説明

繊維供給装置

繊維供給装置であって、繊維材料を梳き又は開放ロールを介して繊維分配手段に供給する繊維供給手段が設けられている形式のものにおいて、該繊維分配手段が、収集手段に対して垂直方向で複数の小さな繊維分配手段に分割されており、複数の小さな繊維分配手段が、繊維材料の連続した流れが収集手段に送られるか又は収集手段から逸らされるように形成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転式ドラム、収集ベルト又は製品型等の収集装置へ繊維材料を送るための供給装置に関する。
【0002】
自動車産業において、例えばドア、天井の被覆材、特にフロア領域における遮音のための広範囲の製品において繊維フェルト材料が使用されている。これらの製品は、形成され、その空間に適合するように裁断される。さらに、製品の特定の領域は、より高い遮音性を得るためにより多量の材料を含んでいる。例えば、ダッシュボードの下側には、エンジンからの騒音を低減するために余分な材料が用いられている。局所的に防音性を向上させるために、カーペット下又はフロアの特定の領域においても付加的な材料が必要とされる。フェルト製品は、重量層材料と組み合わされてばね質量系を形成するか、又は空気流抵抗層と組み合わされて音響吸収系を形成することができる。
【0003】
これらの製品は、例えば固定手段のための、繊維が存在しない領域を有するか、又は車両内の機器をよける必要があり、車両内に正確に配置されるためにドア又はフロア等の所定の輪郭に合致しなければならない。したがって、製品は、硬化ステップの後に裁断される。裁断の後に残るスクラップは、加熱ステップによって既に硬化された混合材料である。したがって、ほとんどのこれらの材料はリサイクルするのが困難である。これは現代の自動車工業における現実の問題である。
【0004】
従来、繊維フェルト製品は、加熱された型においてプレス加工され、所望の形状及び剛性を得るように裁断された、バインダ繊維を含有する予備成形された繊維マットから製造される。この方法の欠点は、製品の坪量が繊維マットに依存するため、制限されるということである。より大きな坪量を備える領域は、手作業によって材料を付加的に供給することによってのみ得ることができる。この作業は時間がかかり、極めて高価である。さらに、繊維マットは、巻き取られた製品又は予め切断されたマットとして供給されるので、製造工程は大量のスクラップ材料を生じることになる。予備形成されたマットを使用する別の欠点は、より極端な輪郭を有する型においてマットがプレス加工された場合にマットが容易に裂断又は破損しやすいということである。
【0005】
Schlichterは、Melliand Textilberichteにおける"Alternative Anwendungen fuer Flockenspeiser"(7-8/2001)という記事において、高さが変化しているラップを製造することができるラップ形成機を使用することを提案しており、この場合、変化は、形成されるウェブの幅方向に位置する。ラップは、移動する収集ベルト上に収集されるので、変化は、幅方向においてのみ見られ、形成されるウェブの長さ方向においては見られない。このような幅方向の変化を得るために、供給トレーは複数の小さな供給トレーを有しており、これらの供給トレーのニップ間隔は個別に調整可能であり、これにより、形成されたラップにおいて高さの変化を得る。このシステムの欠点は、製造前にのみ調節することができ、製造中には調節できないということである。さらに、このシステムは、ラップの幅方向においてのみ変化を許容し、製造された最終的なラップにおいて縞状の模様を生じる。局所的な領域において異なる坪量を得ること、又は材料の存在しない領域を得ることは不可能である。
【0006】
別の製造方法は、型に直接繊維を吹き込む。米国特許第3697208号明細書又は米国特許出願公開第2007/0007695号明細書は、型が繊維材料で完全に充填される方法を開示している。また、この場合の欠点は、局所的に異なる繊維の坪量が、型を形成することによって、及び最終製品を得るために型がプレスされる形式によってのみ設定することができるということである。製品に開放した領域又はギャップを得ることは不可能である。
【0007】
欧州特許第0770154号明細書は、型に繊維材料を充填するための、型の上方に配置された少なくとも1つの充填ホースのシステムを開示している。型は、真空空気導管の上部に配置されており、繊維を型に閉じ込める。繊維の集合体が各ホースに供給される。空気管により、空気の流れは、集合体をホースから放出するために又は次のゲート区分へ駆動するために使用される。1つの成形された製品に様々な異なる密度の領域を提供するために、プログラム可能な位置決め装置を使用することができ、これにより、型充填ホースを操作する。充填ホースは次いで型の異なる領域に配置され、時間とともに、繊維の量が各領域において調整される。これは、型ごとに2つ以上のホースを用いて行うこともできる。このシステムの欠点は、複雑で高価な機械であるということであり、融通性のあるプロセスのための余地をあまり残していない。
【0008】
したがって、本発明の目的は、必要とされる領域に所定の量で繊維材料を供給することができる繊維供給装置を得ることである。繊維供給装置は、不織布繊維ウェブ又はラップを製造するために、型を充填するために、又は三次元形状を備える不織布繊維製品を製造するために使用することができる。
【0009】
この目的は、請求項1に記載の繊維供給装置によって達成され、特に、繊維の流れを収集装置又はリサイクル装置の方向へ逸らせることによって、繊維が、収集装置における最終的な収集の前のあらゆる状態において妨害又は凝集されない。さらに、機械の幅を、それぞれが繊維流を最終製品のための繊維収集装置へ又は"廃棄された"材料を再び後で使用するためのリサイクル装置へ送るための手段を有する小さな区分に分割することによって、繊維材料を最終製品の所定の領域に、特定の坪量で供給し、さらに、製品の所定の領域から繊維材料を排除することが可能である。製品は、型に固定されるのではなく、ラップ、三次元に成形されたマット又は製品の形態であることもできる。また、製品は、三次元構造を備えた連続する繊維材料ウェブであるか、個別の製品であることができる。
【0010】
本発明による繊維供給装置は、繊維材料を梳き又は開繊ロールを介して繊維分配手段に供給する繊維供給手段を有しており、繊維分配手段は、収集手段に対して垂直方向で、複数の小さな繊維分配手段に分割されており、これらの繊維分配手段は、繊維材料の連続した流れが収集手段へ送られるか又は収集手段から逸らされることができるように構成されている。
【0011】
小さな繊維分配手段は、可動な排出ノズル又は小さなシュートであることができる。可動な排出ノズルの場合、排出ノズル230aは、第1の位置において繊維を収集装置208へ噴射し、第2の位置において繊維を収集装置208aから逸れるように噴射する。小さなシュートは、隣接する別の小さなシュートから壁部によって分離されており、この場合、小さなシュートは回動フラップを有しており、この回動フラップは、繊維流を収集装置へ送るか、又は収集装置から逸れる方向へ送ることができるように配置されている。
【0012】
収集装置から逸らされた繊維を、好適には管路の形式のリサイクル装置へ送ることができる。収集装置は、移動する穴あきベルト、移動する穴あき板、移動する穴あき型又は穴あき回転ドラムであることができる。
【0013】
分配手段によって繊維材料が配置される位置と整列して収集手段の下方に、真空手段を配置することができる。小さな繊維分配手段が小さなシュートである場合、小さなシュートは、少なくとも2つの出口を有することができ、一方の出口は収集装置に、他方の出口はリサイクル管路に向けられており、回動フラップは、出口のうちの少なくとも一方を閉鎖されることができるように配置されている。又は、小さなシュートは、少なくとも2つの出口を有することができ、一方の出口は収集装置に向けられており、他方の出口はリサイクル管路に向けられており、回動フラップは、一方の出口が開放している時に、同時に他方の出口が閉鎖されるように配置されている。小さな繊維分配手段は、それぞれ空圧式減衰手段を有することができ、個々にPLCによって制御されることができる。
【0014】
本発明による第1の装置は、繊維材料を第2のシュート供給区分へ供給するための手段を備えた第1の主シュートを有している。第2のシュート供給区分は、幅方向で複数の区分に分割されている。これらの区分は壁部によって互いに分離されており、複数の小さなシュートを形成している。供給手段は、これらの小さなシュートのすぐ上方に配置されており、材料流は、これらの分離壁によって、より小さな繊維流に自動的に分割される。これらの小さなシュートはそれぞれ2つのチャネルを有しており、一方のチャネルは繊維収集装置に、他方のチャネルはリサイクル装置に向けられている。2つのチャネルが異なる方向を辿るように分離する2つのチャネルの合流箇所において、回動フラップは、チャネルのうちの少なくとも一方を閉鎖することができるように配置されている。この回動フラップは、繊維流を、収集装置に向かって案内するか、又は収集装置から逸れてリサイクル装置に向かって案内することができる。チャネルの代わりに、小さなシュートは少なくとも2つの出口を有することも適切である。
【0015】
リサイクル装置は、単に繊維材料を廃棄するための大きな容器又は箱であることができるが、換気装置を備えた管系であることもでき、好適には管系は第1の主シュートに接続されている。しかしながら、弁を用いて開閉することができる1つの出口のみを備えた小さなシュートの単純な開閉システムが選択肢の1つである。少なくとも2つの出口と、回動フラップとを備えたシステムがより好ましい。このシステムは、処理中に繊維材料が立ち上がらず、圧縮される必要がないという利点を有する。このシステムは、フラップが繊維の塊によってブロックされることができないという利点を有する。したがって、製品の全幅に亘って材料流のより均一な密度分布が保証される。
【0016】
小さなシュートのそれぞれにおいて繊維材料の流れの方向を制御することができるためには、回動フラップが制御される。回動は、従来公知の液圧式又は空圧式の手段によって行われることができる。回動のためのこれらの手段は、制御及び調整されることができる。好適には、コンピュータ制御システムが各回動フラップに接続されており、これにより、フラップの位置と、位置がいつ切り換えられなければならないかのタイミングとを制御することを可能にしている。それぞれのフラップを別個に制御することにより、製品若しくは繊維マットに対する繊維材料の量及び繊維材料の配置を制御することができる。
【0017】
複数の小さなシュートにより、収集装置の幅は小さな領域に分割されており、これらの領域の長さ及び幅は、小さなシュートの幅及び長さに依存する。主シュートに対して平行な幅方向での領域の数の合計は、小さなシュートの数の合計と同じである。
【0018】
回動フラップ、ひいては繊維流の方向を制御することにより、繊維流が収集装置に送られる時間と、繊維供給手段の繊維流量とに依存して、それぞれの小さなシュートを通って繊維を供給しないか又は所定の量の繊維材料を供給することができる。繊維の流量は、同時に全ての小さなシュートに繊維材料を供給する供給手段によって決定される。したがって、例えば、収集装置が、連続した移動する平坦な穴あきベルトであり、全てのフラップは、繊維流がこのベルトに向かって送られるように設定されている場合、ウェブの幅及び長さに亘って繊維が均一に分配された通常の不織布ラップ又はウェブが提供される(長さは、移動するベルトの方向である)。
【0019】
ベルトを断続的にステップ式に移動させることも可能である。1つのステップは、小さなシュートの長さに対応することができる。回動フラップが、繊維流を収集装置へ断続的な流れで送るように制御されると、これは、繊維材料の分割として見なすことができる。移動するベルトの場合、これは、ベルトの別個の領域に繊維材料の別個の分量を配置することができることを意味する。ベルトのステップ式の移動に応じて、これらの別個の分量は互いに分離しているか重なり合っている。繊維材料が存在しない領域を形成するためには、単に、繊維材料を所定の時間だけ収集装置から逸らせるだけでよい。
【0020】
このシステムを用いることによって、繊維流が収集装置から逸らされた場合には繊維材料を有さない領域を提供することができ、収集装置へ送られる繊維流を、繊維供給装置の下方の収集装置の移動に関してタイミングを合わせることによって、所定の量の材料を有する領域を提供することができる。
【0021】
本発明による第2の択一的な装置は、繊維材料を収集装置へ送るか又は収集装置から逸らせるようにそれぞれが回動フラップを備えた静的な小さなシュートの代わりに、収集装置の移動方向に対して横断方向に分配された複数の排出ノズルを有することができ、この場合、各排出ノズルは、ノズルが前記収集装置上に繊維を噴射する第1の位置と、前記ノズルが繊維を前記収集装置から逸らせて噴射する第2の位置との間で可動である。1つの特定の実施形態において、不織布繊維のウェブを製造するための装置は、第2の位置における排出ノズルによって噴射された繊維をリサイクルするためのリサイクル装置を有している。不織布繊維のウェブを製造するための装置は、有利には、リサイクル装置によってリサイクルされた繊維を繊維供給装置へ戻すための再処理装置を有している。
【0022】
本発明は、不織布繊維のウェブを製造する方法をも提供し、この方法は、
収集装置を、収集装置の移動方向に対して横断方向で分配された複数の排出ノズルを有する繊維供給装置に対して移動させるステップと、
前記複数の排出ノズルによって繊維を連続して噴射するステップと、
各噴射ノズルを、繊維が前記収集装置上に噴射される第1の位置と、繊維が前記収集装置上に噴射されない第2の位置との間で移動させるステップとを有している。
【0023】
有利には、第1の位置と第2の位置との間を移動させる各ステップの後に、繊維リサイクルステップが行われる。
【0024】
有利には、繊維リサイクルステップにおいてリサイクルされた繊維が、繊維供給装置へ搬送されるステップを有する。
【0025】
本発明は、前記態様による製造方法によって製造された不織布繊維のウェブも提供する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1の実施形態による繊維分配装置を示す概略的な側面図である。
【図2】A−Aの方向から見た本発明による繊維分配装置の正面図である。
【図3】回動フラップの配置に関する択一的な手段を示す図である。
【図4】本発明による不織布繊維のウェブの例を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施形態による、不織布繊維のウェブを製造するための装置を示す概略図である。
【図6】本発明の第2の実施形態による、不織布繊維のウェブを製造するための装置を示す概略的な図である。
【図7】複雑な三次元製品を製造するための概略的な図である。
【0027】
ここで第1の実施形態による繊維分配装置を図1及び図2の正面図及び側面図を参照して説明する。本発明による繊維分配装置は、繊維材料を貯蔵するための主シュート1を有している。このシュートは、従来公知のような均一な繊維質量を提供するための通常の機器、例えば、前後に移動する後壁、又は通気システム(図示せず)を備えた穴あき後壁を有することができる。均一な繊維質量は、2つの供給ロール2によって梳き又は開繊ロール3に供給される。従来公知の繊維材料を搬送するためのその他の供給手段、例えば組み合わされた供給ロール及びトレーを使用することもできる。梳き又は開繊ロールは、繊維質量の最終的な低密度化のために使用される。通常、繊維は、まとまった繊維梱で供給される。したがって、繊維は、ばらけた繊維材料ではなく、集合体を形成している。開繊ロールはこれらの集合体を開繊し、より均一な繊維材料を提供する。さらに、バインダ繊維を基本繊維材料と混合することができる。さらに、梳き又は開繊ロールは、付加的に混合装置として機能する。
【0028】
ばらけた繊維材料は梳きロールから下部シュート10へ投入される。この下部シュートは、機械の幅に亘ってより小さな区分9に分割されており、各区分は、隣接する別の区分から壁部によって分離されており、複数の小さなシュートを形成している。これらの各シュート9は少なくとも2つの出口を有しており、一方の出口はリサイクル管路5に、第2の出口6は収集装置に通じている。収集装置は、この場合、小さなシュートの出口6と向き合ってベルトの下方に配置された吸引装置7を備えた、穴あき移動ベルト8として形成されている。収集装置は、繊維供給装置の幅Wに対して垂直の方向に移動し、この方向は、製造される繊維ウェブ又は製品の長さと呼ばれる。基本的に、幅Wは繊維供給装置の幅に制限されているが、長さLは制限されておらず、製造される製品又はウェブに依存する。
【0029】
2つの出口5,6の間に回動フラップ4が配置されており、この回動フラップ4は、繊維流をリサイクル管路6へ又は収集装置5へ案内することができる。第1の実施形態において、フラップは管の上壁に取り付けられており、リサイクル管路へのチャネルが開閉されるように回動することができる。リサイクル管路は換気装置に接続されており、チャネルの全幅に亘って均一に広がった吸引力を得ることができる。フラップがリサイクル管路へのチャネルを開放させると、この吸引力により、梳きロールから解放された繊維が、収集装置に通じた出口管路に落下せずにチャネルに吸入される。フラップがリサイクル管路へのチャネルを閉鎖すると、吸引力が停止され、繊維は、収集装置へ通じた管路又は出口に落下する若しくは送られる。
【0030】
択一的に、フラップは、リサイクル管路へ通じた出口と、収集装置へ通じた出口との間の曲がり角に配置されることができ(図3)、この場合、枢軸はフラップの中央に位置しており、一方の管路を開放させると同時に他方の管路を閉鎖する。
【0031】
何れの場合にも、各フラップは、フラップの回動を制御及び発生させるための固有の空気圧手段に接続されている。
【0032】
繊維は収集装置8に収集される。収集装置は、移動する穴あきベルト(図示せず)又は回転ドラムであることができる。収集装置の表面は、平坦であるか、又は型の形式の表面を有することができる。繊維供給装置のすぐ下方に配置された収集面の下には、真空管路7が配置されており、この真空管路は、繊維材料を収集面上に保持し、繊維が吹き飛ばされるのを阻止する。
【0033】
好適には、梳きロールは、大きな歯11を備える鋸歯状ワイヤを有している。1つの好適な実施形態において、鋸歯状ワイヤは、スクリューコンベヤとして機能し、繊維材料を側方へ押し付け、小さなシュートへの容易で均一なアクセスを可能にしている。
【0034】
繊維流の方向の制御は、収集装置の表面の特定の部分に個別の量の繊維材料を配置することができるという利点を有している。機械の全幅に亘ってX個のより小さなシュートに分割された繊維分配装置は、出口の下方における収集装置上のX個の別個の領域と等しく、これらの領域には、個別の量の繊維材料が落下されることができる。幅に亘って、各フラップは、繊維を収集装置又はリサイクル管路へ分配するように別個に設定されることができ、これにより、X個の位置のうち、空の位置又は所定の量の材料を受け取る位置が生じることができる。
【0035】
図7は、三次元の製品をステップ式に製造するための典型的な制御方式を示している。収集装置の面積全体は、小さな正方形に分割されていて、各正方形は、小さなシュートの幅W′と長さL′とに等しい。正方形が空である場合、これは繊維材料が存在しないことを示しており、アナログの小さなシュートのフラップが材料を収集装置から逸らせて、例えばリサイクル装置へ送るための信号に対応する。所定の量の繊維材料が、材料が必要とされる各正方形において提供され、この量は、材料の流れが収集ベルトへ送られる時間に対応する。
【0036】
繊維供給装置の幅に対して垂直な収集装置の移動方向において、長さが複数の列に分割されており、各列は、収集装置のステップ式の移動によって提供される。このステップ式の移動量は、小さなシュートの長さと、必要とされる列の重なりの量とに依存する。ステップ式の移動が生じる場合、この移動は、その列が必要とする時間、つまり、小さなシュートがその列において必要な最も多い繊維の量を供給するために必要な時間に依存する。収集装置の移動と、繊維の流れ方向とを時間で制御するというこの柔軟な方式により、部分によって密度が異なりかつ繊維材料が存在しない領域さえも備えた望ましい製品としての繊維ウェブを得ることができる。さらに、これらの繊維が存在しない領域を、製品の周縁部だけでなく中央部において有することもできる。
【0037】
図4は、凹部408と、穴404と、厚さ減少部406とを有する、輪郭402によって区切られた不織布繊維のウェブ220の例を示している。
【0038】
図5は、本発明の第2の択一的な実施形態による、不織布繊維のウェブを製造するための装置200を示している。不織布繊維のウェブを製造するための装置200は、繊維供給装置124と、収集装置208と、吸引装置とを有している。収集装置208に、繊維供給装置124によって繊維が供給される。収集装置は、繊維供給装置124に対して稼働であり、穴を有している。収集装置208は、矢印210によって示された方向に移動する。収集装置208が移動することにより繊維が分配され、これにより、繊維は、一箇所に蓄積しない。別の実施形態において、収集装置208が定置であることができ、これに対して繊維供給装置124が移動する。吸引装置は、穴から空気を吸入するように設計されており、これによって、繊維を収集装置208に対して押し付ける。この装置は、両方の択一的な手段にとって同じであることができる。
【0039】
供給装置124は、収集装置208の移動方向210に対して(垂直方向に横断して)分配された複数の排出ノズル230a,230bを有しており、各排出ノズル230a,230bは第1の位置230aと第2の位置230bとの間を可動である。したがって、可動なノズル230a,230bは、第1の位置又は第2の位置に位置決めされることができ、他のノズルから独立して位置決めされることができる。
【0040】
第1の位置にある各排出ノズル230aは、繊維を収集装置208上に噴射し、第2の位置にある各排出ノズル230bは、繊維を、収集装置208から逸れるように噴射する。すなわち、第1の位置にある排出ノズル230aによって噴射される繊維だけが収集装置208に到達し、凝集して、不織布繊維のウェブ220を形成する。
【0041】
各排出ノズル230a,230bの位置は、空圧式アクチュエータ又はサーボモータ等の位置決め手段によって制御される。制御ユニットは、この制御ユニットが接続された排出ノズル230a,230bの所望の位置に従って各位置決め手段を制御する。各排出ノズル230a,230bの位置を制御することによって、各ノズル230a,230bの前方で収集装置208上に噴射される繊維の量を変化させることができ、これにより、様々な厚さを有するウェブ220を製造することができる。収集装置208に面したウェブ220の面は平坦であるのに対し、ウェブ220の他方の面は様々な高さを有しており、各高さは、ウェブ220の厚さの変化に対応している。
【0042】
図6は、対応する排出ノズルを第1の位置に所定の時間に亘って位置決めし、この時間の終了後に第2の位置に位置決めすることによって生ぜしめられた厚さ減少部310を有するウェブ220を示している。収集装置208の移動速度と、排出ノズル230a,230bを通る繊維の流量は、所望の最大厚さを生ぜしめるように互いに同調させられなければならない。収集装置208の移動速度は、収集装置208上に好適な繊維坪量を提供するために繊維流量に応じて決定される。様々な幅のウェブ220は、外側の排出ノズルを第2の位置へ移動させることによって生ぜしめられることができる。すなわち、図6に示されたウェブ220の場合、厚さ減少部406は、ほぼ収集装置208の中央に配置された1つ又は複数の排出ノズルを介してより大きな厚さを生ぜしめるために必要な時間よりも短い時間に亘って繊維を噴射することによって提供される。穴404は、同様に、1つ又は複数の関連する排出ノズルによって噴射される全ての繊維を収集装置208から逸らせることによって生ぜしめられる。凹部408自体は、1つ又は複数の関連する排出ノズルによって噴射される全ての繊維を収集装置208から逸らせることによって生ぜしめられる。
【0043】
第2の位置にある噴射ノズル230bによって噴射される繊維が無駄にならないようにするために、製造装置200は、前記繊維をリサイクルするためのリサイクル装置302を有している。本実施例の場合、リサイクル装置302は、漏斗として形成されている。リサイクルされた繊維を繊維供給装置124内に再び噴射するために、製造装置200は、リサイクル装置302によってリサイクルされた繊維を戻すための再処理装置を有している。このように、繊維は、再処理装置を表す矢印304のように進む。
【0044】
1つの特定の実施形態において、製造装置200は、収集装置208上に配置された境界壁232を有している。これらの境界壁232は、ウェブに後処理が行われる前にウェブに機械的強度を提供するためにウェブの構造220を維持するのを助ける。境界壁232は、ほぼ収集装置208に対して直交するように設置されており、好適には閉ループを形成している。
【0045】
後処理装置は、高温空気がバインダに作用する加熱トンネルであってよい。硬化されると、不織布繊維のウェブ220は、ウェブに最終的な形状を提供するために圧力及び熱を加えながら成形される。
【0046】
本発明の製造装置200の操作原理をここで説明する(図6)。繊維120aは、繊維ホッパ102から出ると、矢印114の方向に回転する2つのローラ104へ送られ、これらのローラは分配装置又は供給手段を形成している。分配装置から出た繊維120bは、次いで、繊維を開繊する梳きロール106へ送られる。梳きロール106から出ると、繊維120bは様々な排出ノズル230a,230bへ分配され、これらの排出ノズルによって、収集装置208へ又は収集装置208から逸れるように噴射される。全ての排出ノズル230a,230bによる繊維のこの噴射は、幾つかの排出ノズルが収集装置208から逸れるように向けられるとしても、必要に応じて各排出ノズルを開閉する方式と比べて別の利点を有する。排出ノズルを閉鎖することに関する問題は、この閉鎖が、閉鎖された排出ノズル内の繊維に対する圧力を増大させ、詰まりを生じる恐れがあるということである。さらに、ノズルが開放するたびに、ばらけた繊維材料ではなく、凝縮された繊維材料の塊が再び噴射される。
【0047】
上述のように、不織布繊維のウェブ220を製造する方法は、
収集装置208を、この収集装置208の移動方向に対して横方向に分配された複数の排出ノズル230a,230bを有する繊維供給装置124に対して移動させるステップと、
複数の排出ノズル230a,230bを介して繊維を連続して噴射するステップと、
各排出ノズル230a,230bを、繊維が収集装置208上に噴射される第1の位置と、繊維が収集装置208上に噴射されない第2の位置との間で移動させるステップとを有している。
【0048】
発明の1つの特定の実施形態において、第1の位置と第2の位置との間で移動させる各ステップの後に、繊維リサイクルステップが行われる。有利には、繊維リサイクルステップにおいてリサイクルされた繊維が、繊維供給装置124へ搬送されるステップも行われる。
【0049】
この方法は、収集装置208上の特定の位置に噴射される繊維の量を変化させることによって三次元のウェブ220を製造する。この製造方法の後には、圧力と熱を加えながらウェブ220を成形することができ、この成形の際に、ウェブ220の所定の部分が様々な程度に圧縮され、これにより、騒音源がどこにあるかに基づいて所定の位置の密度を変化させる。
【0050】
図7は、繊維材料の異なる坪量を備える領域又は繊維材料を備えない領域を有する別個の製品を制御及び製造する方法を示す概略図である。濃く塗り潰された領域は高い坪量を備える領域であり、薄く塗り潰された領域は、通常の坪量を備える製品領域であり、空白の領域は繊維が存在しない領域である。図4に示された製品と比較すると、凹部408と輪郭402が、空白の領域によって形成されており、厚さが減少された領域406は、薄く塗り潰された領域によって形成されている。
【0051】
製品の幅Wは、繊維分配装置12の幅と等しく、小さなシュート9は、繊維分配方法の原理を理解するために概略的に示されている。収集装置の表面は方向Lに移動している。以下のステップを有することができる断続的なステップ式の方法のための例を以下に説明する。収集面は、方向Lに距離L′だけ移動させられる。L′は、分配装置の下方に空白の表面を得るために、小さなシュート9の長さとほぼ同じ距離である。回動フラップは、繊維材料を収集面へ送るか又は繊維材料を収集面から逸らせるように設定される。所定の時間の後、繊維材料を収集ベルトへ供給する小さなシュートが、収集面への繊維材料流を停止するように方向転換されることができ、その際そのシュートと隣接する別のシュートは依然として供給する。これは、材料のより大きな坪量を備えた局所的な領域を提供する。最後に、全ての繊維流が収集面から逸らされる。収集面は、再びL′の長さだけ移動させられる。
【0052】
実際には、例えば製品の間に空白部を形成するために収集面をL′よりも大きな距離だけ移動させることも有効である。繊維材料に応じて、繊維は、頂きのある山のような形で付着又は落下する。したがって、僅かな重なりを生じて補償するように、L′よりも僅かに小さな距離だけ移動させることも有利である。
【0053】
全ての繊維流を収集面から逸らせることが常に必要であるわけではない。収集面に繊維材料を分配する間、収集面を連続して移動させることにより、坪量のより緩やかな分布を生じることができる。
【0054】
コンピュータ制御盤は図7の図面を映すことができ、前もって個々の領域における繊維材料の所望の量を設定することができる。本発明による装置及び方法を用いることによって、製品の中で様々な異なる坪量の領域又は繊維の存在しない領域を備えた製品を提供し、製品の所望の外輪郭を提供し、ひいては、製品を形成した後に切断するステップを縮減することができる。また、方法の間の工程と、廃棄するスクラップ材料の総量とが低減される。
【0055】
発明は当然のことながら説明及び例示した実施例及び実施形態に限定されるものではなく、当業者に明らかとなる多くの変化態様を含むことができる。1つの変化態様と組み合わせて開示された態様は、発明の全体的な範囲に含まれる本発明による別の変化態様と共に使用されることもできる。
【符号の説明】
【0056】
1 主シュート、 2 供給ロール、 3 梳き又は開繊ロール、 4 回動フラップ、 5 リサイクル管路、 6 第2の出口、 7 吸引装置、 8 穴あき移動ベルト、 9 シュート、 102 繊維ホッパ、 104 ローラ、 106 梳きロール、 120b 繊維、 124 繊維供給装置、 200 装置、 208 収集装置、 220 ウェブ、 230a,230b 排出ノズル、 232 境界壁、 302 リサイクル装置、 402 輪郭、 404 穴、 406 厚さ減少部、 408 凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維供給装置であって、繊維材料を梳き又は開繊ロールを介して繊維分配手段に供給する繊維供給手段が設けられている形式のものにおいて、前記繊維分配手段が、収集手段に対して垂直方向で複数の小さな繊維分配手段に分割されており、該複数の小さな繊維分配手段が、繊維材料の連続した流れが収集手段に送られるか又は収集手段から逸らされるように形成されていることを特徴とする、繊維供給装置。
【請求項2】
小さな繊維分配手段が、可動な排出ノズルであり、該排出ノズル(230a)が、第1の位置において収集装置(208)へ繊維を噴射し、第2の位置において繊維を収集装置(208a)から逸れるように噴射する、請求項1記載の繊維供給装置。
【請求項3】
小さな繊維分配手段が、隣接する別の小さなシュートから壁部によって分離された小さなシュートであり、該小さなシュートが、繊維流を収集装置へ送るか又は収集装置から逸らせることができるように配置された回動フラップを有している、請求項1記載の繊維供給装置。
【請求項4】
収集装置から逸らされた繊維が、好適には管路として形成されたリサイクル装置へ送られる、請求項1から3までのいずれか1項記載の繊維供給装置。
【請求項5】
収集手段が、移動する穴あきベルト、移動する穴あき板、移動する穴あき型、又は穴あき回転ドラムである、請求項1から4までのいずれか1項記載の繊維供給装置。
【請求項6】
繊維材料が分配手段によって配置される位置と整列して収集手段の下方に真空手段が配置されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の繊維供給装置。
【請求項7】
小さなシュートが、少なくとも2つの出口を有しており、一方の出口が収集装置に向けられており、他方の出口がリサイクル管路に向けられており、回動フラップが、出口のうちの少なくとも一方が閉鎖されることができるように配置されている、請求項3記載の繊維供給装置。
【請求項8】
小さなシュートが、少なくとも2つの出口を有しており、一方の出口が収集装置に向けられており、他方の出口がリサイクル管路に向けられており、回動フラップが、一方の出口が開放していると同時に他方の出口が閉鎖されるように配置されている、請求項3記載の繊維供給装置。
【請求項9】
小さな繊維分配手段が、それぞれの空気圧式減衰手段を有しており、PLCによって個々に制御されるようになっている、請求項1から8までのいずれか1項記載の繊維供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−540790(P2010−540790A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527312(P2010−527312)
【出願日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際出願番号】PCT/CH2008/000408
【国際公開番号】WO2009/043195
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(508212738)リーター テクノロジーズ アクチエンゲゼルシャフト (6)
【氏名又は名称原語表記】Rieter Technologies AG
【住所又は居所原語表記】Schlosstalstrasse 43, CH−8406, Winterthur, Switzerland
【Fターム(参考)】