線材の清掃装置並びにこれを用いた帯電装置及び画像形成装置
【課題】コロナ放電ワイヤ等の線材に付着する付着物を取り除くとともにその取り除いた後の付着物を線材から拭き取ることができ、さらにその拭き取りを行う部材が線材に押圧されることで生じる当該部材の損傷を低減することができる線材の清掃装置等を提供する。
【解決手段】清掃装置1は、線材23に接触して前記線材を清掃する第1の清掃部材3と、前記線材を挟んで前記第1の清掃部材に接触して当該線材を拭き取る第2の清掃部材4と、前記第1の清掃部材及び第2の清掃部材を保持するとともに前記線材の張り渡し方向に沿って往復移動させる保持移動体5とを有し、前記第2の清掃部材が、前記第1の清掃部材の少なくとも復路移動時の後端部からはみ出して前記線材と接触した状態で配置されている。
【解決手段】清掃装置1は、線材23に接触して前記線材を清掃する第1の清掃部材3と、前記線材を挟んで前記第1の清掃部材に接触して当該線材を拭き取る第2の清掃部材4と、前記第1の清掃部材及び第2の清掃部材を保持するとともに前記線材の張り渡し方向に沿って往復移動させる保持移動体5とを有し、前記第2の清掃部材が、前記第1の清掃部材の少なくとも復路移動時の後端部からはみ出して前記線材と接触した状態で配置されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、線材の清掃装置並びにこれを用いた帯電装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コロナ放電を利用した帯電装置における線材を清掃する清掃装置やそれを用いる装置としては、例えば以下のものが知られている。
【0003】
コロナ放電ワイヤを清掃する清掃部材として、研削材とこの研削材の両側に設けたフェルト部材を有するものを使用するとともに、その研削材が放電ワイヤに加える荷重とそのフェルト部材が放電ワイヤへ加える荷重とを異ならしめ、その清掃部材を放電ワイヤに接触させつつ放電ワイヤの長手方向に移動させるコロナ放電ワイヤの清掃装置が知られている(特許文献1)。
【0004】
また、コロナを放電する電極ワイヤに付着した異物を掻き削る手段(第1の清掃手段)と、その掻き削り手段により掻き削られた前記異物が電極ワイヤから除去されるように電極ワイヤを拭き取る手段(第2の清掃手段)と、前記掻き削り手段及び拭き取り手段を保持する手段と、その保持手段を電極ワイヤに沿って移動可能に支持する手段とを具備するコロナ放電装置が知られている(特許文献2)。
【0005】
また、コロナ放電ワイヤを清掃するための、弾性に富むA清掃部材及び研磨材からなるB清掃部材と、前記コロナ放電ワイヤの印加電圧の変動幅を検出する手段と、前記変動幅が設定値を超えた場合に前記B清掃部材により清掃を行い、定期清掃は前記A清掃部材で行う清掃制御手段とを備えた画像形成装置が知られている(特許文献3)。
【0006】
さらに、コロナ放電をなす帯電器の帯電線の張設方向に並設され、その帯電線を挟持しながら移動する複数対の清掃パッドのうち、少なくとも1対以上の第一の清掃パッド対は、他の一対以上の第二の清掃パッド対とは、清掃パッドの帯電線清掃能力(表面特性、研磨能力)が異なるように構成した帯電器用清掃具が知られている(特許文献4)。
【0007】
【特許文献1】特開平2−118586号公報
【特許文献2】特開平9−244357号公報
【特許文献3】特開平11−24375号公報
【特許文献4】特開平11−258891号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、コロナ放電ワイヤ等の線材に付着する付着物を取り除くとともにその取り除いた後の付着物を線材から拭き取ることができ、さらにその拭き取りを行う部材が線材に押圧されることで生じる当該部材の損傷を低減することができる線材の清掃装置、帯電装置及び画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の放電ワイヤの清掃装置(A1)は、線材に接触して前記線材を清掃する第1の清掃部材と、前記線材を挟んで前記第1の清掃部材に接触して当該線材を拭き取る第2の清掃部材と、前記第1の清掃部材及び第2の清掃部材を保持するとともに前記線材の張り渡し方向に沿って往復移動させる保持移動体とを有し、
前記第2の清掃部材が、前記第1の清掃部材の少なくとも復路移動時の後端部からはみ出して前記線材と接触した状態で配置されていることを特徴とするものである。
【0010】
この発明の清掃装置(A2)は、上記発明A1の清掃装置において、前記第2の清掃部材の前記線材と接触してはみ出す部分の前記はみ出し量が、当該第2の清掃部材の前記線材と接触する部分の寸法の20%以上の比率に相当する長さに設定されているものである。
【0011】
この発明の清掃装置(A3)は、上記発明A1又はA2の清掃装置において、前記第1の清掃部材は、その前記線材の張り渡し方向と直交する方向の幅が前記第2の清掃部材の当該直交する方向の幅よりも広く、当該直交する方向において前記第2の清掃部材の当該直交する方向の両端部からはみ出した状態で配置されているものである。
【0012】
この発明の清掃装置(A4)は、上記発明A1の清掃装置において、前記第1の清掃部材は研磨剤を含有する部材であり、前記第2の清掃部材は空孔率が90%以上の多孔質弾性部材であるものである。
【0013】
この発明の清掃装置(A5)は、上記発明A1又はA4の清掃装置において、前記第2の清掃部材が、前記第1の清掃部材よりも硬度が低い部材であって、当該第1の清掃部材に押されて加圧された状態に保たれているものである。
【0014】
この発明の清掃装置(A6)は、上記発明A1の清掃装置において、前記保持部材のうち少なくとも第2の清掃部材を保持する部分に、前記線材から除去された付着物を収容する収容部を設けているものである。
【0015】
この発明の清掃装置(A7)は、上記発明A1〜A6のいずれかの清掃装置において、前記第1の清掃部材が、前記線材を挟んで反対側の位置に当該放電ワイヤの張り渡し方向に間隔をあけて互いにずれた状態で配置される複数の部材で構成されており、
前記第2の清掃部材は、前記第1の清掃部材のうち少なくとも復路移動時に最後尾となる部材に前記線材を挟んで接触するように設けられているものである。
【0016】
また、この発明の帯電装置(B)は、被帯電体の表面と間隔をあけて張り渡されるように設置されるとともに、当該被帯電体との間に帯電用の電圧が印加される線材と、
前記線材を清掃部材が待機停止位置から当該線材の張り渡し方向に沿って移動した後に折り返して再び待機停止位置に戻るように移動して清掃する清掃装置とを備え、
前記清掃装置は、
線材に接触して前記線材を清掃する第1の清掃部材と、
前記線材を挟んで前記第1の清掃部材に接触して当該線材を拭き取る第2の清掃部材と、
前記第1の清掃部材及び第2の清掃部材を前記待機停止位置では離間させた状態に保持しかつ当該待機停止位置から離れて移動する際に接触させる状態に保持するとともに前記線材の張り渡し方向に沿って往復移動させる保持移動体とを有し、
前記第2の清掃部材が、前記第1の清掃部材の少なくとも前記待機停止位置とは反対側の端部からはみ出して前記線材と接触した状態で配置されていることを特徴とするものである。また、この発明Bの帯電装置は、上記清掃装置が上記発明A2〜A7のいずれかの線材の清掃装置で構成されているものである。
【0017】
さらに、この発明の画像形成装置(C)は、帯電装置による帯電を要する像保持体を備えた作像ユニットを備え、
前記作像ユニットにおける帯電装置は、
被帯電体の表面と間隔をあけて張り渡されるように設置されるとともに、当該被帯電体との間に帯電用の電圧が印加される線材と、
前記線材を清掃部材が待機停止位置から当該線材の張り渡し方向に沿って移動した後に折り返して再び待機停止位置に戻るように移動して清掃する清掃装置とを備え、
前記清掃装置は、
線材に接触して前記線材を清掃する第1の清掃部材と、
前記線材を挟んで前記第1の清掃部材に接触して当該線材を拭き取る第2の清掃部材と、
前記第1の清掃部材及び第2の清掃部材を前記待機停止位置では離間させた状態に保持しかつ当該待機停止位置から離れて移動する際に接触させる状態に保持するとともに前記線材の張り渡し方向に沿って往復移動させる保持移動体とを有し、
前記第2の清掃部材が、前記第1の清掃部材の少なくとも前記待機停止位置とは反対側の端部からはみ出して前記線材と接触した状態で配置されていることを特徴とするものである。また、この発明Cの画像形成装置は、上記帯電装置における清掃装置が上記発明A2〜A7のいずれかの線材の清掃装置で構成されているものである。
【発明の効果】
【0018】
上記発明A1の清掃装置によれば、線材に付着する付着物を取り除くとともにその取り除いた後の付着物を線材から拭き取ることができ、さらにその拭き取りを行う部材が線材に押圧されることで生じる当該部材の損傷を低減することができる。
【0019】
上記発明A2の清掃装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、線材に付着する付着物を取り除いた後に線材から確実に拭き取ることができる。
【0020】
上記発明A3の清掃装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、第1の清掃部材の線材に対する接触圧が高まり、その線材を包み込みやすくなり、粘度の相対的に高い付着物が取り除かれやすくなる。
【0021】
上記発明A4の清掃装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、線材に付着する粘度の相対的に高い付着物と粘度の相対的に低い付着物とが取り除かれやすくなる。
【0022】
上記発明A5の清掃装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、線材が第1の清掃部材よりも第2の清掃部材に多く食い込み、第2の清掃部材における線材との接触面積が増大する。
【0023】
上記発明A6の清掃装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、線材から取り除かれて第2の清掃部材で拭き取られる付着物のうち第2の清掃部材から漏れ出る付着物が回収されて脱落することが防止される。
【0024】
上記発明A7の清掃装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、線材に付着する粘度の相対的に高い付着物が更に取り除かれやすくなるとともに、かかる付着物がその取り除かれた後に線材から適切に拭き取られる。
【0025】
上記発明Bの帯電装置によれば、線材に付着又は残留する付着物に起因した帯電不良の発生を長期にわたり防止することができる。
【0026】
上記発明Cの画像形成装置によれば、線材に付着又は残留する付着物に起因した帯電不良の発生及び画質不良の発生を長期にわたり防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、この発明を実施するための最良の形態(単に「実施形態」という)について添付の図面を参照しながら説明する。
【0028】
[第1の実施形態]
図1及び図2は第1の実施形態に係る線材の清掃装置を用いた帯電装置及び画像形成装置を示すものであり、図1はその清掃装置1を用いた帯電装置2の要部を示し、図2はその帯電装置2を用いた画像形成装置100の要部をそれぞれ示している。
【0029】
画像形成装置100は、図2に示すように、支持フレーム、外装カバー等で構成される筐体101の内部空間に、現像剤としてのトナーで構成されるトナー像を形成して用紙Pに転写する作像ユニット102と、作像ユニット102に供給する用紙Pを収容するとともに搬送する給紙装置103と、作像ユニット102で形成されたトナー像を用紙Pに定着する定着装置104を設置している。この実施形態では、作像ユニット102として、1つのみで構成されるものを例示しているが、複数のもので構成される作像ユニットを使用しても差し支えない。
【0030】
上記作像ユニット102は、例えば公知の電子写真方式を利用して構成されるものであり、図2や図3に示すように、矢印で示す方向(図中において時計回りの方向)に回転駆動する感光体ドラム111と、感光体ドラム111の像形成領域となる周面を所要の電位に帯電させる帯電装置2と、帯電後の感光体ドラム111の表面に画像情報(信号)に基づく光(Bm)を照射して電位差のある静電潜像を形成する露光装置113と、その静電潜像をトナーによりトナー像に現像する現像装置114と、そのトナー像を用紙Pに転写する転写装置115と、転写後の感光体ドラム111の表面に残留するトナー等を除去する清掃装置116とで主に構成されている。
【0031】
このうち感光体ドラム111は、例えば接地された円筒状の導電性基体の外周面に有機感光材料等からなる光誘電層を形成したものである。帯電装置2は、コロナ放電形式の帯電器である。この帯電装置2の詳細については後述する。露光装置113は、画像形成装置100に接続又は装備される原稿読取装置、外部接続機器、記憶媒体読取装置等の画像生成源から入力される画像情報を図示しない画像処理装置で所要の処理をして得られる画像情報に基づく露光を行う。
【0032】
また、現像装置114は、例えばトナーとキャリアを含む現像剤を用い、その現像剤を収容部で回転する攪拌搬送部材114bにより攪拌しながら現像ロール114aを通過させるように搬送して感光体ドラム111と対向する現像領域に供給するものである。転写装置115は、帯電部材として感光体ドラム111に接触して回転する転写ロールを適用したものである。清掃装置116は、感光体ドラム111の周面に接触するクリーニングブレード116aと回転ブラシ116bを接触させる方式のものである。この他、帯電装置2(の放電ワイヤ)、現像装置114(の現像ロール114a)及び転写装置115(の転写ロール)には、作像時になると、図示しない電源装置から帯電用電圧、現像用電圧、転写用電圧がそれぞれ供給される。
【0033】
給紙装置103は、画像の形成に使用する所要のサイズ、種類等からなる複数枚の用紙Pを積み重ねた状態で収容する、トレイ形式、カセット形式等の用紙収容体131と、その用紙収容体131に収容される用紙Pを1枚ずつ搬送路にむけて送り出す送出装置132とを備え、給紙の時期が到来すると、用紙Pを1枚ずつ送り出すようになっている。用紙収容体131は、利用態様に応じて複数装備される。図2における矢付き一点鎖線は、用紙Pの主な搬送路を示す。その搬送路は、図示しない複数の用紙搬送ロール対、搬送ガイド部材等で構成されている。
【0034】
定着装置104は、矢印方向に回転駆動するとともに表面温度が加熱手段により所要の温度に加熱されて保持されるロール形態、ベルト形態等の加熱回転体141と、この加熱回転体141の軸方向にほぼ沿うように所要の圧力で接触して従動回転するロール形態、ベルト形態等の加圧回転体142とを備え、その加熱回転体141と加圧回転体142との間に形成される定着部にトナー像転写後の用紙Pを通過させて定着を行うようになっている。
【0035】
この画像形成装置100による画像形成は、次のようにして行われる。ここでは、用紙Pの片面に画像を形成するときの基本的な画像形成動作を例に挙げて説明する。
【0036】
画像形成装置100では画像形成動作の開始指令を受けると、作像ユニット102において、回転始動する感光体ドラム111の周面がコロナ放電形成期の帯電装置2により所定の極性及び電位に帯電された後、その帯電した感光体ドラム111の周面に露光装置113により画像情報に基づく露光が行われて所要の電位差で構成される静電潜像が形成される。続いて、感光体ドラム111に形成された静電潜像が、現像装置114を通過する際に、その現像ロール114aから供給される所要の極性に帯電された状態のトナーにより現像されてトナー像として顕像化される。
【0037】
しかる後、感光体ドラム111上に形成されたトナー像は、感光体ドラム111の回転により転写装置115と対向する転写位置まで搬送されると、このタイミングに合わせて給紙装置103により搬送路を通して供給される用紙Pに対して転写装置115により転写される。この転写後の各感光体ドラム111の周面は、清掃装置116で清掃される。
【0038】
続いて、トナー像が転写された用紙Pは、感光体ドラム111から剥離されて定着装置104に導入されるように搬送され、その定着装置104における加熱回転体141と加圧回転体142との間の定着部を通過する際に加熱及び加圧されてトナー像が定着される。この定着が終了した後の用紙Pは、定着装置104から排出されて図示しない排紙収容部等に搬送されて収容される。
【0039】
以上により、1枚の用紙Pの片面に対して1色のトナーで構成される単色画像が形成され、基本的な画像形成動作が終了する。複数枚の画像形成動作の指示がある場合には、上記した一連の動作がその枚数分だけ同様に繰り返されることになる。
【0040】
次に、帯電装置2について説明する。
【0041】
帯電装置2は、図1、図3、図4等に示すように、長方形状の天板とその天板の長手方向における両端部から下方に垂れ下がった状態の側板を有した形状からなるシールドケース(覆い部材)20と、シールドケース20の両端部に取り付けられる端部支持体21,22と、この2つの端部支持体21,22との間に、シールドケース20の内部空間を通過してほぼ直線状に張り渡した状態で取り付けられる線材の一例であるコロナ放電ワイヤ23と、シールドケース20の下部開口部に、その開口部を覆い、コロナ放電ワイヤ23と感光体ドラム111の周面との間に存在する状態で取り付けられる格子状の電界調整板(グリッド電極)24とを備える、いわゆるスコロトロン型の帯電装置である。図4中における符号25a,25bは、放電ワイヤ23の端部を取り付ける取付け部を示す。
【0042】
この帯電装置2は、そのコロナ放電ワイヤ23が、感光体ドラム111の周面と所要の間隔(例えば放電ギャップ)をあけて対向する状態でかつ感光体ドラム111の回転軸方向に沿ってその像形成対象領域に少なくとも存在する状態となるように配置される。また、この帯電装置2は、図示しない電源装置から放電ワイヤ23(と感光体ドラム111との間)に帯電用の電圧が印加される。
【0043】
放電ワイヤ23については、コロナ放電を発生して被帯電体である感光体ドラム111の周面を帯電させることができる線材であればよく、例えば、断面の外径が30〜60μmφのタングステン等の金属線が使用される。
【0044】
そして、帯電装置2は、作像時(画像形成動作時)になると、放電ワイヤ23に帯電用の電圧が印加され、これにより放電ワイヤ23と感光体ドラム111の周面との間に電界を形成した状態でコロナ放電を発生し、その結果、感光体ドラム111の周面を帯電させる。この際、感光体ドラム111の帯電電位は電界調整材24により調整される。
【0045】
また、帯電装置2は、その使用に伴ってコロナ放電ワイヤ23に放電生成物、トナーの外添剤等の物質が付着して汚染されることでコロナ放電が十分に又は均一に行われなくなって帯電むら等の帯電不良が発生することがある。このため、この帯電装置2には、放電ワイヤ23に付着する付着物を除去して清掃する放電ワイヤの清掃装置1が装着されている。
【0046】
以下、放電ワイヤの清掃装置1について説明する。
【0047】
清掃装置1は、図5〜図7等に示すように、コロナ放電ワイヤ23に接触する第1の清掃パッド3と、放電ワイヤ23を挟んで第1の清掃パッド3(の一方)に接触する第2の清掃パッド4と、この第1の清掃パッド3及び第2の清掃パッド4とを保持して放電ワイヤ23の張り渡し方向(矢印Aで示す方向)に沿って往復移動させる保持移動体5とを備えている。
【0048】
また、清掃装置1は、その清掃時期でない非清掃時には、帯電装置2における一方(例えば帯電装置後方側)の端部支持体21に接近した待機停止位置(ホームポジション)HPに移動して停止している。一方、その清掃時期には、待機停止位置HPから帯電装置2の他方の端部支持体22に接近した折返し位置TPまで移動した後、再び待機停止位置HPまで戻るように移動するという往復移動がなされる。ここで、清掃装置2の待機停止位置HPから折返し位置TPに向かう矢印A1で示す方向の移動を「往路移動」とし、反対にその折返し位置TPから待機停止位置HPにまで至る矢印A2で示す方向の移動を「復路移動」とする。
【0049】
このような移動を実現する保持移動体5は、帯電装置2のシールドケース20の内部空間内において放電ワイヤ23の上側に位置するように配置される上部枠体51と、シールドケース20の内部空間内において放電ワイヤの下側に位置するように配置されて上部枠体51の下方に取り付けられて合体する下部枠体51とで構成されている。ここで、この実施形態の場合においては、放電ワイヤ23の上側とは感光体ドラム111のある側とは反対の側に相当することにもなり、また、放電ワイヤの下側とは感光体ドラム111のある側に相当することにもなる。
【0050】
上部枠体51は、例えば矩形状の天板とその天板の1組の両端部から下方に垂れ下がった状態の側板を有した形状からなる本体部の天板に、断面L字状に曲がって外部に突出するガイド受け部53を形成している。上部枠体51は、このガイド受け部53を、シールドケース20に放電ワイヤ23の張り渡し方向Aに沿って形成されたほぼ長方形状のガイド孔26の縁部26a(図1参照)に引っ掛けることにより、そのガイド孔26の長手方向に沿って自在に移動するように支持されている。
【0051】
また、上部枠体51は、帯電装置2のシールドケース20の外部(側面部)に放電ワイヤ23の張り渡し方向Aとほぼ平行する状態で設置されるスクリュー型駆動軸61に、ネジ山を介して装着される管状の受動支持部54を当該枠体の一側面側に形成している。上部枠体51は、この受動支持部54が、スクリュー型駆動軸61の正反転する回転駆動により駆動軸61に沿った推進力を受けることにより、矢印A1,A2で示す方向に往復移動するように支持されている。
【0052】
スクリュー型駆動軸61は、棒状の軸61aに螺旋状に巻きつくような突出部61bを設けたものであり、帯電装置2の端部支持体21,22にそれぞれ設けた軸受62、63に対し回転自在に取りけられている。また、スクリュー型駆動軸61は、その一端部に取り付けた軸連結材64を介して回転駆動伝達装置65(図1参照)における連結用の駆動軸と接続され、その回転駆動伝達装置65から回転方向が切り替えられる動力を受けることにより正反転するようになっている。
【0053】
下部枠体52は、例えば矩形状の基板と基板の1組の両端部から上方に立ち上がる側板部を有する形状からなる部材である。この下部枠体52は、例えば、図8に示すように放電ワイヤ23を挟んだ両側の側板外面に突起52nを形成し、その突起52nを上部枠体51の側壁面に形成される引っ掛け孔51a(図5)に上部枠体51の内側から差し入れて引っ掛けることにより、上部枠体51と合体した状態になる。
【0054】
第1の清掃パッド3は、2つの清掃パッド31及び32で構成されている。
【0055】
このような第1の清掃パッド3は、図7、図9等に示すように、その一方の清掃パッド31を、感光体ドラム111の側とは反対の側から放電ワイヤ23に接触するように配置し、また他方の清掃パッド32を、感光体ドラム111の側から放電ワイヤ23に接触するように配置するとともに、一方の清掃パッド31の端部支持体21から離れる側にあって一方の清掃パッド31から間隔Sをあけた状態で配置している。つまり、第1の清掃パッド3は、その一方の清掃パッド31と他方の清掃パッド32について、放電ワイヤ23を挟んで反対側の位置に放電ワイヤ23の張り渡し方向Aに間隔Sをあけて互いにずれた状態で配置している。
【0056】
また、第1の清掃パッド3は、その一方の清掃パッド31を、保持移動体5の上部枠体51において放電ワイヤ23に対し接近及び離間する方向に変位する状態で取り付けている。これは、清掃装置1が非清掃時に待機停止位置TPで停止したときに、清掃パッド31が放電ワイヤ23及び第2の清掃パッド4から離れた状態に保たれる一方で、清掃時のときだけ、清掃パッド31が放電ワイヤ23を挟んで第2の清掃パッド4と接触した状態に保たれるようにするためである。具体的には、図5〜図8等に示すように、上部枠体51に、軸55を中心にして自由端部が放電ワイヤ23に対して接近する方向C1及び離間する方向C2に揺動する揺動材56を設置し、その揺動材56の自由端部56aの下部に形成した保持板部57に、一方の清掃パッド31を取り付けている。軸55は、上部枠体51の側面に形成する軸受孔51b(図5)に差し込まれて支持される。
【0057】
さらに、第1の清掃パッド3は、その他方の清掃パッド32を、保持移動体5の下部枠体52に固定した状態で取り付けている。具体的には、図5〜図7等に示すように、下部枠体52に放電ワイヤ23と対向する基板の上面部52aのほぼ中央部付近に隆起した形態の保持台52bを形成し、その保持部52bの上面に他方の清掃パッド32を取り付けている。
【0058】
第2の清掃パッド4は、保持移動体5の下部枠体52に固定した状態で取り付けている。具体的には、図5〜図8等に示すように、下部枠体52の基板のうち一方の清掃パッド31と放電ワイヤ23を挟んだ状態で接触し得る部位に上面部52aよりも一段下げた形状の凹面部53cを形成し、その凹面部53cに、第2の清掃パッド4を取り付けている。この凹面部53cを形成したのは、第2の清掃パッド4が第1のパッド31との接触時に弾性変形して圧縮される状態をつくりやすくするとともに、第2の清掃パッド4の上面の高さを第1パッド32の上面と揃えるためである。
【0059】
ここで、揺動材56は、清掃時に清掃パッド31が放電ワイヤ23を挟んで第2の清掃パッド4と接触した状態に保たれるようにするため、コイルバネ58により、放電ワイヤ23に接近する方向C2に弾性的に押される力を受けた状態に保たれている。コイルバネ58は、そのコイル部を軸55に装着したうえで、その一方の端部58aを上部枠体51に固定し、その他方の端部58bを保持板部56aの背面側を押さえるように配置するという状態で取り付けられている。
【0060】
また、揺動材56は、非清掃時に清掃パッド31が放電ワイヤ23及び第2の清掃パッド4から離れた状態に保たれるようにするため、清掃装置1が待機停止位置TPにむけて矢印A2で示す方向に移動して停止する過程で、コイルバネ57の押す力に抗して放電ワイヤ23から離間する方向C1に揺動させられる。
【0061】
このときの揺動材56の揺動を実現するため、例えば、揺動材56の軸55で支持される端部から自由端部にむかう下面部に、感光体ドラム111の周面に接近する方向C2に徐々に突出した状態になる傾斜面部59aを有する突出部59を形成している。また、帯電装置2の端部支持体21に、放電ワイヤ23の張り渡し方向Aにほぼ沿って突出した状態で形成されるガイド突片27を形成している。これにより、清掃装置1が待機停止位置TPにむけて矢印A2の方向に移動するときに、突出部59の傾斜面部59aがガイド突片27の曲面状の先端部27aに接触しながら移動することで、揺動材56の自由端部側が上方に(感光体ドラム111から離間する方向C1)持ち上げられるように揺動し始め、また、最終的に突出部59(の頂点部)が水平ガイド面部27bに乗り上げて保持されることで、揺動材56の自由端部側が上方に持ち上げられた状態に保たれる。
【0062】
放電ワイヤ23は、清掃装置1が非清掃時において待機停止位置TPに停止しているときには、図7、図8等に示すように、第1の清掃パッド3(31,32)と第2の清掃パッド4のいずれにも接触しない状態に保たれる。これにより、放電ワイヤ23が、帯電動作時等において感光体ドラム111の周面と所要の間隔をあけた状態に保たれることになっている。図8において符号52c,52dは、下部枠体52の基板面部52aに第2の清掃パッド4の両脇に存在するように形成された突起部である。また符号57c,57dは、揺動材56の保持板部57に第1の清掃パッド31の両脇に存在するとともに、清掃時に揺動材57が前記下部枠体52の突起部52c,52dと接触して第1の清掃パッド31の第2の清掃パッド4に対する接触量を規制する突出高さで形成された接触量規制突起である。
【0063】
第1の清掃パッド3(31,32)としては、研磨剤を含有させた材料で構成されているとともに、図9等に示すように放電ワイヤ23と接触する面が矩形状からなる部材を使用した。具体的には、清掃パッド31、32はいずれも、ホワイトアルミナの研磨剤をエポキシ樹脂等の材料に所要の量だけ混ぜて含有させた材料を使用した。また、その研磨剤を含有させた部材を用いて、放電ワイヤ23の張り渡し方向Aの長さL3が3〜6mm、その張り渡し方向Aと直交(交差角度が例えば85〜95°の範囲となる交差状態)する方向Bの幅W3が5〜8mm、厚さが0.5〜2mmの寸法からなる長方体状の形状に成形したものである。この清掃パッド31,32は、例えば接着剤等により保持板部57や保持台52bに接着して固定される。
【0064】
第2の清掃パッド4としては、空孔率が90%以上の多孔質弾性部材で構成されているとともに、図9等に示すように放電ワイヤ23と接触する面が矩形状からなる部材を使用した。具体的には、ポリウレタンフォーム等の材料を用いて加風方法により製造される材料(空孔率:97%)を用いた。また、その材料を用いて、放電ワイヤ23の張り渡し方向Aの長さL4が6〜7.2mm、その張り渡し方向Aと直交する方向の幅W4が3〜6mm、厚さが2〜4mmの寸法からなる長方体状の形状に成形したものである。また、この清掃パッド4を構成する上記多孔質弾性部材は、第1の清掃パッド3(31)を構成する研磨剤を含有させた部材よりも相対的に柔らかい物性を有している。この清掃パッド4は、例えば接着剤等により凹面部52cに接着して固定される。この多孔質弾性部材の硬度(後記の測定方法による硬度)は、70〜130Nの物性を有している。
【0065】
また、この清掃装置1においては、清掃時において第1の清掃パッド31が放電ワイヤ23を挟んで第2の清掃パッド4に接触したときに、その第2の清掃パッド4が、図9、図10等に示すように、第1の清掃パッド31の往復移動時における両端部31a,31bからはみ出して放電ワイヤ23と接触した状態となるように配置している。ここでは、第1の清掃パッドの端部31aを復路移動時における前端部とし、31bを復路移動時における後端部とする。図9等において符号41,42は、第2の清掃パッド4のうち第1の清掃パッド31の往復移動時における両端部31a,31bからそれぞれはみ出している部分を示し、符号E1,E2はそのはみ出し部分のはみ出し量(長さ)を示す。
【0066】
さらに、この清掃装置1においては、第2の清掃パッド4と接触する第1の清掃パッド31としてその幅W3が第2の清掃パッド4の幅W4よりも広いものを使用しており(図9)、しかも、清掃時において第1の清掃パッド31が放電ワイヤ23を挟んで第2の清掃パッド4に接触したときに、図9、図11に示すように、その第1の清掃パッド31が放電ワイヤ23の張り渡し方向Aと直交する方向Bにおいて、第2の清掃パッド4の当該直交する方向Bの両端部4c,4dからそれぞれはみ出した状態となるように配置している。
【0067】
次に、この清掃装置1の動作について説明する。
【0068】
清掃装置1は、非清掃時には、図4、図5等に示すように帯電装置2の一方の端部支持体21に接近した待機停止位置HPに停止している。
【0069】
この際、清掃装置1における第1の清掃パッド3としての一方の清掃パッド31は、前述したように、それを保持する揺動材56が端部支持体21のガイド突片27との接触により感光体ドラム111の周面から離間する方向C1に揺動した状態となることにより、図6〜図8に示すように放電ワイヤ23及び第2の清掃パッド4の双方から離れた非接触の状態になっている。
【0070】
これにより、帯電装置2の放電ワイヤ23については、清掃装置1の3つの清掃パッド31、32,4のいずれとも接触しない状態となって(図7、図8)、帯電装置2の2つの端部支持体21,22に張り渡された自然の状態におかれ、感光体ドラム111の周面と所要の間隔をあけた状態に保たれることになる(図4等)。
【0071】
そして清掃時になると、清掃装置1は、図4に示すように、待機停止位置HPと折返し位置TPとの間で往復移動する。清掃時期としては、例えば、帯電装置2の帯電動作の前後の時期や、画像形成動作が設定枚数に達した時点や、画質不良の解消を行う作業時期などが挙げられる。
【0072】
まず、前記したスクリュー型回転軸61の回転駆動伝達装置65が所要の方向に回転することにより、清掃装置1が、その回転軸61から推進力を受ける受動支持部54を介して折返し位置TPにむけて移動し始める。つまり、清掃装置1の往路移動が開始される。
【0073】
この際、清掃装置1における第1の清掃パッド3としての一方の清掃パッド31は、前述したように、それを保持する揺動材56が端部支持体21のガイド突片27との接触から開放されて感光体ドラム111の周面に接近する方向C2に揺動した状態となることにより、図10〜図12に示すように放電ワイヤ23を挟んで第2の清掃パッド4と接触した状態になる。
【0074】
詳しくは、第1の清掃パッド3としての一方の清掃パッド31は、最初に、放電ワイヤ23にその上側から接触し、その放電ワイヤ23を第2の清掃パッド4の上面4a(図7)に接近させるような状態で下方に押し下げる。この際、清掃パッド31は、放電ワイヤ23が第1の清掃パッド3としての他方の清掃パッド32の上面32a(図7)に接触するまで押し下げる。
【0075】
引き続き、清掃パッド31は、コイルバネ58の押す力を受けて矢印C2の方向に揺動する揺動材56により押されて、放電ワイヤ23を挟んだ状態で更に第2の清掃パッド4を押して加圧した状態で下方に変位する。この際、清掃パッド31の下方への変位は、揺動材56の保持板部57における接触量規制突起57c,57dが、下部枠体52における突起部52c,52dに接触するまで続けられる。
【0076】
この結果、放電ワイヤ23は、図10、図12に示すように、一方の清掃パッド31の下面31d(図7)が他方の清掃パッド32の上面32aよりも下方の位置まで下降することで共に押し下げられるので、他方の清掃パッド32の上面32aと一方の清掃パッド31の下面31dとの間で屈曲した状態に保たれる。この際、一方の清掃パッド31が放電ワイヤ23の上側から接触した状態になり、他方の清掃パッド32が放電ワイヤ23の下側から接触した状態になる。またこれと同時に、第2の清掃パッド4が、一方の清掃パッド31に接触するとともに放電ワイヤ23にその下側から接触した状態になる。図12における符号23aは、放電ワイヤの屈曲している部分である。
【0077】
また、第2の清掃パッド4は、図10や図12に示すように、第1の清掃パッド3としての一方の清掃パッド31により押された部分が、弾性変形して圧縮された状態になる。一方、第2の清掃パッド4のうち一方の清掃パッド31における放電ワイヤ23の張り渡し方向Aの前後端部31a,31bからはみ出している部分41,42は、放電ワイヤ23と接触する一部を除いて、わずかに弾性変形する程度にとどまる(図11、図12)。放電ワイヤ23が接触する部分43は、図11に示すように放電ワイヤ23が一方の清掃パッド31に押し下げられて埋められるようなV字状の谷部を形成するように弾性変形した状態になる。
【0078】
そして、清掃装置1は、その第1の清掃パッド3(31,32)と第2の清掃パッド4が上記したような状態になったうえで折返し位置TPまで矢印A1で示す方向に往時移動した後、再び待機停止位置HPに戻るように矢印A2で示す方向に復路移動する。
【0079】
これにより、放電ワイヤ23は、第1の清掃パッド3としての2つの清掃パッド31,32により屈曲した状態にされつつその清掃パッド31,32が放電ワイヤ23の上側及び下側から接触した状態で移動することで、そのワイヤ表面が摺擦されて清掃される。この第1の清掃パッド3によっては、特に放電ワイヤ23に付着する放電生成物等の粘度が相対的に高い付着物が削られるようにして取り除かれる。
【0080】
また、放電ワイヤ23は、第2の清掃パッド4が清掃パッド31により圧縮された状態でワイヤの下側から接触して移動することで、そのワイヤ表面が摺擦されて清掃される。この第2の清掃パッド4によっては、特に放電ワイヤ23に付着する放電生成物トナー粒子に外添される外添剤等の粘度が相対的に低い付着物が拭き取られる。この際、第2の清掃パッド4は、単独で放電ワイヤ23に接触しているのではなく、第1のパッド3としての一方の清掃パッド31に対向して接触した状態で配置されていることで、放電ワイヤ23との接触による亀裂等の損傷の発生が少ない。
【0081】
さらに、この清掃装置1では、図10〜図12に示すように、第2の清掃パッド4のはみ出し部分41,42が放電ワイヤ23と接触する。これにより、第1の清掃パッド3(31,32)で取り除かれた放電生成物等の付着部が放電ワイヤ23に残留していても、その第2の清掃パッド4のはみ出し部分41,42に捕獲されて拭き取られる。
【0082】
特に第2の清掃パッド4のはみ出し部分41は、清掃装置1の復路移動時に放電ワイヤ23に最後に接触して移動するため、放電ワイヤ23の表面に取り除かれた後に残留して付着する付着物を捕獲する。また、第2の清掃パッド4が空孔率の高い多孔質弾性部材で構成されていることで、空隙が多く存在し、その捕獲した残留付着物が空隙に収容されるような状態で捕獲される。
【0083】
この他、この清掃装置1では、第2の清掃パッド4が幅(W3)の広い第1の清掃パッド3としての清掃パッド31により放電ワイヤ23を挟んだ状態で押されて確実に圧縮されるようになり、第2の清掃パッド4の放電ワイヤ23との接触圧が高められる。これにより、第2の清掃パッド4による放電ワイヤ23の高い清掃能力が得られる。しかも、第2の清掃パッド4は、図11に示すように、下部枠体52の凹面部53cにおいてそのパッドの幅(W4)と同じ幅で隆起する保持台52eに保持されていることで、清掃パッド31の加圧力をパッド全体に受ける。この結果、放電ワイヤ23からかかる力は清掃パッド31が吸収する(受け止める)ので、第2の清掃パッド4は放電ワイヤ23と接触していても亀裂等の破損が少ない。
【0084】
清掃装置1は、往路移動により待機停止位置HPまで移動して停止することにより、その清掃動作を終了する。この清掃装置1では、その清掃動作を長期にわたり繰り返して行った場合でも、特に第の清掃パッド4が第1の清掃パッド3より硬度の低い部材であるにもかかわらず、その清掃パッド4には放電ワイヤ23との接触(摺擦)による破損が発生しにくい。
【0085】
この清掃装置1で清掃された帯電装置2は、その放電ワイヤ23が粘度の異なるような異種の付着物も良好に取り除かれて清掃されるとともに、特に取り除かれた付着物が残留していることがない。この結果、この清掃後の帯電装置2によって行われる帯電では、放電ワイヤ23に付着又は残留する付着物の存在に起因した帯電ムラ、帯電不足等の帯電不良が発生することが殆どない。
【0086】
またこれにより、この清掃装置1を備えた帯電装置2を使用する画像形成装置100においても、上記の帯電不良に起因した筋、背景部へのかぶり等の画像不良が発生することが殆どない。
【0087】
図13は、この清掃装置1において、第1の清掃パッド4のはみ出し部分41(往路移動時の後端となる側のはみ出し部分)のはみ出し量を変更したときの放電ワイヤ23の清掃結果(クリーニング性)について調べた試験の結果を示すものである。
【0088】
この試験は、帯電装置2に取り付けて同じ条件でコロナ放電を発生させることで汚れた放電ワイヤ23を清掃装置1で清掃した後、その放電ワイヤ23の放電分布の乱れを測定するという内容で行った。図13の横軸に示すはみ出し量(%)は、はみ出し部分41のはみ出した長さE1の第1の清掃パッド31の長さL3(図9)に対する百分率で示したものである。このはみ出し量が負の値のものは、第1の清掃パッド31を第2の清掃パッド4からはみ出し状態に設置した場合を示す。また、クリーニング性については、放電ワイヤ23の放電分布における最低電圧値と最高電圧値の差を測定して、その結果を以下の基準で評価したものである。
1:41〜50V
2:31〜40V
3:21〜30V
4:11〜20V
5:1〜10V
6:0V
【0089】
図13に示す結果から、第1の清掃パッド4のはみ出し部分41については、そのはみ出し量を特に20%以上になる値に設定すると、良好な結果が安定して得られることが確認できる。
【0090】
[他の実施形態]
第1の実施形態に係る清掃装置1においては、図14及び図15に示すように、第2の清掃パッド4を保持する下部枠体52における凹面部52cに、放電ワイヤ23から除去される付着物の一部8を収容する収容部71を設けることができる。図14に示す収容部71は、凹面部52cの復路移動時の後方となる方向(矢印A1で示す方向)に延長するように突出させた状態で、周囲を壁で囲まれた収容凹部72を有する形態のものである。
【0091】
この収容部71は、清掃装置1における第2の清掃パッド4で捕獲される付着物のうちその清掃パッド4から漏れ出る(こぼれ出る)付着物の一部8が発生しても、その付着物の一部8がその収容凹部72に落下して収容される。これにより、かかる付着物の一部8が、被帯電体である感光体ドラム111の周面に脱落することが防止される。例えば、第2の清掃パッド4として前記した空孔率が90%以上の多孔質弾性部材で構成したものを使用する場合には、その空隙に捕獲された付着物の一部8が互いに連続した状態にあることが多い空隙の一部から漏れ出ることもあり得るので、そのような収容部71を設けることは有益である。
【0092】
また、清掃装置1における第1の清掃パッド3及び第2の清掃パッド4としては、他の部材から構成されるものを使用することができる。例えば、第1の清掃パッド3としては、合成樹脂にアルミナ、ガラス繊維等の研磨剤を付着させたような部材で構成されるものを使用できる。第2の清掃パッド4としては、フェルト、不織布等の繊維交絡材などを使用することができる。特に第2の清掃パッド4としては、第1の清掃パッド3の部材よりも硬度が低い物性を有する部材を使用する。ここで、硬度は、第1の清掃パッド3及び第2の清掃パッド4とも、JIS−K−6400の測定方法に準拠した方法で測定したものである。第2の清掃パッド4の部材としては、第1の清掃パッド3よりも硬度が60N以上低いものを使用する。
【0093】
また、第1の実施形態に係る清掃装置1では、第2の清掃パッド4を第1の清掃パッド31の往復移動方向A1、A2における両端部31a,31bの双方からはみ出させて2つのはみ出し部分41,42が存在するように設置したが、第1の清掃パッド31の復路移動時における前端部31aからはみ出させてはみ出した部分41だけが存在するよう設置することもできる。
【0094】
また、第1の実施形態に係る清掃装置1では、第1の清掃パッド31として、第2の清掃パッド4よりも幅(W3)が広いものを使用し、放電ワイヤ23の張り渡し方向Aと直交する方向Bにおいて第1の清掃パッド31の両端部が第2の清掃パッド4におけるその直交する方向Bにおける両端部から共にはみ出した状態で配置したが、第2の清掃パッド4におけるその直交する方向Bにおける一方の端部のみからはみ出した状態で配置することもできる。この清掃装置1は、コロナ放電ワイヤ23以外の線材を清掃するために適用することも可能である。
【0095】
さらに、第1の実施形態に係る清掃装置1では、第1の清掃パッド31として、2つの清掃パッド31,32で構成されるものを使用したが、その他方の清掃パッド32を使用せずに第2の清掃パッド4と接触する側の1つの清掃パッド31のみで構成されるものを使用することもできる。また、第1の清掃パッド31としては、3以上の清掃パッドで構成されるものを使用することも可能であるが、その場合は、その3以上の清掃パッドについて、放電ワイヤ23を挟んで反対側の位置に放電ワイヤ23の張り渡し方向Aに間隔(S)をあけて互いにずれた状態で配置したうえで、その3以上の清掃パッドのうち少なくとも復路移動時に最後尾となる清掃パッドに対して第2の清掃パッド4を放電ワイヤ23を挟んで接触させるように設置する。また、第1の清掃パッド31が複数の清掃パッドで構成される場合は、その複数の清掃パッドのうち2以上の清掃パッドに対して第2の清掃パッド4を放電ワイヤ23を挟んで接触させるように設置することも有効である。
【0096】
この他、帯電装置2については、グリッド電極24を設置しない形式の帯電装置、いわゆるコロトロン型の帯電装置として構成することもできる。また例えば、コロトロン型の帯電装置については、感光体ドラム以外の被帯電体を帯電させる帯電装置として使用することができる他、コロナ放電を利用する転写装置、剥離装置等として使用することもできる。
【0097】
また、画像形成装置100については、作像ユニット102として複数のものを使用して異なる色のトナー像を作像するように構成することもできる。この場合、各作像ユニット102における感光体ドラムの周面に形成されるトナー像は、例えば、その各作像ユニット102における感光体ドラムと転写装置の間の転写位置を連続して通過するように配置されるベルト状又はドラム状の中間転写体に重ね合わせるように転写した後に、その中間転写体から用紙に一括して転写する形態として構成することができる。また、各作像ユニット102における上記転写位置を連続して通過するように配置されるベルト状又はドラム状の用紙搬送転写体で搬送される用紙に重ね合わせるように転写する形態として構成することもできる。これ以外にも、1つの作像ユニット102として、異なる色のトナーによる現像を行うことができる現像装置を複数設置し、1つの感光体ドラムに色の異なる複数トナー像を順次形成する形態の作像ユニットを適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】第1の実施形態に係る清掃装置を用いた帯電装置の要部を示す斜視図である。
【図2】図1の帯電装置を用いた画像形成装置の要部を示す説明図である。
【図3】図2の画像形成装置における作像ユニットを示す断面説明図である。
【図4】図1の清掃装置を用いた帯電装置の要部を模式的に示す説明図である。
【図5】図1の清掃装置を主に示す斜視図である。
【図6】図5の清掃装置を矢印A2方向から見たときの状態を示す側面図である。
【図7】清掃装置の待機停止位置にあるときの状態を示す説明図である。
【図8】図7の清掃装置の要部を矢印A2方向から見たときの状態を示す側面図である。
【図9】第1の清掃パッド及び第2の清掃パッドの構成を示す説明図である。
【図10】清掃装置の待機停止位置から抜け出たとき(清掃時)の状態を示す説明図である。
【図11】図10の清掃装置の要部を矢印A2の方向から見たときの状態を示す側面図である。
【図12】図10の清掃装置における第1の清掃パッド及び第2の清掃パッドと放電ワイヤとの状態を示す説明図である。
【図13】試験結果を示すグラフ図である。
【図14】清掃装置における他の構成例(収容部を設けた構成)を示す要部説明図である。
【図15】図14の構成部分の状態を拡大して示す説明図である。
【符号の説明】
【0099】
1 …清掃装置
2 …帯電装置
3 …第1の清掃パッド(第1の清掃部材)
4 …第2の清掃パッド(第2の清掃部材)
5 …保持移動体
23…コロナ放電ワイヤ(線材)
31…清掃パッド(第1の清掃部材を構成する複数の部材。往路移動時に最後尾となる部材)
32…清掃パッド(第1の清掃部材を構成する複数の部材)
100…画像形成装置
102…作像ユニット
111…感光体ドラム(被帯電体)
A …放電ワイヤの張り渡し方向
A1…往復移動時の往路移動方向
A2…往復移動時の復路移動方向
E1…はみ出し量
【技術分野】
【0001】
この発明は、線材の清掃装置並びにこれを用いた帯電装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コロナ放電を利用した帯電装置における線材を清掃する清掃装置やそれを用いる装置としては、例えば以下のものが知られている。
【0003】
コロナ放電ワイヤを清掃する清掃部材として、研削材とこの研削材の両側に設けたフェルト部材を有するものを使用するとともに、その研削材が放電ワイヤに加える荷重とそのフェルト部材が放電ワイヤへ加える荷重とを異ならしめ、その清掃部材を放電ワイヤに接触させつつ放電ワイヤの長手方向に移動させるコロナ放電ワイヤの清掃装置が知られている(特許文献1)。
【0004】
また、コロナを放電する電極ワイヤに付着した異物を掻き削る手段(第1の清掃手段)と、その掻き削り手段により掻き削られた前記異物が電極ワイヤから除去されるように電極ワイヤを拭き取る手段(第2の清掃手段)と、前記掻き削り手段及び拭き取り手段を保持する手段と、その保持手段を電極ワイヤに沿って移動可能に支持する手段とを具備するコロナ放電装置が知られている(特許文献2)。
【0005】
また、コロナ放電ワイヤを清掃するための、弾性に富むA清掃部材及び研磨材からなるB清掃部材と、前記コロナ放電ワイヤの印加電圧の変動幅を検出する手段と、前記変動幅が設定値を超えた場合に前記B清掃部材により清掃を行い、定期清掃は前記A清掃部材で行う清掃制御手段とを備えた画像形成装置が知られている(特許文献3)。
【0006】
さらに、コロナ放電をなす帯電器の帯電線の張設方向に並設され、その帯電線を挟持しながら移動する複数対の清掃パッドのうち、少なくとも1対以上の第一の清掃パッド対は、他の一対以上の第二の清掃パッド対とは、清掃パッドの帯電線清掃能力(表面特性、研磨能力)が異なるように構成した帯電器用清掃具が知られている(特許文献4)。
【0007】
【特許文献1】特開平2−118586号公報
【特許文献2】特開平9−244357号公報
【特許文献3】特開平11−24375号公報
【特許文献4】特開平11−258891号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、コロナ放電ワイヤ等の線材に付着する付着物を取り除くとともにその取り除いた後の付着物を線材から拭き取ることができ、さらにその拭き取りを行う部材が線材に押圧されることで生じる当該部材の損傷を低減することができる線材の清掃装置、帯電装置及び画像形成装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の放電ワイヤの清掃装置(A1)は、線材に接触して前記線材を清掃する第1の清掃部材と、前記線材を挟んで前記第1の清掃部材に接触して当該線材を拭き取る第2の清掃部材と、前記第1の清掃部材及び第2の清掃部材を保持するとともに前記線材の張り渡し方向に沿って往復移動させる保持移動体とを有し、
前記第2の清掃部材が、前記第1の清掃部材の少なくとも復路移動時の後端部からはみ出して前記線材と接触した状態で配置されていることを特徴とするものである。
【0010】
この発明の清掃装置(A2)は、上記発明A1の清掃装置において、前記第2の清掃部材の前記線材と接触してはみ出す部分の前記はみ出し量が、当該第2の清掃部材の前記線材と接触する部分の寸法の20%以上の比率に相当する長さに設定されているものである。
【0011】
この発明の清掃装置(A3)は、上記発明A1又はA2の清掃装置において、前記第1の清掃部材は、その前記線材の張り渡し方向と直交する方向の幅が前記第2の清掃部材の当該直交する方向の幅よりも広く、当該直交する方向において前記第2の清掃部材の当該直交する方向の両端部からはみ出した状態で配置されているものである。
【0012】
この発明の清掃装置(A4)は、上記発明A1の清掃装置において、前記第1の清掃部材は研磨剤を含有する部材であり、前記第2の清掃部材は空孔率が90%以上の多孔質弾性部材であるものである。
【0013】
この発明の清掃装置(A5)は、上記発明A1又はA4の清掃装置において、前記第2の清掃部材が、前記第1の清掃部材よりも硬度が低い部材であって、当該第1の清掃部材に押されて加圧された状態に保たれているものである。
【0014】
この発明の清掃装置(A6)は、上記発明A1の清掃装置において、前記保持部材のうち少なくとも第2の清掃部材を保持する部分に、前記線材から除去された付着物を収容する収容部を設けているものである。
【0015】
この発明の清掃装置(A7)は、上記発明A1〜A6のいずれかの清掃装置において、前記第1の清掃部材が、前記線材を挟んで反対側の位置に当該放電ワイヤの張り渡し方向に間隔をあけて互いにずれた状態で配置される複数の部材で構成されており、
前記第2の清掃部材は、前記第1の清掃部材のうち少なくとも復路移動時に最後尾となる部材に前記線材を挟んで接触するように設けられているものである。
【0016】
また、この発明の帯電装置(B)は、被帯電体の表面と間隔をあけて張り渡されるように設置されるとともに、当該被帯電体との間に帯電用の電圧が印加される線材と、
前記線材を清掃部材が待機停止位置から当該線材の張り渡し方向に沿って移動した後に折り返して再び待機停止位置に戻るように移動して清掃する清掃装置とを備え、
前記清掃装置は、
線材に接触して前記線材を清掃する第1の清掃部材と、
前記線材を挟んで前記第1の清掃部材に接触して当該線材を拭き取る第2の清掃部材と、
前記第1の清掃部材及び第2の清掃部材を前記待機停止位置では離間させた状態に保持しかつ当該待機停止位置から離れて移動する際に接触させる状態に保持するとともに前記線材の張り渡し方向に沿って往復移動させる保持移動体とを有し、
前記第2の清掃部材が、前記第1の清掃部材の少なくとも前記待機停止位置とは反対側の端部からはみ出して前記線材と接触した状態で配置されていることを特徴とするものである。また、この発明Bの帯電装置は、上記清掃装置が上記発明A2〜A7のいずれかの線材の清掃装置で構成されているものである。
【0017】
さらに、この発明の画像形成装置(C)は、帯電装置による帯電を要する像保持体を備えた作像ユニットを備え、
前記作像ユニットにおける帯電装置は、
被帯電体の表面と間隔をあけて張り渡されるように設置されるとともに、当該被帯電体との間に帯電用の電圧が印加される線材と、
前記線材を清掃部材が待機停止位置から当該線材の張り渡し方向に沿って移動した後に折り返して再び待機停止位置に戻るように移動して清掃する清掃装置とを備え、
前記清掃装置は、
線材に接触して前記線材を清掃する第1の清掃部材と、
前記線材を挟んで前記第1の清掃部材に接触して当該線材を拭き取る第2の清掃部材と、
前記第1の清掃部材及び第2の清掃部材を前記待機停止位置では離間させた状態に保持しかつ当該待機停止位置から離れて移動する際に接触させる状態に保持するとともに前記線材の張り渡し方向に沿って往復移動させる保持移動体とを有し、
前記第2の清掃部材が、前記第1の清掃部材の少なくとも前記待機停止位置とは反対側の端部からはみ出して前記線材と接触した状態で配置されていることを特徴とするものである。また、この発明Cの画像形成装置は、上記帯電装置における清掃装置が上記発明A2〜A7のいずれかの線材の清掃装置で構成されているものである。
【発明の効果】
【0018】
上記発明A1の清掃装置によれば、線材に付着する付着物を取り除くとともにその取り除いた後の付着物を線材から拭き取ることができ、さらにその拭き取りを行う部材が線材に押圧されることで生じる当該部材の損傷を低減することができる。
【0019】
上記発明A2の清掃装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、線材に付着する付着物を取り除いた後に線材から確実に拭き取ることができる。
【0020】
上記発明A3の清掃装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、第1の清掃部材の線材に対する接触圧が高まり、その線材を包み込みやすくなり、粘度の相対的に高い付着物が取り除かれやすくなる。
【0021】
上記発明A4の清掃装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、線材に付着する粘度の相対的に高い付着物と粘度の相対的に低い付着物とが取り除かれやすくなる。
【0022】
上記発明A5の清掃装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、線材が第1の清掃部材よりも第2の清掃部材に多く食い込み、第2の清掃部材における線材との接触面積が増大する。
【0023】
上記発明A6の清掃装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、線材から取り除かれて第2の清掃部材で拭き取られる付着物のうち第2の清掃部材から漏れ出る付着物が回収されて脱落することが防止される。
【0024】
上記発明A7の清掃装置では、その発明の構成を有しない場合に比べて、線材に付着する粘度の相対的に高い付着物が更に取り除かれやすくなるとともに、かかる付着物がその取り除かれた後に線材から適切に拭き取られる。
【0025】
上記発明Bの帯電装置によれば、線材に付着又は残留する付着物に起因した帯電不良の発生を長期にわたり防止することができる。
【0026】
上記発明Cの画像形成装置によれば、線材に付着又は残留する付着物に起因した帯電不良の発生及び画質不良の発生を長期にわたり防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、この発明を実施するための最良の形態(単に「実施形態」という)について添付の図面を参照しながら説明する。
【0028】
[第1の実施形態]
図1及び図2は第1の実施形態に係る線材の清掃装置を用いた帯電装置及び画像形成装置を示すものであり、図1はその清掃装置1を用いた帯電装置2の要部を示し、図2はその帯電装置2を用いた画像形成装置100の要部をそれぞれ示している。
【0029】
画像形成装置100は、図2に示すように、支持フレーム、外装カバー等で構成される筐体101の内部空間に、現像剤としてのトナーで構成されるトナー像を形成して用紙Pに転写する作像ユニット102と、作像ユニット102に供給する用紙Pを収容するとともに搬送する給紙装置103と、作像ユニット102で形成されたトナー像を用紙Pに定着する定着装置104を設置している。この実施形態では、作像ユニット102として、1つのみで構成されるものを例示しているが、複数のもので構成される作像ユニットを使用しても差し支えない。
【0030】
上記作像ユニット102は、例えば公知の電子写真方式を利用して構成されるものであり、図2や図3に示すように、矢印で示す方向(図中において時計回りの方向)に回転駆動する感光体ドラム111と、感光体ドラム111の像形成領域となる周面を所要の電位に帯電させる帯電装置2と、帯電後の感光体ドラム111の表面に画像情報(信号)に基づく光(Bm)を照射して電位差のある静電潜像を形成する露光装置113と、その静電潜像をトナーによりトナー像に現像する現像装置114と、そのトナー像を用紙Pに転写する転写装置115と、転写後の感光体ドラム111の表面に残留するトナー等を除去する清掃装置116とで主に構成されている。
【0031】
このうち感光体ドラム111は、例えば接地された円筒状の導電性基体の外周面に有機感光材料等からなる光誘電層を形成したものである。帯電装置2は、コロナ放電形式の帯電器である。この帯電装置2の詳細については後述する。露光装置113は、画像形成装置100に接続又は装備される原稿読取装置、外部接続機器、記憶媒体読取装置等の画像生成源から入力される画像情報を図示しない画像処理装置で所要の処理をして得られる画像情報に基づく露光を行う。
【0032】
また、現像装置114は、例えばトナーとキャリアを含む現像剤を用い、その現像剤を収容部で回転する攪拌搬送部材114bにより攪拌しながら現像ロール114aを通過させるように搬送して感光体ドラム111と対向する現像領域に供給するものである。転写装置115は、帯電部材として感光体ドラム111に接触して回転する転写ロールを適用したものである。清掃装置116は、感光体ドラム111の周面に接触するクリーニングブレード116aと回転ブラシ116bを接触させる方式のものである。この他、帯電装置2(の放電ワイヤ)、現像装置114(の現像ロール114a)及び転写装置115(の転写ロール)には、作像時になると、図示しない電源装置から帯電用電圧、現像用電圧、転写用電圧がそれぞれ供給される。
【0033】
給紙装置103は、画像の形成に使用する所要のサイズ、種類等からなる複数枚の用紙Pを積み重ねた状態で収容する、トレイ形式、カセット形式等の用紙収容体131と、その用紙収容体131に収容される用紙Pを1枚ずつ搬送路にむけて送り出す送出装置132とを備え、給紙の時期が到来すると、用紙Pを1枚ずつ送り出すようになっている。用紙収容体131は、利用態様に応じて複数装備される。図2における矢付き一点鎖線は、用紙Pの主な搬送路を示す。その搬送路は、図示しない複数の用紙搬送ロール対、搬送ガイド部材等で構成されている。
【0034】
定着装置104は、矢印方向に回転駆動するとともに表面温度が加熱手段により所要の温度に加熱されて保持されるロール形態、ベルト形態等の加熱回転体141と、この加熱回転体141の軸方向にほぼ沿うように所要の圧力で接触して従動回転するロール形態、ベルト形態等の加圧回転体142とを備え、その加熱回転体141と加圧回転体142との間に形成される定着部にトナー像転写後の用紙Pを通過させて定着を行うようになっている。
【0035】
この画像形成装置100による画像形成は、次のようにして行われる。ここでは、用紙Pの片面に画像を形成するときの基本的な画像形成動作を例に挙げて説明する。
【0036】
画像形成装置100では画像形成動作の開始指令を受けると、作像ユニット102において、回転始動する感光体ドラム111の周面がコロナ放電形成期の帯電装置2により所定の極性及び電位に帯電された後、その帯電した感光体ドラム111の周面に露光装置113により画像情報に基づく露光が行われて所要の電位差で構成される静電潜像が形成される。続いて、感光体ドラム111に形成された静電潜像が、現像装置114を通過する際に、その現像ロール114aから供給される所要の極性に帯電された状態のトナーにより現像されてトナー像として顕像化される。
【0037】
しかる後、感光体ドラム111上に形成されたトナー像は、感光体ドラム111の回転により転写装置115と対向する転写位置まで搬送されると、このタイミングに合わせて給紙装置103により搬送路を通して供給される用紙Pに対して転写装置115により転写される。この転写後の各感光体ドラム111の周面は、清掃装置116で清掃される。
【0038】
続いて、トナー像が転写された用紙Pは、感光体ドラム111から剥離されて定着装置104に導入されるように搬送され、その定着装置104における加熱回転体141と加圧回転体142との間の定着部を通過する際に加熱及び加圧されてトナー像が定着される。この定着が終了した後の用紙Pは、定着装置104から排出されて図示しない排紙収容部等に搬送されて収容される。
【0039】
以上により、1枚の用紙Pの片面に対して1色のトナーで構成される単色画像が形成され、基本的な画像形成動作が終了する。複数枚の画像形成動作の指示がある場合には、上記した一連の動作がその枚数分だけ同様に繰り返されることになる。
【0040】
次に、帯電装置2について説明する。
【0041】
帯電装置2は、図1、図3、図4等に示すように、長方形状の天板とその天板の長手方向における両端部から下方に垂れ下がった状態の側板を有した形状からなるシールドケース(覆い部材)20と、シールドケース20の両端部に取り付けられる端部支持体21,22と、この2つの端部支持体21,22との間に、シールドケース20の内部空間を通過してほぼ直線状に張り渡した状態で取り付けられる線材の一例であるコロナ放電ワイヤ23と、シールドケース20の下部開口部に、その開口部を覆い、コロナ放電ワイヤ23と感光体ドラム111の周面との間に存在する状態で取り付けられる格子状の電界調整板(グリッド電極)24とを備える、いわゆるスコロトロン型の帯電装置である。図4中における符号25a,25bは、放電ワイヤ23の端部を取り付ける取付け部を示す。
【0042】
この帯電装置2は、そのコロナ放電ワイヤ23が、感光体ドラム111の周面と所要の間隔(例えば放電ギャップ)をあけて対向する状態でかつ感光体ドラム111の回転軸方向に沿ってその像形成対象領域に少なくとも存在する状態となるように配置される。また、この帯電装置2は、図示しない電源装置から放電ワイヤ23(と感光体ドラム111との間)に帯電用の電圧が印加される。
【0043】
放電ワイヤ23については、コロナ放電を発生して被帯電体である感光体ドラム111の周面を帯電させることができる線材であればよく、例えば、断面の外径が30〜60μmφのタングステン等の金属線が使用される。
【0044】
そして、帯電装置2は、作像時(画像形成動作時)になると、放電ワイヤ23に帯電用の電圧が印加され、これにより放電ワイヤ23と感光体ドラム111の周面との間に電界を形成した状態でコロナ放電を発生し、その結果、感光体ドラム111の周面を帯電させる。この際、感光体ドラム111の帯電電位は電界調整材24により調整される。
【0045】
また、帯電装置2は、その使用に伴ってコロナ放電ワイヤ23に放電生成物、トナーの外添剤等の物質が付着して汚染されることでコロナ放電が十分に又は均一に行われなくなって帯電むら等の帯電不良が発生することがある。このため、この帯電装置2には、放電ワイヤ23に付着する付着物を除去して清掃する放電ワイヤの清掃装置1が装着されている。
【0046】
以下、放電ワイヤの清掃装置1について説明する。
【0047】
清掃装置1は、図5〜図7等に示すように、コロナ放電ワイヤ23に接触する第1の清掃パッド3と、放電ワイヤ23を挟んで第1の清掃パッド3(の一方)に接触する第2の清掃パッド4と、この第1の清掃パッド3及び第2の清掃パッド4とを保持して放電ワイヤ23の張り渡し方向(矢印Aで示す方向)に沿って往復移動させる保持移動体5とを備えている。
【0048】
また、清掃装置1は、その清掃時期でない非清掃時には、帯電装置2における一方(例えば帯電装置後方側)の端部支持体21に接近した待機停止位置(ホームポジション)HPに移動して停止している。一方、その清掃時期には、待機停止位置HPから帯電装置2の他方の端部支持体22に接近した折返し位置TPまで移動した後、再び待機停止位置HPまで戻るように移動するという往復移動がなされる。ここで、清掃装置2の待機停止位置HPから折返し位置TPに向かう矢印A1で示す方向の移動を「往路移動」とし、反対にその折返し位置TPから待機停止位置HPにまで至る矢印A2で示す方向の移動を「復路移動」とする。
【0049】
このような移動を実現する保持移動体5は、帯電装置2のシールドケース20の内部空間内において放電ワイヤ23の上側に位置するように配置される上部枠体51と、シールドケース20の内部空間内において放電ワイヤの下側に位置するように配置されて上部枠体51の下方に取り付けられて合体する下部枠体51とで構成されている。ここで、この実施形態の場合においては、放電ワイヤ23の上側とは感光体ドラム111のある側とは反対の側に相当することにもなり、また、放電ワイヤの下側とは感光体ドラム111のある側に相当することにもなる。
【0050】
上部枠体51は、例えば矩形状の天板とその天板の1組の両端部から下方に垂れ下がった状態の側板を有した形状からなる本体部の天板に、断面L字状に曲がって外部に突出するガイド受け部53を形成している。上部枠体51は、このガイド受け部53を、シールドケース20に放電ワイヤ23の張り渡し方向Aに沿って形成されたほぼ長方形状のガイド孔26の縁部26a(図1参照)に引っ掛けることにより、そのガイド孔26の長手方向に沿って自在に移動するように支持されている。
【0051】
また、上部枠体51は、帯電装置2のシールドケース20の外部(側面部)に放電ワイヤ23の張り渡し方向Aとほぼ平行する状態で設置されるスクリュー型駆動軸61に、ネジ山を介して装着される管状の受動支持部54を当該枠体の一側面側に形成している。上部枠体51は、この受動支持部54が、スクリュー型駆動軸61の正反転する回転駆動により駆動軸61に沿った推進力を受けることにより、矢印A1,A2で示す方向に往復移動するように支持されている。
【0052】
スクリュー型駆動軸61は、棒状の軸61aに螺旋状に巻きつくような突出部61bを設けたものであり、帯電装置2の端部支持体21,22にそれぞれ設けた軸受62、63に対し回転自在に取りけられている。また、スクリュー型駆動軸61は、その一端部に取り付けた軸連結材64を介して回転駆動伝達装置65(図1参照)における連結用の駆動軸と接続され、その回転駆動伝達装置65から回転方向が切り替えられる動力を受けることにより正反転するようになっている。
【0053】
下部枠体52は、例えば矩形状の基板と基板の1組の両端部から上方に立ち上がる側板部を有する形状からなる部材である。この下部枠体52は、例えば、図8に示すように放電ワイヤ23を挟んだ両側の側板外面に突起52nを形成し、その突起52nを上部枠体51の側壁面に形成される引っ掛け孔51a(図5)に上部枠体51の内側から差し入れて引っ掛けることにより、上部枠体51と合体した状態になる。
【0054】
第1の清掃パッド3は、2つの清掃パッド31及び32で構成されている。
【0055】
このような第1の清掃パッド3は、図7、図9等に示すように、その一方の清掃パッド31を、感光体ドラム111の側とは反対の側から放電ワイヤ23に接触するように配置し、また他方の清掃パッド32を、感光体ドラム111の側から放電ワイヤ23に接触するように配置するとともに、一方の清掃パッド31の端部支持体21から離れる側にあって一方の清掃パッド31から間隔Sをあけた状態で配置している。つまり、第1の清掃パッド3は、その一方の清掃パッド31と他方の清掃パッド32について、放電ワイヤ23を挟んで反対側の位置に放電ワイヤ23の張り渡し方向Aに間隔Sをあけて互いにずれた状態で配置している。
【0056】
また、第1の清掃パッド3は、その一方の清掃パッド31を、保持移動体5の上部枠体51において放電ワイヤ23に対し接近及び離間する方向に変位する状態で取り付けている。これは、清掃装置1が非清掃時に待機停止位置TPで停止したときに、清掃パッド31が放電ワイヤ23及び第2の清掃パッド4から離れた状態に保たれる一方で、清掃時のときだけ、清掃パッド31が放電ワイヤ23を挟んで第2の清掃パッド4と接触した状態に保たれるようにするためである。具体的には、図5〜図8等に示すように、上部枠体51に、軸55を中心にして自由端部が放電ワイヤ23に対して接近する方向C1及び離間する方向C2に揺動する揺動材56を設置し、その揺動材56の自由端部56aの下部に形成した保持板部57に、一方の清掃パッド31を取り付けている。軸55は、上部枠体51の側面に形成する軸受孔51b(図5)に差し込まれて支持される。
【0057】
さらに、第1の清掃パッド3は、その他方の清掃パッド32を、保持移動体5の下部枠体52に固定した状態で取り付けている。具体的には、図5〜図7等に示すように、下部枠体52に放電ワイヤ23と対向する基板の上面部52aのほぼ中央部付近に隆起した形態の保持台52bを形成し、その保持部52bの上面に他方の清掃パッド32を取り付けている。
【0058】
第2の清掃パッド4は、保持移動体5の下部枠体52に固定した状態で取り付けている。具体的には、図5〜図8等に示すように、下部枠体52の基板のうち一方の清掃パッド31と放電ワイヤ23を挟んだ状態で接触し得る部位に上面部52aよりも一段下げた形状の凹面部53cを形成し、その凹面部53cに、第2の清掃パッド4を取り付けている。この凹面部53cを形成したのは、第2の清掃パッド4が第1のパッド31との接触時に弾性変形して圧縮される状態をつくりやすくするとともに、第2の清掃パッド4の上面の高さを第1パッド32の上面と揃えるためである。
【0059】
ここで、揺動材56は、清掃時に清掃パッド31が放電ワイヤ23を挟んで第2の清掃パッド4と接触した状態に保たれるようにするため、コイルバネ58により、放電ワイヤ23に接近する方向C2に弾性的に押される力を受けた状態に保たれている。コイルバネ58は、そのコイル部を軸55に装着したうえで、その一方の端部58aを上部枠体51に固定し、その他方の端部58bを保持板部56aの背面側を押さえるように配置するという状態で取り付けられている。
【0060】
また、揺動材56は、非清掃時に清掃パッド31が放電ワイヤ23及び第2の清掃パッド4から離れた状態に保たれるようにするため、清掃装置1が待機停止位置TPにむけて矢印A2で示す方向に移動して停止する過程で、コイルバネ57の押す力に抗して放電ワイヤ23から離間する方向C1に揺動させられる。
【0061】
このときの揺動材56の揺動を実現するため、例えば、揺動材56の軸55で支持される端部から自由端部にむかう下面部に、感光体ドラム111の周面に接近する方向C2に徐々に突出した状態になる傾斜面部59aを有する突出部59を形成している。また、帯電装置2の端部支持体21に、放電ワイヤ23の張り渡し方向Aにほぼ沿って突出した状態で形成されるガイド突片27を形成している。これにより、清掃装置1が待機停止位置TPにむけて矢印A2の方向に移動するときに、突出部59の傾斜面部59aがガイド突片27の曲面状の先端部27aに接触しながら移動することで、揺動材56の自由端部側が上方に(感光体ドラム111から離間する方向C1)持ち上げられるように揺動し始め、また、最終的に突出部59(の頂点部)が水平ガイド面部27bに乗り上げて保持されることで、揺動材56の自由端部側が上方に持ち上げられた状態に保たれる。
【0062】
放電ワイヤ23は、清掃装置1が非清掃時において待機停止位置TPに停止しているときには、図7、図8等に示すように、第1の清掃パッド3(31,32)と第2の清掃パッド4のいずれにも接触しない状態に保たれる。これにより、放電ワイヤ23が、帯電動作時等において感光体ドラム111の周面と所要の間隔をあけた状態に保たれることになっている。図8において符号52c,52dは、下部枠体52の基板面部52aに第2の清掃パッド4の両脇に存在するように形成された突起部である。また符号57c,57dは、揺動材56の保持板部57に第1の清掃パッド31の両脇に存在するとともに、清掃時に揺動材57が前記下部枠体52の突起部52c,52dと接触して第1の清掃パッド31の第2の清掃パッド4に対する接触量を規制する突出高さで形成された接触量規制突起である。
【0063】
第1の清掃パッド3(31,32)としては、研磨剤を含有させた材料で構成されているとともに、図9等に示すように放電ワイヤ23と接触する面が矩形状からなる部材を使用した。具体的には、清掃パッド31、32はいずれも、ホワイトアルミナの研磨剤をエポキシ樹脂等の材料に所要の量だけ混ぜて含有させた材料を使用した。また、その研磨剤を含有させた部材を用いて、放電ワイヤ23の張り渡し方向Aの長さL3が3〜6mm、その張り渡し方向Aと直交(交差角度が例えば85〜95°の範囲となる交差状態)する方向Bの幅W3が5〜8mm、厚さが0.5〜2mmの寸法からなる長方体状の形状に成形したものである。この清掃パッド31,32は、例えば接着剤等により保持板部57や保持台52bに接着して固定される。
【0064】
第2の清掃パッド4としては、空孔率が90%以上の多孔質弾性部材で構成されているとともに、図9等に示すように放電ワイヤ23と接触する面が矩形状からなる部材を使用した。具体的には、ポリウレタンフォーム等の材料を用いて加風方法により製造される材料(空孔率:97%)を用いた。また、その材料を用いて、放電ワイヤ23の張り渡し方向Aの長さL4が6〜7.2mm、その張り渡し方向Aと直交する方向の幅W4が3〜6mm、厚さが2〜4mmの寸法からなる長方体状の形状に成形したものである。また、この清掃パッド4を構成する上記多孔質弾性部材は、第1の清掃パッド3(31)を構成する研磨剤を含有させた部材よりも相対的に柔らかい物性を有している。この清掃パッド4は、例えば接着剤等により凹面部52cに接着して固定される。この多孔質弾性部材の硬度(後記の測定方法による硬度)は、70〜130Nの物性を有している。
【0065】
また、この清掃装置1においては、清掃時において第1の清掃パッド31が放電ワイヤ23を挟んで第2の清掃パッド4に接触したときに、その第2の清掃パッド4が、図9、図10等に示すように、第1の清掃パッド31の往復移動時における両端部31a,31bからはみ出して放電ワイヤ23と接触した状態となるように配置している。ここでは、第1の清掃パッドの端部31aを復路移動時における前端部とし、31bを復路移動時における後端部とする。図9等において符号41,42は、第2の清掃パッド4のうち第1の清掃パッド31の往復移動時における両端部31a,31bからそれぞれはみ出している部分を示し、符号E1,E2はそのはみ出し部分のはみ出し量(長さ)を示す。
【0066】
さらに、この清掃装置1においては、第2の清掃パッド4と接触する第1の清掃パッド31としてその幅W3が第2の清掃パッド4の幅W4よりも広いものを使用しており(図9)、しかも、清掃時において第1の清掃パッド31が放電ワイヤ23を挟んで第2の清掃パッド4に接触したときに、図9、図11に示すように、その第1の清掃パッド31が放電ワイヤ23の張り渡し方向Aと直交する方向Bにおいて、第2の清掃パッド4の当該直交する方向Bの両端部4c,4dからそれぞれはみ出した状態となるように配置している。
【0067】
次に、この清掃装置1の動作について説明する。
【0068】
清掃装置1は、非清掃時には、図4、図5等に示すように帯電装置2の一方の端部支持体21に接近した待機停止位置HPに停止している。
【0069】
この際、清掃装置1における第1の清掃パッド3としての一方の清掃パッド31は、前述したように、それを保持する揺動材56が端部支持体21のガイド突片27との接触により感光体ドラム111の周面から離間する方向C1に揺動した状態となることにより、図6〜図8に示すように放電ワイヤ23及び第2の清掃パッド4の双方から離れた非接触の状態になっている。
【0070】
これにより、帯電装置2の放電ワイヤ23については、清掃装置1の3つの清掃パッド31、32,4のいずれとも接触しない状態となって(図7、図8)、帯電装置2の2つの端部支持体21,22に張り渡された自然の状態におかれ、感光体ドラム111の周面と所要の間隔をあけた状態に保たれることになる(図4等)。
【0071】
そして清掃時になると、清掃装置1は、図4に示すように、待機停止位置HPと折返し位置TPとの間で往復移動する。清掃時期としては、例えば、帯電装置2の帯電動作の前後の時期や、画像形成動作が設定枚数に達した時点や、画質不良の解消を行う作業時期などが挙げられる。
【0072】
まず、前記したスクリュー型回転軸61の回転駆動伝達装置65が所要の方向に回転することにより、清掃装置1が、その回転軸61から推進力を受ける受動支持部54を介して折返し位置TPにむけて移動し始める。つまり、清掃装置1の往路移動が開始される。
【0073】
この際、清掃装置1における第1の清掃パッド3としての一方の清掃パッド31は、前述したように、それを保持する揺動材56が端部支持体21のガイド突片27との接触から開放されて感光体ドラム111の周面に接近する方向C2に揺動した状態となることにより、図10〜図12に示すように放電ワイヤ23を挟んで第2の清掃パッド4と接触した状態になる。
【0074】
詳しくは、第1の清掃パッド3としての一方の清掃パッド31は、最初に、放電ワイヤ23にその上側から接触し、その放電ワイヤ23を第2の清掃パッド4の上面4a(図7)に接近させるような状態で下方に押し下げる。この際、清掃パッド31は、放電ワイヤ23が第1の清掃パッド3としての他方の清掃パッド32の上面32a(図7)に接触するまで押し下げる。
【0075】
引き続き、清掃パッド31は、コイルバネ58の押す力を受けて矢印C2の方向に揺動する揺動材56により押されて、放電ワイヤ23を挟んだ状態で更に第2の清掃パッド4を押して加圧した状態で下方に変位する。この際、清掃パッド31の下方への変位は、揺動材56の保持板部57における接触量規制突起57c,57dが、下部枠体52における突起部52c,52dに接触するまで続けられる。
【0076】
この結果、放電ワイヤ23は、図10、図12に示すように、一方の清掃パッド31の下面31d(図7)が他方の清掃パッド32の上面32aよりも下方の位置まで下降することで共に押し下げられるので、他方の清掃パッド32の上面32aと一方の清掃パッド31の下面31dとの間で屈曲した状態に保たれる。この際、一方の清掃パッド31が放電ワイヤ23の上側から接触した状態になり、他方の清掃パッド32が放電ワイヤ23の下側から接触した状態になる。またこれと同時に、第2の清掃パッド4が、一方の清掃パッド31に接触するとともに放電ワイヤ23にその下側から接触した状態になる。図12における符号23aは、放電ワイヤの屈曲している部分である。
【0077】
また、第2の清掃パッド4は、図10や図12に示すように、第1の清掃パッド3としての一方の清掃パッド31により押された部分が、弾性変形して圧縮された状態になる。一方、第2の清掃パッド4のうち一方の清掃パッド31における放電ワイヤ23の張り渡し方向Aの前後端部31a,31bからはみ出している部分41,42は、放電ワイヤ23と接触する一部を除いて、わずかに弾性変形する程度にとどまる(図11、図12)。放電ワイヤ23が接触する部分43は、図11に示すように放電ワイヤ23が一方の清掃パッド31に押し下げられて埋められるようなV字状の谷部を形成するように弾性変形した状態になる。
【0078】
そして、清掃装置1は、その第1の清掃パッド3(31,32)と第2の清掃パッド4が上記したような状態になったうえで折返し位置TPまで矢印A1で示す方向に往時移動した後、再び待機停止位置HPに戻るように矢印A2で示す方向に復路移動する。
【0079】
これにより、放電ワイヤ23は、第1の清掃パッド3としての2つの清掃パッド31,32により屈曲した状態にされつつその清掃パッド31,32が放電ワイヤ23の上側及び下側から接触した状態で移動することで、そのワイヤ表面が摺擦されて清掃される。この第1の清掃パッド3によっては、特に放電ワイヤ23に付着する放電生成物等の粘度が相対的に高い付着物が削られるようにして取り除かれる。
【0080】
また、放電ワイヤ23は、第2の清掃パッド4が清掃パッド31により圧縮された状態でワイヤの下側から接触して移動することで、そのワイヤ表面が摺擦されて清掃される。この第2の清掃パッド4によっては、特に放電ワイヤ23に付着する放電生成物トナー粒子に外添される外添剤等の粘度が相対的に低い付着物が拭き取られる。この際、第2の清掃パッド4は、単独で放電ワイヤ23に接触しているのではなく、第1のパッド3としての一方の清掃パッド31に対向して接触した状態で配置されていることで、放電ワイヤ23との接触による亀裂等の損傷の発生が少ない。
【0081】
さらに、この清掃装置1では、図10〜図12に示すように、第2の清掃パッド4のはみ出し部分41,42が放電ワイヤ23と接触する。これにより、第1の清掃パッド3(31,32)で取り除かれた放電生成物等の付着部が放電ワイヤ23に残留していても、その第2の清掃パッド4のはみ出し部分41,42に捕獲されて拭き取られる。
【0082】
特に第2の清掃パッド4のはみ出し部分41は、清掃装置1の復路移動時に放電ワイヤ23に最後に接触して移動するため、放電ワイヤ23の表面に取り除かれた後に残留して付着する付着物を捕獲する。また、第2の清掃パッド4が空孔率の高い多孔質弾性部材で構成されていることで、空隙が多く存在し、その捕獲した残留付着物が空隙に収容されるような状態で捕獲される。
【0083】
この他、この清掃装置1では、第2の清掃パッド4が幅(W3)の広い第1の清掃パッド3としての清掃パッド31により放電ワイヤ23を挟んだ状態で押されて確実に圧縮されるようになり、第2の清掃パッド4の放電ワイヤ23との接触圧が高められる。これにより、第2の清掃パッド4による放電ワイヤ23の高い清掃能力が得られる。しかも、第2の清掃パッド4は、図11に示すように、下部枠体52の凹面部53cにおいてそのパッドの幅(W4)と同じ幅で隆起する保持台52eに保持されていることで、清掃パッド31の加圧力をパッド全体に受ける。この結果、放電ワイヤ23からかかる力は清掃パッド31が吸収する(受け止める)ので、第2の清掃パッド4は放電ワイヤ23と接触していても亀裂等の破損が少ない。
【0084】
清掃装置1は、往路移動により待機停止位置HPまで移動して停止することにより、その清掃動作を終了する。この清掃装置1では、その清掃動作を長期にわたり繰り返して行った場合でも、特に第の清掃パッド4が第1の清掃パッド3より硬度の低い部材であるにもかかわらず、その清掃パッド4には放電ワイヤ23との接触(摺擦)による破損が発生しにくい。
【0085】
この清掃装置1で清掃された帯電装置2は、その放電ワイヤ23が粘度の異なるような異種の付着物も良好に取り除かれて清掃されるとともに、特に取り除かれた付着物が残留していることがない。この結果、この清掃後の帯電装置2によって行われる帯電では、放電ワイヤ23に付着又は残留する付着物の存在に起因した帯電ムラ、帯電不足等の帯電不良が発生することが殆どない。
【0086】
またこれにより、この清掃装置1を備えた帯電装置2を使用する画像形成装置100においても、上記の帯電不良に起因した筋、背景部へのかぶり等の画像不良が発生することが殆どない。
【0087】
図13は、この清掃装置1において、第1の清掃パッド4のはみ出し部分41(往路移動時の後端となる側のはみ出し部分)のはみ出し量を変更したときの放電ワイヤ23の清掃結果(クリーニング性)について調べた試験の結果を示すものである。
【0088】
この試験は、帯電装置2に取り付けて同じ条件でコロナ放電を発生させることで汚れた放電ワイヤ23を清掃装置1で清掃した後、その放電ワイヤ23の放電分布の乱れを測定するという内容で行った。図13の横軸に示すはみ出し量(%)は、はみ出し部分41のはみ出した長さE1の第1の清掃パッド31の長さL3(図9)に対する百分率で示したものである。このはみ出し量が負の値のものは、第1の清掃パッド31を第2の清掃パッド4からはみ出し状態に設置した場合を示す。また、クリーニング性については、放電ワイヤ23の放電分布における最低電圧値と最高電圧値の差を測定して、その結果を以下の基準で評価したものである。
1:41〜50V
2:31〜40V
3:21〜30V
4:11〜20V
5:1〜10V
6:0V
【0089】
図13に示す結果から、第1の清掃パッド4のはみ出し部分41については、そのはみ出し量を特に20%以上になる値に設定すると、良好な結果が安定して得られることが確認できる。
【0090】
[他の実施形態]
第1の実施形態に係る清掃装置1においては、図14及び図15に示すように、第2の清掃パッド4を保持する下部枠体52における凹面部52cに、放電ワイヤ23から除去される付着物の一部8を収容する収容部71を設けることができる。図14に示す収容部71は、凹面部52cの復路移動時の後方となる方向(矢印A1で示す方向)に延長するように突出させた状態で、周囲を壁で囲まれた収容凹部72を有する形態のものである。
【0091】
この収容部71は、清掃装置1における第2の清掃パッド4で捕獲される付着物のうちその清掃パッド4から漏れ出る(こぼれ出る)付着物の一部8が発生しても、その付着物の一部8がその収容凹部72に落下して収容される。これにより、かかる付着物の一部8が、被帯電体である感光体ドラム111の周面に脱落することが防止される。例えば、第2の清掃パッド4として前記した空孔率が90%以上の多孔質弾性部材で構成したものを使用する場合には、その空隙に捕獲された付着物の一部8が互いに連続した状態にあることが多い空隙の一部から漏れ出ることもあり得るので、そのような収容部71を設けることは有益である。
【0092】
また、清掃装置1における第1の清掃パッド3及び第2の清掃パッド4としては、他の部材から構成されるものを使用することができる。例えば、第1の清掃パッド3としては、合成樹脂にアルミナ、ガラス繊維等の研磨剤を付着させたような部材で構成されるものを使用できる。第2の清掃パッド4としては、フェルト、不織布等の繊維交絡材などを使用することができる。特に第2の清掃パッド4としては、第1の清掃パッド3の部材よりも硬度が低い物性を有する部材を使用する。ここで、硬度は、第1の清掃パッド3及び第2の清掃パッド4とも、JIS−K−6400の測定方法に準拠した方法で測定したものである。第2の清掃パッド4の部材としては、第1の清掃パッド3よりも硬度が60N以上低いものを使用する。
【0093】
また、第1の実施形態に係る清掃装置1では、第2の清掃パッド4を第1の清掃パッド31の往復移動方向A1、A2における両端部31a,31bの双方からはみ出させて2つのはみ出し部分41,42が存在するように設置したが、第1の清掃パッド31の復路移動時における前端部31aからはみ出させてはみ出した部分41だけが存在するよう設置することもできる。
【0094】
また、第1の実施形態に係る清掃装置1では、第1の清掃パッド31として、第2の清掃パッド4よりも幅(W3)が広いものを使用し、放電ワイヤ23の張り渡し方向Aと直交する方向Bにおいて第1の清掃パッド31の両端部が第2の清掃パッド4におけるその直交する方向Bにおける両端部から共にはみ出した状態で配置したが、第2の清掃パッド4におけるその直交する方向Bにおける一方の端部のみからはみ出した状態で配置することもできる。この清掃装置1は、コロナ放電ワイヤ23以外の線材を清掃するために適用することも可能である。
【0095】
さらに、第1の実施形態に係る清掃装置1では、第1の清掃パッド31として、2つの清掃パッド31,32で構成されるものを使用したが、その他方の清掃パッド32を使用せずに第2の清掃パッド4と接触する側の1つの清掃パッド31のみで構成されるものを使用することもできる。また、第1の清掃パッド31としては、3以上の清掃パッドで構成されるものを使用することも可能であるが、その場合は、その3以上の清掃パッドについて、放電ワイヤ23を挟んで反対側の位置に放電ワイヤ23の張り渡し方向Aに間隔(S)をあけて互いにずれた状態で配置したうえで、その3以上の清掃パッドのうち少なくとも復路移動時に最後尾となる清掃パッドに対して第2の清掃パッド4を放電ワイヤ23を挟んで接触させるように設置する。また、第1の清掃パッド31が複数の清掃パッドで構成される場合は、その複数の清掃パッドのうち2以上の清掃パッドに対して第2の清掃パッド4を放電ワイヤ23を挟んで接触させるように設置することも有効である。
【0096】
この他、帯電装置2については、グリッド電極24を設置しない形式の帯電装置、いわゆるコロトロン型の帯電装置として構成することもできる。また例えば、コロトロン型の帯電装置については、感光体ドラム以外の被帯電体を帯電させる帯電装置として使用することができる他、コロナ放電を利用する転写装置、剥離装置等として使用することもできる。
【0097】
また、画像形成装置100については、作像ユニット102として複数のものを使用して異なる色のトナー像を作像するように構成することもできる。この場合、各作像ユニット102における感光体ドラムの周面に形成されるトナー像は、例えば、その各作像ユニット102における感光体ドラムと転写装置の間の転写位置を連続して通過するように配置されるベルト状又はドラム状の中間転写体に重ね合わせるように転写した後に、その中間転写体から用紙に一括して転写する形態として構成することができる。また、各作像ユニット102における上記転写位置を連続して通過するように配置されるベルト状又はドラム状の用紙搬送転写体で搬送される用紙に重ね合わせるように転写する形態として構成することもできる。これ以外にも、1つの作像ユニット102として、異なる色のトナーによる現像を行うことができる現像装置を複数設置し、1つの感光体ドラムに色の異なる複数トナー像を順次形成する形態の作像ユニットを適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】第1の実施形態に係る清掃装置を用いた帯電装置の要部を示す斜視図である。
【図2】図1の帯電装置を用いた画像形成装置の要部を示す説明図である。
【図3】図2の画像形成装置における作像ユニットを示す断面説明図である。
【図4】図1の清掃装置を用いた帯電装置の要部を模式的に示す説明図である。
【図5】図1の清掃装置を主に示す斜視図である。
【図6】図5の清掃装置を矢印A2方向から見たときの状態を示す側面図である。
【図7】清掃装置の待機停止位置にあるときの状態を示す説明図である。
【図8】図7の清掃装置の要部を矢印A2方向から見たときの状態を示す側面図である。
【図9】第1の清掃パッド及び第2の清掃パッドの構成を示す説明図である。
【図10】清掃装置の待機停止位置から抜け出たとき(清掃時)の状態を示す説明図である。
【図11】図10の清掃装置の要部を矢印A2の方向から見たときの状態を示す側面図である。
【図12】図10の清掃装置における第1の清掃パッド及び第2の清掃パッドと放電ワイヤとの状態を示す説明図である。
【図13】試験結果を示すグラフ図である。
【図14】清掃装置における他の構成例(収容部を設けた構成)を示す要部説明図である。
【図15】図14の構成部分の状態を拡大して示す説明図である。
【符号の説明】
【0099】
1 …清掃装置
2 …帯電装置
3 …第1の清掃パッド(第1の清掃部材)
4 …第2の清掃パッド(第2の清掃部材)
5 …保持移動体
23…コロナ放電ワイヤ(線材)
31…清掃パッド(第1の清掃部材を構成する複数の部材。往路移動時に最後尾となる部材)
32…清掃パッド(第1の清掃部材を構成する複数の部材)
100…画像形成装置
102…作像ユニット
111…感光体ドラム(被帯電体)
A …放電ワイヤの張り渡し方向
A1…往復移動時の往路移動方向
A2…往復移動時の復路移動方向
E1…はみ出し量
【特許請求の範囲】
【請求項1】
線材に接触して前記線材を清掃する第1の清掃部材と、
前記線材を挟んで前記第1の清掃部材に接触して当該線材を拭き取る第2の清掃部材と、
前記第1の清掃部材及び第2の清掃部材を保持するとともに前記線材の張り渡し方向に沿って往復移動させる保持移動体とを有し、
前記第2の清掃部材が、前記第1の清掃部材の少なくとも復路移動時の後端部からはみ出して前記線材と接触した状態で配置されていることを特徴とする線材の清掃装置。
【請求項2】
前記第2の清掃部材の前記線材と接触してはみ出す部分の前記はみ出し量が、当該第2の清掃部材の前記線材と接触する部分の寸法の20%以上の比率に相当する長さに設定されていることを特徴とする請求項1に記載の放電ワイヤの清掃装置。
【請求項3】
前記第1の清掃部材は、その前記線材の張り渡し方向と直交する方向の幅が前記第2の清掃部材の当該直交する方向の幅よりも広く、当該直交する方向において前記第2の清掃部材の当該直交する方向の両端部からはみ出した状態で配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の放電ワイヤの清掃装置。
【請求項4】
前記第1の清掃部材は研磨剤を含有する部材であり、前記第2の清掃部材は空孔率が90%以上の多孔質弾性部材であることを特徴とする請求項1に記載の放電ワイヤの清掃装置。
【請求項5】
前記第2の清掃部材は、前記第1の清掃部材よりも硬度が低い部材であって、当該第1の清掃部材に押されて加圧された状態に保たれていることを特徴とする請求項1又は4に記載の放電ワイヤの清掃装置。
【請求項6】
前記保持部材のうち少なくとも第2の清掃部材を保持する部分に、前記線材から除去された付着物を収容する収容部を設けていることを特徴とする請求項1に記載の放電ワイヤの清掃装置。
【請求項7】
前記第1の清掃部材は、前記線材を挟んで反対側の位置に当該放電ワイヤの張り渡し方向に間隔をあけて互いにずれた状態で配置される複数の部材で構成されており、
前記第2の清掃部材は、前記第1の清掃部材のうち少なくとも復路移動時に最後尾となる部材に前記線材を挟んで接触するように設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の放電ワイヤの清掃装置。
【請求項8】
被帯電体の表面と間隔をあけて張り渡されるように設置されるとともに、当該被帯電体との間に帯電用の電圧が印加される線材と、
前記線材を清掃部材が待機停止位置から当該線材の張り渡し方向に沿って移動した後に折り返して再び待機停止位置に戻るように移動して清掃する清掃装置とを備え、
前記清掃装置は、
線材に接触して前記線材を清掃する第1の清掃部材と、
前記線材を挟んで前記第1の清掃部材に接触して当該線材を拭き取る第2の清掃部材と、
前記第1の清掃部材及び第2の清掃部材を前記待機停止位置では離間させた状態に保持しかつ当該待機停止位置から離れて移動する際に接触させる状態に保持するとともに前記線材の張り渡し方向に沿って往復移動させる保持移動体とを有し、
前記第2の清掃部材が、前記第1の清掃部材の少なくとも前記待機停止位置とは反対側の端部からはみ出して前記線材と接触した状態で配置されていることを特徴とする帯電装置。
【請求項9】
帯電装置による帯電を要する像保持体を備えた作像ユニットを備え、
前記作像ユニットにおける帯電装置は、
被帯電体の表面と間隔をあけて張り渡されるように設置されるとともに、当該被帯電体との間に帯電用の電圧が印加される線材と、
前記線材を清掃部材が待機停止位置から当該線材の張り渡し方向に沿って移動した後に折り返して再び待機停止位置に戻るように移動して清掃する清掃装置とを備え、
前記清掃装置は、
線材に接触して前記線材を清掃する第1の清掃部材と、
前記線材を挟んで前記第1の清掃部材に接触して当該線材を拭き取る第2の清掃部材と、
前記第1の清掃部材及び第2の清掃部材を前記待機位置では離間させた状態に保持しかつ当該待機位置から離れて移動する際に接触させる状態に保持するとともに前記線材の張り渡し方向に沿って往復移動させる保持移動体とを有し、
前記第2の清掃部材が、前記第1の清掃部材の少なくとも前記待機停止位置とは反対側の端部からはみ出して前記線材と接触した状態で配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
線材に接触して前記線材を清掃する第1の清掃部材と、
前記線材を挟んで前記第1の清掃部材に接触して当該線材を拭き取る第2の清掃部材と、
前記第1の清掃部材及び第2の清掃部材を保持するとともに前記線材の張り渡し方向に沿って往復移動させる保持移動体とを有し、
前記第2の清掃部材が、前記第1の清掃部材の少なくとも復路移動時の後端部からはみ出して前記線材と接触した状態で配置されていることを特徴とする線材の清掃装置。
【請求項2】
前記第2の清掃部材の前記線材と接触してはみ出す部分の前記はみ出し量が、当該第2の清掃部材の前記線材と接触する部分の寸法の20%以上の比率に相当する長さに設定されていることを特徴とする請求項1に記載の放電ワイヤの清掃装置。
【請求項3】
前記第1の清掃部材は、その前記線材の張り渡し方向と直交する方向の幅が前記第2の清掃部材の当該直交する方向の幅よりも広く、当該直交する方向において前記第2の清掃部材の当該直交する方向の両端部からはみ出した状態で配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の放電ワイヤの清掃装置。
【請求項4】
前記第1の清掃部材は研磨剤を含有する部材であり、前記第2の清掃部材は空孔率が90%以上の多孔質弾性部材であることを特徴とする請求項1に記載の放電ワイヤの清掃装置。
【請求項5】
前記第2の清掃部材は、前記第1の清掃部材よりも硬度が低い部材であって、当該第1の清掃部材に押されて加圧された状態に保たれていることを特徴とする請求項1又は4に記載の放電ワイヤの清掃装置。
【請求項6】
前記保持部材のうち少なくとも第2の清掃部材を保持する部分に、前記線材から除去された付着物を収容する収容部を設けていることを特徴とする請求項1に記載の放電ワイヤの清掃装置。
【請求項7】
前記第1の清掃部材は、前記線材を挟んで反対側の位置に当該放電ワイヤの張り渡し方向に間隔をあけて互いにずれた状態で配置される複数の部材で構成されており、
前記第2の清掃部材は、前記第1の清掃部材のうち少なくとも復路移動時に最後尾となる部材に前記線材を挟んで接触するように設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の放電ワイヤの清掃装置。
【請求項8】
被帯電体の表面と間隔をあけて張り渡されるように設置されるとともに、当該被帯電体との間に帯電用の電圧が印加される線材と、
前記線材を清掃部材が待機停止位置から当該線材の張り渡し方向に沿って移動した後に折り返して再び待機停止位置に戻るように移動して清掃する清掃装置とを備え、
前記清掃装置は、
線材に接触して前記線材を清掃する第1の清掃部材と、
前記線材を挟んで前記第1の清掃部材に接触して当該線材を拭き取る第2の清掃部材と、
前記第1の清掃部材及び第2の清掃部材を前記待機停止位置では離間させた状態に保持しかつ当該待機停止位置から離れて移動する際に接触させる状態に保持するとともに前記線材の張り渡し方向に沿って往復移動させる保持移動体とを有し、
前記第2の清掃部材が、前記第1の清掃部材の少なくとも前記待機停止位置とは反対側の端部からはみ出して前記線材と接触した状態で配置されていることを特徴とする帯電装置。
【請求項9】
帯電装置による帯電を要する像保持体を備えた作像ユニットを備え、
前記作像ユニットにおける帯電装置は、
被帯電体の表面と間隔をあけて張り渡されるように設置されるとともに、当該被帯電体との間に帯電用の電圧が印加される線材と、
前記線材を清掃部材が待機停止位置から当該線材の張り渡し方向に沿って移動した後に折り返して再び待機停止位置に戻るように移動して清掃する清掃装置とを備え、
前記清掃装置は、
線材に接触して前記線材を清掃する第1の清掃部材と、
前記線材を挟んで前記第1の清掃部材に接触して当該線材を拭き取る第2の清掃部材と、
前記第1の清掃部材及び第2の清掃部材を前記待機位置では離間させた状態に保持しかつ当該待機位置から離れて移動する際に接触させる状態に保持するとともに前記線材の張り渡し方向に沿って往復移動させる保持移動体とを有し、
前記第2の清掃部材が、前記第1の清掃部材の少なくとも前記待機停止位置とは反対側の端部からはみ出して前記線材と接触した状態で配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−102273(P2010−102273A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−276160(P2008−276160)
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月27日(2008.10.27)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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