈の必要性を排除することも可能である。
【0082】
実施例1:微生物学的試料
4価緑膿菌血清型決定試験の開発のため、16の参照株および94の臨床単離物を使用した。参照株は、Institute Pasteur(Paris,France)またはBelgium bacteria collection BCCM(Gent,Belgium)のいずれかから入手された。臨床単離物は、University Hospital Basle、University Hospital Berne、University Hospital Zurich(Switzerland)またはUniversity Hospital Jena(Germany)、および嚢胞性線維症に関する多国籍臨床研究から入手された。
【0083】
開発された4価緑膿菌血清型決定試験を、市販の凝集反応試験(BioRad)と比較するため、米国、ドイツ、ギリシア、およびベルギーのおよそ20の病院で収集されたほぼ500の呼吸器緑膿菌単離物を使用した。
【0084】
実施例2:試料調製
2.1 精製された細菌DNAの測定
参照株および臨床単離物の各々を、37℃で、5mlのBHI培地(BD Bioscience)において一夜(oN)増殖させた。高純度PCR鋳型調製キット(Roche Diagnostics)を使用して、細菌細胞ペレットから細菌のDNAを単離した。PCRへの適用の前に、全てのDNA試料のDNAストック溶液を20ng/μlに規準化した。DNAストック溶液から、超高純度H2O(Roche Diagnostics)による1:10希釈工程によって、段階希釈ワーキング溶液を調製した。各5μlのDNAワーキング溶液を鋳型溶液として適用した。
【0085】
2.2. 細菌培養物からの測定
参照株および臨床単離物を、BHI寒天プレート(BD Bioscience)上に播種した。37℃でのoNインキュベーションの後、1白金耳の細菌を、500μlの超高純度H2O(Roche Diagnostics)に溶解させた。各8μlの細菌希釈物を鋳型溶液として適用した。
【0086】
2.3. 気管支肺胞洗浄液(BAL)試料からの測定
精製された細菌DNAを、103および106遺伝子コピー/反応の濃度で、加工されたBAL試料に添加した。BAL試料はUniversity Hospital Berneから入手された。PCRへの適用の前に、添加されたBAL試料を、Sputasol(Oxoid)で希釈し(1:3)、36℃で30分間インキュベートすることにより可溶化した。添加され可溶化されたBAL試料を、超高純度H2O(Roche Diagnostics)で最終希釈した(1:100)。各8μlの加工されたBAL試料を鋳型溶液として適用した。
【0087】
実施例3:プライマーおよびアッセイの設計
3.1. 標的遺伝子の選択
【0088】
(表3)血清型特異的プライマー/プローブ対の設計のために使用された標的遺伝子

【0089】
3.2. プライマーおよびプローブの配列の設計
プライマー/プローブオリゴヌクレオチドを、LightCycler Probe Design Software 2.0(Roche Applied Science)を使用して設計した。ソフトウェアに基づく設計を越えて、プローブパートナー間の間隔について、血清群2特異的プローブを最適化し、センサープローブの短縮および不安定化により、血清型O11特異的プローブを改良した。
【0090】
(表4)4価緑膿菌血清型決定試験−プライマーおよびプローブの配列
関心対象の試料における一つの血清型の特異的な検出のため、2セットのオリゴヌクレオチド配列:2個のプライマーおよび2個のプローブが使用される。例えば、前述の四つの最も優勢な緑膿菌血清型の特異的な検出のためには、複数のプライマーおよびプローブが一つのアッセイにおいて使用される。

【0091】
実施例4:PCR条件、試験成分、および試験対照
(表5a)4価緑膿菌血清型決定試験−PCR条件

【0092】
(表5b)4価緑膿菌血清型決定試験−試験成分
本発明において記載されたアッセイを使用した、緑膿菌の血清型特異的な検出のため、プライマーオリゴヌクレオチドおよびプローブオリゴヌクレオチド、ならびに内部対照および陽性対照を、一般的なLightCycler FastStart DNA Master HybProbe Kit(Roche Diagnostics;カタログ番号03 003248 001)および除染酵素LightCycler Uracil-DNA Glycosylase(Roche Diagnostics;カタログ番号03 539 806 001)と組み合わせて使用することができる。

【0093】
(表6)4価緑膿菌血清型決定試験−PCRの陽性対照および内部対照
内部対照プラスミドおよび陽性対照プラスミドの両方の構築のため、4価LightCyclerアッセイによって検出される全てのアンプリコンを、参照株または臨床単離物のいずれかからPCR増幅した。PCR増幅の後、得られたDNA断片を精製し、制限部位BamHI/SacIを使用して、プラスミドpT3T7BM(Roche Diagnostics)へクローニングした。対照プラスミドのクローニングの成功を、DNA配列決定により最終的に確証した。

【0094】
実施例5:本発明に係るプライマーおよびプローブは、臨床的に優勢な緑膿菌血清型(IATS-O1、血清群2(IATS-O2、IATS-O5、IATS-O16)、IATS-O6、およびIATS-O11)の特異的な検出のために適している
(表7)緑膿菌血清型決定試験
四つの指定された緑膿菌血清型IATS-O1、血清群2(IATS-O2、IATS-O5、IATS-O16)、IATS-O6、およびIATS-O11の各々を表す6つの参照株および72の臨床単離物を、100%の感度および精度を有する4価緑膿菌血清型決定試験により検出した。4価緑膿菌血清型決定試験の設計に基づき、検出可能な血清型のいずれか一つに属する株の決定は、常に一つの特異的な(陽性)血清型検出シグナルをもたらし、多重4価アッセイに含まれている他の血清型試験については三つの陰性シグナルをもたらした。陰性血清型決定試験について、内部対照は陽性に検出され、従って、PCR法の失敗は排除することができる。78全てのDNA試料をおよそ106コピー/反応で試験した。



1:感度:検出された単離物の数/試験された単離物の数
2:精度:正確に検出された単離物の数/試験された単離物の数
【0095】
実施例6:本発明のプライマー/プローブは、他の血清型の緑膿菌株との交差反応性を示さない
(表8)緑膿菌血清型決定試験
緑膿菌血清型決定試験は、10の付加的な緑膿菌血清型IATS-O3、IATS-O4、IATS-O7、IATS-O8、IATS-O9、IATS-O10、IATS-O12、IATS-O13、IATS-O14、およびIATS-O15の参照株および臨床単離物との交差反応性を示さない。全てのDNA試料をおよそ106コピー/反応で試験した。試料中に存在する可能性のあるPCR阻害剤のために陰性血清型決定結果が入手される可能性を排除するため、実施された反応の各々に内部対照溶液を添加した。内部対照は32全ての調査された血清型試料から成功裡に検出されたため、PCR阻害は排除することができる。

【0096】
実施例7:本発明に係るプライマーは種特異的である
(表9)緑膿菌血清型決定試験
緑膿菌血清型決定試験の種特異性を、58の細菌性、真菌性、およびウイルス性の微生物の測定により立証した。微生物学的試料は、American Type Culture Collection(ATCC)、Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen(DSMZ)、およびBelgian Co-ordinated collections of Microorganisms(BCCM)から入手された。評価された全てのDNA試料が、4価緑膿菌血清型決定試験により交差反応性を示さなかった。全てのDNA試料をおよそ106のコピー/反応で試験した。試料中に存在する可能性のあるPCR阻害剤のために陰性血清型決定結果が入手される可能性を排除するため、実施された反応の各々に内部対照溶液を添加した。内部対照は58全ての調査された種試料から成功裡に検出されたため、PCR阻害は排除することができる。



【0097】
実施例8:方法の再現性/頑健性
異なる実験セットアップにおける血清型検出の高い再現性を、血清型IATS-O6について例示的に示す。図2に示されるように、
(A)参照株および19の臨床単離物の測定から、
(B)適用された鋳型濃度(102〜107ゲノム/反応)に依存せず、または
(C)30の臨床試料(気管支肺胞洗浄液)の測定の後
同一のTm値が入手される。
【0098】
実施例9:分析感度
7つの標的陽性試料の8倍レプリケートにおいて、精製されたDNAを使用して、緑膿菌IATS-O1、血清群2(IATS-O2、IATS-O5、およびIATS O-16)、IATS-O6、ならびにIATS-O11の参照株のヒット率分析により、緑膿菌血清型決定試験の分析感度を決定した。試験された各微生物DNAについて、Probit分析を使用して、検出下限値(LOD)を決定するため、95%カットオフ値を計算した。4価血清型決定試験の多重フォーマットは、四つの試験の各々のLODに影響を及ぼす可能性がある。四つのアッセイの各々は、別々に試験された時、より低いLODを有すると仮定することができる。
【0099】
(表10)4価緑膿菌血清型決定試験−分析感度

【0100】
実施例10:比較:4価緑膿菌血清型決定試験およびスライド凝集反応による臨床単離物の血清型決定
呼吸器緑膿菌単離物を、米国、ドイツ、ギリシア、およびベルギーのおよそ20の病院で収集した。測定を、37℃で、BHI寒天プレート(BD Bioscience)上での細菌株のoNインキュベーションの後に実施した。各1白金耳の株を、凝集反応のために使用し、超高純度H2Oによる希釈、それに続く、LightCycler分析にも使用した。両血清型決定法から入手された結果を比較すると、高い信頼性で同定される臨床単離物の数が、4価緑膿菌血清型決定試験の適用によって劇的に増加し得ることが明白である。絶対数で、観察された改善は、500の調査された細菌株の15パーセントに相当する(54.3%から69.2%への血清型決定の改善)。この特定の実施例において、15パーセントの違いは、血清型特異的抗体による処置の資格を有するであろう可能性のある患者75人に相当する。
【0101】
(表11)

【0102】
実施例11:4価緑膿菌血清型決定試験−非機能性プライマー/プローブ対
緑膿菌単離物の血清型特異的な検出のためには、特異的なプライマー/プローブオリゴヌクレオチドが必要である。そのような配列の設計のため、LightCycler Probe Design Software 2.0(Roche Applied Science)を使用した。ソフトウェアは、良好なプライマーおよびプローブの設計の一般的な要件(例えば、分子内の配列相同性の欠如、鋳型上の単一のアニーリング部位、アンプリコンサイズ、所望の融解温度等)を満たす多くのオリゴヌクレオチド配列を示唆したが、示唆されたプライマー/プローブ対の多くが、列挙された排除基準のため、信頼性が高い血清型同定のためには使用可能でなかった。
【0103】
(表12)
LightCycler Probe Design Software 2.0(Roche Applied Science)を使用して設計された25のプライマー/プローブオリゴヌクレオチドを示した。いずれのプライマー/プローブ対も、広範囲の鋳型濃度で信頼性が高い血清型特異的な検出シグナルを生成するためには使用可能でなかった。



【0104】
図3は、LightCycler Probe Design Softwareを使用することにより生成された3種の非機能性プライマー/プローブ組み合わせを示す。
【0105】
増幅特異的なTm値の偏差が強い場合、対応するプライマー/プローブ対は信頼性が高い血清型同定のために使用可能でない。図3は、適用された鋳型濃度に依存する強度のTm変動を有する三つの例を示す。IATS-O11(A)、IATS-O2(B)、およびIATS-O1(C)の参照株を使用して、三つ全ての実験において、10e6〜10e2ゲノム/反応を測定した。示された試料は、表12のプライマー/プローブ組み合わせ#19(A)、#9(B)、および#1(C)に相当する。
【0106】
参照:


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)(i)SEQ ID NO:1に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチドプライマー、およびSEQ ID NO:2に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチドプライマー、
(ii)SEQ ID NO:3に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチドプライマー、およびSEQ ID NO:4に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチドプライマー、
(iii)SEQ ID NO:5に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチドプライマー、およびSEQ ID NO:6に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチドプライマー、ならびに
(iv)SEQ ID NO:7に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチドプライマー、およびSEQ ID NO:8に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチドプライマー
からなる群より選択される、少なくとも1種の緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)血清型特異的プライマー対を、試料中の標的核酸へアニールさせる工程、
(b)標的核酸を増幅する工程、ならびに
(c)増幅されたシュードモナス標的核酸を検出する工程
を含む、試料中の緑膿菌の血清型特異的な検出のためのアッセイ法。
【請求項2】
検出工程が、請求項1において選択された少なくとも1種の緑膿菌血清型特異的プライマー対がアニールする配列の内部にある配列へ、少なくとも1種の緑膿菌血清型特異的ハイブリダイゼーションプローブ対をハイブリダイズさせる工程を含む、請求項1記載のアッセイ法。
【請求項3】
少なくとも1種の緑膿菌血清型特異的ハイブリダイゼーションプローブ対が、
(i)SEQ ID NO:9に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチドプローブ、およびSEQ ID NO:10に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチドプローブ、
(ii)SEQ ID NO:11に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチドプローブ、およびSEQ ID NO:12に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチドプローブ、
(iii)SEQ ID NO:13に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチドプローブ、およびSEQ ID NO:14に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチドプローブ、ならびに
(iv)SEQ ID NO:15に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチドプローブ、およびSEQ ID NO:16に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチドプローブ
からなる群より選択される、請求項2記載のアッセイ法。
【請求項4】
緑膿菌血清型特異的ハイブリダイゼーションプローブが、検出可能なマーカーにより標識される、請求項2または3記載のアッセイ法。
【請求項5】
検出可能なマーカーが、発光マーカー、蛍光マーカー、放射性マーカー、および酵素マーカーからなる群より選択される、請求項4記載のアッセイ法。
【請求項6】
緑膿菌血清型が、定量化分析、増幅曲線分析、または融解曲線分析により検出される、請求項2〜5のいずれか一項記載のアッセイ法。
【請求項7】
二つ以上の緑膿菌血清型が同時に検出される、請求項1〜6のいずれか一項記載のアッセイ法。
【請求項8】
検出される血清型が、緑膿菌血清型IATS-O1、IATS-O6、IATS-O11、ならびに血清型IATS-O2、IATS-O5、およびIATS-O16を含有している血清群2である、請求項7記載のアッセイ法。
【請求項9】
試料が、痰、気管支肺胞洗浄液、気管吸引液、血液、尿のような体液、組織、および細菌培養物から単離されたDNAの群より選択される、請求項1〜8のいずれか一項記載のアッセイ法。
【請求項10】
試料が、食物、土壌、および水の群より選択される、請求項1〜8のいずれか一項記載のアッセイ法。
【請求項11】
試料中の細菌量が、10 cfu/ml〜109 cfu/mlの範囲で検出可能である、請求項1〜10のいずれか一項記載のアッセイ法。
【請求項12】
種特異的である、請求項1〜11のいずれか一項記載のアッセイ法。
【請求項13】
(a)SEQ ID NO:1に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチド、およびSEQ ID NO:2に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチド、
(b)SEQ ID NO:3に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチド、およびSEQ ID NO:4に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチド、
(c)SEQ ID NO:5に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチド、およびSEQ ID NO:6に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチド、
(d)SEQ ID NO:7に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチド、およびSEQ ID NO:8に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチド;
(e)SEQ ID NO:9に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチド、およびSEQ ID NO:10に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチド、
(f)SEQ ID NO:11に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチド、およびSEQ ID NO:12に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチド、
(g)SEQ ID NO:13に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチド、およびSEQ ID NO:14に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチド、ならびに
(h)SEQ ID NO:15に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチド、およびSEQ ID NO:16に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチド
からなる群より選択されるオリゴヌクレオチド対。
【請求項14】
(a)SEQ ID NO:1に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチドプライマー、およびSEQ ID NO:2に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチドプライマー、
(b)SEQ ID NO:3に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチドプライマー、およびSEQ ID NO:4に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチドプライマー、
(c)SEQ ID NO:5に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチドプライマー、およびSEQ ID NO:6に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチドプライマー、ならびに
(d)SEQ ID NO:7に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチドプライマー、およびSEQ ID NO:8に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチドプライマー
からなる群より選択される少なくとも1種の緑膿菌血清型特異的プライマー対と、アニーリングに必要とされる試薬と、任意で増幅のための試薬および緑膿菌の血清型特異的な検出のための説明書とを含む、緑膿菌の血清型特異的な検出のためのキット。
【請求項15】
請求項14において選択される少なくとも1種の血清型特異的プライマー対がアニールする配列の内部にある配列にハイブリダイズする少なくとも1種の緑膿菌血清型特異的ハイブリダイゼーションプローブ対をさらに含む、請求項14記載のキット。
【請求項16】
少なくとも1種の緑膿菌血清型特異的ハイブリダイゼーションプローブ対が、
(a)SEQ ID NO:9に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチドプローブ、およびSEQ ID NO:10に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチドプローブ、
(b)SEQ ID NO:11に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチドプローブ、およびSEQ ID NO:12に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチドプローブ、
(c)SEQ ID NO:13に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチドプローブ、およびSEQ ID NO:14に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチドプローブ、ならびに
(d)SEQ ID NO:15に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第1のオリゴヌクレオチドプローブ、およびSEQ ID NO:16に示される配列の少なくとも10個の連続するヌクレオチドを含む第2のオリゴヌクレオチドプローブ
からなる群より選択される、請求項15記載のキット。
【請求項17】
緑膿菌血清型特異的プローブが、検出可能なマーカーにより標識される、請求項15または16記載のキット。
【請求項18】
検出可能なマーカーが、発光マーカー、蛍光マーカー、放射性マーカー、および酵素マーカーからなる群より選択される、請求項17記載のキット。
【請求項19】
請求項14において定義される項目(a)〜(d)の血清型特異的プライマー対を含む、緑膿菌血清型IATS-O1、IATS-O6、IATS-O11、ならびに血清型IATS-O2、IATS-O5、およびIATS-O16を含有している血清群2の同時検出のためのキット。
【請求項20】
緑膿菌の血清型特異的な検出のための、請求項1または3において定義されるオリゴヌクレオチドプライマーまたはオリゴヌクレオチドプローブの使用。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【公表番号】特表2013−520186(P2013−520186A)
【公表日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−554250(P2012−554250)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際出願番号】PCT/EP2011/000909
【国際公開番号】WO2011/104025
【国際公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(507272979)ケンタ バイオテク アーゲー (4)
【Fターム(参考)】