説明

縮小表示方法

【課題】 縮小表示を行っても、情報の欠落が少ない縮小表示方法を得る。
【解決手段】 RGB3原色をそれぞれ発光する3つの発光素子を一定順序で並設して1画素を構成し、この画素を第1の方向に並設して1ラインを構成し、このラインを第1の方向に直交する第2の方向に複数設けて、表示画面を構成する表示デバイスに、1/n倍縮小表示を行わせる。原画像データを、第1の方向に3/n倍したワーク画像データを求める。ワーク画像データを、1画素を構成する3つの発光素子に割り当てて、表示デバイスに表示を行わせる。サブピクセルをうまく使用して、情報の欠落を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、RGB3原色の発光素子を並設した表示デバイスにおいて、1/n倍の縮小表示を行う方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、種々の表示デバイスを用いた表示装置が使用されている。このような表示装置のうち、例えば、カラーLCD、カラープラズマディスプレイなど、RGB3原色をそれぞれ発光する3つの発光素子を一定の順序で並べて、1画素とし、この画素を第1の方向に並設して1ラインを構成し、このラインを第1の方向に直交する第2の方向に複数設けて、表示画面を構成するものがある。
【0003】このような表示デバイスを用いて、1/n倍の縮小表示を行う場合における、問題点を、図8の例に基づいて、説明する。なお、この例では、縦横に1/2倍するものとする。
【0004】さて、原画像が、図8(a)であったとすると、これを横1/2倍すると、図8(b)のようになる。さらに、縦1/2倍すると、図8(c)のようになる。
【0005】ここで、原画像を忠実に1/2倍すると、図8(d)のようになっていなければならない。しかしながら、実際には、図8(c)のようになって、原画像に含まれていた、右一列の白の部分が、縮小により欠落してしまっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように、従来の技術によると、縮小表示を行う際に、原画像の一部が欠落して、表示が不鮮明になるという問題点があった。
【0007】そこで本発明は、縮小表示を行っても、情報の欠落が少ない縮小表示方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明では、RGB3原色をそれぞれ発光する3つの発光素子を一定順序で並設して1画素を構成し、この画素を第1の方向に並設して1ラインを構成し、このラインを第1の方向に直交する第2の方向に複数設けて、表示画面を構成する表示デバイスに、1/n倍縮小表示を行わせるにあたり、原画像データを、第1の方向に3/n倍したワーク画像データを求めるステップと、ワーク画像データを、1画素を構成する3つの発光素子に割り当てて、表示デバイスに表示を行わせるステップとを含む。
【0009】この構成により、情報の欠落が少ない縮小表示を実現できる。
【0010】
【発明の実施の形態】請求項1記載の縮小表示方法では、RGB3原色をそれぞれ発光する3つの発光素子を一定順序で並設して1画素を構成し、この画素を第1の方向に並設して1ラインを構成し、このラインを第1の方向に直交する第2の方向に複数設けて、表示画面を構成する表示デバイスに、1/n倍縮小表示を行わせるにあたり、原画像データを、第1の方向に3/n倍したワーク画像データを求めるステップと、ワーク画像データを、1画素を構成する3つの発光素子に割り当てて、表示デバイスに表示を行わせるステップとを含む。
【0011】この構成により、第1の方向について、1画素に3つの発光素子が対応する関係を利用して、第1の方向についての情報欠落を抑制することができる。そのため、縮小しても見やすい表示が得られる。
【0012】請求項2記載の縮小表示方法では、表示デバイスに表示を行わせる前に、RGB3原色の輝度貢献度に合わせて重み付けした係数に基づき、3倍画像データをフィルタリング処理する。
【0013】この構成により、RGB3原色の輝度貢献度を反映させた、サブピクセル表示を行え、従来技術に比べ、色むらを一層低減して、サブピクセル表示の品位を向上できる。
【0014】請求項3記載の縮小表示方法では、フィルタリング処理が一段である。
【0015】この構成により、RGB3原色の輝度貢献度を反映しているから、一段のフィルタリング処理でも十分色むらを抑制できるし、しかも、簡易な処理により、処理速度を向上できる。
【0016】請求項4記載の縮小表示方法では、フィルタリング処理が二段である。
【0017】この構成により、RGB3原色の輝度貢献度が二段にわたって反映され、緻密なフィルタリング処理を行えるため、一層色むらを抑制して、表示品位を向上できる。
【0018】請求項5記載の縮小表示方法では、係数の少なくとも一部は、R:G:B=3:6:1となるように設定されている。
【0019】この構成により、実態に合わせた輝度調整を行える。
【0020】請求項6記載の縮小表示方法では、フィルタリング処理は、注目サブピクセルを中心として、計3つのサブピクセルに対して行われる。
【0021】この構成により、RGB3原色の輝度貢献度を反映しているから、計3つのサブピクセルに対するフィルタリング処理でも十分色むらを抑制できるし、しかも、簡易な処理により、処理速度を向上できる。
【0022】請求項7記載の縮小表示方法では、フィルタリング処理は、注目サブピクセルを中心として、計5つのサブピクセルに対して行われる。
【0023】この構成により、RGB3原色の輝度貢献度が広い範囲にわたって反映され、緻密なフィルタリング処理を行えるため、一層色むらを抑制して、表示品位を向上できる。
【0024】請求項8記載の縮小表示方法では、フィルタリング処理後であって、かつ、表示デバイスに表示を行わせる前に、第2の方向についてアンチエイリアシング処理を行う。
【0025】この構成により、ジャギーを目立たないようにすることができる。
【0026】請求項9記載の縮小表示方法では、ワーク画像データは、原画像データを、第1の方向に3/n倍し、かつ、第2の方向に1/n倍したものである。
【0027】この構成により、縦横等倍の縮小表示を、情報の欠落が少なく状態で、見やすく実現できる。
【0028】以下図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。図1は、本発明の一実施の形態における表示装置のブロック図である。
【0029】図1において、入力手段1は、操作指示の情報などを入力する。また、表示制御手段2は、図1の各要素を制御して、サブピクセル表示のために、表示画像記憶手段7(VRAMなど)が記憶する表示画像に基づいて、表示デバイス3に表示を行わせる。
【0030】表示デバイス3は、RGB3原色をそれぞれ発光する3つの発光素子を一定順序で並設して1画素を構成し、この画素を第1の方向に並設して1ラインを構成し、このラインを第1の方向に直交する第2の方向に複数設けて、表示画面を構成してなる。具体的には、カラーLCD、カラープラズマディスプレイなどと、これらの各発光素子をドライブするドライバからなる。
【0031】原画像データ記憶手段4は、縮小表示する前の原画像データを記憶する。この原画像データは、ラスタ画像又はベクトル画像であって後にラスタ画像に展開されるものである。勿論、一般の画像でも良いし、フォントであっても良い。
【0032】ワーク画像データ記憶手段5は、表示制御手段2が、縮小表示する際に、原画像データ記憶手段4の原画像を、一時的に拡大縮小したワーク画像を記憶する。
【0033】アンチエイリアシング処理手段6は、与えられた画像の輪郭をスムージングする。
【0034】フィルタリング処理手段7は、ワーク画像データ記憶手段5が記憶するワーク画像データに対し、後述する係数に基づいて、フィルタリング処理を行い、得られた画像を、表示画像記憶手段8に格納する。
【0035】次に、図3〜図6を参照しながら、本形態におけるフィルタリング処理について説明する。まず、一段のみの係数は、図3に示すようになる。ここで、RGBの3つの発光素子(サブピクセル)から構成される1画素において、輝度貢献度は、R:G:B=3:6:1である。
【0036】そこで、図3(a)に示すように、注目サブピクセルがRであるとき、その左はB、その右はGであるから、左(一つ前、n−1)のBサブピクセルに1/10,注目サブピクセルのRサブピクセルに3/10,右(一つ先、n+1)のGサブピクセルに6/10というようにエネルギー分配する。
【0037】したがって、各値Vに添え字を付して表現すると、輝度貢献度反映後の値V(n)=(1/10)×Vn−1+(3/10)×Vn+(6/10)×Vn+1となる。
【0038】同様に、注目サブピクセルがGであるときは、図3(b)のようになり、注目サブピクセルがBであるとき、図3(c)のようになる。
【0039】ここで、図3を見れば明らかなように、一段のみの係数を用いると、この係数は、注目サブピクセルを中心として計3つのサブピクセルに対して適用される。
【0040】次に、二段の係数について、図4を参照しながら説明する。図4の例では、一段目については、図3R>3と全く同じである。そして、注目サブピクセルがRであるとき、図4(a)に示すように、枝分かれしたBサブピクセルに着目すると、その下段は、GBRの順となるので、それぞれ左から順に、6/10,1/10,3/10となるように、エネルギーを分配する。
【0041】同様に、枝分かれしたRサブピクセルについては、BRGの順となるので、それぞれ左から順に、1/10,3/10,6/10となるように、エネルギーを分配する。また、枝分かれしたGサブピクセルについては、RGBの順となるので、それぞれ左から順に、3/10,6/10,1/10となるように、エネルギーを分配する。
【0042】その結果、図4(a)に示す階層が形成される。さて、図4(a)の中心のRサブピクセル(注目サブピクセル、n)に着目すると、この注目サブピクセルに至るには、上段のB、R、Gサブピクセルを経由する3つの経路がある。したがって、注目サブピクセルの値Vnについての係数は、(1/10)×(3/10)+(3/10)×(3/10)+(6/10)×(3/10)=30/100となる。
【0043】最下段の他のサブピクセルについても、同様に係数を求めると、輝度貢献度反映後の値V(n)=(6/100)×Vn−2+(4/100)×Vn−1+(30/100)×Vn+(54/100)×Vn+1+(6/100)×Vn+2となる。
【0044】同様に、注目サブピクセルがGであるときは、図4(b)のようになり、注目サブピクセルがBであるとき、図4(c)のようになる。
【0045】ここで、図4を見れば明らかなように、二段の係数を用いると、この係数は、注目サブピクセルを中心として計5つのサブピクセルに対して適用される。
【0046】また、以上の変形例として、図5(二段目を均等(1/3)分配)、図6(一段目を均等(1/3)分配)をあげることができる。このように、一部を均等分配しても、他の段が輝度貢献度を反映した係数であれば、実用上十分な場合が多い。さらに、三段以上に拡張しても、本発明に包含される。
【0047】次に、図2を参照しながら、本形態における縮小表示方法の流れを説明する。まず、ステップ1において、入力手段1に縮小表示を行う旨の表示情報が入力される。そして、入力手段1から縮小率(n)が入力される(ステップ2)。
【0048】すると、ステップ3にて、表示制御手段2は、原画像データ記憶手段4から、原画像データを取出し、この原画像を第1の方向に3/n倍、第2の方向に1/n倍して、ワーク画像データ記憶手段5へ格納する。なお勿論、縮小方向は、第1の方向のみにしても良い。
【0049】次に、ステップ4にて、表示制御手段2は、フィルタリング処理手段7に、ワーク画像データ記憶手段5のワーク画像について、輝度貢献度を反映した係数で、フィルタリング処理を行わせる。ここで、この係数は、図3から図6のいずれの係数を用いても良い。
【0050】フィルタリング処理が済んだら、ステップ6にて、フィルタリング処理手段5は、処理後の画像データを表示制御手段2へ返し、表示制御手段2は、受け取ったデータを、1画素単位ではなく、1画素を構成するRGB3つの発光素子の単位で(つまりサブピクセル画像として)、表示画像記憶手段8へ格納する。
【0051】次に、ステップ6にて、表示制御手段2は、アンチエイリアシング処理手段6に指示を出し、アンチエイリアシング処理手段6は、表示画像記憶手段8に記憶されたサブピクセル画像を、第2の方向についてスムージングする。
【0052】そして、ステップ7にて、表示制御手段2は、表示画像記憶手段7に格納された表示画像に基づき、表示デバイス3の、1画素を構成する3つの発光素子に、この3倍パターンを割り当てて(サブピクセル表示で)、表示デバイス3に表示を行わせる。
【0053】次に、図7を参照しながら、本形態による、縮小表示の例を説明する。ここでは、従来技術を示す図8(a)を同じ条件(縦横1/2倍)で、縮小表示するものとする。また、第1の方向は図8の横方向、第2の方向は図8の縦方向であるとする。
【0054】まず、原画像は、図7(a)であり、この原画像データが原画像データ記憶手段4に記憶されている。そして、表示制御手段2は、図7(d)に示すように、これを縦1/2倍、横3/2倍して、ワーク画像データ記憶手段5へ格納する。
【0055】勿論、図7(a)から図7(d)に至るには、図7(b)、図7(c)の状態を経由し、図7(d)に及ぶようにしても良い。
【0056】いずれにしても、ワーク画像データ記憶手段5には、図7(d)のようなワーク画像データが格納されるので、表示制御手段2は、図7(d)のワーク画像データをサブピクセル表示に適するように割り当てて、図7(e)のような画像データを表示画像記憶手段8へ格納する。そして、第1の方向(この例では横方向)が1画素の3分の1となっている、サブピクセルの縮小画像に基づいて、縮小表示が行われることになる。
【0057】ここで、図7(f)に示した、理想的な縮小画像と比べても、図7(e)の本形態による縮小表示結果は、右1列の白い部分が欠落しておらず、良好な縮小表示結果が得られることが、理解されよう。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、縮小表示しても、情報の欠落を抑制でき、見やすい縮小表示を実現できる。また、フィルタリング係数を工夫して、色むらが少なく高品位な表示を行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における表示装置のブロック図
【図2】本発明の一実施の形態における表示装置のフローチャート
【図3】(a)本発明の一実施の形態における係数の説明図
(b)本発明の一実施の形態における係数の説明図
(c)本発明の一実施の形態における係数の説明図
【図4】(a)本発明の一実施の形態における係数の説明図
(b)本発明の一実施の形態における係数の説明図
(c)本発明の一実施の形態における係数の説明図
【図5】(a)本発明の一実施の形態における係数の説明図
(b)本発明の一実施の形態における係数の説明図
(c)本発明の一実施の形態における係数の説明図
【図6】(a)本発明の一実施の形態における係数の説明図
(b)本発明の一実施の形態における係数の説明図
(c)本発明の一実施の形態における係数の説明図
【図7】(a)本発明の一実施の形態における縮小表示の過程説明図
(b)本発明の一実施の形態における縮小表示の過程説明図
(c)本発明の一実施の形態における縮小表示の過程説明図
(d)本発明の一実施の形態における縮小表示の過程説明図
(e)本発明の一実施の形態における縮小表示の過程説明図
(f)理想縮小表示の説明図
【図8】(a)従来の縮小表示の過程説明図
(b)従来の縮小表示の過程説明図
(c)従来の縮小表示の過程説明図
(d)理想縮小表示の説明図
【符号の説明】
2 表示制御手段
3 表示デバイス
4 原画像データ記憶手段
5 ワーク画像データ記憶手段
6 アンチエイリアシング処理手段
7 フィルタリング処理手段
8 表示画像記憶手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】RGB3原色をそれぞれ発光する3つの発光素子を一定順序で並設して1画素を構成し、この画素を第1の方向に並設して1ラインを構成し、このラインを前記第1の方向に直交する第2の方向に複数設けて、表示画面を構成する表示デバイスに、1/n倍縮小表示を行わせるにあたり、原画像データを、前記第1の方向に3/n倍したワーク画像データを求めるステップと、ワーク画像データを、1画素を構成する3つの発光素子に割り当てて、前記表示デバイスに表示を行わせるステップとを含むことを特徴とする縮小表示方法。
【請求項2】前記表示デバイスに表示を行わせる前に、RGB3原色の輝度貢献度に合わせて重み付けした係数に基づき、前記3倍画像データをフィルタリング処理することを特徴とする請求項1記載の縮小表示方法。
【請求項3】前記フィルタリング処理が一段であることを特徴とする請求項2記載の縮小表示方法。
【請求項4】前記フィルタリング処理が二段であることを特徴とする請求項2記載の縮小表示方法。
【請求項5】前記係数の少なくとも一部は、R:G:B=3:6:1となるように設定されていることを特徴とする請求項2から4記載の縮小表示方法。
【請求項6】前記フィルタリング処理は、注目サブピクセルを中心として、計3つのサブピクセルに対して行われることを特徴とする請求項2、3、5記載の縮小表示方法。
【請求項7】前記フィルタリング処理は、注目サブピクセルを中心として、計5つのサブピクセルに対して行われることを特徴とする請求項2、4、5記載の縮小表示方法。
【請求項8】フィルタリング処理後であって、かつ、前記表示デバイスに表示を行わせる前に、前記第2の方向についてアンチエイリアシング処理を行うことを特徴とする請求項2から7記載の縮小表示方法。
【請求項9】前記ワーク画像データは、原画像データを、前記第1の方向に3/n倍し、かつ、前記第2の方向に1/n倍したものであることを特徴とする請求項1から8記載の縮小表示方法。

【図1】
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【図3】
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【図8】
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【図2】
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【図4】
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【図7】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2002−40985(P2002−40985A)
【公開日】平成14年2月8日(2002.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−220042(P2000−220042)
【出願日】平成12年7月21日(2000.7.21)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】