説明

緑色着色組成物、その緑色着色組成物を用いたカラーフィルタ、及びそのカラーフィルタを備える液晶表示装置

【課題】液晶表示装置の斜め視認性と高明度の両立を可能とするカラーフィルタ用緑色着色組成物、それにより形成されたカラーフィルタ、及びそのカラーフィルタを備え、斜め視認性と高明度を併せ有する液晶表示装置を提供すること。
【解決手段】C.I.Pigment Green 58及びC.I.Pigment Green 36を重量比で99:1〜35:65の割合で含有する顔料と、透明樹脂と、溶剤と、光架橋剤とを含むカラーフィルタ用緑色着色組成物であって、該カラーフィルタ用緑色着色組成物により形成される緑色着色層の下記式により表される厚み方向の位相差値Rthが、−15〜+15nmであることを特徴とするカラーフィルタ用緑色着色組成物。
Rth={(Nx+Ny)/2−Nz}×d
(式中、Nxは着色層のxy平面内のx方向の屈折率を、Nyは着色画素層のxy平面内のy方向の屈折率を、Nzは着色画素層の厚み方向の屈折率を、dは着色層の厚み(nm)をそれぞれ表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緑色着色組成物、その緑色着色組成物を用いたカラーフィルタ、およびそのカラーフィルタを備える液晶表示装置に係り、特に、高いコントラストと斜め視認性の両立を可能とする緑色着色組成物、その緑色着色組成物を用いたカラーフィルタ、およびそのカラーフィルタを備える液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、近年、薄型であることによる省スペース性や軽量性、また省電力性などが評価され、最近ではテレビ用途への普及が急速に進んでいる。テレビ用途向けでは、輝度、コントラストや全方位の視認性などの性能をより高めることが要求されており、これらの表示装置には、位相差制御層を直線偏光板と組み合わせて適用されることが多い。
特に近年、高コントラストの表示が可能な垂直配向モード液晶ディスプレイでは、光軸が基板に垂直で、負の複屈折異方性を有する位相差フィルム(負のCプレート)と、光軸が基板に水平で、正の複屈折異方性を有する位相差フィルム(正のAプレート)が併用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
これら位相差フィルムとしては、通常、ポリカーボネートフィルム等を延伸したものか、もしくは複屈折異方性を有する液晶材料をトリアセチルセルロースフィルム等に塗布した位相差制御フィルムが用いられる。
【0004】
しかしながら、これら位相差フィルムでは、そのリタデーション量は面内で均一に保たれているため、実際に表示される画素ごとに最適なリタデーション量には設定されておらず、必ずしも最適な位相差補償が行われているわけではない。
【0005】
その理由は、カラーフィルタを構成する赤色、緑色および青色の着色画素層の厚み方向位相差値(以下、Rth(R)、Rth(G)、Rth(B)と称する)がそれぞれ異なる場合、斜めから見たときの黒表示時に色付きが観察されるといった問題が生じてしまう。 特に赤色、緑色および青色の着色画素層の厚み方向位相差値が不均一、すなわち、Rth(R)<Rth(G)>Rth(B)、もしくはRth(R)>Rth(G)<Rth(B)といった関係にある場合、光の波長に対して一方向(連続的)の波長分散性を示す光学補償層では、各色不揃いの厚み方向位相差値を、近時求められる高度な表示品質のレベルで補償することができなくなる。
【0006】
液晶表示装置に用いられる他の部材に比べて、カラーフィルタのリタデーションは比較的小さいものであったために、これまでこの問題は重視されていなかったが、高コントラストや広い視野角特性が要求される液晶テレビなどでは、無視できないレベルとなってきた。特に、1000、あるいは3000以上の高コントラストの液晶表示装置では、要求される黒表示の画質に高いものが求められ、問題となってきた。
【0007】
具体的には、表示面に対して正面(垂直方向)からの視認性は良いが、45度などの斜めから観察した視認性(以下、斜め視認性と略称する)において、ある特定の色だけが光漏れすることになり、その結果、黒表示時に 赤味や青味など、あるいは緑味などの色付きを生じさせてしまう。
【0008】
連続的な波長分散性を示すために、Rth(B)>Rth(G)>Rth(R)や、Rth(B)<Rth(G)<Rth(R)という関係を満たす必要があるが、各着色層は、使用する顔料系、材料系によって、Rth>0やRth<0となる場合が存在し、必ずしも連続的な波長分散性を示すわけではない。
【0009】
緑色画素は、可視光の中央付近、すなわち、500〜600nm付近に透過率を有するため、緑色画素のRth(G)を自在に制御することができれば、Rth(B)、Rth(R)の値に依存せずに、連続的な波長分散を示すためのRth(B)>Rth(G)>Rth(R)、もしくはRth(B)<Rth(G)<Rth(R)を満たすことが可能となる。
【0010】
カラーフィルタ中の各着色層は、使用する顔料系、材料系によって異なるものの、Rth=−15〜+15の範囲に収まることが多い。そこで、Rth(G)の値を−15〜+15に自在に制御することができれば、Rth(R)やRth(B)が−15〜+15の範囲のいずれの値になっても、連続的な波長分散を維持することができる。
【0011】
また、逆に、黒表示時の斜め視認性において、赤味の色づきが発生する場合、緑色画素層のリタデーションを制御することにより、黒色表示を適正化させることも可能である。
【0012】
これに対し、位相差制御を可能とする方法として、重合液晶を用いた位相差制御層を利用して、透過光の波長に応じてリタデーションを制御し、位相差補填をより最適に行う試みがなされている(例えば、特許文献2参照)。
【0013】
しかしながら、着色画素部を形成した上に位相差制御層を形成するため、工程数が増してしまうという問題点があり、工程を増すことなく、着色画素の位相差を制御することが求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平10−153802号公報
【特許文献2】特開2005−148118号公報 一方、斜め視認性の他に、カラーフィルタに要求される品質項目として、明度が挙げられる。明度を向上させると、光の透過率が高くなり、光源であるバックライトの数を削減でき、消費電力の抑制を可能とするため、省エネルギーの観点からカラーフィルタの高明度化がトレンドとなっている。この高明度化のトレンドに対応するため、緑色着色層においてハロゲン化亜鉛フタロシアニングリーン顔料(C.I.Pigment Green 58、以下PG58)を用いることが主流になりつつある。しかし、PG58は物性として位相差がプラス化の傾向にあるため、PG58単体では−15〜+15の間の自在な位相差制御が困難となっており、斜め視認性と高明度の両立は困難とされていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、以上のような事情の下になされ、液晶表示装置の斜め視認性と高明度の両立を可能とするカラーフィルタ用緑色着色組成物、それにより形成されたカラーフィルタ、及びそのカラーフィルタを備え、斜め視認性と高明度を併せ有する液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の態様は、C.I.Pigment Green 58及びC.I.Pigment Green 36を重量比で99:1〜35:65の割合で含有する顔料と、透明樹脂と、溶剤と、光架橋剤とを含むカラーフィルタ用緑色着色組成物であって、該カラーフィルタ用緑色着色組成物により形成される緑色着色層の下記式により表される厚み方向の位相差値Rthが、−15〜+15nmであることを特徴とするカラーフィルタ用緑色着色組成物を提供する。
【0017】
Rth={(Nx+Ny)/2−Nz}×d
(式中、Nxは着色層のxy平面内のx方向の屈折率を、Nyは着色画素層のxy平面内のy方向の屈折率を、Nzは着色画素層の厚み方向の屈折率を、dは着色層の厚み(nm)をそれぞれ表す。)
本発明の第2の態様は、透明基板上に赤色画素、緑色画素および青色画素を含む複数色の画素を備え、前記緑色画素が、上述の緑色着色組成物から形成されることを特徴とするカラーフィルタを提供する。
【0018】
本発明の第3の態様は、上述のカラーフィルタを用いることを特徴とする液晶表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、液晶表示装置の斜め視認性と高明度の両立を可能とするカラーフィルタ用緑色着色組成物が提供される。また、それにより形成されたカラーフィルタ、及びそのカラーフィルタを備え、斜め視認性と高明度を併せ有する液晶表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施形態に係るカラーフィルタを示す概略断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るカラーフィルタを備えた液晶表示装置の一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態につき説明する。
【0022】
着色画素の厚み方向位相差値は、着色画素に、可視域(おおむね光の波長 380nmから780nmの範囲)の透過光ピーク域の波長を含む連続した光を正面および複数の傾斜した角度から照射し、分光エリプソメータなどの位相差測定装置を用いて3次元屈折率を測定することで得られる。
【0023】
例えば、赤色画素では620nm、緑色画素では550nm、青色画素では450nmの波長で、正面と入射角45度の少なくとも2方向からの光で位相差測定を行い、Nx、Ny、Nzの3次元屈折率を得たのち、以下に示す式より厚み方向位相差値(Rth)を算出する。
【0024】
Rth={(Nx+Ny)/2−Nz}×d
式中、Nxは、着色画素のxy平面内のx方向の屈折率であり、Nyは、着色画素のxy平面内のy方向の屈折率であり、Nzは、着色画素の厚み方向の屈折率であり、NxをNx≧Nyとする遅相軸とし、dは、着色画素層の厚み(nm)である。
【0025】
この際、測定する基板がカラーフィルタである場合は、R・G・Bの単一着色画素層のみを透過するように加工されたマスクを介して測定することで、単一画素の位相差値を求めることができる。
【0026】
また、例えば、620nmの波長の光を入射光として使用した場合は、赤色画素のみに起因する位相差値、550nmの場合は、緑色画素のみに起因する位相差値、450nmの場合は、青色画素のみに起因する位相差値としてそれぞれ単一着色画素のおおよその値を見積もることができる。
【0027】
なお、測定する基板がR、G、Bのうちいずれかの単一着色画素(透明基板に単色のカラーフィルタ着色組成物の塗膜を形成した構成)である場合は、マスクを介することなく位相差の測定が可能となる。
【0028】
本発明の第1の実施形態に係るカラーフィルタ用緑色着色組成物は、顔料と、透明樹脂と、溶剤と、光架橋剤とを含む。顔料は、C.I.Pigment Green 58及びC.I.Pigment Green 36を重量比で99:1〜35:65の割合で含有する。
【0029】
このような緑色着色組成物により形成される緑色着色層の、上記式により表される厚み方向の位相差値Rthは、−15〜+15nmである。
【0030】
本発明者らは、C.I. Pigment Green 58とC.I. Pigment Green36を併用し、その混合比率を適正にすることで、Rthが−15〜+15の範囲となるような緑色着色組成物が効果的に得られることを見出した。
【0031】
本実施形態に係る緑色着色組成物において、含有するC.I.Pigment Green58の総重量をPG58、含有するC.I.Pigment Green36の総重量をPG36とするときに、Green顔料中におけるPG58の混合量が多いと、高透過率、高コントラストとなり、Rth(G)>0となる。ただし、PG36の比率が1%未満では、これを配合したことによる分散性の向上効果を得ることができない。一方、PG36が多いと、Rth(G)<0となり、大きく負の位相差値に制御できる。ただし、PG36が65%より大きいと、透過率、コントラストが大幅に低下してしまう。透過率、コントラストを損なうことなく、Rth=−15〜+15となるような厚み方向の位相差を有するためには、PG58:PG36=99:1〜35:65でなければならない。
【0032】
なお、C.I.Pigment Green 58及びC.I.Pigment Green 36の重量比が上記範囲外の場合には、厚み方向の位相差値Rthが、−15〜+15nmの範囲外となってしまい、この緑色着色組成物を用いて得たカラーフィルタを具備する液晶表示装置の斜め視認性が劣化してしまう。
【0033】
以上のように、本発明の第1の実施形態に係る緑色着色組成物によると、含まれる顔料の比率を適正に制御することで、透過率、コントラストを損なうことなく、緑色画素の厚み方向の位相差を所望の値に調整することが出来る。その結果、コントラスト値が1000以上、あるいは3000以上である、高品質であるとともに、波長ごとに適正な光学補償のなされたカラーフィルタを得ることが出来る。
【0034】
次に、本発明の第2の実施形態に係るカラーフィルタについて説明する。
【0035】
本発明の第2の実施形態に係るカラーフィルタは、図1に示すように、ガラス基板1上に遮光層であるブラックマトリクス2を具備し、ガラス基板1上のブラックマトリクス2により区分された領域に、少なくとも赤色画素3R、緑色画素3Gおよび青色画素3Bの3色の着色画素を備えている。
【0036】
なお、これら3色に限らず、さらに、補色の組み合わせでも良く、あるいは補色や他色を含んだ3色以上の多色のカラーフィルタであっても良い。
【0037】
以下に、本実施形態に係るカラーフィルタを得るための方法について説明する。本実施形態に係るカラーフィルタは、少なくとも透明基板上に複数色の画素を備えている。複数色は赤、緑、青(R、G、B)の組み合わせであるが、これに加えてイエロー、マゼンダ、シアン(YMC)を適宜組み合わせることも可能である。
【0038】
使用される透明基板は、可視光に対してある程度の透過率を有するものが好ましく、より好ましくは80%以上の透過率を有するものを用いることができる。一般に、液晶表示装置に用いられているものでよく、PETなどのプラスチック基板やガラスが挙げられるが、通常はガラス基板を用いるとよい。遮光パターンを用いる場合は、あらかじめ該透明基板上にクロム等の金属薄膜や遮光性樹脂によるパターンを公知の方法で形成したものを用いればよい。
【0039】
透明基板上への着色画素の作製方法は、公知のインクジェット法、印刷法、フォトレジスト法、エッチング法など何れの方法で作製しても構わない。しかし、高精細、分光特性の制御性及び再現性等を考慮すれば、フォトレジスト法が好ましい。フォトレジスト法は、透明な樹脂中に顔料を、光重合開始剤、光架橋剤と共に適当な溶剤に分散させて得た着色組成物を、透明基板上に塗布製膜して着色層を形成し、この着色層をパターン露光し、次いで現像することで、一色の画素を形成する工程を各色ごとに繰り返し行う方法である。
【0040】
本実施形態に係るカラーフィルタが備える画素を構成する着色層をフォトリソ法により形成する場合は、まず、感光性着色組成物を以下の方法により調製する。
【0041】
着色剤となる顔料を、光架橋剤及び光重合開始剤と共に適当な溶剤に分散させる。分散させる方法は、ミルベース、3本ロール、ジェットミル等様々な方法があり、特に限定されるものではない。
【0042】
本実施形態に係るカラーフィルタの着色層を形成する着色組成物に用いることのできる有機顔料の具体例を、以下にカラーインデックス番号で示す。
【0043】
赤色画素を形成するための赤色着色組成物には、C.I. Pigment Red 7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、97、122、123、146、149、168、177、178、179、180、184、185、187、192、200、202、208、210、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、246、254、255、264、272、279等の赤色顔料を用いることができる。赤色着色組成物には、黄色顔料、橙色顔料を併用することができる。
【0044】
黄色顔料としては、C.I. Pigment Yellow 150、139以外に、C.I. Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、144、146、147、148、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214等が挙げられる。
【0045】
橙色顔料としては、C.I. Pigment Orange 36、43、51、55、59、61、71、73等が挙げられる。
【0046】
緑色画素を形成するための緑色着色組成物には、本発明において必須成分として用いられるC.I.Pigment Green 58、36以外に、例えばC.I.Pigment Green 7、37等の緑色顔料を用いることができる。緑色着色組成物には、赤色着色組成物と同様の黄色顔料を併用することができる。
【0047】
青色画素を形成するための青色着色組成物には前述の通りC.I. Pigment Blue 15:1、15:2、15:3、15:4の青色顔料、C.I.Pigment Violet 23の紫色顔料を用いる。
【0048】
また、上記有機顔料と組み合わせて、彩度と明度のバランスを取りつつ良好な塗布性、感度、現像性等を確保するために、耐液晶性を低下させない範囲内で無機顔料を組み合わせて用いることも可能である。無機顔料としては、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑等の金属酸化物粉、金属硫化物粉、金属粉等が挙げられる。さらに、調色のため、耐液晶性、耐熱性を低下させない範囲内で染料を含有させることができる。
【0049】
本実施形態に係るカラーフィルタに用いられる着色組成物は、顔料を顔料担体および有機溶剤中に分散させた顔料分散体を用いることが好ましい。顔料分散体は、顔料、バインダー樹脂と、樹脂型顔料分散剤、界面活性剤、顔料誘導体等の分散助剤を用いて、作製したものである。
【0050】
顔料は、着色組成物の全固形分量を基準(100重量%)として5〜70重量%の割合で含有されることが好ましい。より好ましくは、20〜50重量%の割合で含有され、その残部は、顔料担体により提供される分散助剤、バインダー樹脂から実質的になる。分散助剤は、着色組成物中の顔料100重量部に対して、0.1〜40重量部、好ましくは0.1〜30重量部の量で用いることができる。
【0051】
〔分散〕
本発明の第1の実施形態に係る緑色着色組成物は、ハロゲン化亜鉛フタロシアニングリーン顔料である、C.I.Pigment Green 58及びC.I.Pigment Green 36を含有する緑色顔料分散体を、好ましくは顔料誘導体および/または分散助剤と一緒に、バインダー樹脂および有機溶剤などの顔料担体中に、三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、アトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散することにより、調製することができる。或いはまた、数種類の顔料分散体を別々に分散したものを混合することによっても調製することができる。
【0052】
〔分散助剤〕
顔料を顔料担体中に分散する際には、適宜、樹脂型分散剤、界面活性剤、顔料誘導体等の分散助剤を用いることができる。分散助剤は、顔料の分散に優れ、分散後の顔料の再凝集を防止する効果が大きいので、分散助剤を用いて顔料を顔料担体および有機溶剤中に分散して得た着色組成物を用いた場合には、透明性に優れたカラーフィルタが得られる。分散助剤は、着色組成物中の顔料100重量部に対して、0.1〜40重量部、好ましくは0.1〜30重量部の量で用いることができる。
【0053】
樹脂型顔料分散剤としては、顔料に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、顔料担体と相溶性のある部位とを有し、顔料に吸着して顔料の顔料担体への分散を安定化する働きをするものである。樹脂型顔料分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレートなどのポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩などの油性分散剤、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、燐酸エステル系等が用いられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0054】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、ステアリン酸ナトリウム、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物などのカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0055】
顔料誘導体としては、有機顔料、アントラキノン、アクリドンまたはトリアジンに、塩基性置換基、酸性置換基、または置換基を有していても良いフタルイミドメチル基を導入した化合物があげられる。その構造は、下記一般式(1)で示される。
【0056】
一般式(1):
P−Lm 式(1)
(ただし、Pは有機顔料残基、Lは塩基性置換基、酸性置換基、又は置換基を有していても良いフタルイミドメチル基を導入した化合物、mは1〜4の整数である)
顔料誘導体は、例えば、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、又は特公平5−9469号公報等に記載されているものを使用することができ、これらは単独で又は2種類以上を混合して用いることができる。
【0057】
顔料誘導体の配合量は、顔料100重量部に対し好ましくは1〜50重量部、更に好ましくは3〜30重量部、最も好ましくは5〜25重量部である。顔料100重量部に対し顔料誘導体が1重量部未満であると分散性が悪くなる場合があり、50重量部を超えると耐熱性、耐光性が悪くなる場合がある。
【0058】
一般式(1)中、Pの有機顔料残基を構成する有機顔料としては、下記のようなものが挙げられる。
【0059】
例えば、ジケトピロロピロール系顔料、アゾ、ジスアゾ、及びポリアゾ等のアゾ系顔料;
銅フタロシアニン、ハロゲン化銅フタロシアニン、及び無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料;アミノアントラキノン、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、及びビオラントロン等のアントラキノン系顔料;キナクリドン系顔料;ジオキサジン系顔料;ペリノン系顔料;ペリレン系顔料;チオインジゴ系顔料;イソインドリン系顔料; イソインドリノン系顔料;キノフタロン系顔料;スレン系顔料;並びに、金属錯体系顔料等が挙げられる。
【0060】
本実施形態に係る着色組成物は、バインダー樹脂を含むことができる。バインダー樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、酸性基含有エチレン性不飽和単量体を共重合したアルカリ可溶性ビニル系樹脂、及びエチレン性不飽和活性二重結合を有するエネルギー線硬化性樹脂が好ましく、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において分光透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂である。
【0061】
バインダー樹脂としての熱可塑性樹脂は、例えば、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン(HDPE、LDPE)、ポリブタジエン、及びポリイミド樹脂等が挙げられる。
【0062】
また、バインダー樹脂としての熱硬化性樹脂は、例えば、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、及びフェノール樹脂等が挙げられる。
【0063】
本実施形態に係るカラーフィルタ用緑色着色組成物をアルカリ現像型着色レジストの形態で用いる場合は、バインダー樹脂として(メタ)アクリル酸等の酸性基含有エチレン性不飽和単量体を共重合したアルカリ可溶性ビニル系樹脂を使用することが好ましい。
【0064】
また、バインダー樹脂としては、エチレン性不飽和活性二重結合を有するエネルギー線硬化性樹脂を使用することもできる。該樹脂の製造法としては、樹脂の前駆体として、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子を用意し、イソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該線状高分子に導入した樹脂を得る方法や、また、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化する方法等がある。
【0065】
バインダー樹脂は、顔料分散体の全重量を基準として、30〜500重量%の量で用いることができる。30重量%未満では、成膜性及び諸耐性が不十分となり、500重量%より多いと顔料濃度が低く、色特性を発現できない。
【0066】
また、バインダー樹脂は、顔料分散性、現像性、及び耐熱性の観点から、顔料吸着基及び現像時のアルカリ可溶基として働くカルボキシル基、顔料担体及び溶剤に対する親和性基として働く脂肪族基及び芳香族基のバランスが、顔料分散性、現像性、さらには耐久性にとって重要であるので、酸価が20〜300mgKOH/gの範囲内が好ましい。酸価が、20mgKOH/g未満では、現像液に対する溶解性が悪く、微細パターン形成するのが困難である。300mgKOH/gを超えると、微細パターンが残らなくなる。
【0067】
光架橋剤としては光重合性モノマーあるいはオリゴマーを用いることが出来る。光重合性モノマーおよびオリゴマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。これらは、単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。
【0068】
光架橋剤の添加量は塗布性、現像適正を損なわない範囲で多い方が好ましく、着色組成物の全固形分量を基準として、10重量%〜80重量%程度、さらに好ましくは50重量%〜70重量%程度である。この範囲より添加量が少ないと架橋性が不足し耐液晶性が悪化、この範囲より添加量が多いと着色組成物の塗布時にムラ、ピンホールが発生しやすくなり塗布性が著しく悪化、あるいは現像液溶解性が著しく低下し現像適性が不良となってしまう。
【0069】
光重合開始剤としては、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン等のアセトフェノン系化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4'-メチルジフェニルサルファイド、3,3',4,4'-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2-クロルチオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、2,4-トリクロロメチル(4'-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン系化合物;1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、O-(アセチル)-N-(1-フェニル-2-オキソ-2-(4'-メトキシ-ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物;ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物;9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物;ボレート系化合物;カルバゾール系化合物;イミダゾール系化合物;チタノセン系化合物等が用いられる。これらの光重合開始剤は1種または2種以上混合して用いることができる。
【0070】
光重合開始剤の使用量は、着色組成物の全固形分量を基準として0.5〜50重量%が好ましく、より好ましくは3〜30重量%である。
【0071】
さらに、増感剤として、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、N,N-ジメチルパラトルイジン、4,4'-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'-ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン系化合物を併用することもできる。これらの増感剤は1種または2種以上混合して用いることができる。
【0072】
増感剤の使用量は、光重合開始剤と増感剤の合計量を基準として0.5〜60重量%が好ましく、より好ましくは3〜40重量%である。
【0073】
さらに、着色組成物には、連鎖移動剤としての働きをする多官能チオールを含有させることができる。
【0074】
多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物であればよく、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4-ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4-ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-(N,N-ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-s-トリアジン等が挙げられる。これらの多官能チオールは、1種または2種以上混合して用いることができる。
【0075】
多官能チオールの使用量は、着色組成物の全固形分量を基準として0.1〜30重量%が好ましく、より好ましくは1〜20重量%である。0.1質量%未満では多官能チオールの添加効果が不充分であり、30質量%を越えると感度が高すぎて逆に解像度が低下する。
【0076】
また必要に応じ、位相差調整剤として、平面構造基を有する樹脂を用いることもできる。リタデーションを増加、もしくは減少できる樹脂を添加することにより、さらなる位相差の制御が可能となる(例えば特開2008−185984)。位相差調整剤として、たとえば、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂等が挙げられる。
【0077】
メラミン樹脂としては、アルキル化メラミン樹脂(メチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂など)、混合エーテル化メラミン樹脂等があり、高縮合タイプであっても低縮合タイプであってもよい。これらは、いずれも単独あるいは2種類以上混合して使用することができる。また、必要に応じて、さらにエポキシ樹脂を混合して使用することもできる。
【0078】
エポキシ樹脂としては、例えば、グリセロール・ポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパン・ポリグリシジルエーテル、レゾルシン・ジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコール・ジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオール・ジグリシジルエーテル、エチレングリコール(ポリエチレングリコール)・ジグリシジルエーテル等がある。これらについても、単独あるいは2種類以上混合して使用することができる。
【0079】
有機溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1-メトキシ-2-プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル-nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルトルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。
【0080】
溶剤は、着色組成物中の顔料100重量部に対して、800〜4000重量部、好ましくは1000〜2500重量部の量で用いることができる。
【0081】
着色組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。貯蔵安定剤としては、例えばベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、T−ブチルピロカテコール、テトラエチルホスフィン、テトラフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、着色組成物中の顔料100重量部に対して、0.1〜10重量部の量で含有させることができる。
【0082】
また、着色組成物には、基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることもできる。シランカップリング剤としては、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等が挙げられる。シランカップリング剤は、着色組成物中の顔料100重量部に対して、0.01〜100重量部の量で含有させることができる。
【0083】
着色組成物は、グラビアオフセット用印刷インキ、水無しオフセット印刷インキ、シルクスクリーン印刷用インキ、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジストの形態で調製することができる。着色レジストは、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂または感光性樹脂と、光架橋剤と、光重合開始剤と、有機溶剤とを含有する組成物中に色素を分散させたものである。
【0084】
本実施形態に係るカラーフィルタ中の赤色画素、緑色画素、および青色画素は、透明基板上に、印刷法またはフォトリソグラフィー法により、上記の各色着色組成物を用いて形成される。
【0085】
印刷法による各色フィルタセグメントの形成は、上記各種の印刷インキとして調製した着色組成物の印刷と乾燥を繰り返すだけでパターン化ができるため、カラーフィルタの製造法としては、低コストで量産性に優れている。さらに、印刷技術の発展により高い寸法精度および平滑度を有する微細パターンの印刷を行うことができる。印刷を行うためには、印刷の版上にて、あるいはブランケット上にてインキが乾燥、固化しないような組成とすることが好ましい。また、印刷機上でのインキの流動性の制御も重要であり、分散剤や体質顔料によるインキ粘度の調整を行うこともできる。
【0086】
インクジェット法は、微細な複数の吐出口(インクジェットヘッド)を色ごとに揃えたインクジェット装置にて、透明基板もしくはTFTなどアクティブ素子を形成した基板に直接印刷形成する方法である。
【0087】
フォトリソグラフィー法により各着色画素を形成する場合は、上記溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジストとして調製した着色組成物を、透明基板上に、スプレーコートやスピンコート、スリットコート、ロールコート等の塗布方法により、乾燥膜厚が0.2〜10μmとなるように塗布する。塗布膜を乾燥させる際には、減圧乾燥機、コンベクションオーブン、IRオーブン、ホットプレート等を使用してもよい。必要により乾燥された膜には、この膜と接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するマスクを通して紫外線露光を行う。その後、溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するかもしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去して所望のパターンを形成したのち、同様の操作を他色について繰り返してカラーフィルタを製造することができる。さらに、着色レジストの重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。フォトリソグラフィー法によれば、上記印刷法より精度の高いカラーフィルタが製造できる。
【0088】
現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。現像処理方法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。
【0089】
なお、紫外線露光感度を上げるために、上記着色レジストを塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
【0090】
本実施形態に係るカラーフィルタは、上記方法の他に電着法、転写法などにより製造することができる。なお、電着法は、透明基板上に形成した透明導電膜を利用して、コロイド粒子の電気泳動により各色フィルタセグメントを透明導電膜の上に電着形成することでカラーフィルタを製造する方法である。また、転写法は剥離性の転写ベースシートの表面に、あらかじめカラーフィルタ層を形成しておき、このカラーフィルタ層を所望の透明基板に転写させる方法である。
【0091】
次に、上述したカラーフィルタを備えた液晶表示装置について説明する。
【0092】
図2は、本発明の第3の実施形態に係る液晶表示装置の概略断面図である。図2に示す液晶表示装置4は、ノート型パソコン用のTFT駆動型液晶表示装置の典型例であって、離間対向して配置された一対の透明基板5および6を備え、それらの間には、液晶(LC)が封入されている。本発明は、TN(Twisted Nematic)、STN(Super Twisted Nematic)、IPS(In−Plane switching)、VA(Vertical Alignment)、OCB(Optically Compensated Birefringence)等の偏光板、位相差板を用いる液晶表示装置に適用可能である。
【0093】
第1の透明基板5の内面には、TFT(薄膜トランジスタ)アレイ7が形成されており、その上には例えばITOからなる透明電極層8が形成されている。透明電極層8の上には、配向層9が設けられている。また、透明基板5の外面には、偏光板10が形成されている。
【0094】
他方、第2の透明基板6の内面には、上述した本発明の第2の実施形態に係るカラーフィルタ11が形成されている。カラーフィルタ11を構成する赤色、緑色および青色のフィルタセグメントは、ブラックマトリックス(図示せず)により分離されている。カラーフィルタ11を覆って、必要に応じて透明保護膜(図示せず)が形成され、さらにその上に、例えばITOからなる透明電極層12が形成され、透明電極層12を覆って配向層13が設けられている。また、透明基板6の外面には、偏光板14が形成されている。なお、偏光板10の下方には、三波長ランプ15を備えたバックライトユニット16が設けられている。
【0095】
このような本実施形態に係る液晶表示装置によれば、カラーフィルタを構成する赤色、緑色、および青色の着色表示画素の厚み方向位相差に関する値をエリプソメータもしくは位相差測定装置を用いて測定することで、基板上に形成された着色表示画素の厚みが1〜3μmであっても、着色表示画素と空気層や基板との屈折率差による干渉の影響を位相差Δに含んだまま、厚み方向位相差に関する値を求めることにより、この値と液晶表示装置の斜め方向の視認性との相関から、カラーフィルタの評価を精度良く行うことができる。
以上のように、本発明の第3の実施形態に係る液晶表示装置によると、各着色画素の表示領域を通過する光の偏光状態のばらつきが低減され、斜め方向および正面の視認性を良好にすることができるとともに、パネル全体としての位相差補償を、簡易に、より最適に行うことが可能である。
【実施例】
【0096】
以下、本発明の具体的な実施例を挙げるが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。また、本実施例で用いる材料は光に対して極めて敏感であるため、自然光などの不要な光による感光を防ぐ必要があり、全ての作業を黄色、または赤色灯下で行うことは言うまでもない。なお、実施例および比較例中、「部」とは「重量部」を意味する。また、顔料の記号はカラーインデックスナンバーを示し、例えば、「PG58」は「C.I.Pigment Green 58」を、「PY150」は「C.I.Pigment Yellow 150」を表す。
【0097】
(アクリル樹脂溶液の調製)
シクロヘキサノン800部を収容する反応容器に窒素ガスを注入しながら100℃に加熱し、同温度で下記光架橋剤および熱重合開始剤の混合物を1時間かけて滴下して、重合反応を行った。
【0098】
スチレン 60.0部
メタクリル酸 60.0部
メタクリル酸メチル 65.0部
メタクリル酸ブチル 65.0部
アゾビスイソブチロニトリル 10.0部
滴下後、さらに100℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル2.0部をシクロヘキサノン50部で溶解させたものを添加し、さらに100℃で1時間反応を続けて、重量平均分子量が約40000のアクリル樹脂の溶液を得た。
【0099】
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃で20分加熱乾燥し、不揮発分を測定し、先に合成した樹脂溶液に不揮発分が20%となるようにシクロヘキサノンを添加して、アクリル樹脂溶液を調製した。
【0100】
(樹脂型分散剤溶液の調製)
市販の樹脂型分散剤(チバ・ジャパン社製EFKA4300)と、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートを用いて、不揮発分40重量%溶液に調製し、樹脂型分散剤溶液として使用した。
【0101】
[顔料分散体の製造]
赤色顔料1(C.I. Pigment Red 254、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「IRGAPHOR RED B−CF」;R−1)、赤色顔料2(C.I. Pigment Red 177、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「CROMOPHTAL RED A2B」;R−2)、黄色顔料1(C.I. Pigment Yellow 150、BAYER社製「FANCHON FAST YELLOW Y−5688」;Y−1)、アクリル樹脂溶液、樹脂型分散剤溶液、及びエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートを、下記表1に示す配合組成(重量比)で均一に撹拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミルで2時間分散処理した後、5μmのフィルタで濾過し、顔料分散体RP−1、RP−2を作製した。
【0102】
緑色顔料1(C.I. Pigment Green 58、大日本インキ化学工業(株)製「FASTOGEN GREEN A10」;G−1)、緑色顔料2(C.I. Pigment Green 36、東洋インキ製造社製「LIONOL GREEN 6YK」;G−2)、黄色顔料1(C.I. Pigment Yellow 150、BAYER社製「FANCHON FAST YELLOW Y−5688」;Y−1)、黄色顔料2(C.I. Pigment Yellow 139、BASF社製「パリオトールイエローD1819」;Y−2)、アクリル樹脂溶液、樹脂型分散剤溶液、及びエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートを、下記表1に示す配合組成(重量比)で均一に撹拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミルで2時間処理分散した後、5μmのフィルタで濾過し、顔料分散体GP−1、2、3、4、5を作製した。
【0103】
青色顔料1(C.I. Pigment Blue 15:6、東洋インキ製造社製「LIONOL BLUE ES」;B−1)、紫色顔料1(C.I. Pigment Violet 23、東洋インキ製造社製「LIONOGEN VIOLET RL」;V−1)、アクリル樹脂溶液、樹脂型分散剤溶液、及びエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートを、下記表1に示す配合組成(重量比)で均一に撹拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、アイガーミルで2時間分散処理した後、5μmのフィルタで濾過し、顔料分散体BP−1を作製した。
【表1】

【0104】
[実施例1〜3、比較例1,2]
[着色組成物の調製]
下記表2に示す組成(重量比)の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過して、各色の着色組成物を得た。なお、下記表2におけるGR1は実施例1、GR−2は実施例2、GR−3は実施例3に係る緑色着色組成物であり、GR4は比較例1、GR−5は比較例2に係る緑色着色組成物である。
【0105】
光架橋剤:アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート
(日本化薬製「カヤラッドD−310」)
光重合開始剤:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガキュア 907」)
増感剤 :4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
(土ヶ谷化学社製「EAB−F」)
有機溶剤 :シクロヘキサノン
[リタデーション調整剤]
以下の市販の化合物をリタデーション調整剤として使用した。
【0106】
スチレン−マレイン化合物:荒川化学工業製(商品名アラスター700)
【表2】

【0107】
[塗膜作製]
基板として、厚みが0.7 mmの溶融成形アルミノケイ酸薄板ガラスを準備し、洗浄を行なった後、あらかじめブラックマトリックスが形成された基板上に、上で得た着色組成物をスピンコート法により塗布し、減圧乾燥を行なった後、紫外線光源による照射線量が100 mJ/cm になるよう露光を行なった。その後、温度230℃で60分間ポストベークを行ない、厚みが2μmの赤色塗膜、緑色塗膜、及び青色塗膜を形成した。
【0108】
各塗膜の色度、分光透過率、及び厚み方向位相差値を測定した。測定方法は、下記の通りである。
【0109】
[色度、分光透過率]
XYZ表色系色度図における色度は、分光光度計(OTSUKA LCF―1100M)を用いて測定した。上記表2に示した各レジストより作製された各色塗膜の色度を、下記表3に示す。
【0110】
[厚み方向位相差値Rth]
厚み方向位相差値は、透過型分光エリプソメータ(日本分光社製「M−220」)を用いて、塗膜を形成した基板の法線方向から45°傾けた方位より、400nmから700nmの範囲で5nmおきの波長で測定し、エリプソパラメータであるδを得た。△=δ/360×λより位相差値△(λ)を算出し、この値を用いて、3次元屈折率を算出し、下記式より厚み方向位相差値(Rth)を算出した。但し、赤色着色画素では620nmの波長で測定を行った。
【0111】
Rth={(Nx+Ny)/2−Nz}×d
式中、Nxは着色画素層のxy平面内のx方向の屈折率であり、Nyは着色画素層のxy平面内のy方向の屈折率であり、Nzは着色画素層の厚み方向の屈折率であり、NxをNx≧Nyとする遅相軸とする。dは着色画素層の厚み(nm)である。
【0112】
上記表2に示す各レジストより作製された各色塗膜の厚み方向位相差値Rthを下記表3に示す。
【表3】

【0113】
表3に示すように、PG58/PG36≒94:6であるGR1(実施例1)、PG58/PG36≒35.4:64.6であるGR2(実施例2)、PG58/PG36=50:50であるGR3〔実施例3〕は、いずれもPG58/PG36が本発明の範囲内であるため、Rth(G)はー15乃至+15nmの範囲内であり、レジストの安定性は良好であり、明度Yは60以上であった。
【0114】
これに対し、PG58/PG36=100/0(PG36を含まない)のGR4(比較例1)は、Rth(G)=+20を示し、またレジストの安定性が低かった。PG58/PG36≒30/70のGR5(比較例2)は、Rth(G)=−16となり、本発明の範囲外であり、明度Yが60以下と低くなった。
【0115】
カラーフィルタの作製
上記表2に示した各色レジストを組み合わせて、下記に示す方法により、カラーフィルタを作製した。
【0116】
[実施例4]
まず、赤色レジスト(RR−1)をスピンコート法により、予めブラックマトリックス
が形成されているガラス基板に塗工した後、クリーンオーブン中で、70℃で20分間プリベークした。次いで、この基板を室温に冷却した後、超高圧水銀ランプを用い、フォトマスクを介して紫外線を露光した。
【0117】
その後、この基板を23℃の炭酸ナトリウム水溶液を用いてスプレー現像した後、イオ
ン交換水で洗浄し、風乾した。さらに、クリーンオーブン中で、230℃で30分間ポス
トベークを行い、基板上にストライプ状の赤色画素を形成した。
【0118】
次に、緑色レジスト(GR−1:PG58/PG36≒94:6)を使用し、赤色画素と同様にして緑色画素を形成し、さらに、青色レジスト(BR−1)を使用して青色画素を形成し、カラーフィルタを得た。各色画素の形成膜厚はいずれも2.0μmであった。
【0119】
[実施例5]
赤色レジストを(RR−1)から(RR−2)、緑色レジストを(GR−1)から(GR−2:PG58/PG36≒35.4:64.6)、青色レジストを(BR−1)から(BR−2)に代えた以外は、実施例4と同様にして、カラーフィルタを得た。
【0120】
[実施例6]
赤色レジストを(RR−1)から(RR−2)、緑色レジストを(GR−1)から(GR−3:PG58/PG36=50:50)に代えた以外は、実施例4と同様にして、カラーフィルタを得た。
【0121】
[比較例3]
緑色レジストを(GR−1)から(GR−4:PG58/PG36=100:0)に代えた以外は、実施例4と同様にして、カラーフィルタを得た。
【0122】
[比較例4]
緑色レジストを(GR−1)から(GR−5:PG58/PG36≒30:70)に代えた以外は、実施例4と同様にして、カラーフィルタを得た。
【0123】
[コントラスト]
塗膜を形成した基板の両側に偏光板を重ね、偏光板が平行時の輝度(Lp)と直交時の輝度(Lc)との比、Lp/Lcをコントラスト(C)として算出した。なお、輝度は、色彩輝度計(トプコン社製「BM−5A」)を用い、2°視野の条件で測定し、偏光板は、日東電工社製「NPF−SEG1224DU」を用いた。上記表3に示した各色レジストより作製されたカラーフィルタのコントラストを下記表4に示す。
【0124】
[液晶表示装置の作製]
得られたカラーフィルタ上に、透明ITO電極層を形成し、その上にポリイミド配向層
を形成した。このガラス基板の他方の表面に偏光板を形成した。
【0125】
他方、別の(第2の)ガラス基板の一方の表面にTFTアレイおよび画素電極を形成し、他方の表面に偏光板を形成した。こうして準備された2つのガラス基板を電極層同士が
対面するよう対向させ、スペーサビーズを用いて両基板の間隔を一定に保ちながら位置合
わせし、液晶組成物注入用開口部を残すように周囲を封止剤で封止した。
【0126】
開口部から液晶組成物を注入し、開口部を封止した。前記偏光板には広視野角表示が可
能なように最適化された光学補償層を設けた。このようにして作製した液晶表示装置をバ
ックライトユニットと組み合わせて液晶パネルを得た。
【0127】
[液晶表示装置の黒表示時の視認性評価]
作製した液晶表示装置を黒表示させ、液晶パネルの法線方向(正面)および法線方向か
ら45°傾けた方位(斜め)より漏れてくる光(直交透過光;漏れ光)の量を目視観察し
た。光漏れなく黒く見えた場合を○、漏れ光による色づきが見られた場合を×を評価した。結果を下記表4に示す。
【表4】

【0128】
実施例4に示すように、赤色、青色ともにRth>0を示すとき、緑色組成物の顔料比の制御によりRth(G)=+10とすることで、位相差における、R、G、Bの波長連続性を確保し、斜め方向の視認性が良好な液晶表示装置を得ることができた。
【0129】
また、実施例5に示すように、赤色がRth(R)<0、青色がRth(B)<0を示すとき、緑色組成物の顔料比の制御により、Rth(G)=−11とすることで、Rth(R)>Rth(G)>Rth(B)となり、各色での波長連続性を有し、赤色画素、緑色画素および青色画素の厚み方向の位相差のバランスのよい、斜め方向の視認性が良好な液晶表示装置を得ることができた。
【0130】
また、実施例6に示すように、赤色がRth(R)<0、青色がRth(B)>0を示すとき、緑色組成物の顔料比の制御により、Rth(G)=―2とすることで、Rth(R)<Rth(G)<Rth(B)となり、赤色画素、緑色画素および青色画素の厚み方向の位相差のバランスのよい、斜め方向の視認性が良好な液晶表示装置を得ることができた。
【0131】
これに対し、比較例3では、Rth(R)<Rth(G)>Rth(B)の関係となり、比較例2では、Rth(R)>Rth(G)<Rth(B)の関係となり、位相差のバランスは不良であった。その結果、斜め方向の黒表示において色ずれが生じ、視認性が不良となった。さらに、比較例4においては、緑色画素の明度、カラーフィルタにおけるコントラスト、及び液晶表示装置のコントラストも低下した。
【符号の説明】
【0132】
1・・・ガラス基板
2・・・ブラックマトリックス
3R・・・赤色画素
3G・・・緑色画素
3B・・・青色画素
4・・・液晶表示装置
5,6・・・透明基板
7・・・TFTアレイ
8,12・・・透明電極
9,13・・・配向層
10,14・・・偏光板
11・・・カラーフィルタ
15・・・三波長ランプ
16・・・バックライトユニット。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
C.I.Pigment Green 58及びC.I.Pigment Green 36を重量比で99:1〜35:65の割合で含有する顔料と、透明樹脂と、溶剤と、光架橋剤とを含むカラーフィルタ用緑色着色組成物であって、該カラーフィルタ用緑色着色組成物により形成される緑色着色層の下記式により表される厚み方向の位相差値Rthが、−15〜+15nmであることを特徴とするカラーフィルタ用緑色着色組成物。
Rth={(Nx+Ny)/2−Nz}×d
(式中、Nxは着色層のxy平面内のx方向の屈折率を、Nyは着色画素層のxy平面内のy方向の屈折率を、Nzは着色画素層の厚み方向の屈折率を、dは着色層の厚み(nm)をそれぞれ表す。)
【請求項2】
透明基板上に、赤色画素、緑色画素および青色画素を含む複数色の画素を備え、前記緑色画素が、請求項1に記載の緑色着色組成物により形成されることを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項3】
請求項2に記載のカラーフィルタを具備することを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−100028(P2011−100028A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−255357(P2009−255357)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】