説明

緩み防止手段及び該手段を備えたプラグコネクタ

【課題】プラグコネクタのユニオンナットがコンタクトサポートから不用意に緩まないようにする。
【解決手段】本発明の要旨は、プラグコネクタのユニオンナット(12)に構成された緩み防止手段(10)であって、スリーブ(14)と、スリーブ(14)に設けられ、使用状態においてユニオンナット(12)の緩め面(18)を少なくとも部分的に覆うカラー(16)とを有している。緩み防止手段はユニオンナットに、該ユニオンナットに対し回転自在となるように設けることもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラグコネクタのユニオンナットに設けられた構成体のための緩み防止手段に関するものである。本発明はまた、そのような緩み防止手段を備えたプラグコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
ケーブルを設備接続部あるいは別のケーブルと接続するのにプラグコネクタが用いられる。この目的で5プラグコネクタは通常、コンタクトサポートを有している。ケーブルの導体が、導通を確保するために該コンタクトサポートに設けられた複数の端子に接続されている。前記ケーブルの導体が前記コンタクトサポートの前記端子に接続されたら、コンタクトサポートにユニオンナットがねじ込まれて、特定のトルクで締結される。このため、ユニオンナットは内ネジを有したスリーブ体を有している。該スリーブ体には六角形ディスクの形状とされた緩め面が設けられている。このユニオンナットは、特に、挿入された前記ケーブル内の前記導体が前記端子に接触する領域において前記コンタクトサポートを湿気や汚れに対してシールする目的で用いられる。また、同ユニオンナットは、接触状態が構築された際の前記ケーブルの導体の歪み除去としても機能する。このユニオンナットは、前記緩め面を介して前記コンタクトサポートに対する取付け及び取外しが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、前記ユニオンナットが前記コンタクトサポートから不用意に緩まないようにするという目的に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、この目的は、詳細な説明の前半に記載されるタイプの緩み防止手段、すなわち、スリーブと、該スリーブに形成され、使用状態において前記ユニオンナットの緩め面を少なくとも部分的に覆うカラーとを有した緩み防止手段、を提供することで達成される。
【0005】
プラグコネクタが詳細な説明の前半に記載されるタイプのものである場合には、上記目的は、本発明により、プラグコネクタのユニオンナットに請求項1ないし6の何れかに記載の緩み防止手段を構成することによって達成される。
【0006】
本発明の好都合な変更及び有利な改良は引用請求項に記載してある。
【0007】
本発明による緩み防止手段は、例えば前記ユニオンナットが例えば人手によって不用意に緩められてしまうことを確実に防止すべく用いられる。このため、該緩み防止手段は、前記ユニオンナットの外周面に対し、外周面を少なくとも部分的に覆うように設けられている。使用状態とは、該緩み防止手段が前記ユニオンナットに設けられている状態を言う。該緩み防止手段はスリーブを有し、該スリーブが、使用状態においてユニオンナットのスリーブ体を囲む。前記スリーブと一体的にカラーが形成されており、使用状態において、前記ユニオンナットの該緩み防止手段の領域を取り囲む。このカラーによって、前記緩め面が操作されること、特に前記ユニオンナットが工具を用いることなく緩められることが防止されている。このカラーは、好ましくは前記スリーブと一体に形成されている。但し、スリーブと別体に構成しても構わない。好ましくは、前記カラー、詳細には該カラーの内面と、前記緩め面との間に間隙が形成されており、この間隙を介して前記緩め面が、オープンエンドスパナ又はソケットレンチといった工具によって操作される。対照的に、緩み防止手段の前記スリーブは、前記ユニオンナットの前記スリーブ体の外面に対しできるだけ近接して構成されている。これは緩み防止手段に対し余計な間隔を持たせないためである。好ましくはこの緩み防止手段は、ユニオンナットが前記コンタクトサポート上にあるときには既に該ユニオンナット上に設けられている。従って本発明による緩み防止手段は、ユニオンナットがコンタクトサポートから不用意に外れることを防止するということを簡単にしかもコストを掛けずに実現できる。ナットユニオンが前記コンタクトサポートに取り付けられた際に緩み防止手段が既にユニオンナットに設けられている場合、前記ユニオンナットも、適当な工具を用いて同コンタクトサポートに取り付けることができる。
【0008】
本発明の一実施形態によれば、緩み防止手段は、ユニオンナットに、該ユニオンナットに対し回転自在となるように構成することができる。緩み防止手段がこのようにユニオンナットに取り付けられた状態すなわち使用状態において、自身の中心軸線回り回転自在であるため、ユニオンナットが取り付け又は緩められること、特に手による接続を確実に防止することができる。
【0009】
好ましくは緩み防止手段の前記スリーブ、特に該スリーブの内面には、該緩み防止手段を前記ユニオンナット上への装着配置するためのラッチ手段が形成されている。このラッチ手段は突出部の形状とされる。この場合、この突出部は、ユニオンナットの前記外周面に形成された凹所に係合する例えばフック、ラッチ用のタブ又はリングの形態とされている。あるいは、該ラッチ手段は、前記スリーブの内面に凹所として形成されたものであってもよく、この場合、ユニオンナットの外周面に形成された突出部がその凹所に係合する。この場合、前記突出部と前記凹所との間には好ましく遊びが設定されており、このため、緩み防止手段は、係合装着されたものであるにも拘わらず中心軸線回りに回転できるものとなる。ラッチ手段が存在することにより、特に使用状態において、緩み防止手段が、緩み防止手段の前記中心軸線に対応するユニオンナットの中心軸線に沿った方向に滑ることを防止する。
【0010】
本発明のさらなる改良によれば、前記カラーは一つ又は複数の部分からなる。カラーは、一体構成の場合は、ユニオンナットの前記緩め面の周囲に、該緩め面が、特にその長手方向側面が該カラーによって完全にカバーされるように形成される。カラーが一体構成の場合、前記ユニオンナットは、工具を前記緩め面に上方から、すなわち緩め面の端面から適合させて操作することによって取り付けられ、あるいは緩められる。カラーが一以上の部分からなる場合には、前記緩め面がその長手方向側面に沿って該カラーによって完全にはカバーされないように、該カラーには2つ以上の凹所が形成される。従って、ユニオンナットを取り付けかつ緩めるための工具を、前記緩め面に対し側方から取り付けることができる。
【0011】
有利なことに、前記スリーブと前記カラーとの間に段差を形成することが可能である。段差が形成されている場合、前記カラー、特に該カラーの内面はスリーブ、特にスリーブの内面よりも前記緩み防止手段の中心軸線からさらに半径方向に離れている。この段差によって前記緩め面と前記カラーの内面との間の寸法が増し、ユニオンナットを取り付け又は緩めるための工具の、前記緩め面へのアクセスがより容易となる。
【0012】
また、該緩み防止手段はプラスチック材料より構成すると好ましい。プラスチック材料としては、一例として、ポリアミドが用いられる。プラスチック材料を用いることで、該緩み防止手段は軽量で、かつ良好な絶縁効果を有するものとなる。さらに、該緩み防止手段を容易にかつ低コストで大量に製造可能である。
【0013】
以下、本発明を、添付の図面を参照しながら好ましい実施形態を用いて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】ユニオンナットに設けられた本発明の第1実施形態による緩み防止手段の概略図である。
【図2】ユニオンナットに設けられた本発明の第2実施形態による緩み防止手段の概略図である。
【図3】ユニオンナットに設けられた本発明の第3実施形態による緩み防止手段の概略図である。
【図4】図2に示したユニオンナットに設けられた本発明による緩み防止手段を長手側面に沿った断面で示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、プラグコネクタのユニオンナット12に構成された緩み防止手段 (loosening protection means) の第1実施形態を示している。この緩み防止手段10は、スリーブ14と、該スリーブ14上に形成されたカラー16を備えている。カラー16は、図示される使用状態において緩め面 (loosening surface)18、特に該緩め面18の長手方向の側面を完全に覆っている。従って、コンタクトサポート上にあるプラグコネクタの前記ユニオンナット12は、手によってではなく、工具によってのみ緩められ又は取り付けられる。前記緩め面18は、該ユニオンナット12のシリンダ状スリーブ体20上に構成された6角形ディスクの形状とされている。また、図4に示すように、前記シリンダ状スリーブ体20は、コンタクトサポートに取り付けるための内ネジを有しており、かつ、該緩み防止手段の前記スリーブ14によって少なくとも一部が覆われている。図4にも示すように、前記スリーブ体20と前記緩み防止手段18との接合箇所には接合リング24が構成されている。
【0016】
図1に示す実施形態では、前記スリーブ14と前記カラー16とは一体に形成されている。前記緩め面18、特に該緩め面18の前記長手方向の側面が該カラー16によって完全に覆われるように、カラー16は、一体に形成されたものである場合には該ユニオンナット12の前記緩め面18の周囲を囲んで形成される。この場合ユニオンナット12は、前記緩め面18上に工具を上から、すなわち緩め面18の端面から嵌め込み、この工具を操作することにより取付け又は緩められる。
【0017】
また、前記カラー16は円周状に形成されるため一体的である。間隙26が、前記カラー16、詳しくは該カラー16の内面と、前記緩め面18の長手側面との間にあり、この間隙を介して、例えばオープンエンドスパナ又はソケットレンチ等の工具により緩め面18が操作され得る。対して、該緩み防止手段10の前記スリーブ14は、ユニオンナット12の前記スリーブ体20の外面に可能な限り近接して構成されている。カラー16はユニオンナット12の緩め面18への人手による自由なアクセスを防止し、これにより特に、該緩み防止手段10によってユニオンナット12がコンタクトサポートから不用意に緩められることが防止される。
【0018】
図2は本発明による緩み防止手段10の第2実施形態を示す。図2の緩み防止手段10は図1に示した緩み防止手段に対応するが、図2の実施形態ものでは図1の実施形態と異なり、カラー16は、2つの凹部を有することで2つの部分に形成されている。詳しくは、カラー16は、互いに離間した2つの部分要素28を有し、その間に凹部が形成されている。従って、図2の実施形態では、前記緩め面18はその長手方向側面に沿ってカラー16によって完全には覆われておらず、そのため、該ユニオンナット12の取付け及び緩めの際に、工具を、緩め面18のその側方に適合させることができる。
【0019】
図3は本発明による第3実施形態を示したものである。この実施形態では、カラー16は、上記第1実施形態におけるカラー16と同様、ユニオンナット12の緩め面18の周囲を囲むよう一体的に形成され、かつスリーブ14と該カラー16との間には段差が形成されている。段差を有しているため、該カラー16、詳しくは該カラー16の内面は、該緩み防止手段10の中心軸線に対し、前記スリーブ14、詳しくはスリーブ14の内面よりも半径方向に離れている。この段差によって前記緩め面18と前記カラー16の内面との離間寸法が増加している。このためカラー16と緩め面18との間の間隙が増加しており、従って該ユニオンナット12を取り付けあるいは緩めるための工具の前記緩め面18へのアクセスがより容易となっている。
【0020】
図4は、ユニオンナット12に構成された緩み防止手段10の縦断面図である。示されるように、この場合、緩み防止手段10はユニオンナット12の外周面に配され、かつラッチ手段30を介して固定的に取り付けられている。この図4に示す実施形態において、前記要素手段30は突出部として形成され、該緩み防止手段10の前記内面、特にスリーブ14の前記内面と一体的に形成されている。このラッチ要素30は、ラッチを形成するために、ユニオンナット12の外面に形成された凹所と係合する。このラッチ要素は緩み防止手段10と一体に形成することもできるし、別の構成体とすることも可能である。該ラッチ要素と前記凹所との間の適合は遊びを有しており、前記スリーブ14の内面と、前記ユニオンナット12の前記外周面、詳しくはユニオンナット12のスリーブ体20の外周面との間には、小さい間隙32が形成されている。これにより、緩み防止手段10がユニオンナット12に嵌め込まれていても、緩み防止手段10が前記ユニオンナット12の周り、詳しくは緩み防止手段10の中心軸線回り及びユニオンナット12の中心軸線回り、を自由に回転できるようになっている。
【符号の説明】
【0021】
10 緩み防止手段
12 ユニオンナット
14 スリーブ
16 カラー
18 緩め面
20 スリーブ体
22 内ネジ
24 splicing ring
26 間隙
28 部分部材
30 ラッチ手段
32 間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグコネクタのユニオンナット(12)に構成された緩み防止手段(10)であって、スリーブ(14)と、該スリーブ(14)に形成され、使用状態において前記ユニオンナット(12)の緩め面(18)を少なくとも部分的に覆うカラー(16)と、を有してなる緩み防止手段。
【請求項2】
請求項1記載の緩み防止手段(10)において、該緩み防止手段(10)が前記ユニオンナットに、該ユニオンナット(12)に対し回転自在となるように設けられている緩み防止手段。
【請求項3】
請求項1又は2記載の緩み防止手段(10)において、前記スリーブ(14)に、前記緩み防止手段(10)を前記ユニオンナット(12)に装着するためのラッチ手段(40)が形成されている緩み防止手段。
【請求項4】
請求項1ないし3の何れか一項記載の緩み防止手段において、前記カラー(16)は一つ又は複数の部分から形成されている緩み防止手段。
【請求項5】
請求項1ないし4の何れか一項記載の緩み防止手段において、前記スリーブ(14)と前記カラー(16)との間に段差が形成されている緩み防止手段。
【請求項6】
請求項1ないし5の何れか一項記載の緩み防止手段(10)において、該緩み防止手段がプラスチック材から成る緩み防止手段。
【請求項7】
ユニオンナット(12)と、該ユニオンナット(12)に設けられた請求項1ないし6の何れか一項に記載の緩み防止手段と、を備えてなるプラグコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−186167(P2012−186167A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−46405(P2012−46405)
【出願日】平成24年3月2日(2012.3.2)
【出願人】(504019733)フェニックス コンタクト ゲーエムベーハー ウント コムパニー カーゲー (72)
【Fターム(参考)】