説明

線維筋痛症及び関連する他の障害の治療のためのプレガバリン及びその誘導体

本発明は、R1が炭素原子1〜5個の直鎖若しくは分岐鎖の非置換アルキル、非置換フェニル、又は炭素原子3〜6個の非置換シクロアルキルであり、R2が水素又はメチルであり、そして、R3が水素、メチル、若しくはカルボキシルである、式により表される化合物、或いは薬剤として許容可能なその塩を投与することによる、哺乳動物における線維筋痛症及び他の障害の治療方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルシウムチャンネルアルファ2デルタリガンド(「α2δリガンド」又は「アルファ2デルタリガンド」)としての活性を示す一定の化合物を投与することによって、多様な中枢神経系の障害及び他の障害を治療する方法に関する。そのような化合物は、カルシウムチャンネルのα2δサブユニットに親和性を有する。そのような化合物はまた、文献中でガンマ−アミノブチル酸(GABA)アナログと称されてきた。
【背景技術】
【0002】
数個のアルファ2デルタリガンドが知られている。環状アルファ2デルタリガンドである、ガバペンチン(Gabapentin)は、現在商業的に入手可能であり(Neurontin(登録商標)、Warner-Lambert Company)、かつ、てんかん及び神経因性疼痛の治療のために臨床で広く使用されている。そのような環状アルファ2デルタリガンドは、1977年5月17日に付与された米国特許第4,024,175号及び1978年5月2日に付与された米国特許第4,087,544号に記載されている。他の系列のアルファ2デルタリガンドは、1996年10月8日に付与された米国特許第5,563,175号、2001年11月13日に付与された米国特許第6,316,638号、2002年1月31日に出願された米国仮出願第60/353,632号、2002年11月2日に出願された同第60/248,630号、2002年10月28日に出願された同第60/421,868号、2002年9月25日に出願された同第60/413,856号、2002年9月16日に出願された同第60/411、493号、2002年10月28日に出願された同第60/421,866号、2003年1月22日に出願された同第60/441,825号、2003年3月7日に出願された同第60/452,871号、2001年7月4日に発行されたヨーロッパ特許出願第EP1112253号、1999年2月25日に公開されたPCT国際特許出願公開第WO99/08671号、1999年12月2日に発行された同第WO99/61424号に記載されている。これらの特許及び特許出願はそっくりそのまま本明細書中に参考文献として援用されている。
【0003】
以下に定義される式Iの化合物を含むアルファ2ベータリガンドのさらなる用途は、2002年12月13日に出願された米国仮出願第60/433,491号中に記載される。上記出願は、そっくりそのまま本明細書中に参考文献として援用されている。
【発明の開示】
【0004】
発明の要約
本発明は、哺乳動物、好ましくはヒトにおける線維筋痛症の治療方法であって、そのような治療を必要とする哺乳動物に、以下の式I:
【化1】

{式中、
R1は、炭素原子1〜5個の直鎖又は分岐鎖の非置換アルキル、非置換フェニル、又は炭素原子3〜6個の非置換シクロアルキルであり;
R2は、水素又はメチルであり;そして
R3は、水素、メチル、又はカルボキシルである。}
により表されるアルファ2デルタリガンド又は薬剤として許容可能なその塩の治療的有効量を投与することを含む、前記方法に関する。
【0005】
線維筋痛症(FM)は、主に広範囲の痛み、リフレッシュされない睡眠、不快感、及び疲労に特徴を有する慢性症候群である。線維筋痛症の一般的な合併症である他の症候群は、なかでも過敏性腸症候群、偏頭痛、抑うつ及び不眠症である。単一の薬理学的作用物質による線維筋痛症の治療はあまり成功しておらず、臨床試験の結果は失望に値するものであった。線維筋痛症に関与するメカニズム及び経路に関する最近の理解に基づいて、主な症状である痛み、睡眠障害、不快感、及び疲労を対象とする複数の作用物質が必要であると考えられる。線維筋痛症患者は、しばしば薬物の副作用に敏感であり、これはおそらくこの障害の病態生理学に関連している特徴である(Barkhuizen A, Rational and Targeted pharmacologic treatment of fibromyalgia. Rheum Dis Clin N Am 2002; 28: 261-290; Leventhal LJ. Management of fibromyalgia. Ann Intern Med 1999; 131: 850-8)。
【0006】
線維筋痛症が複数の面を有する複雑な障害である一方、この複雑性は、十分に評価されることができる(Yunus MB, A comprehensive medical evaluation of patients with firbromyalgia syndrome, Rheum Dis Clin N Am 2002; 28:201-217)。FMの診断は通常、米国リューマチ学会の分類基準(American College of Rheumatology classification criteria)(Bennett RM, The rational management of fibromyalgia patients. Rheum Dis Clin N Am 2002; 28: 181-199; Wolfe F, Smythe HA, Yunus MB, Bennett RM, Bombardier C, Goldenberg DL, et al. The American College of Rheumatology 1990 criteria for the classification of fibromyalgia: Report of the Multicenter Criteria Committee. Arthritis Rheum 1990; 33: 160-72)の1990年の勧告に基づく。線維筋痛症の評価、管理及び薬理学的治療が考察された(Barkhuizen A, Rational and Targeted pharmacologic treatment of fibromyalgia. Rheum Dis Clin N Am 2002; Buskila D, Fibromyalgia, chronic fatigue syndrome and myofacial pain syndrome. Current opinions in Rheumatology 2001; 13: 117-127; Leventhal LJ. Management of fibromyalgia. Ann Intern Med, A comprehensive medical evaluation of patients with fibromyalgia syndrome, Rheum Dis N Am 2002; 28: 201-217)。
【0007】
本発明のより特別な方法は、式Iにより表される化合物又は薬剤として許容可能なその塩が、疲労、頭痛、首の痛み、背痛、肢痛、関節痛、腹部の痛み、腹部の膨張、腹鳴、神経性の下痢、から選ばれる1つ以上の体性の症状、及び一般化された不安性障害(例えば、過度の不安及び心配(不安に満ちた予想)であって、少なくとも6ヶ月以内に起こる事柄の数及び効果、心配を制御することの困難性などに関するもの)に関連する症状を伴う線維筋痛症を治療するためにヒトに投与される、線維筋痛症の上記治療方法に関する。Diagnostic and Statistical manual of Mental Disorders, Fourth Edition(DSM-IV), American Psychiatric Association, Washington, D.C., May 1194, pp. 435-436 及び 445-469を参照のこと。
【0008】
本発明はまた、哺乳動物における以下の:不眠症(例えば、神経生理学的及び突発性の不眠症を含む一次的不眠症、むずむず脚症候群、パーキンソン病又は他の慢性の障害に対する二次的な不眠症を含む二次的不眠症、並びに一過性の不眠症)、夢遊病、断眠、REM睡眠障害、睡眠時無呼吸症候群、過眠症、睡眠随伴症、睡眠覚醒周期障害、時差ぼけ、ナルコレプシー、交代勤務又は不規則な労働スケジュールに関連する睡眠障害、薬物又は他の原因により生じる徐波睡眠の減少による睡眠の質の不足、及び他の睡眠障害からなる群から選ばれる障害又は症状を治療するための方法であって、そのような治療を必要とする哺乳動物に式Iの化合物又は薬剤として許容可能なその塩の治療的有効量を投与することを含む上記方法にも関する。
【0009】
本発明はまた、ヒトである対象における徐波睡眠を増加させる方法であって、そのような治療を必要とするヒト対象に、式Iの化合物又は薬剤として許容可能なその塩の治療的有効量を投与することを含む、上記方法にも関する。
【0010】
本発明はまた、ヒト対象における成長ホルモン分泌を増加させる方法であって、そのような治療を必要とするヒト対象に、式Iの化合物又は薬剤として許容可能なその塩の治療的有効量を投与することを含む、上記方法にも関する。
【0011】
本発明はまた、ヒト対象における徐波睡眠を増加させる方法であって、そのような治療を必要とするヒト対象に以下の:
(a)式Iの化合物又は薬剤として許容可能なその塩;及び
(b)ヒト成長ホルモン又はヒト成長ホルモン分泌促進物質或いは薬剤として許容可能なその塩;
を投与することを含み、ここで、活性物質「a」及び「b」の量が、徐波睡眠を増加させることにおいてその組み合わせが有効となるように選択される、上記方法にも関する。
【0012】
本発明のより特異的な実施態様は、採用される上記ヒト成長ホルモン分泌促進物質が、2‐アミノ‐N‐[2‐(3a‐ベンジル‐2‐メチル‐3‐オキソ‐2,3,3a,4,6,7‐ヘキサヒドロピラゾール[4,3‐c]ピリジン‐5‐イル)‐1‐ベンジロキシメチル‐2‐オキソ‐エチル]‐2‐メチル‐プロピオンアミドである上記方法に関する。
【0013】
本発明はまた、モルヒネ又は他のオピオイド系催眠物質或いはベンゾジアゼピンのような、徐波睡眠を減少させる活性医薬品で治療されているヒト対象において徐波睡眠を増加させる方法であって、そのような治療を必要とするヒト対象に、以下の:
(a)式Iの化合物又は薬剤として許容可能なその塩;及び
(b)ヒト成長ホルモン又はヒト成長ホルモン分泌促進物質或いは薬剤として許容可能なその塩;
を投与することを含み、ここで、活性物質「a」及び「b」の量が、徐波睡眠を増加させることにおいてその組み合わせが有効となるように選択される、上記方法にも関する。
【0014】
本発明のより特別な実施態様は、採用される上記ヒト成長ホルモン分泌促進物質が2‐アミノ‐N‐[2‐(3a‐ベンジル‐2‐メチル‐3‐オキソ‐2,3,3a,4,6,7‐ヘキサヒドロピラゾール[4,3‐c]ピリジン‐5‐イル)‐1‐ベンジロキシメチル‐2‐オキソ‐エチル]‐2‐メチル‐プロピオンアミドである、上記方法にも関する。
【0015】
本発明はまた、モルヒネ又は他のオピオイド系催眠物質のような、徐波睡眠を減少させる活性医薬品で治療されているヒト対象において徐波睡眠を増加させる方法であって、そのようなヒト対象に、上記で定義された式Iの化合物又は薬剤として許容可能なその塩の徐波睡眠を増加させる有効量を投与することを含む、上記方法にも関する。
【0016】
本発明はまた、哺乳動物、好ましくはヒトにおける過敏性腸症候群の治療方法であって、そのような治療を必要とするヒト対象に、式Iの化合物又は薬剤として許容可能なその塩の有効量を投与することを含む、上記方法にも関する。
【0017】
本発明はまた、哺乳動物における、以下の:広場恐怖を伴うか又は伴わないパニック障害、パニック障害の病歴を伴わない広場恐怖、(特別な動物恐怖などの)特別な恐怖、社会不安障害、社会恐怖、強迫性障害(OCD)、並びに外傷後ストレス障害及び急性のストレス障害を含むストレス障害から成る群から選ばれる障害又は症状の治療方法にも関し、そのような治療を必要とする哺乳動物に式Iの化合物又は薬剤として許容可能なその塩の有効量を投与することを含む、上記方法にも関する。
【0018】
本発明のより特別な実施態様は、治療されている上記障害又は症状が外傷後ストレス障害である、上記方法に関する。
【0019】
本発明の他のより特別な実施態様は、治療されている上記障害又は症状が社会恐怖又は社会不安障害である、上記方法に関する。
【0020】
本発明の他のより特別な実施態様は、治療されている上記障害又は症状がOCDである、上記方法にも関する。
【0021】
パニック障害、恐怖、OCD及びストレス障害の治療のためには、式Iの化合物が他の抗鬱薬又は抗不安薬とともに使用可能であることは理解されるであろう。好適なクラスの抗鬱薬は、ノルエピネフリン再吸収阻害剤、選択的セロトニン再吸収阻害剤(SSRI)、モノアミンオキシダーゼ阻害剤(MAOI)、モノアミンオキシダーゼの可逆的阻害剤(RIMA)、セロトニン及びノルアドレナリン再吸収阻害剤(SNRI)、コルチコトロピン放出因子(CRF)アンタゴニスト、α‐アドレノレセプターアンタゴニスト並びに異型の抗鬱薬を含む。好適なノルエピネフリン再吸収阻害剤は、三環系三級アミン及び三環系二級アミンを含む。好適な三環系三級アミンの例は、アミトリプチリン、クロミプラミン、ドキセピン、イミプラミン及びトリミプラミン、並びに薬剤として許容可能なそれらの塩を含む。好適な三環系二級アミンの例は、アモキサピン、デシプラミン、マプロチリン、ノルトリプチリン及びプロトリプチリン並びに薬剤として許容可能なそれらの塩を含む。好適な選択的セロトニン再吸収阻害剤は、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン及びセルトラリン、並びに薬剤として許容可能なそれらの塩を含む。好適なモノアミンオキシダーゼ阻害剤は、イソカルボキサジド、フェネルジン、トラニルシプロミン、及びセレギリン、並びに薬剤として許容可能なそれらの塩を含む。好適なモノアミンオキシダーゼの可逆的阻害剤は、モクロベマイド、及び薬剤として許容可能なその塩を含む。本発明において使用される、好適なセロトニン及びノルアドレナリン再吸収阻害剤は、ベンラファキシン、及び薬剤として許容可能なその塩を含む。好適なCRFアンタゴニストは、PCT国際特許出願公開第WO94/13643号、同第WO94/13644号、同第WO94/13661号、同第WO94/13676号及び同第WO94/13677号に記載されている化合物を含む。好適な異型の抗鬱薬は、ブプロピオン、リチウム、ネファゾドン、トラゾドン及びビロキサジン並びに薬剤として許容可能なそれらの塩を含む。好適なクラスの抗不安薬は、ベンゾジアゼピン及び5‐HTIAアゴニスト又はアンタゴニスト、特別には5‐HTIA部分アゴニスト、及びコルチコトロピン放出因子(CRF)アンタゴニストを含む。好適なベンゾジアゼピンは、アルプラゾラム、クロルジアゼポキシド、クロナゼパム、クロラゼペート、ジアゼパム、ハラゼパム、ロラゼパム、オキサゼパム、及びプラゼパム、並びに薬剤として許容可能なそれらの塩を含む。好適なHTIA受容体アゴニスト又はアンタゴニストは、特別には、5‐HTIA受容体部分アゴニストである、バスピロン、フレシノキサン、ゲピロン、及びイプサピロン、並びに薬剤として許容可能なそれらの塩を含む。
【0022】
本発明はまた、哺乳動物、好ましくはヒトにおける以下の:広場恐怖を伴うか又は伴わないパニック障害、パニック障害の病歴を伴わない広場恐怖、(特別な動物恐怖などの)特別な恐怖、社会不安障害、社会恐怖、強迫性障害、及び外傷後ストレス障害及び急性のストレス障害を含むストレス障害から成る群から選ばれる障害又は症状の治療方法であって、そのような治療を必要とする哺乳動物に以下の:
(a)式Iの化合物又は薬剤として許容可能なその塩;及び
(b)抗鬱薬又は抗不安薬である他の化合物、或いは薬剤として許容可能なその塩;
を投与することを含み、ここで、活性物質「a」及び「b」の量が、その組み合わせを治療的に有効なものとするように選択される、上記方法にも関する。
【0023】
本発明のより特別な実施態様は、式Iの化合物又は薬剤として許容可能なその塩の治療的な量が、上記の方法のいずれかにおいて示される障害及び症状から選ばれるいずれかの2つ以上の合併症である障害又は症状の治療のために、ヒトに投与される、上記の方法のいずれかに関する。この方法は、以後、「随伴障害の治療方法」とも呼ばれる。
【0024】
本発明のより特別な他の実施態様は、随伴障害の上記治療方法であって、式Iの化合物、又は薬剤として許容可能なその塩が、線維筋痛症及び随伴性のパニック障害の治療のためにヒトに投与される、上記方法に関する。
【0025】
本発明のより特別な他の実施態様は、随伴障害の上記治療方法であって、式Iの化合物、又は薬剤として許容可能なその塩が、線維筋痛症及び随伴性の過敏性腸症候群の治療のためにヒトに投与される、上記方法に関する。
【0026】
本発明のより特別な他の実施態様は、随伴障害の上記治療方法であって、式Iの化合物、又は薬剤として許容可能なその塩が、線維筋痛症及び随伴性の機能性の腹痛の治療のために、ヒトに投与される、上記方法に関する。
【0027】
本発明のより特別な他の実施態様は、随伴障害の上記治療方法であって、式Iの化合物、又は薬剤として許容可能なその塩が、線維筋痛症及び随伴性の神経因性疼痛の治療のために、ヒトに投与される、上記方法に関する。
【0028】
神経因性疼痛は、神経系の一次的な傷害又は機能不全によって開始する又は引き起こされる痛みとして定義される(国際疼痛学会(International Association for the Study of Pain))。神経の損傷は、外傷及び病気によって引き起こされることができ、したがって、「神経因性疼痛」という用語は、多様な病因による多くの障害を包含する。これらは、糖尿病性ニューロパチー、帯状疱疹後神経痛、背痛、頚椎症性神経根症、癌性ニューロパチー、化学療法により誘導されたニューロパチー、HIVニューロパチー、幻肢痛、カーパル管症候群、慢性アルコール症、甲状腺機能低下症、三叉神経痛、尿毒症、外傷により誘導されたニューロパチー、又はビタミン欠乏症、を含むがこれらに限定されない。神経因性疼痛は、防御的役割を持たないため、病理学的なものである。それはしばしば本来の原因が消滅したかなり後になっても存在し、一般的に何年も続き、患者の生活の質を顕著に低下させる(Woolf and Mannion 1999 Lancet 353: 1959-1964)。神経因性疼痛の症状は、同じ病気を有する患者間でもしばしば異なるため、治療が困難である(Woolf & Decosterd 1999 Pain Supp. 6: S141-S147; Woolf and Mannion 1999 Lancet 353: 1959-1964)。それらは連続的であることのできる自然の痛み、又は、(侵害刺激に対する感受性の増大である)痛感過敏のような発作性の異常に引き起こされた痛み及び(正常な非侵害性刺激に対する敏感性である)アロジニアを含む。
【0029】
本発明のより特別な他の実施態様は、式Iの化合物又は薬剤として許容可能なその塩が、線維筋痛症及び随伴性の月経前不快気分障害又は月経前症候群の治療のためにヒトに投与される、随伴障害の上記治療方法に関する。
【0030】
本発明のより特別な他の実施態様は、式Iの化合物又は薬剤として許容可能なその塩が、線維筋痛症及び随伴性の大うつ病性障害の治療のためにヒトに投与される、随伴障害の上記治療方法に関する。
【0031】
本発明のより特別な他の実施態様は、式Iの化合物又は薬剤として許容可能なその塩が、線維筋痛症及び随伴性の情緒異常の治療のためにヒトに投与される、随伴障害の上記治療方法に関する。
【0032】
本発明のより特別な他の実施態様は、式Iの化合物又は薬剤として許容可能なその塩が、線維筋痛症及び以下の:身体化障害、転換性障害、身体醜形障害、心気症、表現性疼痛障害、鑑別不能型身体表現性障害、及び他の特定されない体性の障害から選ばれる随伴性の身体表現性障害の治療のためにヒトに投与される、随伴障害の上記治療方法に関する。Diagnostic and Statistical manual of Mental Disorders, Fourth Edition (DSM-IV), American Psychiatric Association, Washington, D.C. May 1194, pp. 435-436を参照のこと。
【0033】
本発明のより特別な他の実施態様は、式Iの化合物又は薬剤として許容可能なその塩が、1つ以上の体性の症状を伴う線維筋痛症の治療のためにヒトに投与される、随伴障害の上記治療方法に関する。上記1つ以上の体性の症状は、以下の:食欲喪失、(不眠症、中断された睡眠、早朝の覚醒、疲労した覚醒などの)睡眠障害、性欲喪失、不穏状態、疲労、便秘、消化不良、動悸、(頭痛、頚部痛、背痛、肢痛、関節痛、腹痛などの)痛み、めまい、悪心、胸やけ、神経質、振戦、焼けるようなひりひりする感覚、朝のこわばり、(腹痛、腹部膨満、ごろごろ鳴ること、下痢などの)腹部症状、及び(悲しみ、涙もろさ、興味の喪失、恐怖、無力感、絶望感、疲労、自尊心の低下、とりつかれたように考え込むこと、自殺思考、記憶障害及び集中力障害、意欲喪失、無気力、食欲減退、食欲増大などの)大うつ病障害に伴う症状からなる群から選ばれる。
【0034】
上記の方法はまた、本明細書においてまとめて「発明にかかる方法」又は「本発明の方法」とも呼ばれる。
【0035】
本発明の方法の好ましい実施態様は、3‐アミノメチル‐5‐メチル‐ヘキサノイックアシッドである式Iの化合物、又は特別には、一般名称でプレガバリンとして知られる(S)‐3‐(アミノメチル)‐5‐メチルヘキサノイックアシッドを利用する。
【0036】
本明細書中の「アルキル」という用語は、特記されない限り、直鎖の、分岐鎖の、又は環状の部分又はそれらの組み合わせを有する、飽和した一価の炭化水素ラジカルを含む。「アルキル」基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソ‐、sec‐及びtert‐ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、3‐エチルブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、ノルボルニルなどを含むが、これらに限定されない。
【0037】
本明細書中で使用される「シクロアルキル」という用語は、3〜8個の炭素を有する、飽和した一価の炭素環を示し、特記されない限り、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、及びシクロオクチルから選ばれる。
【0038】
本明細書中で使用される「治療すること」は、そのような用語が適用される障害又は状態を復帰させ、緩和し、進行を阻止し、又は予防するか、或いはそのような状態又は障害の1つ以上の症状を予防することをさす。本明細書中で使用される「治療」という用語は、「治療すること」が直前に定義されたように、治療する行為をさす。
【0039】
式Iの化合物は、キラル中心を有し、そしてしたがって異なるエナンチオマーの及びジアステレオマーの形態で存在することができる。個々の異性体は、最終生成物又はその中間体の製造において、光学分割、光学選択的反応、又はクロマトグラフィーによる分離などの既知の方法によって得ることができる。本発明は、式Iの化合物のラセミ混合物及び個々のエナンチオマーの両方として、並びにジアステレオ異性体、そしてそれらの混合物としての該化合物のすべての光学異性体及びすべての立体異性体に関し、そして、上で定義されたすべての医薬組成物及びそれらを含むか又は使用する治療方法のそれぞれに関する。式Iの化合物の個々のエナンチオマーは、多様な障害または状態の治療において、これらの化合物のラセミ混合物に比較して、有利であることができる。
【0040】
本発明の式Iの化合物が塩基性化合物である限り、多様な無機酸及び有機酸とともに広く多様な異なる塩を形成することができる。そのような塩は、動物への投与のために薬剤として許容可能でなければならないにもかかわらず、実際には、最初に塩基性化合物を反応混合物から薬剤として許容できない塩として単離し、そして単純にアルカリ試薬で処理することによって遊離塩基化合物に変換し、その後、該遊離塩基を薬剤として許容可能な酸付加塩に変換することが、しばしば望ましい。遊離塩基の形態の該化合物は、そのように形成された上記酸付加塩を塩基と接触させ、そして遊離塩基の形態の上記化合物を慣用方法によって単離することによって再生成されることができる。本発明の方法によって製造された遊離塩基の形態の式Iの化合物は、それらのそれぞれの酸付加塩の形態と、溶解性、結晶構造、吸湿性などの一定の物理的性質においてはいくらか異なるが、それ以外は、そのような遊離塩基の形態の上記化合物及びそれらのそれぞれの酸付加塩の形態は、本発明の目的においては同等である。
【0041】
本発明の方法において有用な塩基性化合物の薬剤として許容可能な酸付加塩は、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、フッ化水素酸、亜リン酸などの無機酸に由来する無毒性の塩、並びに脂肪族モノ‐、及びジ‐カルボン酸、フェニル‐置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、アルカンジオン酸、芳香族酸、脂肪族及び芳香族スルホン酸などの有機酸に由来する無毒性の塩を含む。したがって、そのような塩は、硫酸塩、ピロ硫酸塩、硫酸水素塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、三フッ素酢酸塩、プロピオン酸塩、カプリル酸塩、イソブチル酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、フタル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩などを含む。アルギン酸塩などのようなアミノ酸の塩及びグルコン酸塩、ガラクツロン酸塩もまた考察される(例えば、Berge S.M. et al., "Pharmaceutical Salts" J. of Pharma. Sci., 1977;66:1を参照のこと)。
【0042】
本発明の式Iの化合物が酸性化合物である限り、それらは、多様な無機塩基及び有機塩基と広く多様な異なる塩を形成することができる。本発明の方法において有用な酸性化合物の塩基付加塩は、遊離酸の形態の上記化合物を十分量の所望の塩基と接触させて慣用方法によって塩を形成することによって製造されることができる。上記の発明にかかる方法において有用な酸性化合物の薬剤として許容可能な塩基付加塩は、遊離酸の形態の該化合物を、アルカリ又はアルカリ土類金属カチオンのような無毒性の金属カチオン、或いはアミン、特別には有機アミンと接触させることによって製造される。好適な金属カチオンの例は、ナトリウムカチオン(Na+)、カリウムカチオン(K+)、マグネシウムカチオン(Mg2+)、カルシウムカチオン(Ca2+)などを含む。好適なアミンの例は、N,N'‐ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、N‐メチルグルカミン、及びプロカインを含む(例えば、上記のBerge, 1977を参照のこと)。遊離酸の形態の式Iの化合物は、そのように形成された該塩基付加塩の形態を酸と接触させ、そして慣用方法によって上記化合物の遊離酸を単離することによって再生成されることができる。上記の発明の方法において有用な上記化合物の遊離酸の形態は、それらのそれぞれの塩形態と、溶解性、結晶構造、吸湿性などの一定の物理的性質においてはいくらか異なるが、それ以外は、塩形態はそれぞれの遊離酸の形態と、本発明の目的においては同等である。
【0043】
本発明の方法において有用な化合物のうちのあるものは、非溶媒和形態並びに水和された形態を含む溶媒和形態で存在することができる。一般的に、水和された形態を含む溶媒和形態は、非溶媒和形態と同等であり、そして本発明の範囲に包含されることを意図される。
【0044】
本発明の方法において有用な化合物のうちのあるものは、2以上の互変異性体の形態で存在することができる。例えば、化合物の互変異性体の形態は、例えば、エノール化/脱エノール化などの反応を介して交換することができる。本発明の方法は、アルファ2デルタリガンド、又は薬剤として許容可能なそれらの塩のいずれかの互変異性体の形態、並びにそれらの混合物を利用することができる。
【0045】
本発明はまた、式Iに規定された化合物と同一であるが、1つ以上の原子が自然に通常見出される原子量又は質量数とは異なる原子量又は質量数を有する原子で置換されている、放射性同位体標識された化合物を使用する上記発明にかかる方法も含む。本発明の化合物中に取り込まれることのできる放射性同位体の例は、それぞれ2H,3H、13C、11C、14C、15N、18O、17O、31P、32P、35S、18F及び36Clのような、水素、炭素、窒素、酸素、リン、イオウ、フッ素、及び塩素の放射性同位体を含む。本発明の化合物、そのプロドラッグ、及び該化合物または該プロドラッグの薬剤として許容可能な塩であって、上記の放射性同位体及び/又は他の原子の他の放射性同位体を含むものは、本発明の範囲内にある。例えば、3H及び14Cなどの放射性同位体がその中へ取り込まれた、一定の放射性同位体標識された本発明の化合物は、薬物及び/又は基質の組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム標識された、すなわち3H、及びカーボン‐14、すなわち14C放射性同位体は、それらの製造の容易さ及び検出性のために特別に好ましい。さらに、重水素、すなわち2Hのようなより重い放射性同位体による置換は、より大きな代謝安定性、例えば、インビボでの半減期の増加又は必要用量の減少、によって一定の治療的利益を提供することができ、したがって、いくつかの環境において好ましいものであることができる。
【0046】
経口投与された薬物の有効性は、その薬物の粘膜上皮を通る効率的な輸送及び腸肝循環におけるその安定性に依存する。腸管外投与後に有効であるが、経口では有効性がより低い薬物、又はその血漿中半減期が短すぎると考えられる薬物は、プロドラッグの形態に化学修飾されることができる。
【0047】
プロドラッグは、化学修飾されており、その作用部位において生物学的に不活性であることができるが、1以上の酵素的又は他のインビボの過程によって親である生理活性形態に分解又は修飾されることのできる、薬物である。
【0048】
この化学修飾された薬物、又はプロドラッグは、親薬物とは異なる薬物動態プロファイルを有するものであり、粘膜上皮を通るより容易な吸収、より良好な塩形成及び/又は溶解性、改善された全身性の安定性(例えば、血漿中半減期の増加)を可能とする。これらの化学修飾は、例えば、以下の:
1)例えば、エステラーゼ又はリパーゼによって切断されることのできるエステル又はアミド誘導体。エステル誘導体については、該エステルは既知の手段によって薬物分子のカルボン酸部分から誘導体化され、アミド誘導体については、該アミドは、既知の手段によって薬物分子のカルボン酸部分又はアミン部分から誘導体化され;
2)特異的又は非特異的なプロテイナーゼによって認識されることのできるペプチド(ぺプチドは、知られた手段によって薬物分子のアミン又はカルボン酸部分とアミド結合を形成することを介して薬物分子と結合させられることができる);
3)プロドラッグの形態又は修飾されたプロドラッグの形態の膜選択性を通じて、作用部位に蓄積する誘導体;又は
4)1〜3のいずれかの組み合わせ
であることができる。
【0049】
動物実験における最近の研究は、一定の薬物の経口吸収が、「ソフトな」4級の塩の調製によって増大可能であることを示した。該4級の塩は、R-N+(CH3)3のような通常の4級の塩とは異なり、加水分解して活性薬物を放出することができるため、「ソフトな」4級の塩と呼ばれる。
【0050】
「ソフトな」4級の塩は、塩基性薬物又はその塩に比べて有用な物理的性質を有する。水溶解性は、塩酸塩などの他の塩に比べて増加されることができるが、より重要なのは、小腸からの薬物の吸収が増加されうることである。吸収の増加は、おそらく、該「ソフトな」4級の塩が表面活性剤としての性質を有し、胆汁酸とともにミセル及び非イオン化されたイオン対を形成することができ、これらが小腸上皮をより有効に透過することができることによる。吸収後のプロドラッグは、急速に加水分解されて活性のある親薬物を放出する。
【0051】
式Iの化合物のプロドラッグを使用する上記の発明の方法は、本発明の範囲に含まれる。プロドラッグ及びソフトな薬物は、本分野で知られている(Palomino E., Drugs of the Future, 1990;15(4):361-368)。最後の2つの引用文献は参考文献として本明細書中に援用されている。
【0052】
発明の詳細な説明
式Iを有するアルファ2デルタリガンド及びそのような化合物の合成は、本明細書中に参考文献として援用されている、米国特許第5,563,175号及び同第6,197,819号に記載されている。
【0053】
本発明の方法の実施に必要なすべては、式Iの化合物又は薬剤として許容可能なその塩を、1つ以上の上記の障害又は状態を治療するための治療的有効量で投与することである。そのような治療的有効量は、一般的に約1〜約300mg/治療される患者のkg体重である。典型的な用量は、通常の体重の成人患者あたり約10〜約5000mg/日である。臨床においては、米国食品医薬品局(FDA)などの取り締まり機関が特別な治療的有効量を必要とするかもしれない。
【0054】
本発明の方法によって1つ以上の上記の障害又は状態を治療するための、式Iの化合物又は薬剤として許容可能なその塩の有効量又は治療的有効量の構成を決定するにあたり、一般的には、哺乳動物の年齢、性別、体重及び全身状態並びに治療される障害又は状態の型及び程度、そしてもしあれば、治療を受ける哺乳動物によって使用される他の薬剤などの多くの因子が医師又は獣医師によって考慮される。したがって、投与される用量は、上記の範囲又は濃度に含まれ、又はその範囲外、すなわち、それよりも低いか又は高い値で変化し、これらは個々の対象の要求、治療される状態の重篤度、そして使用される特別な治療用製剤に依存する範囲にわたる。特別な状況のための適切な用量の決定は、医学又は獣医学の分野の技術範囲内にある。一般的には、治療はより少ない投与量の活性化合物又は特別な対象のための最適ではない化合物で開始されることができる。その後、投与量はその状況下での最適の効果が得られるまで、徐々に増加されることができる。便宜上、所望により、総日用量は分割され、一日の間に分けて投与されることができる。
【0055】
式Iの化合物及び薬剤として許容可能なそれらの塩は、経口の、(皮下、静脈内、筋肉内、胸骨内、及び輸注技術のような)腸管外の、直腸内の、頬側の、局所的な又は鼻腔内経路のいずれかを通じて哺乳動物に投与されることができる。好ましい投与経路は経口及び腸管外である。好ましくは、投与は剤形単位で行われる。本発明の方法で使用される、式Iの化合物又は薬剤として許容可能なその塩の剤形単位は、式Iの化合物又は薬剤として許容可能なその塩が投与される障害又は状態、或いは式Iの化合物又は薬剤として許容可能なその塩が投与される障害又は状態に対して二次的な障害又は状態の治療において有用な他の化合物をも含むことができる。
【0056】
式Iの化合物又は薬剤として許容可能なその塩を含む医薬組成物は、医薬担体とともに活性化合物を剤形単位に製剤することによって製造される。剤形単位のいくつかの例は、錠剤、カプセル、ピル、散剤、カシェット(cachet)、ロゼンジ、クリーム、個別の用量にさらに分割されることのできる1以上の単位用量を含む、容器に包装された水性及び非水性の経口溶液、並びに懸濁液そして腸管外投与用溶液である。
【0057】
医薬用希釈剤を含む好適な医薬担体のいくつかの例は、ゼラチンカプセル;ラクトース及びシュークロースのような糖;コーンスターチ及びポテトスターチのようなでんぷん;ナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、及びセルロースアセテートフタレートのようなセルロース誘導体;ゼラチン;タルク;ステアリン酸;ステアリン酸マグネシウム;ピーナツ油、綿実油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、及びカカオの油のような植物油;プロピレングリコール、グリセリン;ソルビトール;ポリエチレングリコール;水;寒天;アルギン酸;等張の生理食塩水;並びにリン酸緩衝溶液;そして医薬製剤中で通常使用される他の適合性の物質である。
【0058】
本発明の方法において使用される組成物は、着色剤、フレーバー剤、及び/又は保存剤のような他の成分を含むこともできる。もし存在する場合、これらの物質は、通常比較的少量で使用される。所望により、組成物は、治療される障害又は状態を治療するために一般的に使用される他の治療剤をも含むことができる。
【0059】
上記組成物中の活性成分のパーセンテージは、広い制限内で変更可能であるため、実際の目的のためには、固体組成物中では少なくとも10%、そして一次的な液体組成物中では少なくとも2%であることが好ましい。最適の組成物中には、例えば約95%もの高比率の活性成分が存在する。
【0060】
錠剤中では、活性成分は必要な結合特性を有する担体と好適な割合で混合され、そして所望の形状及び大きさに圧縮される。散剤及び錠剤は、5又は10〜約70%の活性化合物を含むことが好ましい。好適な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、でんぷん、ゼラチン、トラガント、メチルセルロース、ソディウムカルボキシメチルセルロース、低融点ワックス、ココアバターなどである。「製造」という用語は、活性化合物を担体としての内包材料とともに製剤してカプセルを提供することを意味し、カプセル中では、活性成分が他の担体とともに又はそれを伴わずに担体によって包まれることによって担体と共同している。
【0061】
坐剤を製造するためには、脂肪酸グリセリド又はココアバターの混合物のような低融点ワックスが最初に融解され、そして攪拌などによりその中に活性成分が均一に分散される。溶融した均一な混合物はその後、都合のよい大きさの型に注ぎ込まれ、放冷されることによって固体化する。
【0062】
液体製剤は、溶液、懸濁液、及びエマルジョン、例えば、水又は水プロピレングリコール溶液を含む。腸管外注入のためには、液体製剤は水性ポリエチレングリコール溶液中の溶液に調製されることができる。経口的な使用に好適な水性溶液は、活性成分を水に溶解し、そして所望により好適な着色剤、フレーバー剤、安定剤、及びシックナー剤を添加することによって製剤されることができる。経口的な使用に好適な水性懸濁液は、微粒子の活性成分を粘凋な物質、例えば、天然又は合成のゴム、樹脂、メチルセルロース、ソディウムカルボキシメチルセルロース、及び他の周知の懸濁剤、を含む水の中に分散させることによって製造されることができる。
【0063】
また、固体製剤であって、使用の直前に経口投与のための液体製剤に変換される予定の固体製剤も含まれる。そのような液体の形態は、溶液、懸濁液及びエマルジョンを含む。これらの製剤は、活性成分に加えて、着色剤、フレーバー剤、安定剤、緩衝剤、人工及び天然の甘味料、分散剤、シックナー剤、溶解剤などを含むことができる。
【0064】
式Iの化合物及び薬剤として許容可能なその塩の、カルシウムチャンネルのα2δサブユニットへの結合度は、N.S. Gee et al., J. Biol. Chem. , 1996, 271:5879-5776に記載のように、[3H]ガバペンチン及びブタ脳組織由来のα2δサブユニットを用いる放射性リガンド結合アッセイを用いて測定されることができる。
【0065】
線維筋痛症の治療におけるプレガバリンの有効性が、以下に要約されるインビボの実験において実証された。
【0066】
要約:
パイロジェンを含まない滅菌された生理食塩水、pH4、100μLを第1日目及び第5日目に腹筋に筋肉内注射されたSprague-Dawley 雄性ラットは、2回目の注射の約1週間後に慢性の機械刺激性アロディニア(静的アロディニア)を発症する(Sulka KA, Kalra A, Moore SA. Intramuscular injections of acidic saline produce a bilateral long-lasting hyperalgesia. Muscle & Nerve 2001; 24:37-46)。アロディニアは、多様な屈曲力(0.41〜29g)を有するフォンフレイフィラメント(von Frey filament)を注射された後肢の足底部表面に押し当てて、(ラットが)足底部を(フィラメントから)退ける閾値(逃避閾値)(PWT)(paw withdrawal threshold)を決定することによって測定された。無作為化した動物及び処置について盲検によって評価を実施した。2回目の酸性生理食塩水の注射後1〜2週間におけるPWTは、通常(酸性生理食塩水注射前の22〜28gから減少して)接触性アロディニアを表す5g未満であった。アロディニアは3週間持続した。pH7.2の生理食塩水を注射されたラットは、アロディニアを示さなかった。酸性生理食塩水注射後、(綿棒で叩打したことに対する足底部の逃避によって測定される)動的アロディニア又は後肢間の体重支持の偏りの証拠はなかった。最後の酸性生理食塩水注射の2週間後の経口胃管栄養法(PO)による10又は30mg/kgのプレガバリン処置は、機械刺激性アロディニアを逆行させた。プレガバリンの麻酔様作用は、治療の2〜3時間後のビヒクルによる処置よりも顕著に大きかった。皮下(SC)への3及び10mg/kgのモルヒネは、アロディニアを軽減させたが、一方、6mg/kgSCのアミトリプチリンは、アロディニアを変化させなかった。線維筋痛症は、米国リューマチ学会によって、特定の圧痛点の大多数にわたって圧力をかけるアロディニアを伴う慢性の全身性筋骨格痛であると分類される。酸性生理食塩水を注射されたラットにおける結果は、プレガバリンが、ヒトの病気である線維筋痛症にいくつかの類似点を有するラットモデルにおいてアロディニアを軽減させたことを示す。
【0067】
方法
酸性生理食塩水により誘導されたアロディニア:約350gの雄性Sprague-Dawleyラット(Harlan)を、有機セルロースを敷いたプラスチックの隔離飼育器に入れた。餌と水は自由摂取させ、動物を12時間/12時間の明/暗サイクルに維持し、明相の間に試験を行った。試験をおこなった日には、金属チャンバー中の高くした金属メッシュの床の上にラットを置き、少なくとも20分間順化させた。第1日において、フォンフレイフィラメントを用いた逃避閾値のベースラインを右後肢足底部について得た。第1日のさらに後に、酸性生理食塩水、pH4(100μL)を右腓腹筋に注射し、同様の注射を同じ位置に第5日に再度行った。後日、痛みに対する応答(フォンフレイフィラメント逃避閾値、綿棒でそっと叩打したことに対する逃避、及び2本の後肢間の体重支持の変化)を両方の後肢について測定した。実験的薬物による治療を、静的アロディニアに対する阻害効果及び他の痛みのエンドポイントについて評価した。薬物試験の日(第14日〜第18日)において6g以下の足底部逃避閾値(PWT)を有するラットを使用した。薬物又はビヒクルによる処置のいずれかを受けた1、2及び3時間後におけるPWTについてラットを評価した。
【0068】
痛みに関連した行動上の応答の測定
静的アロディニア:多様な屈曲力のフォンフレイフィラメント(0.41、0.69、1.2、2.0、3.6、5.5、8.5、15.1及び28.8g、Stoelting Corp, Wood Dale, IL)を用いてPWTを測定した。2.0gのフィラメントから始めて、後肢足底部の足底部表面に、6秒以下でゆっくりと一回、圧力を加えた。足を退けなかった場合、次に屈曲力の大きなフィラメントを押し当て、又は足を退けた場合には、次に屈曲力の小さなフィラメントを押し当てた。退けることを少なくとも1回含む、少なくとも6回の応答が得られるまでこれを続けた。そして、(各ラットについての)各時点における逃避閾値を、Dixon,「アップ‐ダウン」法("Up-Down" method)を用いて決定した(Dixon WJ. Efficient analysis of experimental observations. Ann Rev Pharmacol Toxicol 1980; 20:441-62)。28.8gのフィラメントで逃避が得られなかった場合、29gの逃避閾値が割り当てられた。
【0069】
動的アロディニア:注射された後肢及び対側の後肢の足底部表面を、15秒以下の間、金網の下から綿棒でやさしく叩打した。足の逃避が観察されなかった場合には、15秒の最大値を記録して、逃避時間(3連でおこなった値の平均)を報告する。
【0070】
自然発生的な痛み:前肢のためにプラットフォームを高くし、後肢のために底に四角の穴を開けた小さなアクリルのプラスチック箱中にラットを置いた。その箱は、後肢をインキャパシタンステスター(Linton Instruments, Norfolk, England)の2枚のトランスデューサープレートのそれぞれに接触させ、各後肢足底部によって箱の床に加えられた力を測定するように設計した。各足底部に加えられた重量(グラムで)は、装置によって4秒間の平均とし、記録した。報告された値は、2つの後肢足底部に加えられた重量の差の3回の平均である(対側の後肢足底部の値から注射された後肢足底部の値を引いたもの)。
【0071】
結果
モデルの特徴づけ:酸性生理食塩水の2回の繰り返し筋肉内注射は、先に注射された後肢の足底部表面のフォンフレイ逃避閾値を持続的に減少させた(Sluka KA, Kalra A, Moore SA. Intramuscular injections of acidic saline produce a bilateral long-lasting hyperalgesia. Muscle & Nerve 2001; 24:37-46)。しかしながら、先に出版された発見とは対照的に、試験した最後の時点を除き、酸性生理食塩水を注射された後肢に対する対側の後肢の逃避閾値の変化は小さいか又はなかった(表1)。どちらの後肢足底部においても、綿棒による刺激に応答した足の逃避又は体重支持のエンドポイントに変化は観察されなかった。代表的な実験を表2に示す。
【0072】
酸性生理食塩水により誘発されたアロディニアモデルにおけるプレガバリンの薬理学的評価:第1日及び第5日に酸性生理食塩水を注射したラットを、最後の酸性生理食塩水注射のあと、第14日からはじめて一日おきに痛みによる応答の変化について評価した。所定の日に、(6g以下のフォンフレイフィラメントに対する逃避閾値である)アロディニアを示すラット及び先の薬物処置をしていないラットのみを用いて試験化合物を評価した。足底部逃避の読み取り値がベースラインとなった30分後にPOでプレガバリン又はビヒクル(水)を与えた。薬物又はビヒクル処置の1、2及び3時間後にラットを評価した。10又は30mg/kgPOのプレガバリンは、薬物処置の2又は3時間後のいずれかにおいて(フォンフレイフィラメントによって測定して)試験した場合、静的アロディニアを阻害した(表3)。3mg/kgPOのプレガバリン処置は、アロディニアに効果を及ぼさなかった。
【0073】
ベースライン測定の30分後にSC投与された10mg/kgのモルヒネは、処置の1及び2時間後に静的アロディニアを阻害した(表4)。3mg/kgのモルヒネによる同様の処置は、PWTを増加させたが、それは処置の(2又は3時間後ではなく)1時間後においてのみであった。6mg/kgでSC投与されたアミトリプチリンは、処置の1、2又は3時間後においてPWTを変化させなかった(表5)。
【0074】
先のpH4の生理食塩水の腓腹筋への繰り返し注射は、数週間持続する(フォンフレイフィラメントで測定した)機械刺激性アロディニアを同側の後肢足底部表面に誘発した。同じラットには、(綿棒によって叩打することに応答する)後肢足底部の動的アロディニア又は(後肢間の体重支持の偏りである)自然発生的な痛み行動はなかった。10及び30mg/kgPOのプレガバリンは、先の酸性生理食塩水注射によって生じた静的アロディニアを減少させた。6mg/kgPOのアミトリプチリンは、アロディニアに阻害効果を有さなかった。これらの結果は、モルヒネについての先に出版された結果(Sluka, KA, Rohlwing JJ, Bussey RA, Eikenberry SA, Wilken JM. J Pharmacol. Exp. Ther. 2002, 302:1146-50)と一致する。アミトリプチリンはこの実験において効果を有さなかったにもかかわらず、線維筋痛症の痛みに対してしばしば処方され、臨床試験は、それが有効であることを示している。アミトリプチリンは数日間の繰り返し投薬の後に試験されたとしたら、(酸性生理食塩水の繰り返し注射によるアロディニアを有する)この動物モデルにおいて有効であった可能性がある。この可能性はまだ試験されていない。より高用量のアミトリプチリンは試験されていない。なぜなら、6mg/kgPOの用量において頻脈が観察され、注射を受けたラットの一群において10mg/kgPOの用量は致死的であったからである。
【0075】
先の酸性生理食塩水の腓腹筋への繰り返し注射によって生じたラット後肢足底部の静的アロディニアは、慢性の筋骨格痛の新規治療剤の評価方法を提供することができる。この動物モデルは、線維筋痛症のような症候群における慢性のアロディニア治療のための試験的鎮痛化合物を評価するために使用されることができる。
【0076】
【表1】

【0077】
【表2】

【0078】
【表3】

【0079】
【表4】

【0080】
【表5】

【0081】
線維筋痛症を有するヒト患者に対するプレガバリンの効果の臨床試験も行った。この試験は、線維筋痛症患者の痛みからの開放及び機能状態の改善について、プラセボと比較したプレガバリン(150、300及び450mg/日)の有効性を評価するために実施した。試験に参加した患者は、線維筋痛症についての米国リューマチ学会の基準(広範な痛みが少なくとも3ヶ月間あり、18の圧痛点部位の少なくとも11に痛みがある)に適合していなければならない。
【0082】
方法論
1週間のベースライン相に続いて、認定された患者に無作為に150、300、又は450mg/日のプレガバリン又はプラセボを、8週間の二重盲検多施設試験によって投与した。治療意図(intent-to-treat(ITT))母集団は、全体で529人の患者を含み、132人の患者は450mg/日、134人は300mg/日、132人は150mg/日のプレガバリンを受容し、131人はプラセボを受容した。8週間の二重盲検相の第1相は、1週間の滴定相から成る。プラセボ、150及び300mg/日のプレガバリン処置群に無作為化された患者は、彼らの固定用量で第1日から開始した。450mg/日のプレガバリン処置群に無作為化された患者は、300mg/日で開始し、第4日に目標用量である450mg/日まで滴定し、二重盲検期間の残りの間はその固定用量に維持した。二重盲検相の第8週に続いて、患者は選択的にその後のオープンラベル試験を受ける(プロトコール1008−033)。
【0083】
評価基準
一次有効性測定値は、患者の日誌からの毎日の自己評価による痛み評点から得た。二次測定値は、SF-MPQ、マニュアル圧痛点検査(Manual Tender Point Survey)、日誌からの睡眠の質の評点、疲労の多次元評価(Multidimensional Assessment of Fatigue(MAF))、全般的臨床改善(Clinical Global Impression of Change(CGIC))、並びに患者における全般的改善(Patient Global Impression of Change(PGIC))、SF-36健康調査(SF-36Health Survey(SF-36))、不安と抑うつの尺度(Hospital Anxiety and Depression Scale(HADS))、及び医学的転帰検査(MOS)の睡眠尺度(Medical Outmomes Study(MOS)Sleep Scale)から得た。
【0084】
結果
すべての分析を、少なくとも1つの用量の試験薬物を受容し、完全に無作為化された患者として定義されたITT母集団について実施した。一次有効性測定値、エンドポイントにおける平均痛み評点は、プラセボに比較して450mg/日のプレガバリンで有意に良好であった。平均痛み評点におけるプラセボとの顕著な差は、450mg/日プレガバリン群については第1週で見られ、第7週まで継続した。同様の結果が、450mg/日のプレガバリン群について以下の:各週及びエンドポイントにおける睡眠の質の平均、SF-MPQ感覚、情動、並びにエンドポイントにおける総合評点及びエンドポイントにおけるVAS、CGIC、PGIC、並びにMAF全般的疲労指数(MAF Global Fatigue Index)を含むほとんどの他の二次パラメータにおいても得られた。プラセボとの比較における450mg/日プレガバリンに有利な顕著な相違は、社会的機能性、体の痛み、活力及びSF-36健康調査の全般的健康観(General Health Perception)ドメインにおいて見られた。(ベースラインに比べて少なくとも50%の痛みの減少をエンドポイントにおいて報告する患者の数として定義される)応答者の状態は、プラセボにくらべて450mg/日のプレガバリン群の患者において顕著に良好であった(それぞれ、28.9%及び13.2%;p=0.003)。300及び150mg/日のプレガバリン群の患者は、一次有効性パラメータに関してはプラセボと顕著に異ならなかった。300及び150mg/日のプレガバリンはプラセボに比較して、多くの二次パラメータにおいて顕著な相違を示した。
【0085】
結論
プレガバリンは、線維筋痛症に伴う痛みの軽減において、450mg/日の用量で有効であることが発見された。150及び300mg/日の用量においては、痛みに対する顕著な効果はなかった。300及び450mg/日のプレガバリン処置は両方とも、疲労の改善、医者及び患者による全般的な変化の評価、及び睡眠の質の改善においてプラセボよりも優れていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物における線維筋痛症の治療方法であって、そのような治療を必要とする哺乳動物に、治療的有効量の以下の式I:
【化1】

{式中、
R1は、炭素原子1〜5個の直鎖又は分岐鎖の非置換アルキル、非置換フェニル、或いは炭素原子3〜6個の非置換シクロアルキルであり;
R2は、水素又はメチルであり;そして
R3は、水素、メチル、又はカルボキシルである。}
により表される化合物又は薬剤として許容可能なその塩を投与することを含む、前記方法。
【請求項2】
哺乳動物における以下の:不眠症(例えば、神経生理学的及び突発性の不眠症を含む一次的不眠症、むずむず脚症候群、パーキンソン病又は他の慢性の障害に対する二次的な不眠症を含む二次的不眠症、並びに一過性の不眠症)、夢遊病、断眠、REM睡眠障害、睡眠時無呼吸症候群、過眠症、睡眠随伴症、睡眠覚醒障害、時差ぼけ、ナルコレプシー、交代勤務又は不規則な労働スケジュールに関連する睡眠障害、薬物又は他の原因により生じる徐波睡眠の減少による睡眠の質の不足、及び他の睡眠障害からなる群から選ばれる障害又は症状の治療方法であって、そのような治療を必要とする哺乳動物に以下の式I:
【化2】

{式中、
R1は、炭素原子1〜5個の直鎖又は分岐鎖の非置換アルキル、非置換フェニル、或いは炭素原子3〜6個の非置換シクロアルキルであり;
R2は、水素又はメチルであり;そして
R3は、水素、メチル、又はカルボキシルである。}
により表される化合物又は薬剤として許容可能なその塩の治療的有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項3】
ヒト対象において徐波睡眠を増加させるための方法であって、そのような治療を必要とする患者に、以下の式I:
【化3】

{式中、
R1は、炭素原子1〜5個の直鎖又は分岐鎖の非置換アルキル、非置換フェニル、或いは炭素原子3〜6個の非置換シクロアルキルであり;
R2は、水素又はメチルであり;そして
R3は、水素、メチル、又はカルボキシルである。}
により表される化合物又は薬剤として許容可能なその塩の、徐波睡眠を増加させるための有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項4】
ヒト対象においてヒト成長ホルモン分泌を増加させるための方法であって、そのような治療を必要とする患者に、以下の式I:
【化4】

{式中、
R1は、炭素原子1〜5個の直鎖又は分岐鎖の非置換アルキル、非置換フェニル、或いは炭素原子3〜6個の非置換シクロアルキルであり;
R2は、水素又はメチルであり;そして
R3は、水素、メチル、又はカルボキシルである。}
により表される化合物又は薬剤として許容可能なその塩の、ヒト成長ホルモン分泌を増加させるための有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項5】
哺乳動物、好ましくはヒトにおける過敏性腸症候群の治療方法であって、そのような治療を必要とする患者に治療的有効量の以下の式I:
【化5】

{式中、
R1は、炭素原子1〜5個の直鎖又は分岐鎖の非置換アルキル、非置換フェニル、或いは炭素原子3〜6個の非置換シクロアルキルであり;
R2は、水素又はメチルであり;そして
R3は、水素、メチル、又はカルボキシルである。}
により表される化合物又は薬剤として許容可能なその塩の治療的有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項6】
哺乳動物における以下の:広場恐怖を伴うか又は伴わないパニック障害、パニック障害の病歴を伴わない広場恐怖、特別な恐怖、社会不安障害、社会恐怖、強迫性障害、並びに外傷後ストレス障害及び急性のストレス障害を含むストレス障害から成る群から選ばれる障害又は症状の治療方法であって、そのような治療を必要とする患者に治療的有効量の以下の式I:
【化6】

{式中、
R1は、炭素原子1〜5個の直鎖又は分岐鎖の非置換アルキル、非置換フェニル、或いは炭素原子3〜6個の非置換シクロアルキルであり;
R2は、水素又はメチルであり;そして
R3は、水素、メチル、又はカルボキシルである。}
により表される化合物又は薬剤として許容可能なその塩の治療的有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項7】
哺乳動物における以下の:広場恐怖を伴うか又は伴わないパニック障害、パニック障害の病歴を伴わない広場恐怖、特別な恐怖、社会不安障害、社会恐怖、強迫性障害、並びに外傷後ストレス障害及び急性のストレス障害を含むストレス障害から成る群から選ばれる障害又は症状の治療方法であって、そのような治療を必要とする患者に以下の:
(a)以下の式I:
【化7】

{式中、
R1は、炭素原子1〜5個の直鎖又は分岐鎖の非置換アルキル、非置換フェニル、或いは炭素原子3〜6個の非置換シクロアルキルであり;
R2は、水素又はメチルであり;そして
R3は、水素、メチル、又はカルボキシルである。}
により表される化合物又は薬剤として許容可能なその塩;及び
(b)抗うつ薬又は抗不安薬である他の化合物、又は薬剤として許容可能なその塩;
を投与することを含み、ここで、上記活性作用物質「a」及び「b」の量が該組み合わせを治療的に有効なものとするように選ばれる、前記方法。
【請求項8】
治療される上記障害又は状態が、外傷後ストレス障害、社会恐怖又は社会不安恐怖である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
哺乳動物における以下の:過敏性腸症候群、線維筋痛症、神経因性疼痛、不眠症(例えば、神経生理学的及び突発性の不眠症を含む一次的不眠症、むずむず脚症候群、パーキンソン病又は他の慢性の障害に対する二次的な不眠症を含む二次的不眠症、並びに一過性の不眠症)、夢遊病、断眠、REM睡眠障害、睡眠時無呼吸症候群、過眠症、睡眠随伴症、睡眠覚醒周期障害、時差ぼけ、ナルコレプシー、交代勤務又は不規則な労働スケジュールに関連する睡眠障害、薬物又は他の原因により生じる徐波睡眠の減少による睡眠の質の不足、他の睡眠障害、広場恐怖を伴うか又は伴わないパニック障害、パニック障害の病歴を伴わない広場恐怖、特別な恐怖、社会不安障害、社会恐怖、強迫性障害、並びに外傷後ストレス障害及び急性のストレス障害を含むストレス障害から成る群からそれぞれ独立して選ばれる、2つ以上の障害又は状態の治療方法であって、そのような治療を必要とする患者に以下の式I:
【化8】

{式中、
R1は、炭素原子1〜5個の直鎖又は分岐鎖の非置換アルキル、非置換フェニル、或いは炭素原子3〜6個の非置換シクロアルキルであり;
R2は、水素又はメチルであり;そして
R3は、水素、メチル、又はカルボキシルである。}
により表される化合物又は薬剤として許容可能なその塩の治療的有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項10】
上記式Iの化合物又は薬剤として許容可能なその塩が、線維筋痛症並びに以下の:パニック障害、過敏性腸症候群、機能性の腹痛、神経因性疼痛、大うつ病性障害、及び情緒異常から選ばれる随伴性の障害又は状態の治療のためにヒトに投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
上記式Iの化合物又は薬剤として許容可能なその塩が、線維筋痛症並びに以下の:身体化障害、転換性障害、身体醜形障害、心気症、表現性疼痛障害、鑑別不能型身体表現性障害、及び他の特定されない体性の障害から選ばれる随伴性の身体表現性障害の治療のためにヒトに投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
徐波睡眠を減少させる活性医薬品で治療されているヒト対象において徐波睡眠を増加させる方法であって、そのようなヒト対象に、上記式Iの化合物又は薬剤として許容可能なその塩の治療的有効量を投与することを含む、前記方法。
【請求項13】
ヒト対象において徐波睡眠を増加させる方法であって、そのような治療を必要とするヒト対象に以下の:
(a)上記式Iの化合物又は薬剤として許容可能なその塩;及び
(b)ヒト成長ホルモン又はヒト成長ホルモン分泌促進物質或いは薬剤として許容可能なその塩;
を投与することを含み、ここで、上記活性作用物質[a」及び「b」の量が、該組み合わせを徐波睡眠を増加させるために有効なものとするように選ばれる、前記方法。
【請求項14】
徐波睡眠を減少させる活性医薬品で治療されているヒト対象において徐波睡眠を増加させる方法であって、そのような治療を必要とするヒト対象に以下の:
(a)上記式Iの化合物又は薬剤として許容可能なその塩;及び
(b)ヒト成長ホルモン又はヒト成長ホルモン分泌促進物質或いは薬剤として許容可能なその塩;
を投与することを含み、ここで、上記活性作用物質[a」及び「b」の量が、該組み合わせを徐波睡眠を増加させるために有効なものとするように選ばれる、前記方法。
【請求項15】
投与される上記式Iの化合物がプレガバリンである、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2006−511604(P2006−511604A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−502468(P2005−502468)
【出願日】平成15年12月3日(2003.12.3)
【国際出願番号】PCT/IB2003/005684
【国際公開番号】WO2004/054565
【国際公開日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(503181266)ワーナー−ランバート カンパニー リミティド ライアビリティー カンパニー (167)
【Fターム(参考)】