説明

緩衝器用油圧作動油組成物

【課題】 緩衝器の減衰力をより高める緩衝器用油圧作動油組成物を提供する。
【解決手段】 潤滑油基油に、25℃における動粘度が10,000〜350,000mm/sのシリコーンオイルを含有することを特徴とする緩衝器用油圧作動油組成物、あるいは、さらにオレフィン(共)重合体系粘度指数向上剤を含有することを特徴とする緩衝器用油圧作動油組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、緩衝器用油圧作動油組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
緩衝器にはさまざまな形式があるが、基本的には弁の付いたピストンと外筒からなる。ピストンはロッドに固定されており、ピストンは外筒内面を摺動し、ロッドはロッドガイド部のシールを摺動する。緩衝器は、作動油と必要によりガスを封入し、弁を通過する作動油の抵抗により緩衝作用を行う。
緩衝器用油圧作動油は常に振動状態にあり、空気あるいはガスと混合されるため、絶えず泡が発生しやすい状況にある。またピストンの作動速度が速いと減圧状態になるため、これによっても泡が発生する。また緩衝器用油圧作動油は外気温にさらされるため、低温から高温まで変化する。このため粘度が変化し、これにより減衰力も変化する。この粘度変化をできるだけ抑制するため、粘度指数向上剤が使用されるが、粘度指数向上剤を添加すると、泡が発生しやすくなることが知られている。このように、緩衝器用油圧作動油は絶えず泡が発生する状況に晒されているが、泡が発生すると、泡が弁を通過するときに減衰力が発生しないため、振動を十分吸収することができず、結果的に自動車の乗り心地が悪化することとなる。
【0003】
従来、緩衝器用油圧作動油としては、摩擦調整剤や摩耗防止剤の最適化により、緩衝器の摩擦特性、摩耗防止性あるいは耐久性等の改善が行われてきた(例えば、特許文献1〜6参照。)。また、最近、緩衝器の摩擦力を高めることで自動車の乗り心地を改善する手法が報告されている(特許文献7)。これらの組成物には、一般にポリメタクリレート系粘度指数向上剤が使用されており、また、キャビテーション防止性能と減衰力の持続性に優れるものとして、エチレン−プロピレン共重合体又はスチレン−マレイン酸エステル共重合体を樹脂量として1〜15質量%配合した自動車用緩衝器油組成物が報告されている(特許文献8)。
しかしながら、緩衝器の減衰力をより高め、自動車の乗り心地を改善するためには摩擦調整剤、摩耗防止剤あるいは粘度指数向上剤の選択だけでは不十分であることがわかってきた。
【特許文献1】特開平7−224293号公報
【特許文献2】特開平7−258678号公報
【特許文献3】特開平6−128581号公報
【特許文献4】特開2000−192067号公報
【特許文献5】特開2002−194376号公報
【特許文献6】特開平5−255683号公報
【特許文献7】特開2004−035624号公報
【特許文献8】特開2002−053886号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、緩衝器の減衰力をより高め、緩衝器を備えた車両の振動を抑制し、乗り心地を改善することができる緩衝器用油圧作動油組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、潤滑油基油に特定の粘度を有するシリコーンオイルを含有させた組成物が有効であることを見出した。また、かかる特定の粘度を持つシリコーンオイルと特定の粘度指数向上剤を組み合わせた場合に、減衰力がより一層高くなり振動を抑制することができることが判明した。
【0006】
すなわち、本発明は、潤滑油基油に、25℃における動粘度が10,000〜350,000mm/sのシリコーンオイルを含有することを特徴とする緩衝器用油圧作動油組成物に関する。
また、本発明は、さらに、オレフィン(共)重合体系粘度指数向上剤を含有することを特徴とする前記記載の緩衝器用油圧作動油組成物に関する。
本発明においては、前記オレフィン(共)重合体系粘度指数向上剤がポリブテン系粘度指数向上剤であることが好ましい。
また、本発明においては、前記オレフィン(共)重合体系粘度指数向上剤がエチレン−プロピレン共重合体系粘度指数向上剤であることが好ましい。
また、本発明においては、前記エチレン−プロピレン共重合体系粘度指数向上剤の含有量は、組成物全量基準で、ポリマー量として0.005〜5質量%であることが望ましい。
また、本発明においては、緩衝器用油圧作動油に25℃における動粘度が10,000〜350,000mm/sのシリコーンオイルを含有させることを特徴とする緩衝器の減衰力及び/又は緩衝器を備えた車両の乗り心地を向上させる方法が提供される。
また、本発明においては、緩衝器用油圧作動油に25℃における動粘度が10,000〜350,000mm/sのシリコーンオイル及びオレフィン(共)重合体系粘度指数向上剤を含有させることを特徴とする緩衝器の減衰力及び/又は緩衝器を備えた車両の乗り心地を向上させる方法が提供される。
【0007】
以下、本発明について詳述する。
本発明の緩衝器用油圧作動油組成物における潤滑油基油としては、特に制限はなく、通常の潤滑油に使用される鉱油系基油および合成系基油が使用できる。
鉱油系基油としては、具体的には、原油を常圧蒸留して得られる常圧残油を減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、水素化精製等の処理を1つ以上行って精製したもの、あるいはワックス異性化鉱油、GTL WAX(ガストゥリキッドワックス)を異性化する手法で製造される基油等が例示できる。
【0008】
合成系基油としては、具体的には、ポリブテン(ポリイソブチレン)又はその水素化物;1−オクテンオリゴマー、1−デセンオリゴマー等のポリ−α−オレフィン又はその水素化物;ジトリデシルグルタレート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルセバケート等のジエステル;ネオペンチルグリコールエステル、トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール−2−エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等のポリオールエステル;アルキルナフタレン、アルキルベンゼン、芳香族エステル等の芳香族系合成油;これらの混合物等が例示できる。
【0009】
本発明における潤滑油基油としては、上記鉱油系基油、上記合成系基油又はこれらの中から選ばれる2種以上の任意混合物等が使用できる。例えば、1種以上の鉱油系基油、1種以上の合成系基油、1種以上の鉱油系基油と1種以上の合成系基油との混合油等を挙げることができる。
【0010】
本発明において用いる潤滑油基油の動粘度は特に制限はないが、一般の緩衝器に要求される減衰力に適合させる観点から、40℃における動粘度の下限値は、好ましくは3mm/s、より好ましくは6mm/sであり、一方、その上限値は、好ましくは60mm/s、より好ましくは40mm/s、さらに好ましくは20mm/sであり、より低摩擦の組成物を得ることができる点で、さらに好ましくは10mm/s以下、特に好ましくは9mm/s以下であることが望ましい。
【0011】
また、本発明において使用する潤滑油基油の粘度指数も特に限定されず任意であるが、緩衝器に要求される基本的性能である減衰作用が油圧作動油の粘度に依存し、温度による減衰力の変化をできるだけ小さくするという観点から、粘度指数は80以上が好ましく、より好ましくは95以上のものを用いるのが望ましい。
【0012】
次にシリコーンオイルについて説明する。
本発明の緩衝器用油圧作動油組成物において用いられるシリコーンオイルは、25℃における動粘度が10,000〜350,000mm/sのものである。シリコーンオイルの25℃おける動粘度は、好ましくは30,000〜200,000mm/sであり、より好ましくは40,000〜150,000mm/sであり、最も好ましくは50,000〜100,000mm/sである。なお、25℃における動粘度が10,000mm/s未満のシリコーンオイルでは減衰力の向上効果が小さく、350,000mm/sを超えるシリコーンオイルでは減衰力の向上効果が小さくなるとともに油中への分散が困難であるため好ましくない。ここで、シリコーンオイルの動粘度は、溶剤等で希釈されない状態のシリコーンオイル単体の動粘度を意味する。
【0013】
本発明のシリコーンオイルとしては、上記動粘度を有する公知の各種シリコーンオイルが挙げられ、その構造に特に制限はないが、例えば、下記一般式(1)で表されるオルガノポリシロキサンが挙げられる。
【化1】

【0014】
式(1)中、Rは炭素数1〜10の炭化水素基を示し、各々同一でも異なっていてもよい。ここでいう炭素数1〜10の炭化水素基としては、炭素数1〜10のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基を示し、これらはフッ素を含んでいてもよい。特にRとしては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、より好ましくはメチル基又エチル基であり、特にメチル基であることが望ましい。
【0015】
シリコーンオイルとしては、例えば、ポリシロキサンの側鎖、末端がすべてメチル基であるジメチルシリコーン(ジメチルポリシロキサン)、ジメチルポリシロキサンの側鎖、末端のメチル基の一部が水素、炭素数2〜10のアルキル基、フッ素変性された炭素数1〜10のアルキル基等に置換された変性シリコーンオイル等が挙げられるが、本発明においては、入手性やコストの点で上記(1)式におけるRがメチル基であるジメチルポリシロキサンを用いることが望ましい。
【0016】
シリコーンオイルの含有量は、特に制限はないが、緩衝器用油圧作動油組成物全量基準で、好ましくは1〜100質量ppm、より好ましくは5〜80質量ppm、さらに好ましくは10〜70質量ppm、特に好ましくは20〜60質量ppm、最も好ましくは30〜50質量ppmである。シリコーンオイルの含有量が1質量ppm未満の場合、減衰力向上効果が小さく、また、100質量ppmを超える場合は、含有量に見合うだけの効果が期待できないばかりでなく、発生した泡が消えにくいためかえって減衰力が低下する傾向にある。
【0017】
また、本発明の緩衝器用油圧作動油組成物には、減衰力をより高め、自動車の乗り心地を改善するためにさらにオレフィン(共)重合体系粘度指数向上剤を含有させることが好ましい。
オレフィン(共)重合体系粘度指数向上剤としては、具体的には、ポリブテン(ポリイソブチレン)若しくはその水素化物、エチレン−α−オレフィン共重合体(α−オレフィンとしてはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン等)若しくはその水素化物、等が挙げられる。ポリブテン系粘度指数向上剤は減衰力を高めるのに効果的であり、エチレン−α−オレフィン共重合体は減衰力をより高めることができるだけでなく減衰力の維持にも効果的である。
【0018】
本発明で用いるオレフィン(共)重合体系粘度指数向上剤の重量平均分子量は大きいことが必要であり、ポリブテン系粘度指数向上剤では通常100,000〜1,000,000、好ましくは150,000〜600,000、さらに好ましくは250,000〜550,000、特に好ましくは450,000〜550,000のものが好適であり、エチレン−α−オレフィン共重合体では、通常100,000〜1,000,000、好ましくは150,000〜600,000、さらに好ましくは250,000〜550,000、特に好ましくは250,000〜350,000のものが好適である。重量平均分子量が100,000未満のときは減衰力向上効果が小さく、1,000,000より大きくなると使用中に分子が剪断により低分子量化するため、乗り心地が変化するため好ましくない。
【0019】
本発明において、ポリマー量(有効成分)としてのオレフィン(共)重合体系粘度指数向上剤の含有量は、緩衝器用油圧作動油組成物全量基準として、ポリブテン系粘度指数向上剤では、好ましくは0.005〜5質量%、より好ましくは0.01〜1質量%未満、特に好ましくは0.01〜0.1質量%であり、エチレン−α−オレフィン共重合体系粘度指数向上剤では、好ましくは0.005〜5質量%、より好ましくは0.01〜1質量%未満、特に好ましくは0.05〜0.5質量%である。これらオレフィン(共)重合体系粘度指数向上剤の含有量をポリマー量として上記のようにごく少量含有させることで優れた減衰力を発揮するだけでなく、減衰力の維持性に優れた、すなわち、乗り心地が変化しにくい組成物を得ることができるため特に好ましい。
なお、オレフィン(共)重合体系粘度指数向上剤としては、潤滑油への溶解性やハンドリング向上等を目的とし、通常、希釈剤を10〜95質量%程度含有するものが入手可能であるが、有効成分としてのポリマーが前記した範囲になるように配合することが好ましい。
【0020】
本発明の緩衝器用油圧作動油組成物には、さらに必要に応じて、その性能をさらに向上させるために、又は、その他の目的に応じて潤滑油に一般的に使用されている任意の添加剤を添加することができる。このような添加剤としては、例えば、オレフィン(共)重合体系粘度指数向上剤以外の粘度指数向上剤、摩擦調整剤、摩耗防止剤、無灰分散剤、酸化防止剤、流動性向上剤、金属不活性化剤、金属系清浄剤、腐食防止剤、防錆剤、抗乳化剤、消泡剤、及び着色剤等の各種添加剤を挙げることができる。
【0021】
オレフィン(共)重合体系粘度指数向上剤以外の粘度指数向上剤としては、各種公知の粘度指数向上剤、例えば、ポリメタクリレート系粘度指数向上剤、スチレン−ジエン共重合体系粘度指数向上剤、スチレン−無水マレイン酸エステル共重合体系粘度指数向上剤又はポリアルキルスチレン系粘度指数向上剤等を使用することができ、緩衝器用油圧作動油組成物の粘度−温度特性を改善するために含有させることができる。
オレフィン(共)重合体系粘度指数向上剤以外の粘度指数向上剤の重量平均分子量は、特に制限はないが、通常10,000〜1,000,000、好ましくは100,000〜500,000、さらに好ましくは150,000〜300,000、特に好ましくは150,000〜250,000のものが好適である。
本発明においては、その粘度−温度特性を改善するために、重量平均分子量が150,000〜250,000のポリメタクリレート系粘度指数向上剤を含有させることが特に好ましい。
オレフィン(共)重合体系粘度指数向上剤以外の粘度指数向上剤を含有させる場合の含有量は、特に制限はないが、緩衝器用油圧作動油組成物全量基準で、ポリマー量(有効成分量)として、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%、特に好ましくは0.5〜3質量%である。
【0022】
摩擦調整剤としては、潤滑油用の摩擦調整剤として通常用いられる任意の化合物が使用可能であり、例えば、ジチオカルバミン酸モリブデン、ジチオリン酸モリブデン、モリブデンアミン錯体、モリブデン−コハク酸イミド錯体、二硫化モリブデン等のモリブデン系摩擦調整剤、炭素数6〜30のアルキル基又はアルケニル基、特に炭素数6〜30の直鎖アルキル基又は直鎖アルケニル基を分子中に少なくとも1個有する、アミン化合物、イミド化合物、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪族エーテル等の無灰摩擦調整剤等が挙げられ、組成物全量基準で、通常0.01〜5質量%の範囲で含有させることが可能である。
【0023】
摩耗防止剤としては、潤滑油の摩耗防止剤として通常用いられる任意の化合物が使用可能であり、例えば、リン及び/又は硫黄含有摩耗防止剤等が挙げられ、例えば、(チオ)リン酸エステル類、(チオ)亜リン酸エステル類、これらの誘導体、これら金属塩、これらのアミン塩、及びジスルフィド類、硫化オレフィン類、硫化油脂類、ジチオカーバメート、ジチオカルバミン酸亜鉛等の硫黄含有化合物等が挙げられる。これらの摩耗防止剤は、組成物全量基準で、通常0.01〜5質量%の範囲で本発明の組成物に含有させることが可能である。
【0024】
無灰分散剤としては、潤滑油の無灰分散剤として通常用いられる任意の化合物が使用可能であり、例えば、炭素数40〜400のアルキル基又はアルケニル基を有するコハク酸イミド、ベンジルアミン、ポリアミン等及びそれらのホウ素化合物、リン化合物、硫黄化合物、含酸素有機化合物等により変性された誘導体等が挙げられる。無灰分散剤は、組成物全量基準で、通常0.01〜20質量%、好ましくは0.01〜5質量%、より好ましくは1質量%以下、特に好ましくは0.5質量%以下の範囲で本発明の組成物に含有させることが可能である。
【0025】
酸化防止剤としては、潤滑油の酸化防止剤として通常用いられる任意の化合物が使用可能であり、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、オクチル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3−メチル−5−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル置換脂肪酸エステル類等のフェノール系酸化防止剤、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキルフェニル−α−ナフチルアミン、ジアルキルジフェニルアミン等のアミン系酸化防止剤等が挙げられる。これらの酸化防止剤は、組成物全量基準で、通常0.01〜5質量%の範囲で本発明の組成物に含有させることが可能である。
【0026】
流動性向上剤としては、潤滑油の流動性向上剤として通常用いられる任意の化合物が使用可能であり、例えば、ポリメタクリレート系流動性向上剤等が挙げられる。
金属不活性化剤としては、イミダゾリン、ピリミジン誘導体、アルキルチアジアゾール、メルカプトベンゾチアゾール、ベンゾトリアゾール又はその誘導体、1,3,4−チアジアゾールポリスルフィド、1,3,4−チアジアゾリル−2,5−ビスジアルキルジチオカーバメート、2−(アルキルジチオ)ベンゾイミダゾール、及びβ−(o−カルボキシベンジルチオ)プロピオンニトリル等が挙げられる。
【0027】
金属系清浄剤としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のスルホネート、フェネート、サリシレート及びホスホネート等が挙げられる。
腐食防止剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系、トリルトリアゾール系、チアジアゾール系、及びイミダゾール系化合物等が挙げられる。
防錆剤としては、例えば、石油スルホネート、アルキルベンゼンスルホネート、ジノニルナフタレンスルホネート、アルケニルコハク酸エステル、及び多価アルコールエステル等が挙げられる。
【0028】
抗乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、及びポリオキシエチレンアルキルナフチルエーテル等のポリアルキレングリコール系非イオン系界面活性剤等が挙げられる。
消泡剤としては、例えば、25℃における動粘度が0.5〜10,000mm/s未満のシリコーンオイルの他、アルケニルコハク酸誘導体、ポリヒドロキシ脂肪族アルコールと長鎖脂肪酸のエステル、メチルサリシレートとo−ヒドロキシベンジルアルコール、アルミニウムステアレート、オレイン酸カリウム、N−ジアルキル−アリルアミンニトロアミノアルカノール、イソアミルオクチルホスフェートの芳香族アミン塩、アルキルアルキレンジホスフェート、チオエーテルの金属誘導体、ジスルフィドの金属誘導体、脂肪族炭化水素のフッ素化合物、トリエチルシラン、ジクロロシラン、アルキルフェニルポリエチレングリコールエーテルスルフィド、フルオロアルキルエーテル等が挙げられる。
【0029】
これらの添加剤を本発明の緩衝器用油圧作動油組成物に含有させる場合には、その含有量は組成物全量基準で、流動性向上剤、金属系清浄剤、腐食防止剤、防錆剤、抗乳化剤ではそれぞれ0.005〜5質量%、金属不活性化剤では0.005〜1質量%、消泡剤では0.0001〜0.01質量%の範囲で通常選ばれる。
本発明の緩衝器用油圧作動油組成物の40℃における動粘度は、通常3〜60mm/s、好ましくは6〜20mm/s、特に好ましくは8〜15mm/sである。
【発明の効果】
【0030】
上述のように、潤滑油基油に特定粘度のシリコーンオイルを含有させることにより、さらには特定の粘度指数向上剤を組み合わせることにより、緩衝器の減衰力が高くなり自動車の振動を抑制できる結果として、乗り心地に優れた緩衝器用油圧作動油組成物が得られる。
【実施例】
【0031】
以下、本発明の内容を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【0032】
[実施例1〜5および比較例1]
パラフィン系基油に、表1に示す組成の添加剤を配合し、組成物の40℃における動粘度が10mm/sとなるように本発明の油圧作動油組成物(実施例1〜5)及び比較用の油圧作動油組成物(比較例1)をそれぞれ調製した。得られた組成物について、下記に示す条件によって減衰力を測定し、その結果を表1に併記した。
【0033】
(減衰力試験)
試験油を封入した自動車用緩衝器を、室温(20℃)にて、ロッド速度0.6m/s、振幅±23.5mmとなるように加振し、緩衝器が伸びる際にかかる減衰力を測定した。減衰力が高いほど振動を吸収しやすく、自動車の乗り心地を改善しやすいことを示す。
【0034】
【表1】

【0035】
表1に示す通り、本発明にかかる緩衝器用油圧作動油組成物(実施例1〜3)の減衰力は、25℃における動粘度が10,000mm/s未満のジメチルポリシロキサンを使用した場合(比較例1)と比べ、格段に高くなることがわかる。また、粘度指数向上剤、特にオレフィン(共)重合体系粘度指数向上剤をさらに配合した場合(実施例4および5)、さらに減衰力が向上することがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑油基油に、25℃における動粘度が10,000〜350,000mm/sのシリコーンオイルを含有することを特徴とする緩衝器用油圧作動油組成物。
【請求項2】
さらに、オレフィン(共)重合体系粘度指数向上剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の緩衝器用油圧作動油組成物。

【公開番号】特開2006−143926(P2006−143926A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−337619(P2004−337619)
【出願日】平成16年11月22日(2004.11.22)
【出願人】(000004444)新日本石油株式会社 (1,898)
【Fターム(参考)】