線工具を用いて3次元形状加工を行うためのデータを生成する演算装置
【課題】今日、3次元で成型するためにマシニングセンタ(MC)やNCフライス盤等を用いて切削加工を行うことが一般的となっている。しかしながら、切削時における仕上げ面の品質に課題がある。また、切削の際に発生する飛散切屑の処理が非常に煩わしいという課題もある。そこで、素材から1パスで直接形状を創成できる熱ワイヤなどの熱加工について研究が行われている。しかしながら、複雑な3次元形状の加工は困難であるという課題がある。
【解決手段】そこで本発明は、製品の3次元形状データを取得し、取得した3次元形状データを元に同時5軸制御加工機で製品を成型加工するためのNCデータを生成する演算装置を提供する。
【解決手段】そこで本発明は、製品の3次元形状データを取得し、取得した3次元形状データを元に同時5軸制御加工機で製品を成型加工するためのNCデータを生成する演算装置を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線工具が取り付けられた同時5軸制御加工機を用いて線織面加工を行うためのNCデータを生成するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、3次元で成型するためにマシニングセンタ(MC)やNCフライス盤等を用いて切削加工を行うことが一般的となっている。しかしながら、切削時における仕上げ面の品質に課題がある。また、切削の際に発生する飛散切屑の処理が非常に煩わしいという課題もある。
【0003】
そこで、素材から1パスで直接形状を創成できる熱ワイヤなどの熱加工について研究が行われている。これにより、素材から1パスで形状を創成できるため工程の短縮が期待されると共に、切屑がブロック単位で発生するため飛散切粉の処理から解放される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−239978
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そして現在、研究によって例えば特許文献に記載のような加工機などが考案・実用化されている。しかしながら、特許文献等に記載の加工機では、複雑な3次元形状の加工は困難である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明は近年複雑な3次元形状加工に広く用いられている同時5軸制御加工機に備えられた線工具を用いて、製品を成型加工するために、CADなどを用いて描かれた製品の3次元形状データを取得し、取得した3次元形状データを元に同時5軸制御加工機で製品を成型加工するためのNCデータを生成する演算装置を提供する。具体的には、以下のような演算装置である。
【0007】
第1発明では、同時5軸制御加工機に備えられた線工具を用いて、3次元成型加工を行うためのNCデータの生成をおこなう演算装置であって、演算装置は、製品の形状を3次元で表現するための情報である3次元形状データを取得するための形状データ取得部と前記形状データ取得部で取得した3次元形状データで表現される製品の形状を構成する面を取得する面形状取得部と、前記面形状取得部で取得した面を直線の集合体である線織面として近似を行う線織面近似部と、前記線織面近似部で近似された線織面を構成する直線のデータである線群データを取得する線群データ取得部と、線群データ取得部で取得された線群データが描く軌跡を追うように線工具を移動させるためのNCデータを生成するNCデータ生成部と、を有する演算装置を提供する。
【0008】
第2発明では、第1発明を基本として面形状を近似する線織面である近似モデルを保持する近似モデル保持手段と、保持されている近似モデルの中から、前記面形状取得部で取得した面に近似可能な近似モデルがあるかを判断する判断手段と、判断手段での判断結果が近似可能な近似モデルがあるとの判断結果である場合には、その面形状を近似可能とされた近似モデルに置き換えて面の近似を行うモデル近似手段を有する演算装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
以上のような本発明によって、演算装置が取得した3次元形状データを元に同時5軸制御加工機に備えられた線工具を用いて3次元成型加工を行うためのNCデータの生成を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1の演算装置における機能的構成の一例を示す図
【図2】実施例1の演算装置における3次元CADや3次元CGなどで描かれた製品の形状データの一例を表す図
【図3】実施例1の演算装置におけるdxf形式で表された製品の形状データの一例を表す図
【図4】実施例1の演算装置における紙面に印字された図面(投影図)の一例を表す図
【図5(a)(b)】実施例1の演算装置における面形状取得部が3次元形状データで表現される製品外形から面を取得するための一例を説明するための図(a)(b)
【図5(c)】実施例1の演算装置における面形状取得部が3次元形状データで表現される製品外形から面を取得するための一例を説明するための図(c)
【図6】実施例1の演算装置における製品外形から取得した面を直線の集合体である線織面として近似する過程を説明する図
【図7】実施例1の演算装置における母線のサンプリング間隔の一例を示した図
【図8】実施例1の演算装置における線群データ取得部が取得する線群データの一例を示した図
【図9】実施例1の演算装置におけるNCデータ生成部で生成されたNCデータを用いて加工を行う加工機の一例と生成したNCデータの一例を示した図
【図10】実施例1の演算装置におけるハードウェア構成の一例を表す図
【図11】実施例1の演算装置における3次元形状データを取得してから、NCデータの生成が行われるまでの流れの一例を表すフローチャート
【図12】実施例2の演算装置における機能的構成の一例を示す図
【図13】実施例2の演算装置における近似モデル保持手段が保持する近似モデルの一例を示した図
【図14】実施例2の演算装置における近似モデル保持手段が保持する近似モデルの中から、面形状取得部で取得した面に近似可能な近似モデルがあるかを判断して、近似を行うその一例を説明するための図
【図15】実施例2の演算装置における近似モデル保持手段が保持する近似モデルの中から、面形状取得部で取得した面に近似可能な近似モデルがあるかを判断して、近似を行うその一例を説明するための図
【図16】実施例2の演算装置におけるハードウェア構成の一例を表す図
【図17】実施例2の演算装置における3次元形状データを取得してから、NCデータの生成が行われるまでの流れの一例を表すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図を用いて本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明はこれらの実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施しうる。
【0012】
なお、実施例1は主に請求項1を、実施例2は主に請求項2について説明する。
【0013】
≪実施例1≫
【0014】
<概要>
【0015】
本実施例の演算装置は、取得した製品の3次元形状データをもとに製品が備える各面に対して線織面近似を行うことで得られる線群データに基づいて同時5軸制御加工機に備えられた線工具を用いて3次元成型加工を行うためのNCデータの生成を行う演算装置である。
【0016】
<機能的構成>
【0017】
以下に記載する本発明の機能ブロックは、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの両方として実現され得る。具体的には、コンピュータを利用するものであれば、CPUや主メモリ、バスあるいは二次記憶装置(ハードディスクや不揮発性メモリ)、それらのハードウェアを制御するためのドライバプログラムやその他アプリケーションプログラムなどがあげられる。
【0018】
またこれらのハードウェアやソフトウェアは、主メモリ上に展開したプログラムをCPUで演算処理したり、メモリやハードディスク上に保持されているデータや、インターフェースを介して入力されたデータなどを加工、蓄積、出力処理したり、あるいは各ハードウェア構成部の制御を行ったりするために利用される。また、この発明は装置として実現できるのみでなく、方法としても実現可能である。また、このような発明の一部をソフトウェアとして構成することができる。さらに、そのようなソフトウェアをコンピュータに実行させるために用いるソフトウェア製品、及び同製品を固定した記録媒体も、当然この発明の技術的な範囲に含まれる。(本明細書の全体を通じて同様である)
【0019】
図1は、本実施例の演算装置における機能的構成の一例を示す図である。本実施例の「演算装置」(0101)は、「形状データ取得部」(0102)と、「面形状取得部」(0103)と、「線織面近似部」(0104)と、「線群データ取得部」(0105)と、「NCデータ生成部」(0106)と、を有している。
【0020】
「形状データ取得部」(0102)は、製品の形状を3次元で表現するための情報である3次元形状データを取得する機能を有する。具体的には、同時5軸制御加工機によって成型加工をさせる製品の3次元形状データを取得する。
【0021】
ここで、3次元形状データとは、3次元CADや3次元CGなどで描かれた図2に示すような製品の形状データである。具体的には、.dxf形式や.iges形式などのフォーマットで記録された図3に示すような製品の形状データなどである。なお、ここでは.dxf形式、.iges形式の例を取り上げたが実際にはそれだけには限らない。製品の形状を再現することが可能なデータであればいずれの形式でもよい。
【0022】
また、3次元形状データの取得方法は、ネットワークからファイルを取得する構成であってもよいし、フラッシュメモリなどに記録された3次元形状データを取得する構成であってもよい。さらには、例えば図4に示すような紙面に実際に印字された図面(投影図)などをスキャナ等で読込み、本実施例の演算装置内で3次元形状データを生成する構成であってもよい。この場合には、本実施形態の演算装置は、図面を取得する「図面取得部」及び、取得した図面から3次元形状データを生成する「図面変換部」をさらに備える構成であることが好ましい。
【0023】
「面形状取得部」(0103)は、形状データ取得部で取得した3次元形状データで表現される製品の形状を構成する面を取得する機能を有する。具体的には、前記「形状データ取得部」(0102)で取得された3次元形状データで表現される製品外形が構成する面及びその形状を取得する。
【0024】
図5は、実際に本実施例において面形状取得部が3次元形状データで表現される製品外形から面を取得するための一例を説明するための図である。図5(a)は、3次元形状モデルの一例を示している。また、図5(b)は、図5(a)における、3次元空間(X,Y,Z)における各頂点(Xn,Yn,Zn)をポイントしたものである。また、図5(c)は、図5(b)でポイントした端点を結ぶことで得られる線織面で構成される製品の外形である。
【0025】
まず、図5(a)に示すような3次元形状モデルを「形状データ取得部」が取得したとする。形状データ取得部で3次元形状モデルを取得すると、「面形状取得部」は、図5(b)に示すように取得した3次元形状モデルの各頂点を取得する。ここで、取得した3次元形状データに曲面が含まれている場合には、必要に応じてポリゴン、ワイヤフレームなどを用いて曲面を平面に近似する処理を加えた後に頂点を取得する。各頂点を取得すると、図5(c)に示すように各頂点を結ぶ。そして、各頂点を結ぶことで得られる各面を取得するという具合である。
【0026】
なお、本実施例の「面形状取得部」では、上記で説明したように、取得した3次元形状モデルの各頂点を取得したうえでこれを結ぶことで得られる面を取得する構成としたが、実際にはそれだけに限定されない。取得した3次元形状モデルから面を特定することができるのであればどの方法を用いてもよい。
【0027】
「線織面近似部」(0104)は、面形状取得部で取得した面を直線の集合体である線織面として近似を行う機能を有する。具体的には、面形状取得部で取得した面を直線の運動によって描かれる曲面である線織面に近似を行う。
【0028】
図6は、実際に製品外形から取得した面を直線の集合体である線織面として近似する過程を説明する図である。図6(a)は、製品外形の一例を示しており、図6(b)は、図6(a)に示す製品外形から面形状取得部によって取得された面の一つ(四角形ABCD)を示している。図6(c)は、図6(b)に示す面(四角形ABCD)における母線を任意のサンプリング間隔で破線を用いて示したものである。
【0029】
このように、本実施例における線織面近似部は、製品外形(図6(a))から前記面形状取得部で取得された面(図6(b)四角形ABCD)を、直線(母線)の集合体である線織面として(図6(c))解析を行うという具合である。
【0030】
ここで、本実施例では、図6(c)に示すような母線のサンプリング間隔を採ったが実際にはその間隔だけに限定されない。具体的には、図7(a)に示すように母線のサンプリング間隔を短くする構成であってもよい。これにより、取得した面をより精密に近似することが可能となる。さらには、図7(b)に示すように母線のサンプリング間隔を長くする構成であってもよい。この場合には、近似の度合いが下がることとなるが、データ量を軽減することが可能となる。
【0031】
また、本実施例では長辺(図7AB及びDC)に対して垂直に母線が採とられたが実際にはこれだけに限定されない。具体的には、長辺(図7AB及びDC)に対して平行となるように母線がとられる場合も考えられるし、さらには各辺に対して斜め方向に母線がとられる場合も考えられる。
【0032】
「線群データ取得部」(0105)は、線織面近似部で近似された線織面を構成する直線のデータである線群データを取得する機能を有する。具体的には、前記「線織面近似部」(0104)で行われた線織面の近似の結果をもとに線織面を構成する各母線の情報を線群データとして取得する。
【0033】
ここで、線群データとは、線織面を構成する線データ(母線の情報)の集合体である。線群データを構成する線データ(母線の情報)の数は限定されない。したがって、線データの数は、ハードウェア等の制約の中で可能な限り多くすることが好ましい。なぜなら、本実施形態の演算装置では加工成型後の形状を線データの集合体(線群データ)として近似し、同時5軸加工機に備えられた線工具を線群データに沿わせるようにNCデータの生成を行う。したがって、線データの数が多いほど製品の形状をより実際の形状に近い形で近似することが可能となり、これらのデータに従って線工具を沿わせるようにNCデータを生成することで、より精密な形状の製品に成型加工を行うことができるためである。
【0034】
図8は、本実施形態における線群データ取得部が取得する線群データの一例を示したものである。本実施形態の線群データは図8(a)に示すように、2点の座標情報で構成されている。この2点の座標情報は、図8(b)に示すように空間内における母線の両端の座標A(x,y,z)、B(x,y,z)の情報であり、この2点を結ぶことで一つの線データ(母線)が表現される。
【0035】
ここで、本実施形態の線群データは、線データ(母線)の両端の座標の集合体で表現する構成としたが、実際にはそれだけに限定されない。例えば、片側1点(A若しくはB)の座標情報と、片側1点の座標からのベクトル等で表現する構成であってもよい。さらには、母線を表現することが可能であるならばその表現方法に限定されない。
【0036】
「NCデータ生成部」(0106)は、線群データ取得部で取得された線群データが描く軌跡を追うように線工具を移動させるためのNCデータを生成する機能を有する。具体的には、前記「線群データ取得部」(0105)において取得された線群データに基づいて、成型加工時に同時5軸制御加工機に備えられた線工具が線群データに沿うように移動するためのNCデータを生成する。
【0037】
図9は、本実施例におけるNCデータ生成部が生成したNCデータ(図9(b))とデータに基づいて実際に成型加工を行う同時5軸制御加工機(図9(a))の一例を示したものである。図9(a)に示すように、同時5軸制御加工機はX軸、Y軸、Z軸、A(X軸方向の回転)、C(Z軸方向の回転)の制御が可能な加工機である。図9(b)は、図9(a)に示す同時5軸制御加工機の線工具を取得した線群データを元に線群データが描く軌跡を追うように制御するためのNCデータである。本図のデータは、線工具の移動度合いを同時5軸制御加工機が制御可能な上記に記載の5軸(X,Y,Z,A,C)のデータで表現されている。これらのデータは、各線データ(母線)を回転テンソル等の手法を用いて変換することで導き出すことが可能である。
【0038】
<ハードウェア的構成>
【0039】
図10は、本実施例の演算装置におけるハードウェア構成の一例を表す概略図である。これらの図を利用して、本実施例の演算装置の処理を説明する。
【0040】
図10に示すように、本実施例の演算装置は、各種演算処理や制御を行う「CPU」(1001)と、「主メモリ」(1002)とを備えている。また、製品の3次元形状、NCデータなどを格納する「記憶装置」(1003)や、製品の3次元形状を取得するための「I/O」(1004)なども備えている。そして、これらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。
【0041】
ここで、「演算装置」は、「I/O」(1004)を介して、製品の3次元形状データを取得したとする。3次元形状データを取得すると、「CPU」(1001)は「記憶装置」(1003)に取得した3次元形状データを記録させるとともに、「主メモリ」(1002)のワーク領域に展開されている「面形状取得プログラム」(1005)を呼び出す。呼び出された「面形状取得プログラム」(1005)は、取得した製品の3次元形状データから製品の形状を構成する面の取得を行う。取得が行われると、「主メモリ」(1002)のワーク領域に展開されている「線織面近似プログラム」(1006)に取得した各面の情報を引き渡す。
【0042】
呼び出された「線織面近似プログラム」(1006)は、「面形状取得プログラム」(1005)で取得した製品の形状を構成する各面を直線の集合体である線織面に近似を行う。近似が行われると、「線織面近似プログラム」(1005)は、「主メモリ」(1002)のワーク領域に展開されている「線群データ取得プログラム」(1007)を呼び出し、近似した線織面のデータを引き渡す。
【0043】
呼び出された「線群データ取得プログラム」(1007)は、引き渡された線織面を構成する直線のデータを取得する。データの取得が行われると、「主メモリ」(1002)のワーク領域に展開されている「NCデータ生成プログラム」(1008)の呼び出しを行い、取得した線群データ(直線データの集合体)の引き渡しを行う。
【0044】
「NCデータ生成プログラム」(1008)が呼び出されると、これに合わせて引き渡された線群データを元に、同時5軸制御加工機に備えられた線工具が線群データに基づいて描かれる軌跡を追うようなNCデータの生成を行う。
【0045】
<処理の流れ>
【0046】
図11は、本実施例の演算装置における3次元形状データを取得してから、NCデータの生成が行われるまでの流れの一例を表すフローチャートである。なお、以下に占めるステップは、媒体に記録され、計算機を制御するためのプログラムを構成する処理ステップであってもかまわない。
【0047】
ここで、演算装置は製品の形状を3次元で表現するための情報である3次元形状データを取得したとする(S1101)。3次元形状データを取得すると、3次元形状データで表現される製品の形状を構成する面の取得を行う(S1102)。面の取得が行われると、取得された各面を直線の集合体である線織面に近似を行う(S1103)。線織面に近似が行われると、近似された線織面を構成する直線のデータである線群データを取得する(S1104)。線群データを取得すると、線群データが描く軌跡を追うように線工具を移動させるためのNCデータを生成する(S1105)。
【0048】
<効果の簡単な説明>
【0049】
本実施例の演算装置によって、CADなどを用いて生成された製品の3次元形状モデルから、同時5軸制御加工機に備えられた線工具で製品を成型加工するためのNCデータを生成することが可能となる。
【0050】
≪実施例2≫
【0051】
<概要>
【0052】
本実施例の演算装置は、実施例1の演算装置を基本として線織面を近似する際にあらかじめ準備された近似モデルと比較し、これが近似する場合には近似モデルに置き換えて面の近似を行うことを特徴とする演算装置である。なお、ここでは本実施例について特徴的な個所についてのみ説明する。
【0053】
<機能的構成>
【0054】
図12は、本実施例の演算装置における機能的構成の一例を表す図である。本実施例の演算装置は、実施例1に記載の演算装置を基本として、「線織面近似部」(1204)が、「近似モデル保持手段」(1207)と、「判断手段」(1208)と、「モデル近似手段」(1209)を備えることを特徴としている。
【0055】
「近似モデル保持手段」(1207)は、面形状を近似する線織面である近似モデルを保持する。具体的には、後に詳述する「判断手段」において面形状取得部で取得した面に近似可能な近似モデルがあるかを判断するための判断基準となる近似モデルを保持する。
【0056】
ここで近似モデルとは、あらかじめ直線の集合体である線織面としてすでに近似が行われ、線織面を構成する線群データが求められている任意の形状の面若しくは立体である。例えば、図13に示すように、1つの面で構成される近似モデル(a)や、複数の面で構成される近似モデル(b)、複数の面で構成される立体(c)、曲面(d)などという具合に、線織面にすでに近似されており、線群データはあらかじめ求められているモデルである。
【0057】
「判断手段」(1208)は、保持されている近似モデルの中から、面形状取得部で取得した面に近似可能な近似モデルがあるかを判断する機能を有する。具体的には、前記「近似モデル保持手段」が保持する近似モデルの中から、面形状取得部で取得した面に近似可能な近似モデルがあるかを判断する。
【0058】
「モデル近似手段」(1209)は、あらかじめ準備された近似モデルと、前記面形状取得部で取得した面に近似可能な近似モデルを取得し、取得された場合には近似モデルに置き換えて面の近似を行う機能を有する。具体的には、あらかじめ準備された近似モデルから面形状取得部において取得された各面(若しくは複数の面で構成された形状)に近似している近似モデルを取得し、該当があった場合にはこれに置き換える。
【0059】
本実施例では、あらかじめ演算装置の「近似モデル保持手段」(1207)に記憶されている近似モデルから、取得された面に近似可能な近似モデルがあるかを「判断手段」(1208)が判断し、「モデル近似手段」(1209)は、判断結果が近似可能な近似モデルがあるとの判断結果の場合には、判断対象となった取得された面に近似モデル適用して処理する。これにより、線織面に近似する処理及び母線を求めるための処理の負担を減らすことが可能となり、つまり処理時間を短縮することが可能となる。
【0060】
図14、15は、実際に本実施例の演算装置の近似モデル保持手段が保持する近似モデルの中から、面形状取得部で取得した面に近似可能な近似モデルがあるかを判断して、近似を行うその一例を説明するための図である。図14は、面形状取得部で取得された面の一例を示したものである。本図に示すように本例で取得された面で構成する形状は六角柱の形状をしている(上面(1408)、下面(1407)、側面(1401〜1406))。また、図15は、近似モデル保持手段が保持する近似モデルの一例を示したものである。
【0061】
まず、図15に示すような四角形や、三角形などの近似モデルが近似モデル保持手段に記憶されているものと仮定し、また本実施例の面形状取得部で取得された面が図14に示すような面(六角柱の表面に該当)であったとする。ここで、面形状取得部において図14に示すような面を取得すると、判断手段は面形状取得部で取得された面から任意の面を選択する(ここでは、1401に示す四角形が選択されたとする)。そして、判断手段は近似モデル(図15)の中から、選択した面(1401)に近似可能な近似モデルがあるかを判断する(本例では、図15(a)に示す四角形と近似可能であることから、図15(a)が近似可能であると判断される)。近似可能な近似モデルあると判断されると、モデル近似手段は、選択された面に近似可能であると判断された近似モデルを適用する(置き換える)。このように、面形状取得部で取得された面すべてに対して近似モデル有無を判断し、近似モデルがある場合には近似モデルの適用を行う(置き換えを行う)(本例では、図14に示す六角柱の側面部のすべて(1401〜1406)が図15(a)に示す近似モデルに置き換えられる処理が行われることになる)。なお、近似可能な近似モデルがないとの判断結果であった場合(1407、1408についての判断の場合)には、面形状取得部で取得した面に対して近似可能な近似モデルがないとして近似モデルを適用しての近似は行わず、判断が行われていない他の面に対して近似可能な近似モデルがあるかの判断を行う。
【0062】
ここで、本例では取得された各面ごとに近似モデルを取得する構成としたが実際にはそれだけに限定されない。例えば、演算装置が記憶している近似モデルが複数の面で構成されるモデル(例えば、図13(b)(c)など)である場合には、近似モデルが構成する複数の面を一つのグループとして、面形状取得部で取得された各面から近似モデルを取得するなどの構成が考えられる。
【0063】
また、面が複雑な形状である場合には簡単な図形に分割したうえで、保持されている近似モデルから最適な近似可能な近似モデルがあるかを判断する構成であってもよい。具体的には、面形状取得部で取得された面として六角形の面が取得された場合に、面を三角形と四角形で構成する面に分解したうえで各分解された面に近似可能な近似モデルがあるかを判断する構成であってもよい。この場合には、取得された各面を簡単な形状に分割する「面形状簡単分割部」を備える構成が考えられる。さらには、別の方法として近似モデルの形状のみをあらかじめ取得しておき、取得された形状の組み合わせによって面形状の取得を行う構成であってもよい。この場合には、「面形状取得部」が、近似モデルの形状を取得する「近似モデル形状取得手段」と、「近似モデル形状取得手段」で取得した形状に基づいて面の形状を取得する「モデル形状利用手段」を備える構成が考えられる。
【0064】
<ハードウェア的構成>
【0065】
図16は、本実施例の演算装置におけるハードウェア構成の一例を表す概略図である。これらの図を利用して、本実施例の演算装置の処理を説明する。
【0066】
本図に示すように、本実施例の演算装置は、各種演算処理や制御を行う「CPU」(1601)と、「主メモリ」(1602)とを備えている。また、製品の3次元形状、NCデータ、近似モデルなどを格納する「記憶装置」(1603)や、製品の3次元形状を取得するための「I/O」(1604)なども備えている。そして、これらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。
【0067】
ここで、「演算装置」は、「I/O」(1604)を介して、製品の3次元形状データを取得したとする。3次元形状データを取得すると、「CPU」(1601)は「記憶装置」(1603)に取得した3次元形状データを記録させるとともに、「主メモリ」(1602)のワーク領域に展開されている「面形状取得プログラム」(1605)を呼び出す。呼び出された「面形状取得プログラム」(1605)は、取得した製品の3次元形状データから製品の形状を構成する面の取得を行う。取得が行われると、「主メモリ」(1602)のワーク領域に展開されている「線織面近似プログラム」(1606)に取得した各面の情報を引き渡す。
【0068】
呼び出された「線織面近似プログラム」(1606)は、そのサブプログラムである「判断プログラム」(1609)を呼び出す。呼び出された「判断プログラム」(1609)は、引き渡された各面の情報を元に「記憶装置」(1603)に記憶されている近似モデルから近似可能な近似モデルがあるか判断を行う。近似可能な近似モデルがあるとの判断結果である場合には、「線織面近似プログラム」(1606)から、引き渡された情報とともに、近似可能とされた近似モデルの情報を「モデル近似プログラム」(1610)に引き渡す。「モデル近似プログラム」(1610)は、引き渡された情報に従って、判断対象となった面を近似可能とされた近似モデルに置き換える。このように、各面に対して近似可能な近似モデルがあるかの判断を行う。近似可能な近似モデルがないとの判断結果であった場合には近似モデルに置き換えを行うことなく直線の集合体である線織面に近似を行う。そして、各面に対して近似モデル有無の判断が完了すると、「線織面近似プログラム」(1606)は、「主メモリ」(1602)のワーク領域に展開されている「線群データ取得プログラム」(1607)を呼び出し、近似可能な近似モデルがあるとの判断結果であった面に対しては、「判断プログラム」(1609)で取得された近似モデルの線織面のデータを引き渡し、また近似可能な近似モデルがないとの判断結果であった面に対しては、「線織面近似プログラム」(1606)で近似した線織面のデータを引き渡す。
【0069】
呼び出された「線群データ取得プログラム」(1607)は、引き渡された線織面を構成する直線のデータを取得する。データの取得が行われると、「主メモリ」(1602)のワーク領域に展開されている「NCデータ生成プログラム」(1608)の呼び出しを行い、取得した線群データ(直線データの集合体)の引き渡しを行う。
【0070】
「NCデータ生成プログラム」(1608)が呼び出されると、呼びだすに合わせて引き渡された線群データを元に、同時5軸制御加工機に備えられた線工具が線群データに基づいて描かれる軌跡を追うようなNCデータの生成を行う。
【0071】
<処理の流れ>
【0072】
図17は、本実施例の演算装置における3次元形状データを取得してから、NCデータの生成が行われるまでの流れの一例を表すフローチャートである。なお、以下に占めるステップは、媒体に記録され、計算機を制御するためのプログラムを構成する処理ステップであってもかまわない。
【0073】
ここで、演算装置は製品の形状を3次元で表現するための情報である3次元形状データを取得したとする(S1701)。3次元形状データを取得すると、3次元形状データで表現される製品の形状を構成する面の取得を行う(S1702)。面の取得が行われると、取得された面から近似可能な近似モデルがあるか判断が行われていない面を取得する(S1703)。近似モデルの中から取得した判断が行われていない面に近似可能な近似モデルがあるかの判断を行う(S1704)。近似可能な近似モデルがあるとの判断結果である場合には、面形状を近似可能とされた近似モデルに置き換える(S1705)。近似可能な近似モデルがないとの判断結果である場合には、直線の集合体である線織面に近似を行う(S1706)。次に、判断が行われていない面があれば、近似モデルの有無の判断を行い、ない場合には次のステップに進む(S1707)。近似可能な近似モデルがあるとの判断結果であった面に対しては、近似モデルに設定されている線群データを取得し、近似可能な近似モデルがないとの判断結果であった面に対しては近似された線織面から線群データの取得を行う(S1708)。線群データを取得すると、線群データが描く軌跡を追うように線工具を移動させるためのNCデータを生成する(S1709)。
【0074】
<効果の簡単な説明>
【0075】
本実施例の演算装置によって、線織面近似を行うにあたり、線群データ等があらかじめ定められた近似モデルを用いて取得した面の近似を行うことで演算装置の処理負担を減らすことが可能になると共に処理時間の短縮が可能となる。
【符号の説明】
【0076】
0101 演算装置
0102 形状データ取得部
0103 面形状取得部
0104 線織面近似部
0105 線群データ取得部
0106 NCデータ生成部
1207 近似モデル保持手段
1208 判断手段
1209 モデル近似手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、線工具が取り付けられた同時5軸制御加工機を用いて線織面加工を行うためのNCデータを生成するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、3次元で成型するためにマシニングセンタ(MC)やNCフライス盤等を用いて切削加工を行うことが一般的となっている。しかしながら、切削時における仕上げ面の品質に課題がある。また、切削の際に発生する飛散切屑の処理が非常に煩わしいという課題もある。
【0003】
そこで、素材から1パスで直接形状を創成できる熱ワイヤなどの熱加工について研究が行われている。これにより、素材から1パスで形状を創成できるため工程の短縮が期待されると共に、切屑がブロック単位で発生するため飛散切粉の処理から解放される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−239978
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そして現在、研究によって例えば特許文献に記載のような加工機などが考案・実用化されている。しかしながら、特許文献等に記載の加工機では、複雑な3次元形状の加工は困難である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明は近年複雑な3次元形状加工に広く用いられている同時5軸制御加工機に備えられた線工具を用いて、製品を成型加工するために、CADなどを用いて描かれた製品の3次元形状データを取得し、取得した3次元形状データを元に同時5軸制御加工機で製品を成型加工するためのNCデータを生成する演算装置を提供する。具体的には、以下のような演算装置である。
【0007】
第1発明では、同時5軸制御加工機に備えられた線工具を用いて、3次元成型加工を行うためのNCデータの生成をおこなう演算装置であって、演算装置は、製品の形状を3次元で表現するための情報である3次元形状データを取得するための形状データ取得部と前記形状データ取得部で取得した3次元形状データで表現される製品の形状を構成する面を取得する面形状取得部と、前記面形状取得部で取得した面を直線の集合体である線織面として近似を行う線織面近似部と、前記線織面近似部で近似された線織面を構成する直線のデータである線群データを取得する線群データ取得部と、線群データ取得部で取得された線群データが描く軌跡を追うように線工具を移動させるためのNCデータを生成するNCデータ生成部と、を有する演算装置を提供する。
【0008】
第2発明では、第1発明を基本として面形状を近似する線織面である近似モデルを保持する近似モデル保持手段と、保持されている近似モデルの中から、前記面形状取得部で取得した面に近似可能な近似モデルがあるかを判断する判断手段と、判断手段での判断結果が近似可能な近似モデルがあるとの判断結果である場合には、その面形状を近似可能とされた近似モデルに置き換えて面の近似を行うモデル近似手段を有する演算装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
以上のような本発明によって、演算装置が取得した3次元形状データを元に同時5軸制御加工機に備えられた線工具を用いて3次元成型加工を行うためのNCデータの生成を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例1の演算装置における機能的構成の一例を示す図
【図2】実施例1の演算装置における3次元CADや3次元CGなどで描かれた製品の形状データの一例を表す図
【図3】実施例1の演算装置におけるdxf形式で表された製品の形状データの一例を表す図
【図4】実施例1の演算装置における紙面に印字された図面(投影図)の一例を表す図
【図5(a)(b)】実施例1の演算装置における面形状取得部が3次元形状データで表現される製品外形から面を取得するための一例を説明するための図(a)(b)
【図5(c)】実施例1の演算装置における面形状取得部が3次元形状データで表現される製品外形から面を取得するための一例を説明するための図(c)
【図6】実施例1の演算装置における製品外形から取得した面を直線の集合体である線織面として近似する過程を説明する図
【図7】実施例1の演算装置における母線のサンプリング間隔の一例を示した図
【図8】実施例1の演算装置における線群データ取得部が取得する線群データの一例を示した図
【図9】実施例1の演算装置におけるNCデータ生成部で生成されたNCデータを用いて加工を行う加工機の一例と生成したNCデータの一例を示した図
【図10】実施例1の演算装置におけるハードウェア構成の一例を表す図
【図11】実施例1の演算装置における3次元形状データを取得してから、NCデータの生成が行われるまでの流れの一例を表すフローチャート
【図12】実施例2の演算装置における機能的構成の一例を示す図
【図13】実施例2の演算装置における近似モデル保持手段が保持する近似モデルの一例を示した図
【図14】実施例2の演算装置における近似モデル保持手段が保持する近似モデルの中から、面形状取得部で取得した面に近似可能な近似モデルがあるかを判断して、近似を行うその一例を説明するための図
【図15】実施例2の演算装置における近似モデル保持手段が保持する近似モデルの中から、面形状取得部で取得した面に近似可能な近似モデルがあるかを判断して、近似を行うその一例を説明するための図
【図16】実施例2の演算装置におけるハードウェア構成の一例を表す図
【図17】実施例2の演算装置における3次元形状データを取得してから、NCデータの生成が行われるまでの流れの一例を表すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図を用いて本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明はこれらの実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施しうる。
【0012】
なお、実施例1は主に請求項1を、実施例2は主に請求項2について説明する。
【0013】
≪実施例1≫
【0014】
<概要>
【0015】
本実施例の演算装置は、取得した製品の3次元形状データをもとに製品が備える各面に対して線織面近似を行うことで得られる線群データに基づいて同時5軸制御加工機に備えられた線工具を用いて3次元成型加工を行うためのNCデータの生成を行う演算装置である。
【0016】
<機能的構成>
【0017】
以下に記載する本発明の機能ブロックは、ハードウェア、ソフトウェア、又はハードウェア及びソフトウェアの両方として実現され得る。具体的には、コンピュータを利用するものであれば、CPUや主メモリ、バスあるいは二次記憶装置(ハードディスクや不揮発性メモリ)、それらのハードウェアを制御するためのドライバプログラムやその他アプリケーションプログラムなどがあげられる。
【0018】
またこれらのハードウェアやソフトウェアは、主メモリ上に展開したプログラムをCPUで演算処理したり、メモリやハードディスク上に保持されているデータや、インターフェースを介して入力されたデータなどを加工、蓄積、出力処理したり、あるいは各ハードウェア構成部の制御を行ったりするために利用される。また、この発明は装置として実現できるのみでなく、方法としても実現可能である。また、このような発明の一部をソフトウェアとして構成することができる。さらに、そのようなソフトウェアをコンピュータに実行させるために用いるソフトウェア製品、及び同製品を固定した記録媒体も、当然この発明の技術的な範囲に含まれる。(本明細書の全体を通じて同様である)
【0019】
図1は、本実施例の演算装置における機能的構成の一例を示す図である。本実施例の「演算装置」(0101)は、「形状データ取得部」(0102)と、「面形状取得部」(0103)と、「線織面近似部」(0104)と、「線群データ取得部」(0105)と、「NCデータ生成部」(0106)と、を有している。
【0020】
「形状データ取得部」(0102)は、製品の形状を3次元で表現するための情報である3次元形状データを取得する機能を有する。具体的には、同時5軸制御加工機によって成型加工をさせる製品の3次元形状データを取得する。
【0021】
ここで、3次元形状データとは、3次元CADや3次元CGなどで描かれた図2に示すような製品の形状データである。具体的には、.dxf形式や.iges形式などのフォーマットで記録された図3に示すような製品の形状データなどである。なお、ここでは.dxf形式、.iges形式の例を取り上げたが実際にはそれだけには限らない。製品の形状を再現することが可能なデータであればいずれの形式でもよい。
【0022】
また、3次元形状データの取得方法は、ネットワークからファイルを取得する構成であってもよいし、フラッシュメモリなどに記録された3次元形状データを取得する構成であってもよい。さらには、例えば図4に示すような紙面に実際に印字された図面(投影図)などをスキャナ等で読込み、本実施例の演算装置内で3次元形状データを生成する構成であってもよい。この場合には、本実施形態の演算装置は、図面を取得する「図面取得部」及び、取得した図面から3次元形状データを生成する「図面変換部」をさらに備える構成であることが好ましい。
【0023】
「面形状取得部」(0103)は、形状データ取得部で取得した3次元形状データで表現される製品の形状を構成する面を取得する機能を有する。具体的には、前記「形状データ取得部」(0102)で取得された3次元形状データで表現される製品外形が構成する面及びその形状を取得する。
【0024】
図5は、実際に本実施例において面形状取得部が3次元形状データで表現される製品外形から面を取得するための一例を説明するための図である。図5(a)は、3次元形状モデルの一例を示している。また、図5(b)は、図5(a)における、3次元空間(X,Y,Z)における各頂点(Xn,Yn,Zn)をポイントしたものである。また、図5(c)は、図5(b)でポイントした端点を結ぶことで得られる線織面で構成される製品の外形である。
【0025】
まず、図5(a)に示すような3次元形状モデルを「形状データ取得部」が取得したとする。形状データ取得部で3次元形状モデルを取得すると、「面形状取得部」は、図5(b)に示すように取得した3次元形状モデルの各頂点を取得する。ここで、取得した3次元形状データに曲面が含まれている場合には、必要に応じてポリゴン、ワイヤフレームなどを用いて曲面を平面に近似する処理を加えた後に頂点を取得する。各頂点を取得すると、図5(c)に示すように各頂点を結ぶ。そして、各頂点を結ぶことで得られる各面を取得するという具合である。
【0026】
なお、本実施例の「面形状取得部」では、上記で説明したように、取得した3次元形状モデルの各頂点を取得したうえでこれを結ぶことで得られる面を取得する構成としたが、実際にはそれだけに限定されない。取得した3次元形状モデルから面を特定することができるのであればどの方法を用いてもよい。
【0027】
「線織面近似部」(0104)は、面形状取得部で取得した面を直線の集合体である線織面として近似を行う機能を有する。具体的には、面形状取得部で取得した面を直線の運動によって描かれる曲面である線織面に近似を行う。
【0028】
図6は、実際に製品外形から取得した面を直線の集合体である線織面として近似する過程を説明する図である。図6(a)は、製品外形の一例を示しており、図6(b)は、図6(a)に示す製品外形から面形状取得部によって取得された面の一つ(四角形ABCD)を示している。図6(c)は、図6(b)に示す面(四角形ABCD)における母線を任意のサンプリング間隔で破線を用いて示したものである。
【0029】
このように、本実施例における線織面近似部は、製品外形(図6(a))から前記面形状取得部で取得された面(図6(b)四角形ABCD)を、直線(母線)の集合体である線織面として(図6(c))解析を行うという具合である。
【0030】
ここで、本実施例では、図6(c)に示すような母線のサンプリング間隔を採ったが実際にはその間隔だけに限定されない。具体的には、図7(a)に示すように母線のサンプリング間隔を短くする構成であってもよい。これにより、取得した面をより精密に近似することが可能となる。さらには、図7(b)に示すように母線のサンプリング間隔を長くする構成であってもよい。この場合には、近似の度合いが下がることとなるが、データ量を軽減することが可能となる。
【0031】
また、本実施例では長辺(図7AB及びDC)に対して垂直に母線が採とられたが実際にはこれだけに限定されない。具体的には、長辺(図7AB及びDC)に対して平行となるように母線がとられる場合も考えられるし、さらには各辺に対して斜め方向に母線がとられる場合も考えられる。
【0032】
「線群データ取得部」(0105)は、線織面近似部で近似された線織面を構成する直線のデータである線群データを取得する機能を有する。具体的には、前記「線織面近似部」(0104)で行われた線織面の近似の結果をもとに線織面を構成する各母線の情報を線群データとして取得する。
【0033】
ここで、線群データとは、線織面を構成する線データ(母線の情報)の集合体である。線群データを構成する線データ(母線の情報)の数は限定されない。したがって、線データの数は、ハードウェア等の制約の中で可能な限り多くすることが好ましい。なぜなら、本実施形態の演算装置では加工成型後の形状を線データの集合体(線群データ)として近似し、同時5軸加工機に備えられた線工具を線群データに沿わせるようにNCデータの生成を行う。したがって、線データの数が多いほど製品の形状をより実際の形状に近い形で近似することが可能となり、これらのデータに従って線工具を沿わせるようにNCデータを生成することで、より精密な形状の製品に成型加工を行うことができるためである。
【0034】
図8は、本実施形態における線群データ取得部が取得する線群データの一例を示したものである。本実施形態の線群データは図8(a)に示すように、2点の座標情報で構成されている。この2点の座標情報は、図8(b)に示すように空間内における母線の両端の座標A(x,y,z)、B(x,y,z)の情報であり、この2点を結ぶことで一つの線データ(母線)が表現される。
【0035】
ここで、本実施形態の線群データは、線データ(母線)の両端の座標の集合体で表現する構成としたが、実際にはそれだけに限定されない。例えば、片側1点(A若しくはB)の座標情報と、片側1点の座標からのベクトル等で表現する構成であってもよい。さらには、母線を表現することが可能であるならばその表現方法に限定されない。
【0036】
「NCデータ生成部」(0106)は、線群データ取得部で取得された線群データが描く軌跡を追うように線工具を移動させるためのNCデータを生成する機能を有する。具体的には、前記「線群データ取得部」(0105)において取得された線群データに基づいて、成型加工時に同時5軸制御加工機に備えられた線工具が線群データに沿うように移動するためのNCデータを生成する。
【0037】
図9は、本実施例におけるNCデータ生成部が生成したNCデータ(図9(b))とデータに基づいて実際に成型加工を行う同時5軸制御加工機(図9(a))の一例を示したものである。図9(a)に示すように、同時5軸制御加工機はX軸、Y軸、Z軸、A(X軸方向の回転)、C(Z軸方向の回転)の制御が可能な加工機である。図9(b)は、図9(a)に示す同時5軸制御加工機の線工具を取得した線群データを元に線群データが描く軌跡を追うように制御するためのNCデータである。本図のデータは、線工具の移動度合いを同時5軸制御加工機が制御可能な上記に記載の5軸(X,Y,Z,A,C)のデータで表現されている。これらのデータは、各線データ(母線)を回転テンソル等の手法を用いて変換することで導き出すことが可能である。
【0038】
<ハードウェア的構成>
【0039】
図10は、本実施例の演算装置におけるハードウェア構成の一例を表す概略図である。これらの図を利用して、本実施例の演算装置の処理を説明する。
【0040】
図10に示すように、本実施例の演算装置は、各種演算処理や制御を行う「CPU」(1001)と、「主メモリ」(1002)とを備えている。また、製品の3次元形状、NCデータなどを格納する「記憶装置」(1003)や、製品の3次元形状を取得するための「I/O」(1004)なども備えている。そして、これらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。
【0041】
ここで、「演算装置」は、「I/O」(1004)を介して、製品の3次元形状データを取得したとする。3次元形状データを取得すると、「CPU」(1001)は「記憶装置」(1003)に取得した3次元形状データを記録させるとともに、「主メモリ」(1002)のワーク領域に展開されている「面形状取得プログラム」(1005)を呼び出す。呼び出された「面形状取得プログラム」(1005)は、取得した製品の3次元形状データから製品の形状を構成する面の取得を行う。取得が行われると、「主メモリ」(1002)のワーク領域に展開されている「線織面近似プログラム」(1006)に取得した各面の情報を引き渡す。
【0042】
呼び出された「線織面近似プログラム」(1006)は、「面形状取得プログラム」(1005)で取得した製品の形状を構成する各面を直線の集合体である線織面に近似を行う。近似が行われると、「線織面近似プログラム」(1005)は、「主メモリ」(1002)のワーク領域に展開されている「線群データ取得プログラム」(1007)を呼び出し、近似した線織面のデータを引き渡す。
【0043】
呼び出された「線群データ取得プログラム」(1007)は、引き渡された線織面を構成する直線のデータを取得する。データの取得が行われると、「主メモリ」(1002)のワーク領域に展開されている「NCデータ生成プログラム」(1008)の呼び出しを行い、取得した線群データ(直線データの集合体)の引き渡しを行う。
【0044】
「NCデータ生成プログラム」(1008)が呼び出されると、これに合わせて引き渡された線群データを元に、同時5軸制御加工機に備えられた線工具が線群データに基づいて描かれる軌跡を追うようなNCデータの生成を行う。
【0045】
<処理の流れ>
【0046】
図11は、本実施例の演算装置における3次元形状データを取得してから、NCデータの生成が行われるまでの流れの一例を表すフローチャートである。なお、以下に占めるステップは、媒体に記録され、計算機を制御するためのプログラムを構成する処理ステップであってもかまわない。
【0047】
ここで、演算装置は製品の形状を3次元で表現するための情報である3次元形状データを取得したとする(S1101)。3次元形状データを取得すると、3次元形状データで表現される製品の形状を構成する面の取得を行う(S1102)。面の取得が行われると、取得された各面を直線の集合体である線織面に近似を行う(S1103)。線織面に近似が行われると、近似された線織面を構成する直線のデータである線群データを取得する(S1104)。線群データを取得すると、線群データが描く軌跡を追うように線工具を移動させるためのNCデータを生成する(S1105)。
【0048】
<効果の簡単な説明>
【0049】
本実施例の演算装置によって、CADなどを用いて生成された製品の3次元形状モデルから、同時5軸制御加工機に備えられた線工具で製品を成型加工するためのNCデータを生成することが可能となる。
【0050】
≪実施例2≫
【0051】
<概要>
【0052】
本実施例の演算装置は、実施例1の演算装置を基本として線織面を近似する際にあらかじめ準備された近似モデルと比較し、これが近似する場合には近似モデルに置き換えて面の近似を行うことを特徴とする演算装置である。なお、ここでは本実施例について特徴的な個所についてのみ説明する。
【0053】
<機能的構成>
【0054】
図12は、本実施例の演算装置における機能的構成の一例を表す図である。本実施例の演算装置は、実施例1に記載の演算装置を基本として、「線織面近似部」(1204)が、「近似モデル保持手段」(1207)と、「判断手段」(1208)と、「モデル近似手段」(1209)を備えることを特徴としている。
【0055】
「近似モデル保持手段」(1207)は、面形状を近似する線織面である近似モデルを保持する。具体的には、後に詳述する「判断手段」において面形状取得部で取得した面に近似可能な近似モデルがあるかを判断するための判断基準となる近似モデルを保持する。
【0056】
ここで近似モデルとは、あらかじめ直線の集合体である線織面としてすでに近似が行われ、線織面を構成する線群データが求められている任意の形状の面若しくは立体である。例えば、図13に示すように、1つの面で構成される近似モデル(a)や、複数の面で構成される近似モデル(b)、複数の面で構成される立体(c)、曲面(d)などという具合に、線織面にすでに近似されており、線群データはあらかじめ求められているモデルである。
【0057】
「判断手段」(1208)は、保持されている近似モデルの中から、面形状取得部で取得した面に近似可能な近似モデルがあるかを判断する機能を有する。具体的には、前記「近似モデル保持手段」が保持する近似モデルの中から、面形状取得部で取得した面に近似可能な近似モデルがあるかを判断する。
【0058】
「モデル近似手段」(1209)は、あらかじめ準備された近似モデルと、前記面形状取得部で取得した面に近似可能な近似モデルを取得し、取得された場合には近似モデルに置き換えて面の近似を行う機能を有する。具体的には、あらかじめ準備された近似モデルから面形状取得部において取得された各面(若しくは複数の面で構成された形状)に近似している近似モデルを取得し、該当があった場合にはこれに置き換える。
【0059】
本実施例では、あらかじめ演算装置の「近似モデル保持手段」(1207)に記憶されている近似モデルから、取得された面に近似可能な近似モデルがあるかを「判断手段」(1208)が判断し、「モデル近似手段」(1209)は、判断結果が近似可能な近似モデルがあるとの判断結果の場合には、判断対象となった取得された面に近似モデル適用して処理する。これにより、線織面に近似する処理及び母線を求めるための処理の負担を減らすことが可能となり、つまり処理時間を短縮することが可能となる。
【0060】
図14、15は、実際に本実施例の演算装置の近似モデル保持手段が保持する近似モデルの中から、面形状取得部で取得した面に近似可能な近似モデルがあるかを判断して、近似を行うその一例を説明するための図である。図14は、面形状取得部で取得された面の一例を示したものである。本図に示すように本例で取得された面で構成する形状は六角柱の形状をしている(上面(1408)、下面(1407)、側面(1401〜1406))。また、図15は、近似モデル保持手段が保持する近似モデルの一例を示したものである。
【0061】
まず、図15に示すような四角形や、三角形などの近似モデルが近似モデル保持手段に記憶されているものと仮定し、また本実施例の面形状取得部で取得された面が図14に示すような面(六角柱の表面に該当)であったとする。ここで、面形状取得部において図14に示すような面を取得すると、判断手段は面形状取得部で取得された面から任意の面を選択する(ここでは、1401に示す四角形が選択されたとする)。そして、判断手段は近似モデル(図15)の中から、選択した面(1401)に近似可能な近似モデルがあるかを判断する(本例では、図15(a)に示す四角形と近似可能であることから、図15(a)が近似可能であると判断される)。近似可能な近似モデルあると判断されると、モデル近似手段は、選択された面に近似可能であると判断された近似モデルを適用する(置き換える)。このように、面形状取得部で取得された面すべてに対して近似モデル有無を判断し、近似モデルがある場合には近似モデルの適用を行う(置き換えを行う)(本例では、図14に示す六角柱の側面部のすべて(1401〜1406)が図15(a)に示す近似モデルに置き換えられる処理が行われることになる)。なお、近似可能な近似モデルがないとの判断結果であった場合(1407、1408についての判断の場合)には、面形状取得部で取得した面に対して近似可能な近似モデルがないとして近似モデルを適用しての近似は行わず、判断が行われていない他の面に対して近似可能な近似モデルがあるかの判断を行う。
【0062】
ここで、本例では取得された各面ごとに近似モデルを取得する構成としたが実際にはそれだけに限定されない。例えば、演算装置が記憶している近似モデルが複数の面で構成されるモデル(例えば、図13(b)(c)など)である場合には、近似モデルが構成する複数の面を一つのグループとして、面形状取得部で取得された各面から近似モデルを取得するなどの構成が考えられる。
【0063】
また、面が複雑な形状である場合には簡単な図形に分割したうえで、保持されている近似モデルから最適な近似可能な近似モデルがあるかを判断する構成であってもよい。具体的には、面形状取得部で取得された面として六角形の面が取得された場合に、面を三角形と四角形で構成する面に分解したうえで各分解された面に近似可能な近似モデルがあるかを判断する構成であってもよい。この場合には、取得された各面を簡単な形状に分割する「面形状簡単分割部」を備える構成が考えられる。さらには、別の方法として近似モデルの形状のみをあらかじめ取得しておき、取得された形状の組み合わせによって面形状の取得を行う構成であってもよい。この場合には、「面形状取得部」が、近似モデルの形状を取得する「近似モデル形状取得手段」と、「近似モデル形状取得手段」で取得した形状に基づいて面の形状を取得する「モデル形状利用手段」を備える構成が考えられる。
【0064】
<ハードウェア的構成>
【0065】
図16は、本実施例の演算装置におけるハードウェア構成の一例を表す概略図である。これらの図を利用して、本実施例の演算装置の処理を説明する。
【0066】
本図に示すように、本実施例の演算装置は、各種演算処理や制御を行う「CPU」(1601)と、「主メモリ」(1602)とを備えている。また、製品の3次元形状、NCデータ、近似モデルなどを格納する「記憶装置」(1603)や、製品の3次元形状を取得するための「I/O」(1604)なども備えている。そして、これらが「システムバス」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。
【0067】
ここで、「演算装置」は、「I/O」(1604)を介して、製品の3次元形状データを取得したとする。3次元形状データを取得すると、「CPU」(1601)は「記憶装置」(1603)に取得した3次元形状データを記録させるとともに、「主メモリ」(1602)のワーク領域に展開されている「面形状取得プログラム」(1605)を呼び出す。呼び出された「面形状取得プログラム」(1605)は、取得した製品の3次元形状データから製品の形状を構成する面の取得を行う。取得が行われると、「主メモリ」(1602)のワーク領域に展開されている「線織面近似プログラム」(1606)に取得した各面の情報を引き渡す。
【0068】
呼び出された「線織面近似プログラム」(1606)は、そのサブプログラムである「判断プログラム」(1609)を呼び出す。呼び出された「判断プログラム」(1609)は、引き渡された各面の情報を元に「記憶装置」(1603)に記憶されている近似モデルから近似可能な近似モデルがあるか判断を行う。近似可能な近似モデルがあるとの判断結果である場合には、「線織面近似プログラム」(1606)から、引き渡された情報とともに、近似可能とされた近似モデルの情報を「モデル近似プログラム」(1610)に引き渡す。「モデル近似プログラム」(1610)は、引き渡された情報に従って、判断対象となった面を近似可能とされた近似モデルに置き換える。このように、各面に対して近似可能な近似モデルがあるかの判断を行う。近似可能な近似モデルがないとの判断結果であった場合には近似モデルに置き換えを行うことなく直線の集合体である線織面に近似を行う。そして、各面に対して近似モデル有無の判断が完了すると、「線織面近似プログラム」(1606)は、「主メモリ」(1602)のワーク領域に展開されている「線群データ取得プログラム」(1607)を呼び出し、近似可能な近似モデルがあるとの判断結果であった面に対しては、「判断プログラム」(1609)で取得された近似モデルの線織面のデータを引き渡し、また近似可能な近似モデルがないとの判断結果であった面に対しては、「線織面近似プログラム」(1606)で近似した線織面のデータを引き渡す。
【0069】
呼び出された「線群データ取得プログラム」(1607)は、引き渡された線織面を構成する直線のデータを取得する。データの取得が行われると、「主メモリ」(1602)のワーク領域に展開されている「NCデータ生成プログラム」(1608)の呼び出しを行い、取得した線群データ(直線データの集合体)の引き渡しを行う。
【0070】
「NCデータ生成プログラム」(1608)が呼び出されると、呼びだすに合わせて引き渡された線群データを元に、同時5軸制御加工機に備えられた線工具が線群データに基づいて描かれる軌跡を追うようなNCデータの生成を行う。
【0071】
<処理の流れ>
【0072】
図17は、本実施例の演算装置における3次元形状データを取得してから、NCデータの生成が行われるまでの流れの一例を表すフローチャートである。なお、以下に占めるステップは、媒体に記録され、計算機を制御するためのプログラムを構成する処理ステップであってもかまわない。
【0073】
ここで、演算装置は製品の形状を3次元で表現するための情報である3次元形状データを取得したとする(S1701)。3次元形状データを取得すると、3次元形状データで表現される製品の形状を構成する面の取得を行う(S1702)。面の取得が行われると、取得された面から近似可能な近似モデルがあるか判断が行われていない面を取得する(S1703)。近似モデルの中から取得した判断が行われていない面に近似可能な近似モデルがあるかの判断を行う(S1704)。近似可能な近似モデルがあるとの判断結果である場合には、面形状を近似可能とされた近似モデルに置き換える(S1705)。近似可能な近似モデルがないとの判断結果である場合には、直線の集合体である線織面に近似を行う(S1706)。次に、判断が行われていない面があれば、近似モデルの有無の判断を行い、ない場合には次のステップに進む(S1707)。近似可能な近似モデルがあるとの判断結果であった面に対しては、近似モデルに設定されている線群データを取得し、近似可能な近似モデルがないとの判断結果であった面に対しては近似された線織面から線群データの取得を行う(S1708)。線群データを取得すると、線群データが描く軌跡を追うように線工具を移動させるためのNCデータを生成する(S1709)。
【0074】
<効果の簡単な説明>
【0075】
本実施例の演算装置によって、線織面近似を行うにあたり、線群データ等があらかじめ定められた近似モデルを用いて取得した面の近似を行うことで演算装置の処理負担を減らすことが可能になると共に処理時間の短縮が可能となる。
【符号の説明】
【0076】
0101 演算装置
0102 形状データ取得部
0103 面形状取得部
0104 線織面近似部
0105 線群データ取得部
0106 NCデータ生成部
1207 近似モデル保持手段
1208 判断手段
1209 モデル近似手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
同時5軸制御加工機に備えられた線工具を用いて、3次元成型加工を行うためのNCデータの生成をおこなう演算装置であって、
演算装置は、
製品の形状を3次元で表現するための情報である3次元形状データを取得するための形状データ取得部と
前記形状データ取得部で取得した3次元形状データで表現される製品の形状を構成する面を取得する面形状取得部と、
前記面形状取得部で取得した面を直線の集合体である線織面として近似を行う線織面近似部と、
前記線織面近似部で近似された線織面を構成する直線のデータである線群データを取得する線群データ取得部と、
線群データ取得部で取得された線群データが描く軌跡を追うように線工具を移動させるためのNCデータを生成するNCデータ生成部と、
を有する演算装置。
【請求項2】
前記線織面近似部は、
面形状を近似する線織面である近似モデルを保持する近似モデル保持手段と、
保持されている近似モデルの中から、前記面形状取得部で取得した面に近似可能な近似モデルがあるかを判断する判断手段と、
判断手段での判断結果が近似可能な近似モデルがあるとの判断結果である場合には、その面形状を近似可能とされた近似モデルに置き換えて面の近似を行うモデル近似手段を有する請求項1に記載の演算装置。
【請求項1】
同時5軸制御加工機に備えられた線工具を用いて、3次元成型加工を行うためのNCデータの生成をおこなう演算装置であって、
演算装置は、
製品の形状を3次元で表現するための情報である3次元形状データを取得するための形状データ取得部と
前記形状データ取得部で取得した3次元形状データで表現される製品の形状を構成する面を取得する面形状取得部と、
前記面形状取得部で取得した面を直線の集合体である線織面として近似を行う線織面近似部と、
前記線織面近似部で近似された線織面を構成する直線のデータである線群データを取得する線群データ取得部と、
線群データ取得部で取得された線群データが描く軌跡を追うように線工具を移動させるためのNCデータを生成するNCデータ生成部と、
を有する演算装置。
【請求項2】
前記線織面近似部は、
面形状を近似する線織面である近似モデルを保持する近似モデル保持手段と、
保持されている近似モデルの中から、前記面形状取得部で取得した面に近似可能な近似モデルがあるかを判断する判断手段と、
判断手段での判断結果が近似可能な近似モデルがあるとの判断結果である場合には、その面形状を近似可能とされた近似モデルに置き換えて面の近似を行うモデル近似手段を有する請求項1に記載の演算装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5(a)(b)】
【図5(c)】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5(a)(b)】
【図5(c)】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−28425(P2011−28425A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−171962(P2009−171962)
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 発行者名 : 学校法人 芝浦工業大学 刊行物名 : 学校法人 芝浦工業大学大学院工学研究科機械工学専攻 修士論文概要 発行年月日 : 平成21年2月10日
【出願人】(599016431)学校法人 芝浦工業大学 (109)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 発行者名 : 学校法人 芝浦工業大学 刊行物名 : 学校法人 芝浦工業大学大学院工学研究科機械工学専攻 修士論文概要 発行年月日 : 平成21年2月10日
【出願人】(599016431)学校法人 芝浦工業大学 (109)
【Fターム(参考)】
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