説明

緩消化性炭水化物

澱粉の糖化によって少なくとも1種類のオリゴ糖と少なくとも1種類の単糖を含んでなる水性組成物を生成させ、水性組成物を膜濾過して単糖を多く含む流れとオリゴ糖を多く含む流れを形成させ、オリゴ糖を多く含む流れを回収することを含んでなる、オリゴ糖組成物の製造方法。オリゴ糖を多く含む流れはヒト消化系によって緩やかに消化され、可溶性食物繊維で重要な低カロリー食物成分として用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
発明の背景
様々な炭水化物が食料品に用いられる。トウモロコシ澱粉は一例である。食料品の炭水化物は、典型的にはヒトの胃および小腸で消化される。対照的に、食料品の食物繊維は、通常は胃や小腸では消化されないが、大腸で微生物によって少なくとも部分的に生物転換される可能性がある。
【0002】
食品の食物繊維含量を高めまたはカロリー含量を減少させる目的で、食料品に使用するのに適しかつ非消化性であるかまたは限定された程度までしか消化されない成分の開発に関心が集まっている。これらの改良は、一定の健康上の利益を有すると考えられる。
【0003】
易消化性炭水化物の含量が減少しかつ従来の炭水化物の代わりにまたはに加えて食物に用いることができる食用材料が求められている。
【発明の開示】
【0004】
発明の概要
本発明の一態様は、オリゴ糖組成物の製造方法である。この方法は、澱粉の糖化により少なくとも1種類のオリゴ糖と少なくとも1種類の単糖を含んでなる水性組成物を生成し、水性組成物を膜濾過して単糖を多く含む流れとオリゴ糖を多く含む流れを形成し、オリゴ糖を多く含む流れを回収することを含んでなる。オリゴ糖を多く含む流れは、ヒト消化系によって緩やかに消化される。本明細書で用いられる「緩消化性」という用語は、流れに含まれている炭水化物の実質的量(例えば、乾燥固形分ベースで少なくとも約50%、幾つかの場合には少なくとも約75%または少なくとも約90%)がヒトの胃および小腸で全く消化されないかまたは限定された程度までしか消化されないことを意味する。
【0005】
イン・ビトロおよびイン・ビボ試験のいずれも、ヒトでの炭水化物消化速度および程度を評価する目的で行うことができる。「エングリスト・アッセイ(Englyst Assay)」は、迅速消化性、緩消化性、または耐消化性である炭水化物成分の量を評価するのに用いることができるイン・ビトロ酵素試験である(European Journal of Clinical Nutrition (1992) Volume 46 (Suppl.2), pages S33-S50)。従って、緩消化性である材料の「乾燥固形分ベースで少なくとも約50重量%」に対する任意の言及は、エングリスト・アッセイによって緩消化性または耐消化性として分類される割合の和が少なくとも約50%となることを意味する。
【0006】
本発明の方法の一態様では、澱粉の糖化の後に異性化することによって生成する水性組成物は、デキストロース、フルクトース、およびオリゴ糖の混合物を含んでなる。この水性組成物はナノ濾過して、単糖を多く含む浸透流とオリゴ糖を多く含む保持流とに分離することができる。オリゴ糖を多く含む流れは、乾燥固形分ベースで少なくとも約50重量%または幾つかの場合には少なくとも約90%のオリゴ糖を含んでなることができる。この方法のある態様では、オリゴ糖を多く含む流れはなお少量のデキストロースとフルクトースを含んでなる。「少量」とは、本明細書では乾燥固形分ベースで50重量%未満を意味する。
【0007】
この方法は、幾つかの態様ではまた、(1)オリゴ糖を多く含む流れを異性化酵素と接触させて、デキストロースの少なくとも幾らかをフルクトースに転換させることによって異性化したオリゴ糖を多く含む流れを生成し、(2)オリゴ糖を多く含む流れを膜濾過して、第二の単糖を多く含む流れと乾燥固形分ベースで約90重量%を上回るオリゴ糖並びに少量の単糖類を含んでなる第二のオリゴ糖を多く含む流れを生成し、(3)オリゴ糖を多く含む流れを水素化して、その中の単糖類の少なくとも幾らかをアルコールに転換することによって水素化したオリゴ糖を多く含む流れを生成し、(4)オリゴ糖を多く含む流れをグルコシダーゼ酵素と接触させて、返転生成物を生成させて流れに含まれる任意の残留単糖類の少なくとも幾らかがオリゴ糖または他の単糖類に共有結合するようにし、(5)オリゴ糖を多く含む流れを活性炭と接触させることによってその色を減少させる工程の1以上を含む。
【0008】
本発明のもう一つの態様は、乾燥固形分ベースで多量のオリゴ糖を含んでなり、ヒト消化系によって緩やかに消化されうる食用炭水化物組成物である。この組成物は、上記の方法によって生成させることができる。「多量」とは、本明細書では乾燥固形分ベースで少なくとも50重量%を意味するのに用いられる。
【0009】
一態様では、食用炭水化物組成物は、上記の方法によって製造される。一つの特定の態様では、オリゴ糖を多く含む流れは、乾燥分ベースで計算した70.0質量/質量(m/m)%以上の固形分含量と20.0m/m%以上のD-グルコースとして表される還元糖含量(デキストロース当量)を有する。この組成物の態様は、食品表示規則でトウモロコシシロップとして分類することができる。もう一つの態様では、オリゴ糖を多く含む流れは、乾燥分ベースで計算した70.0質量/質量(m/m)%以上の固形分含量と20.0m/m%未満のD-グルコースとして表される還元糖含量(デキストロース当量)を有する。この態様は、食品表示規則でマルトデキストリンとして分類することができる。
【0010】
本発明のもう一つの態様は、食料品の製造方法である。この方法は、炭水化物材料と併用するのに適した食品組成物を提供し、食品組成物を上記の食用炭水化物組成物と組み合わせることを含んでなる。
【0011】
具体的態様の説明
本発明の一態様は、食物に用いるのに適する緩消化性炭水化物組成物の製造方法である。「食物」という用語は本明細書では広義で用いられ、飲料および医薬カプセルまたは錠剤のようなヒトが摂取することができる様々な他の物質を包含することを理解すべきである。
【0012】
この方法は、澱粉、例えば、植物澱粉を用いて開始することができる。通常のトウモロコシ澱粉が一つの適当な例である。開始澱粉の純度が比較的高い場合には、この方法は通常は一層効率的に機能する。一態様では、高純度澱粉は、乾燥固形分ベースで0.5%未満のタンパク質を含む。下記の説明の幾つかはトウモロコシに集中して説明するが、本発明は他の供給源、とりわけジャガイモおよび小麦由来の澱粉にも応用できることを理解すべきである。
【0013】
図1に示されるように、澱粉10に酸12を加えることができ、次いで澱粉加熱調理器、例えば、澱粉顆粒を水蒸気と接触させるジェット加熱調理器でゼラチン化14することができる。本発明の方法の一変法では、硫酸を加えることによって3.5の標的pHに調整した澱粉スラリーをジェット加熱調理器中で水蒸気と速やかに混合し、テイル・ライン(tail line)で149-152℃(300-305°F)に4分間保持する。ゼラチン化した澱粉16を、ジェット加熱調理中に高温の酸に暴露することによって加水分解する。加水分解によって澱粉の分子量が減少し、組成物中の単糖類とオリゴ糖の割合が増加する。(「オリゴ糖」という用語は、本明細書では少なくとも2個の糖単位を有する糖類、例えば重合度(DP)が約2-30である糖類を表すのに用いられる。)炭酸ナトリウムのような中和剤20を加えて酸加水分解を停止することができ、次いで、組成物を加水分解酵素22と接触させることによってこれを更に解重合することができる。適当な酵素としては、Novozymesから発売されているTermamylのようなアルファアミラーゼが挙げられる。この酵素加水分解によって、組成物に含まれる単糖類とオリゴ糖の割合が更に増加する。酸および酵素処理による加水分解の全般的結果は、澱粉の糖化である。糖化組成物を異性化して、単糖類プロフィールを変化させる、例えばフルクトースの濃度を増加させることができる。
【0014】
糖化組成物26を、次に、例えばクロマトグラフィー分別28によって精製することができる。逐次的擬似移動床(SSMB)クロマトグラフィー処置を用いる一態様では、混合糖類の溶液を樹脂ビーズを充填したカラム中を送液する。樹脂の化学的性状によっては、糖類は樹脂と一層強力に相互作用する結果、樹脂と一層弱く相互作用する糖類と比較して、樹脂中の流れが遅くなる。この分別によって、デキストロースおよびフルクトースのような単糖類の含量が高い流れ30を生じさせることができる。高フルクトーストウモロコシシロップは、このような流れの一例である。この分別はオリゴ糖の濃度が比較的高く(例えば、乾燥固形分ベース(d.s.b.)で約5-15%のオリゴ糖)かつまたデキストロースおよびフルクトースのような単糖類の濃度が低いラフィネート流32も生じる。「流れ」という用語は、本明細書では本発明の方法のある部分を記載するのに用いられるが、本発明の方法は連続操作に限定されないことを理解すべきである。本発明の方法は、バッチまたは半バッチ方式で行うこともできる。
【0015】
ラフィネート32は、更に膜濾過34、例えば場合によっては透析濾過(diafiltration)を用いるナノ濾過によって分別することもできる。例えば、これらの濾過工程は、約500 psiの圧および40-60℃の温度でDesal DKスパイラル・ワウンド・ナノ濾過カートリッジを用いて行うことができる。工程34に記載の分別は、逐次的擬似移動床クロマトグラフィー(SSMB)によって行うこともできる。膜濾過は、主として単糖類を含んでなる透過物36と主としてオリゴ糖を含んでなる保持物とを生成する。(本明細書で用いられる「主として」とは、組成物が乾燥固形分ベースで任意の他成分より記載された成分を多く含むことを意味する。)透過物36は、モノマー流れ30(例えば、 高フルクトーストウモロコシシロップ)と組み合わせることができる。透過物は単糖を多く含む流れであり、保持物はオリゴ糖を多く含む流れである。換言すれば、ナノ濾過は、ナノ濾過供給物と比較して保持物中のオリゴ糖と透過物中の単糖類を濃縮する。
【0016】
オリゴ糖シロップ40として記載することができる保持物38は、緩消化性のオリゴ糖を十分高含量(例えば、少なくとも約50重量% d.s.b.または場合によっては少なくとも約90%)で有し、これを乾燥しまたは単に蒸発させて濃縮シロップとし、食物の成分として用いることができる。しかしながら、多くの場合には、この組成物を更に加工し精製するのに用いられる。このような精製は、1以上の下記の工程を含むことができる。(図1は代替工程として4つの精製工程42、44、46および48を示しているが、これらの工程の2つ以上を本発明の方法に用いることができることを理解すべきである。)
【0017】
一つの選択態様は、オリゴマーシロップ40に膜濾過、例えば第二のナノ濾過のようなもう一つの分別42を施し、フルクトースおよびデキストロースのような残留単糖類の少なくとも幾らかを除去することである。適当なナノ濾過条件および装置は、上記した通りである。このナノ濾過によって、第二の単糖を多く含む流れであって、モノマー流れ30と組み合わせることができる透過物を生成する。あるいは、クロマトグラフィー分離、例えば擬似混合床クロマトグラフィーによって更に分別42を行うことができる。
【0018】
もう一つの選択態様は、シロップ41をグルコースイソメラーゼのような酵素と接触させることによってシロップを異性化する44ことである。これにより、フルクトースに含まれる残留デキストロースの少なくとも幾らかが転換され、これはある状況では一層重要であることがある。
【0019】
もう一つの選択態様は、シロップを反転または再重合46を引き起こす酵素で処理し、未だに含まれている単糖類の比較的少量の少なくとも幾らかが他の単糖類またはオリゴ糖に共有結合することによって、シロップの残留モノマー含量更に一層減少させることである。この工程に用いるのに適当な酵素としては、アミラーゼ、グルコアミラーゼ、トランスグルコシダーゼおよびプルラナーゼのようなグルコシダーゼが挙げられる。セルラーゼ酵素は、幾つかの用途に重要な反転生成物を生成することがある。
【0020】
更にもう一つの選択態様は、シロップを水素化48して任意の残留単糖類の少なくとも幾らかを対応するアルコールに転換する(例えば、デキストロースをソルビトールに転換する)ことである。水素化が本発明の方法に包含されるときには、それは典型的には最終精製工程となる(が、必ずしもそうとは限らない)。
【0021】
上記精製工程の1以上によって生成した精製したオリゴマーシロップ49を、次に脱色することができる50。脱色は、例えば活性炭による処理に続いて精密濾過によって行うことができる。連続フロー系では、シロップ流を顆粒状活性炭を充填したカラム中を送液して脱色を行うことができる。脱色したオリゴマーシロップを次に蒸発させて52、例えば約70%を上回る乾燥固形分(d.s.)とし、高含量のオリゴ糖(例えば、90重量% d.s.b.を上回り、幾つかの場合には95%を上回る)と対応して低含量の単糖類を含んでなる生成物を得ることができる。この生成物は、完全に不消化性でない場合には、ヒトによって緩やかにまたは不完全に消化される複数の糖類を含んでなる。これらの糖は、イソマルトース、パノースおよび4以上の重合度を有する分岐したオリゴマーを包含することができる。
【0022】
工程条件を変更してモノマーを多く含む流れ(30,36)またはオリゴマー生成物流のいずれかの供給物におけるマルトースの大半を回収することができる。例えば、500 psi未満の圧で作動するDesal DLのような若干多くの開放細孔径を有するナノ濾過膜を用いて、モノマーを多く含む流れにおけるマルトースの量を増加させることができる。
【0023】
生成物は食物の成分として適しており、ヒト消化系によって緩やかに消化されうる。上記のように、この生成物の幾つかの成分はヒトの胃および小腸で実質的に全く不消化性であることができる。用いられる澱粉供給源によっては、この生成物は、幾つかの態様ではトウモロコシシロップまたは小麦シロップとして、これらの用語は食品表示に用いられるので、分類することができる。更に開放した細孔径をナノ濾過に用いる場合には、マルトデキストリンとして分類される一層高分子量のオリゴマーシロップ生成物を得ることができる。
【0024】
本発明の方法によって生成したオリゴ糖を含むシロップは、通常の炭水化物の代替物または補助栄養食品として食物に加えることができる。シロップを用いることができる食物の具体例としては、パン、ケーキ、クッキー、クラッカー、押し出し成形スナック、スープ、冷凍デザート、油で揚げた食品、パスタ製品、ジャガイモ製品、コメ製品、トウモロコシ製品、小麦製品、乳製品、ヨーグルト、菓子、あめ玉、栄養物バー、朝食用シリアル、および飲料のような加工食品が挙げられる。オリゴ糖シロップを含む食料品は、トウモロコシ澱粉のような通常の炭水化物を用いている同様な食料品よりも血糖応答が低く、血糖上昇指数が低く、血糖負荷が低い。更に、ヒトの胃や小腸では、オリゴ糖は極めて限定された程度までしか消化されないかまたは全く消化されないので、食料品のカロリー含量は減少する。シロップは、可溶性食物繊維の供給源でもある。
【0025】
本明細書に記載の方法は、耐糖化性である糖シロップ(例えば、図1の流れ26)の画分を利用する。精製した生成物としてこの材料を分離することによって、これは、主として高フルクトーストウモロコシシロップのような単糖類であるシロップの望ましくない副生成物であるよりはむしろそれ自身の有用な特性のために用いることができる。高フルクトーストウモロコシシロップから一層高い割合のオリゴ糖を除去することによって、その生成物を更に純粋にし(すなわち、デキストロースおよびフルクトースの濃度を一層高くし)、従って一層貴重なものとすることができる。
【実施例1】
【0026】
ラフィネートシロップは、トウモロコシ澱粉を加工して高フルクトーストウモロコシシロップとする植物から得た。ラフィネートはクロマトグラフィー分離によって製造し、主としてフルクトースおよびデキストロースから構成されていた。このラフィネートに、約500 psiの圧および40-60℃の温度でDesal DK1812C-31Dナノ濾過カートリッジを用いてナノ濾過を行った。ナノ濾過からの保持物を、活性炭で脱色した後、約80%乾燥固形分まで蒸発させた。乾燥生成物の糖分析は、HPAE-PADクロマトグラフィーによって行い、結果を表1に示す。
【0027】
【表1】

軽質ラフィネート(Light Raffmate)と呼ばれるこの材料をエングリストアッセイを用いて消化性について試験した。炭水化物 d.s.b約600mgを、試験管の0.1M酢酸ナトリウム20mlに加えた。内容物を混合し、約92℃まで30分間加熱した後、37 ℃に冷却した。次いで、酵素溶液5mlを試験管に加え、水槽中で37℃にて振盪攪拌した。少量の試料を、20分および120分の時点で採取した。酵素を不活性化し、試料を濾過して、YSI Inc製のグルコース試験を用いて消化性について測定した。別の同様なナノ濾過操作で加工した重質ラフィネート(Heavy Raffinate)も、同じアッセイを用いて試験した。重質ラフィネートは、軽質ラフィネートの乾燥固形分が15-25%であったのとは対照的に乾燥固形分が25-35%であったが、低分子量糖類の割合はほぼ同じであった。ナノ濾過を行わなかった加熱処理したジャガイモ澱粉も、比較として試験した。消化性アッセイおよび糖分析の結果を、表2に示す。加熱処理したジャガイモ澱粉は、比較のために表2に含まれる。表2の総ての割合は、d.s.b.である。
【0028】
【表2】

材料におけるオリゴ糖の割合と耐消化性である材料の割合との間には良好な相関が見られた。
【実施例2】
【0029】
乾燥固形分が21.4%のラフィネートシロップ約1,025リットルを、トウモロコシ澱粉を加工して高フルクトーストウモロコシシロップとする植物から得た。ラフィネートはクロマトグラフィー分離によって製造し、主としてフルクトースおよびデキストロースから構成されていた。このラフィネートに、約500 psiの圧および40-60℃の温度でDesal NF3840C-50Dナノ濾過カートリッジを用いてナノ濾過を行った。出発容積が約20%だけ減少した後、保持物にDI水を用いる定容透析濾過約2容を行った。透析濾過の後、保持生成物(33.8% 乾燥固形分)27.6kgを集めた。この材料を、活性炭(シロップ固形分の0.5重量%)を用いて冷蔵庫で一晩攪拌することによって脱色した。このスラリーを0.45ミクロンの中空繊維濾過カートリッジを用いる濾過によって滅菌し、分けて約約73%乾燥固形分の平均濃度まで蒸発した。
【0030】
乾燥生成物の糖類分析はHPAE-PADクロマトグラフィーによって行い、結果を表3に示す。
【0031】
【表3】

【0032】
上記の本発明の具体的態様の説明は、本発明のそれぞれの可能な態様のリストと使用するものではない。当業者であれば、他の態様が下記の特許請求の範囲内にあることを認めるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一態様の工程図。
【符号の説明】
【0034】
10 澱粉
12 酸
14 加熱
18 加水分解
20 中和剤
22 酵素
24 解重合
28 分別
34 膜濾過
40 オリゴマーシロップ
42 分別
44 異性化
46 反転
48 水素化
50 脱色
52 蒸発
54 乾燥

【特許請求の範囲】
【請求項1】
澱粉の糖化によって少なくとも1種類のオリゴ糖と少なくとも1種類の単糖を含んでなる水性組成物を生成させ、
膜濾過および逐次的擬似移動床クロマトグラフィーの少なくとも一方を含んでなる方法によって水性組成物を分別して単糖を多く含む流れとオリゴ糖を多く含む流れを形成し、
オリゴ糖を多く含む流れを回収する
ことを含んでなる、オリゴ糖組成物の製造方法。
【請求項2】
水性組成物がデキストロース、フルクトース、およびオリゴ糖の混合物を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
オリゴ糖を多く含む流れが乾燥固形分ベースで少なくとも約50重量%のオリゴ糖を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
オリゴ糖を多く含む流れが乾燥固形分ベースで少なくとも約90重量%のオリゴ糖を含んでなる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
分別がナノ濾過を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
分別を逐次的擬似移動床クロマトグラフィー(SSMB)によって行う、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
オリゴ糖を多く含む流れが少量のデキストロースとフルクトースを含んでなり、オリゴ糖を多く含む流れを異性化酵素と接触させてデキストロースの少なくとも幾らかをフルクトースに転換させることによって、異性化したオリゴ糖を多く含む流れを生成させることを更に含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
オリゴ糖を多く含む流れを膜濾過して、第二の単糖を多く含む流れと第二のオリゴ糖を多く含む流れを生成させることを更に含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
第二のオリゴ糖を多く含む流れが乾燥固形分ベースで約90重量%を上回るオリゴ糖を含んでなる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
オリゴ糖を多く含む流れが少量の単糖類を含んでなり、オリゴ糖を多く含む流れを水素化してその中の単糖類の少なくとも幾らかをアルコールに転換することによって、水素化したオリゴ糖を多く含む流れを生成させることを更に含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
第二のオリゴ糖を多く含む流れが少量の単糖類を含んでなり、第二のオリゴ糖を多く含む流れを水素化してその中の単糖類の少なくとも幾らかをアルコールに転換することによって、水素化したオリゴ糖を多く含む流れを生成させることを更に含んでなる、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
オリゴ糖を多く含む流れをグルコシダーゼ酵素と接触させて、その流れに含まれる任意の残留単糖類の少なくとも幾らかがオリゴ糖または他の単糖類に共有結合するようにすることを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
オリゴ糖を多く含む流れを活性炭と接触させることによってその色を減少させることを更に含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
オリゴ糖を多く含む流れがヒト消化系によって緩やかに消化されうる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
分別がナノ濾過を含んでなり、水性組成物がデキストロース、フルクトース、およびオリゴ糖の混合物を含んでなり、オリゴ糖を多く含む流れが少量のデキストロースとフルクトースを含んでなり、更に
オリゴ糖を多く含む流れを異性化酵素と接触させてデキストロースの少なくとも幾らかがフルクトースに転換されるようにし、
オリゴ糖を多く含む流れを膜濾過し、
オリゴ糖を多く含む流れを水素化してその中の単糖類の少なくとも幾らかをアルコールに転換し、
オリゴ糖を多く含む流れをグルコシダーゼ酵素と接触させて返転生成物を生成させて流れに含まれる任意の残留単糖類の少なくとも幾らかがオリゴ糖または他の単糖類に共有結合するようにし、
オリゴ糖を多く含む流れを活性炭と接触させることによってその色を減少させる
工程の少なくとも1つを含んでなり、
オリゴ糖を多く含む流れがヒト消化系によって緩やかに消化されうることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
乾燥固形分ベースでオリゴ糖を多量に含んでなり、ヒト消化系によって緩やかに消化されうることを特徴とする、食用炭水化物組成物。
【請求項17】
組成物が、
澱粉の糖化によって少なくとも1種類のオリゴ糖と少なくとも1種類の単糖を含んでなる水性組成物を生成させ、
膜濾過および逐次的擬似移動床クロマトグラフィーの少なくとも一方を含んでなる方法によって水性組成物を分別して単糖を多く含む流れとオリゴ糖を多く含む流れとを形成し、
オリゴ糖を多く含む流れを回収する
ことを含んでなる方法によって組成物を生成させる、請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
水性組成物がデキストロース、フルクトース、およびオリゴ糖の混合物を含んでなる、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
分別がナノ濾過を含んでなる、請求項17に記載の組成物。
【請求項20】
分別がナノ濾過を含んでなり、水性組成物がデキストロース、フルクトース、およびオリゴ糖の混合物を含んでなり、オリゴ糖を多く含む流れが少量のデキストロースとフルクトースとを含んでなり、更に
オリゴ糖を多く含む流れを異性化酵素と接触させてデキストロースの少なくとも幾らかがフルクトースに転換されるようにし、
オリゴ糖を多く含む流れを膜濾過し、
オリゴ糖を多く含む流れを水素化してその中の単糖類の少なくとも幾らかをアルコールに転換させ、
オリゴ糖を多く含む流れをグルコシダーゼ酵素と接触させて返転生成物を生成させて流れに含まれる任意の残留単糖類の少なくとも幾らかがオリゴ糖または他の単糖類に共有結合するようにし、
オリゴ糖を多く含む流れを活性炭と接触させることによってその色を減少させる
工程の少なくとも1つを含んでなる、請求項17に記載の組成物。
【請求項21】
オリゴ糖を多く含む流れが乾燥分ベースで計算した70.0質量/質量(m/m)%以上の固形分含量と20.0m/m%以上のD-グルコースとして表される還元糖含量(デキストロース当量)を有する、請求項17に記載の組成物。
【請求項22】
オリゴ糖を多く含む流れが乾燥分ベースで計算した70.0質量/質量(m/m)%以上の固形分含量と20.0m/m%未満のD-グルコースとして表される還元糖含量(デキストロース当量)を有する、請求項17に記載の組成物。
【請求項23】
炭水化物材料と併用するのに適した食品組成物を提供し、
食品組成物を、請求項16に記載の食用炭水化物組成物と組み合わせる
ことを含んでなる、食料品の製造方法。

【図1】
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【公表番号】特表2008−532545(P2008−532545A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−501892(P2008−501892)
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/006037
【国際公開番号】WO2006/101648
【国際公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(505410597)テイト アンド ライル イングレディエンツ アメリカス インコーポレイテッド (17)
【Fターム(参考)】