説明

編地の編成方法

【課題】襠の大きさが前後の編地部で異なる場合、襠の接合完了時点で捻じれ目がなく、回し込みを行うことなくそのまま筒状編地部を連続編成していく編成方法。
【解決手段】筒状編地部を接合して襠を形成し始める時点で、回し込み動作により前後の編地部の接合側境界部を前後の針床間に位置させても、筒状編地部の編み始めの時点と、襠形成後の時点において、前後の編地部の接合側境界部とは反対側に位置する基準境界部が、針床上の非接合側編幅端部の編目に対して同じ位置になるように、筒状編地部を編み始める時点での基準境界部の位置を設定する。この設定は襠の前後差と、この前後差により生ずる回し込み量に基づいて設定する。設定位置に従い、前後の編地部を編み始めから襠形成位置まで編成した後、回し込みで接合側境界部を前後の針床間に位置させ、襠の小さい編地部が編成される針床上の非接合側編幅端部の編目を他方の針床に回し込みして襠を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、襠を有するように、複数の筒状編地部を接合して形成される編地の編成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ニット製品において、セーター、パンツなど、複数の筒状編地部を編成し、これら筒状編地部を一部分で接合した製品は数多くある。筒状編地部の接合部分には襠と呼ばれる部分(例えばセーターの脇部やパンツの股下部など)を形成することがある。
【0003】
このように、筒状編地部の接合部分に襠を形成することで、平面的な編地により構成されるニット製品が立体的になり、体型に沿った着心地のよい製品が得られる。
【0004】
本出願人は、すでに、筒状編地部の接合部分に襠が形成される編地の接合方法を提案している(特許文献1に示す)。特許文献1では、前編地部と後編地部の襠部分の長さが等しい場合の接合方法を示している。具体的には、筒状編地部の前編地部同士、後編地部同士を前後編地部の境界から近い側のループ同士および遠い側のループ同士が重なるように重ね合わせて伏目処理を行うことにより、筒状編地部の接合部分に襠を形成するようになっている。この襠を有する編地の編成方法により、身体の動きの自由度が高いニットウェアを提供できるようになった。
【0005】
【特許文献1】国際公開第01/88243号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前記した襠を有する編地は、人間の動きを考えると、例えばセーターの場合、前編地部の襠を後編地部の襠よりも大きくする方が、ニットウェアとしての着心地がさらに良くなる。
【0007】
前編地部の襠を後編地部の襠よりも大きくするには、襠について、前身頃と前袖との接合領域となるウェール数を、後身頃と後袖との接合領域のウェール数よりも多くとる必要がある。
【0008】
しかしながら、前後の襠のウェール数を異なるようにして、編地の接合を行うと、襠の形成が完了した時点で、前後の編地部のうち、襠の狭い側の編地部(セーターの場合は袖の後編地部)が襠の広い側の編地部(セーターの場合は袖の前編地部)に比べて左右方向の長さが長くなる。また、前後の針床で係止される編目の数(編幅)は、前後においてほぼ同じ数にする方が編成の都合上好ましい。そのため、通常は、襠形成後において左右方向の長さが長くなる編地部(例えば後編地部)は、接合部とは反対側に位置する後針床上の編幅端部の編目の一部を対向する針床(前針床)の針に移動させる回し込みを行う。
【0009】
このように回し込みを行うと、襠を形成する前に後針床の針に係止されていた編目が、襠形成後において前針床の針に移ったままとなる。この襠の形成が完了した状態の編目の上に、編目を編成していくと、接合前に後針床にあった編目は前針床に移動したままその上に編目が形成されることになる。
【0010】
ここで、後針床にあった編目が前針床に移されると、編目は捻じられた状態で前針床の針に移される。捻じれ目の上に新たな編目が形成されると、捻じれ目が固定されて、衣類の商品価値が失われ好ましくない。特に、袖については、捻じれた編目が人の目につく箇所に現れてしまい好ましくない。
【0011】
そこで、捻じりを防止するためには、回し込みを行う前に予め編目を捻っておき、襠部分の接合を行うために、この捻っておいた編目を他方の針床の針に目移しすることで、編目の捻じれを解消する手段がある。
【0012】
また、他の方法としては、例えば袖と身頃のように、襠部分の接合が完了して、複数の筒状編地部が連結されて1つの筒状編地部となったものを、一方の袖の前編地部と後編地部の境界部が前針床と後針床の間に位置するように編目を回しておいて、この一方の袖と身頃とを接合しながら所定のコース数をC字状編成する。その後、他方の袖の前編地部と後編地部の境界部が前針床と後針床の間に位置するように編目を回しておいて、この他方の袖と身頃とを接合しながら所定のコース数をC字状編成する。そして、これらの編成工程を繰り返して行うことにより、襠形成後の編地を形成していくという手段もある。
【0013】
このように編成することにより、襠形成後に編目に捻じれが生ずることなく身頃と袖とを編成しながら接合していくことができるが、一方の袖を編成しているときは、他方の袖の編成が行えず、しかも、袖の編成を交互に行うたびに編地を回さなくてはならない。
【0014】
そこで、本発明は、襠の接合が完了した時点で捻じれ目がなく、しかも、襠の接合完了後に編地の回し込みを行うことなくそのまま筒状編地部を連続して編成していくことができる編地の編成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の編地の編成方法は、前編地部と後編地部が連続して筒状に形成される少なくとも二つの筒状編地部について、襠を有するように前編地部同士、後編地部同士がそれぞれの左右方向端部から接合され、しかも、前編地部と後編地部の襠の長さが異なる編地を、襠形成後に、編目が捻じれることがないように編成できる編成方法である。
【0016】
本発明の編地の編成方法は、左右方向に延び、かつ、前後方向に互いに対向する少なくとも前後一対の針床を有し、前後の針床の少なくとも一方が左右にラッキング可能で、前後の針床間で編目の目移しが可能な横編機を用いて、上記編地を編成する編成方法である。
【0017】
ここで、例えば、袖を有するセーターでは、前編地部の襠の方が後編地部の襠よりも大きく、編地の左右方向長さは、前編地部の方が後編地部よりも狭くなるように編成すると体の形状に合ったニットウェアを編成できる。この場合、袖と身頃を接合する際には、前後編地部の境界部のうち、接合側境界部を前後の針床の間に位置させて接合を開始する。そして、襠の大きさが前後編地部で異なるので、前後編地部の境界部のうち、接合側とは反対側の基準境界部、即ち、袖の仮想中心は、襠を形成した後は、前針床上に位置される。従って、襠を形成した後に、編目の捻じれが生じないように編目を形成していくためには、袖の仮想中心を、編み始めと襠形成後において、編幅端部の編目に対して同じ位置に位置させておく必要がある。
【0018】
そこで、本発明では、複数の筒状編地部を接合して襠を形成し始める時点で、回し込み動作により前編地部と後編地部の接合側境界部を前後の針床間に位置させても、筒状編地部の編み始めの時点と、襠形成後の時点において、前編地部と後編地部の接合側境界部とは反対側に位置する基準境界部が、針床上の非接合側編幅端部の編目に対して同じ位置になるように、筒状編地部を編み始める時点での基準境界部の位置を設定する。この基準境界部の位置は、編成する編地の襠の前後差と、襠の前後差により生ずる編目の回し込み量に基づいて設定する。
【0019】
そして、この基準境界部の設定位置に従って、前編地部と後編地部とを編み始めから襠形成位置まで筒状に編成した後、回し込みにより接合側境界部を前後の針床間に位置させ、襠の小さい編地部が編成される針床上の非接合側編幅端部の編目を他方の針床に回し込みしながら襠を形成していく。
【0020】
なお、前編地部と後編地部の襠部分の長さが異なる場合としては、一方の編地部に襠が形成されない場合も含む。また、筒状編地部を編み始める時点とは、例えば、セーターの袖の場合には、ゴム編で編成される袖口の編成を開始する時点、または、ゴム編の袖口の編成が完了して、それに続いて形成される袖部分を編み始める時点をいう。また、パンツの場合の編み始める時点とは、ゴム編で編成される足口部の編成を開始する時点、または、ゴム編の足口部に続いて形成される脚部を編み始める時点をいう。
【0021】
襠を形成するために複数の筒状編地部を接合する際、筒状編地部の前編地部と後編地部の境界部のうち、接合側とは反対側の境界部を基準境界部とする。この基準境界部の編み始め時点での位置と襠形成後の時点での位置が針床上の非接合側編幅端部の編目に対して同じ位置になるように、筒状編地部を編み始める時点での基準境界部の位置を設定するに当たっては、編成する編地のパターンに応じた襠の前後差、襠の前後差により生ずる編目の回し込み量に基づいて適宜変更して設定する。
【0022】
例えば、袖を有するセーターで、前編地部の襠の方が後編地部の襠よりも大きく、編地の左右方向長さは、前編地部の方が後編地部よりも狭くなるように編成する場合は、襠の形成が完了した時点と、袖の編み始めの時点で、基準境界部が、前針床において、編幅端部の編目に対して同じ位置になるように、筒状編地部を編み始める時点での基準境界部の位置を予め設定しておく。
【0023】
具体的には、編地のパターンから、襠の接合完了時点での、各筒状編地部の前側編地部と後側編地部の目数から、襠の接合完了時点での基準境界部の位置が決まる。そして、袖の前編地部と後編地部の襠の目数、襠の前後差から、襠を形成し始める時点での、前編地部と後編地部の接合側境界部を前後の針床間に位置させたときの基準境界部の位置が決まる。本発明では、基準境界部の位置を襠を形成し始める時点での位置から襠の接合完了時点での位置に移動させるために必要な回し込み量、即ち、後針床に係止されている襠の小さい後編地部の非接合側端部の編目を前針床に回し込んでおく量を求める。このように、各工程段階での基準境界部の位置と、回し込み量に従って、筒状編地部を編み始める時点での基準境界部の位置を設定する。
【0024】
なお、前記セーターを編成する場合、編み始めから襠形成直前までは、前後の編地部の左右方向の長さは同じ大きさとなる。従って、前後編地部の基準境界部となる仮想中心を前針床上に位置させると、反対側の境界部となる仮想脇部は後針床上に位置されることになる。
【0025】
また、パンツを編成する場合には、後編地部の襠の方が前編地部の襠よりも大きく、編地の左右方向の長さも、後編地部の方が前編地部よりも広くなるように編成すると、体の形状に合ったパンツを編成できる。この場合、襠の形成を開始する時点で、前編地部と後編地部の接合側の境界部が、前針床と後針床の間に位置するように回し込みをしておく必要がある。
【0026】
そして、襠の形成が完了した時点で、接合側とは反対側となる前編地部と後編地部との基準境界部が、前針床と後針床の間に位置することになる。即ち、襠形成後において針床上の編幅端部の編目に対して基準境界部が編始めの時点で設定した位置に戻るようにする。
【0027】
なお、編地の左右方向の長さを後編地部の方が前編地部よりも広くなるようにパンツを編成する場合、前後編地部の基準境界部となる脚部の仮想脇部を前後の針床の間に位置させると、反対側の境界部となる仮想股下部は前針床に位置されることになる。
【0028】
パンツの場合も、セーターの場合と同様に、接合開始時点、接合完了時点での基準境界部の位置と、回し込み量に従って、筒状編地部を編み始める時点での基準境界部の位置を設定する。
【0029】
次に、前記設定に従って、前編地部と後編地部を編み始めから襠形成位置まで筒状に編成し、その後、襠を形成する。
【0030】
前記したセーターの場合には、前記基準境界部を袖の仮想中心とし、袖の編み始め部分において、この仮想中心とは反対側の前後編地部の接合側境界部を仮想脇部とする。袖の編み始めにおいては、前後編地部の左右方向の長さは同じ大きさであるので、袖の仮想中心(基準境界部)を、襠形成後と同じ位置となるように前針床上に位置させると、袖の仮想脇部は後針床上に位置される。この状態から、仮想脇部を基準にして、前後の編地を、設定した編み方に従って襠形成位置まで増し目をしながら筒状に複数コース編成していく。
【0031】
身頃と袖を接合するに当たっては、仮想脇部が前後の針床の間に位置するように、袖の回し込みを行う。この回し込みにより仮想中心(基準境界部)は、後針床に向かって回され、例えば、前後の針床間に位置される。そして、身頃と袖について、襠を形成するために、前編地部同士、後編地部同士を左右方向端部から接合していく。襠の形成が完了すると、仮想脇部(基準境界部)は、前針床上の編幅端部の編目に対して、編み始めの時点と同じ位置となる。
【0032】
前記したパンツの場合には、前記基準境界部を脚部の仮想脇部とし、脚部の編み始め部分において、この仮想脇部とは反対側の前後編地部の接合側境界部を仮想股下部とする。脚部の編み始めにおいては、前編地部の左右方向の長さが後編地部の左右方向の長さよりも小さいので、仮想脇部(基準境界部)を、襠形成後と同じ位置となるように前後の針床間に位置させると、仮想股下部は前針床上に位置される。この状態から、仮想股下部を基準にして、前後の編地を、設定した編み方に従って襠形成部分まで増し目をしながら筒状に複数コース編成していく。
【0033】
脚部同士を接合するに当たっては、仮想股下部が前後の針床の間に位置するように、脚部の回し込みを行う。この回し込みにより仮想脇部(基準境界部)は、前針床上に位置される。そして、脚部に襠部分を形成するために、前編地部同士、後編地部同士を左右方向端部から接合していく。襠の形成が完了すると、仮想脇部(基準境界部)は、針床の編幅端部の編目に対して、編み始めの時点と同じ位置である前後の針床間に位置される。
【0034】
本発明の編成方法では、筒状編地部を4枚ベッドで編成する場合にも適用できるし、2枚ベッドで編成する場合にも適用できる。
【0035】
さらに、筒状の身頃部と袖部を有するように3本以上の筒状編地部を接合する場合、2本ずつ接合してもよいし、全てを同時に接合していくようにしてもよい。例えば、筒状の身頃と袖を有する場合には、左右の袖を身頃に同時に接合することができる。さらに、本発明の編成方法は、手袋の指を胴部に接合する場合にも適用できる。
【0036】
また、本発明は、前編地部と後編地部が連続して筒状に形成される少なくとも二つの筒状編地部について、前編地部と後編地部の襠の長さが異なるように、襠を形成するために前編地部同士、後編地部同士がそれぞれの左右方向端部から接合される編地をコンピュータ内蔵の横編機を用いて編成させるための編成プログラムを提供する。このとき、コンピュータ内蔵の横編機とは、左右方向に延び、かつ、前後方向に互いに対向する少なくとも前後一対の針床を有し、前後の針床の少なくとも一方が左右にラッキング可能で、前後の針床間で編目の目移しが可能な編み機のことをいう。本発明は、このプログラムを用いて編地を横編機で編成する。
【0037】
本発明の編成プログラムは、設定指令と編成指令を有している。設定指令は、複数の筒状編地部を接合して襠を形成し始める時点で、回し込み動作により前編地部と後編地部の接合側境界部を前後の針床間に位置させても、筒状編地部の編み始めの時点と、襠形成後の時点において、前編地部と後編地部の接合側境界部とは反対側に位置する基準境界部が、針床上の非接合側編幅端部の編目に対して同じ位置になるように、筒状編地部を編み始める時点での基準境界部の位置を設定する。この場合、筒状編地部を編み始める時点での基準境界部の位置は、編成する編地の襠の前後差と、襠の前後差により生ずる編目の回し込み量に基づいて設定する。
【0038】
編成指令は、この設定指令に従って、前編地部と後編地部とを編み始めから襠形成位置まで筒状に編成した後、回し込みにより接合側境界部を前後の針床間に位置させ、襠の小さい編地部が編成される針床上の非接合側編幅端部の編目を他方の針床に回し込みしながら襠を形成する。
【0039】
この編成プログラムは、CAD装置において作成され、この作成されたプログラムをディスク等の記録媒体に記憶させ、横編機に内蔵したコンピュータでこの記録媒体を読み取り、このプログラムによる各指令によって、横編機の各機構を駆動させて編地を編成する。
【0040】
CAD装置は、例えば、ユーザーがデザインした編成パターンの形状と寸法を入力する入力手段、入力手段で入力された編地の形状と寸法を記録するためのメモリ、編成を行うために必要な伏せ目処理、増し目、減らし目、引き返し編成などの編み方が記憶されているメモリ、メモリに記憶させている編成パターンから編地を編成するための編み方を選択して、編成パターンに基づいて編地を横編機で編成させる編成プログラムを作成するプログラム作成手段、このプログラムを記録媒体に出力する出力手段を有するようにする。
【0041】
ここで、編成パターンとは、例えば、セーターを編成する場合、前身頃、後身頃、左右の袖の形状のことをいい、これら、前身頃、後身頃、左右の袖をそれぞれパーツという。
【0042】
本発明の編成プログラムの編成指令によって横編機を編成駆動させることにより、複数の筒状編地部が接合される編地を自動的に編成する際、前後編地について襠の大きさが異なる場合でも、編目が捻じれることなく、しかも、襠形成後にそのまま連続して編目を形成していくことができる。
【発明の効果】
【0043】
本発明の編地の編成方法によれば、前後の編地部において大きさの異なる襠を形成する場合に、襠部分の接合が完了した時点において、前後の編地部に編目の捻りが生じない。従って、襠形成後に何度も回し込みを行いながらその後の編地の編成を行ったり、捻じれ目を解消する動作をする必要がなくなり、襠形成後の状態からそのまま筒状に編地の編成をしていくことができる。その結果、複数の筒状編地部を接合した後の編成が容易に行え、しかも、編成時間も短縮できる。さらに、外観、シルエットも良好なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
次に本発明の好適な実施の形態を図面と共に以下に詳細に説明する。以下に示す第1実施形態と第2実施形態は、左右方向に延び、かつ、前後方向に互いに対向する前後一対の針床を有し、後針床が左右にラッキング可能で、しかも、前後の針床間で編目の目移しが可能ないわゆる2枚ベッドの横編機を用いてニットウェアを製作する。
【0045】
第1実施形態は、セーターの編成方法で、袖と身頃を接合したときに襠を形成する場合を示し、第2実施形態は、パンツの編成方法で、パンツの右脚部と左脚部との接合部分に襠を形成する場合を示している。
【0046】
2枚ベッドの横編機は、筒状のニットウェアを編成する場合、前後の各針床においてそれぞれ1本おきの針を用いて編成を行うようにしている。例えば、前針床の奇数番目の針を主として前身頃や袖の前編地部などのニットウェアの前側部分の編地を編成するために用い、後針床の偶数番目の針を主として後身頃や袖の後編地部などのニットウェアの後側部分を編成するために用いる。
【0047】
さらに、2枚ベッドの横編機を用いる場合、前編地部を編成する際に後編地部を後針床の針に付属させ、反対に後編地部を編成する際に前編地部を前針床の針に付属させて、前後の編地を重ね合わせた状態で編地を編成することで、前後の編地部はそれぞれ対向する針床上に目移し用の空針を常に確保できる。
【0048】
これら空針を用いることにより、リンクス、ガーター、リブなどの表目と裏目が混在した組織柄を編成したり、袖や身頃の編目をコース方向に移動させて互いに接合することができるようになっている。
【0049】
また、2枚ベッドの横編機を用いる場合、前後針床の一方または両方の上位にトランスファージャックを列設したトランスファージャックベッドを設けて編地を編成するようにしてもよい。
【0050】
なお、本実施形態では、2枚ベッドの横編機を用いてニットウェアを編成するようにしているが、本発明は、上部前針床、下部前針床、上部後針床、そして下部後針床からなる4枚ベッドの横編機を用いて編成することもできる。
【0051】
4枚ベッドの横編機を用いる場合には、例えば、下部前針床に編地の前側部分を付属させ、下部後針床に編地の後側部分を付属させる。そして、上部後針床を前側部分の編地を編成する際の空針として前側部分の編地の目移し、裏目の形成等に用い、上部前針床を後側部分の編地を編成する際の空針として後側部分の編地の目移し、裏目の形成等に用いる。
【0052】
<第1実施形態>
まず、本発明の第1実施形態について図1および図2に基づいて説明する。第1実施形態は、上記2枚ベッドの横編機を用いて、セーターを構成する身頃部、袖部を継ぎ目の無い連続した筒状となるように編成する。
【0053】
図1は、ニットウェアのセーター1について前身頃側から見た身頃と袖のパーツ平面図である。図2は、前記セーター1を本発明の編成方法で編成するための編成工程図であって、身頃と袖の編み始めからの編成工程を示す。
【0054】
第1実施形態で編成されるセーター1は、衿ぐりを有する長袖タイプのセーターで、前身頃2a、後身頃2b、左袖3、右袖4を有している。前身頃2aと後身頃2bは、図1に示すように、裾部21、脇部22、袖ぐり部23、衿ぐり部24を有している。本実施形態では、前身頃2aと後身頃2bとは、図1において、袖ぐり部23が形成され始める位置である点A,aより上方の形状が異なる。
【0055】
本実施形態では、身頃部分は、前身頃2aと後身頃2bとが筒状に編成され、左右の袖も筒状に編成される。なお、本実施形態および第2実施形態を含め、身頃、袖の左右、脚部の左右を表す用語、例えば、左袖3や右袖4などの右と左は、セーター1を着用した状態の着用者を基準にしている。
【0056】
次に、本実施形態のセーター1の編成手順について説明する。本実施形態では、後身頃2b、左袖3および右袖4の後編地部は、主として後針床上の偶数番目の針を使用して編成される。前身頃2a、左袖3および右袖4の前編地部は、主として前針床上の奇数番目の針を使用して編成される。
【0057】
セーター1における前身頃2a、後身頃2b、袖3,4の編み組織は、説明の便宜上、平編みの無地とし、前身頃2a、後身頃2bの裾部21と袖3,4の袖口部分31,41はリブ編としているが、前身頃2a、後身頃2b、右袖4、左袖3は、ジャガードやリブ等の組織柄のものであってもよい。
【0058】
まず、身頃編成用と左右の袖編成用に3つの給糸口を用意し、各給糸口から針床の針に編糸を供給して、右袖、身頃、左袖の3つの筒状体を編成していく。
【0059】
具体的には、図1に示すように前身頃2a、後身頃2bは、裾から袖との接合開始位置(A,a)まで筒状に編成していく。左袖3と右袖4は、袖口から身頃との接合開始位置(H,h)まで筒状に編成していく。身頃は、袖との接合開始位置まで、左右方向の長さを同じままで筒状に編成されるが、左右の袖は、身頃との接合開始位置に至るまで増やし目される。
【0060】
そして、身頃と袖とが、身頃の点Aと左袖3の点H、身頃の点aと右袖4の点hにおいて接合され始める。本実施形態では、身頃と袖の接合を開始するまでの間は、身頃と袖をそれぞれ独立した筒状の編地として編成する。
【0061】
本実施形態では、前身頃2aのA-B,a-b、後身頃2bのA-E,a-e、左袖3の前編地部のH-I、左袖3の後編地部のH-K、右袖4の前編地部のh-i、右袖4の後編地部のh-kが襠となる。前身頃2aのA-Bと左袖3の前編地部のH-Iとが接合され、前身頃2aのa-bと右袖4の前編地部のh-iとが接合される。さらに、後身頃2bのA-Eと左袖3の後編地部のH-Kとが接合され、後身頃2bのa-eと右袖4の後編地部のh-kとが接合される。本実施形態では、前編地部の襠の長さが後編地部の襠の長さよりも長くなるようにしている。そして、襠部分の接合が完了すると、身頃と袖が統合されて1つの筒状体となる。
【0062】
身頃の袖ぐり部23は、前身頃2aについては、脇部22の上端部(図1のA,a位置)から点(D,d)まで、後身頃2bについては、脇部22の上端部(図1のA,a位置)から後身頃2bの点(F,f)まで形成されている。本実施形態では、前編地部については、袖ぐり部23の点Bと左袖3の点Iとが、袖ぐり部23の点bと右袖4の点iとが接合された後、袖ぐり部23のB-Cと左袖3のI-J、袖ぐり部23のC-Dと左袖3のJ-M、袖ぐり部23のb-cと右袖4のi-j、袖ぐり部23のc-dと右袖4のj-mが接合される。後編地部については、袖ぐり部23の点Eと左袖3の点Kとが、袖ぐり部23の点eと右袖4の点kとが接合された後、袖ぐり部23のE-Fと左袖3のK-M、袖ぐり部23のe-fと右袖4のk-mが接合される。
【0063】
身頃と袖との接合が完了した後、前身頃2aのD-Gと後身頃2bのF-Gとを、前身頃2aのd-gと後身頃2bのf-gとを接合して肩が接合されたセーター1が完成する。
【0064】
本実施形態は、身頃と袖の前編地部の襠部分(ウェール数)が、後編地部の襠部分(ウェール数)よりも大きい襠を有する編地の編成方法であり、身頃と袖の編み始めから襠の形成が完了し、さらに身頃と袖を連続編成するまでの編成工程を示す図2に基づいて、以下に編成手順を説明する。なお、図2において左端の数字はステップ番号を示す。
【0065】
図2に示すステップ1は、身頃と左右の袖をそれぞれ独立して筒状に編成し始めた状態(袖口部分の編成が終了した時点)を示している。中央が身頃でその両側で左右の袖が編成される。図2において、身頃の前身頃2aと後身頃2bの境界部をZで示している。左袖3および右袖4については、前編地部3a,4aと後編地部3b,4bとの境界部をX,Yで示し、境界部Xが本発明の基準境界部で、本実施形態では、この基準境界部Xが袖の仮想中心となり、接合側境界部となる境界部Yが、仮想脇部となる。
【0066】
ステップ1では、身頃の境界部Zは、前後の針床の間に位置される。また、袖の基準境界部Xは、前針床上に係止される編目のうちの接合部とは反対側の編幅端部の編目より内方に位置される。境界部Yは後針床上に係止される編目のうちの接合部側の編幅端部の編目より内方に位置される。従って、この状態では、左右の袖は、前編地部の一部が後針床に回され、後編地部の一部が前針床に回された状態になる。このときの基準境界部Xの位置は、後述する襠形成後においても、針床に係止されている編目のうち非接合側編幅端部の編目から数えて同じ位置となる。
【0067】
ステップ2は、左右の袖について、境界部Yを基準として、前後の編地部を同じ目数だけ増し目をする状態を示す。ステップ3は、ステップ2によって増し目が繰り返し行われた後の状態を示す。この状態においても、基準境界部Xは、針床に係止されている編目の接合部とは反対側の編幅端部の編目から数えて同じ位置になっている。
【0068】
ステップ4は、左右の袖をラッキングと目移しにより回し込みをしながら身頃に近づけた状態を示している。ステップ4では、左右の袖は、回し込みにより、基準境界部Xと境界部Yが前後の針床の間に位置される。ステップ4において、前身頃2aのA-B,a-b、後身頃2bのA-E,a-e、左袖3の前編地部3aのH-I、左袖3の後編地部3bのH-K、右袖4の前編地部4aのh-i、右袖4の後編地部4bのh-kが襠となる。
【0069】
ステップ5は、前記襠の部分を前編地部同士、後編地部同士で接合して伏せ目処理することにより襠の形成が完了した状態を示す。本実施形態では、前編地部の襠の大きさが後編地部の襠の大きさよりも大きいので、即ち、後編地部の左右方向の長さが前編地部の左右方向長さよりも大きいので、襠部分の接合を行っている途中で、袖の後編地部の一部を後針床から前針床に移す回し込みを行う。この回し込みにより、襠の形成が完了した時点で、基準境界部Xは、針床に係止されている編目の接合部とは反対側端部の編目から数えて、ステップ1の編み始めと同じ位置になっている。したがって、ステップ5の編成が完了した時点で、袖の中心側の編目は編み始めと同じ状態になっているので、編目の捻じれは生じていない。本実施形態では、ステップ6のように、身頃と袖を接合しながら筒状に編成していく際に、捻じれ目を考慮しなくてよいので、襠の形成完了から、そのまま1つの筒状に連続編成していくことができる。
【0070】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について図3及び図4に基づいて説明する。第2実施形態で編成するパンツ5は、図3に示すように、右脚部51と左脚部52と、胴部53からなり、右脚部51と左脚部52の接合箇所に襠54,55が形成される。本実施形態では、右脚部51と左脚部52は、前編地部の左右方向の長さが後編地部の左右方向の長さよりも狭く、しかも、襠の大きさも前編地部の方が小さい。本実施形態では、右脚部51と左脚部52とが独立して筒状に編成され、胴部53で右脚部51と左脚部52とが接合される。
【0071】
具体的にパンツ5の編成手順について説明すると、本実施形態も、右脚部51と左脚部52の後編地部は、主として後針床上の偶数番目の針を使用して編成され、前編地部は、主として前針床上の奇数番目の針を使用して編成される。パンツ5における右脚部51と左脚部52の編み組織も、説明の便宜上、平編みの無地としている。
【0072】
まず、右脚部51と左脚部52の編成用に2つの給糸口を用意し、各給糸口から針床の針に編糸を供給して、右脚部51と左脚部52の2つの筒状体を股下部まで編成していく。
【0073】
そして、右脚部51と左脚部52を股下部において接合し始め、まず、襠が形成される。襠の形成が完了すると、右脚部51と左脚部52が統合されて1つの筒状体となり胴部53を形成していく。本実施形態では、右脚部51と左脚部52の股上部分を接合しながら胴部53が編成される。
【0074】
次に、右脚部51と左脚部52の編み始めから襠の形成が完了して1つの筒状編地部が編成されるまでの編成工程を示す図4に基づいて、以下の編成手順を説明する。なお、図4において左端の数字はステップ番号を示す。
【0075】
図4に示すステップ1は、右脚部51と左脚部52をそれぞれ独立して筒状に編成し始めた状態を示している。図4において、右脚部51と左脚部52における前編地部51a,52aと後編地部51b,52bの境界部をX,Yで示し、境界部Xが本発明の基準境界部で、境界部Yが接合側境界部となる。本実施形態では、この基準境界部Xが脚部の仮想脇部となり、境界部Yが、仮想股下部となる。
【0076】
ステップ1では、脚部の基準境界部Xは、前後の針床の間に位置され、境界部Yは、前針床上に係止される編目のうちの接合部側の端部の編目より内方に位置される。従って、この状態では、左右の脚部は、後編地部の一部が前針床に回された状態になる。このときの基準境界部Xの位置は、後述する襠形成後においても、前後の針床間に位置される。
【0077】
ステップ2は、左右の脚部について、境界部Yを基準として、前後の編地部を同じ目数だけ増し目をする状態を示す。ステップ3は、ステップ2によって増し目が繰り返し行われた状態を示す。この状態においても、基準境界部Xは、前後の針床間に位置される。
【0078】
ステップ4は、左右の脚部をラッキングと目移しにより回し込みをしながら互いに近づけた状態を示している。ステップ4では、左右の脚部は、回し込みにより、基準境界部Xが前針床上に、境界部Yが前後の針床の間に位置される。したがって、この状態では、後編地部の一部が前針床に移されている。ステップ4において、符号54で示す範囲が前編地部の襠の大きさを示し、符号55で示す範囲が後編地部の襠の大きさを示している。
【0079】
ステップ5は、襠の部分を前編地部同士、後編地部同士で接合して襠の形成が完了した状態を示す。本実施形態では、後編地部の襠の大きさが前編地部の襠の大きさよりも大きいので、襠部分の接合を行っている途中で、前針床の針に係止されている後編地部の一部が後針床に戻されるように回し込みを行う。この回し込みにより、襠の形成が完了した時点で、基準境界部Xは、前後の針床間に位置され、ステップ1の編み始めと同じ位置になる。したがって、ステップ5の編成が完了した時点で、脚部の脇部側の編目は編み始めと同じ状態になっているので、編目の捻じれは生じていない。本実施形態では、ステップ6のように、左右の脚部を接合しながら筒状に編成していく際に、捻じれ目を考慮しなくてよいので、襠の形成完了から、そのまま1つの筒状に連続編成していくことができる。
【0080】
また、前記した各実施形態では、上記した各実施形態の編成方法を行う編成プログラムを作成し、この編成プログラムにより編機で編成を行うようにしている。本実施形態では編成プログラムは、CAD装置において作成され、この作成されたプログラムをディスク等の記録媒体に記憶させ、横編機に内蔵したコンピュータでこの記録媒体を読み取り、このプログラムによる編成指令によって、横編機の各機構を駆動させて編地を編成する。
【0081】
CAD装置は、ユーザーがデザインした編成パターンの形状と寸法を入力する入力手段、入力手段で入力された編地の形状と寸法を記録するためのメモリ、編成を行うために必要な伏せ目処理、増し目、減らし目、引き返し編成などの編み方が記憶されているメモリ、メモリに記憶させている編成パターンから編地を編成するための編み方を選択して、編成パターンに基づいて編地を横編機で編成させる編成プログラムを作成するプログラム作成手段、このプログラムを記録媒体に出力する出力手段を有するようにする。
【0082】
そして、プログラム作成手段では、設定指令と編成指令のプログラムを作成する。設定指令は、複数の筒状編地部を接合して襠を形成し始める時点で、回し込み動作により前編地部と後編地部の接合側境界部を前後の針床間に位置させても、筒状編地部の編み始めの時点と、襠形成後の時点において、前編地部と後編地部の接合側境界部とは反対側に位置する基準境界部が、針床上の非接合側編幅端部の編目に対して同じ位置になるように、筒状編地部を編み始める時点での基準境界部の位置を設定する指令を出すようにプログラムされる。この基準境界部の設定位置は、編成する編地の襠の前後差と、襠の前後差により生ずる編目の回し込み量に基づいて設定するようになっている。
編成指令は、前編地部と後編地部とを編み始めから襠形成位置まで筒状に編成した後、回し込みにより接合側境界部を前後の針床間に位置させ、襠の小さい編地部が編成される針床上の非接合側編幅端部の編目を他方の針床に回し込みしながら襠を形成する指令を出すようにプログラムされる。
【0083】
本実施形態では、編成プログラムが記録された記録媒体から横編機に内蔵したコンピュータで編成指令を読み取り、この横編機で編成指令に従って編地を編成することにより、前後の編地部で襠の大きさが異なる筒状編地部の接合および接合後の筒状編成を編目の捻じれが生じることなく行え、着用時の外観の美しい編地を自動的に編成できる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の編成方法および編成プログラムは、前後編地部において襠の大きさが異なる筒状編地部を無縫製で接合する場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】襠が形成されたセーターのパーツ平面図である。
【図2】襠が形成されたセーターの編成工程図である。
【図3】襠が形成されたパンツのパーツ平面図である。
【図4】襠が形成されたパンツの編成工程図である。
【符号の説明】
【0086】
1 セーター 2a 前身頃 2b 後身頃
21 裾部 22 脇部 23 袖ぐり部 24 衿ぐり部
3 左袖 4 右袖 31,41 袖口部分
5 パンツ 51 右脚部 52 左脚部 53 胴部
54 前編地部の襠 55 後編地部の襠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前編地部と後編地部が連続して筒状に形成される少なくとも二つの筒状編地部について、前編地部と後編地部の襠の長さが異なるように、襠を形成するために前編地部同士、後編地部同士がそれぞれの左右方向端部から接合される編地を、
左右方向に延び、かつ、前後方向に互いに対向する少なくとも前後一対の針床を有し、前後の針床の少なくとも一方が左右にラッキング可能で、前後の針床間で編目の目移しが可能な横編機を用いて編成する編地の編成方法であって、
複数の筒状編地部を接合して襠を形成し始める時点で、回し込み動作により前編地部と後編地部の接合側境界部を前後の針床間に位置させても、
筒状編地部の編み始めの時点と、襠形成後の時点において、
前編地部と後編地部の接合側境界部とは反対側に位置する基準境界部が、針床上の非接合側編幅端部の編目に対して同じ位置になるように、
編地部を編み始める時点での基準境界部の位置を、編成する編地の襠の前後差と、襠の前後差により生ずる編目の回し込み量に基づいて設定し、
この基準境界部の設定位置に従って、前編地部と後編地部とを編み始めから襠形成位置まで筒状に編成した後、回し込みにより接合側境界部を前後の針床間に位置させ、襠の小さい編地部が編成される針床上の非接合側編幅端部の編目を他方の針床に回し込みしながら襠を形成していくことを特徴とする編地の編成方法。
【請求項2】
編成される編地が、筒状の左右袖と筒状の身頃を備え、身頃に対して袖を接合し、袖と身頃の前編地部の襠が後編地部の襠よりも大きい編地であることを特徴とする請求項1に記載の編地の編成方法。
【請求項3】
編成される編地が、筒状の左右の脚部とこれら脚部の一部が接合されて形成される筒状の胴部を備え、後編地部の襠が前編地部の襠よりも大きい編地であることを特徴とする請求項1に記載の編地の編成方法。
【請求項4】
前編地部と後編地部が連続して筒状に形成される少なくとも二つの筒状編地部について、前編地部と後編地部の襠の長さが異なるように、襠を形成するために前編地部同士、後編地部同士がそれぞれの左右方向端部から接合される編地を、
左右方向に延び、かつ、前後方向に互いに対向する少なくとも前後一対の針床を有し、前後の針床の少なくとも一方が左右にラッキング可能で、前後の針床間で編目の目移しが可能なコンピュータ内蔵の横編機を用いて編成させるための編成プログラムであって、編成プログラムは、以下の指令を有する。
複数の筒状編地部を接合して襠を形成し始める時点で、回し込み動作により前編地部と後編地部の接合側境界部を前後の針床間に位置させても、
筒状編地部の編み始めの時点と、襠形成後の時点において、
前編地部と後編地部の接合側境界部とは反対側に位置する基準境界部が、針床上の非接合側編幅端部の編目に対して同じ位置になるように、
編地部を編み始める時点での基準境界部の位置を、編成する編地の襠の前後差と、襠の前後差により生ずる編目の回し込み量に基づいて設定する設定指令、
この設定指令に従って、
前編地部と後編地部とを編み始めから襠形成位置まで筒状に編成した後、回し込みにより接合側境界部を前後の針床間に位置させ、襠の小さい編地部が編成される針床上の非接合側編幅端部の編目を他方の針床に回し込みしながら襠を形成していく編成指令。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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