説明

繊維強化複合材の製造のための引抜き方法

アルミニウム導体複合コア(ACCC)ケーブルの複合コアを作製するための引抜き方法が、繊維を液体樹脂の浴に浸漬する従来のウェットアウト工程を高圧噴霧ウェットアウト工程により置き換えることによって改善される。好ましい方法において、繊維がその構成成分のフィラメントに散開され、樹脂が、散開されたフィラメントに、高圧噴霧ノズルを使用して噴霧される。噴霧後のフィラメントが、その後、再集束された繊維が最初の形状化及び硬化のためにダイに通される前に、噴霧後のフィラメントを一連のプリフォームプレートに通すことによって再集束される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2008年6月27日出願の米国特許出願第61/076,223号の優先権を主張し、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。
本発明は繊維強化複合材に関する。1つの態様において、本発明は繊維強化複合材のための引抜き方法に関し、その一方で、別の態様において、本発明はそのような方法のウェットアウト(wet-out)工程に関する。さらに別の態様において、本発明は、ウェットアウト工程が、高圧噴霧ノズルにより塗布される非常に反応性のエポキシ樹脂系を用いる引抜き方法に関し、その一方で、なおさらに別の態様において、本発明は、繊維のフィラメントが、樹脂システムが塗布される前に互いにばらばらに散開されるそのようなウェットアウト工程に関する。
【背景技術】
【0002】
現在のむき出しのアルミニウム導体架空ケーブル、例えば、アルミニウム導体鋼強化(ACSR)ケーブル又はアルミニウムコア鋼支持(ACSS)ケーブルなどは、それらの重量を支えるために鋼コアとともに組み立てられる(例えば、米国特許第3,813,481号)。代替として、鋼コアが、アルミニウム導体複合コア(aluminum conductor composite core)(ACCC)強化ケーブルを製造するために繊維強化ポリマー複合材により置き換えられ得る(例えば、米国特許第7,015,395号及び同第7,060,326号)。ACCCケーブルは、重量及び強度に関してACSRケーブルを上回る利点を提供することができる。
【0003】
ACCCケーブルの複合コアは一般に、引抜き方法によって、すなわち、繊維強化材が、最初に、樹脂含浸領域を通り、強化材を樹脂で被覆するように、その後、プリフォームプレートを通り、繊維/樹脂の束を形状化することを開始するように、最後に、加熱されたダイを通り、樹脂を硬化させるように引張られる連続プロセスによって作製される。引抜き方法の連続特性のために、どのような所望される長さの複合材でも製造することができる。引抜き方法は、単純な幾何形状又は複雑な幾何形状を有する異形材を製造するために使用することができる。しかしながら、この部品は一定の断面面積をその長さ全体にわたって有する。
【0004】
既存の引抜き方法は通常、繊維を、良好な繊維ウェットアウトを達成するために樹脂浴又は樹脂タンクに通すことを伴う。このウェットアウト工程又はウェットアウト方法は、非常に時間集約的であること、及び、ダイの入口における高い静水圧(このことは結果的には、高い引張り力をプロセスの全期間にわたって生じさせる)をもたらすことを含めて、いくつかの欠点をもたらす。これらの欠点が、複合コアにおける繊維の体積含有量が複合材の強度要求のために比較的大きい(例えば、65%を超える)適用(例えば、ACCCケーブル)においては悪化する。この大きい繊維体積含有量は他の要因と組み合わされて、プロセスのウェットアウト工程及び引張り工程を大きく遅くし、このことは結果的には、プロセスの全体的な速度を遅くする。結果として、ACCCケーブルの複合コアを作製するための引抜き方法の典型的な最大速度が8フィート/分(ft/分)未満である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願第61/076,223号
【特許文献2】米国特許第3,813,481号
【特許文献3】米国特許第7,015,395号
【特許文献4】米国特許第7,060,326号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
1つの実施形態において、本発明は、従来の引抜き方法における改善されたウェットアウト工程又はウェットアウト方法である。この実施形態においては、硬化可能な熱硬化樹脂は、繊維を樹脂の浴又はタンクに通して引張ることによって繊維に塗布されない。それどころか、樹脂が繊維に高圧噴霧物として塗布される。噴霧物が、加熱されてもよい高圧噴霧ノズルから、又は、加熱されなくてもよい高圧噴霧ノズルから送達される。これらのノズルは、制御された量の樹脂を繊維に塗布することを可能にし、また、これらのノズルは、樹脂を、繊維内への樹脂の浸透を促進させる様式で送達する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の別の実施形態において、繊維を構成するフィラメント(又は、麻くずの場合、麻くずを構成する繊維)が、(高圧噴霧物としてであるか、又は、樹脂浴での従来の浸漬によるかのどちらでも)繊維への樹脂の塗布に先立ってばらばらに散開される。繊維フィラメント又は麻くず繊維のこの散開は、樹脂をノズルから受け取るフィラメント表面又は繊維表面の面積を最大にすることができる(麻くずがその構成成分の繊維に散開される場合、その高い圧力はまた、構成成分の繊維の絡み合ったフィラメントの中への樹脂の浸透を最大にする)。フィラメント散開及び高圧噴霧の組合せは、ウェットアウト工程を完了させるための時間を大幅に減らすことができる。そのうえ、制御された量の樹脂が繊維に塗布され、これにより、例えば、繊維を浴又はタンクに通して引張ることから生じる繊維上の過剰な樹脂が回避されることのために、ダイヘッドにおける静水圧が低下する。このことはまた、より速い、かつ、よりエネルギー効率的な全体的な引抜き方法に寄与する。
【0008】
本発明の別の実施形態において、繊維が、繊維を一連の繊維プリフォーム(これはまた、プリフォームプレート又はプリフォームカードとしても公知である)に通すことによってそのほぼ最終形状(net-shape)にされる。繊維のフィラメントが樹脂により含浸された後、フィラメントは、繊維を、最初にフィラメントを繊維に再集束し、その後、繊維をその所望される最終的な最終形状に形状化することを開始する1つ又はそれ以上のプリフォームに通すことによって再集束させられる。それぞれのプリフォームが繊維をその所望される最終的な最終形状により近づけ、そして、繊維が(硬化ステーションとしてもまた役立つ)最後のダイへの入口に達するときまでに、繊維は、その最終的な所望される形状に非常に近いものになっている。この連続するプリフォームは最後のダイの入口における静水圧を大幅に低下させ、このことは結果的には、より小さい、すなわち、より短い最後のダイ及びより速い全体的なプロセスを可能にする。
【0009】
本発明の別の実施形態において、ダイ入口の形状及びダイの全体的長さ(硬化ステーション)が、ダイヘッドにおける静水圧と、繊維内及び繊維表面に含浸される樹脂を硬化させるために必要な時間とを最小にするために設計される。最後のダイは最終的な最終形状を繊維に与え、そして、繊維内及び繊維表面における樹脂の硬化が、樹脂含浸繊維がダイを通過し、ダイから出るにつれて、(完了しないにせよ)少なくとも開始される(ある程度のダイ後での硬化が、樹脂の性質及び硬化パッケージ、最後のダイにおける硬化条件、ケーブルの集積時及び貯蔵時における硬化条件などを含むいくつかの要因に依存して生じる場合があり、又は、生じない場合もある)。標準的な設計ツールを使用して、例えば、有限要素解析(FEA)を使用して、ダイへの入口が、静水圧を最小にするために設計される。そのうえ、ダイの長さが、繊維がダイを通過するために必要な時間を最小にするために、また、それにもかかわらず、樹脂の十分な硬化に影響し、その結果、繊維が集積及び貯蔵され得るか、又は、さらなる加工に供され得るようにするために設計される。
【0010】
引抜き方法全体に対するこれらの改善の組合せは、ACCCケーブルにおいて使用される複合コアを製造するための時間が15ft/分〜20ft/分に増大することを可能にする。そのうえ、このような組合せは樹脂のより効率的な使用を可能にし、繊維を引抜き方法により引抜くために必要な時間を低下させ(従って、引抜き方法のエネルギーコストを低下させ)、そして、より小さい設備の使用を可能にする(従って、プロセス全体の資本コストを低下させる)。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】従来の引抜き方法の概略図である。
【0012】
【図2】高圧噴霧ノズル及びフィラメントスプレッダーの両方を用いる本発明の改善されたウェットアウト工程の1つの実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示における数値範囲は近似であり、従って、別途示されない限り、範囲外の値を含む場合がある。数値範囲は、少なくとも2単位の隔たりが、何らかの下限値と、何らかの上限値との間に存在するならば、1単位の刻みで、下限値及び上限値を含めて、下限値及び上限値からのすべての値を含む。一例として、組成的性質、物理的性質又は他の性質が、例えば、設備寸法、プロセスパラメーターなどが100〜1,000であるならば、すべての個々の値(例えば、100、101、102など)及び部分範囲(例えば、100〜144、155〜170、197〜200など)が明示的に列挙されることが意図される。1未満である値を含有する範囲、又は、1よりも大きい端数(例えば、1.1、1.5など)を含有する範囲については、1単位は、適宜、0.0001、0.001、0.01又は0.1であると見なされる。10未満の1桁の数字を含有する範囲(例えば、1〜5)については、1単位は典型的には、0.1であると見なされる。これらは、具体的に意図されることの単なる例にすぎず、列挙される最低値及び最高値の間における数値のすべての可能な組合せが、本開示において明示的に言及されると見なされるものとする。様々な数値範囲が、とりわけ、プロセスパラメーター、設備寸法、及び、樹脂配合物における成分濃度について本開示内において提供される。
【0014】
「含む(comprising)」、「含む(包含する、含まれる)(including)」、「有する(having)」及び同様な用語は、何らかのさらなる成分、工程又は手順が具体的に開示されるか否かにかかわらず、何らかのさらなる成分、工程又は手順の存在を除外するために意図されない。何らかの疑念を避けるために、用語「含む(comprising)」の使用により主張されるすべてのプロセスは、反することが述べられない限り、1つ又はそれ以上のさらなる工程、装置又は成分部分及び/或いは材料を含む場合がある。対照的に、用語「から本質的になる」では、実施可能性に必須でない成分、工程又は手順を別にすれば、どのような他の成分、工程又は手順も、どのような範囲であれ、続く列挙の範囲から除外される。用語「からなる」では、具体的に記述又は列挙されない成分、工程又は手順のどれもが除外される。用語「又は(或いは、若しくは)」は、別途言及されない限り、列挙されたものを個々に示し、同様にまた、どのような組合せでも示す。
【0015】
「麻くず」、「繊維麻くず」、「ロービング(roving)」、「スライバー(sliver)」及び同様な用語は、一般には丸みのある断面を有する絡み合った繊維の細長い柱状物を意味する。
【0016】
「繊維」及び同様な用語は、一般には円形の断面と、10を超える長さ対直径比率とを有する絡み合ったフィラメントの細長い柱状物を意味する。
【0017】
「フィラメント」及び同様な用語は、10を超える長さ対直径比率を有する絡み合った材料の1本の連続するストランドを意味する。
【0018】
「最終形状(net-shape)」、「最終的な最終形状」及び類似する用語は、ケーブルが最後のダイ及び硬化ステーションを出た後のケーブルのサイズ及び形状を意味する。ケーブルの最終形状はその直径及び断面形態に関して測定される。
【0019】
図では、設備の様々な項目(例えば、電気又は空気の接続部及びフィッティング部など)が、図面を単純化するように選択的に省略されている。加えて、同類の参照符号が、図面のすべてを通して同類の成分を示すために使用される。
【0020】
図1は従来の連続引抜き方法の概略図である。方法が、繊維を樹脂により含浸することに関して記載されるが、この記述はまた、麻くずを樹脂により含浸するための方法に対しても当てはまる。
【0021】
多数のスプール11に保管される繊維10がプーラー12によって引張られ、繊維が樹脂により含浸される、液体樹脂の樹脂浴13を通過する。含浸後の繊維が、浴から一連のプリフォームプレート14を通って引張られ、互いに組み合わされて、最終的な製造物の所望される最終的な最終形状に似ている形状にされる。繊維がそれぞれのプリフォームプレートを通過するにつれて、過剰な樹脂が除かれ、繊維がその所望される最終的な最終形状に近づき続ける。最終的には、繊維は最後のダイ15(典型的には、加熱されたダイ)に入り、ダイにおいて、繊維はその最終的な最終形状を受け入れ、樹脂が硬化条件に供される。この場合、これらの条件は、とりわけ、樹脂の性質及び量、繊維表面及び繊維全体にわたる樹脂の分布、最後のダイにおける繊維の滞留時間などに依存する。樹脂が含浸されている硬化した繊維又は部分的に硬化した繊維が、その後、のこ16又はいずれかの他の切断デバイスによって切断されて、その所望される長さにされる。
【0022】
この従来の引抜き方法において、また、図1に例示されるように、樹脂が、樹脂を保持する浴又はタンクに繊維を通すことによって繊維に塗布される。繊維が樹脂により含浸される程度は、浴における繊維の滞留時間、樹脂にさらされる繊維の表面積、樹脂浴の温度、繊維及び樹脂の組成、並びに、それらの相互適合性などのような事柄を含むいくつかの異なる変数の関数である。典型的には、これらの条件により、繊維が樹脂浴をすぐに通過できないことが要求される。その上、この技術ではほとんど常に、繊維に対する過剰な樹脂のクリンギング(clinging)が、繊維が樹脂浴から出た後で生じ、そして、この過剰な樹脂は最終的には、繊維がプリフォーム及び最後のダイを通過する際に、繊維から取り去られなければならないか、又は、そうでなければ、繊維から除去されなければならない。このことは空費樹脂をもたらすだけでなく、プリフォームプレート及び/又は最後のダイのヘッドにおける圧力をも高くし、これはまた、プロセスの全体的なエネルギー効率及び速度を損なう。
【0023】
図2は、本発明の改善されたウェットアウト工程の1つの実施形態を例示する。繊維10が巻出し用のラック又はクリール(図示せず)から外れるにつれて、繊維が、センタリングガイドプーリー(図示せず)の上側、接地プーリー17の下側、そして、スプレッダーロール18の上側を通って通過する。センタリングガイドプーリーは典型的には、繊維が接地プーリーの下側を通ってスプレッダーロール上にまで通過する際の繊維の左右方向の動きを制約するように溝がある。接地プーリーにより、繊維が平らにされ、スプレッダーロールの中心の上に安定して配置される。
【0024】
スプレッダーロール18又はジオデシック繊維スプレッダーは典型的には、繊維の擦れ傷を最小限に抑え、かつ、摩耗を阻止するために、硬い滑らかな表面を有する球体である。繊維がスプレッダーの表面を通過する際、繊維の個々のフィラメントは、センタリングプーリーから第1のプリフォームプレートまでの最短長さの経路に沿う傾向がある。この傾向は個々のフィラメントを散開させて互いにばらばらにし、このことは結果的には、樹脂が噴霧されるために利用可能である繊維表面積を最大にする。
【0025】
他の設備(図示せず)を、ウェットアウト工程の操作を容易にするために用いることができる。例えば、制動シスステムを、張力が繊維に加えられ得るように巻出し用ラックに取り付けることができる。さらなる接地プーリーもまた、散開プロセスを改善するために取り付けることができる。所望されるならば、金属くし状部(好ましくは、セラミック被覆を有する金属くし状部)をスプレッダーロールの後に取り付けることができ、その結果、フィラメントがスプレッダーロールの表面から離れる際、相互に対するそれらの広がりを、樹脂によるそれらの含浸を容易にするように維持することができ、又は、増大させることができる。
【0026】
散開されると、フィラメントは、1つ又はそれ以上の高圧噴霧ノズル19からの樹脂により含浸される。そのようなノズルは多くのサイズ及び設計で市販されており、Spray Systemsによって製造される、加熱ジャケットを伴う1/4 JAU可変型噴霧用エアーアトマイジングノズルが代表的である。ノズルは繊維に対して固定型又は可動型とすることができ、ノズルを繊維に対してどのような方向にでも設置することができ、又は、繊維に対してどのような方向にでも動かすことができる。典型的には、ノズルは可動型であり、設備系列を通過する繊維の動きの横方向で移動し、ノズルにより、樹脂が繊維の表面に直接に噴霧される。噴霧における高い圧力、例えば、200ポンド/平方インチ(psi)〜3,000ポンド/平方インチ(psi)は、樹脂がフィラメント間を流れ、良好なウェットアウトを迅速に達成することを助ける。噴霧用ヘッドを、連続して、並びに/又は、繊維の両側に、並びに/又は、繊維の上部側及び下部側に取り付けることができる。噴霧用ヘッドの移動速度、並びに、それらの噴霧速度及び流量が、樹脂の空費を最小限にするような様式で制御される。この方法の噴霧機械学、例えば、噴霧領域のサイズ、噴霧パターンの形状、樹脂粒子のサイズ、及び、噴霧ノズルと、フィラメントとの距離などが、プロセスの都合及び最適化に合わせて変化し得る。樹脂システムの可使時間に依存するが、樹脂及びその硬化剤を被覆プロセスの前に混合することができ、又は、それらを混合ヘッドにおいて直ちに混合することができる。望ましいならば、噴霧ノズルは、樹脂の粘度を低下させ、かつ、噴霧プロセスを改善するために加熱能力を有することができる。
【0027】
フィラメントが樹脂により含浸された後、フィラメントは、フィラメントが再集束され、かつ、それらの最終的な最終形状の近くにまで形状化される一連(典型的には3つ以上)のプリフォームプレート又はプリフォームカードに通される。これらのプリフォームはまた、繊維のさらなるウェットアウトを繊維の密着及びマクロな動きにより達成することを助ける。最終的には、含浸後の繊維が最後のダイ及び硬化ステーションの入口に到達する。ダイへの入口が、その最終的な最終形状に近い繊維を受け入れるように設計され、そして、そのようなものとして、ダイヘッドにおける静水圧が最小限に抑えられる。ダイの長さが、樹脂の性質、硬化システム及び硬化条件に基づく樹脂の最適な硬化のために設計される。典型的には、樹脂は、熱にさらされることによって硬化させられるが、他の形態の硬化エネルギー(例えば、UV又はeビーム線)もまた用いることができる。必要ならば、インラインでの後硬化オーブン(図示せず)を、製造物の最終的な状態が達成される前に複合物の後硬化を行うために加えることができる。
【0028】
繊維の組成及び構造、並びに、樹脂の組成及び(存在するならば)その硬化システムは広範囲に変化させることができ、すべてが典型的には、ACCCケーブルの従来の製造において使用されるものと一致する。代表的な樹脂には、Toho Teneax G30−700 24K HTA−7D F402炭素繊維及びT700SC−24K−50C炭素繊維が含まれる。代表的な硬化可能な熱硬化樹脂には、The Dow Chemical Companyから入手可能なDER383エポキシ樹脂が含まれる。代表的な硬化剤には、Ancamine DL50が含まれる。他の代表的な繊維、樹脂及び硬化剤が、米国特許第7,015,395号及び同第7,060,326号に記載される。最終的な含浸処理繊維の代表的な組成物には、78〜85重量パーセント(wt%)の炭素繊維及び15〜23wt%の樹脂を含む含浸処理繊維が含まれる。樹脂は、77wt%のDER383、21wt%のAncamine DL−50及び2wt%の離型剤を含むことができる。
【0029】
本発明が、前述の明細書によって、また、図面を参照することによりかなり詳しく記載されているが、この細部は例示目的のためであり、また、本発明は、添付されている特許請求の範囲に記載されるので、本発明の精神及び範囲に対する限定として解釈されるべきではない。特に、すべての米国特許、特許査定された特許出願及び米国特許出願公開を米国実務のために含むが、上記で引用されるすべての特許及び刊行物が、参照により本明細書に組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ACCCケーブル用の複合コアを作製する方法において、硬化可能な熱硬化樹脂を強化用の麻くず(tow)又は繊維に塗布するウェットアウト工程を含み、改善として前記樹脂を前記麻くず又は繊維に高圧噴霧物として塗布することを含む、前記方法。
【請求項2】
前記麻くず又は繊維が、前記樹脂により噴霧される前にその構成成分の繊維又はフィラメントに散開される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記樹脂が200ポンド/平方インチ(psi)〜3,000ポンド/平方インチ(psi)の間の圧力で塗布される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ACCCケーブル用の複合コアを作製する方法において、硬化可能な熱硬化樹脂を強化用の麻くず又は繊維に塗布するウェットアウト工程を含み、改善として前記麻くず又は繊維を前記樹脂と接触させる前に、前記麻くず又は繊維をその構成成分の繊維又はフィラメントにそれぞれ散開することを含む、前記方法。
【請求項5】
前記樹脂が高圧噴霧物として塗布される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記樹脂が200psi〜3,000psiの間の圧力で塗布される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
樹脂含浸の麻くず又は繊維を作製するための方法であって、前記麻くずが構成成分の繊維を含み、かつ、前記繊維が構成成分のフィラメントを含み、
A.前記麻くず又は繊維をその構成成分の繊維又はフィラメントに散開する工程、及び
B.前記樹脂を、散開された繊維又はフィラメントに高圧噴霧物として塗布する工程
を含む方法。
【請求項8】
前記麻くず又は繊維が、前記麻くず又は繊維をジオデシック繊維スプレッダーの上側に張力下で通すことによってその構成成分の繊維又はフィラメントにそれぞれ散開される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記散開された繊維又はフィラメントが、前記高圧噴霧からの前記樹脂との接触に先立ってくし状部(comb)に通される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記樹脂が前記散開された繊維又はフィラメントに200psi〜3,000psiの間の圧力で塗布される、請求項9に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2011−526067(P2011−526067A)
【公表日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516461(P2011−516461)
【出願日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/047744
【国際公開番号】WO2009/158262
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(591123001)ユニオン カーバイド ケミカルズ アンド プラスティックス テクノロジー エルエルシー (85)
【Fターム(参考)】