締付具及びその他組立品
【課題】締付具、締付装置、締付具組立品を改良する。
【解決手段】ロック空洞163をもつピン152を備える解除可能な締付装置150において、ピン152は開口154中へ挿入されるように意図されたものである。ロック手段158、160は、ピン152が開口154中へ受け止められた時にピン152のロック空洞163と噛合う。締付装置150にはさらに、活性化された際に収縮するようになっている材料が含まれるロック解除手段162が備えられる。この材料が収縮を起こすと、ロック手段158、160中に含まれる噛合い手段158のロック空洞154との噛合いが解除される。
【解決手段】ロック空洞163をもつピン152を備える解除可能な締付装置150において、ピン152は開口154中へ挿入されるように意図されたものである。ロック手段158、160は、ピン152が開口154中へ受け止められた時にピン152のロック空洞163と噛合う。締付装置150にはさらに、活性化された際に収縮するようになっている材料が含まれるロック解除手段162が備えられる。この材料が収縮を起こすと、ロック手段158、160中に含まれる噛合い手段158のロック空洞154との噛合いが解除される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、締付具及び改良型フレーム組立系を含むその他組立品に関する。
本発明は、以下における記載から明らかとなるように、種々観点から成り、またその用途は広範囲に及ぶ。
【背景技術】
【0002】
本発明には、広範囲に亘る締付具、締付装置、締付具組立品、及び関連分野が包含されている。すなわち、本発明は従来技術による締付具及び締付装置等の改良品に関する。
【0003】
以下に記載する本発明の種々観点においては、活性化された際に収縮するようになっている材料について言及されている。
【0004】
前記活性化された際に収縮するようになっている部材は、好ましくは形状記憶合金ワイヤーである。形状記憶合金は公知であり、一般的には主としてあるいは全くチタン及びニッケルから成る。これら合金には、アルミニウム、亜鉛及び銅等の他の材料が含まれていてもよい。形状記憶合金は一定の転移温度以下において一形状を成し、そして該合金の温度が前記転移温度を超えると第二の形状へと変化し得る。また形状記憶合金は、その温度が逆に前記転移温度以下まで冷えると、再び元の形状へと戻ることが可能である。本発明の種々観点において、形状記憶合金は現場で加熱される際に締まる特性をもつ。Nitinolの登録商標名で販売されている合金等の現在入手可能な形状記憶合金は、加熱によって活性化される際に約3%収縮可能である。
【0005】
前記活性化された際に収縮するようになっている材料の活性化は、好ましくは組立品へ配されたワイヤーを用いた電気抵抗加熱によって遂行される。形状記憶合金ワイヤーの活性化は、例えば航空機あるいは自動車のワイヤーシステムを用いて中心部位から開始可能である。また、前記活性化をマイクロ波、電磁波、音波、赤外線、高周波等の適当なエネルギー形態を介して操作する携帯型機器等の遠隔操作手段によって開始することも本発明の範囲内に含まれる。
【0006】
種々観点において構成された本発明の範囲は必ずしも形状記憶合金の使用に限られず、他材料を有効に用いることも可能である。また、前記活性化は加熱を介して為されるが、本発明に適する他の手段を用いて活性化を行ってもよく、これら手段も本発明の範囲内に含まれる。
【0007】
本発明に従った締付具及び締付装置は自動車関連における利用に特に適するため、以下における説明はある程度この用途分野へ焦点を合わせて為されている。しかしながら、本発明範囲はこの用途分野へ限定されないことが理解されるべきである。
【0008】
自動車において電子制御が増加する著しい傾向がある。今日、多数の自動車には、モジュールによってデータがバスを介してコンピュータ、あるいは同じくバスを介してデータ交信を可能とするローカル相互結合網(local internet network:LIN)へ交信される制御装置エリアネットワーク(Controller Area Network:CAN)を用いるコンピュータシステムが組み込まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、その多くの観点のいくつかにおいて、自動車における電子制御の増加傾向に便宜を与えることを意図している。本発明では、自動車への利用に適し、かつ自動車の組立及び点検修理に関連して重要な有利性を提供できる数種の締付具が提供される。本発明に従った締付具は、特にCANあるいはLINを介する自動車コンピュータへの接続に適する。
【0010】
本発明に従った締付具及び締付装置を、例えば自動車組立あるいは点検修理に従事する者等の権限を有する者だけによって操作されるように設計可能である。また、自動車のオーナーだけによって操作されるように設計することも可能である。
【0011】
適切な構成において、本発明に従ったいずれの締付具及び締付装置にも主機能及び副機能が備えられる。主機能は自動車車体への部品の取り付けであり、また副機能は部品交換の制御である。本発明に従った締付装置を用いることにより、例えば、CANバスへの直接接続を通して、自動車に必要とされるサブネットワーク配線部品の個数を減らすことが可能となる。各締付具は、実質的にCANバス上においてそれ自体の多重モジュール/交信ゲートウェイあるいは接続ノード(node)となることが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、その第一の観点において、国際特許出願No.PCT/AU03/00759(新規なビーム締付具)に開示された締付具の変形となる締付具を提供する。この新規ビーム締付具には作動手段が活性化された時に噛合い位置と噛合い解除位置との間を移動できる可撓性ビームが備えられている。前記作動手段には活性化に際して収縮するようになっている形状記憶合金等の材料が含まれている。本発明の第一の観点に従った締付具においては、ビームはもはや可撓性である必要はない。従って、本発明は、その第一の観点において、
(a)ビーム、ビームの1側に位置した噛合い手段、基部及び前記ビームから離れた可撓点を備える締付素子、及び
(b)前記締付素子へ取り付けられ、かつ活性化される際に収縮するようになっている材料が含まれる作動手段を備え、
前記材料が収縮する際に、前記ビームが噛合い位置と噛合い解除位置との間を移動可能であること、及び前記基部は可撓点によって連結される第一アーム及び第二アームを備え、前記ビームは第一アームの一端に位置し、前記可撓点は前記ビームの、噛合い手段と同じ側に位置することを特徴とする締付具を提供する。
【0013】
本発明の第一の観点に従った締付具は、前記材料が収縮する際に締付素子が可撓点の周りで曲がりあるいは移動し、さらに噛合い手段が噛合い位置から引き出されるように設計される。この締付具は、ビームが曲がることによって噛合い手段の噛合い解除が可能となることが不要であるから、国際特許出願No.PCT/AU03/00759に開示された締付具とは異なるものである。
【0014】
本発明の第一の観点に従った締付具は、プラスチックあるいは金属を含む適切な材料から作製可能である。なお、締付具を混合材料から作製することも可能である。
【0015】
前記ビームの引張強度は、締付具が実用上の荷重に対し締め付け可能となるように十分に高くなければならない。前記ビーム材料は、好ましくは所望回数のロック/ロック解除サイクル可能とする十分な疲労強度を有する。
【0016】
前記噛合い手段は、好ましくは素子の壁中の対応する窪みへ適合可能な突き出した楔形状とされる。また、他の形状とすることも可能である。例えば、前記噛合い手段は締め金手段、フック上への掛け金棒、あるいはペグ等の突起物上へ掛けられる開口であってもよい。また、前記噛合い手段は適当な窪み中に嵌合するビーム上のあり継ぎ形状であってもよい。本発明に従った締付具を例えば同一タイプの締付具と噛合わせることも可能である。
【0017】
活性化された際に収縮するようになっている前記材料は、好ましくは上述したように形状記憶合金である。好ましくは、前記形状記憶材料は、電流形態での十分なエネルギーが印加される時に該材料が約4〜5%収縮する温度まで、あるいはその温度以上まで熱くなるチタン・ニッケルワイヤーである。以下における図面に関する説明から分かるように、所定レベル以上の熱を発生させるため電気エネルギー等のエネルギーを加えた際、ビームを第一素子が第二素子へ締め付けられた噛合い位置から離れるように移動させてそれら素子の締め付けを解くことが可能である。逆に、形状記憶材料が転移温度以下まで冷却された場合、いくつかの実施態様において、ビームに噛合い位置の役割を担わせて前記素子を再度締め付けることが可能である。
【0018】
前記可撓点は、締付具の作用力の配列が改善され及びその保持強度が増大されるように、好ましくは噛合い手段の前方へ配置される。かかる配置の例は添付図面に示されている。
【0019】
好ましくは、前記活性化された際に収縮するようになっている材料はビーム中の1または2以上の溝中に含まれる。このように溝中に配置させることにより、該材料が物理的に保護されると共に加熱/冷却回数を減ずることが可能となる。また、周辺温度による影響を減じ、かつビーム強度を増大させることも可能となる。また、ビームを所望の期間に亘って噛合い位置に保持することも可能となる。これを「保持」状態と考えることができる。かかる保持状態は、ビームを噛合い位置から噛合い解除位置まで移動させるために要する作用力よりも小さな作用力を用いて確立することができる。この保持状態は、前記活性化された際に収縮するようになっている材料をビーム中の溝中に保持して該材料を隔離することによって達成される。
【0020】
さらに好ましくは、締付具を噛合い位置へ付勢する付勢手段が設けられる。かかる付勢手段の非限定的例として、好ましくは金属から成るばねが挙げられる。かかる付勢手段によって、前記材料が冷却されて弛緩するや否や該材料は外へ引っ張られる。また、締付素子がプラスチック製である場合には、前記付勢手段によって締付素子中にクリープ変形が生ずる可能性が大幅に減じられる。
【0021】
前記ビームは曲げられる必要がないため、それを厚く作製してより強度を高めることが可能である。ビームは、機械加工、鋳造、成形、あるいはいずれか所望の方法によって作製可能である。
【0022】
噛合い手段による噛合いの対象となる手段はいずれか適する形態を採るこができる。既にいくつか述べたように、この手段は例えばスナップ手段の一部、フック、ペグ、窪み、あるいは締付具と同一形態とすることができる。例えば締付具が自動車の車体へ燃料充填扉を締め付けるために用いられる場合、噛合い手段による噛合い対象となる手段は好ましくは前記扉上の開口である。
【0023】
この例では、作動手段は好ましくは車両のダッシュボード上に位置する適当なスイッチを介して作動されるか、あるいは車両キーから発せられる信号を介して作動される。後者の場合、運転者は車両から出る前に燃料充填扉を作動させることを思い起こす必要がなく、運転者にとっては車両キーを燃料ポンプへ持っていって車両の側で燃料充填扉を開けることだけが必要とされる点で便利である。
【0024】
本発明のこの第一の観点に従った締付具は「インテリジェント」型であってもよく、あるいはそうでなくともよい。また、この締付具をアドレス呼び出し可能とすることも可能である。また、この締付具をネットワークの一部として組み入れることも可能である。この締付具に切換性能を持たせることもでき、またセンサを備えてもよい。これら及び他の構成に関する情報は国際特許出願No.PCT/AU03/00759に含まれており、それら情報の内容は本願中に参照として取り入れられている。PCT/AU03/00759に記載されたあらゆる適用可能な特徴は本発明の第一の観点に従った締付具へも適用される。
【0025】
本発明の特に好ましい実施態様においては、締付具には1または2以上の役割を果たすことができるマイクロプロセッサが装入される。マイクロプロセッサは好ましくは温度依存的アルゴリズムを用いて形状記憶合金ワイヤーへのエネルギー供給を制御することができる。すなわち、マイクロプロセッサによって形状記憶合金ワイヤーの温度を制御することができる。また、マイクロプロセッサによって締付具の状態及びそれが噛合っているか否かを検知することが可能である。マイクロプロセッサは検知した情報を二次的検知情報と共に締付具が一部を形成するネットワークへ報告することができる。好ましくは、マイクロプロセッサによってこれらすべての役割が果たされる。これらに関するより詳細な説明は本発明の第二の観点に関する説明において述べる。
【0026】
第二の観点において、本発明により広範囲に亘って適用可能な締付装置が提供される。リングクリップ締付具として以下に記載されている一実施態様は、自動車あるいは家具等用の保持パネル中の複数の取り付け箇所に適合するように開発されたものである。但し本観点における締付装置はこのような適用に限定されない。
【0027】
別の実施態様において、本発明の第二の観点に従った締付装置が特に頑丈な高磨耗用途に開発されている。植込みボルト形締付具と言ってもよいこの締付装置は、強靭であり、また例えば車両への固定装置等の高荷重でも支えることが可能である。しかしながら、この実施態様における締付装置は前記パラメータに限定されないことが理解されるべきである。植込みボルト形締付具は他の多くの用途において有用である。植込みボルト形締付具は、例えばドアフレームに取り付けられ、ピンあるいは鋲がドアで受け入れられるようなドアを閉じる用途に利用可能である。
【0028】
また別の実施態様において、本発明に従った締付装置は「列状」締付具として利用可能である。
【0029】
従って、この第二の観点において、本発明は、
ロック空洞を有するピン、
前記ピンを受け止める開口、
前記ピンが前記開口中へ受け止められた時に該ピンのロック空洞と噛合うようになっているロック手段、及び
活性化された際に収縮する材料が含まれるロック解除手段を備えて構成され、
前記ロック手段に、前記材料が収縮する際にロック空洞をロック解除するようになっている噛合い手段が含まれることを特徴とする解除可能な締付装置を提供する。
【0030】
前記ピンは広範囲のものから適切な形状を選択することができる。一例として、断面がほぼ円形で基部に向かって先細になっているピンを用いることができる。ピンは、鋲、ペグ、ボルト、あるいはいずれか他の適する素子であってもよい。ピンは締め付けられる素子と一体に作製するか、あるいは素子へ取り付けることが可能である。この取付けには接着、クリップ留め、あるいは他の適当な手段を用いることができる。
【0031】
前記活性化された際に収縮するようになっている部材は好ましくは噛合い手段へ取り付けられ、活性化されるとロック空洞との噛合いから外れてピンの解除が可能となる。
【0032】
前記活性化された際に収縮するようになっている部材は好ましくは前述したように形状記憶合金ワイヤーである。
【0033】
前記ロック空洞はいかなる形状であってもよいが、好ましくは1または2以上の凹みまたは溝である。溝である場合、ロック手段がその溝の一部あるいは全部へ受け止められるようになっている。
【0034】
前記開口は、好ましくはロック手段及びロック解除手段を収容できる本体部中の中心に形成される。この開口はピンの断面形状と同一の形状、例えば円形を呈している。なお、開口はいずれか他の適当な形状であってもよい。
【0035】
ピンが先細形状体を備えるように構成される場合、該ピンを開口中へ押し込んで前記材料の活性化を全く必要とせずに噛合わせることが可能である。前記ピン上の先細形状体は、それが溝等のロック空洞中へ入って閉じるまでロック手段を押し離す傾斜部として機能することができる。かかる構成によって締付装置の噛合いが行われる。締付装置を噛合い解除させるためには、前記材料が収縮してロック手段を溝との噛合いから引き出すように該材料を活性化させることが必要である。例えば、ロック手段がクリップである場合、形状記憶合金ワイヤーのループの一端をクリップの一方のアームへ締め付け、別のループの一端をクリップの他方のアームへ取り付けて、該クリップを1または2以上の前記ループで取り囲むことができる。
【0036】
前記ロック手段には前記材料が収縮する際にロック空洞との噛合いを解くようになっている噛合い手段が備えられ、あるいは前記ロック手段はそのような噛合い手段から成る。一実施態様において、この噛合い手段はクリップである。また別の実施態様においてこの噛合い手段は1または複数の歯状体等の素子である。但し、本発明はこのような実施態様に限定されない。
【0037】
前記噛合い手段にクリップが備えられ、あるいは該手段がクリップから成る場合、該クリップはいかなる形状であってもよいが、好ましくはそれぞれロック空洞との噛合いから引き離すことができるアームのついたつば、付勢スプリング、あるいは弾性止め座金である。前記クリップは一般的には溝形状(例えば弾性止め座金)とされるが、U形形状等の他の適する形状としてもよい。
【0038】
上記したように前記ロック手段を前記クリップで作製できるが、該ロック手段には他の素子、例えばクリップシャシーが備えられてもよい。クリップシャシーはクリップの担持及びロック解除手段の操作の容易化を行うのに好都合である。例えば、クリップをクリップシャシー中あるいはその上へ取り付け、及び形状記憶合金ワイヤーの1または2以上のループ等のロック解除手段を該クリップシャシーへ連結させることができる。このような例においては、形状記憶合金が収縮する際、その収縮によってクリップシャシーが開かれてクリップのアームが離されることによりクリップが溝との噛合いから外れて移動する。クリップシャシーは、この過程において開けるように蝶番式に取り付けられてもよい。
【0039】
別の実施態様において、スプリング等の付勢手段を備えるクリップシャシーを単独で用いて該クリップシャシーを噛合い位置へ付勢させることも可能である。
【0040】
すべての実施態様において、前記クリップは好ましくは前記噛合い配置の方へ付勢される。これにより、上述したようにピンが前記開口への入口でクリップを押し拡げるように形状化されているならば、ピンは材料の活性化を必要とせずに受動的に噛合えるようになる。前記クリップを付勢させることにより、形状記憶合金ワイヤー等が活性化された際に収縮するようになっている部材が冷え、あるいはそれ以上活性化されなくなった時に、該部材の収縮の解かれた形状あるいは細長い形状への戻りを補助することも可能である。
【0041】
前記噛合い手段に1または複数の歯状体等の素子が備えられ、あるいは該手段がそれらから成る場合、これら素子それぞれは好ましくは本実施態様においてはピン中の溝として構成されている前記ロック空洞中へ嵌合するように構成される。これら歯状体等の素子は好ましくは複数設けられる。
【0042】
本実施態様において、前記歯状体は好ましくはシャトル等の回転体によって取り囲まれる。このシャトルは歯状体が溝に噛合う噛合い位置及び歯状体が溝から噛合いを解く噛合い解除位置まで回転可能である。
【0043】
特に好ましい実施態様において、前記シャトルには、ロック解除位置において噛合い手段を中へ受け止めることができる1または2以上の開口あるいは空間が設けられる。歯状体等の噛合い手段がこれら開口あるいは空間中に受け止められない場合は、シャトルは噛合い手段をロック空洞中、従ってロック位置へ押し込むように構成される。
【0044】
別の実施態様において、前記シャトルに、噛合い手段に噛合い、該シャトルがロック解除位置まで回転された時にロック空洞との噛合いからそれらを引き離すようになっている手段を備え、あるいは前記シャトルを該手段と連結させることが可能である。
【0045】
シャトルは、活性化された際に収縮するようになっている部材が含まれるロック手段によって回転される。本発明の第一の観点において上記したように、この部材は好ましくは形状記憶合金ワイヤーである。さらに好ましくは、締付装置本体部内で回転可能なシャトル周囲へ形状記憶合金が巻き付けられる。この実施態様においては、形状記憶合金の一端はシャトルへ取り付けられ、他端は締付具の非回転部分へ取り付けられる。形状記憶合金へ必要な温度まで達するように適当なエネルギーが加えられた時、シャトルはロック位置からロック解除位置まで回転することができる。また、第二の形状記憶合金ワイヤーを同様にシャトルへ連結してシャトルをロック解除位置からロック位置まで回転させることが可能である。
【0046】
特に好ましくは、本発明の第二の観点に従った締付解除可能な締付装置に格納式キャップを備えて、ピンが前記空洞中に挿入されていない時の該装置の外観が平滑にされる。かかる構成の例については、あとで図面と関連させて説明する。前記空洞開口へ向かって付勢されるスプリングである格納式キャップが備えられる場合、ピンが前記空洞中へ挿入される時、該キャップはピンによってさらに前記空洞中へ押し込まれる。本実施態様では使用時以外は視覚的にでこぼこがなく滑らかな装置完成品が得られる。
【0047】
また好ましくは、前記格納式キャップには、使用に際して、ピンと同様に第一噛合い手段が備えられる。かかる方式により、キャップがロック手段によってロックされあるいはロック解除される限り、格納式キャップを本発明の第二の観点に従った締付解除可能な締付装置においてピンと同じ方式で作動させることができる。この実施態様が用いられる場合には、キャップを前記空洞から引き出せるようし、及び/またはキャップがロック解除されていることの何らかの表示を与えることができる手段を備えることが必要である。
【0048】
この第二の観点に従った締付装置の変形として、前記空洞中のピン及びコアへ、締付解除可能な締付装置への動力及びデータ接続のための導体、あるいは他の材料、例えば液体、ガス用の導管を備えることも可能である。かかる構成により、例えばオートバイ用の動力源へ接続される例えばGPS装置への適合が可能となる。
【0049】
上述したように、本発明の第二の観点に従った締付装置は、高負荷及び高使用頻度に対して強靭であるように構成可能である。この締付装置へ格納式キャップあるいはばね仕掛けのカバーを備えることにより該装置を耐塵性かつ耐水性とすることができる。この締付装置は、ピンを前記空洞中へ挿入して、収縮性材料の活性化を全く必要とせずに噛合わせ可能に設計されている。しかしながら、本装置については、噛合い解除されるためには収縮性材料が活性化されなければならない。
【0050】
また、第二の観点における本発明は、先の観点の少なくともいくつかの場合がそうであったような「随時挿入」を提供できるものではない。本発明の第二の観点に従った締付装置では、ピンが前記空洞中へ挿入される前に、ロック手段が完全に噛合い解除されることが必要とされる。
【0051】
上記における開示は第二の観点における本発明の実施態様である。これらの実施態様は、リングクリップ締付具及び植込みボルト形締付具と呼ばれる。本発明の第二の観点における発明では、「列状」締付具として知られる第三のタイプの締付具も提供可能である。この種の締付具は、錠、掛け金、クロージャー等に有用である。この締付具は、例えば厚さが15〜20mmのような、狭い寸法を少なくとも1つもつ素子内に十分隠蔽できるほど薄い側面から成るように作製可能である。
【0052】
本発明の第二の観点に従った締付装置を「列状」締付具として用いる場合、前記ロック空洞は好ましくは前記噛合い手段によって噛合い可能な1または2以上の凹みである。列状締付具として使用するためには、締付装置は好ましくはパネル中へ挿入できる箱内に入れられる。噛合い手段は好ましく一対の掛け金アームとされる。好ましくは、ロック手段には中に掛け金アームが全体的に受け入れられるスライド可能なシャトルも備えられる。好ましい実施態様において、ロック手段には、ロック位置にある掛け金アームを取り巻き、かつ掛け金アームを掛け金、棒、突出物等とロック接触状態に保持するようになっている一対のアームが備えられる。この実施態様では、シャトルを掛け金アームから引き出すことにより、掛け金アームが掛け金、棒、突出物等との接触状態から離れることができるように設計されている。
【0053】
噛合い手段には好ましくはさらに、材料の活性化後に締付装置の迅速なリセットを容易にするためのつめが備えられる。このような実施態様において、本発明に係る締付装置では連続するロック解除作動及びロック作動間の不要な遅延を取り除くことが可能である。また、迅速なロック後にロック解除が後続することが望まれない場合には、選択によりこのような機能性を無効にすることも可能である。
【0054】
好ましくは、本発明に従った締付装置には、締付装置のロック状態あるいはロック解除状態を表示する手段が備えられる。非限定的例として、かかる表示手段はシャトルあるいはその拡張部と接触状態にあるマイクロスイッチによって作動される。締付装置のロックあるいはロック解除状態に関する情報は、便宜のよい位置に配置された光表示器あるいは類似の表示装置へ伝達される。
【0055】
本発明の締付装置中に配置されるコイルスプリングによってシャトル等のロック手段がロック位置の方へ促されるように、噛合い手段は好ましくは該スプリングによって好ましくはロック位置の方へ付勢される。前記材料が活性化されると、それによって前記スプリングの圧縮がひき起こされるが、その結果として、前記材料の活性化がそれ以上起こらなくなるや否や、ロック手段をロック位置の方へ戻すことが可能となる。
【0056】
好ましくは、本発明に従った締付装置にはさらに、前記つめへ取り付けられるスプリング、及び掛け金、棒、あるいは突起を押し出すためのスプリング等の付加的付勢手段が備えられる。
【0057】
Nitinol(登録商標)で販売されているもの等の現在入手可能な形状記憶合金ワイヤーは加熱によって活性化される際に約3%収縮可能である。従って、噛合い手段をロック位置からロック解除位置まで引っ張って十分移動させるために引っ張り手段へ単一の比較的長い二重線から成るNitinol(登録商標)ワイヤーを含ませることができ、このように構成された締付装置は「列状」締付装置と呼ばれる。かかる構成とすることにより、上述したようにパネル及び同様な素子中へ嵌合させる目的で、締付装置の側面を薄く作製することが可能である。
【0058】
別の実施態様において、特に側面が薄いことが重要でない場合、あるいはより大きな移動が望まれる状況下では、非直線状の通路上へNitinol(登録商標)ワイヤーを設けることが可能である。これにより、本発明に従った締付装置を上述した列形締付装置に比較してより小型に形状化し得る効果が得られる。さらに、例えば非直線状通路中におけるNitinol(登録商標)ワイヤーの長さが200mm前後である場合、現在入手可能な状態でのNitinol(登録商標)の収縮量は約6mmである。非直線状通路中において、Nitinol(登録商標)ワイヤーは好ましくはスピンドルあるいはローラー上で輪を形成する。
【0059】
前記活性化される際に収縮するようになっている材料の活性化は、好ましくは締付装置へ採用されたワイヤーを用いて電気抵抗加熱を通して遂行される。
【0060】
本発明に従った締付装置においては他にも種々の取捨選択を行うことが可能である。かかる取捨選択の一つとして、本発明に従った締付装置を例えば航空機の電気系統へ配線して、温度変化、例えば危険なほどの高温を検知して適切な警報を発する構成がある。本発明に従った締付装置へ他の検知機能を組み入れることも可能である。
【0061】
本発明に従った締付装置には、形状記憶合金ワイヤー等の複数の部材を含めることが可能である。これにより、形状記憶合金ワイヤー1種による装置の運転に支障が生じても、他のあるいは別のワイヤーを活性化できるように冗長性を付与することが可能である。
【0062】
本発明に従った締付装置はモジュール方式に構成可能である。例えば、噛合い手段を1個のモジュールとし、材料の方は他のモジュールとすることが可能である。これにより、本発明による締付装置中において異なるタイプの噛合い手段を交換できるようにしたり、あるいは例えば単一の形状記憶合金ワイヤーを複数ストランドのワイヤーと取り替えられるような互換性が付与される。
【0063】
本発明に従った締付装置は、好ましくはパネルあるいはドア等の中へ接着あるいは嵌合可能なハウジング中へ封入される。このように配置することにより、補助的な電磁保護を行えるようになり、締付装置の別のものとの交換が容易となり、また締付装置の調整をその周囲内においてより適切に行うことが可能となる。このことは、本発明による締付装置に本願において説明される手動解除装置が含まれている場合には特に重要である。また、上記配置により、状態(ロックまたはロック解除)表示器を手動解除に利用可能な同一の開口から見ることも可能となる。
【0064】
現在の航空機設計においては、殆んどの締付具はドア、パネル等の後部へ隠れるように設計されている。隠れた締付具の手動解除は一般的であるため、ドア、パネル等の乗員室側から見える小さな開口を通して工具が挿入される。本発明によれば、所望される時に手動解除が行える締付装置が提供されることが理解されよう。
【0065】
好ましくは、本発明に従った締付装置には、該締付装置がロック状態にあるかロック解除状態にあるかに拘らず、ピンが該装置中にあるかどうかを検出する1または2以上のセンサが備えられる。また、本発明の第二の観点に従った締付装置には、好ましくは締付装置がロック状態にあるかあるいはロック解除状態ロック状態にあるかをレポートできるロック状態センサも備えられる。このようなセンサはリードスイッチとして働くことができるので、例えばこれらセンサ間で交信が行われた時に、締付装置の構造次第であるが、締付装置がロック状態にあるかあるいはロック解除状態にあるかについてのレポートが生成される。前記ロック状態センサは電気回路の完成によっても作動可能である。また、他の構成及び検知手段を適用することも可能である。
【0066】
本発明に従った締付装置へ、好ましい実施態様において形状記憶合金ワイヤーの温度を感知する温度センサを備えることも可能である。これにより、感知した温度に基づき種々条件を考慮しながら形状記憶合金ワイヤーへ印加されるエネルギー量を調ノードすることができる。例えば、温度が比較的低い場合、より多量の電力が形状記憶合金ワイヤーへ加えられ、該ワイヤーは所望の温度まで加熱される。逆に温度が高ければ、形状記憶合金ワイヤーを収縮させるために該ワイヤーへ加えられる電力量が大幅に低減される。温度センサはフィードバック操作を可能とし、この操作において電力供給を調ノードすることができる。
【0067】
特に好ましい実施態様において、本発明の締付装置には1またはいくつかの役割を果たすマイクロプロセッサが備えられる。このマイクロプロセッサは、特に温度依存的アルゴリズムを用いて形状記憶合金ワイヤーへの電力供給の調ノードが可能である。このようにして形状記憶合金ワイヤーの温度がマイクロプロセッサによって調ノードされる。このマイクロプロセッサによって締付装置の状態や、それが噛合い状態にあるか否かを検知することが可能である。また、このマイクロプロセッサによって、ピンが締付装置中にあるか否かも検出可能である。マイクロプロセッサはその結果を二次検知情報と共に該マイクロプロセッサがその一部を成しているネットワークへレポートすることができる。好ましくは、マイクロプロセッサによって上記すべての役割が果たされる。
【0068】
本発明の第二の観点に従った締付装置には、好ましくは該締付装置をロック状態へ付勢するスプリング等の付勢手段も備えられる。また本発明に従った締付装置には、好ましくは、噛合い手段がロック空洞とそれ以上噛合わなくなった時にピンあるいはスタッドの放出を補助するエゼクタースプリングも備えられる。
【0069】
本発明による締付装置は、低コストで、最少個数の部品を用いて、極めて小型に製造可能である。この締付装置は高容積大量生産に適し、また薄い形状記憶合金ワイヤーが使用される場合には低電力消費型となるように設計可能である。
【0070】
一変形例として、例えば自動車の内装パネルあるいはドア外装の固定に特に適するように、締付装置をリンググリップあるいはクリップ形態に作製することができる。
【0071】
本発明の第二の観点に従った締付装置の締付機能は第一機能であると考えられる。前記締付装置には第二の機能があり、この機能によって簡単な部品交換が制御される。その一例として、自動車ドア中のウインドモータ制御がある。これに関連して、解除可能な締付装置を用いて自動車ドア内張り等の部品を自動車ドア自体等の第二部品へ連結することが可能である。その代替として、あるいはそれに加えて、解除可能な締付装置は、例えばウインドモータ、ドアロック装置、ヘッドライト等の操作に連携するスイッチとして機能させるためにも用いられる。本発明による解除可能な締付装置によれば上記双方の機能が果たされる。
【0072】
また任意であるが、本発明の第二の観点に従った締付装置には、例えば電力故障がある場合でも締付装置を解除できるように、あるいは電力接続前に締付装置のテストが必要とされる時のために、手動補助装置が設けられる。
【0073】
本発明の締付装置には、その種々実施態様において手動補助装置を含ませることが可能である。いくつかの実施例を図面に示した。リンググリップを用いる実施態様においては、手動補助装置へスロットを設け、そのスロット中へ適当な工具を通して円形クリップ等の噛合い手段をこじ開けて離すことができる。植込みボルト形締付具を用いる実施態様では、シャトルがある場合、手動補助装置を用いてシャトルをロック解除位置まで回転させることができる。手動補助装置の一変形例によって本発明の第三の観点が構成される。
【0074】
すなわち、本発明はその第三の観点において、
シャトルをロック位置からロック解除位置まで移動させるようになっている手動作動装置、及び
シャトルがロック解除位置へ移動するように前記手動作動装置を引き出す手段を備えて構成される、本発明の第二の観点に従った植込みボルト形締付具用、あるいはロック位置とロック解除位置間を移動可能なシャトルを備えるいずれか他の適当な締付具用の手動補助装置が提供される。
【0075】
好ましくは、前記シャトルがロック解除位置へ移動するように手動作動装置を引き出す手段は前記手動作動装置へ連結されたロッドから成るか、あるいは該ロッドを備える。例えば、前記ロッドへ、手動作動装置へ旋回可能に連結された突起部を設けてもよい。前記ロッドが所望の方向へ引っ張られると、手動作動装置は、該ロッド上の突起部を介してその連結部を通ってシャトルがロック解除位置まで移動する位置まで移動される。好ましくは、この目的のため、手動作動装置はシャトルへ機械的に連結される。
【0076】
安全のため、前記引き出し手段は好ましくはロック解除位置から離れるように付勢されていることが望ましい。例えば、前記引き出し手段にロッドが含まれる場合、該ロッドはスプリングに対抗して引っ張られる必要がある。偶発的あるいは不注意による解除をさらに防止するため、前記引き出し手段へ保持手段と噛合う手段を含ませることも可能である。これは、手動補助装置が作動される前に引き出し手段が必ず慎重に保持手段から噛合い解除されることを確実にするためである。これらの安全方式の双方を採ることにより、例えば振動によって偶発的な手動解除が起こらないように確保する補助的役割が果たされる。
前記引き出し手段は、ボーデン(Bowden)ケーブルを含め、いずれか他の適当な形態を採ることもできる。
【0077】
いくつかの締付具においては、手動補助装置を介して解除されることが必要とされる。従って、本発明のこの第三の観点に従った手動補助装置は、同時に2以上の締付具を手動で解除するように適合可能である。好ましくは、かかる適合化は第一締付装置用の手動作動装置を第二締付装置用の手動作動装置と、さらに任意であるが第三及び後続する締付具と連結することによって遂行される。なお、これらの連結は、好ましくは連結ロッドを用いて実施される。
【0078】
本発明はその第四の観点において、第一締付システムが第二締付システムへ連動連結された締付システムを提供する。前記第一及び第二締付システムは、作動された際に収縮するようになっている手段と連携して締付解除を行うようになっており、及び前記連動は、
(a)第一締付システムにおいて前記作動された際に収縮するようになっている手段の作動、
(b)第二締付システムにおいて前記作動された際に収縮するようになっている手段の作動、
(c)第一及び第二締付システム双方における前記作動された際に収縮するようになっている手段の作動、及び
(d)手動補助装置の操作、のいずれかによって第一及び第二締付システムをロック解除位置へ移動させるように構成されている。
【0079】
前記2以上の締付装置は本発明の第四の観点に従ってロック解除されることが理解されるべきである。好ましくは、連動されている締付装置のいずれかが故障した場合に、2以上の連動された締付装置の1台によって連動された締付装置のすべての連動を解除することが十分可能である。通常の方法で連動された締付装置のいずれかを作動させる電力がない場合には、手動補助装置を用いてすべての締付装置を解除することが可能である。
【0080】
締付装置は、本願開示の締付具あるいは締付装置のいずれかから、あるいはいずれか他の適する締付具あるいは締付装置から選択可能である。
【0081】
本発明は、さらに別の観点において、
ロック位置とロック解除位置間を移動可能な、掛け金手段及びロック手段を含む噛合い手段、
前記噛合い手段を前記ロック位置の方へ促す付勢手段、及び
前記噛合い手段を前記ロック位置からロック解除位置まで引き出し、かつ作動に際して収縮するようになっている材料から成るかあるいは該材料を含む手段、を備える締付具組立品を提供する。
【0082】
本発明による締付具組立品は、好ましくは、噛合い手段は別として、断面寸法が約10mmとなるようにできる限り小規模に作製可能である。このように小規模とするのは、本発明による締付具組立品を、厚さ約15〜20mmの航空機用パネル等のパネル中へ挿入可能とするためである。但し、本発明による締付具組立品を他用途に用いるため大規模に作製することも勿論可能である。
【0083】
前記噛合い手段の掛け金手段及びロック手段は所望されるいかなる構成を採ってもよい。添付図面にはその一例が図示されている。非限定的例として、掛け金手段には掛け金、棒、あるいは突起物と噛合える一対のアームあるいは顎部が備えられてもよい。他の構成とし得ることは当業者には自明である。
【0084】
本発明のこの観点と第二の観点には重複部分があることが理解されよう。特徴の多くが共通している。
【0085】
しかしながら、この第四の観点においては、前記噛合い手段には、クロージャーを圧迫し、該噛合い手段がロック位置にある時にクロージャーの該噛合い手段の方への移動を妨げる棒状体あるいは舌状体、あるいはロック位置において前記棒状体あるいは舌状体を中に入れることができる空洞が備えられていてもよい。他の構成については当業者には自明である。
【0086】
本発明による締付具組立品の用途として自動車の燃料充填機留め部材がある。本発明による締付具組立品を燃料充填機空洞内あるいはその近くに装備し、自動車外部からは隠蔽することができる。この実施態様において、噛合い手段には好ましくは噛合い手段がロック位置にある時に燃料充填機キャップの外れを防止する棒状体あるいは舌状体が設けられる。別態様として、噛合い手段を燃料充填機キャップ上の掛け金あるいは同様な部品と噛合わせて燃料充填機キャップを保持することも可能である。
【0087】
前記活性化された際に収縮するようになっているNitinol(登録商標)ワイヤー等の部材が所望の温度まで電気加熱されると、前記引き出し手段によって噛合い手段が燃料充填機キャップとの噛合いから引き外され、燃料充填機キャップの取外しが可能となる。噛合い手段はロック位置の方へ付勢されるため、一旦活性化された際に収縮するようになっている部材が例えば冷やされてそれ以上活性化されなくなると、燃料充填機キャップを噛合い手段と噛合うように押し戻すことが可能となる。
【0088】
本発明による締付具組立品へ活性化される際に収縮する1または2以上のNitinol(登録商標)ワイヤー等の付加的部材を備えて冗長性を組み入れることも可能である。複数のNitinil(登録商標)ワイヤーのいずれかが活性化される際に収縮できる筈であり、たとえワイヤーの一本に欠陥が生じても別のワイヤーによって引き出し手段中における必要な機能を果たすことが可能である。
【0089】
本発明による締付具組立品のいくつかの実施態様においては、前記引き出し手段は電子装置へ取り付けられる。このように構成された締付具組立品は第二機能として切換能をもつ締付具として利用される。例えば、本発明による締付装置を作動させて光を点灯あるいは消灯させることも可能である。このような操作は締付装置のロック/ロック解除機能と協調させて、あるいは単独で行うことが可能である。
【0090】
本発明による締付具組立品の一つの利用方法として、航空機内のドア等のクロージャー、典型例として箱あるいは戸棚の締め付けがある。本発明による締付装置を、噛合い手段がロック解除位置まで引かれた時にドアが開かれ、締付装置によって箱あるいは戸棚内の照明が点灯されるように構成可能である。同様に、噛合い手段がロック位置まで移動した時に、締付装置によって照明が消灯されるように構成可能である。
【0091】
別の実施態様においては、締付装置には(締付装置の配置箇所の内部あるいは外部の)光あるいは温度、あるいは締付具またはその周囲へ加えられる圧力を感知するセンサが含まれ、あるいは締付装置は該センサと連結される。光感知の場合、締付装置を感知される外部光量によって(例えば戸棚あるいは箱中の)照明を点灯あるいは消灯するようにプログラム化することが可能である。圧力感知の場合、締付装置へ加えられる圧力をセンサによって検出して、例えば締付装置が故障しかけている時に通報することが可能である。他の実施態様に構成できることも当業者には自明である。
【0092】
本発明による締付装置をいずれか所望される目的のため他の締付装置とネットワーク化し、特に一方の締付装置に故障が起こりあるいは過度の圧力が加えられた時に、ネットワーク中の別の締付装置によって補償することも可能である。
【0093】
本発明の次の観点では前記活性化された際に収縮するようになっている部材の損傷からの保護が取り扱われ、この観点は本発明による締付装置のみならず前記活性化された際に収縮するようになっている部材によって部品が引き抜かれるように求められる他の用途にも適用される。
【0094】
Nitinol(登録商標)等の材料はその組成によって定格される。例えば、330gのNitinol(登録商標)ワイヤーでは3.3ニュートンの引っ張り力が発揮される。このワイヤーが部品を引き抜くように形成され、この部品の移動が十分程度まで妨げられると、Nitinol(登録商標)ワイヤーは例えば9ニュートンに達する引っ張り力をさらに発揮することができる。しかしながら、このような強い引っ張り力段階ではNtinil(登録商標)ワイヤーが損傷する危険性がある。本発明の次の観点においては、このような損傷の防止あるいは改良が目的とされている。
【0095】
すなわち、本発明はさらに別の観点として、
活性化された際に収縮するようになっている部材へ直接あるいは間接に連結されている部品を移動させるのに適合した第一引っ張り力、
前記第一引っ張り力よりも大きな第二引っ張り力、及び
前記第一及び第二引っ張り力の中間に当たる第三引っ張り力をもつ前記活性化された際に収縮するようになっている部材、及び
前記部材に対する引っ張り力が実質的に前記第三引っ張り力に達した時に活性化されるようになっている手段を備える張力低減組立品を提供する。
【0096】
前記引っ張り力が実質的に前記第三引っ張り力となる時に活性化されるようになっている手段は前記部材へ取り付けられる圧縮スプリングであってもよい。
【0097】
前記活性化された際に収縮するようになっている部材は好ましくは前述したNitinol(登録商標)ワイヤーである。前記第一、第二及び第三引っ張り力はNitinol(登録商標)ワイヤーの定格によって左右される。一例として前記定格が3.3ニュートン前後であれば、第一引っ張り力であることを示す。この例における第二引っ張り力は9ニュートン前後であり、他方第三引っ張り力は4.5ニュートン前後である。理想的には、第三引っ張り力は第一引っ張り力より約1.5倍大きく、また前記部材の損傷を生じ得る作用力とされる第二引っ張り力よりも小さな作用力とされる。
【0098】
Nitinol(登録商標)ワイヤー等の収縮するようになっている部材によって移動される部品はいずれか適当な部品でよい。本発明の第二の観点において前記部品に相当するものは噛合い手段である。前述したように、本発明の最も後に述べた観点は本発明の第一及び第二の観点に限定されず、従って本発明の最も後に述べた観点の用途は広範囲に及ぶ。
【0099】
前記圧縮スプリングは好ましくはいずれか適する構造のものである。
【0100】
前記第三引っ張り力で活性化されるようになっている手段はいかなる形態であってもよい。非限定的例として、前記手段にNitinol(登録商標)ワイヤー中の抵抗をモニターし、該抵抗が一旦例えば20%まで変化した時に電力を止める機能を備えてもよい。
【0101】
いずれの実施態様においても、Nitinol(登録商標)ワイヤーを損傷から保護することが可能である。
【0102】
本発明はさらに別の観点において、
第一噛合い手段、
第二噛合い手段、及び
前記第一噛合い手段が前記第二噛合い手段と噛合ったまま保持されるロック位置と前記第一噛合い手段が前記第二噛合い手段から外されて自由であるロック解除位置間を移動可能なロック素子を備える締付装置であって、
前記ロック素子は活性化された際に収縮するようになっている、ロック素子とは異なる手段によってロック解除位置へ移動されるようになっていることを特徴とする前記締付装置を提供する。
【0103】
前記第一噛合い手段には好ましくは一対のアーム上へ据え付けられた突起物が含まれ、これら突起物は前記第二噛合い手段を含む相補的空洞内に受け止められるように構成されている。この実施態様においては、ロック素子は好ましくは前記第一噛合い手段のアーム間に配置される。ロック位置において、ロック素子は第二噛合い手段の前記空洞中において第一噛合い手段のアームを保持している。ロック素子は好ましくは前記突起物間のその位置から引き離され、それによってそれら突起物が互いへ向かって内側を移動し、また第二噛合い手段の空洞から引き出されることが可能となる。かかる構成はいくつかの点において国際特許出願No.PCT/AU99/00184に例示されたロック素子の構成と同様であると考えることができる。
【0104】
特に好ましくは、前記ロック素子は細長い片形状とされ、また前記第一及び第二噛合い手段も同じく細長い片形状で与えられる。このように形状化された例は国際特許出願No.PCT/AU99/00185にも記載されている。
【0105】
前記活性化された際に収縮するようになっている手段は上述された形状記憶合金ワイヤーから成るか、あるいはそれを含んで成る。他の部材であっても適合可能である。
【0106】
本発明による締付装置は、好ましくは何の作用力もなくロック状態に保持されるように設計される。ロック解除に際しては、前記活性化された際に収縮するようになっている部材が形状記憶合金ワイヤーである場合、電力をスイッチオンすることによってこのワイヤーが加熱及び収縮され、ロック位置からロック素子が引き出される。この合金ワイヤーの冷却が可能であれば、締付装置がロック位置へ戻るように該締付装置を付勢させることが可能である。
【0107】
この実施態様における締付装置には、好ましくはプリント回路板あるいは形状記憶合金ワイヤーへ供給される電力量を制御するための他の手段が含まれる。このような手段を用いて、状態、締付装置が解除された回数、及び何らかの損傷が生じたかどうか等の締付装置に関する情報を通知することが可能となる。
【0108】
本発明のさらに別の観点は改良されたフレーム組立系に関する。
【0109】
本発明は以下の記載から明らかなように多用途である。
【0110】
以下の説明においては、便宜上、用語「フレーム」及びその派生語を用いる。用語「フレーム」及びその派生語は、文脈から他の意味の解釈が必要とされない限り、「プラットホーム(台)」あるいは「ベース(基体)」の意味に解釈されるべきであり、また解放型構造に限定されてはならない。
【0111】
本発明は、その第一の広い観点において、フレームに1または2以上の取付けノード(nord)が備えられ、及びフレーム組立系によってエネルギー、データ及び材料の1または2以上を配送できるようになっている、改良されたフレーム組立系を提供する。
【0112】
フレーム自体は複数の構成部分から構成されていてもよい。フレームには部品あるいは付属品(例えば整形板)を付け加えてもよく、1または2以上の取付けノードを設けて、フレームの拡張部を形成することも可能である。
【0113】
前記フレームは、多数の産業分野における使用に適する広範囲に亘る材料及び形状から選択可能である。非限定的例として、前記フレームは、自動車用としては骨組、カーカスあるいはシャシー形状に、家具用としては骨組形状に、建築産業あるいは配管システムにおける使用には支持体形状とすることができる。その他多数の用途があることは、以下に記載の詳細な説明をある程度考慮すれば当業者には自明である。
【0114】
フレームあるいはその一部は、いずれか適当な方式でエネルギー、データ及び/または材料の導体としての役割を果たすことができる。
【0115】
前記フレームを用いてエネルギーを電気エネルギーの形態で従来技術による配線あるいはバスを通して配送することが可能である。前記フレームによって、圧縮空気あるいは液圧エネルギー等の他のタイプのエネルギーを適当な手段を介して配送することも可能である。
【0116】
データ配送に関して、前記フレームには種々のデータ転送手段、例えば公知方式でのネットワーク環境内におけるデータ転送手段を備えることが可能である。例えばフレーム上あるいはフレーム内にケーブル等の単一導体を用いてエネルギー及びデータ双方を転送できるようにすることが可能である。
【0117】
前記フレームが導管となり得る材料としては、気体、液体及びそれらの混合物を含め、いずれか適する材料を挙げることができる。
【0118】
好ましくは、本発明の改良されたフレーム組立系には多数の取付けノードが備えられる。さらに好ましくは、これら取付けノードのそれぞれによってフレームへのモジュールあるいは付属品の取り付け及び/または取外しが可能とされる。いずれか適する締付具をこれら取付けノードと共に用いることができる。適する締付具のいくつかの例について以下に述べるが、本発明はこれらの例に限定されない。
【0119】
本発明において前記改良されたフレーム組立系はエネルギー、データ及び/または材料を取付けノードへ配送してモジュール及び/または付属品の取り付け及び/または取外しを補助する。ここでオートバイに関連する一例を挙げる。なお、本発明はこの例に限定されるものではない。
【0120】
この実施態様においては、フレームは、エネルギー及びデータをフレームの一部内あるいは全体内のケーブルを用いて伝達することができる従来のオートバイフレームと類似している。フレームにはエネルギー/データケーブル系へ接続される多数の取付けノードが設けられる。フレームはモータ、計器、風防ガラス、シート、燃料タンク、バッテリー、車両ライト、計器照明装置、整形板及びカウリング等の所望されるすべての構成部分のための取付け箇所として機能する。これら構成部分のための取付けノードには、それら構成部分が適所にある時に隠蔽され、かついくつかの方式のうちの一方式で作動される締付具を備えることも可能である。作動の一方法として、場合によってはコンピュータあるいはオーダーメードの装置を用いて、信号をオートバイ上あるいはその外部にある中央制御装置からのケーブルを介して伝達することが可能である。また別の例として、赤外あるいは無線通信を含めたいずれか適する手段を用いて、場合によってはキーチェインポケット上のボタンを介して、あるいは従来のイグニッションスイッチから信号を遠隔伝達することも可能である。
【0121】
この実施態様によれば、オートバイを現在とは全く異なる方式で組み立てることが可能となる。締付具は隠蔽することが可能である。この実施態様によるオートバイの組立には従来の器具あるいはロボットは必要とされない。また、設計も大幅に簡略化され、美的価値を高めることも可能となる。
【0122】
組立中、取付けノードにある締付具をプログラム化することにより、生産ラインが稼動している時に部品あるいは構成部分を自動的に取り付けることも可能となる。かかるプログラム化により、製造における組立連続工程を再検討することも可能となる。伝統的な物理的あるいは機械的接触に代わって、締付具は遠隔操作、配線、あるいは他の適する手段により、電子的に伝達される指令に反応して機械的にロックあるいはロック解除することが可能となる。かかる方式によって、例えば懸架装置あるいは衝撃吸収装置を含む多くの構成部分あるいはすべての構成部分であっても、オートバイの枠組まで組立可能となると考えられる。さらに、製造ラインを中断させることなく、構成部品を他の構成部品と交換することによって、製造中に迅速にオプション変更が出来る等の他の多くの利点も得ることが可能である。
【0123】
この実施態様によるオートバイでは点検修理の質を向上させることが可能である。例えば、締付具及び取付けノードへ符号化された信号だけに応答する安全なアドレスをもつマイクロチップを組み入れることが可能である。これにより、締付具に対して指定された関係者及び技術者だけがアクセス可能となる。さらに、点検修理を必要とするトラブルを検出し、分析し、かつレポートできるようにプログラム化することも可能である。点検修理工程は締付具管理ソフトウェアへ保存することができる。これにより、正確な点検修理ヒストリー及び保証クレームに関する書類が提供されると共に、正当な交換パーツの取付けを確実に行うことができる。例えば、マイクロプロセッサを用いて、締付具の状態(ロック、ロック解除、損傷、及び加圧されているか否か)及び、データ、時間、箇所、及び各工程を実施した技術者の確認を含む保守ヒストリーに関する情報を取得することができる。
【0124】
「出荷後」の問題に関しては、この実施態様によるオートバイはいかなる状況あるいは美的嗜好にも迅速かつ簡単に対応可能である。部品及び付属品は必要性あるいは機会に応じて交換可能である。単一の標準的フレームを用い、さらに選択された整形板、燃料タンク、計器、照明及びその他多種部品を用いてオートバイを構成し直すことが可能である。
また、オートバイをサドルバッグ、風防ガラス、GPS装置及び娯楽装置等のオプション付属品を設けて改装することもできる。
また、オートバイの安全性も向上される。締付具は隠蔽されているため、部品を破壊しない限り盗難に遭うことはない。
【0125】
オートバイの正当な使用者側から見れば、燃料タンク、ハンドル、荷箱、整形板及び覆い等の取り外し可能な部品を単一箇所でロックすることができ、多数のキーをもって各部品をそれぞれロックする必要性が解消される。
【0126】
同一のオートバイフレームを用いてスポーツタイプあるいはツーリングバイク、さらにどのような特別仕様車も製造可能である。例えば、シングルシート及び車体整形板を取り外してツーリングタンク、ツインシート及びツーリング用荷箱と取り換えることも可能である。また別の例として、道路交通法令に従ったオートバイの照明、表示機、ナンバープレート及び他の付属品を取り外してオフロードダートバイクへ改造することも可能である。
【0127】
本発明に従った改良されたフレーム組立系への使用に適する締付具は、好ましくは締付機構、作動装置及びマイクロプロセッサを備える「インテリジェントファスナー」タイプである。多数のタイプの締付具がフレーム組立系への使用に適する。以下に上記使用に適する締付具について具体的に開示する。このような締付具は本発明のさらに別の観点を構成するものである。但し、本発明に従った改良型フレーム組立系へ使用される締付具のタイプは以下に開示される締付具に限定されない。また、上記開示された締付具及び本願に参照として開示内容が包含されている特許明細書、すなわち国際特許出願No.PCT/AU99/00185、国際特許出願No.PCT/AU03/00759及びオーストラリア特許出願No.2002953616、中に開示された締付具を含めた他の締付具も極めて有用である。
【0128】
総じて、本発明装置における使用に適する締付具は機械的締付具と同じレベルの役割を果たし、張力、剪断力及びクランプ締付力に関する従来の要求に適合する移動力を有している。好ましくは、前記締付具にはさらに、それら自体の状態、どの部品が適所にあるか、締付具が取り付けられているかあるいは取り付け前であるか、及び適切に取り付けられているかあるいは過度の加圧状態で取り付けられているかについてレポートする能力が備えられる。
【0129】
また、本発明は別の観点において、
(a)締付素子、
(b)前記締付素子へ取り付けられ、かつ活性化された際に収縮するようになっている部材が含まれる作動手段、及び
(c)それ以上収縮しなくなった時に前記部材を弛緩状態へ戻すようになっている戻し手段を備え、前記戻し手段は、活性化された際に収縮する材料の収縮によって変形される弾性材料を含むか、それよりなることを特徴とする締付具を提供する。
【0130】
前記本発明の第六の観点は、例えば本発明の第二の観点における締付具、あるいは国際特許出願No.PCT/AU03/00759に開示された締付具、あるいは本願明細書あるいはその他において開示された他の締付具と併用可能である。
【0131】
前記締付素子は、いずれか適切な締付素子であればよい。
【0132】
前記活性化された際に収縮するようになっている部材は、既に開示あるいは説明されたように、好ましくは形状記憶合金ワイヤーである。
【0133】
前記戻し手段は、好ましくは前記形状記憶合金ワイヤー等の部材の収縮によって変形するようになっており、かつ該部材(SMAワイヤー等)の弛緩後にその元の形状へ戻るようになっている弾性部材である。好ましくは、前記戻し手段はSMAワイヤーを含み、取り囲み、あるいは包んでいる。前記戻し手段に適する材料は当業者には自明である。適する材料の一つとして硫化ポリブチルを挙げることができる。例えば、SMAワイヤーを戻し手段の中空体内に含ませることができる。また別の例として、SMAワイヤーを戻し手段の中実体内へ埋め込むことも可能である。更に別の例として、SMAワイヤーを戻し手段のストリップへ取り付けてもよい。
【0134】
前記戻し手段はSMAワイヤーを弛緩時に元の形状へ戻すためSMAワイヤー(または他部材)に対して直線的作用力を与えることができる。しかしながら、本発明はこのような構成に限定されない。前記作用力はいずれか適当な方向に向けられればよく、あるいは組み合わされた方向へ向けられてもよい。このような方向の例は以下において述べる図面中に示されている。戻し手段の目的は、形状記憶合金ワイヤーあるいは他部材をそれが収縮前にあった位置へと戻すことである。
【0135】
弾性部材を用いることにより、戻しスプリングの使用を省略することが可能である。戻し手段はSMAワイヤーのヒートシンクとしても機能することができる。また、戻し手段は締付具の強靭性を増大させ、形状記憶合金ワイヤーを取扱、輸送等において受ける損傷から保護することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0136】
以下において、添付図面に示したいくつかの非限定的実施例を用いて本発明について説明する。
【0137】
図1〜3に示された本発明の第一の観点に従った実施態様である締付具30には、ビーム34、噛合い手段36及び可撓点38を備える締付素子32が含まれる。これら図から分かるように、可撓点38はビーム34から隔てられている。
【0138】
図3の背面図に示されるように、ビーム34後部にある溝44中に形状記憶合金ワイヤー40によってループが形成され、また該ワイヤーの各端部は電子モジュール42へ取り付けられる。図1及び2おいて、ワイヤー40は部分的に点線で示されている。
【0139】
ワイヤー40が電子モジュール42を介して発生される電流によって加熱されて所定の温度に達すると、図2に示すようにワイヤーに収縮が起こる。これにより締付素子32が可撓点38において撓みあるいは曲がり、噛合い手段36が噛合い面(図示せず)との噛合いから引き出される。この時、図2に示すように、板ばね46が加圧される。ワイヤー40が冷やされると、ワイヤー40は弛緩し、板ばね46は圧縮をとかれ、及び噛合い手段36は元に戻って前記噛合い面(図示せず)と噛合うように促される。
この実施態様によれば、ビーム34を曲げる必要がない為、噛合い手段36を介した強力確実な噛合い及び締付具30へのより高い強度を与えることが可能である。
【0140】
図4は、図1〜3に示された締付具30の実用的適用例を示した図である。図4では、締付具30が現場においてキャップ31を基体33へ締め付けている状態が示されている。図4から理解されるように、締付具30の噛合い手段36はキャップ31の突き出た棚部分35に噛合っている。電子モジュール42用電源として3個のバッテリー37が備えられ、これらバッテリーはスイッチ39によって作動される。
【0141】
スイッチ39が押されると、バッテリー37から電子モジュール42へ電力が与えられ、これによって形状記憶合金ワイヤー40はそれが収縮を起こすのに十分な程度まで加熱される。これによって噛合い手段36が突き出た棚部分35との接触から引き出される。ビーム34のこのような動作を可能とするため、キャップ31中に空洞41が設けられる。スイッチ39が押されると、LED43が点灯してスイッチ39が作動されていることが表示される。
【0142】
キャップ31及び基体33双方の溝中にダボ45が設けられる。これらダボ45によって、キャップ31を基体33上へ据え付ける際の位置決めが補われる。キャップの取外しに際しては、板ばね47と連携したダボ45によってキャップ31の基体33からの分離が促される。
【0143】
再充電可能な形式の場合は、充電接触子49を用いてバッテリー37の再充電を行うことができる。
【0144】
次に、図5〜7を用いて、本発明の第二の観点における実施態様について説明する。この実施態様では、締付装置50の開口52中に受け止められるようになっているピン48が備えられる。円形クリップ54の形状のロック手段54はピン48にある溝56中へ嵌まり込むようになっている。
【0145】
開口52は、うね部分60を含むプラスチック締付具本体58中に形成される。うね部分60の周囲を形状記憶合金ワイヤー40が動き回る。絶縁プラスチックキャップ62によってワイヤー40の曲げられた端部(図示せず)が円形クリップ54及び電力リード線64へ接続される。
【0146】
図6はロック状態にある締付装置50を示す図である。この状態において、ピン48を開口52中へ押し入れることができる。ピン48先端の先細部分66は、円形クリップ54が溝56の中へ重なり合うまで入り込んで円形クリップ54を押し離す役割を果たし、該先細部分はそこでロック状態のまま保たれる。従って、開口52中へのピン48の挿入にワイヤー40の活性化は必要とされない。
【0147】
図7はロック解除位置にある締付装置50を示す図である。この図において、ワイヤー40はそれが収縮を起こす程度までリード線64からワイヤー40へ送られる電力を介して加熱されている。キャップ62におけるワイヤー40と円形クリップ54との連結を通して、うね部分60によって保持された収縮状態にあるワイヤー40によって円形クリップ54が引き離され、該円形クリップ54は溝56から解放され、これによってピン48の取外しが可能となる。
【0148】
次に図8Aに示すように、解除可能締付装置150には、本体部156の開口154中に受け入れられるようになっているピン152が備えられている。クリップスプリング158と、クリップシャシー160及び形状記憶合金ワイヤー162とが一緒になってピン152用のロック手段が構成されている。
【0149】
ピン152の周辺には広い溝163が設けられている。この溝163は、該溝613を取り囲むことができるクリップシャシー160を受け止めるようになっている。クリップシャシー160はクリップ158を担持し、一種の円形クリップとしての役割を果たしている。
【0150】
形状記憶合金ワイヤー162は図9に示す方式でクリップシャシー160と噛合う。形状記憶合金ワイヤー162が活性化されると、該ワイヤーは収縮してクリップシャシー160が引き離される。
【0151】
ピン152を本体部156中へロックするため、キャップ164に対して圧力を加え、ピン152を開口154中へ手動で押し入れることが可能である。クリップシャシー160及びクリップスプリング158がピン152を受け入れられる程度まで十分に開かれ、それによってクリップシャシー160とピン152にある溝163が噛合う。
【0152】
本体部156からピン152をロック解除する際、前述した通り、ワイヤー162はその収縮が起こるまで十分に加熱される。ワイヤー162の溝166及び170を通したクリップシャシー160への取り付け方式(図9参照)ゆえに、ワイヤー162の収縮によって、ピン152をクリップシャシー160から引き出すのに十分な程度まで、クリップシャシー160が引き離される。クリップシャシー160は符号168で示される箇所において蝶番式に動作可能である。
【0153】
締付装置150には、ロック解除指示を受け取り、ワイヤー162の収縮に必要な熱を発生する制御パネル172が備えられる。後部カバー174を取り付けることにより締付装置150のハウジングが完成される。
【0154】
クリップスプリング158によって、クリップシャシー160がロック位置の方へ付勢され、またこの実施態様においては、ワイヤー162の弛緩に際して該ワイヤー162をロック位置へ戻す補助的役割が果たされる。
【0155】
締付装置150の変形例において、クリップシャシー160を取り除くことも可能である。この場合においては、クリップスプリング158は形状記憶合金ワイヤー162によって噛合わされ、また締付装置のロック解除を望む時に該ワイヤー162の収縮によって引き離されるようになっている。
【0156】
次に図8B〜8Gに示した実施態様について説明する。図8A及び9に示した部分と同様な部分は同一符号へaを付して示されている。
【0157】
図8Bに示すように、解除可能締付装置150aには、本体部156aの開口154a中に受け止められるようになっているピン152aが備えられている。スプリング158aと、クリップシャシー160a及び形状記憶合金ワイヤー162aとが一緒になってピン152a用のロック手段が構成される。
【0158】
ピン152aはその周囲に広い溝163aを有している。溝163aは、該溝163aを取り囲むことができるクリップシャシー160aを受け止めるようになっている。スプリング158aはクリップシャシー160aの溝116中へ嵌まり込んで該クリップシャシーを噛合い位置の方へ付勢している。
【0159】
形状記憶合金ワイヤー162aは別個の2本のループ118及び120から成っている。これらワイヤー162aは図8Cに示した方式でクリップシャシー160aと噛合う。図8Cと図9との比較において、形状記憶合金ワイヤー118及び120は活性化されて収縮する際に、図9のワイヤー162よりも張りの弱い状態となることが理解されるであろう。
【0160】
キャップ164aに対して圧力を加えてピン152aを開口154a中へ押し込むことによりピン152aを本体部156a中へロックすることができる。クリップシャシー160aはスプリング158aによって閉位置へ付勢されているが、十分に開かれてピン152aを受け入れることができるため、クリップシャシー160aとピン152a上の溝163aとの噛合いが得られる。
【0161】
本体部156aからのピン152aのロック解除に際しては、既に述べたように、ワイヤー162aの両ワイヤー118及び120が十分収縮される程度まで加熱される。ワイヤー118及び120のそれぞれは、図8Cに示すようにクリップシャシー160aへ取り付けられる。従って、ワイヤー118及び120が収縮することによって、ピン152aがクリップシャシー160aから引き出されるに十分な程度までクリップシャシー160aが引き離される。クリップシャシー160aは符号168aで示される箇所において蝶番式に動作可能である。
【0162】
図8B及び8Eには締付装置150aの手動補助装置のための手段が図示されている。キャップ164aにはスロット122が設けられている。キャップ164a中のスロット122及び本体部156a中の対応スロット123を通して適当な工具を挿入することができる。次いでこの工具をクリップシャシー160aのアーム間へ通して、ピン152aが外れるに十分な程度までこれらアームを分け離すことができる。
【0163】
この実施態様においては、手動補助装置を締付装置150aのキャップ側だけでなく後部カバー174a側からも操作することができる。図8Eに示すように、プレート126中のキャップ164a上のスロット122に対応するスロット124は後部カバー174aからアクセス可能であり、また同じ工具を用いてスロット122に関して記載した方式と同じ方式でピン152aを手動で外すことが可能である。
【0164】
図10〜13において、リングクリップ締付具94は計装パネル等のパネルへの部品の固定に特に適している。締付具94は、図10及び11では係合締付具ペグ98としてロック状態で示され、また図12及び13では締付具ペグ98が外された後の状態で示されている。
【0165】
締付具ペグ98には溝104が備えられている。ペグ98が締付具94中へ押し込まれると、付勢スプリング108のアーム106がペグ98上の傾斜部110によって押し離される。アーム106が溝104中へスナップ嵌合されてペグ98が締付具94中にロックされる。このようにして、簡単に手で圧力を加えることにより、例えばパネルハウジング中へ計装パネルを据え付けることが可能である。
【0166】
締付具94中には、ペグ98底部114との接触を感知する噛合いセンサ112が備えられている。噛合いセンサ112はペグ98の噛合いを確認し、その情報をコンピュータ(図示せず)へ伝達することができる。
【0167】
図10から理解されるように、締付具94には付勢スプリング108のアーム106上に支えられた終端部418へ連結された形状記憶合金(SMA)ワイヤー416が含まれている。
【0168】
例えば電気エネルギー等の適当なエネルギーがSMAワイヤー416へ印加され、そしてSMAワイヤー416が必要な温度まで加熱されると、SMAワイヤー416は図12に示すように収縮する。SMAワイヤー416の収縮によって終端部418が離れるように移動される。終端部418はアーム106上に支えられているため、これらアーム106が引き離される。アーム106が溝104から外側へ動くことによってペグ98の取り外しが可能となる。また、噛合いセンサ112によってペグ98が外れたことを通報することも可能である。
【0169】
また、締付具94には締付具94のロック状態を感知するセンサ420が備えられる。図14に示すように締付具94がロック解除状態にある場合、アーム106はセンサ120に接触して回路を完成し、あるいはリードスイッチとしての役割を果たすことができるため、センサ120によって締付具94のロックあるいはロック解除状態について通報できることが理解される。
【0170】
次に図14〜図16には、本発明の第二の観点に従った植込みボルト形締付装置の実施態様が図示されている。この実施態様において、解除可能締付装置70には開口72へ受け入れられるようになっているピン68が備えられている。ピン68の周辺には凹み状のロック空洞74が設けられている。締付具本体76中の開口72にはピン68の凹み74内に嵌まり込むように構成された突起部80をもつアーム形状のロック手段78が備えられている。
【0171】
ピン68が一旦開口72中へ押し込まれると、アーム78の突起部80が凹み74へ嵌まり込む。留め部材82によってアーム78の突起部80外側への移動が遮られることにより噛合いが外れることが妨げられる。形状記憶合金ワイヤー40の活性化によって該ワイヤー40が収縮することにより、留め部材82がアーム78の遮断位置から引っ張られる。図16に示すように、アーム78がスプリングの方へ外側に付勢されることにより、開口72から容易にピン68を引き抜くことが可能となる。スプリング84が付勢されていることにより、留め部材82が図14及び15に示されたロック位置へ促される。
【0172】
図14〜16に示すように、ピン68及び締付具本体76双方には導体ピン86が含まれている。これら導体ピンの使用はオプションとしてである。これら導体ピンを用いて締付装置70において動力を提供すること及びデータ接続を行うことが可能である。
【0173】
図14〜16には、さらに別のオプションの特徴として引込み可能のキャップ88が示されている。このキャップ88を用いることにより、フレーム10外面90の外観が平坦となる。図示された実施態様において、留め部材82をアーム78の遮断位置から引っ張るためにはワイヤー40を活性化させることが必要である。一旦活性化が起こると、ピン68はスプリング92によって与えられる付勢に逆らってキャップ88を図14に示された位置から図15に示された位置まで押し込むことができる。この位置において形状記憶合金ワイヤーが弛緩してピン68が適所にロックされる。図16には開口72からのピン68の引き抜き前のロック解除位置が示されている。
【0174】
次に図17、18及び19に図示された実施態様の植込みボルト形締付装置180は特に重量物用途に適する。この実施態様では、溝184を備えるピン182及びキャップ186は本体部190の開口188中に受け止められるようになっている。本体部190中にはシャトル192が受け入れられる。シャトル192は、溝194中に巻き入れられた形状記憶合金ワイヤー(図示せず)が収縮する時に本体部190内で回転するようになっている。形状記憶合金ワイヤーが活性化されることにより、シャトル192は締付装置180のロック解除が可能となる方向へと回転する。
【0175】
シャトル192中には歯状体200の脚198と噛合うように構成された突起部196が設けられている。この突起部196は、図17に示すように傾斜されて設けられるか、あるいは図19に示すように約45度の角度に設定することができる。
【0176】
締付装置180が組み立てられる際、脚198基部に座金202が当接される。小さなコイルスプリング(図示せず)が開口204中に取り付けられ、これらコイルスプリングが座金202を圧迫することによって歯状体200に対して圧が加えられる。中央プラグ206中には開口204が形成される。開口208は、それ以上活性化が起こらなくなった時に形状記憶合金ワイヤー(図示せず)をその弛緩形状へ戻す補助的役割を果たすさらに別の付勢スプリングを受け入れるように構成されている。
【0177】
電子モジュール210は、この実施態様においては、ケーブル212を通して配線されるように示され、またこの電子モジュールによって締付装置180のロック解除が制御される。末端キャップ214の取付けによって組立ては完成される。
【0178】
図20及び21に示した変形例においては、本体部190にナット218を上に受け止めるねじやま部216が備えられて図示されている。このナット218を設ける目的はパネル(図示せず)等の素子が隙間220中へ受け入れられるようにするためである。
【0179】
末端キャップ214には、締付装置に何らかの作動不調が起こった時に適当な工具を中へ挿入して手動でシャトル192を回転させることができる中央開口部(図示せず)が設けられている。
【0180】
図21から、座金202が省略され、また歯状体200が図19に示したそれとは若干異なる形状をしていることが理解される。
【0181】
次に図22〜25について説明する。これらの図には、図10〜13に示したリングクリップ締付具の代替となり得る植込みボルト形締付具が示されている。図22〜25に示した植込みボルト形締付具はより頑丈であると理解され、また図10〜13に示したリング形締付具に比較してより重い荷重を支えることが可能である。
【0182】
図10に示したペグ98は図24及び25に示したペグ98aで代替されている。
【0183】
図22〜25に示した締付装置230にはペグ98a中の溝104aと噛合うようになっている複数の歯状体222が備えられている。歯状体222は引張りスプリング424によってロック位置の方へ付勢される。引張りスプリング424は歯状体222を適所に保持する役割も果たしている。ペグ98aは開口102中へ押し込まれるようになっている。ペグ98aの傾斜部110aはスプリング424の応力に逆らうように歯状体222に対して押し付けられる。ペグ98aが開口102中へ押し込まれると同時に、歯状体222が溝104a中へばねで押し戻されることによりペグ98aが締付装置230中にロックされる。
【0184】
締付装置230には噛合いセンサ112が装備される。ペグ98aの底部114aが接触した時に、噛合いセンサ112によって締付装置230中へのペグ98aの連結、従ってパネルハウジング中の計装パネル等の締付対象部材の連結をレポートすることが可能である。
【0185】
締付装置230には形状記憶合金ワイヤー426が含まれている。これらワイヤー426は締付装置230の本体部432内において回転可能なシャトル428周囲に巻き付けられている。形状記憶合金ワイヤー426の各端部は締付装置230の非回転可能部分へ締め付けられる。形状記憶合金ワイヤー426が必要温度まで達する適当なエネルギーを受けて収縮を起こすと、シャトル428は図25に示された位置まで回転する。シャトル428にはカム面434が含まれている。図25から理解されるように、カム面434は歯状体222の尾状部436上を下降し、引張りスプリング424によって与えられる付勢力に逆らって尾状部436を押しつけ、歯状体222それぞれを溝104aとの噛合いから引き出す。これによってペグ98aは締付装置230から取り外される。また、引張りスプリング424によって形状記憶合金ワイヤー426はそれらの弛緩形状へと付勢される。
【0186】
締付装置230にはさらにロック状態センサ438及び440が備えられる。これらのセンサが図23及び24に示すように離れている場合、これらセンサによって締付装置230がロック状態にあることがレポートされる。他方これらセンサが図25に示すように接触状態にある場合は、これらセンサによって締付装置230がロック解除状態にあることがレポートされる。センサ438及び440は例えばリードスイッチとして作動可能であるか、又はこれらセンサは接触状態となって電気回路を完成し、それによってロック解除状態を信号で知らせることが可能である。他の構成及び検知手段を適用することも勿論可能である。
【0187】
次に図26〜33に示した本発明の第二の観点に従った実施態様について説明する。締付装置260には、周辺溝256(図31及び33参照)であるロック空洞を有する植込みボルト254が備えられる。締付装置260には押し込み嵌合によって植込みボルト254を中へ受け止めることができる開口258が設けられている。
【0188】
締付装置260には、それぞれが溝256と噛合うことができる1個の舌状体264をもつ8個の歯状体262が備えられる。
【0189】
本体部268内の2つの位置間の回転のためにシャトル266が取り付けられる。第一の位置は図28に示した位置であり、この位置においてロック突出部270によってロック位置にある歯状体262が開口258中に、(また、植込みボルト254が開口258中にある場合は植込みボルト254の溝256中に)保持される。第二の位置は図29に示した位置であり、この位置はシャトル266が十分に回転して歯状体262がロック突出部270間の空間272中に位置取りされた位置である。このような構成においては、歯状体262がそれ以上に開口258(及び、存在する場合には植込みボルト258中の溝256)中においてロック位置に保持されることはない。
【0190】
シャトル266は、形状記憶合金ワイヤー274及び276を介して、シャトル266をロック位置まで回転させる際に用いられる位置からシャトル266をロック解除位置まで回転させる際に用いられる他の位置まで回転される。
【0191】
図26に示すように、締付装置260には後部キャップ278が備えられている。電力は電気ワイヤー280を介して供給される。
【0192】
図27は後部278が取り外されて形状記憶合金ワイヤー274が見える状態の図である。この図にはシャトル位置センサ282も図示されている。これらセンサは、シャトル266がロックあるいはロック解除位置のいずれにあるかを検知し、またその結果を外部データ源(図示せず)へレポートすることができる。
【0193】
図27にはさらにワイヤー温度センサ284が図示されている。これらセンサ284は、形状記憶合金ワイヤー274及び276の温度を検知し、及びこれらワイヤーが収縮を起こす所望の温度まで該ワイヤー温度を上昇させるために必要な電力量を算出することが可能である。温度センサ84はワイヤー274及び276の過熱を防止することができ、またこのセンサ84によってワイヤー274及び276へ送られる電気エネルギー量を最小限に抑えることが可能である。
【0194】
図31及び33に最もよく示されている実施態様では、締付装置260にスライド式プラグ286が含まれている。ロック位置(図31)において、植込みボルト254によってスライド式プラグ286が植込みボルト検出器スイッチ288と接触するように押し下げられるため、スライド式プラグ286は植込みボルト検出器スイッチ288と接触状態となる。これにより、締付装置260によって植込みボルト254が噛合っているかどうかをレポートすることが可能となっている。
【0195】
図31及び33にはさらに付勢スプリング290及びエジェクタスプリング292が示されている。付勢スプリング290によって締付装置260はロック位置へ付勢され、またエジェクタスプリング292によって、図33に示すように歯状体262がそれ以上溝256と噛合わなくなった時、植込みボルト254の取り出しが容易となっている。
【0196】
図31及び33に示すように、形状記憶合金ワイヤー274及び276はクリンプ294及び295を介して取り付けられる。シャトル検出器スイッチ297によってシャトル266がロックあるいはロック解除位置にあるかどうかが検出される。
【0197】
図30はレリーズ296を備える後部キャップ278を示した図である。このキャップを、例えば図32に示すように手動操作して、シャトル266をロック位置からロック解除位置まで手動で回転させることができる。
【0198】
次に図34〜37は手動補助装置が連結された締付装置260に類似した締付装置260aを示した図である。この締付装置260aに代えて別の締付装置を代替することも可能である。手動補助装置400には手動作動器298及びロッド402である引き出し手段が備えられる。手動作動器400は、スロット706を通して手動作動器と噛合う突起部704を介して締付装置260a及びロッド402へ連結される。
【0199】
ロッド402は、噛合い棚部分710を有するノブ708へ取り付けられる。図34において、噛合い棚部分710は留め部材712と噛合った状態で図示されている。スプリング714はロック位置へ向かって付勢している。
【0200】
手動補助装置400を操作するためには、棚部分710がそれ以上留め部材712と噛合えなくなるまで、ノブ708を手で回転させなければならない。次いでノブ708がスプリング714の付勢力に逆らって上方へ引き出され(図34)、手動作動装置298がスロット706中の突起部704を介して上方へ回転される。このようにしてシャトル266が図35に示されたロック位置から図37に示されたロック解除位置まで回転され、手動作動装置298は図36に示された位置を取る。この段階において、植込みボルト254は図37に示すようにエジェクタスプリング292によって解放される。
【0201】
また図37には連動装置716が図示されている。この連動装置716はロッド402を第二締付装置260bと連動させ、図38に示すように導管718を通って移動する。図39及び40に詳細に示すように、ノブ708が留め部材712から離れて回転され、スプリング714の付勢力に逆らって上方へ引き上げられる際、締付装置260a及び260b双方の手動解除が連動装置716によって確保される。
【0202】
図39及び40からより詳細に理解されるように、本実施態様における締付装置260aはカバー720の下に位置し、かつその一部はブラケット724上へ取り付けられた機構ケーシング722内に位置している。
【0203】
図41〜46には、本発明の第二の観点に従った列状締付具の一実施態様が図示されている。
【0204】
図41〜46に示すように、締付装置510は導管514を介して外部電源へ接続された締付具取付け箱512内に装着される。前記箱512内に装着された締付装置510はパネル(図示せず)中へ挿入され、及び取付け箱512内に含まれる締付具ケース522のフランジ520へ面プレート518を取り付ける螺子516を用いて適所に固定される。導管514を介した電気接続はケーブルコネクタ526を用いて締付具ケース522の中まで延びている。フランジ520の下方にはスプリングクリップ528が挿入されている。
【0205】
締付装置510は、パネルまたはドア(図示せず)から突き出している突出部524(図41〜43に図示)との噛合いを意図したものである。締付装置510において、噛合い手段には掛け金アーム530、シャトル532及びつめ534が含まれている。スプリング536はシャトル532を図41に示したロック位置の方へと付勢する。スプリング540はエジェクタプラグ542をロック解除位置の方へと付勢する。シャトル532には締付具ケース522内におけるシャトル532のスライドを容易にするテフロン(登録商標)パッド544が備えられている。
【0206】
締付装置510にはさらに、つめ534上のピン548上方で輪を形成する形状記憶合金ワイヤー546が含まれている。ワイヤー546の活性化はプリント回路板下位組立部品550を介して制御される。スプリング538は形状記憶合金ワイヤー546を図41に示したロック位置へ促すためのものである。
【0207】
センサスイッチ552はシャトル532の拡張部分554と接触して締付装置510のロック状態あるいはロック解除状態を表示する。図43ではセンサ552のみ拡張部分554と接触しているため、締付装置510は該装置がロック位置にあることを表示できる。例えば図46に示すように双方のセンサスイッチ552が拡張部分554と接触していると、該装置510がロック解除状態にあることが表示される。
【0208】
図41及び42に示すように、締付装置510にはさらに、つめ534をロック位置から引き離すことがないように形状記憶合金ワイヤー546における張りを和らげるスプリング560が含まれる。
【0209】
次に図43には締付装置510がロック位置にある状態が図示されている。この位置において、つめ534上の突出部556はピン558を圧迫し、つめの傾斜部分562はシャトル532の肩部分564に噛合っている。
【0210】
シャトル532の末端部566によって掛け金アーム530の末端部568が圧迫されることにより、該末端部568と突出部524(図44参照)の窪み570との確実な噛合いが得られる。
【0211】
ケーブルコネクタ526を介した電気接続を通じて十分な電気エネルギーが印加されると、ワイヤー546が収縮して図44に示すようにつめ534がロック位置から引き離されている。この位置において、図44に示すように、傾斜部分562を旋回させて肩部分564との完全な接触から離した突出部556が移動制限ピン572にぶつかるまで、つめ534の傾斜部分526によって肩部分564が押しつけられている。この段階においてワイヤー546は猶収縮している。シャトル532を引っ込めることにより、シャトル532末端部分566が掛け金アーム530末端部分568との接触から引き離される。掛け金アーム530は旋回点574を中心として旋回し、突出部524の窪み570から外側へ移動される。エジェクタプラグ542を押しつけているエジェクタスプリング540は、締付装置510から突起部524を放出する際の役割を一部果たしている。
【0212】
もし移動制限ピン572が取り外されているならば、つめ534は肩部分564との接触が全くなくなるように旋回することが理解されるであろう。そうすると、シャトル532はスプリング536の影響を受けながらロック位置へ自由に移動するため、突出部524は締付装置510と噛合い可能となる。しかしながら、ワイヤー546が十分に冷えるまではロック解除することはできない。
【0213】
図45に示した次の段階においては、突出部524は締付装置510から完全に抜け出している。ワイヤー546は冷却中にある程度まで伸びるため、つめ534はピン572との接触から離れられるようになっている。
【0214】
図46に示した構成においては、ワイヤー546の伸張は冷却で完了し、つめ534は突出部556がピン558に接触するまでピン572から離れるように十分移動し、傾斜部562が肩部564と噛合う位置を取るようにつめ534が旋回される。
この時点で突出部524が締付装置510中へ押し込まれると、エジェクタプラグ542がスプリング540に逆らって加圧され、掛け金アーム530の末端部568が窪み570中の適所に嵌まり込み、シャトル532の末端部566が掛け金アーム530の末端部568と接する位置まで移動し、スプリング536によってシャトル532が図46において左方へ移動され、傾斜部562がシャトル532の肩部564と噛合い、ワイヤー546が活性化されると直ぐにロック解除できる状態となる。
【0215】
突出部524を貫通する開口部576は例えばロックあるいはロック解除状態表示のための光導管として利用可能である。また、開口部576、エジェクタプラグ542中の開口部(図示せず)、及び掛け金アーム530間の隙間578(図43参照)を通して適当な工具を挿入することも可能である。次いでこの工具を用いてシャトル532へ圧を加えて該シャトル532をロック解除位置の方へ手動で移動させると、末端部566と末端部568との接触がなくなり、締付装置510からの突出部524の放出が可能とされる。
【0216】
例えば温度用等のセンサを備える締付装置につては先述した。図41においてこれらセンサは符号538で示されている。検知は温度検知に限定されない。当業者には自明であるように、本発明による締付装置は照明、ヒーター、ファン等の種々他機能の検知あるいは制御も可能である。従って本発明による締付装置510は複数の機能を果たすことができ、例えばドアが締付装置510で締め付けられた部屋内の照明制御等の照明制御へ組み入れることが可能である。
【0217】
図47に本発明による締付装置を自動車のCANネットワークへ一体化した一例、具体的には自動車ドアの例を示す。この図に関してはほぼ説明不要であろう。図47において、本発明による締付具の一部を「インテリジェント締付具ネットワーク」の一部と言うことが可能である。これら部分によって本発明による締付具の主要機能、すなわち車両への部品の取り付けが果たされる。
【0218】
図47において「締付具ノード」と呼ばれる他の締付具によって二次機能、すなわちウインドモータ、後方視野ミラー等の関連部品の調ノードが行われる。CANバスへの接続についても図示されている。
【0219】
図47中の部品レイアウト及び配線ハーネスは単なる例示であり、本発明の範囲を限定するものではないことが理解されるべきである。
【0220】
図48は図47に示した装置の一部の模式図である。本発明による締付具の「TZインテリジェント締付具」と呼ばれる一部は上述した主要機能を遂行し、他の一部は二次機能を遂行する。
【0221】
前記主要機能及び二次機能を、図49に示した部品等の他のいくつかの車両部品の制御あるいは締付けへ拡大させることが可能である。この図49については改めて説明するまでもないと考える。
【0222】
図50は、本発明による締付具をどのように配置すればCANバスへの直接接続を介してサブネットワーク配線部品の数を減らすことができるかを示した図である。これに関し、図50は図48と比較されるべきである。本発明による各締付具は事実上それ自体の多重モジュール/交信ゲートウエィあるいはCANバス上のノードとしての役割を果たすことができる。このネットワーク構造により、本発明による締付具の機能を部品切換制御まで拡大させることも可能である。
【0223】
図51は本発明による締付装置の自動車における構成例を示した図式である。この図の連鎖系の最下部において自動車へ部品を締め付ける本発明による締付具が用いられている。この締付具(「インテリジェント締付具」)はCANバスを介して自動車のコンピュータへ接続される。自動車コンピュータによってインテリジェント締付具とパーソナルデジタル補助手段(携帯用コーティング)等のインテリジェント機器間においてデータ及び/または指令の伝達が行われる。
【0224】
マスター制御は階層の最上位にあって、インテリジェント締付具の同一性及び安全性に関する情報をインテリジェント機器へ与え、また締付具の診断及びヒストリー機能情報を記録する。
【0225】
前述したように、インテリジェント締付具には車両へ部品を取り付ける主要機能と切換制御を行う二次機能がある。
【0226】
次に本発明の第三の観点に従った実施態様を示す図52〜55について説明する。図52〜55において、締付装置610には図54に示すロック位置と図52に示すロック解除位置間を移動可能な噛合い手段612が含まれている。
噛合い手段612には揺動点616において揺動可能な一対の顎部614が含まれる。
ブロック618には、アーム622、基部624及び留め部材626によって画定される空洞部620が含まれる。
【0227】
図54に示すように噛合い手段612がロック位置にある時、図に示すように揺動点616は可能な限り基部624の近くに位置し、留め部材626によって顎部614の締め付けが妨げられることはない。これと対照的に、噛合い手段612が図52に示すようにロック解除位置に有る時、図に示すように揺動点616は基部624から離れ、留め部材626によって顎部614が互いに隔てられる。
【0228】
ロック位置において、ブロック618は、該ブロック618とチューブ630との間に位置するコイルスプリング628によって噛合い手段612の方へ付勢されている。
【0229】
ブロック618には開口634が中にある突起部632が設けられ、この突起部632には高性能(スマート)記憶合金ワイヤー642が取り付けられる。この合金ワイヤー642はプリント回路板638へ電気接続され、この回路板は次いでワイヤー640を介してエネルギー源(図示せず)へ配線される。導電ワイヤー636によって記憶合金ワイヤー642用の回路が完成される。
【0230】
締付装置610は、パネル(図示せず)中の円形の孔あるいは穴を通して、該パネル後部からワイヤー640が突き出ているそのパネル端部へ挿入されるように意図されている。顎部614は、パネル(図示せず)を外部素子646へ固定するため、該外部素子646上の掛け金644に噛合う。
【0231】
前記パネルを前記外部素子646へ取り付けるために、記憶合金ワイヤー642はワイヤー640を介して外部エネルギー源によってエネルギー付与されて記憶合金ワイヤー642を加熱させて該ワイヤーを図52に示す位置まで収縮させる。この状態ではブロック618は引き戻されているため、留め部材626によって顎部614が引き離される。パネルは顎部614が掛け金644周囲で宙に浮くように位置取りされる。この段階において、記憶合金ワイヤー642へのエネルギー付与は止められ、記憶合金ワイヤー642は冷えて図54に示した形状にまで伸張する。コイルスプリング628によってブロック618は左方(掛け金644の方)へ押し付けられる。留め部材626はそれ以上顎部614の基部を圧迫しないため、顎部614は図54及び55に示すように閉じて掛け金644と噛合う。このような方式によってパネルが外部素子646へ締め付けられる。
【0232】
パネルを取り外す際には、記憶合金ワイヤー642に再度エネルギーが付与されて該ワイヤーが再度加熱及び収縮され、締付装置610は図52に示す配置を取り、掛け金644から顎部614が解き離される。
【0233】
当業者に自明であるように、掛け金644の変更と同様、噛合い手段612の設計を図52〜55に示した設計から大きく変えることが可能である。噛合い手段612及びブロック618を異なる噛合い方式をもつ別のモジュールと置換え可能なモジュールとして用いることも可能である。
【0234】
図52〜55に示した締付装置610は「列状」締付具タイプである。
【0235】
図56に示した締付装置650は別のタイプの「列状」締付具である。この第二の実施態様において、図示された締付装置650は燃料充填機キャップへの使用に適する。図56中の噛合い手段を図52〜55に示した噛合い手段612の代わりに用いることも可能である。図56においては、図52〜55に示した部品と同一部品には同一符号が用いられている。
【0236】
締付装置650には、ブロック656と一体化されたロッド654(円形断面をもつ)が含まれる。ゴム製グロメット658を用いてロッド654と締付装置650の機械装置間の液体及び気体密封性が確保されている。
【0237】
締付装置650は、ロッド654が燃料充填機キャップ(図示せず)と噛合うように、ロック位置において噛合い手段652と共に図示されている。ロッド654には図56に示すような四角に切られた末端部660あるいは破線で示すような傾斜した末端部662が設けられる。末端部のこのような形状はロッド654と燃料充填機キャップとの噛合い方によって決められる。
【0238】
コイルスプリング628によって噛合い手段652はロック位置の方へと付勢される。前述したように活性化された形状記憶合金ワイヤー642は収縮して、噛合い手段652をブロック656からの突起部632の開口634中にある形状記憶合金ワイヤー642の取付け部分を介してロック解除位置の方へと引き出すことができる。
【0239】
ロック及びロック解除は、図52〜55に示した実施態様に関して前記したように、通常記憶ワイヤー642の収縮と連携して起こる。
【0240】
締付装置650は自動車の燃料充填機空洞内あるいはそれに近接して配置され、また前記活性化は自動車ダッシュボード上あるいはキーフォッブ上にあるボタンを押すことによって起こるように意図されている。
【0241】
図57に示した実施態様は、2つの点において図56に示した締付装置と異なる燃料充填機キャップ用の締付装置である。まず第一点として、図57の実施態様では燃料充填機留め部材がより長く移動できるようになっている。第二点として、図57の実施態様には自動車のダッシュボードあるいはキーフォッブからの活性化装置に何らかの作動不調が起こった場合のための手動補助装置が含まれている。
【0242】
図57の締付装置670には舌状体674を備える噛合い手段672が含まれている。この噛合い手段672は、図57に示すように、この実施態様ではブロック676とハウジング部678との間に位置するコイルスプリング628によってロック位置の方へ付勢される。
【0243】
形状記憶合金ワイヤー642の両端はハウジング684内の溝682中に保持されるプリント回路板(PCB)680へ取り付けられる。形状記憶合金ワイヤー642は、留め部材686を通して固定されたパネル680から、スピンドル688上、さらにそこから別のスピンドル690、次いでブロック676へと移動してから、PCB680へ戻ってくる。そのため形状記憶合金ワイヤー642の長さが非常に長くなるが、そのため噛合い手段672がより長い距離を移動することが可能となる。
【0244】
図57に示した実施態様にはワイヤー694を用いてブロック676へ取り付けられる手動補助装置引き手692が備えられている。ワイヤー694は形状記憶合金ワイヤーから成るものではなく、単に引き手694とブロック676間へ機械的連結を与えるものである。形状記憶合金ワイヤー642がワイヤー640を通して外部電源(図示せず)から与えられる電力を介して活性化されなかった場合、引き手692を用いて噛合い手段672を図57に示した位置の右方へ機械的に引き出して舌状体674を燃料充填機キャップ(図示せず)から取り外すことが可能である。
【0245】
図58〜61に示した本発明の次の観点に従った実施態様では、締付装置600にはアーム594及び突起部596から成る第一噛合い手段とキャップ602中の相補的空洞598である第二噛合い手段が備えられている。締付装置600は基部604上へキャップ602を保持するように意図されている。
【0246】
ロック部材606はストリップ形状を呈し、及び図58及び59を図60及び61と比較すれば理解されるようにアーム594間を縦方向へスライド可能である。ロック部材606のスロット609中にはアーム594間へのロック部材606の配置を連携する突起607が設置されている。
ロック部材606には形状記憶合金ワイヤー40が取り付けられる。ワイヤー40の張力は引張ねじ1110によって調ノード可能である。
【0247】
スプリング1112は電力が印加されない時に締付装置600をロック状態に保持する補助的役割を果たし、またワイヤー40が収縮後冷えた時に、その元の伸びた状態へ戻す補助的役割も果たす。
【0248】
バッテリー37はスイッチ39によって作動されて締付装置600へ電力が供給される。ワイヤー40へ送られる電力量はプリント回路板1108にプログラム化されている。例えば、プリント回路板1108によって所望の温度へ達するまでの一連の段階においてワイヤー40への電力供給が為され、一定段階においてプリント回路板1108によってワイヤー40への電力供給を止めてワイヤー40を弛緩させることができる。プリント回路板1108によってさらに締付装置600の状態、ヒストリー等に関するレポートを行うことも可能である。
【0249】
図62に示した本発明の一観点に従った実施態様では、先の実施態様におけるロック部材と異なってロック部材はストリップ形状に作られていない。しかしながら、便宜上全体的に同一の符号を用いて説明する。図62の実施態様においては、締付装置600にアーム594及び突起部596を含む第一噛合い手段が備えられている。第二噛合い手段はキャップ602中の空洞598によって構成されている。図に示すように、突起部96が空洞98内においてこの実施態様におけるロック部材である真鍮製スラグ1114と噛合う時、キャップ602は基部604に対してロックされる。真鍮製スラグ1114には、図に示すように、形状記憶合金ワイヤー40が取り付けられる。真鍮製スラグ1114はスプリング1112によって突起部96の間にあるそれ自体のロック位置に付勢される。スイッチ39が作動されると、プリント回路板1118によって、バッテリー37から適当な電力がワイヤー40へ供給されて該ワイヤー40が収縮を起こすまで加熱され、スラグ1114が突起部596間にあるロック位置から引き出されるように確保される。この段階において、アーム594の内側に付勢されている突起部596が空洞598から取り出され、キャップ602を基部604から取り外すことが可能となる。
【0250】
再充電型バッテリー37には充電用接触子49が設けられる。充電用接触子49の形状は、対応するプラグあるいはソケット(図示せず)と係合するソケットあるいはプラグ形状とすることができる。
【0251】
次に図63〜68において、フレーム組立系10(この図ではフレーム組立系の一部のみを見ることができる)には、殆どの場合フレーム10へ取り付けられた整形板及び覆いで見えなくなっている数個の取付けノード12が備えられている。取付けノード12aに用いられる締付具は好ましくは図1〜3に示されたタイプのものであり、また取付けノード12bに用いられる締付具は図5〜7示されたタイプのものである。
【0252】
個々の取付け方式は図64及び65に図示されており、ここでは荷箱14がフレーム組立系へ取り付けられる。荷箱14には取付けノード12へ挿入するための締付具16が2個備えられている。これら締付具16は好ましくは前記図14〜16に図示されたタイプのものである。図65は適所に固定して取り付けられた荷箱を示した図である。図65から理解されるように、締付具16は荷箱14の取付け後には見えなくなる。荷箱14は権限なく、また荷箱14へ損傷を与えることなく取り外すことは不可であり、これによって安全性が強化される。
【0253】
次に図66において、フレーム10には2種の取換え型シート18a及び18bを取り付けるための取付けノード12が備えられている。シート18aは一人用シートであるのに対し、シート18bは荷物キャリア20付の二人用シートである。この図から、本発明に従ったフレーム組立系は、オートバイへ適用される場合、多様な用途性をもつことが理解される。また、例えばツーリングを行う際、シート18aを取り外してシート18bに取り換えることが可能である。
【0254】
図68は適当な締付具(図示せず)を用いた風防ガラス22のフレーム組立系10への取付けを示した図である。風防ガラス22は必要のない時には取外し可能である。
【0255】
図68には、GPS装置24がハンドル23へ取付け可能に図示されている。また同図において、燃料充填機キャップ28を本発明によるフレーム組立系へ組み入れることも可能である。このような構成とすることにより、燃料キャップ28は許可なく、あるいは破壊することなく取り外しできなくなるため、燃料の盗難を防止することが可能となる。
【0256】
図69には、形状記憶合金ワイヤー40がエラストマー部材中に包含された状態で図示されている。図69におけるSMA(スマートメモリーアロイ)ワイヤー40は弛緩し、収縮していない状態にある。図70ではワイヤー40は収縮し、エラストマー部材144は縦方向へ圧迫された状態となっている。エラストマー部材144は図69に示した元の形状へ戻ろうとし続けている。その結果、ワイヤー40が必要な温度まで冷却されるや否や、ワイヤーは弛緩し、エラストマー部材144の作用下で図69に示した形状へと戻される。
【0257】
図71及び72に示す実施態様では、3本のSMAワイヤー40a、40b及び40cが用いられる。ワイヤー40a及び40bが加熱されて収縮すると、エラストマー部材144は図72に示すように左側へ湾曲する。ワイヤー40a及び40bが弛緩すると、元の形状へ戻ろうとする性質をもつエラストマー部材144によってワイヤー40a及び40bは図71に示した形状となるまで引っ張られる。
ワイヤー40cが活性化されると、エラストマー部材144は右側へ湾曲することが理解されるであろう。
【0258】
図73及び74では、SMAワイヤー40はエラストマー部材144の周囲に巻きつけられて螺旋状となっている。ワイヤー40が活性化されて収縮すると、エラストマー部材144は圧迫されて図74に示すような伸張された形状となる。エラストマー部材144の元の形状へ戻ろうとする性質によってワイヤー40が拡がるように付勢され、ワイヤー40が十分冷却された時、前記部材は図73に示した形状へ戻される。
【0259】
図75、76及び77では、SMAワイヤーによって一連の三角形の辺が形成されるように図示されている。同時に、これらワイヤーはエラストマー部材144の3次元体表面上に位置している。ワイヤー40が交代的に収縮するとエラストマー部材144の図77に矢印で示す方向への捻れがひき起こされる。この場合においても、エラストマー部材144の復元力によってその三次元体を元の形状へ戻すことが可能である。
ワイヤー40が同時に収縮すると、三次元体には図73及び74に示した実施態様と同様な伸張がひき起こされる。
【0260】
本発明が、その種々観点において、広範囲に及ぶ産業上の利用性をもち、締付具、締付装置、及び多分野に亘る産業において利用性をもつことは当業者に自明であろう。
【図面の簡単な説明】
【0261】
【図1】本発明の第一の観点に従った、噛合い位置にある締付具の側面図である。
【図2】噛合い解除位置にある状態の図1の締付具を示した図である。
【図3】図1及び2に示した締付具の背面図である。
【図4】図1、2及び3に示した締付具の実用用途における実施態様を示した図である。
【図5】本発明の第二の観点に従った締付装置の第一の実施態様の側面図である。
【図6】図5に示した締付装置が噛合い状態にある時の平面図である。
【図7】図5及び6に示した締付装置が噛合い解除状態にある時の平面図である。
【図8A】本発明の第二の観点に従った締付装置の第二の実施態様の分解組立図である。
【図8B】図8Aに示した第二の実施態様の変形の分解組立図である。
【図8C】図8Bに示した変形の半組立品を示した図である。
【図8D】噛合い状態にある図8Bに示した組立品の一部を示した図である。
【図8E】図8Dの線A−Aに沿った断面図である。
【図8F】図8Dに類似するが噛合い解除位置にある状態を示した断面図である。
【図8G】図8Fの線A−Aに沿った断面図である。
【図9】図8Aに示した実施態様の詳細拡大図である。
【図10】本発明の第二の観点に従った締付装置の第三の実施態様の上部平面図である。
【図11】ロック状態にある図10に示した締付装置の側方断面図である。
【図12】ロック解除状態にある図10及び11に示した締付装置の上部平面図である。
【図13】ロック解除状態にある図12に示したリングクリップ締付具の断面図であり、図11との比較に有用な図である。
【図14】本発明の第二の観点に従った締付装置のさらに別の実施態様である植込みボルト形締付具においてピンを開口中へ入れる前の状態を示した図である。
【図15】ロック位置にある図14の締付装置を示した図である。
【図16】ロック解除位置にある図14及び15の締付装置を示した図である。
【図17】本発明の第二の観点に従ったさらに別の実施態様である植込みボルト形締付具の第二の実施態様を示した分解組立図である。
【図18】図17に示した実施態様の変形の上面図である。
【図19】図18に示した線A−Aに沿って得られる図18に示した実施態様の断面図である。
【図20】植込みボルト形締付具の第三の実施態様の上面図である。
【図21】図20に示した線A−Aに沿って得られる図20に示した実施態様の断面図である。
【図22】本発明に従った植込みボルト形締付具タイプである締付装置の実施態様の上部平面図である。
【図23】ロック状態にある図22に示した締付具の断面図である。
【図24】図23と同一の断面図であるが、ピンが噛合っている状態を示した図である。
【図25】ロック解除状態にある図22の締付装置の断面図であり、図24との比較に有用な図である。
【図26】本発明に従った植込みボルト形締付具である締付装置のさらに別の実施態様の斜視図である。
【図27】後部キャップが取り外された状態にある図26に示した実施態様の底面図である。
【図28】ロック状態にある、ピンが取り外された図26の実施態様を示した図である。
【図29】ロック解除状態にある、ピンが取り外された図26の実施態様を示した図である。
【図30】ロック位置にある図26の実施態様の底面図である。
【図31】図30に示した線17−17に沿って得られる図30に示した締付組立品の断面図である。
【図32】ロック解除位置にある図26の実施態様の底面図である。
【図33】図32に示した線19−19に沿って得られる図30に示した締付具のロック解除位置にある時の断面図である。
【図34】本発明の第二の観点に従った締付装置に用いられる手動補助装置の平面図である。
【図35】図34に示した線20−20に沿って得られる図34に示した手動補助装置の側方断面図である。
【図36】ロック解除位置にある図34の手動補助装置を示した図である。
【図37】図36に示した線23−23に沿って得られる手動補助装置の側方断面図である。
【図38】本発明に従ったリンク型締付装置の斜視図である。
【図39】図38に示した締付装置の一方の拡大図である。
【図40】カバーが取り外された状態にある図39に示した締付装置のさらに別の拡大図である。
【図41】本発明に従った列状締付具タイプである締付装置のさらに別の実施態様のロック位置にある時の側方断面図及び張力低減組立品を示した図である。
【図42】図41に示した実施態様の上方断面図である。
【図43】図41に示した実施態様の左端部の拡大図である。
【図44】ロック解除位置を取った直後の状態にある図43の実施態様を示した図である。
【図45】引き出し手段が冷却中の状態にある図44の実施態様を示した図である。
【図46】開位置に完全にリセットされ、ロック位置へ直ぐに移動し、また必要であれば直ちにロック解除する状態にある図45の実施態様を示した図である。
【図47】自動車ドアに関して、本発明に従った締付装置をどうのようにして一般的な自動車CANネットワークへ統合できるかについての例を示した図である。
【図48】図47に示した装置の少なくとも一部を図式化して示した図である。
【図49】図47及び48に例示されたネットワーク概念を多くの自動車部品へ拡大できるかについて示した図である。
【図50】図48に類似する図であるが、本発明に従った締付装置の機能の拡大例を示した図である。
【図51】本発明に従った締付装置の自動車における構成例を示した図である。
【図52】ロック解除位置にある本発明の第三の観点に従った締付装置の第一の実施態様の断面図である。
【図53】図52に含まれている掛け金の末端図である。
【図54】ロック位置にある図52に示した実施態様の断面図である。
【図55】図54に示された線4−4に沿って得られる図54に示した実施態様の末端図である。
【図56】本発明の第三の観点に従った締付装置の第二の実施態様の側方断面図である。
【図57】手動補助装置を示す、本発明の第三の観点に従った締付装置の第三の実施態様の側方断面図である。
【図58】ロック位置にある、本発明の第四の観点に従った締付装置の一実施態様の断面図である。
【図59】猶ロック状態にある図58に示した実施態様の側方断面図である。
【図60】図58に対応する断面図であるが、ロック解除状態にある締付装置を示した図である。
【図61】図59に対応する図であるが、ロック解除状態にある締付装置を示した図である。
【図62】本発明の第四の観点に従った締付装置の第二の実施態様の断面図である。
【図63】数個の取付けノードの位置が概略的に示された本発明の第五の観点が組み入れられたオートバイのスケッチである。
【図64】荷箱の取り付けに関して図63のオートバイの後部を示した図である。
【図65】荷箱が適所に取り付けられた図64に類似した図である。
【図66】別の形状のシートの取り付け状態を示す、図64及び65に類似した図である。
【図67】風防ガラスの取り付けあるいは取外しを示すために図63のオートバイの前部を示した図である。
【図68】GPS装置及び燃料タンク用の取付けノードを示すために図63のオートバイの前部を示した図である。
【図69】本発明の第六の観点に従った第一の実施態様を示した図である。
【図70】本発明の第六の観点に従った第一の実施態様を示した図である。
【図71】本発明の第六の観点に従った第二の実施態様を示した図である。
【図72】本発明の第六の観点に従った第二の実施態様を示した図である。
【図73】本発明の第六の観点に従った第三の実施態様を示した図である。
【図74】本発明の第六の観点に従った第三の実施態様を示した図である。
【図75】本発明の第六の観点に従った第四の実施態様を示した図である。
【図76】本発明の第六の観点に従った第四の実施態様を示した図である。
【図77】本発明の第六の観点に従った第四の実施態様を示した図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、締付具及び改良型フレーム組立系を含むその他組立品に関する。
本発明は、以下における記載から明らかとなるように、種々観点から成り、またその用途は広範囲に及ぶ。
【背景技術】
【0002】
本発明には、広範囲に亘る締付具、締付装置、締付具組立品、及び関連分野が包含されている。すなわち、本発明は従来技術による締付具及び締付装置等の改良品に関する。
【0003】
以下に記載する本発明の種々観点においては、活性化された際に収縮するようになっている材料について言及されている。
【0004】
前記活性化された際に収縮するようになっている部材は、好ましくは形状記憶合金ワイヤーである。形状記憶合金は公知であり、一般的には主としてあるいは全くチタン及びニッケルから成る。これら合金には、アルミニウム、亜鉛及び銅等の他の材料が含まれていてもよい。形状記憶合金は一定の転移温度以下において一形状を成し、そして該合金の温度が前記転移温度を超えると第二の形状へと変化し得る。また形状記憶合金は、その温度が逆に前記転移温度以下まで冷えると、再び元の形状へと戻ることが可能である。本発明の種々観点において、形状記憶合金は現場で加熱される際に締まる特性をもつ。Nitinolの登録商標名で販売されている合金等の現在入手可能な形状記憶合金は、加熱によって活性化される際に約3%収縮可能である。
【0005】
前記活性化された際に収縮するようになっている材料の活性化は、好ましくは組立品へ配されたワイヤーを用いた電気抵抗加熱によって遂行される。形状記憶合金ワイヤーの活性化は、例えば航空機あるいは自動車のワイヤーシステムを用いて中心部位から開始可能である。また、前記活性化をマイクロ波、電磁波、音波、赤外線、高周波等の適当なエネルギー形態を介して操作する携帯型機器等の遠隔操作手段によって開始することも本発明の範囲内に含まれる。
【0006】
種々観点において構成された本発明の範囲は必ずしも形状記憶合金の使用に限られず、他材料を有効に用いることも可能である。また、前記活性化は加熱を介して為されるが、本発明に適する他の手段を用いて活性化を行ってもよく、これら手段も本発明の範囲内に含まれる。
【0007】
本発明に従った締付具及び締付装置は自動車関連における利用に特に適するため、以下における説明はある程度この用途分野へ焦点を合わせて為されている。しかしながら、本発明範囲はこの用途分野へ限定されないことが理解されるべきである。
【0008】
自動車において電子制御が増加する著しい傾向がある。今日、多数の自動車には、モジュールによってデータがバスを介してコンピュータ、あるいは同じくバスを介してデータ交信を可能とするローカル相互結合網(local internet network:LIN)へ交信される制御装置エリアネットワーク(Controller Area Network:CAN)を用いるコンピュータシステムが組み込まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、その多くの観点のいくつかにおいて、自動車における電子制御の増加傾向に便宜を与えることを意図している。本発明では、自動車への利用に適し、かつ自動車の組立及び点検修理に関連して重要な有利性を提供できる数種の締付具が提供される。本発明に従った締付具は、特にCANあるいはLINを介する自動車コンピュータへの接続に適する。
【0010】
本発明に従った締付具及び締付装置を、例えば自動車組立あるいは点検修理に従事する者等の権限を有する者だけによって操作されるように設計可能である。また、自動車のオーナーだけによって操作されるように設計することも可能である。
【0011】
適切な構成において、本発明に従ったいずれの締付具及び締付装置にも主機能及び副機能が備えられる。主機能は自動車車体への部品の取り付けであり、また副機能は部品交換の制御である。本発明に従った締付装置を用いることにより、例えば、CANバスへの直接接続を通して、自動車に必要とされるサブネットワーク配線部品の個数を減らすことが可能となる。各締付具は、実質的にCANバス上においてそれ自体の多重モジュール/交信ゲートウェイあるいは接続ノード(node)となることが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、その第一の観点において、国際特許出願No.PCT/AU03/00759(新規なビーム締付具)に開示された締付具の変形となる締付具を提供する。この新規ビーム締付具には作動手段が活性化された時に噛合い位置と噛合い解除位置との間を移動できる可撓性ビームが備えられている。前記作動手段には活性化に際して収縮するようになっている形状記憶合金等の材料が含まれている。本発明の第一の観点に従った締付具においては、ビームはもはや可撓性である必要はない。従って、本発明は、その第一の観点において、
(a)ビーム、ビームの1側に位置した噛合い手段、基部及び前記ビームから離れた可撓点を備える締付素子、及び
(b)前記締付素子へ取り付けられ、かつ活性化される際に収縮するようになっている材料が含まれる作動手段を備え、
前記材料が収縮する際に、前記ビームが噛合い位置と噛合い解除位置との間を移動可能であること、及び前記基部は可撓点によって連結される第一アーム及び第二アームを備え、前記ビームは第一アームの一端に位置し、前記可撓点は前記ビームの、噛合い手段と同じ側に位置することを特徴とする締付具を提供する。
【0013】
本発明の第一の観点に従った締付具は、前記材料が収縮する際に締付素子が可撓点の周りで曲がりあるいは移動し、さらに噛合い手段が噛合い位置から引き出されるように設計される。この締付具は、ビームが曲がることによって噛合い手段の噛合い解除が可能となることが不要であるから、国際特許出願No.PCT/AU03/00759に開示された締付具とは異なるものである。
【0014】
本発明の第一の観点に従った締付具は、プラスチックあるいは金属を含む適切な材料から作製可能である。なお、締付具を混合材料から作製することも可能である。
【0015】
前記ビームの引張強度は、締付具が実用上の荷重に対し締め付け可能となるように十分に高くなければならない。前記ビーム材料は、好ましくは所望回数のロック/ロック解除サイクル可能とする十分な疲労強度を有する。
【0016】
前記噛合い手段は、好ましくは素子の壁中の対応する窪みへ適合可能な突き出した楔形状とされる。また、他の形状とすることも可能である。例えば、前記噛合い手段は締め金手段、フック上への掛け金棒、あるいはペグ等の突起物上へ掛けられる開口であってもよい。また、前記噛合い手段は適当な窪み中に嵌合するビーム上のあり継ぎ形状であってもよい。本発明に従った締付具を例えば同一タイプの締付具と噛合わせることも可能である。
【0017】
活性化された際に収縮するようになっている前記材料は、好ましくは上述したように形状記憶合金である。好ましくは、前記形状記憶材料は、電流形態での十分なエネルギーが印加される時に該材料が約4〜5%収縮する温度まで、あるいはその温度以上まで熱くなるチタン・ニッケルワイヤーである。以下における図面に関する説明から分かるように、所定レベル以上の熱を発生させるため電気エネルギー等のエネルギーを加えた際、ビームを第一素子が第二素子へ締め付けられた噛合い位置から離れるように移動させてそれら素子の締め付けを解くことが可能である。逆に、形状記憶材料が転移温度以下まで冷却された場合、いくつかの実施態様において、ビームに噛合い位置の役割を担わせて前記素子を再度締め付けることが可能である。
【0018】
前記可撓点は、締付具の作用力の配列が改善され及びその保持強度が増大されるように、好ましくは噛合い手段の前方へ配置される。かかる配置の例は添付図面に示されている。
【0019】
好ましくは、前記活性化された際に収縮するようになっている材料はビーム中の1または2以上の溝中に含まれる。このように溝中に配置させることにより、該材料が物理的に保護されると共に加熱/冷却回数を減ずることが可能となる。また、周辺温度による影響を減じ、かつビーム強度を増大させることも可能となる。また、ビームを所望の期間に亘って噛合い位置に保持することも可能となる。これを「保持」状態と考えることができる。かかる保持状態は、ビームを噛合い位置から噛合い解除位置まで移動させるために要する作用力よりも小さな作用力を用いて確立することができる。この保持状態は、前記活性化された際に収縮するようになっている材料をビーム中の溝中に保持して該材料を隔離することによって達成される。
【0020】
さらに好ましくは、締付具を噛合い位置へ付勢する付勢手段が設けられる。かかる付勢手段の非限定的例として、好ましくは金属から成るばねが挙げられる。かかる付勢手段によって、前記材料が冷却されて弛緩するや否や該材料は外へ引っ張られる。また、締付素子がプラスチック製である場合には、前記付勢手段によって締付素子中にクリープ変形が生ずる可能性が大幅に減じられる。
【0021】
前記ビームは曲げられる必要がないため、それを厚く作製してより強度を高めることが可能である。ビームは、機械加工、鋳造、成形、あるいはいずれか所望の方法によって作製可能である。
【0022】
噛合い手段による噛合いの対象となる手段はいずれか適する形態を採るこができる。既にいくつか述べたように、この手段は例えばスナップ手段の一部、フック、ペグ、窪み、あるいは締付具と同一形態とすることができる。例えば締付具が自動車の車体へ燃料充填扉を締め付けるために用いられる場合、噛合い手段による噛合い対象となる手段は好ましくは前記扉上の開口である。
【0023】
この例では、作動手段は好ましくは車両のダッシュボード上に位置する適当なスイッチを介して作動されるか、あるいは車両キーから発せられる信号を介して作動される。後者の場合、運転者は車両から出る前に燃料充填扉を作動させることを思い起こす必要がなく、運転者にとっては車両キーを燃料ポンプへ持っていって車両の側で燃料充填扉を開けることだけが必要とされる点で便利である。
【0024】
本発明のこの第一の観点に従った締付具は「インテリジェント」型であってもよく、あるいはそうでなくともよい。また、この締付具をアドレス呼び出し可能とすることも可能である。また、この締付具をネットワークの一部として組み入れることも可能である。この締付具に切換性能を持たせることもでき、またセンサを備えてもよい。これら及び他の構成に関する情報は国際特許出願No.PCT/AU03/00759に含まれており、それら情報の内容は本願中に参照として取り入れられている。PCT/AU03/00759に記載されたあらゆる適用可能な特徴は本発明の第一の観点に従った締付具へも適用される。
【0025】
本発明の特に好ましい実施態様においては、締付具には1または2以上の役割を果たすことができるマイクロプロセッサが装入される。マイクロプロセッサは好ましくは温度依存的アルゴリズムを用いて形状記憶合金ワイヤーへのエネルギー供給を制御することができる。すなわち、マイクロプロセッサによって形状記憶合金ワイヤーの温度を制御することができる。また、マイクロプロセッサによって締付具の状態及びそれが噛合っているか否かを検知することが可能である。マイクロプロセッサは検知した情報を二次的検知情報と共に締付具が一部を形成するネットワークへ報告することができる。好ましくは、マイクロプロセッサによってこれらすべての役割が果たされる。これらに関するより詳細な説明は本発明の第二の観点に関する説明において述べる。
【0026】
第二の観点において、本発明により広範囲に亘って適用可能な締付装置が提供される。リングクリップ締付具として以下に記載されている一実施態様は、自動車あるいは家具等用の保持パネル中の複数の取り付け箇所に適合するように開発されたものである。但し本観点における締付装置はこのような適用に限定されない。
【0027】
別の実施態様において、本発明の第二の観点に従った締付装置が特に頑丈な高磨耗用途に開発されている。植込みボルト形締付具と言ってもよいこの締付装置は、強靭であり、また例えば車両への固定装置等の高荷重でも支えることが可能である。しかしながら、この実施態様における締付装置は前記パラメータに限定されないことが理解されるべきである。植込みボルト形締付具は他の多くの用途において有用である。植込みボルト形締付具は、例えばドアフレームに取り付けられ、ピンあるいは鋲がドアで受け入れられるようなドアを閉じる用途に利用可能である。
【0028】
また別の実施態様において、本発明に従った締付装置は「列状」締付具として利用可能である。
【0029】
従って、この第二の観点において、本発明は、
ロック空洞を有するピン、
前記ピンを受け止める開口、
前記ピンが前記開口中へ受け止められた時に該ピンのロック空洞と噛合うようになっているロック手段、及び
活性化された際に収縮する材料が含まれるロック解除手段を備えて構成され、
前記ロック手段に、前記材料が収縮する際にロック空洞をロック解除するようになっている噛合い手段が含まれることを特徴とする解除可能な締付装置を提供する。
【0030】
前記ピンは広範囲のものから適切な形状を選択することができる。一例として、断面がほぼ円形で基部に向かって先細になっているピンを用いることができる。ピンは、鋲、ペグ、ボルト、あるいはいずれか他の適する素子であってもよい。ピンは締め付けられる素子と一体に作製するか、あるいは素子へ取り付けることが可能である。この取付けには接着、クリップ留め、あるいは他の適当な手段を用いることができる。
【0031】
前記活性化された際に収縮するようになっている部材は好ましくは噛合い手段へ取り付けられ、活性化されるとロック空洞との噛合いから外れてピンの解除が可能となる。
【0032】
前記活性化された際に収縮するようになっている部材は好ましくは前述したように形状記憶合金ワイヤーである。
【0033】
前記ロック空洞はいかなる形状であってもよいが、好ましくは1または2以上の凹みまたは溝である。溝である場合、ロック手段がその溝の一部あるいは全部へ受け止められるようになっている。
【0034】
前記開口は、好ましくはロック手段及びロック解除手段を収容できる本体部中の中心に形成される。この開口はピンの断面形状と同一の形状、例えば円形を呈している。なお、開口はいずれか他の適当な形状であってもよい。
【0035】
ピンが先細形状体を備えるように構成される場合、該ピンを開口中へ押し込んで前記材料の活性化を全く必要とせずに噛合わせることが可能である。前記ピン上の先細形状体は、それが溝等のロック空洞中へ入って閉じるまでロック手段を押し離す傾斜部として機能することができる。かかる構成によって締付装置の噛合いが行われる。締付装置を噛合い解除させるためには、前記材料が収縮してロック手段を溝との噛合いから引き出すように該材料を活性化させることが必要である。例えば、ロック手段がクリップである場合、形状記憶合金ワイヤーのループの一端をクリップの一方のアームへ締め付け、別のループの一端をクリップの他方のアームへ取り付けて、該クリップを1または2以上の前記ループで取り囲むことができる。
【0036】
前記ロック手段には前記材料が収縮する際にロック空洞との噛合いを解くようになっている噛合い手段が備えられ、あるいは前記ロック手段はそのような噛合い手段から成る。一実施態様において、この噛合い手段はクリップである。また別の実施態様においてこの噛合い手段は1または複数の歯状体等の素子である。但し、本発明はこのような実施態様に限定されない。
【0037】
前記噛合い手段にクリップが備えられ、あるいは該手段がクリップから成る場合、該クリップはいかなる形状であってもよいが、好ましくはそれぞれロック空洞との噛合いから引き離すことができるアームのついたつば、付勢スプリング、あるいは弾性止め座金である。前記クリップは一般的には溝形状(例えば弾性止め座金)とされるが、U形形状等の他の適する形状としてもよい。
【0038】
上記したように前記ロック手段を前記クリップで作製できるが、該ロック手段には他の素子、例えばクリップシャシーが備えられてもよい。クリップシャシーはクリップの担持及びロック解除手段の操作の容易化を行うのに好都合である。例えば、クリップをクリップシャシー中あるいはその上へ取り付け、及び形状記憶合金ワイヤーの1または2以上のループ等のロック解除手段を該クリップシャシーへ連結させることができる。このような例においては、形状記憶合金が収縮する際、その収縮によってクリップシャシーが開かれてクリップのアームが離されることによりクリップが溝との噛合いから外れて移動する。クリップシャシーは、この過程において開けるように蝶番式に取り付けられてもよい。
【0039】
別の実施態様において、スプリング等の付勢手段を備えるクリップシャシーを単独で用いて該クリップシャシーを噛合い位置へ付勢させることも可能である。
【0040】
すべての実施態様において、前記クリップは好ましくは前記噛合い配置の方へ付勢される。これにより、上述したようにピンが前記開口への入口でクリップを押し拡げるように形状化されているならば、ピンは材料の活性化を必要とせずに受動的に噛合えるようになる。前記クリップを付勢させることにより、形状記憶合金ワイヤー等が活性化された際に収縮するようになっている部材が冷え、あるいはそれ以上活性化されなくなった時に、該部材の収縮の解かれた形状あるいは細長い形状への戻りを補助することも可能である。
【0041】
前記噛合い手段に1または複数の歯状体等の素子が備えられ、あるいは該手段がそれらから成る場合、これら素子それぞれは好ましくは本実施態様においてはピン中の溝として構成されている前記ロック空洞中へ嵌合するように構成される。これら歯状体等の素子は好ましくは複数設けられる。
【0042】
本実施態様において、前記歯状体は好ましくはシャトル等の回転体によって取り囲まれる。このシャトルは歯状体が溝に噛合う噛合い位置及び歯状体が溝から噛合いを解く噛合い解除位置まで回転可能である。
【0043】
特に好ましい実施態様において、前記シャトルには、ロック解除位置において噛合い手段を中へ受け止めることができる1または2以上の開口あるいは空間が設けられる。歯状体等の噛合い手段がこれら開口あるいは空間中に受け止められない場合は、シャトルは噛合い手段をロック空洞中、従ってロック位置へ押し込むように構成される。
【0044】
別の実施態様において、前記シャトルに、噛合い手段に噛合い、該シャトルがロック解除位置まで回転された時にロック空洞との噛合いからそれらを引き離すようになっている手段を備え、あるいは前記シャトルを該手段と連結させることが可能である。
【0045】
シャトルは、活性化された際に収縮するようになっている部材が含まれるロック手段によって回転される。本発明の第一の観点において上記したように、この部材は好ましくは形状記憶合金ワイヤーである。さらに好ましくは、締付装置本体部内で回転可能なシャトル周囲へ形状記憶合金が巻き付けられる。この実施態様においては、形状記憶合金の一端はシャトルへ取り付けられ、他端は締付具の非回転部分へ取り付けられる。形状記憶合金へ必要な温度まで達するように適当なエネルギーが加えられた時、シャトルはロック位置からロック解除位置まで回転することができる。また、第二の形状記憶合金ワイヤーを同様にシャトルへ連結してシャトルをロック解除位置からロック位置まで回転させることが可能である。
【0046】
特に好ましくは、本発明の第二の観点に従った締付解除可能な締付装置に格納式キャップを備えて、ピンが前記空洞中に挿入されていない時の該装置の外観が平滑にされる。かかる構成の例については、あとで図面と関連させて説明する。前記空洞開口へ向かって付勢されるスプリングである格納式キャップが備えられる場合、ピンが前記空洞中へ挿入される時、該キャップはピンによってさらに前記空洞中へ押し込まれる。本実施態様では使用時以外は視覚的にでこぼこがなく滑らかな装置完成品が得られる。
【0047】
また好ましくは、前記格納式キャップには、使用に際して、ピンと同様に第一噛合い手段が備えられる。かかる方式により、キャップがロック手段によってロックされあるいはロック解除される限り、格納式キャップを本発明の第二の観点に従った締付解除可能な締付装置においてピンと同じ方式で作動させることができる。この実施態様が用いられる場合には、キャップを前記空洞から引き出せるようし、及び/またはキャップがロック解除されていることの何らかの表示を与えることができる手段を備えることが必要である。
【0048】
この第二の観点に従った締付装置の変形として、前記空洞中のピン及びコアへ、締付解除可能な締付装置への動力及びデータ接続のための導体、あるいは他の材料、例えば液体、ガス用の導管を備えることも可能である。かかる構成により、例えばオートバイ用の動力源へ接続される例えばGPS装置への適合が可能となる。
【0049】
上述したように、本発明の第二の観点に従った締付装置は、高負荷及び高使用頻度に対して強靭であるように構成可能である。この締付装置へ格納式キャップあるいはばね仕掛けのカバーを備えることにより該装置を耐塵性かつ耐水性とすることができる。この締付装置は、ピンを前記空洞中へ挿入して、収縮性材料の活性化を全く必要とせずに噛合わせ可能に設計されている。しかしながら、本装置については、噛合い解除されるためには収縮性材料が活性化されなければならない。
【0050】
また、第二の観点における本発明は、先の観点の少なくともいくつかの場合がそうであったような「随時挿入」を提供できるものではない。本発明の第二の観点に従った締付装置では、ピンが前記空洞中へ挿入される前に、ロック手段が完全に噛合い解除されることが必要とされる。
【0051】
上記における開示は第二の観点における本発明の実施態様である。これらの実施態様は、リングクリップ締付具及び植込みボルト形締付具と呼ばれる。本発明の第二の観点における発明では、「列状」締付具として知られる第三のタイプの締付具も提供可能である。この種の締付具は、錠、掛け金、クロージャー等に有用である。この締付具は、例えば厚さが15〜20mmのような、狭い寸法を少なくとも1つもつ素子内に十分隠蔽できるほど薄い側面から成るように作製可能である。
【0052】
本発明の第二の観点に従った締付装置を「列状」締付具として用いる場合、前記ロック空洞は好ましくは前記噛合い手段によって噛合い可能な1または2以上の凹みである。列状締付具として使用するためには、締付装置は好ましくはパネル中へ挿入できる箱内に入れられる。噛合い手段は好ましく一対の掛け金アームとされる。好ましくは、ロック手段には中に掛け金アームが全体的に受け入れられるスライド可能なシャトルも備えられる。好ましい実施態様において、ロック手段には、ロック位置にある掛け金アームを取り巻き、かつ掛け金アームを掛け金、棒、突出物等とロック接触状態に保持するようになっている一対のアームが備えられる。この実施態様では、シャトルを掛け金アームから引き出すことにより、掛け金アームが掛け金、棒、突出物等との接触状態から離れることができるように設計されている。
【0053】
噛合い手段には好ましくはさらに、材料の活性化後に締付装置の迅速なリセットを容易にするためのつめが備えられる。このような実施態様において、本発明に係る締付装置では連続するロック解除作動及びロック作動間の不要な遅延を取り除くことが可能である。また、迅速なロック後にロック解除が後続することが望まれない場合には、選択によりこのような機能性を無効にすることも可能である。
【0054】
好ましくは、本発明に従った締付装置には、締付装置のロック状態あるいはロック解除状態を表示する手段が備えられる。非限定的例として、かかる表示手段はシャトルあるいはその拡張部と接触状態にあるマイクロスイッチによって作動される。締付装置のロックあるいはロック解除状態に関する情報は、便宜のよい位置に配置された光表示器あるいは類似の表示装置へ伝達される。
【0055】
本発明の締付装置中に配置されるコイルスプリングによってシャトル等のロック手段がロック位置の方へ促されるように、噛合い手段は好ましくは該スプリングによって好ましくはロック位置の方へ付勢される。前記材料が活性化されると、それによって前記スプリングの圧縮がひき起こされるが、その結果として、前記材料の活性化がそれ以上起こらなくなるや否や、ロック手段をロック位置の方へ戻すことが可能となる。
【0056】
好ましくは、本発明に従った締付装置にはさらに、前記つめへ取り付けられるスプリング、及び掛け金、棒、あるいは突起を押し出すためのスプリング等の付加的付勢手段が備えられる。
【0057】
Nitinol(登録商標)で販売されているもの等の現在入手可能な形状記憶合金ワイヤーは加熱によって活性化される際に約3%収縮可能である。従って、噛合い手段をロック位置からロック解除位置まで引っ張って十分移動させるために引っ張り手段へ単一の比較的長い二重線から成るNitinol(登録商標)ワイヤーを含ませることができ、このように構成された締付装置は「列状」締付装置と呼ばれる。かかる構成とすることにより、上述したようにパネル及び同様な素子中へ嵌合させる目的で、締付装置の側面を薄く作製することが可能である。
【0058】
別の実施態様において、特に側面が薄いことが重要でない場合、あるいはより大きな移動が望まれる状況下では、非直線状の通路上へNitinol(登録商標)ワイヤーを設けることが可能である。これにより、本発明に従った締付装置を上述した列形締付装置に比較してより小型に形状化し得る効果が得られる。さらに、例えば非直線状通路中におけるNitinol(登録商標)ワイヤーの長さが200mm前後である場合、現在入手可能な状態でのNitinol(登録商標)の収縮量は約6mmである。非直線状通路中において、Nitinol(登録商標)ワイヤーは好ましくはスピンドルあるいはローラー上で輪を形成する。
【0059】
前記活性化される際に収縮するようになっている材料の活性化は、好ましくは締付装置へ採用されたワイヤーを用いて電気抵抗加熱を通して遂行される。
【0060】
本発明に従った締付装置においては他にも種々の取捨選択を行うことが可能である。かかる取捨選択の一つとして、本発明に従った締付装置を例えば航空機の電気系統へ配線して、温度変化、例えば危険なほどの高温を検知して適切な警報を発する構成がある。本発明に従った締付装置へ他の検知機能を組み入れることも可能である。
【0061】
本発明に従った締付装置には、形状記憶合金ワイヤー等の複数の部材を含めることが可能である。これにより、形状記憶合金ワイヤー1種による装置の運転に支障が生じても、他のあるいは別のワイヤーを活性化できるように冗長性を付与することが可能である。
【0062】
本発明に従った締付装置はモジュール方式に構成可能である。例えば、噛合い手段を1個のモジュールとし、材料の方は他のモジュールとすることが可能である。これにより、本発明による締付装置中において異なるタイプの噛合い手段を交換できるようにしたり、あるいは例えば単一の形状記憶合金ワイヤーを複数ストランドのワイヤーと取り替えられるような互換性が付与される。
【0063】
本発明に従った締付装置は、好ましくはパネルあるいはドア等の中へ接着あるいは嵌合可能なハウジング中へ封入される。このように配置することにより、補助的な電磁保護を行えるようになり、締付装置の別のものとの交換が容易となり、また締付装置の調整をその周囲内においてより適切に行うことが可能となる。このことは、本発明による締付装置に本願において説明される手動解除装置が含まれている場合には特に重要である。また、上記配置により、状態(ロックまたはロック解除)表示器を手動解除に利用可能な同一の開口から見ることも可能となる。
【0064】
現在の航空機設計においては、殆んどの締付具はドア、パネル等の後部へ隠れるように設計されている。隠れた締付具の手動解除は一般的であるため、ドア、パネル等の乗員室側から見える小さな開口を通して工具が挿入される。本発明によれば、所望される時に手動解除が行える締付装置が提供されることが理解されよう。
【0065】
好ましくは、本発明に従った締付装置には、該締付装置がロック状態にあるかロック解除状態にあるかに拘らず、ピンが該装置中にあるかどうかを検出する1または2以上のセンサが備えられる。また、本発明の第二の観点に従った締付装置には、好ましくは締付装置がロック状態にあるかあるいはロック解除状態ロック状態にあるかをレポートできるロック状態センサも備えられる。このようなセンサはリードスイッチとして働くことができるので、例えばこれらセンサ間で交信が行われた時に、締付装置の構造次第であるが、締付装置がロック状態にあるかあるいはロック解除状態にあるかについてのレポートが生成される。前記ロック状態センサは電気回路の完成によっても作動可能である。また、他の構成及び検知手段を適用することも可能である。
【0066】
本発明に従った締付装置へ、好ましい実施態様において形状記憶合金ワイヤーの温度を感知する温度センサを備えることも可能である。これにより、感知した温度に基づき種々条件を考慮しながら形状記憶合金ワイヤーへ印加されるエネルギー量を調ノードすることができる。例えば、温度が比較的低い場合、より多量の電力が形状記憶合金ワイヤーへ加えられ、該ワイヤーは所望の温度まで加熱される。逆に温度が高ければ、形状記憶合金ワイヤーを収縮させるために該ワイヤーへ加えられる電力量が大幅に低減される。温度センサはフィードバック操作を可能とし、この操作において電力供給を調ノードすることができる。
【0067】
特に好ましい実施態様において、本発明の締付装置には1またはいくつかの役割を果たすマイクロプロセッサが備えられる。このマイクロプロセッサは、特に温度依存的アルゴリズムを用いて形状記憶合金ワイヤーへの電力供給の調ノードが可能である。このようにして形状記憶合金ワイヤーの温度がマイクロプロセッサによって調ノードされる。このマイクロプロセッサによって締付装置の状態や、それが噛合い状態にあるか否かを検知することが可能である。また、このマイクロプロセッサによって、ピンが締付装置中にあるか否かも検出可能である。マイクロプロセッサはその結果を二次検知情報と共に該マイクロプロセッサがその一部を成しているネットワークへレポートすることができる。好ましくは、マイクロプロセッサによって上記すべての役割が果たされる。
【0068】
本発明の第二の観点に従った締付装置には、好ましくは該締付装置をロック状態へ付勢するスプリング等の付勢手段も備えられる。また本発明に従った締付装置には、好ましくは、噛合い手段がロック空洞とそれ以上噛合わなくなった時にピンあるいはスタッドの放出を補助するエゼクタースプリングも備えられる。
【0069】
本発明による締付装置は、低コストで、最少個数の部品を用いて、極めて小型に製造可能である。この締付装置は高容積大量生産に適し、また薄い形状記憶合金ワイヤーが使用される場合には低電力消費型となるように設計可能である。
【0070】
一変形例として、例えば自動車の内装パネルあるいはドア外装の固定に特に適するように、締付装置をリンググリップあるいはクリップ形態に作製することができる。
【0071】
本発明の第二の観点に従った締付装置の締付機能は第一機能であると考えられる。前記締付装置には第二の機能があり、この機能によって簡単な部品交換が制御される。その一例として、自動車ドア中のウインドモータ制御がある。これに関連して、解除可能な締付装置を用いて自動車ドア内張り等の部品を自動車ドア自体等の第二部品へ連結することが可能である。その代替として、あるいはそれに加えて、解除可能な締付装置は、例えばウインドモータ、ドアロック装置、ヘッドライト等の操作に連携するスイッチとして機能させるためにも用いられる。本発明による解除可能な締付装置によれば上記双方の機能が果たされる。
【0072】
また任意であるが、本発明の第二の観点に従った締付装置には、例えば電力故障がある場合でも締付装置を解除できるように、あるいは電力接続前に締付装置のテストが必要とされる時のために、手動補助装置が設けられる。
【0073】
本発明の締付装置には、その種々実施態様において手動補助装置を含ませることが可能である。いくつかの実施例を図面に示した。リンググリップを用いる実施態様においては、手動補助装置へスロットを設け、そのスロット中へ適当な工具を通して円形クリップ等の噛合い手段をこじ開けて離すことができる。植込みボルト形締付具を用いる実施態様では、シャトルがある場合、手動補助装置を用いてシャトルをロック解除位置まで回転させることができる。手動補助装置の一変形例によって本発明の第三の観点が構成される。
【0074】
すなわち、本発明はその第三の観点において、
シャトルをロック位置からロック解除位置まで移動させるようになっている手動作動装置、及び
シャトルがロック解除位置へ移動するように前記手動作動装置を引き出す手段を備えて構成される、本発明の第二の観点に従った植込みボルト形締付具用、あるいはロック位置とロック解除位置間を移動可能なシャトルを備えるいずれか他の適当な締付具用の手動補助装置が提供される。
【0075】
好ましくは、前記シャトルがロック解除位置へ移動するように手動作動装置を引き出す手段は前記手動作動装置へ連結されたロッドから成るか、あるいは該ロッドを備える。例えば、前記ロッドへ、手動作動装置へ旋回可能に連結された突起部を設けてもよい。前記ロッドが所望の方向へ引っ張られると、手動作動装置は、該ロッド上の突起部を介してその連結部を通ってシャトルがロック解除位置まで移動する位置まで移動される。好ましくは、この目的のため、手動作動装置はシャトルへ機械的に連結される。
【0076】
安全のため、前記引き出し手段は好ましくはロック解除位置から離れるように付勢されていることが望ましい。例えば、前記引き出し手段にロッドが含まれる場合、該ロッドはスプリングに対抗して引っ張られる必要がある。偶発的あるいは不注意による解除をさらに防止するため、前記引き出し手段へ保持手段と噛合う手段を含ませることも可能である。これは、手動補助装置が作動される前に引き出し手段が必ず慎重に保持手段から噛合い解除されることを確実にするためである。これらの安全方式の双方を採ることにより、例えば振動によって偶発的な手動解除が起こらないように確保する補助的役割が果たされる。
前記引き出し手段は、ボーデン(Bowden)ケーブルを含め、いずれか他の適当な形態を採ることもできる。
【0077】
いくつかの締付具においては、手動補助装置を介して解除されることが必要とされる。従って、本発明のこの第三の観点に従った手動補助装置は、同時に2以上の締付具を手動で解除するように適合可能である。好ましくは、かかる適合化は第一締付装置用の手動作動装置を第二締付装置用の手動作動装置と、さらに任意であるが第三及び後続する締付具と連結することによって遂行される。なお、これらの連結は、好ましくは連結ロッドを用いて実施される。
【0078】
本発明はその第四の観点において、第一締付システムが第二締付システムへ連動連結された締付システムを提供する。前記第一及び第二締付システムは、作動された際に収縮するようになっている手段と連携して締付解除を行うようになっており、及び前記連動は、
(a)第一締付システムにおいて前記作動された際に収縮するようになっている手段の作動、
(b)第二締付システムにおいて前記作動された際に収縮するようになっている手段の作動、
(c)第一及び第二締付システム双方における前記作動された際に収縮するようになっている手段の作動、及び
(d)手動補助装置の操作、のいずれかによって第一及び第二締付システムをロック解除位置へ移動させるように構成されている。
【0079】
前記2以上の締付装置は本発明の第四の観点に従ってロック解除されることが理解されるべきである。好ましくは、連動されている締付装置のいずれかが故障した場合に、2以上の連動された締付装置の1台によって連動された締付装置のすべての連動を解除することが十分可能である。通常の方法で連動された締付装置のいずれかを作動させる電力がない場合には、手動補助装置を用いてすべての締付装置を解除することが可能である。
【0080】
締付装置は、本願開示の締付具あるいは締付装置のいずれかから、あるいはいずれか他の適する締付具あるいは締付装置から選択可能である。
【0081】
本発明は、さらに別の観点において、
ロック位置とロック解除位置間を移動可能な、掛け金手段及びロック手段を含む噛合い手段、
前記噛合い手段を前記ロック位置の方へ促す付勢手段、及び
前記噛合い手段を前記ロック位置からロック解除位置まで引き出し、かつ作動に際して収縮するようになっている材料から成るかあるいは該材料を含む手段、を備える締付具組立品を提供する。
【0082】
本発明による締付具組立品は、好ましくは、噛合い手段は別として、断面寸法が約10mmとなるようにできる限り小規模に作製可能である。このように小規模とするのは、本発明による締付具組立品を、厚さ約15〜20mmの航空機用パネル等のパネル中へ挿入可能とするためである。但し、本発明による締付具組立品を他用途に用いるため大規模に作製することも勿論可能である。
【0083】
前記噛合い手段の掛け金手段及びロック手段は所望されるいかなる構成を採ってもよい。添付図面にはその一例が図示されている。非限定的例として、掛け金手段には掛け金、棒、あるいは突起物と噛合える一対のアームあるいは顎部が備えられてもよい。他の構成とし得ることは当業者には自明である。
【0084】
本発明のこの観点と第二の観点には重複部分があることが理解されよう。特徴の多くが共通している。
【0085】
しかしながら、この第四の観点においては、前記噛合い手段には、クロージャーを圧迫し、該噛合い手段がロック位置にある時にクロージャーの該噛合い手段の方への移動を妨げる棒状体あるいは舌状体、あるいはロック位置において前記棒状体あるいは舌状体を中に入れることができる空洞が備えられていてもよい。他の構成については当業者には自明である。
【0086】
本発明による締付具組立品の用途として自動車の燃料充填機留め部材がある。本発明による締付具組立品を燃料充填機空洞内あるいはその近くに装備し、自動車外部からは隠蔽することができる。この実施態様において、噛合い手段には好ましくは噛合い手段がロック位置にある時に燃料充填機キャップの外れを防止する棒状体あるいは舌状体が設けられる。別態様として、噛合い手段を燃料充填機キャップ上の掛け金あるいは同様な部品と噛合わせて燃料充填機キャップを保持することも可能である。
【0087】
前記活性化された際に収縮するようになっているNitinol(登録商標)ワイヤー等の部材が所望の温度まで電気加熱されると、前記引き出し手段によって噛合い手段が燃料充填機キャップとの噛合いから引き外され、燃料充填機キャップの取外しが可能となる。噛合い手段はロック位置の方へ付勢されるため、一旦活性化された際に収縮するようになっている部材が例えば冷やされてそれ以上活性化されなくなると、燃料充填機キャップを噛合い手段と噛合うように押し戻すことが可能となる。
【0088】
本発明による締付具組立品へ活性化される際に収縮する1または2以上のNitinol(登録商標)ワイヤー等の付加的部材を備えて冗長性を組み入れることも可能である。複数のNitinil(登録商標)ワイヤーのいずれかが活性化される際に収縮できる筈であり、たとえワイヤーの一本に欠陥が生じても別のワイヤーによって引き出し手段中における必要な機能を果たすことが可能である。
【0089】
本発明による締付具組立品のいくつかの実施態様においては、前記引き出し手段は電子装置へ取り付けられる。このように構成された締付具組立品は第二機能として切換能をもつ締付具として利用される。例えば、本発明による締付装置を作動させて光を点灯あるいは消灯させることも可能である。このような操作は締付装置のロック/ロック解除機能と協調させて、あるいは単独で行うことが可能である。
【0090】
本発明による締付具組立品の一つの利用方法として、航空機内のドア等のクロージャー、典型例として箱あるいは戸棚の締め付けがある。本発明による締付装置を、噛合い手段がロック解除位置まで引かれた時にドアが開かれ、締付装置によって箱あるいは戸棚内の照明が点灯されるように構成可能である。同様に、噛合い手段がロック位置まで移動した時に、締付装置によって照明が消灯されるように構成可能である。
【0091】
別の実施態様においては、締付装置には(締付装置の配置箇所の内部あるいは外部の)光あるいは温度、あるいは締付具またはその周囲へ加えられる圧力を感知するセンサが含まれ、あるいは締付装置は該センサと連結される。光感知の場合、締付装置を感知される外部光量によって(例えば戸棚あるいは箱中の)照明を点灯あるいは消灯するようにプログラム化することが可能である。圧力感知の場合、締付装置へ加えられる圧力をセンサによって検出して、例えば締付装置が故障しかけている時に通報することが可能である。他の実施態様に構成できることも当業者には自明である。
【0092】
本発明による締付装置をいずれか所望される目的のため他の締付装置とネットワーク化し、特に一方の締付装置に故障が起こりあるいは過度の圧力が加えられた時に、ネットワーク中の別の締付装置によって補償することも可能である。
【0093】
本発明の次の観点では前記活性化された際に収縮するようになっている部材の損傷からの保護が取り扱われ、この観点は本発明による締付装置のみならず前記活性化された際に収縮するようになっている部材によって部品が引き抜かれるように求められる他の用途にも適用される。
【0094】
Nitinol(登録商標)等の材料はその組成によって定格される。例えば、330gのNitinol(登録商標)ワイヤーでは3.3ニュートンの引っ張り力が発揮される。このワイヤーが部品を引き抜くように形成され、この部品の移動が十分程度まで妨げられると、Nitinol(登録商標)ワイヤーは例えば9ニュートンに達する引っ張り力をさらに発揮することができる。しかしながら、このような強い引っ張り力段階ではNtinil(登録商標)ワイヤーが損傷する危険性がある。本発明の次の観点においては、このような損傷の防止あるいは改良が目的とされている。
【0095】
すなわち、本発明はさらに別の観点として、
活性化された際に収縮するようになっている部材へ直接あるいは間接に連結されている部品を移動させるのに適合した第一引っ張り力、
前記第一引っ張り力よりも大きな第二引っ張り力、及び
前記第一及び第二引っ張り力の中間に当たる第三引っ張り力をもつ前記活性化された際に収縮するようになっている部材、及び
前記部材に対する引っ張り力が実質的に前記第三引っ張り力に達した時に活性化されるようになっている手段を備える張力低減組立品を提供する。
【0096】
前記引っ張り力が実質的に前記第三引っ張り力となる時に活性化されるようになっている手段は前記部材へ取り付けられる圧縮スプリングであってもよい。
【0097】
前記活性化された際に収縮するようになっている部材は好ましくは前述したNitinol(登録商標)ワイヤーである。前記第一、第二及び第三引っ張り力はNitinol(登録商標)ワイヤーの定格によって左右される。一例として前記定格が3.3ニュートン前後であれば、第一引っ張り力であることを示す。この例における第二引っ張り力は9ニュートン前後であり、他方第三引っ張り力は4.5ニュートン前後である。理想的には、第三引っ張り力は第一引っ張り力より約1.5倍大きく、また前記部材の損傷を生じ得る作用力とされる第二引っ張り力よりも小さな作用力とされる。
【0098】
Nitinol(登録商標)ワイヤー等の収縮するようになっている部材によって移動される部品はいずれか適当な部品でよい。本発明の第二の観点において前記部品に相当するものは噛合い手段である。前述したように、本発明の最も後に述べた観点は本発明の第一及び第二の観点に限定されず、従って本発明の最も後に述べた観点の用途は広範囲に及ぶ。
【0099】
前記圧縮スプリングは好ましくはいずれか適する構造のものである。
【0100】
前記第三引っ張り力で活性化されるようになっている手段はいかなる形態であってもよい。非限定的例として、前記手段にNitinol(登録商標)ワイヤー中の抵抗をモニターし、該抵抗が一旦例えば20%まで変化した時に電力を止める機能を備えてもよい。
【0101】
いずれの実施態様においても、Nitinol(登録商標)ワイヤーを損傷から保護することが可能である。
【0102】
本発明はさらに別の観点において、
第一噛合い手段、
第二噛合い手段、及び
前記第一噛合い手段が前記第二噛合い手段と噛合ったまま保持されるロック位置と前記第一噛合い手段が前記第二噛合い手段から外されて自由であるロック解除位置間を移動可能なロック素子を備える締付装置であって、
前記ロック素子は活性化された際に収縮するようになっている、ロック素子とは異なる手段によってロック解除位置へ移動されるようになっていることを特徴とする前記締付装置を提供する。
【0103】
前記第一噛合い手段には好ましくは一対のアーム上へ据え付けられた突起物が含まれ、これら突起物は前記第二噛合い手段を含む相補的空洞内に受け止められるように構成されている。この実施態様においては、ロック素子は好ましくは前記第一噛合い手段のアーム間に配置される。ロック位置において、ロック素子は第二噛合い手段の前記空洞中において第一噛合い手段のアームを保持している。ロック素子は好ましくは前記突起物間のその位置から引き離され、それによってそれら突起物が互いへ向かって内側を移動し、また第二噛合い手段の空洞から引き出されることが可能となる。かかる構成はいくつかの点において国際特許出願No.PCT/AU99/00184に例示されたロック素子の構成と同様であると考えることができる。
【0104】
特に好ましくは、前記ロック素子は細長い片形状とされ、また前記第一及び第二噛合い手段も同じく細長い片形状で与えられる。このように形状化された例は国際特許出願No.PCT/AU99/00185にも記載されている。
【0105】
前記活性化された際に収縮するようになっている手段は上述された形状記憶合金ワイヤーから成るか、あるいはそれを含んで成る。他の部材であっても適合可能である。
【0106】
本発明による締付装置は、好ましくは何の作用力もなくロック状態に保持されるように設計される。ロック解除に際しては、前記活性化された際に収縮するようになっている部材が形状記憶合金ワイヤーである場合、電力をスイッチオンすることによってこのワイヤーが加熱及び収縮され、ロック位置からロック素子が引き出される。この合金ワイヤーの冷却が可能であれば、締付装置がロック位置へ戻るように該締付装置を付勢させることが可能である。
【0107】
この実施態様における締付装置には、好ましくはプリント回路板あるいは形状記憶合金ワイヤーへ供給される電力量を制御するための他の手段が含まれる。このような手段を用いて、状態、締付装置が解除された回数、及び何らかの損傷が生じたかどうか等の締付装置に関する情報を通知することが可能となる。
【0108】
本発明のさらに別の観点は改良されたフレーム組立系に関する。
【0109】
本発明は以下の記載から明らかなように多用途である。
【0110】
以下の説明においては、便宜上、用語「フレーム」及びその派生語を用いる。用語「フレーム」及びその派生語は、文脈から他の意味の解釈が必要とされない限り、「プラットホーム(台)」あるいは「ベース(基体)」の意味に解釈されるべきであり、また解放型構造に限定されてはならない。
【0111】
本発明は、その第一の広い観点において、フレームに1または2以上の取付けノード(nord)が備えられ、及びフレーム組立系によってエネルギー、データ及び材料の1または2以上を配送できるようになっている、改良されたフレーム組立系を提供する。
【0112】
フレーム自体は複数の構成部分から構成されていてもよい。フレームには部品あるいは付属品(例えば整形板)を付け加えてもよく、1または2以上の取付けノードを設けて、フレームの拡張部を形成することも可能である。
【0113】
前記フレームは、多数の産業分野における使用に適する広範囲に亘る材料及び形状から選択可能である。非限定的例として、前記フレームは、自動車用としては骨組、カーカスあるいはシャシー形状に、家具用としては骨組形状に、建築産業あるいは配管システムにおける使用には支持体形状とすることができる。その他多数の用途があることは、以下に記載の詳細な説明をある程度考慮すれば当業者には自明である。
【0114】
フレームあるいはその一部は、いずれか適当な方式でエネルギー、データ及び/または材料の導体としての役割を果たすことができる。
【0115】
前記フレームを用いてエネルギーを電気エネルギーの形態で従来技術による配線あるいはバスを通して配送することが可能である。前記フレームによって、圧縮空気あるいは液圧エネルギー等の他のタイプのエネルギーを適当な手段を介して配送することも可能である。
【0116】
データ配送に関して、前記フレームには種々のデータ転送手段、例えば公知方式でのネットワーク環境内におけるデータ転送手段を備えることが可能である。例えばフレーム上あるいはフレーム内にケーブル等の単一導体を用いてエネルギー及びデータ双方を転送できるようにすることが可能である。
【0117】
前記フレームが導管となり得る材料としては、気体、液体及びそれらの混合物を含め、いずれか適する材料を挙げることができる。
【0118】
好ましくは、本発明の改良されたフレーム組立系には多数の取付けノードが備えられる。さらに好ましくは、これら取付けノードのそれぞれによってフレームへのモジュールあるいは付属品の取り付け及び/または取外しが可能とされる。いずれか適する締付具をこれら取付けノードと共に用いることができる。適する締付具のいくつかの例について以下に述べるが、本発明はこれらの例に限定されない。
【0119】
本発明において前記改良されたフレーム組立系はエネルギー、データ及び/または材料を取付けノードへ配送してモジュール及び/または付属品の取り付け及び/または取外しを補助する。ここでオートバイに関連する一例を挙げる。なお、本発明はこの例に限定されるものではない。
【0120】
この実施態様においては、フレームは、エネルギー及びデータをフレームの一部内あるいは全体内のケーブルを用いて伝達することができる従来のオートバイフレームと類似している。フレームにはエネルギー/データケーブル系へ接続される多数の取付けノードが設けられる。フレームはモータ、計器、風防ガラス、シート、燃料タンク、バッテリー、車両ライト、計器照明装置、整形板及びカウリング等の所望されるすべての構成部分のための取付け箇所として機能する。これら構成部分のための取付けノードには、それら構成部分が適所にある時に隠蔽され、かついくつかの方式のうちの一方式で作動される締付具を備えることも可能である。作動の一方法として、場合によってはコンピュータあるいはオーダーメードの装置を用いて、信号をオートバイ上あるいはその外部にある中央制御装置からのケーブルを介して伝達することが可能である。また別の例として、赤外あるいは無線通信を含めたいずれか適する手段を用いて、場合によってはキーチェインポケット上のボタンを介して、あるいは従来のイグニッションスイッチから信号を遠隔伝達することも可能である。
【0121】
この実施態様によれば、オートバイを現在とは全く異なる方式で組み立てることが可能となる。締付具は隠蔽することが可能である。この実施態様によるオートバイの組立には従来の器具あるいはロボットは必要とされない。また、設計も大幅に簡略化され、美的価値を高めることも可能となる。
【0122】
組立中、取付けノードにある締付具をプログラム化することにより、生産ラインが稼動している時に部品あるいは構成部分を自動的に取り付けることも可能となる。かかるプログラム化により、製造における組立連続工程を再検討することも可能となる。伝統的な物理的あるいは機械的接触に代わって、締付具は遠隔操作、配線、あるいは他の適する手段により、電子的に伝達される指令に反応して機械的にロックあるいはロック解除することが可能となる。かかる方式によって、例えば懸架装置あるいは衝撃吸収装置を含む多くの構成部分あるいはすべての構成部分であっても、オートバイの枠組まで組立可能となると考えられる。さらに、製造ラインを中断させることなく、構成部品を他の構成部品と交換することによって、製造中に迅速にオプション変更が出来る等の他の多くの利点も得ることが可能である。
【0123】
この実施態様によるオートバイでは点検修理の質を向上させることが可能である。例えば、締付具及び取付けノードへ符号化された信号だけに応答する安全なアドレスをもつマイクロチップを組み入れることが可能である。これにより、締付具に対して指定された関係者及び技術者だけがアクセス可能となる。さらに、点検修理を必要とするトラブルを検出し、分析し、かつレポートできるようにプログラム化することも可能である。点検修理工程は締付具管理ソフトウェアへ保存することができる。これにより、正確な点検修理ヒストリー及び保証クレームに関する書類が提供されると共に、正当な交換パーツの取付けを確実に行うことができる。例えば、マイクロプロセッサを用いて、締付具の状態(ロック、ロック解除、損傷、及び加圧されているか否か)及び、データ、時間、箇所、及び各工程を実施した技術者の確認を含む保守ヒストリーに関する情報を取得することができる。
【0124】
「出荷後」の問題に関しては、この実施態様によるオートバイはいかなる状況あるいは美的嗜好にも迅速かつ簡単に対応可能である。部品及び付属品は必要性あるいは機会に応じて交換可能である。単一の標準的フレームを用い、さらに選択された整形板、燃料タンク、計器、照明及びその他多種部品を用いてオートバイを構成し直すことが可能である。
また、オートバイをサドルバッグ、風防ガラス、GPS装置及び娯楽装置等のオプション付属品を設けて改装することもできる。
また、オートバイの安全性も向上される。締付具は隠蔽されているため、部品を破壊しない限り盗難に遭うことはない。
【0125】
オートバイの正当な使用者側から見れば、燃料タンク、ハンドル、荷箱、整形板及び覆い等の取り外し可能な部品を単一箇所でロックすることができ、多数のキーをもって各部品をそれぞれロックする必要性が解消される。
【0126】
同一のオートバイフレームを用いてスポーツタイプあるいはツーリングバイク、さらにどのような特別仕様車も製造可能である。例えば、シングルシート及び車体整形板を取り外してツーリングタンク、ツインシート及びツーリング用荷箱と取り換えることも可能である。また別の例として、道路交通法令に従ったオートバイの照明、表示機、ナンバープレート及び他の付属品を取り外してオフロードダートバイクへ改造することも可能である。
【0127】
本発明に従った改良されたフレーム組立系への使用に適する締付具は、好ましくは締付機構、作動装置及びマイクロプロセッサを備える「インテリジェントファスナー」タイプである。多数のタイプの締付具がフレーム組立系への使用に適する。以下に上記使用に適する締付具について具体的に開示する。このような締付具は本発明のさらに別の観点を構成するものである。但し、本発明に従った改良型フレーム組立系へ使用される締付具のタイプは以下に開示される締付具に限定されない。また、上記開示された締付具及び本願に参照として開示内容が包含されている特許明細書、すなわち国際特許出願No.PCT/AU99/00185、国際特許出願No.PCT/AU03/00759及びオーストラリア特許出願No.2002953616、中に開示された締付具を含めた他の締付具も極めて有用である。
【0128】
総じて、本発明装置における使用に適する締付具は機械的締付具と同じレベルの役割を果たし、張力、剪断力及びクランプ締付力に関する従来の要求に適合する移動力を有している。好ましくは、前記締付具にはさらに、それら自体の状態、どの部品が適所にあるか、締付具が取り付けられているかあるいは取り付け前であるか、及び適切に取り付けられているかあるいは過度の加圧状態で取り付けられているかについてレポートする能力が備えられる。
【0129】
また、本発明は別の観点において、
(a)締付素子、
(b)前記締付素子へ取り付けられ、かつ活性化された際に収縮するようになっている部材が含まれる作動手段、及び
(c)それ以上収縮しなくなった時に前記部材を弛緩状態へ戻すようになっている戻し手段を備え、前記戻し手段は、活性化された際に収縮する材料の収縮によって変形される弾性材料を含むか、それよりなることを特徴とする締付具を提供する。
【0130】
前記本発明の第六の観点は、例えば本発明の第二の観点における締付具、あるいは国際特許出願No.PCT/AU03/00759に開示された締付具、あるいは本願明細書あるいはその他において開示された他の締付具と併用可能である。
【0131】
前記締付素子は、いずれか適切な締付素子であればよい。
【0132】
前記活性化された際に収縮するようになっている部材は、既に開示あるいは説明されたように、好ましくは形状記憶合金ワイヤーである。
【0133】
前記戻し手段は、好ましくは前記形状記憶合金ワイヤー等の部材の収縮によって変形するようになっており、かつ該部材(SMAワイヤー等)の弛緩後にその元の形状へ戻るようになっている弾性部材である。好ましくは、前記戻し手段はSMAワイヤーを含み、取り囲み、あるいは包んでいる。前記戻し手段に適する材料は当業者には自明である。適する材料の一つとして硫化ポリブチルを挙げることができる。例えば、SMAワイヤーを戻し手段の中空体内に含ませることができる。また別の例として、SMAワイヤーを戻し手段の中実体内へ埋め込むことも可能である。更に別の例として、SMAワイヤーを戻し手段のストリップへ取り付けてもよい。
【0134】
前記戻し手段はSMAワイヤーを弛緩時に元の形状へ戻すためSMAワイヤー(または他部材)に対して直線的作用力を与えることができる。しかしながら、本発明はこのような構成に限定されない。前記作用力はいずれか適当な方向に向けられればよく、あるいは組み合わされた方向へ向けられてもよい。このような方向の例は以下において述べる図面中に示されている。戻し手段の目的は、形状記憶合金ワイヤーあるいは他部材をそれが収縮前にあった位置へと戻すことである。
【0135】
弾性部材を用いることにより、戻しスプリングの使用を省略することが可能である。戻し手段はSMAワイヤーのヒートシンクとしても機能することができる。また、戻し手段は締付具の強靭性を増大させ、形状記憶合金ワイヤーを取扱、輸送等において受ける損傷から保護することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0136】
以下において、添付図面に示したいくつかの非限定的実施例を用いて本発明について説明する。
【0137】
図1〜3に示された本発明の第一の観点に従った実施態様である締付具30には、ビーム34、噛合い手段36及び可撓点38を備える締付素子32が含まれる。これら図から分かるように、可撓点38はビーム34から隔てられている。
【0138】
図3の背面図に示されるように、ビーム34後部にある溝44中に形状記憶合金ワイヤー40によってループが形成され、また該ワイヤーの各端部は電子モジュール42へ取り付けられる。図1及び2おいて、ワイヤー40は部分的に点線で示されている。
【0139】
ワイヤー40が電子モジュール42を介して発生される電流によって加熱されて所定の温度に達すると、図2に示すようにワイヤーに収縮が起こる。これにより締付素子32が可撓点38において撓みあるいは曲がり、噛合い手段36が噛合い面(図示せず)との噛合いから引き出される。この時、図2に示すように、板ばね46が加圧される。ワイヤー40が冷やされると、ワイヤー40は弛緩し、板ばね46は圧縮をとかれ、及び噛合い手段36は元に戻って前記噛合い面(図示せず)と噛合うように促される。
この実施態様によれば、ビーム34を曲げる必要がない為、噛合い手段36を介した強力確実な噛合い及び締付具30へのより高い強度を与えることが可能である。
【0140】
図4は、図1〜3に示された締付具30の実用的適用例を示した図である。図4では、締付具30が現場においてキャップ31を基体33へ締め付けている状態が示されている。図4から理解されるように、締付具30の噛合い手段36はキャップ31の突き出た棚部分35に噛合っている。電子モジュール42用電源として3個のバッテリー37が備えられ、これらバッテリーはスイッチ39によって作動される。
【0141】
スイッチ39が押されると、バッテリー37から電子モジュール42へ電力が与えられ、これによって形状記憶合金ワイヤー40はそれが収縮を起こすのに十分な程度まで加熱される。これによって噛合い手段36が突き出た棚部分35との接触から引き出される。ビーム34のこのような動作を可能とするため、キャップ31中に空洞41が設けられる。スイッチ39が押されると、LED43が点灯してスイッチ39が作動されていることが表示される。
【0142】
キャップ31及び基体33双方の溝中にダボ45が設けられる。これらダボ45によって、キャップ31を基体33上へ据え付ける際の位置決めが補われる。キャップの取外しに際しては、板ばね47と連携したダボ45によってキャップ31の基体33からの分離が促される。
【0143】
再充電可能な形式の場合は、充電接触子49を用いてバッテリー37の再充電を行うことができる。
【0144】
次に、図5〜7を用いて、本発明の第二の観点における実施態様について説明する。この実施態様では、締付装置50の開口52中に受け止められるようになっているピン48が備えられる。円形クリップ54の形状のロック手段54はピン48にある溝56中へ嵌まり込むようになっている。
【0145】
開口52は、うね部分60を含むプラスチック締付具本体58中に形成される。うね部分60の周囲を形状記憶合金ワイヤー40が動き回る。絶縁プラスチックキャップ62によってワイヤー40の曲げられた端部(図示せず)が円形クリップ54及び電力リード線64へ接続される。
【0146】
図6はロック状態にある締付装置50を示す図である。この状態において、ピン48を開口52中へ押し入れることができる。ピン48先端の先細部分66は、円形クリップ54が溝56の中へ重なり合うまで入り込んで円形クリップ54を押し離す役割を果たし、該先細部分はそこでロック状態のまま保たれる。従って、開口52中へのピン48の挿入にワイヤー40の活性化は必要とされない。
【0147】
図7はロック解除位置にある締付装置50を示す図である。この図において、ワイヤー40はそれが収縮を起こす程度までリード線64からワイヤー40へ送られる電力を介して加熱されている。キャップ62におけるワイヤー40と円形クリップ54との連結を通して、うね部分60によって保持された収縮状態にあるワイヤー40によって円形クリップ54が引き離され、該円形クリップ54は溝56から解放され、これによってピン48の取外しが可能となる。
【0148】
次に図8Aに示すように、解除可能締付装置150には、本体部156の開口154中に受け入れられるようになっているピン152が備えられている。クリップスプリング158と、クリップシャシー160及び形状記憶合金ワイヤー162とが一緒になってピン152用のロック手段が構成されている。
【0149】
ピン152の周辺には広い溝163が設けられている。この溝163は、該溝613を取り囲むことができるクリップシャシー160を受け止めるようになっている。クリップシャシー160はクリップ158を担持し、一種の円形クリップとしての役割を果たしている。
【0150】
形状記憶合金ワイヤー162は図9に示す方式でクリップシャシー160と噛合う。形状記憶合金ワイヤー162が活性化されると、該ワイヤーは収縮してクリップシャシー160が引き離される。
【0151】
ピン152を本体部156中へロックするため、キャップ164に対して圧力を加え、ピン152を開口154中へ手動で押し入れることが可能である。クリップシャシー160及びクリップスプリング158がピン152を受け入れられる程度まで十分に開かれ、それによってクリップシャシー160とピン152にある溝163が噛合う。
【0152】
本体部156からピン152をロック解除する際、前述した通り、ワイヤー162はその収縮が起こるまで十分に加熱される。ワイヤー162の溝166及び170を通したクリップシャシー160への取り付け方式(図9参照)ゆえに、ワイヤー162の収縮によって、ピン152をクリップシャシー160から引き出すのに十分な程度まで、クリップシャシー160が引き離される。クリップシャシー160は符号168で示される箇所において蝶番式に動作可能である。
【0153】
締付装置150には、ロック解除指示を受け取り、ワイヤー162の収縮に必要な熱を発生する制御パネル172が備えられる。後部カバー174を取り付けることにより締付装置150のハウジングが完成される。
【0154】
クリップスプリング158によって、クリップシャシー160がロック位置の方へ付勢され、またこの実施態様においては、ワイヤー162の弛緩に際して該ワイヤー162をロック位置へ戻す補助的役割が果たされる。
【0155】
締付装置150の変形例において、クリップシャシー160を取り除くことも可能である。この場合においては、クリップスプリング158は形状記憶合金ワイヤー162によって噛合わされ、また締付装置のロック解除を望む時に該ワイヤー162の収縮によって引き離されるようになっている。
【0156】
次に図8B〜8Gに示した実施態様について説明する。図8A及び9に示した部分と同様な部分は同一符号へaを付して示されている。
【0157】
図8Bに示すように、解除可能締付装置150aには、本体部156aの開口154a中に受け止められるようになっているピン152aが備えられている。スプリング158aと、クリップシャシー160a及び形状記憶合金ワイヤー162aとが一緒になってピン152a用のロック手段が構成される。
【0158】
ピン152aはその周囲に広い溝163aを有している。溝163aは、該溝163aを取り囲むことができるクリップシャシー160aを受け止めるようになっている。スプリング158aはクリップシャシー160aの溝116中へ嵌まり込んで該クリップシャシーを噛合い位置の方へ付勢している。
【0159】
形状記憶合金ワイヤー162aは別個の2本のループ118及び120から成っている。これらワイヤー162aは図8Cに示した方式でクリップシャシー160aと噛合う。図8Cと図9との比較において、形状記憶合金ワイヤー118及び120は活性化されて収縮する際に、図9のワイヤー162よりも張りの弱い状態となることが理解されるであろう。
【0160】
キャップ164aに対して圧力を加えてピン152aを開口154a中へ押し込むことによりピン152aを本体部156a中へロックすることができる。クリップシャシー160aはスプリング158aによって閉位置へ付勢されているが、十分に開かれてピン152aを受け入れることができるため、クリップシャシー160aとピン152a上の溝163aとの噛合いが得られる。
【0161】
本体部156aからのピン152aのロック解除に際しては、既に述べたように、ワイヤー162aの両ワイヤー118及び120が十分収縮される程度まで加熱される。ワイヤー118及び120のそれぞれは、図8Cに示すようにクリップシャシー160aへ取り付けられる。従って、ワイヤー118及び120が収縮することによって、ピン152aがクリップシャシー160aから引き出されるに十分な程度までクリップシャシー160aが引き離される。クリップシャシー160aは符号168aで示される箇所において蝶番式に動作可能である。
【0162】
図8B及び8Eには締付装置150aの手動補助装置のための手段が図示されている。キャップ164aにはスロット122が設けられている。キャップ164a中のスロット122及び本体部156a中の対応スロット123を通して適当な工具を挿入することができる。次いでこの工具をクリップシャシー160aのアーム間へ通して、ピン152aが外れるに十分な程度までこれらアームを分け離すことができる。
【0163】
この実施態様においては、手動補助装置を締付装置150aのキャップ側だけでなく後部カバー174a側からも操作することができる。図8Eに示すように、プレート126中のキャップ164a上のスロット122に対応するスロット124は後部カバー174aからアクセス可能であり、また同じ工具を用いてスロット122に関して記載した方式と同じ方式でピン152aを手動で外すことが可能である。
【0164】
図10〜13において、リングクリップ締付具94は計装パネル等のパネルへの部品の固定に特に適している。締付具94は、図10及び11では係合締付具ペグ98としてロック状態で示され、また図12及び13では締付具ペグ98が外された後の状態で示されている。
【0165】
締付具ペグ98には溝104が備えられている。ペグ98が締付具94中へ押し込まれると、付勢スプリング108のアーム106がペグ98上の傾斜部110によって押し離される。アーム106が溝104中へスナップ嵌合されてペグ98が締付具94中にロックされる。このようにして、簡単に手で圧力を加えることにより、例えばパネルハウジング中へ計装パネルを据え付けることが可能である。
【0166】
締付具94中には、ペグ98底部114との接触を感知する噛合いセンサ112が備えられている。噛合いセンサ112はペグ98の噛合いを確認し、その情報をコンピュータ(図示せず)へ伝達することができる。
【0167】
図10から理解されるように、締付具94には付勢スプリング108のアーム106上に支えられた終端部418へ連結された形状記憶合金(SMA)ワイヤー416が含まれている。
【0168】
例えば電気エネルギー等の適当なエネルギーがSMAワイヤー416へ印加され、そしてSMAワイヤー416が必要な温度まで加熱されると、SMAワイヤー416は図12に示すように収縮する。SMAワイヤー416の収縮によって終端部418が離れるように移動される。終端部418はアーム106上に支えられているため、これらアーム106が引き離される。アーム106が溝104から外側へ動くことによってペグ98の取り外しが可能となる。また、噛合いセンサ112によってペグ98が外れたことを通報することも可能である。
【0169】
また、締付具94には締付具94のロック状態を感知するセンサ420が備えられる。図14に示すように締付具94がロック解除状態にある場合、アーム106はセンサ120に接触して回路を完成し、あるいはリードスイッチとしての役割を果たすことができるため、センサ120によって締付具94のロックあるいはロック解除状態について通報できることが理解される。
【0170】
次に図14〜図16には、本発明の第二の観点に従った植込みボルト形締付装置の実施態様が図示されている。この実施態様において、解除可能締付装置70には開口72へ受け入れられるようになっているピン68が備えられている。ピン68の周辺には凹み状のロック空洞74が設けられている。締付具本体76中の開口72にはピン68の凹み74内に嵌まり込むように構成された突起部80をもつアーム形状のロック手段78が備えられている。
【0171】
ピン68が一旦開口72中へ押し込まれると、アーム78の突起部80が凹み74へ嵌まり込む。留め部材82によってアーム78の突起部80外側への移動が遮られることにより噛合いが外れることが妨げられる。形状記憶合金ワイヤー40の活性化によって該ワイヤー40が収縮することにより、留め部材82がアーム78の遮断位置から引っ張られる。図16に示すように、アーム78がスプリングの方へ外側に付勢されることにより、開口72から容易にピン68を引き抜くことが可能となる。スプリング84が付勢されていることにより、留め部材82が図14及び15に示されたロック位置へ促される。
【0172】
図14〜16に示すように、ピン68及び締付具本体76双方には導体ピン86が含まれている。これら導体ピンの使用はオプションとしてである。これら導体ピンを用いて締付装置70において動力を提供すること及びデータ接続を行うことが可能である。
【0173】
図14〜16には、さらに別のオプションの特徴として引込み可能のキャップ88が示されている。このキャップ88を用いることにより、フレーム10外面90の外観が平坦となる。図示された実施態様において、留め部材82をアーム78の遮断位置から引っ張るためにはワイヤー40を活性化させることが必要である。一旦活性化が起こると、ピン68はスプリング92によって与えられる付勢に逆らってキャップ88を図14に示された位置から図15に示された位置まで押し込むことができる。この位置において形状記憶合金ワイヤーが弛緩してピン68が適所にロックされる。図16には開口72からのピン68の引き抜き前のロック解除位置が示されている。
【0174】
次に図17、18及び19に図示された実施態様の植込みボルト形締付装置180は特に重量物用途に適する。この実施態様では、溝184を備えるピン182及びキャップ186は本体部190の開口188中に受け止められるようになっている。本体部190中にはシャトル192が受け入れられる。シャトル192は、溝194中に巻き入れられた形状記憶合金ワイヤー(図示せず)が収縮する時に本体部190内で回転するようになっている。形状記憶合金ワイヤーが活性化されることにより、シャトル192は締付装置180のロック解除が可能となる方向へと回転する。
【0175】
シャトル192中には歯状体200の脚198と噛合うように構成された突起部196が設けられている。この突起部196は、図17に示すように傾斜されて設けられるか、あるいは図19に示すように約45度の角度に設定することができる。
【0176】
締付装置180が組み立てられる際、脚198基部に座金202が当接される。小さなコイルスプリング(図示せず)が開口204中に取り付けられ、これらコイルスプリングが座金202を圧迫することによって歯状体200に対して圧が加えられる。中央プラグ206中には開口204が形成される。開口208は、それ以上活性化が起こらなくなった時に形状記憶合金ワイヤー(図示せず)をその弛緩形状へ戻す補助的役割を果たすさらに別の付勢スプリングを受け入れるように構成されている。
【0177】
電子モジュール210は、この実施態様においては、ケーブル212を通して配線されるように示され、またこの電子モジュールによって締付装置180のロック解除が制御される。末端キャップ214の取付けによって組立ては完成される。
【0178】
図20及び21に示した変形例においては、本体部190にナット218を上に受け止めるねじやま部216が備えられて図示されている。このナット218を設ける目的はパネル(図示せず)等の素子が隙間220中へ受け入れられるようにするためである。
【0179】
末端キャップ214には、締付装置に何らかの作動不調が起こった時に適当な工具を中へ挿入して手動でシャトル192を回転させることができる中央開口部(図示せず)が設けられている。
【0180】
図21から、座金202が省略され、また歯状体200が図19に示したそれとは若干異なる形状をしていることが理解される。
【0181】
次に図22〜25について説明する。これらの図には、図10〜13に示したリングクリップ締付具の代替となり得る植込みボルト形締付具が示されている。図22〜25に示した植込みボルト形締付具はより頑丈であると理解され、また図10〜13に示したリング形締付具に比較してより重い荷重を支えることが可能である。
【0182】
図10に示したペグ98は図24及び25に示したペグ98aで代替されている。
【0183】
図22〜25に示した締付装置230にはペグ98a中の溝104aと噛合うようになっている複数の歯状体222が備えられている。歯状体222は引張りスプリング424によってロック位置の方へ付勢される。引張りスプリング424は歯状体222を適所に保持する役割も果たしている。ペグ98aは開口102中へ押し込まれるようになっている。ペグ98aの傾斜部110aはスプリング424の応力に逆らうように歯状体222に対して押し付けられる。ペグ98aが開口102中へ押し込まれると同時に、歯状体222が溝104a中へばねで押し戻されることによりペグ98aが締付装置230中にロックされる。
【0184】
締付装置230には噛合いセンサ112が装備される。ペグ98aの底部114aが接触した時に、噛合いセンサ112によって締付装置230中へのペグ98aの連結、従ってパネルハウジング中の計装パネル等の締付対象部材の連結をレポートすることが可能である。
【0185】
締付装置230には形状記憶合金ワイヤー426が含まれている。これらワイヤー426は締付装置230の本体部432内において回転可能なシャトル428周囲に巻き付けられている。形状記憶合金ワイヤー426の各端部は締付装置230の非回転可能部分へ締め付けられる。形状記憶合金ワイヤー426が必要温度まで達する適当なエネルギーを受けて収縮を起こすと、シャトル428は図25に示された位置まで回転する。シャトル428にはカム面434が含まれている。図25から理解されるように、カム面434は歯状体222の尾状部436上を下降し、引張りスプリング424によって与えられる付勢力に逆らって尾状部436を押しつけ、歯状体222それぞれを溝104aとの噛合いから引き出す。これによってペグ98aは締付装置230から取り外される。また、引張りスプリング424によって形状記憶合金ワイヤー426はそれらの弛緩形状へと付勢される。
【0186】
締付装置230にはさらにロック状態センサ438及び440が備えられる。これらのセンサが図23及び24に示すように離れている場合、これらセンサによって締付装置230がロック状態にあることがレポートされる。他方これらセンサが図25に示すように接触状態にある場合は、これらセンサによって締付装置230がロック解除状態にあることがレポートされる。センサ438及び440は例えばリードスイッチとして作動可能であるか、又はこれらセンサは接触状態となって電気回路を完成し、それによってロック解除状態を信号で知らせることが可能である。他の構成及び検知手段を適用することも勿論可能である。
【0187】
次に図26〜33に示した本発明の第二の観点に従った実施態様について説明する。締付装置260には、周辺溝256(図31及び33参照)であるロック空洞を有する植込みボルト254が備えられる。締付装置260には押し込み嵌合によって植込みボルト254を中へ受け止めることができる開口258が設けられている。
【0188】
締付装置260には、それぞれが溝256と噛合うことができる1個の舌状体264をもつ8個の歯状体262が備えられる。
【0189】
本体部268内の2つの位置間の回転のためにシャトル266が取り付けられる。第一の位置は図28に示した位置であり、この位置においてロック突出部270によってロック位置にある歯状体262が開口258中に、(また、植込みボルト254が開口258中にある場合は植込みボルト254の溝256中に)保持される。第二の位置は図29に示した位置であり、この位置はシャトル266が十分に回転して歯状体262がロック突出部270間の空間272中に位置取りされた位置である。このような構成においては、歯状体262がそれ以上に開口258(及び、存在する場合には植込みボルト258中の溝256)中においてロック位置に保持されることはない。
【0190】
シャトル266は、形状記憶合金ワイヤー274及び276を介して、シャトル266をロック位置まで回転させる際に用いられる位置からシャトル266をロック解除位置まで回転させる際に用いられる他の位置まで回転される。
【0191】
図26に示すように、締付装置260には後部キャップ278が備えられている。電力は電気ワイヤー280を介して供給される。
【0192】
図27は後部278が取り外されて形状記憶合金ワイヤー274が見える状態の図である。この図にはシャトル位置センサ282も図示されている。これらセンサは、シャトル266がロックあるいはロック解除位置のいずれにあるかを検知し、またその結果を外部データ源(図示せず)へレポートすることができる。
【0193】
図27にはさらにワイヤー温度センサ284が図示されている。これらセンサ284は、形状記憶合金ワイヤー274及び276の温度を検知し、及びこれらワイヤーが収縮を起こす所望の温度まで該ワイヤー温度を上昇させるために必要な電力量を算出することが可能である。温度センサ84はワイヤー274及び276の過熱を防止することができ、またこのセンサ84によってワイヤー274及び276へ送られる電気エネルギー量を最小限に抑えることが可能である。
【0194】
図31及び33に最もよく示されている実施態様では、締付装置260にスライド式プラグ286が含まれている。ロック位置(図31)において、植込みボルト254によってスライド式プラグ286が植込みボルト検出器スイッチ288と接触するように押し下げられるため、スライド式プラグ286は植込みボルト検出器スイッチ288と接触状態となる。これにより、締付装置260によって植込みボルト254が噛合っているかどうかをレポートすることが可能となっている。
【0195】
図31及び33にはさらに付勢スプリング290及びエジェクタスプリング292が示されている。付勢スプリング290によって締付装置260はロック位置へ付勢され、またエジェクタスプリング292によって、図33に示すように歯状体262がそれ以上溝256と噛合わなくなった時、植込みボルト254の取り出しが容易となっている。
【0196】
図31及び33に示すように、形状記憶合金ワイヤー274及び276はクリンプ294及び295を介して取り付けられる。シャトル検出器スイッチ297によってシャトル266がロックあるいはロック解除位置にあるかどうかが検出される。
【0197】
図30はレリーズ296を備える後部キャップ278を示した図である。このキャップを、例えば図32に示すように手動操作して、シャトル266をロック位置からロック解除位置まで手動で回転させることができる。
【0198】
次に図34〜37は手動補助装置が連結された締付装置260に類似した締付装置260aを示した図である。この締付装置260aに代えて別の締付装置を代替することも可能である。手動補助装置400には手動作動器298及びロッド402である引き出し手段が備えられる。手動作動器400は、スロット706を通して手動作動器と噛合う突起部704を介して締付装置260a及びロッド402へ連結される。
【0199】
ロッド402は、噛合い棚部分710を有するノブ708へ取り付けられる。図34において、噛合い棚部分710は留め部材712と噛合った状態で図示されている。スプリング714はロック位置へ向かって付勢している。
【0200】
手動補助装置400を操作するためには、棚部分710がそれ以上留め部材712と噛合えなくなるまで、ノブ708を手で回転させなければならない。次いでノブ708がスプリング714の付勢力に逆らって上方へ引き出され(図34)、手動作動装置298がスロット706中の突起部704を介して上方へ回転される。このようにしてシャトル266が図35に示されたロック位置から図37に示されたロック解除位置まで回転され、手動作動装置298は図36に示された位置を取る。この段階において、植込みボルト254は図37に示すようにエジェクタスプリング292によって解放される。
【0201】
また図37には連動装置716が図示されている。この連動装置716はロッド402を第二締付装置260bと連動させ、図38に示すように導管718を通って移動する。図39及び40に詳細に示すように、ノブ708が留め部材712から離れて回転され、スプリング714の付勢力に逆らって上方へ引き上げられる際、締付装置260a及び260b双方の手動解除が連動装置716によって確保される。
【0202】
図39及び40からより詳細に理解されるように、本実施態様における締付装置260aはカバー720の下に位置し、かつその一部はブラケット724上へ取り付けられた機構ケーシング722内に位置している。
【0203】
図41〜46には、本発明の第二の観点に従った列状締付具の一実施態様が図示されている。
【0204】
図41〜46に示すように、締付装置510は導管514を介して外部電源へ接続された締付具取付け箱512内に装着される。前記箱512内に装着された締付装置510はパネル(図示せず)中へ挿入され、及び取付け箱512内に含まれる締付具ケース522のフランジ520へ面プレート518を取り付ける螺子516を用いて適所に固定される。導管514を介した電気接続はケーブルコネクタ526を用いて締付具ケース522の中まで延びている。フランジ520の下方にはスプリングクリップ528が挿入されている。
【0205】
締付装置510は、パネルまたはドア(図示せず)から突き出している突出部524(図41〜43に図示)との噛合いを意図したものである。締付装置510において、噛合い手段には掛け金アーム530、シャトル532及びつめ534が含まれている。スプリング536はシャトル532を図41に示したロック位置の方へと付勢する。スプリング540はエジェクタプラグ542をロック解除位置の方へと付勢する。シャトル532には締付具ケース522内におけるシャトル532のスライドを容易にするテフロン(登録商標)パッド544が備えられている。
【0206】
締付装置510にはさらに、つめ534上のピン548上方で輪を形成する形状記憶合金ワイヤー546が含まれている。ワイヤー546の活性化はプリント回路板下位組立部品550を介して制御される。スプリング538は形状記憶合金ワイヤー546を図41に示したロック位置へ促すためのものである。
【0207】
センサスイッチ552はシャトル532の拡張部分554と接触して締付装置510のロック状態あるいはロック解除状態を表示する。図43ではセンサ552のみ拡張部分554と接触しているため、締付装置510は該装置がロック位置にあることを表示できる。例えば図46に示すように双方のセンサスイッチ552が拡張部分554と接触していると、該装置510がロック解除状態にあることが表示される。
【0208】
図41及び42に示すように、締付装置510にはさらに、つめ534をロック位置から引き離すことがないように形状記憶合金ワイヤー546における張りを和らげるスプリング560が含まれる。
【0209】
次に図43には締付装置510がロック位置にある状態が図示されている。この位置において、つめ534上の突出部556はピン558を圧迫し、つめの傾斜部分562はシャトル532の肩部分564に噛合っている。
【0210】
シャトル532の末端部566によって掛け金アーム530の末端部568が圧迫されることにより、該末端部568と突出部524(図44参照)の窪み570との確実な噛合いが得られる。
【0211】
ケーブルコネクタ526を介した電気接続を通じて十分な電気エネルギーが印加されると、ワイヤー546が収縮して図44に示すようにつめ534がロック位置から引き離されている。この位置において、図44に示すように、傾斜部分562を旋回させて肩部分564との完全な接触から離した突出部556が移動制限ピン572にぶつかるまで、つめ534の傾斜部分526によって肩部分564が押しつけられている。この段階においてワイヤー546は猶収縮している。シャトル532を引っ込めることにより、シャトル532末端部分566が掛け金アーム530末端部分568との接触から引き離される。掛け金アーム530は旋回点574を中心として旋回し、突出部524の窪み570から外側へ移動される。エジェクタプラグ542を押しつけているエジェクタスプリング540は、締付装置510から突起部524を放出する際の役割を一部果たしている。
【0212】
もし移動制限ピン572が取り外されているならば、つめ534は肩部分564との接触が全くなくなるように旋回することが理解されるであろう。そうすると、シャトル532はスプリング536の影響を受けながらロック位置へ自由に移動するため、突出部524は締付装置510と噛合い可能となる。しかしながら、ワイヤー546が十分に冷えるまではロック解除することはできない。
【0213】
図45に示した次の段階においては、突出部524は締付装置510から完全に抜け出している。ワイヤー546は冷却中にある程度まで伸びるため、つめ534はピン572との接触から離れられるようになっている。
【0214】
図46に示した構成においては、ワイヤー546の伸張は冷却で完了し、つめ534は突出部556がピン558に接触するまでピン572から離れるように十分移動し、傾斜部562が肩部564と噛合う位置を取るようにつめ534が旋回される。
この時点で突出部524が締付装置510中へ押し込まれると、エジェクタプラグ542がスプリング540に逆らって加圧され、掛け金アーム530の末端部568が窪み570中の適所に嵌まり込み、シャトル532の末端部566が掛け金アーム530の末端部568と接する位置まで移動し、スプリング536によってシャトル532が図46において左方へ移動され、傾斜部562がシャトル532の肩部564と噛合い、ワイヤー546が活性化されると直ぐにロック解除できる状態となる。
【0215】
突出部524を貫通する開口部576は例えばロックあるいはロック解除状態表示のための光導管として利用可能である。また、開口部576、エジェクタプラグ542中の開口部(図示せず)、及び掛け金アーム530間の隙間578(図43参照)を通して適当な工具を挿入することも可能である。次いでこの工具を用いてシャトル532へ圧を加えて該シャトル532をロック解除位置の方へ手動で移動させると、末端部566と末端部568との接触がなくなり、締付装置510からの突出部524の放出が可能とされる。
【0216】
例えば温度用等のセンサを備える締付装置につては先述した。図41においてこれらセンサは符号538で示されている。検知は温度検知に限定されない。当業者には自明であるように、本発明による締付装置は照明、ヒーター、ファン等の種々他機能の検知あるいは制御も可能である。従って本発明による締付装置510は複数の機能を果たすことができ、例えばドアが締付装置510で締め付けられた部屋内の照明制御等の照明制御へ組み入れることが可能である。
【0217】
図47に本発明による締付装置を自動車のCANネットワークへ一体化した一例、具体的には自動車ドアの例を示す。この図に関してはほぼ説明不要であろう。図47において、本発明による締付具の一部を「インテリジェント締付具ネットワーク」の一部と言うことが可能である。これら部分によって本発明による締付具の主要機能、すなわち車両への部品の取り付けが果たされる。
【0218】
図47において「締付具ノード」と呼ばれる他の締付具によって二次機能、すなわちウインドモータ、後方視野ミラー等の関連部品の調ノードが行われる。CANバスへの接続についても図示されている。
【0219】
図47中の部品レイアウト及び配線ハーネスは単なる例示であり、本発明の範囲を限定するものではないことが理解されるべきである。
【0220】
図48は図47に示した装置の一部の模式図である。本発明による締付具の「TZインテリジェント締付具」と呼ばれる一部は上述した主要機能を遂行し、他の一部は二次機能を遂行する。
【0221】
前記主要機能及び二次機能を、図49に示した部品等の他のいくつかの車両部品の制御あるいは締付けへ拡大させることが可能である。この図49については改めて説明するまでもないと考える。
【0222】
図50は、本発明による締付具をどのように配置すればCANバスへの直接接続を介してサブネットワーク配線部品の数を減らすことができるかを示した図である。これに関し、図50は図48と比較されるべきである。本発明による各締付具は事実上それ自体の多重モジュール/交信ゲートウエィあるいはCANバス上のノードとしての役割を果たすことができる。このネットワーク構造により、本発明による締付具の機能を部品切換制御まで拡大させることも可能である。
【0223】
図51は本発明による締付装置の自動車における構成例を示した図式である。この図の連鎖系の最下部において自動車へ部品を締め付ける本発明による締付具が用いられている。この締付具(「インテリジェント締付具」)はCANバスを介して自動車のコンピュータへ接続される。自動車コンピュータによってインテリジェント締付具とパーソナルデジタル補助手段(携帯用コーティング)等のインテリジェント機器間においてデータ及び/または指令の伝達が行われる。
【0224】
マスター制御は階層の最上位にあって、インテリジェント締付具の同一性及び安全性に関する情報をインテリジェント機器へ与え、また締付具の診断及びヒストリー機能情報を記録する。
【0225】
前述したように、インテリジェント締付具には車両へ部品を取り付ける主要機能と切換制御を行う二次機能がある。
【0226】
次に本発明の第三の観点に従った実施態様を示す図52〜55について説明する。図52〜55において、締付装置610には図54に示すロック位置と図52に示すロック解除位置間を移動可能な噛合い手段612が含まれている。
噛合い手段612には揺動点616において揺動可能な一対の顎部614が含まれる。
ブロック618には、アーム622、基部624及び留め部材626によって画定される空洞部620が含まれる。
【0227】
図54に示すように噛合い手段612がロック位置にある時、図に示すように揺動点616は可能な限り基部624の近くに位置し、留め部材626によって顎部614の締め付けが妨げられることはない。これと対照的に、噛合い手段612が図52に示すようにロック解除位置に有る時、図に示すように揺動点616は基部624から離れ、留め部材626によって顎部614が互いに隔てられる。
【0228】
ロック位置において、ブロック618は、該ブロック618とチューブ630との間に位置するコイルスプリング628によって噛合い手段612の方へ付勢されている。
【0229】
ブロック618には開口634が中にある突起部632が設けられ、この突起部632には高性能(スマート)記憶合金ワイヤー642が取り付けられる。この合金ワイヤー642はプリント回路板638へ電気接続され、この回路板は次いでワイヤー640を介してエネルギー源(図示せず)へ配線される。導電ワイヤー636によって記憶合金ワイヤー642用の回路が完成される。
【0230】
締付装置610は、パネル(図示せず)中の円形の孔あるいは穴を通して、該パネル後部からワイヤー640が突き出ているそのパネル端部へ挿入されるように意図されている。顎部614は、パネル(図示せず)を外部素子646へ固定するため、該外部素子646上の掛け金644に噛合う。
【0231】
前記パネルを前記外部素子646へ取り付けるために、記憶合金ワイヤー642はワイヤー640を介して外部エネルギー源によってエネルギー付与されて記憶合金ワイヤー642を加熱させて該ワイヤーを図52に示す位置まで収縮させる。この状態ではブロック618は引き戻されているため、留め部材626によって顎部614が引き離される。パネルは顎部614が掛け金644周囲で宙に浮くように位置取りされる。この段階において、記憶合金ワイヤー642へのエネルギー付与は止められ、記憶合金ワイヤー642は冷えて図54に示した形状にまで伸張する。コイルスプリング628によってブロック618は左方(掛け金644の方)へ押し付けられる。留め部材626はそれ以上顎部614の基部を圧迫しないため、顎部614は図54及び55に示すように閉じて掛け金644と噛合う。このような方式によってパネルが外部素子646へ締め付けられる。
【0232】
パネルを取り外す際には、記憶合金ワイヤー642に再度エネルギーが付与されて該ワイヤーが再度加熱及び収縮され、締付装置610は図52に示す配置を取り、掛け金644から顎部614が解き離される。
【0233】
当業者に自明であるように、掛け金644の変更と同様、噛合い手段612の設計を図52〜55に示した設計から大きく変えることが可能である。噛合い手段612及びブロック618を異なる噛合い方式をもつ別のモジュールと置換え可能なモジュールとして用いることも可能である。
【0234】
図52〜55に示した締付装置610は「列状」締付具タイプである。
【0235】
図56に示した締付装置650は別のタイプの「列状」締付具である。この第二の実施態様において、図示された締付装置650は燃料充填機キャップへの使用に適する。図56中の噛合い手段を図52〜55に示した噛合い手段612の代わりに用いることも可能である。図56においては、図52〜55に示した部品と同一部品には同一符号が用いられている。
【0236】
締付装置650には、ブロック656と一体化されたロッド654(円形断面をもつ)が含まれる。ゴム製グロメット658を用いてロッド654と締付装置650の機械装置間の液体及び気体密封性が確保されている。
【0237】
締付装置650は、ロッド654が燃料充填機キャップ(図示せず)と噛合うように、ロック位置において噛合い手段652と共に図示されている。ロッド654には図56に示すような四角に切られた末端部660あるいは破線で示すような傾斜した末端部662が設けられる。末端部のこのような形状はロッド654と燃料充填機キャップとの噛合い方によって決められる。
【0238】
コイルスプリング628によって噛合い手段652はロック位置の方へと付勢される。前述したように活性化された形状記憶合金ワイヤー642は収縮して、噛合い手段652をブロック656からの突起部632の開口634中にある形状記憶合金ワイヤー642の取付け部分を介してロック解除位置の方へと引き出すことができる。
【0239】
ロック及びロック解除は、図52〜55に示した実施態様に関して前記したように、通常記憶ワイヤー642の収縮と連携して起こる。
【0240】
締付装置650は自動車の燃料充填機空洞内あるいはそれに近接して配置され、また前記活性化は自動車ダッシュボード上あるいはキーフォッブ上にあるボタンを押すことによって起こるように意図されている。
【0241】
図57に示した実施態様は、2つの点において図56に示した締付装置と異なる燃料充填機キャップ用の締付装置である。まず第一点として、図57の実施態様では燃料充填機留め部材がより長く移動できるようになっている。第二点として、図57の実施態様には自動車のダッシュボードあるいはキーフォッブからの活性化装置に何らかの作動不調が起こった場合のための手動補助装置が含まれている。
【0242】
図57の締付装置670には舌状体674を備える噛合い手段672が含まれている。この噛合い手段672は、図57に示すように、この実施態様ではブロック676とハウジング部678との間に位置するコイルスプリング628によってロック位置の方へ付勢される。
【0243】
形状記憶合金ワイヤー642の両端はハウジング684内の溝682中に保持されるプリント回路板(PCB)680へ取り付けられる。形状記憶合金ワイヤー642は、留め部材686を通して固定されたパネル680から、スピンドル688上、さらにそこから別のスピンドル690、次いでブロック676へと移動してから、PCB680へ戻ってくる。そのため形状記憶合金ワイヤー642の長さが非常に長くなるが、そのため噛合い手段672がより長い距離を移動することが可能となる。
【0244】
図57に示した実施態様にはワイヤー694を用いてブロック676へ取り付けられる手動補助装置引き手692が備えられている。ワイヤー694は形状記憶合金ワイヤーから成るものではなく、単に引き手694とブロック676間へ機械的連結を与えるものである。形状記憶合金ワイヤー642がワイヤー640を通して外部電源(図示せず)から与えられる電力を介して活性化されなかった場合、引き手692を用いて噛合い手段672を図57に示した位置の右方へ機械的に引き出して舌状体674を燃料充填機キャップ(図示せず)から取り外すことが可能である。
【0245】
図58〜61に示した本発明の次の観点に従った実施態様では、締付装置600にはアーム594及び突起部596から成る第一噛合い手段とキャップ602中の相補的空洞598である第二噛合い手段が備えられている。締付装置600は基部604上へキャップ602を保持するように意図されている。
【0246】
ロック部材606はストリップ形状を呈し、及び図58及び59を図60及び61と比較すれば理解されるようにアーム594間を縦方向へスライド可能である。ロック部材606のスロット609中にはアーム594間へのロック部材606の配置を連携する突起607が設置されている。
ロック部材606には形状記憶合金ワイヤー40が取り付けられる。ワイヤー40の張力は引張ねじ1110によって調ノード可能である。
【0247】
スプリング1112は電力が印加されない時に締付装置600をロック状態に保持する補助的役割を果たし、またワイヤー40が収縮後冷えた時に、その元の伸びた状態へ戻す補助的役割も果たす。
【0248】
バッテリー37はスイッチ39によって作動されて締付装置600へ電力が供給される。ワイヤー40へ送られる電力量はプリント回路板1108にプログラム化されている。例えば、プリント回路板1108によって所望の温度へ達するまでの一連の段階においてワイヤー40への電力供給が為され、一定段階においてプリント回路板1108によってワイヤー40への電力供給を止めてワイヤー40を弛緩させることができる。プリント回路板1108によってさらに締付装置600の状態、ヒストリー等に関するレポートを行うことも可能である。
【0249】
図62に示した本発明の一観点に従った実施態様では、先の実施態様におけるロック部材と異なってロック部材はストリップ形状に作られていない。しかしながら、便宜上全体的に同一の符号を用いて説明する。図62の実施態様においては、締付装置600にアーム594及び突起部596を含む第一噛合い手段が備えられている。第二噛合い手段はキャップ602中の空洞598によって構成されている。図に示すように、突起部96が空洞98内においてこの実施態様におけるロック部材である真鍮製スラグ1114と噛合う時、キャップ602は基部604に対してロックされる。真鍮製スラグ1114には、図に示すように、形状記憶合金ワイヤー40が取り付けられる。真鍮製スラグ1114はスプリング1112によって突起部96の間にあるそれ自体のロック位置に付勢される。スイッチ39が作動されると、プリント回路板1118によって、バッテリー37から適当な電力がワイヤー40へ供給されて該ワイヤー40が収縮を起こすまで加熱され、スラグ1114が突起部596間にあるロック位置から引き出されるように確保される。この段階において、アーム594の内側に付勢されている突起部596が空洞598から取り出され、キャップ602を基部604から取り外すことが可能となる。
【0250】
再充電型バッテリー37には充電用接触子49が設けられる。充電用接触子49の形状は、対応するプラグあるいはソケット(図示せず)と係合するソケットあるいはプラグ形状とすることができる。
【0251】
次に図63〜68において、フレーム組立系10(この図ではフレーム組立系の一部のみを見ることができる)には、殆どの場合フレーム10へ取り付けられた整形板及び覆いで見えなくなっている数個の取付けノード12が備えられている。取付けノード12aに用いられる締付具は好ましくは図1〜3に示されたタイプのものであり、また取付けノード12bに用いられる締付具は図5〜7示されたタイプのものである。
【0252】
個々の取付け方式は図64及び65に図示されており、ここでは荷箱14がフレーム組立系へ取り付けられる。荷箱14には取付けノード12へ挿入するための締付具16が2個備えられている。これら締付具16は好ましくは前記図14〜16に図示されたタイプのものである。図65は適所に固定して取り付けられた荷箱を示した図である。図65から理解されるように、締付具16は荷箱14の取付け後には見えなくなる。荷箱14は権限なく、また荷箱14へ損傷を与えることなく取り外すことは不可であり、これによって安全性が強化される。
【0253】
次に図66において、フレーム10には2種の取換え型シート18a及び18bを取り付けるための取付けノード12が備えられている。シート18aは一人用シートであるのに対し、シート18bは荷物キャリア20付の二人用シートである。この図から、本発明に従ったフレーム組立系は、オートバイへ適用される場合、多様な用途性をもつことが理解される。また、例えばツーリングを行う際、シート18aを取り外してシート18bに取り換えることが可能である。
【0254】
図68は適当な締付具(図示せず)を用いた風防ガラス22のフレーム組立系10への取付けを示した図である。風防ガラス22は必要のない時には取外し可能である。
【0255】
図68には、GPS装置24がハンドル23へ取付け可能に図示されている。また同図において、燃料充填機キャップ28を本発明によるフレーム組立系へ組み入れることも可能である。このような構成とすることにより、燃料キャップ28は許可なく、あるいは破壊することなく取り外しできなくなるため、燃料の盗難を防止することが可能となる。
【0256】
図69には、形状記憶合金ワイヤー40がエラストマー部材中に包含された状態で図示されている。図69におけるSMA(スマートメモリーアロイ)ワイヤー40は弛緩し、収縮していない状態にある。図70ではワイヤー40は収縮し、エラストマー部材144は縦方向へ圧迫された状態となっている。エラストマー部材144は図69に示した元の形状へ戻ろうとし続けている。その結果、ワイヤー40が必要な温度まで冷却されるや否や、ワイヤーは弛緩し、エラストマー部材144の作用下で図69に示した形状へと戻される。
【0257】
図71及び72に示す実施態様では、3本のSMAワイヤー40a、40b及び40cが用いられる。ワイヤー40a及び40bが加熱されて収縮すると、エラストマー部材144は図72に示すように左側へ湾曲する。ワイヤー40a及び40bが弛緩すると、元の形状へ戻ろうとする性質をもつエラストマー部材144によってワイヤー40a及び40bは図71に示した形状となるまで引っ張られる。
ワイヤー40cが活性化されると、エラストマー部材144は右側へ湾曲することが理解されるであろう。
【0258】
図73及び74では、SMAワイヤー40はエラストマー部材144の周囲に巻きつけられて螺旋状となっている。ワイヤー40が活性化されて収縮すると、エラストマー部材144は圧迫されて図74に示すような伸張された形状となる。エラストマー部材144の元の形状へ戻ろうとする性質によってワイヤー40が拡がるように付勢され、ワイヤー40が十分冷却された時、前記部材は図73に示した形状へ戻される。
【0259】
図75、76及び77では、SMAワイヤーによって一連の三角形の辺が形成されるように図示されている。同時に、これらワイヤーはエラストマー部材144の3次元体表面上に位置している。ワイヤー40が交代的に収縮するとエラストマー部材144の図77に矢印で示す方向への捻れがひき起こされる。この場合においても、エラストマー部材144の復元力によってその三次元体を元の形状へ戻すことが可能である。
ワイヤー40が同時に収縮すると、三次元体には図73及び74に示した実施態様と同様な伸張がひき起こされる。
【0260】
本発明が、その種々観点において、広範囲に及ぶ産業上の利用性をもち、締付具、締付装置、及び多分野に亘る産業において利用性をもつことは当業者に自明であろう。
【図面の簡単な説明】
【0261】
【図1】本発明の第一の観点に従った、噛合い位置にある締付具の側面図である。
【図2】噛合い解除位置にある状態の図1の締付具を示した図である。
【図3】図1及び2に示した締付具の背面図である。
【図4】図1、2及び3に示した締付具の実用用途における実施態様を示した図である。
【図5】本発明の第二の観点に従った締付装置の第一の実施態様の側面図である。
【図6】図5に示した締付装置が噛合い状態にある時の平面図である。
【図7】図5及び6に示した締付装置が噛合い解除状態にある時の平面図である。
【図8A】本発明の第二の観点に従った締付装置の第二の実施態様の分解組立図である。
【図8B】図8Aに示した第二の実施態様の変形の分解組立図である。
【図8C】図8Bに示した変形の半組立品を示した図である。
【図8D】噛合い状態にある図8Bに示した組立品の一部を示した図である。
【図8E】図8Dの線A−Aに沿った断面図である。
【図8F】図8Dに類似するが噛合い解除位置にある状態を示した断面図である。
【図8G】図8Fの線A−Aに沿った断面図である。
【図9】図8Aに示した実施態様の詳細拡大図である。
【図10】本発明の第二の観点に従った締付装置の第三の実施態様の上部平面図である。
【図11】ロック状態にある図10に示した締付装置の側方断面図である。
【図12】ロック解除状態にある図10及び11に示した締付装置の上部平面図である。
【図13】ロック解除状態にある図12に示したリングクリップ締付具の断面図であり、図11との比較に有用な図である。
【図14】本発明の第二の観点に従った締付装置のさらに別の実施態様である植込みボルト形締付具においてピンを開口中へ入れる前の状態を示した図である。
【図15】ロック位置にある図14の締付装置を示した図である。
【図16】ロック解除位置にある図14及び15の締付装置を示した図である。
【図17】本発明の第二の観点に従ったさらに別の実施態様である植込みボルト形締付具の第二の実施態様を示した分解組立図である。
【図18】図17に示した実施態様の変形の上面図である。
【図19】図18に示した線A−Aに沿って得られる図18に示した実施態様の断面図である。
【図20】植込みボルト形締付具の第三の実施態様の上面図である。
【図21】図20に示した線A−Aに沿って得られる図20に示した実施態様の断面図である。
【図22】本発明に従った植込みボルト形締付具タイプである締付装置の実施態様の上部平面図である。
【図23】ロック状態にある図22に示した締付具の断面図である。
【図24】図23と同一の断面図であるが、ピンが噛合っている状態を示した図である。
【図25】ロック解除状態にある図22の締付装置の断面図であり、図24との比較に有用な図である。
【図26】本発明に従った植込みボルト形締付具である締付装置のさらに別の実施態様の斜視図である。
【図27】後部キャップが取り外された状態にある図26に示した実施態様の底面図である。
【図28】ロック状態にある、ピンが取り外された図26の実施態様を示した図である。
【図29】ロック解除状態にある、ピンが取り外された図26の実施態様を示した図である。
【図30】ロック位置にある図26の実施態様の底面図である。
【図31】図30に示した線17−17に沿って得られる図30に示した締付組立品の断面図である。
【図32】ロック解除位置にある図26の実施態様の底面図である。
【図33】図32に示した線19−19に沿って得られる図30に示した締付具のロック解除位置にある時の断面図である。
【図34】本発明の第二の観点に従った締付装置に用いられる手動補助装置の平面図である。
【図35】図34に示した線20−20に沿って得られる図34に示した手動補助装置の側方断面図である。
【図36】ロック解除位置にある図34の手動補助装置を示した図である。
【図37】図36に示した線23−23に沿って得られる手動補助装置の側方断面図である。
【図38】本発明に従ったリンク型締付装置の斜視図である。
【図39】図38に示した締付装置の一方の拡大図である。
【図40】カバーが取り外された状態にある図39に示した締付装置のさらに別の拡大図である。
【図41】本発明に従った列状締付具タイプである締付装置のさらに別の実施態様のロック位置にある時の側方断面図及び張力低減組立品を示した図である。
【図42】図41に示した実施態様の上方断面図である。
【図43】図41に示した実施態様の左端部の拡大図である。
【図44】ロック解除位置を取った直後の状態にある図43の実施態様を示した図である。
【図45】引き出し手段が冷却中の状態にある図44の実施態様を示した図である。
【図46】開位置に完全にリセットされ、ロック位置へ直ぐに移動し、また必要であれば直ちにロック解除する状態にある図45の実施態様を示した図である。
【図47】自動車ドアに関して、本発明に従った締付装置をどうのようにして一般的な自動車CANネットワークへ統合できるかについての例を示した図である。
【図48】図47に示した装置の少なくとも一部を図式化して示した図である。
【図49】図47及び48に例示されたネットワーク概念を多くの自動車部品へ拡大できるかについて示した図である。
【図50】図48に類似する図であるが、本発明に従った締付装置の機能の拡大例を示した図である。
【図51】本発明に従った締付装置の自動車における構成例を示した図である。
【図52】ロック解除位置にある本発明の第三の観点に従った締付装置の第一の実施態様の断面図である。
【図53】図52に含まれている掛け金の末端図である。
【図54】ロック位置にある図52に示した実施態様の断面図である。
【図55】図54に示された線4−4に沿って得られる図54に示した実施態様の末端図である。
【図56】本発明の第三の観点に従った締付装置の第二の実施態様の側方断面図である。
【図57】手動補助装置を示す、本発明の第三の観点に従った締付装置の第三の実施態様の側方断面図である。
【図58】ロック位置にある、本発明の第四の観点に従った締付装置の一実施態様の断面図である。
【図59】猶ロック状態にある図58に示した実施態様の側方断面図である。
【図60】図58に対応する断面図であるが、ロック解除状態にある締付装置を示した図である。
【図61】図59に対応する図であるが、ロック解除状態にある締付装置を示した図である。
【図62】本発明の第四の観点に従った締付装置の第二の実施態様の断面図である。
【図63】数個の取付けノードの位置が概略的に示された本発明の第五の観点が組み入れられたオートバイのスケッチである。
【図64】荷箱の取り付けに関して図63のオートバイの後部を示した図である。
【図65】荷箱が適所に取り付けられた図64に類似した図である。
【図66】別の形状のシートの取り付け状態を示す、図64及び65に類似した図である。
【図67】風防ガラスの取り付けあるいは取外しを示すために図63のオートバイの前部を示した図である。
【図68】GPS装置及び燃料タンク用の取付けノードを示すために図63のオートバイの前部を示した図である。
【図69】本発明の第六の観点に従った第一の実施態様を示した図である。
【図70】本発明の第六の観点に従った第一の実施態様を示した図である。
【図71】本発明の第六の観点に従った第二の実施態様を示した図である。
【図72】本発明の第六の観点に従った第二の実施態様を示した図である。
【図73】本発明の第六の観点に従った第三の実施態様を示した図である。
【図74】本発明の第六の観点に従った第三の実施態様を示した図である。
【図75】本発明の第六の観点に従った第四の実施態様を示した図である。
【図76】本発明の第六の観点に従った第四の実施態様を示した図である。
【図77】本発明の第六の観点に従った第四の実施態様を示した図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロック空洞をもつピン、
前記ピンを受け止める開口、
前記ピンが前記開口中に受け止められた時、前記ピンのロック空洞と噛合うようになっているロック手段、及び
活性化された際に収縮するようになっている材料が含まれるロック解除手段を備える解除可能な締付装置であって、
前記ロック手段は、前記材料が収縮した時に前記ロック空洞との噛合いを解除するようになっている噛合い手段から成るか、あるいは前記ロック手段に前記噛合い手段が含まれることを特徴とする前記締付装置。
【請求項2】
前記ピンがスタッド、ペグあるいはボルトであることを特徴とする請求項1項記載の締付装置。
【請求項3】
前記ピンの基部が先細になっていることを特徴とする請求項1または2項記載の締付装置。
【請求項4】
前記ロック空洞が前記ピンの外辺部周囲の溝であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の締付装置。
【請求項5】
前記ロック空洞が前記ピン中の1または2以上の凹みであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の締付装置。
【請求項6】
前記噛合い手段が前記溝のいくつかと噛合うようになっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の締付装置。
【請求項7】
前記噛合い手段が1または2以上のロック部材であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の締付装置。
【請求項8】
前記噛合い手段が、カラー、付勢スプリング、円形クリップ、あるいはクリップシャシーとして成る1個のロック部材であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の締付装置。
【請求項9】
前記ロック手段にクリップシャシーが付勢スプリングあるいは円形クリップと共に含まれることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の締付装置。
【請求項10】
前記ロック解除手段が前記噛合い手段へ連結されることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の締付装置。
【請求項11】
前記ロック解除手段が前記クリップシャシーへ連結されることを特徴とする請求項9項記載の締付装置。
【請求項12】
前記噛合い手段が歯状体として成る単一のロック部材であることを特徴とする請求項7項記載の締付装置。
【請求項13】
歯状体としてのロック部材が複数あることを特徴とする請求項7項記載の締付装置。
【請求項14】
前記あるいは各歯状体が回転可能なシャトルで取り囲まれることを特徴とする請求項12または13に記載の締付装置。
【請求項15】
前記活性化された際に収縮するようになっている材料が前記シャトル周囲に巻き付けられることを特徴とする請求項14項記載の締付装置。
【請求項16】
前記ロック手段にスライド可能なシャトルが含まれることを特徴とする請求項1〜3及び5のいずれかに記載の解除可能な締付装置。
【請求項17】
前記活性化された際に収縮するようになっている材料が形状記憶合金ワイヤーであることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の締付装置。
【請求項18】
前記開口の形状が前記ピンの断面形状と同一であることを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の締付装置。
【請求項19】
マイクロプロセッサを備えることを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の締付装置。
【請求項20】
前記マイクロプロセッサが、前記活性化された際に収縮するようになっている材料へのエネルギー供給を制御するようになっていることを特徴とする請求項19項記載の締付装置。
【請求項21】
前記マイクロプロセッサによって、前記噛合い手段が噛合っているか、あるいは噛合い解除されているかが検知されるようになっていることを特徴とする請求項19または20に記載の締付装置。
【請求項22】
前記マイクロプロセッサによって、前記活性化された際に収縮するようになっている材料の温度が制御されるようになっていることを特徴とする請求項19〜21のいずれかに記載の締付装置。
【請求項23】
前記活性化された際に収縮するようになっている材料を活性化しなくても前記噛合い手段の噛合いを解除させる手段が含まれることを特徴とする請求項1〜22のいずれかに記載の締付装置。
【請求項24】
シャトルをロック位置からロック解除位置まで移動させるようになっている手動作動装置及びシャトルがロック解除位置へ移動するように手動作動装置を引き出す手段が含まれることを特徴とする、ロック位置とロック解除位置の間を移動可能なシャトルを備える締付装置用手動補助装置。
【請求項25】
前記引き出し手段が前記手動作動装置へ連結されたロッドから成るか、あるいは前記引き出し手段に前記ロッドが含まれることを特徴とする請求項24項記載の手動補助装置。
【請求項26】
前記引き出し手段がボーデンケーブルから成るか、あるいは前記引き出し手段にボーデンケーブルが含まれることを特徴とする請求項24項記載の手動補助装置。
【請求項27】
前記引き出し手段がロック位置の方へ付勢されることを特徴とする請求項24〜26のいずれかに記載の手動補助装置。
【請求項28】
前記引き出し手段に保持手段がさらに含まれることを特徴とする請求項24〜27のいずれかに記載の手動補助装置。
【請求項29】
1または2以上の締付装置を解除するようになっている請求項24〜28のいずれかに記載の手動補助装置。
【請求項30】
前記手動作動装置が連結ロッドで各締付装置と連結されていることを特徴とする請求項29項記載の手動補助装置。
【請求項31】
リンク装置によって第二締付装置へ連結されている第一締付装置であって、前記第一及び第二締付装置は活性化された際に収縮するようになっている手段の介在によって解除するようになっており、前記リンク装置は前記第一及び第二締付装置を、
(a)第一締付具中において活性化された際に収縮するようになっている手段の活性化、
(b)第二締付具中において活性化された際に収縮するようになっている手段の活性化、
(c)前記第一及び第二締付具双方において活性化された際に収縮するようになっている手段の活性化、及び
(d)手動補助装置の操作、のいずれかによってロック解除位置まで移動させるようになっていることを特徴とする前記第一締付装置。
【請求項32】
(a)掛け金手段及びロック手段を備え、かつロック位置とロック解除間を移動可能な噛合い手段、
(b)前記噛合い手段をロック位置の方へ付勢する付勢手段、及び
(c)前記噛合い手段をロック位置からロック解除位置へ引き出し、かつ活性化された際に収縮するようになっている材料から成るか、あるいは前記材料が含まれる引き出し手段を備える締付具組立品。
【請求項33】
前記噛合い手段にロッドまたは舌状体が含まれることを特徴とする請求項32項記載の締付具組立品。
【請求項34】
活性化された際に収縮するようになっている材料が含まれる引っ張り力低減組立品であって、前記材料には、
(a)前記材料が直接あるいは間接に連結された部材へ一つの要素を移動するような第一引っ張り力、
(b)前記第一引っ張り力よりも大きな第二引っ張り力、及び
(c)前記第一引っ張り力と前記第二引っ張り力の中間の第三引っ張り力が備えられていること
及び材料への引っ張り力が第三引っ張り力に実質的に到達した時に、活性化される手段を備えていることを特徴とする前記引っ張り力低減組立品。
【請求項35】
(a)第一噛合い手段、
(b)第二噛合い手段、及び
(c)前記第一噛合い手段が第二噛合い手段と噛合った状態に保持されるロック位置と、前記第一噛合い手段が第二噛合い手段から自由に噛合い解除されるロック解除位置間を移動可能なロック部材を備える締付装置であって、
前記ロック部材は前記活性化された際に収縮するようになっている手段によってロック解除位置へ移動できるようになっていることを特徴とする前記締付装置。
【請求項36】
フレームに1または2以上の取付けノードが設けられ、及びフレーム組立系によってエネルギー、データ及び材料の1または2以上の受け渡しが可能となっていることを特徴とする改良されたフレーム組立系。
【請求項37】
(a)締付素子、
(b)前記締付素子へ取り付けられ、かつ活性化された際に収縮するようになっている部材が含まれる作動装置、及び
(c)それ以上収縮が起こらなくなった時に前記部材を弛緩状態に保持するようになっている保持手段を備え、前記保持手段は、活性化された時に収縮する材料の収縮によって変形する弾性材料を含むかそれからなることを特徴とする締付具。
【請求項1】
ロック空洞をもつピン、
前記ピンを受け止める開口、
前記ピンが前記開口中に受け止められた時、前記ピンのロック空洞と噛合うようになっているロック手段、及び
活性化された際に収縮するようになっている材料が含まれるロック解除手段を備える解除可能な締付装置であって、
前記ロック手段は、前記材料が収縮した時に前記ロック空洞との噛合いを解除するようになっている噛合い手段から成るか、あるいは前記ロック手段に前記噛合い手段が含まれることを特徴とする前記締付装置。
【請求項2】
前記ピンがスタッド、ペグあるいはボルトであることを特徴とする請求項1項記載の締付装置。
【請求項3】
前記ピンの基部が先細になっていることを特徴とする請求項1または2項記載の締付装置。
【請求項4】
前記ロック空洞が前記ピンの外辺部周囲の溝であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の締付装置。
【請求項5】
前記ロック空洞が前記ピン中の1または2以上の凹みであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の締付装置。
【請求項6】
前記噛合い手段が前記溝のいくつかと噛合うようになっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の締付装置。
【請求項7】
前記噛合い手段が1または2以上のロック部材であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の締付装置。
【請求項8】
前記噛合い手段が、カラー、付勢スプリング、円形クリップ、あるいはクリップシャシーとして成る1個のロック部材であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の締付装置。
【請求項9】
前記ロック手段にクリップシャシーが付勢スプリングあるいは円形クリップと共に含まれることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の締付装置。
【請求項10】
前記ロック解除手段が前記噛合い手段へ連結されることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の締付装置。
【請求項11】
前記ロック解除手段が前記クリップシャシーへ連結されることを特徴とする請求項9項記載の締付装置。
【請求項12】
前記噛合い手段が歯状体として成る単一のロック部材であることを特徴とする請求項7項記載の締付装置。
【請求項13】
歯状体としてのロック部材が複数あることを特徴とする請求項7項記載の締付装置。
【請求項14】
前記あるいは各歯状体が回転可能なシャトルで取り囲まれることを特徴とする請求項12または13に記載の締付装置。
【請求項15】
前記活性化された際に収縮するようになっている材料が前記シャトル周囲に巻き付けられることを特徴とする請求項14項記載の締付装置。
【請求項16】
前記ロック手段にスライド可能なシャトルが含まれることを特徴とする請求項1〜3及び5のいずれかに記載の解除可能な締付装置。
【請求項17】
前記活性化された際に収縮するようになっている材料が形状記憶合金ワイヤーであることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の締付装置。
【請求項18】
前記開口の形状が前記ピンの断面形状と同一であることを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の締付装置。
【請求項19】
マイクロプロセッサを備えることを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載の締付装置。
【請求項20】
前記マイクロプロセッサが、前記活性化された際に収縮するようになっている材料へのエネルギー供給を制御するようになっていることを特徴とする請求項19項記載の締付装置。
【請求項21】
前記マイクロプロセッサによって、前記噛合い手段が噛合っているか、あるいは噛合い解除されているかが検知されるようになっていることを特徴とする請求項19または20に記載の締付装置。
【請求項22】
前記マイクロプロセッサによって、前記活性化された際に収縮するようになっている材料の温度が制御されるようになっていることを特徴とする請求項19〜21のいずれかに記載の締付装置。
【請求項23】
前記活性化された際に収縮するようになっている材料を活性化しなくても前記噛合い手段の噛合いを解除させる手段が含まれることを特徴とする請求項1〜22のいずれかに記載の締付装置。
【請求項24】
シャトルをロック位置からロック解除位置まで移動させるようになっている手動作動装置及びシャトルがロック解除位置へ移動するように手動作動装置を引き出す手段が含まれることを特徴とする、ロック位置とロック解除位置の間を移動可能なシャトルを備える締付装置用手動補助装置。
【請求項25】
前記引き出し手段が前記手動作動装置へ連結されたロッドから成るか、あるいは前記引き出し手段に前記ロッドが含まれることを特徴とする請求項24項記載の手動補助装置。
【請求項26】
前記引き出し手段がボーデンケーブルから成るか、あるいは前記引き出し手段にボーデンケーブルが含まれることを特徴とする請求項24項記載の手動補助装置。
【請求項27】
前記引き出し手段がロック位置の方へ付勢されることを特徴とする請求項24〜26のいずれかに記載の手動補助装置。
【請求項28】
前記引き出し手段に保持手段がさらに含まれることを特徴とする請求項24〜27のいずれかに記載の手動補助装置。
【請求項29】
1または2以上の締付装置を解除するようになっている請求項24〜28のいずれかに記載の手動補助装置。
【請求項30】
前記手動作動装置が連結ロッドで各締付装置と連結されていることを特徴とする請求項29項記載の手動補助装置。
【請求項31】
リンク装置によって第二締付装置へ連結されている第一締付装置であって、前記第一及び第二締付装置は活性化された際に収縮するようになっている手段の介在によって解除するようになっており、前記リンク装置は前記第一及び第二締付装置を、
(a)第一締付具中において活性化された際に収縮するようになっている手段の活性化、
(b)第二締付具中において活性化された際に収縮するようになっている手段の活性化、
(c)前記第一及び第二締付具双方において活性化された際に収縮するようになっている手段の活性化、及び
(d)手動補助装置の操作、のいずれかによってロック解除位置まで移動させるようになっていることを特徴とする前記第一締付装置。
【請求項32】
(a)掛け金手段及びロック手段を備え、かつロック位置とロック解除間を移動可能な噛合い手段、
(b)前記噛合い手段をロック位置の方へ付勢する付勢手段、及び
(c)前記噛合い手段をロック位置からロック解除位置へ引き出し、かつ活性化された際に収縮するようになっている材料から成るか、あるいは前記材料が含まれる引き出し手段を備える締付具組立品。
【請求項33】
前記噛合い手段にロッドまたは舌状体が含まれることを特徴とする請求項32項記載の締付具組立品。
【請求項34】
活性化された際に収縮するようになっている材料が含まれる引っ張り力低減組立品であって、前記材料には、
(a)前記材料が直接あるいは間接に連結された部材へ一つの要素を移動するような第一引っ張り力、
(b)前記第一引っ張り力よりも大きな第二引っ張り力、及び
(c)前記第一引っ張り力と前記第二引っ張り力の中間の第三引っ張り力が備えられていること
及び材料への引っ張り力が第三引っ張り力に実質的に到達した時に、活性化される手段を備えていることを特徴とする前記引っ張り力低減組立品。
【請求項35】
(a)第一噛合い手段、
(b)第二噛合い手段、及び
(c)前記第一噛合い手段が第二噛合い手段と噛合った状態に保持されるロック位置と、前記第一噛合い手段が第二噛合い手段から自由に噛合い解除されるロック解除位置間を移動可能なロック部材を備える締付装置であって、
前記ロック部材は前記活性化された際に収縮するようになっている手段によってロック解除位置へ移動できるようになっていることを特徴とする前記締付装置。
【請求項36】
フレームに1または2以上の取付けノードが設けられ、及びフレーム組立系によってエネルギー、データ及び材料の1または2以上の受け渡しが可能となっていることを特徴とする改良されたフレーム組立系。
【請求項37】
(a)締付素子、
(b)前記締付素子へ取り付けられ、かつ活性化された際に収縮するようになっている部材が含まれる作動装置、及び
(c)それ以上収縮が起こらなくなった時に前記部材を弛緩状態に保持するようになっている保持手段を備え、前記保持手段は、活性化された時に収縮する材料の収縮によって変形する弾性材料を含むかそれからなることを特徴とする締付具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8(a)】
【図8(b)】
【図8(c)】
【図8(d)】
【図8(e)】
【図8(f)】
【図8(g)】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【図65】
【図66】
【図67】
【図68】
【図69】
【図70】
【図71】
【図72】
【図73】
【図74】
【図75】
【図76】
【図77】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8(a)】
【図8(b)】
【図8(c)】
【図8(d)】
【図8(e)】
【図8(f)】
【図8(g)】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図64】
【図65】
【図66】
【図67】
【図68】
【図69】
【図70】
【図71】
【図72】
【図73】
【図74】
【図75】
【図76】
【図77】
【公開番号】特開2012−229808(P2012−229808A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−134425(P2012−134425)
【出願日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【分割の表示】特願2006−538607(P2006−538607)の分割
【原出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【出願人】(502331363)テレズィゴロジー インク (7)
【氏名又は名称原語表記】TELEZYGOLOGY Inc.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【分割の表示】特願2006−538607(P2006−538607)の分割
【原出願日】平成16年11月17日(2004.11.17)
【出願人】(502331363)テレズィゴロジー インク (7)
【氏名又は名称原語表記】TELEZYGOLOGY Inc.
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]