説明

締付けバンド

【課題】単一部品で締付け作業も容易な締付けバンドを提供することである。
【解決手段】バンド部材1の一方の端部に設けた二股部2を、他方の端部に設けたトンネル部3に嵌挿し、二股部2の先端部両側に設けた突出部5の外法幅をトンネル部3の内法幅よりも広くして、トンネル部3に嵌挿されて縮幅される二股部2の先端部をトンネル部3の出口側で拡幅させて、その両側の突出部5の顎5aをトンネル部3の出口側縁に係止することにより、単一部品として締付け作業も容易にできるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、剛性部材の外周面に筒状の被締付け部材を締付け固定する締付けバンドに関する。
【背景技術】
【0002】
可撓性を有する帯状のバンド部材の両端部を互いに係止して、等速ジョイント等のブーツやホース等の筒状の被締付け部材の端部を剛性部材の外周面に締付け固定する締付けバンドには、バンド部材の両端部に係合部を設け、両端部を係合させたバンド部材を帯状の締付け部材で縮径するように締付けるもの(例えば、特許文献1参照)、バンド部材の一端側内面にレバーを重ねて固定し、他端側外面に設けられた係止部にレバーの基端を係止して、レバー先端側をバンド部材の他端側外面に重ね合わせるように倒して締付けるもの(例えば、特許文献2参照)、バンド部材の一端に設けた挿通部に他端を挿通しながらバンド部材を2重に巻回し、挿通部から巻方向へ食み出た部分を挿通部の出口側縁を基点として反対側へ折り曲げるもの(例えば、特許文献3参照)等がある。
【0003】
【特許文献1】特開2003−194274号公報(第3図)
【特許文献2】特開2005−3047号公報(第3図)
【特許文献3】特開2003−156065号公報(第9図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1および2に記載された締付けバンドは、バンド部材のほかに締付け部材やレバーを必要とするので複合部品の管理に手間がかかり、かつ、バンド部材を被締付け部材に巻き付けた後、これを締付け部材やレバーで締付ける必要があるので、締付け作業に手間がかかる問題がある。また、特許文献3に記載された締付けバンドは、バンド部材のみの単一部品とすることができるが、バンド部材が被締付け部材に2重に巻回するために長くなり、かつ、長いバンド部材を被締付け部材に2重に巻回した後、その先端を折り曲げる必要があるので、やはり締付け作業に手間がかかる問題がある。
【0005】
そこで、本発明の課題は、単一部品で締付け作業も容易な締付けバンドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、可撓性を有する帯状のバンド部材の両端部を互いに係止して、剛性部材の外周面に筒状の被締付け部材を締付け固定する締付けバンドにおいて、前記バンド部材の一方の端部に先端が幅方向で二股に分岐する二股部を設けて、他方の端部にこの二股部が嵌挿されるトンネル部を設け、前記二股部の先端部両側に、幅方向外側へ突出して、二股部の根元側に顎が形成された突出部を設け、これらの二股部の幅方向外側へ突出する突出部の外法幅を前記トンネル部の内法幅よりも広くして、前記トンネル部に嵌挿されて縮幅される二股部の先端部をトンネル部の出口側で拡幅させて、その両側の前記突出部の顎をトンネル部の出口側縁に係止する構成を採用した。
【0007】
すなわち、バンド部材の一方の端部に設けた二股部を、他方の端部に設けたトンネル部に嵌挿し、二股部の先端部両側に設けた突出部の外法幅をトンネル部の内法幅よりも広くして、トンネル部に嵌挿されて縮幅される二股部の先端部をトンネル部の出口側で拡幅させて、その両側の突出部の顎をトンネル部の出口側縁に係止することにより、単一部品として締付け作業も容易にできるようにした。
【0008】
前記トンネル部の内法幅を、前記二股部が嵌挿される出口側へ向かって徐々に狭くすることにより、二股部をスムーズにトンネル部へ嵌挿することができる。
【0009】
前記バンド部材の両端部の外側面に、両端部を接近させるように引掛けるための突起を設けることにより、これらの突起をプライヤ等の工具を用いて接近させて、トンネル部に嵌挿した二股部の先端をトンネル部の出口まで出し、その両側の突出部の顎をトンネル部の出口側縁に容易に係止することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の締付けバンドは、バンド部材の一方の端部に設けた二股部を、他方の端部に設けたトンネル部に嵌挿し、二股部の先端部両側に設けた突出部の外法幅をトンネル部の内法幅よりも広くして、トンネル部に嵌挿されて縮幅される二股部の先端部をトンネル部の出口側で拡幅させて、その両側の突出部の顎をトンネル部の出口側縁に係止するようにしたので、単一部品で締付け作業も容易なものとすることができる。
【0011】
前記トンネル部の内法幅を、二股部が嵌挿される出口側へ向かって徐々に狭くすることにより、二股部をスムーズにトンネル部へ嵌挿することができる。
【0012】
前記バンド部材の両端部の外側面に、両端部を接近させるように引掛けるための突起を設けることにより、これらの突起をプライヤ等の締付け工具を用いて接近させて、トンネル部に嵌挿した二股部の先端をトンネル部の出口まで出し、その両側の突出部の顎をトンネル部の出口側縁に容易に係止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。この締付けバンドは等速ジョイントのブーツの端部を締付け固定するものであり、図1に示すように、可撓性を有する帯状のバンド部材1の一方の端部に先端が幅方向で二股に分岐する二股部2が設けられ、他方の端部に二股部2が嵌挿されるトンネル部3が設けられている。また、バンド部材1の両端部の外側面には、これらを接近させるように引掛けるための突起4が設けられている。
【0014】
図2に示すように、前記二股部2の先端部両側には、幅方向外側へ突出する突出部5が設けられ、その二股部根元側には顎5aが形成されている。二股部2の根元内側には、二股部2の拡縮を容易にするための逃げ部6が形成され、二股部2の幅方向外側面には、先端側へ内向きに傾斜するテーパ2aが形成されている。
【0015】
また、前記トンネル部3の内法幅は二股部2の先端部両側の突出部5の外法幅よりも狭く形成されており、トンネル部3の内側面には、その内法幅が二股部2の嵌挿される出口側へ向かって狭くなるように、テーパ3aが形成されている。
【0016】
つぎに、上述した締付けバンドによる締付け作業の手順を説明する。まず、図3(a)に示すように、プライヤA等の締付け工具で、バンド部材1の両端部外側面の突起4を接近させ、二股部2をトンネル部3の奥へ嵌挿する。このとき、二股部2の先端の突出部5の外法幅はトンネル部3の内法幅よりも広いので、両突出部5の外側面が、出口側へ向かって狭くなるテーパ3aで形成されたトンネル部の内側面に当たり、二股部2の先端部が徐々に縮幅する。
【0017】
こののち、図3(b)に示すように、二股部2の突出部5がトンネル部3の出口から出ると、二股部2が拡幅してその幅方向外側面のテーパ2aがトンネル部3の内側面のテーパ3aに当接され、突出部5の顎5aがトンネル部3の出口側縁に係止されて、締付け作業が完了する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】締付けバンドの実施形態を示す外観斜視図
【図2】図1の要部を拡大して示す平面図
【図3】a、bは、それぞれ図1の締付けバンドによる締付け作業の手順を説明する要部拡大平面図
【符号の説明】
【0019】
1 バンド部材
2 二股部
3 トンネル部
2a、3a テーパ
4 突起
5 突出部
5a 顎
6 逃げ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する帯状のバンド部材の両端部を互いに係止して、剛性部材の外周面に筒状の被締付け部材を締付け固定する締付けバンドにおいて、前記バンド部材の一方の端部に先端が幅方向で二股に分岐する二股部を設けて、他方の端部にこの二股部が嵌挿されるトンネル部を設け、前記二股部の先端部両側に、幅方向外側へ突出して、二股部の根元側に顎が形成された突出部を設け、これらの二股部の幅方向外側へ突出する突出部の外法幅を前記トンネル部の内法幅よりも広くして、前記トンネル部に嵌挿されて縮幅される二股部の先端部をトンネル部の出口側で拡幅させて、その両側の前記突出部の顎をトンネル部の出口側縁に係止するようにしたことを特徴とする締付けバンド。
【請求項2】
前記トンネル部の内法幅を、前記二股部が嵌挿される出口側へ向かって徐々に狭くした請求項1に記載の締付けバンド。
【請求項3】
前記バンド部材の両端部の外側面に、両端部を接近させるように引掛けるための突起を設けた請求項1または2に記載の締付けバンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−78040(P2007−78040A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−265153(P2005−265153)
【出願日】平成17年9月13日(2005.9.13)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】