説明

線路軌間外舗装構造、及び線路軌間外舗装方法

【課題】 自動車等の走行によりアスファルト舗装道路との境界部に衝撃力が作用しても軌間外軌道舗装部材への影響が少ない線路軌間外舗装構造、及び線路軌間外の舗装方法を提供する。
【解決手段】 レールの外側に設置される軌間外軌道舗装部材11A等と、レールの長手方向に延びアスファルト層の下方の路盤の上に設置される鉄筋コンクリート梁部材12A等と、鉄筋コンクリート梁部材12A等の上部に取り付けられ、底板部14aと直壁板部14bの会合する隅角部に、レールに向かって突出する棚板部14cが、まくらぎ中心位置C1等ごとに設けられる間隙調整部材支持金具14と、レールの長手方向に延びる梁状部材であって、軌間外軌道舗装部材11A等の外側端面11aと間隙調整部材支持金具14との間の調整間隙を充填し棚板部14cにより下方から支持されて調整間隙を充填する間隙調整部材13を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線路の軌間外においてレールの外側とアスファルト舗装道路との間に設けられ道路の路面を構成する線路軌間外舗装構造、及び線路の軌間外において道路の路面を構成する線路軌間外の舗装方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、出願人は、踏切部の軌道のまくらぎはてっ去せず、まくらぎの上に、幅の広い板状部材(以下、「軌道舗装部材」という。)を敷き並べて取り付け、これらの軌道舗装部材の上面を踏切部の道路として利用するようにした軌道舗装構造(以下、「舗装部材着脱式踏切」という。)を提案している(特許文献1を参照)。
【0003】
この舗装部材着脱式踏切によれば、構造が簡素であるため、材料費、工事費ともに低廉であり、MTT(マルチプル・タイタンパー)による道床砕石突き固め作業に際しても、軌道舗装部材を取り外せば道床が露出するため、踏切前後の軌道と連続して作業が行え、効率の良い機械化軌道保守作業が可能となる、という利点を有している。
【0004】
しかし、上記した従来の舗装部材着脱式踏切においては、線路の軌間外の道路面を構成する軌間外軌道舗装部材と、アスファルト舗装道路部分との間には、薄板状の舗装絶縁部材や、間隙を埋めるスペーサー部材等が配置されているだけであるため、舗装絶縁部材に接し踏切との境界となるアスファルト舗装道路部分が、ダンプトラックのような大型自動車の走行等によって摩損して段差が生じ、自動車の走行時に、タイヤが軌間外軌道舗装部材等をレールへ向かう方向に水平に衝撃する場合があり、これに伴って軌間外軌道舗装部材に「バタつき」が発生したり、軌間外軌道舗装部材を取り付けるボルト等に過大な力が作用して変形や折損等が生じる、という問題が発生していた。
【特許文献1】特開2000−265409号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、本発明の解決しようとする課題は、自動車等の走行によりアスファルト舗装道路との境界部に衝撃力が作用しても軌間外軌道舗装部材への影響が少ない線路軌間外舗装構造、及び線路軌間外の舗装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の請求項1に係る線路軌間外舗装構造は、
線路の軌間外においてレールの外側とアスファルト舗装道路との間に設けられる線路軌間外舗装構造であって、
前記レールの外側とアスファルト舗装道路との間に着脱設置可能で道路の路面の一部を構成する軌間外軌道舗装部材と、
前記レールの長手方向に延びる梁状部材であって、前記アスファルト舗装道路における前記軌間外軌道舗装部材側の端部付近のアスファルト層の下方の路盤の上に設置される鉄筋コンクリート梁部材と、
前記鉄筋コンクリート梁部材の上部に取り付けられる略L字状断面の鋼製部材であって、底板部と直壁板部の会合する隅角部に、前記レールに向かって突出する棚板部が、まくらぎ中心位置ごとに設けられた間隙調整部材支持金具と、
前記レールの長手方向に延びる梁状部材であって、前記軌間外軌道舗装部材の外側端面と前記間隙調整部材支持金具との間の調整間隙の内部に収容されるとともに前記棚板部により下方から支持されて前記調整間隙を充填する間隙調整部材を
備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の請求項2に係る線路軌間外舗装構造は、
請求項1記載の線路軌間外舗装構造において、
前記間隙調整部材のレール長手方向の端部は、間隙調整部材固定ボルトにより間隙調整部材支持金具の直壁板部に固定されること
を特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項3に係る線路軌間外舗装構造は、
請求項1記載の線路軌間外舗装構造において、
前記間隙調整部材は、複数の間隙調整部材縦ピースがレール長手方向に接合されて構成され、前記間隙調整部材縦ピースどうしの接合箇所は前記棚板部の設置位置と合致するように構成され、前記接合箇所となる間隙調整部材縦ピースの端部には、鋼材からなる縦ピース接合部材が取り付けられ、前記縦ピース接合部材には、隣接する間隙調整部材縦ピースに設けられた第1ホゾ凹部に嵌合する第1ホゾ凸部と、前記棚板部に嵌合する略コ字状の棚板嵌合凹部が形成されていること
を特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項4に係る線路軌間外舗装構造は、
請求項1記載の線路軌間外舗装構造において、
前記間隙調整部材は、道路方向の厚みが異なる複数の板状の間隙調整部材横ピースにより構成され、前記調整間隙の道路方向の距離が調整可能であること
を特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項5に係る線路軌間外舗装構造は、
請求項4記載の線路軌間外舗装構造において、
前記間隙調整部材横ピースのうち、厚みが最大のものには、道路方向の厚みが異なる他の間隙調整部材横ピースに設けられた保持用孔に嵌合する第2ホゾ凸部を有する横ピース保持用部材が装着されること
を特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項6に係る線路軌間外舗装構造は、
請求項5記載の線路軌間外舗装構造において、
前記横ピース保持用部材は、厚みが最大の間隙調整部材横ピースに取り付けられるとともに内径が3段階に縮径又は拡径する貫通孔が形成された柱状凸部を有する横ピース保持用部材本体と、略円筒状の第1嵌合部材と、外径が2段階に縮径又は拡径する柱状部を有する第2嵌合部材を適宜に嵌合させることにより、横ピース保持用部材本体の前面からの突出長さを3段階に調節可能に構成されること
を特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項7に係る線路軌間外舗装方法は、
線路の軌間外においてレールの外側とアスファルト舗装道路との間を舗装する線路軌間外舗装方法であって、
前記レールの長手方向に延びる梁状部材である鉄筋コンクリート梁部材を、前記アスファルト舗装道路における前記軌間外軌道舗装部材側の端部付近のアスファルト層の下方の路盤の上に設置し、
略L字状断面の鋼製部材であって、底板部と直立部の会合する隅角部に、前記レールに向かって突出する棚板部が、まくらぎ中心位置ごとに設けられた間隙調整部材支持金具を、前記鉄筋コンクリート梁部材の上部に取り付け、
前記レールの長手方向に延びる梁状部材である間隙調整部材を、前記軌間外軌道舗装部材の外側と前記間隙調整部材支持金具との間の調整間隙の内部に収容させるとともに前記棚板部により下方から支持して前記調整間隙を充填し、
前記レールの外側とアスファルト舗装道路との間に、着脱設置可能で道路の路面の一部を構成する軌間外軌道舗装部材を敷設し、
前記間隙調整部材支持金具の付近をアスファルト舗装すること
を特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る線路軌間外舗装構造、及び線路軌間外舗装方法は、線路の軌間外においてレールの外側とアスファルト舗装道路との間に設けられる線路軌間外舗装構造であって、前記レールの外側とアスファルト舗装道路との間に着脱設置可能で道路の路面の一部を構成する軌間外軌道舗装部材と、前記レールの長手方向に延びる梁状部材であって、前記アスファルト舗装道路における前記軌間外軌道舗装部材側の端部付近のアスファルト層の下方の路盤の上に設置される鉄筋コンクリート梁部材と、前記鉄筋コンクリート梁部材の上部に取り付けられる略L字状断面の鋼製部材であって、底板部と直壁板部の会合する隅角部に、前記レールに向かって突出する棚板部が、まくらぎ中心位置ごとに設けられた間隙調整部材支持金具と、前記レールの長手方向に延びる梁状部材であって、前記軌間外軌道舗装部材の外側端面と前記間隙調整部材支持金具との間の調整間隙の内部に収容されるとともに前記棚板部により下方から支持されて前記調整間隙を充填する間隙調整部材を備えて構成するようにした。これにより、自動車等の走行によりアスファルト舗装道路との境界部に衝撃力が作用しても軌間外軌道舗装部材への影響が少ない、という効果を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に説明する実施例は、線路の軌間外においてレールの外側とアスファルト舗装道路との間に設けられる線路軌間外舗装構造であって、前記レールの外側とアスファルト舗装道路との間に着脱設置可能で道路の路面の一部を構成する軌間外軌道舗装部材と、前記レールの長手方向に延びる梁状部材であって、前記アスファルト舗装道路における前記軌間外軌道舗装部材側の端部付近のアスファルト層の下方の路盤の上に設置される鉄筋コンクリート梁部材と、前記鉄筋コンクリート梁部材の上部に取り付けられる略L字状断面の鋼製部材であって、底板部と直壁板部の会合する隅角部に、前記レールに向かって突出する棚板部が、まくらぎ中心位置ごとに設けられた間隙調整部材支持金具と、前記レールの長手方向に延びる梁状部材であって、前記軌間外軌道舗装部材の外側端面と前記間隙調整部材支持金具との間の調整間隙の内部に収容されるとともに前記棚板部により下方から支持されて前記調整間隙を充填する間隙調整部材を備えて構成するようにしたものである。このため、自動車等の走行によりアスファルト舗装道路との境界部に衝撃力が作用しても軌間外軌道舗装部材への影響が少なく、本発明を実現するための構成として最良の形態である。
【実施例1】
【0015】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
まず、本発明の第1実施例について説明する。
【0017】
図1は、本発明の第1実施形態である線路軌間外舗装構造を用いた踏切道の構成を示す平面図である。また、図2は、図1に示す線路軌間外舗装構造のさらに詳細な構成を示す図であり、レール外側の箇所Aの部分の拡大平面図である。また、図3は、図1に示す線路軌間外舗装構造のさらに詳細な構成を示す図であり、レール外側の箇所Aの部分を図2におけるA−A方向から見た拡大正面図である。また、図4は、本発明の第1実施例である線路軌間外舗装構造における間隙調整部材支持金具の構成を示す図である。また、図5は、本発明の第1実施例である線路軌間外舗装構造における間隙調整部材縦ピースの各種の例の構成を示す図である。また、図6は、本発明の第1実施例である線路軌間外舗装構造における縦ピース接合部材の構成を示す図である。
【0018】
図1に示すように、この踏切道1は、踏切の線路の軌間外の一方(図1における下方)に設けられる線路軌間外舗装構造10Aと、線路の軌間内に設けられる線路軌間内舗装構造5と、線路の軌間外の他方(図1における上方)に設けられる線路軌間外舗装構造10Bを備えて構成されている。図1において、レールは図示されていない。一方のレールは、図1における間隙V1の位置に設置され、他方のレールは、図1における間隙V2の位置に設置される。
【0019】
上記した線路軌間外舗装構造10Aは、踏切の線路の一方(図1における下方)のレール(間隙V1に設置されるレール。図示せず。)の外側(図1における下方)に設けられている。また、線路軌間外舗装構造10Bは、踏切の線路の他方(図1における上方)のレール(間隙V2に設置されるレール。図示せず。)の外側(図1における上方)に設けられている。
【0020】
線路軌間内舗装構造5は、複数の軌間内軌道舗装部材51及び52を有している。これらの軌間内軌道舗装部材51及び52は、上記した従来の舗装部材着脱式踏切における線路の軌間内の道路面を構成する軌間内軌道舗装部材と同様の構成及び作用を有している。また、図1における符号3A、3B1、3Cは、まくらぎを示している。なお、図1において、まくらぎ3B1とまくらぎ3Cの間にも、他のまくらぎが配置されているが、図示は省略されている。
【0021】
また、線路軌間外舗装構造10Bは、線路軌間外舗装構造10Aと同様の構成を有しているため、以下の説明は線路軌間外舗装構造10Aについて行う。
【0022】
図1〜図3に示すように、線路軌間外舗装構造10Aは、複数の軌間外軌道舗装部材、例えば11A及び11Bと、複数の鉄筋コンクリート梁部材、例えば12A、12B等と、間隙調整部材支持金具14と、間隙調整部材13を備えて構成されている。
【0023】
上記した鉄筋コンクリート梁部材、例えば12Aは、図1〜図3に示すように、レール(間隙V1に設置されるレール。図示せず。)の長手方向に延びる梁状部材であり、鉄筋コンクリートにより構成されている。また、鉄筋コンクリート梁部材、例えば12Aは、アスファルト舗装道路4Aにおける軌間外軌道舗装部材側の端部付近のアスファルト層の下方の路盤66の上に設置されている。なお、図3のアスファルト舗装4Aのさらに右方には、鉄筋コンクリート等(無筋コンクリート、鉄筋コンクリート、プレストレストコンクリート、鉄骨コンクリート、繊維補強コンクリート等からなり、直方体状又は厚板状に形成された部材。図示せず。)からなるブロック部材が設置され、そのさらに右方がアスファルト舗装道路となっているが、図示は省略されている。また、図1においては、鉄筋コンクリート梁部材、例えば12Aの直上を被覆しているアスファルト舗装道路4Aの下を透視した状態で図示されている。
【0024】
また、軌間外軌道舗装部材11は、レール(間隙V1に設置されるレール。図示せず。)の外側に着脱設置可能であり、踏切道1の軌間外の踏切道路の路面の一部を構成している。また、間隙調整部材13は、軌間外軌道舗装部材、例えば11Aの外側の調整間隙の内部に収容されて調整間隙を充填するとともに、踏切道路の路面の一部を構成している。また、間隙調整部材支持金具14は、鉄筋コンクリート梁部材、例えば12Aの上部に取り付けられる略L字状断面の鋼製部材であって、底板部14aと直壁板部14bの会合する隅角部に、レール(間隙V1に設置されるレール。図示せず。)に向かって突出する棚板部14cが、まくらぎ中心位置ごとに設けられている。
【0025】
また、図3に示すように、鉄筋コンクリート梁部材、例えば12Aの上部には、埋込栓抜41が埋設されている。この埋込栓抜41は、金属等からなる円柱状の部材であり、内部に、ボルト用の雌ネジが形成されている。
【0026】
上記した鉄筋コンクリート梁部材、例えば12Aは、図3に示すように、路盤66上に設置される。この際、路盤66上には、小砕石等が敷設され、転圧機械等によって転圧され、十分な地盤強度を発揮するように調整される。
【0027】
また、図4に示すように、間隙調整部材支持金具14は、鋼材等からなり、底板部14aと、直壁板部14bと、棚板部14cを有している。底板板部14aと直壁板部14bは板状で、互いに垂直となるように結合され、「L」字状の断面を形成している。また、底板部14aと直壁板部14bの会合する隅角部には、レールに向かって突出する棚板部14cが設けられている。棚板部14cは、板状の部分であり、溶接等によって接合されている。図1、及び図2に示すように、棚板部14cは、間隙調整部材支持金具14の設置時には、レールに向かって突出するような状態となり、棚板部14cは、まくらぎ中心位置、例えばC1、やC2(図2参照)ごとに設けられる。この場合、棚板部14cの中心線と、まくらぎ中心線C1、やC2(図2参照)は、一致する。
【0028】
また、底板部14aには、長穴14eが開設されている。この長穴14eにより、取付用ボルト21を挿通させることができ、また、間隙調整部材支持金具14の長手方向への微調整が可能となっている。また、直壁板部14bにも、長穴14fが開設されている。この長穴14fにより、間隙調整部材固定ボルト25を挿通させることができ、また、間隙調整部材支持金具14の長手方向への微調整が可能となっている。
【0029】
上記した間隙調整部材支持金具14を鉄筋コンクリート梁部材12Aに取り付ける場合は、まず、鉄筋コンクリート梁部材12Aの埋込栓41を含む部分に、ゴムパッド39(図3参照)を配置する。ゴムパッド39は、弾性を有するゴム材料からなり、平面形状等は図示していないが、底板部14aと同様の平面形状を有し、長穴14eに対応する位置に、円形のボルト挿通孔が設けられている。このような構成により、ゴムパッド39の上に底板部14aを乗せ、上方から平座金23、バネ座金24を置き、取付用ボルト21を挿通させて締め付ける。これにより、間隙調整部材支持金具14は、ブロック部材12Aに取り付けられる。
【0030】
次に、間隙調整部材13の構成について説明する。図2及び図3に示すように、間隙調整部材13は、レールの長手方向に延びる梁状部材である。間隙調整部材13は、軌間外軌道舗装部材11A等の外側端面11aと間隙調整部材支持金具14の直壁板部14bとの間の調整間隙の内部に収容されて、調整間隙を充填する。また、間隙調整部材13は、棚板部14cにより、下方から支持される。また、間隙調整部材13は、複数の間隙調整部材縦ピースがレール長手方向に接合されて構成されている。図2には、端部の間隙調整部材縦ピース13Cと、それに接続する中間の間隙調整部材縦ピース13Aが図示されている。
【0031】
図5は、本発明の第1実施例である線路軌間外舗装構造における間隙調整部材縦ピースの各種の例の構成を示す図である。図5(A)、図5(B)、図5(C)は、中間の間隙調整部材縦ピース13Aの構成を図示したものであり、図5(A)は、中間の間隙調整部材縦ピース13Aの正面図を、図5(B)は、中間の間隙調整部材縦ピース13Aの側面図を、図5(C)は、中間の間隙調整部材縦ピース13Aの背面図を、それぞれ示している。
【0032】
図5(A)〜図5(C)に示すように、中間の間隙調整部材縦ピース13Aは、木材、木質集成材、合成樹脂材料、繊維強化プラスチック等からなる板状部材である。間隙調整部材縦ピース13Aの一方(図の左方)の端面13aの下部には、段差状に切り欠いた段差部13dが形成されている。段差部13dは、水平面状の段差天井面13d1と、鉛直面状の段差側面13d2により構成されている。また、間隙調整部材縦ピース13Aの他方(図の右方)の端面13bの略中央部には、円柱状の凹部であるホゾ凹部13eが形成されている。
【0033】
また、図5(D)、図5(E)、図5(F)は、他の中間の間隙調整部材縦ピース13Bの構成を図示したものであり、図5(D)は、他の中間の間隙調整部材縦ピース13Bの正面図を、図5(E)は、他の中間の間隙調整部材縦ピース13Bの側面図を、図5(F)は、他の中間の間隙調整部材縦ピース13Bの背面図を、それぞれ示している。
【0034】
図5(D)〜図5(F)に示すように、他の中間の間隙調整部材縦ピース13Bは、木材、木質集成材、合成樹脂材料、繊維強化プラスチック等からなる板状部材である。間隙調整部材縦ピース13Bの一方(図の左方)の端面13fの略中央部には、円柱状の凹部であるホゾ凹部13hが形成されている。また、間隙調整部材縦ピース13Bの他方(図の左方)の端面13gの略中央部には、円柱状の凹部であるホゾ凹部13iが形成されている。
【0035】
また、図5(G)、図5(H)は、端部の間隙調整部材縦ピース13Cの構成を図示したものであり、図5(G)は、端部の間隙調整部材縦ピース13Cの正面図を、図5(H)は、端部の間隙調整部材縦ピース13Cの側面図を、それぞれ示している。
【0036】
図5(G)及び図5(H)に示すように、端部の間隙調整部材縦ピース13Cは、木材、木質集成材、合成樹脂材料、繊維強化プラスチック等からなる板状部材である。端部の間隙調整部材縦ピース13Cの一方(図の左方)の端面13kの下部には、段差状に切り欠いた段差部13mが形成されている。段差部13mは、水平面状の段差天井面13m1と、鉛直面状の段差側面13m2により構成されている。また、端部の間隙調整部材縦ピース13Cの他方(図の右方)の端部付近の側部の略中央部には、円柱状の貫通孔であるボルト挿通孔13nが形成されている。
【0037】
また、図2のまくらぎ中心線C2の箇所に図示されているように、間隙調整部材縦ピースどうし、例えば、図2の場合の、端部間隙調整部材縦ピース13Cと中間部間隙調整部材縦ピース13Aとの接合箇所は、棚板部14cの設置位置と合致するように設定されている。また、この接合箇所となる間隙調整部材縦ピースの端部、図2の場合の端部間隙調整部材縦ピース13Cの端部(図2の右端部)には、鋼材からなる縦ピース接合部材15が取り付けられている。
【0038】
図6は、本発明の第1実施例である線路軌間外舗装構造における縦ピース接合部材15の構成を示す図であり、図6(A)は、縦ピース接合部材15の側面図を、図6(B)は、縦ピース接合部材15の正面図を、それぞれ示している。
【0039】
図6に示すように、この縦ピース接合部材15は、最上部から鉛直下方に延びる第1直板部15aと、第1直板部15aの下端から水平方向に(図6(A)における右方向に)屈曲して延びる第1平板部15bと、第1平板部15bの先端(図6(A)における右端)から鉛直下方に屈曲して延びる第2直板部15cと、第2直板部15cの下端から第1平板部15bとは逆の水平方向に(図6(A)における左方向に)屈曲して延びる第2平板部15dを有して構成されている。
【0040】
また、縦ピース接合部材15の第1直板部15aの前面15s1の略中央部には、円柱状の突起である第1ホゾ凸部15eが設けられている。また、縦ピース接合部材15の第1平板部15bと、第2直板部15cと、第2平板部15dによって、略「コ」字状に囲まれて形成される略直方体状の空間は、棚板嵌合凹部15fとなっている。
【0041】
また、縦ピース接合部材15の第1平板部15bの上面15s3の長さ(図6(A)における左右方向の長さ)は、上記した間隙調整部材縦ピース13A又は13Cの段差部13d又は13mの水平面状の段差天井面13d1又は13m1の長さ(図5(B)又は図5(H)における左右方向の長さ)よりもわずかに小さい値に設定されている。
【0042】
また、縦ピース接合部材15の第1直板部15aには、第1ホゾ凸部15eの上方に、ネジ用穴15gが開設されている。このネジ用穴15gは、前面15s1から右へ向かうにつれて内径が縮小する逆円錐台形状の孔である皿部15g1と、皿部15g1の右端に接続し縦ピース接合部材15の第1直板部15aの背面である第1背面15s2に貫通する円柱状の孔である筒穴部15g2を有している。
【0043】
また、縦ピース接合部材15の第1直板部15aには、第1ホゾ凸部15eの下方に、ネジ用穴15hが開設されている。このネジ用穴15hは、上記のネジ用穴15gと同様の構成を有する穴である。
【0044】
上記のような構成により、間隙調整部材縦ピース13Aの端面13aと、縦ピース接合部材15の第1直板部15aの第1背面15s2のいずれか一方又は両方に接着剤を塗布し、間隙調整部材縦ピース13Aの段差天井面13d1と、縦ピース接合部材15の第1平板部15bの上面である第1上面15s3のいずれか一方又は両方に接着剤を塗布し、かつ、間隙調整部材縦ピース13Aの段差側面13d2と、縦ピース接合部材15の第2直板部15cの背面である第2背面15s4のいずれか一方又は両方に接着剤を塗布して、押圧することにより、縦ピース接合部材15を、間隙調整部材縦ピース13Aの左端に接着することができる。その後、ネジ用穴15g、15hに、頭部が皿状(逆円錐台形状)となった木ネジである皿木ネジ29、30(図3参照)を、それぞれねじ込むことにより、縦ピース接合部材15を、間隙調整部材縦ピース13Aの左端に強固に固定し接合することができる。まったく同様にして、縦ピース接合部材15は、間隙調整部材縦ピース13Cの左端に強固に固定し接合することができる。
【0045】
このようにして、端部に縦ピース接合部材15が取り付けられた間隙調整部材縦ピース13Cは、その第1ホゾ凸部15eにより、隣接する間隙調整部材縦ピースに設けられた第1ホゾ凹部(例えば13e、13h、13iなど)に嵌合するすることができる。また、端部に縦ピース接合部材15が取り付けられた間隙調整部材縦ピース13Cは、その棚板嵌合凹部15fにより、間隙調整部材支持金具14の棚板部14cに嵌合することができるようになっている。
【0046】
このようにして、複数の間隙調整部材縦ピース13A又は13B又は13Cが、レール長手方向にホゾ凹部とホゾ凸部の嵌合により接合されることにより、間隙調整部材13が構成される。また、間隙調整部材縦ピース13A又は13B又は13Cどうしの接合箇所、すなわち、縦ピース接合部材15の箇所は、図2に示すように、棚板部14cの設置位置(中心位置)と合致するようになっている。
【0047】
また、端部の間隙調整部材縦ピース13Cのレール長手方向の端部(図5(H)における右端部)のボルト挿通孔13nには、間隙調整部材固定ボルト25(図2参照)が、挿通され、平座金27、バネ座金28、ナット26により、間隙調整部材支持金具14の直壁板部14bの長穴14f(図4参照)の箇所に固定される。
【0048】
なお、最後に、間隙調整部材支持金具14の付近、すなわち、間隙調整部材支持金具14の外側でかつ鉄筋コンクリート梁部材12A等の上方の箇所にアスファルト舗装が施工される。
【0049】
上記のような構成により、この第1実施例の線路軌間外舗装構造によれば、自動車等の走行によりアスファルト舗装道路との境界部に衝撃力が作用しても、「バタつき」などの軌間外軌道舗装部材への影響が少ない、という作用を有している。また、踏切付近の軌道保守の完了後に、再度敷設する場合の間隙調整が容易である、という作用も有している。
【実施例2】
【0050】
本発明は、上記した第1実施例以外の構成によっても実現可能である。次に、本発明の第2実施例について、図7ないし図11を参照して説明する。
【0051】
図7は、本発明の第2実施例である線路軌間外舗装構造の詳細な構成を示す図である。また、図8は、本発明の第2実施例である線路軌間外舗装構造における間隙調整部材横ピースの一例の構成を示す図である。また、図9は、本発明の第2実施例である線路軌間外舗装構造における横ピース保持用部材本体の構成を示す図である。また、図10は、本発明の第2実施例である線路軌間外舗装構造における第1嵌合部材及び第2嵌合部材の構成を示す図である。また、図11は、本発明の第2実施例である線路軌間外舗装構造における横ピース保持用部材の作用を説明する図である。
【0052】
図7に示すように、第2実施例の線路軌間外舗装構造10Cは、複数の軌間外軌道舗装部材、例えば11A等と、複数の鉄筋コンクリート梁部材、例えば12A等と、間隙調整部材支持金具14と、間隙調整部材33を備えて構成されている。
【0053】
第2実施例の線路軌間外舗装構造10Cが、第1実施例の線路軌間外舗装構造10A、10Bと異なる点は、間隙調整部材13のかわりに、異なる構成の間隙調整部材33を備えた点であり、他の構成要素については、第1実施例の線路軌間外舗装構造10A、10Bの場合とまったく同様である。
【0054】
第2実施例の線路軌間外舗装構造10Cにおいては、間隙調整部材33は、道路方向の厚みが異なる複数の板状の間隙調整部材横ピース、例えば、33A、33B、33Cにより構成され、軌間外軌道舗装部材11A等の外側端面11aと間隙調整部材支持金具14の直壁板部14bとの間の調整間隙の道路方向の距離が調整可能となっている。
【0055】
図8は、本発明の第2実施例である線路軌間外舗装構造10Cにおける厚みが最大の間隙調整部材横ピース33Aの構成を示す図であり、図8(A)は、間隙調整部材横ピース33Aの中央部付近の横断面図を、図8(B)は、間隙調整部材横ピース33Aの中央部付近の側面図を、それぞれ示している。
る。
【0056】
厚みが最大の間隙調整部材横ピース33Aの一方の側面には、間隙調整部材横ピース33Aの上端縁33e1から間隙調整部材横ピース33Aの下端縁33e2に向けて鉛直方向に延びる浅い溝状の段差部33aが形成されている。また、この段差部33aの中央部付近から、間隙調整部材横ピース33Aの他方の側面(反対側の側面)に向けて円形断面の貫通孔33bが形成されている。
【0057】
上記した間隙調整部材横ピース33Aの段差部33aと貫通孔33bには、図9に示す横ピース保持用部材本体34が取り付けられる。この横ピース保持用部材本体34は、合成樹脂などからなり、平板状の板状部34aと、板状部34aの背後に突出する柱状凸部34bを有している。
【0058】
また、横ピース保持用部材本体34の柱状凸部34bには、内径が3段階に縮径又は拡径する貫通孔が形成されている。すなわち、板状部34aの前面34nから背後に向かって(図9(B)における右へ向かって)は、内径がD1で奥行き長さがL1の円形断面の孔である前方孔部34eが形成されている。また、前方孔部34eの最奥部(図9(B)における右端)から背後に向かって(図9(B)における右へ向かって)は、内径がD2で奥行き長さがL2の円形断面の孔である中央孔部34fが形成されている。ここで、D2は、D1より小さく、L2は、L1よりも小さい値に設定されている。また、中央孔部34fの最奥部(図9(B)における右端)から背後に向かって(図9(B)における右へ向かって)は、内径がD3で奥行き長さがL3の円形断面の孔である後方孔部34gが形成され、柱状凸部34bの背後に貫通している。ここで、D3は、D2より小さく、L2は、L1よりも小さくL2よりも大きな値に設定されている。
【0059】
ここで、横ピース保持用部材本体34の板状部34aの厚みは、間隙調整部材横ピース33Aの段差部33aの深さよりもわずかに小さい値に設定されている。また、横ピース保持用部材本体34の板状部34aの長縁34cの長さ(図8(A)における上下方向の長さ)は、間隙調整部材横ピース33Aの段差部33aの上下方向の長さ(図8(B)における上下方向の長さ)とほぼ等しい値に設定されている。また、横ピース保持用部材本体34の板状部34aの短縁34dの長さ(図8(A)における左右方向の長さ)は、間隙調整部材横ピース33Aの段差部33aの幅(図8(B)における左右方向の長さ)よりもわずかに小さい値に設定されている。
【0060】
また、横ピース保持用部材本体34の板状部34aには、前方孔部34eを中心として四隅の位置に、4個の皿孔34hが開設されている。この皿孔34hは、前面34nから右へ向かうにつれて内径が縮小する逆円錐台形状の孔である皿部と、皿部の奥の端に接続し板状部34aの背面に貫通する円柱状の孔を有している。
【0061】
上記のような構成により、横ピース保持用部材本体34の板状部34aの背面と、柱状凸部34bの外周側面と、間隙調整部材横ピース33Aの段差部33aの表面及び貫通孔33bの内面のいずれか一方又は両方に接着剤を塗布し、押圧することにより、横ピース保持用部材本体34を、間隙調整部材横ピース33Aの略中央部付近に接着することができる。その後、皿孔34hに、頭部が皿状(逆円錐台形状)となった木ネジである皿木ネジ(図示せず。)を、それぞれねじ込むことにより、横ピース保持用部材本体34を、間隙調整部材横ピース33Aの略中央部付近に強固に固定し接合することができる。
【0062】
次に、図10に示すような第1嵌合部材35と、第2嵌合部材36を別体として作製する。上記の横ピース保持用部材本体34と、第1嵌合部材35と、第2嵌合部材36は、特許請求の範囲における横ピース保持用部材を構成する。
【0063】
図10(A)は、第1嵌合部材35の縦断面図を、図10(B)は、第1嵌合部材35の図10(A)の左方から見た正面図を、それぞれ示している。
【0064】
図10(A)及び図10(B)に示すように、第1嵌合部材35は、略円筒状の形状を有している。すなわち、第1嵌合部材35は、筒部35aと、底板部35bを有している。筒部35aは、外径がD4、内径がD5で、奥行き長さがL5の円筒状であり、円形断面の孔である筒孔部35cが形成されている。また、底板部35bは、筒部35aの最奥に接続し、外径がD4で厚みが(L4−L5)の円形状の板であり、その中央に、内径D6の円形孔である底板孔35dが形成されている。ここで、D4は、D1よりわずかに小さい値に設定されている。また、L4は、L1よりもわずかに小さな値に設定されている。
【0065】
また、図10(C)は、第2嵌合部材36の側面図を、図10(D)は、第2嵌合部材36の図10(C)の左方から見た正面図を、それぞれ示している。
【0066】
図10(C)及び図10(D)に示すように、第2嵌合部材36は、外径が2段階に縮径又は拡径する柱状部を有している。すなわち、第2嵌合部材36は、第1柱状部36aと、第2柱状部36bを有している。第1柱状部36aは、外径がD7で、奥行き長さがL6の円柱状に形成されている。また、第2柱状部36bは、外径がD8で、奥行き長さがL7の円柱状に形成されている。ここで、D8は、D7より小さく、L7は、L6よりも小さな値に設定されている。また、L6は、L5よりも大きな値に設定されている。
【0067】
ここで、D1〜D8と、L1〜L7の値の一例を示すと、例えば、D1=27ミリメートル、D2=20.5ミリメートル、D3=10.5ミリメートル、D4=26.5ミリメートル、D5=20.5ミリメートル、D6=10.5ミリメートル、D7=20ミリメートル、D8=10ミリメートル、L1=33ミリメートル、L2=7ミリメートル、L3=20ミリメートル、L4=33ミリメートル、L5=30ミリメートル、L6=37ミリメートル、L7=20ミリメートルである。
【0068】
上記のような構成により、図11(A)のような状態となるように、横ピース保持用部材本体34の前方孔部34eの中に、第2端面35gが奥となるように第1嵌合部材35を差し込み、第2柱状部36bが奥となるように第2嵌合部材36を差し込むと、第2嵌合部材36の第1柱状部36aの底面である第3端面36cが、横ピース保持用部材本体34の前面34nから、長さL8だけ突出する。上記の数値例を当てはめると、突出長さL8は、7ミリメートルとなる。
【0069】
したがって、図7における最も厚みの薄い間隙調整部材横ピース33Cの厚みを7〜11ミリメートル程度としておき、内径がD7よりわずかに大きな値(例えば20.5ミリメートル程度)の保持用孔(貫通する孔)を間隙調整部材横ピース33Cの中央部付近に開設しておけば、上記の第2嵌合部材36の第1柱状部36aの底部の突出箇所により、この保持用孔に嵌合させて、中間支持を行うことができる。また、間隙調整部材横ピース33A、33Cの両端部の支持は、図7に示すように、間隙調整部材横ピース33A、33Cの両端部付近にボルト挿通孔33f、33hを開設しておき、このボルト挿通孔33f、33hに、間隙調整部材固定ボルト25(図7参照)を、挿通し、平座金27、バネ座金28、ナット26により、間隙調整部材支持金具14の直壁板部14bの長穴14f(図4参照)の箇所に固定することで端部支持を行うことができる。また、図7に示すように、間隙調整部材33は、棚板部14cにより、下方から支持される。
【0070】
また、図11(B)のような状態となるように、横ピース保持用部材本体34の前方孔部34eの中に、第1端面35eが奥となるように第1嵌合部材35を差し込み、第1柱状部36aが奥となるように第2嵌合部材36を差し込むと、第2嵌合部材36の第2柱状部36bの頂面である第5端面36eが、横ピース保持用部材本体34の前面34nから、長さL9だけ突出する。上記の数値例を当てはめると、突出長さL9は、17ミリメートルとなる。
【0071】
したがって、図7における厚みが中間(2番目)の間隙調整部材横ピース33Bの厚みを17〜21ミリメートル程度としておき、内径がD8よりわずかに大きな値(例えば10.5ミリメートル程度)の保持用孔(貫通する孔)を間隙調整部材横ピース33Bの中央部付近に開設しておけば、上記の第2嵌合部材36の第2柱状部36bの頂部の突出箇所により、この保持用孔に嵌合させて、中間支持を行うことができる。また、間隙調整部材横ピース33A、33Bの両端部の支持は、図7に示すように、間隙調整部材横ピース33A、33Bの両端部付近にボルト挿通孔33f、33gを開設しておき、このボルト挿通孔33f、33gに、間隙調整部材固定ボルト25(図7参照)を、挿通し、平座金27、バネ座金28、ナット26により、間隙調整部材支持金具14の直壁板部14bの長穴14f(図4参照)の箇所に固定することで端部支持を行うことができる。また、図7に示すように、間隙調整部材33は、棚板部14cにより、下方から支持される。
【0072】
また、図11(C)のような状態となるように、横ピース保持用部材本体34の前方孔部34eの中に、第2端面35gが奥となるように第1嵌合部材35を差し込み、第1柱状部36aが奥となるように第2嵌合部材36を差し込むと、第2嵌合部材36の第2柱状部36bの頂面である第5端面36eが、横ピース保持用部材本体34の前面34nから、長さL10だけ突出する。上記の数値例を当てはめると、突出長さL10は、27ミリメートルとなる。
【0073】
したがって、図7における間隙調整部材横ピース33Cの厚みを7〜11ミリメートル程度としておき、内径がD7よりわずかに大きな値(例えば20.5ミリメートル程度)の保持用孔(貫通する孔)を間隙調整部材横ピース33Cの中央部付近に開設しておき、かつ、間隙調整部材横ピース33Bの厚みを17〜21ミリメートル程度としておき、内径がD8よりわずかに大きな値(例えば10.5ミリメートル程度)の保持用孔(貫通する孔)を間隙調整部材横ピース33Bの中央部付近に開設しておけば、上記の第2嵌合部材36の第2柱状部36bと、第1柱状部36aの一部からなる突出箇所により、これらの保持用孔に嵌合させて、中間支持を行うことができる。また、間隙調整部材横ピース33A〜33Cの両端部の支持は、図7に示すように、間隙調整部材横ピース33A〜33Cの両端部付近にボルト挿通孔33f、33g、33hを開設しておき、このボルト挿通孔33f〜33hに、間隙調整部材固定ボルト25(図7参照)を、挿通し、平座金27、バネ座金28、ナット26により、間隙調整部材支持金具14の直壁板部14bの長穴14f(図4参照)の箇所に固定することで端部支持を行うことができる。また、図7に示すように、間隙調整部材33は、棚板部14cにより、下方から支持される。
【0074】
上記したように、横ピース保持用部材本体34と、第1嵌合部材35と、第2嵌合部材36からなる横ピース保持用部材により、横ピース保持用部材本体の前面からの突出長さを3段階に調節することができる。
【0075】
また、第1嵌合部材35と、第2嵌合部材36は、特許請求の範囲における第2ホゾ凸部を構成している。
【0076】
なお、最後に、間隙調整部材支持金具14の付近、すなわち、間隙調整部材支持金具14の外側でかつ鉄筋コンクリート梁部材12A等の上方の箇所にアスファルト舗装が施工される。
【0077】
上記した第2実施例の線路軌間外舗装構造によれば、自動車等の走行によりアスファルト舗装道路との境界部に衝撃力が作用しても、「バタつき」などの軌間外軌道舗装部材への影響が少ない、という作用を有している。また、踏切付近の軌道保守の完了後に、再度敷設する場合の間隙調整が容易である、という作用も有している。
【0078】
なお、本発明は、上記各実施例に限定されるものではない。上記実施例は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明に係る線路軌間外舗装構造、及び線路軌間外舗装方法は、鉄道を運営する鉄道事業者で実施可能であり、鉄道線路の保守を行う企業でも実施可能であり、これらの産業で利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の第1実施形態である線路軌間外舗装構造を用いた踏切道の構成を示す平面図である。
【図2】図1に示す線路軌間外舗装構造のさらに詳細な構成を示す図であり、レール外側の箇所Aの部分の拡大平面図である。
【図3】図1に示す線路軌間外舗装構造のさらに詳細な構成を示す図であり、レール外側の箇所Aの部分を図2におけるA−A方向から見た拡大正面図である。
【図4】本発明の第1実施例である線路軌間外舗装構造における間隙調整部材支持金具の構成を示す図である。
【図5】本発明の第1実施例である線路軌間外舗装構造における間隙調整部材縦ピースの各種の例の構成を示す図である。
【図6】本発明の第1実施例である線路軌間外舗装構造における縦ピース接合部材の構成を示す図である。
【図7】本発明の第2実施例である線路軌間外舗装構造の詳細な構成を示す図である。
【図8】本発明の第2実施例である線路軌間外舗装構造における間隙調整部材横ピースの一例の構成を示す図である。
【図9】本発明の第2実施例である線路軌間外舗装構造における横ピース保持用部材本体の構成を示す図である。
【図10】本発明の第2実施例である線路軌間外舗装構造における第1嵌合部材及び第2嵌合部材の構成を示す図である。
【図11】本発明の第2実施例である線路軌間外舗装構造における横ピース保持用部材の作用を説明する図である。
【符号の説明】
【0081】
1 踏切道
3A〜3C まくらぎ
4A、4B アスファルト舗装道路
5 線路軌間内舗装構造
10A〜10C 線路軌間外舗装構造
11A〜11D 軌間外軌道舗装部材
11a 外側端面
12A〜12B 鉄筋コンクリート梁部材
13 間隙調整部材
13A〜13C 間隙調整部材縦ピース
13a、13b 端面
13d 段差部
13d1 段差天井面
13d2 段差側面
13e ホゾ凹部
13f、13g 端面
13h、13i ホゾ凹部
13k 端面
13m 段差部
13m1 段差天井面
13m2 段差側面
13n ボルト挿通孔
14 間隙調整部材支持金具
14a 底板部
14b 直壁部
14c 棚板部
14e、14f 長穴
15 縦ピース接合部材
15a 第1直板部
15b 第1平板部
15c 第2直板部
15d 第2平板部
15e 第1ホゾ凸部
15f 棚板嵌合凹部
15g ネジ用穴
15g1 皿部
15g2 筒穴部
15h ネジ用穴
15s1 前面
15s2 第1背面
15s3 第1上面
15s4 第2背面
20 ゴム受け部材
21 取付用ボルト
23 平座金
24 バネ座金
25 間隙調整部材固定ボルト
26 ナット
27 平座金
28 バネ座金
29、30 皿木ネジ
33 間隙調整部材
33A〜33C 間隙調整部材横ピース
33a 段差部
33b 貫通孔
33e1 上端縁
33e2 下端縁
33f〜33h ボルト挿通孔
34 横ピース保持用部材本体
34a 板状部
34b 柱状凸部
34c 長縁
34d 短縁
34e 前方孔部
34f 中央孔部
34g 後方孔部
34h 皿孔
34i 凹部底面
34k 凹部底面
34m 柱状部端面
34n 前面
35 第1嵌合部材
35a 筒部
35b 底板部
35c 筒孔部
35d 底板孔
35e 第1端面
35f 内底面
35g 第2端面
36 第2嵌合部材
36a 第1柱状部
36b 第2柱状部
36c 第3端面
36d 第4端面
36e 第5端面
37A〜37C 横ピース保持用部材
39 ゴムパッド
41 埋込栓
51、52 軌間内軌道舗装部材
52a 連結部
52b ボルト挿通孔
66 路盤
67 道床砕石
C1、C2 まくらぎ中心線
V1、V2 レール用間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
線路の軌間外においてレールの外側とアスファルト舗装道路との間に設けられる線路軌間外舗装構造であって、
前記レールの外側とアスファルト舗装道路との間に着脱設置可能で道路の路面の一部を構成する軌間外軌道舗装部材と、
前記レールの長手方向に延びる梁状部材であって、前記アスファルト舗装道路における前記軌間外軌道舗装部材側の端部付近のアスファルト層の下方の路盤の上に設置される鉄筋コンクリート梁部材と、
前記鉄筋コンクリート梁部材の上部に取り付けられる略L字状断面の鋼製部材であって、底板部と直壁板部の会合する隅角部に、前記レールに向かって突出する棚板部が、まくらぎ中心位置ごとに設けられた間隙調整部材支持金具と、
前記レールの長手方向に延びる梁状部材であって、前記軌間外軌道舗装部材の外側端面と前記間隙調整部材支持金具との間の調整間隙の内部に収容されるとともに前記棚板部により下方から支持されて前記調整間隙を充填する間隙調整部材を
備えることを特徴とする線路軌間外舗装構造。
【請求項2】
請求項1記載の線路軌間外舗装構造において、
前記間隙調整部材のレール長手方向の端部は、間隙調整部材固定ボルトにより間隙調整部材支持金具の直壁板部に固定されること
を特徴とする線路軌間外舗装構造。
【請求項3】
請求項1記載の線路軌間外舗装構造において、
前記間隙調整部材は、複数の間隙調整部材縦ピースがレール長手方向に接合されて構成され、前記間隙調整部材縦ピースどうしの接合箇所は前記棚板部の設置位置と合致するように構成され、前記接合箇所となる間隙調整部材縦ピースの端部には、鋼材からなる縦ピース接合部材が取り付けられ、前記縦ピース接合部材には、隣接する間隙調整部材縦ピースに設けられた第1ホゾ凹部に嵌合する第1ホゾ凸部と、前記棚板部に嵌合する略コ字状の棚板嵌合凹部が形成されていること
を特徴とする線路軌間外舗装構造。
【請求項4】
請求項1記載の線路軌間外舗装構造において、
前記間隙調整部材は、道路方向の厚みが異なる複数の板状の間隙調整部材横ピースにより構成され、前記調整間隙の道路方向の距離が調整可能であること
を特徴とする線路軌間外舗装構造。
【請求項5】
請求項4記載の線路軌間外舗装構造において、
前記間隙調整部材横ピースのうち、厚みが最大のものには、道路方向の厚みが異なる他の間隙調整部材横ピースに設けられた保持用孔に嵌合する第2ホゾ凸部を有する横ピース保持用部材が装着されること
を特徴とする線路軌間外舗装構造。
【請求項6】
請求項5記載の線路軌間外舗装構造において、
前記横ピース保持用部材は、厚みが最大の間隙調整部材横ピースに取り付けられるとともに内径が3段階に縮径又は拡径する貫通孔が形成された柱状凸部を有する横ピース保持用部材本体と、略円筒状の第1嵌合部材と、外径が2段階に縮径又は拡径する柱状部を有する第2嵌合部材を適宜に嵌合させることにより、横ピース保持用部材本体の前面からの突出長さを3段階に調節可能に構成されること
を特徴とする線路軌間外舗装構造。
【請求項7】
線路の軌間外においてレールの外側とアスファルト舗装道路との間を舗装する線路軌間外舗装方法であって、
前記レールの長手方向に延びる梁状部材である鉄筋コンクリート梁部材を、前記アスファルト舗装道路における前記軌間外軌道舗装部材側の端部付近のアスファルト層の下方の路盤の上に設置し、
略L字状断面の鋼製部材であって、底板部と直立部の会合する隅角部に、前記レールに向かって突出する棚板部が、まくらぎ中心位置ごとに設けられた間隙調整部材支持金具を、前記鉄筋コンクリート梁部材の上部に取り付け、
前記レールの長手方向に延びる梁状部材である間隙調整部材を、前記軌間外軌道舗装部材の外側と前記間隙調整部材支持金具との間の調整間隙の内部に収容させるとともに前記棚板部により下方から支持して前記調整間隙を充填し、
前記レールの外側とアスファルト舗装道路との間に、着脱設置可能で道路の路面の一部を構成する軌間外軌道舗装部材を敷設し、
前記間隙調整部材支持金具の付近をアスファルト舗装すること
を特徴とする線路軌間外舗装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−161499(P2006−161499A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−358082(P2004−358082)
【出願日】平成16年12月10日(2004.12.10)
【出願人】(000230825)日本軌道工業株式会社 (14)
【Fターム(参考)】