説明

繊維染色用染料組成物および繊維材料

【課題】耐光性、及び耐洗濯性に優れる繊維染色用染料組成物、ならびに繊維材料を提供する。
【解決手段】ピロメテン染料を含む繊維染色用染料組成物である。前記ピロメテン染料は、下記一般式(I)で表される化合物が金属原子又は金属化合物に配位したジピロメテン系金属錯体化合物であることが好ましい。


〔一般式(I)中、R、R、R、R、R、及びRは、各々独立に、水素原子、又は置換基を表す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維染色用染料組成物、および、それを用いて染色された繊維材料に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維や布帛を着色する方法としては、元の繊維に直接色を持たせる方法以外に、版やインクジェットを用いてプリント(捺染)する手法、着色剤を含む染色液に浸漬する手法等の様々な方法が知られている。
【0003】
元の繊維に直接色を持たせる手法は原着法とも呼ばれ、主として合成繊維に用いられる。繊維を形成する原料ペレットに着色剤(色材)を混合して共溶融し、繊維を形成することで着色された繊維を得る。特に合成繊維は繊維自体に電荷を持たないため染色しにくく、大量に同じ色の繊維を要求されるような場合、この手法での着色が広く用いられている。
【0004】
しかし、原着法では繊維に対し不純物となる色材を混合して作成する必要があるため、出来上がりの繊維の特性を損なわないように色材を混合することは非常に難しかった。さらに、要求される色の数だけ原繊維を用意しなくてはならず、在庫や生産効率の点で問題がある。
【0005】
これに対し捺染法は顔料や染料を含むインクを作成し、これを布帛に印刷することで着色する方法である。版とインクを組み合わせることにより様々な色彩、図案が得られるため、多品種少量生産に適している。さらに近年、従来主流であったスクリーン捺染やローラー捺染に替わってインクジェット捺染が普及してきており、この手法では版を準備する必要がないためより容易に用いられるようになっており、利用が拡大しつつある。
【0006】
染色液に浸漬する手法は、色材を繊維内部に浸透させ、浸透後に熱や薬剤などによる処理で色材を繊維に定着させる手法である。繊維内部に色材が存在するため擦れに強く、また捺染法のように色材やバインダーなどのインキ素材が繊維表面を覆わないため繊維の風合いがよりはっきりとするといった長所があり、捺染法とともに広く用いられている。
【0007】
捺染法、浸漬法には様々な色材が用いられており、発色、耐久性、プロセス効率などを改善する目的で色材の構造、使用法について活発な改良が行われている。例えば、特定の構造を持つモノアゾ染料をインクジェット捺染に利用することで耐酸化性を持たせる手法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。また、水溶性アントラピリドン染料による耐光性および耐オゾン性の向上手段が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2007−518852号公報
【特許文献2】特開2010−77433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、いまだユーザーの要求を満足するものがなく、特に耐光性、耐洗濯性については更に改良が求められている。
【0010】
本発明は、染色した際の耐光性、及び耐洗濯性に優れる繊維染色用染料組成物、ならびに、前記染料組成物を用いて染色され、耐光性、及び耐洗濯性に優れる繊維材料を提供することを目的とし、この目的を達成することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するための手段は以下の通りである。
<1> ピロメテン染料を含む繊維染色用染料組成物である。
【0012】
<2> 前記ピロメテン染料は、下記一般式(I)で表される化合物が金属原子又は金属化合物に配位したジピロメテン系金属錯体化合物である前記<1>に記載の繊維染色用染料組成物である。
【0013】
【化1】

【0014】
一般式(I)中、R、R、R、R、R、及びRは、各々独立に、水素原子、又は置換基を表す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。
【0015】
<3> 更に、アントラキノン染料を含む前記<1>又は前記<2>に記載の繊維染色用染料組成物である。
【0016】
<4> 捺染染色に用いられる前記<1>〜前記<3>のいずれか1つに記載の繊維染色用染料組成物である。
【0017】
<5> 浸漬染色に用いられる前記<1>〜前記<3>のいずれか1つに記載の繊維染色用染料組成物である。
【0018】
<6> 前記<1>〜前記<5>のいずれか1つに記載の繊維染色用染料組成物を用いて染色された繊維材料である。
【0019】
<7> 布である前記<6>に記載の繊維材料である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、染色した際の耐光性、及び耐洗濯性に優れる繊維染色用染料組成物を提供することができる。
また、この染料組成物により染色された、耐光性、及び耐洗濯性に優れる繊維材料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
<繊維染色用染料組成物>
本発明の繊維染色用染料組成物は、ピロメテン染料を含んで構成される。
本発明の繊維染色用染料組成物は、色相を補うなどの目的で、更に、アントラキノン化合物等の他の色材を更に含んでいてもよい。また、水、有機溶剤等の溶剤、および、分散剤、酸化防止剤等の種々の添加剤を含んでいてもよい。
本発明において、ピロメテン染料とは、下記一般式(I)で表される分子構造を有する化合物をいう。
【0022】
【化2】

【0023】
一般式(I)中、R、R、R、R、R、及びRは、各々独立に、水素原子、又は置換基を表す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。
【0024】
理由は明らかではないが、ピロメテン染料を含有する本発明の繊維染色用染料組成物を染色に用いた際に、染料が繊維から脱落しにくく、従って、本発明の繊維染色用染料組成物を用いて染色された繊維材料は、陽に晒されても色褪せにくく(耐光性)、洗濯されても色褪せにくい(耐洗濯性)。
一般式(I)中のR〜Rについて説明する。
【0025】
一般式(I)中の、R、R、R、R、R、及びRとして表される置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24の、直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基で、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−ノルボルニル基、1−アダマンチル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜18のアルケニル基で、例えば、ビニル基、アリル基、3−ブテン−1−イル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリール基で、例えば、フェニル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環基で、例えば、2−チエニル基、4−ピリジル基、2−フリル基、2−ピリミジニル基、1−ピリジル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、ベンゾトリアゾール−1−イル基)、
【0026】
シリル基(好ましくは炭素数3〜38、より好ましくは炭素数3〜18のシリル基で、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリブチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ヘキシルジメチルシリル基)、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアルコキシ基で、例えば、メトキシ基、エトキシ基、1−ブトキシ基、2−ブトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、ドデシルオキシ基、また、シクロアルキルオキシ基であれば、例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ基、1−ナフトキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環オキシ基で、例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のシリルオキシ基で、例えば、トリメチルシリルオキシ基、t−ブチルジメチルシリルオキシ基、ジフェニルメチルシリルオキシ基)、
【0027】
アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアシルオキシ基で、例えば、アセトキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ドデカノイルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニルオキシ基で、例えば、エトキシカルボニルオキシ基、t−ブトキシカルボニルオキシ基、また、シクロアルキルオキシカルボニルオキシ基であれば、例えば、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数7〜32、より好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニルオキシ基で、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜48、よりこの好ましくは炭素数1〜24のカルバモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N−ブチルカルバモイルオキシ基、N−フェニルカルバモイルオキシ基、N−エチル−N−フェニルカルバモイルオキシ基)、
【0028】
スルファモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のスルファモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジエチルスルファモイルオキシ基、N−プロピルスルファモイルオキシ基)、アルキルスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数1〜38、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルスルホニルオキシ基で、例えば、メチルスルホニルオキシ基、ヘキサデシルスルホニルオキシ基、シクロヘキシルスルホニルオキシ基)、アリールスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数6〜32、より好ましくは炭素数6〜24のアリールスルホニルオキシ基で、例えば、フェニルスルホニルオキシ基)、アシル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアシル基で、例えば、ホルミル基、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、テトラデカノイル基、シクロヘキサノイル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニル基で、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルシクロヘキシルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜32、より好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル基)、
【0029】
カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のカルバモイル基で、例えば、カルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N−エチル−N−オクチルカルバモイル基、N,N−ジブチルカルバモイル基、N−プロピルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N−メチルN−フェニルカルバモイル基、N,N−ジシクロへキシルカルバモイル基)、アミノ基(好ましくは炭素数32以下、より好ましくは炭素数24以下のアミノ基で、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、テトラデシルアミノ基、2−エチルへキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基)、アニリノ基(好ましくは炭素数6〜32、より好ましくは6〜24のアニリノ基で、例えば、アニリノ基、N−メチルアニリノ基)、ヘテロ環アミノ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは1〜18のヘテロ環アミノ基で、例えば、4−ピリジルアミノ基)、カルボンアミド基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは2〜24のカルボンアミド基で、例えば、アセトアミド基、ベンズアミド基、テトラデカンアミド基、ピバロイルアミド基、シクロヘキサンアミド基)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のウレイド基で、例えば、ウレイド基、N,N−ジメチルウレイド基、N−フェニルウレイド基)、イミド基(好ましくは炭素数36以下、より好ましくは炭素数24以下のイミド基で、例えば、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニルアミノ基で、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、t−ブトキシカルボニルアミノ基、オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、シクロヘキシルオキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜32、より好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニルアミノ基で、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基)、
【0030】
スルホンアミド基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のスルホンアミド基で、例えば、メタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基、ヘキサデカンスルホンアミド基、シクロヘキサンスルホンアミド基)、スルファモイルアミノ基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のスルファモイルアミノ基で、例えば、N、N−ジプロピルスルファモイルアミノ基、N−エチル−N−ドデシルスルファモイルアミノ基)、
【0031】
アゾ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のアゾ基で、例えば、フェニルアゾ基、3−ピラゾリルアゾ基)、
【0032】
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルチオ基で、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、オクチルチオ基、シクロヘキシルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリールチオ基で、例えば、フェニルチオ基)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環チオ基で、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、2−ピリジルチオ基、1−フェニルテトラゾリルチオ基)、
【0033】
アルキルスルフィニル基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルスルフィニル基で、例えば、ドデカンスルフィニル基)、アリールスルフィニル基(好ましくは炭素数6〜32、より好ましくは炭素数6〜24のアリールスルフィニル基で、例えば、フェニルスルフィニル基)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルスルホニル基で、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ヘキサデシルスルホニル基、オクチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリールスルホニル基で、例えば、フェニルスルホニル基、1−ナフチルスルホニル基)、スルファモイル基(好ましくは炭素数32以下、より好ましくは炭素数24以下のスルファモイル基で、例えば、スルファモイル基、N,N−ジプロピルスルファモイル基、N−エチル−N−ドデシルスルファモイル基、N−エチル−N−フェニルスルファモイル基、N−シクロヘキシルスルファモイル基)、スルホ基、ホスホニル基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のホスホニル基で、例えば、フェノキシホスホニル基、オクチルオキシホスホニル基、フェニルホスホニル基)、ホスフィノイルアミノ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のホスフィノイルアミノ基で、例えば、ジエトキシホスフィノイルアミノ基、ジオクチルオキシホスフィノイルアミノ基)等が挙げられる。
【0034】
上述した置換基が更に置換可能な基である場合には、上述した各基のいずれかによって更に置換されていてもよい。なお、2個以上の置換基を有している場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0035】
一般式(I)において、RとR、RとR、RとR、及びRとRは、各々独立に、互いに結合して5員、6員、又は7員の環を形成していてもよい。なお、形成される環としては、飽和環、又は不飽和環がある。この5員、6員、又は7員の飽和環、又は不飽和環としては、例えば、ピロール環、フラン環、チオフェン環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピロリジン環、ピペリジン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、ベンゼン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環が挙げられ、好ましくは、ベンゼン環、ピリジン環が挙げられる。
なお、形成される5員、6員、及び7員の環が、更に置換可能な基である場合には、一般式(I)中のR〜Rで表される置換基として説明した置換基のいずれかで置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0036】
また、一般式(I)において、Rがハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基である場合、これらの好ましい範囲は、前述のR〜Rとしてのハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基の好ましい範囲と同様である。
【0037】
一般式(I)において、R及びRとしては、上記の中でも、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基が好ましく、カルボンアミド基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基がより好ましく、カルボンアミド基、ウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基が更に好ましく、カルボンアミド基、ウレイド基が特に好ましい。
【0038】
一般式(I)において、R及びRとしては、上記の中でも、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ニトリル基、イミド基、カルバモイルスルホニル基が好ましく、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、ニトリル基、イミド基、カルバモイルスルホニル基がより好ましく、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、ニトリル基、イミド基、カルバモイルスルホニル基が更に好ましく、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基が特に好ましい。
【0039】
一般式(I)において、R及びRとしては、上記の中でも、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基、置換又は無置換のヘテロ環基が好ましく、更に好ましくは置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のアリール基である。
【0040】
一般式(I)において、R及びRがアルキル基を表す場合の、該アルキル基としては、好ましくは、炭素数1〜12の直鎖、分岐鎖、又は環状の置換又は無置換のアルキル基であり、より具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及び、ベンジル基が挙げられ、より好ましくは炭素数1〜12の分岐鎖、又は環状の置換又は無置換のアルキル基であり、より具体的には、例えば、イソプロピル基、シクロプロピル基、i−ブチル基、t−ブチル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられ、更に好ましくは、炭素数1〜12の2級又は3級の置換又は無置換のアルキル基であり、より具体的には、例えば、イソプロピル基、シクロプロピル基、i−ブチル基、t−ブチル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
【0041】
一般式(I)において、R及びRがアリール基を表す場合の、該アリール基としては、好ましくは、置換又は無置換のフェニル基、置換又は無置換のナフチル基が挙げられ、より好ましくは置換又は無置換のフェニル基である。
及びRがヘテロ環基を表す場合の、該ヘテロ環基としては、好ましくは、置換又は無置換の2−チエニル基、置換又は無置換の4−ピリジル基、置換又は無置換の3−ピリジル基、置換又は無置換の2−ピリジル基、置換又は無置換の2−フリル基、置換又は無置換の2−ピリミジニル基、置換又は無置換の2−ベンゾチアゾリル基、置換又は無置換の1−イミダゾリル基、置換又は無置換の1−ピラゾリル基、置換又は無置換のベンゾトリアゾール−1−イル基が挙げられ、より好ましくは置換又は無置換の2−チエニル基、置換又は無置換の4−ピリジル基、置換又は無置換の2−フリル基、置換又は無置換の2−ピリミジニル基、置換又は無置換の1−ピリジル基が挙げられる。
【0042】
〔特定染料〕
さらに、本発明に用いられるピロメテン染料は、一般式(I)で表される分子構造を有する化合物は、一般式(I)で表される化合物が金属原子又は金属化合物に配位したジピロメテン系金属錯体化合物(以下、「特定染料」とも称する)であることが好ましい。
特定染料を形成する金属原子および金属化合物について説明する。
【0043】
金属原子又は金属化合物としては、錯体を形成可能な金属原子又は金属化合物であればいずれであってもよく、2価の金属原子、2価の金属酸化物、2価の金属水酸化物、又は2価の金属塩化物が含まれる。例えば、Zn、Mg、Si、Sn、Rh、Pt、Pd、Mo、Mn、Pb、Cu、Ni、Co、Fe、B等の他に、AlCl、InCl、FeCl、TiCl、SnCl、SiCl、GeClなどの金属塩化物、TiO、VO等の金属酸化物、Si(OH)等の金属水酸化物も含まれる。
これらの中でも、錯体の安定性、分光特性、耐熱、耐光性、及び製造適性等の観点から、Fe、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Mo、Mn、Cu、Ni、Co、TiO、B、又はVOが好ましく、Fe、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Cu、Ni、Co、B、又はVOが更に好ましく、Fe、Zn、Cu、Co、B、又はVO(V=O)が最も好ましい。これらの中でも、特にZnが好ましい。
【0044】
特定染料において、好ましい態様を以下に示す。
すなわち、一般式(I)において、R及びRが、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シリル基、ヒドロキシル基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、アニリノ基、ヘテロ環アミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はホスフィノイルアミノ基で表され、R及びRが、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基で表され、R及びRが、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シリル基、ヒドロキシル基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アニリノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、又はホスフィノイルアミノ基で表され、Rが、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基で表され、金属原子又は金属化合物が、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Mo、Mn、Cu、Ni、Co、TiO、B、又はVOで表される態様が挙げられる。
【0045】
特定染料のより好ましい態様を以下に示す。
すなわち、一般式(I)において、R及びRが、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アミノ基、ヘテロ環アミノ基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アゾ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はホスフィノイルアミノ基で表され、R及びRが、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、イミド基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基で表され、R及びRが、各々独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボンアミド基、ウレイド基、イミド基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、又はスルファモイル基で表され、Rが、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基で表され、金属原子又は金属化合物が、Zn、Mg、Si、Pt、Pd、Cu、Ni、Co、B又はVOで表される態様が挙げられる。
【0046】
特定染料は、下記一般式(I−1)、一般式(I−2)、または一般式(I−3)で表される錯体化合物であることがより好ましい。
【0047】
−一般式(I−1)で表される錯体化合物−
【0048】
【化3】

【0049】
一般式(I−1)において、R、R、R、R、R、及びRは、各々独立に、水素原子、又は置換基を表す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。Maは、金属原子又は金属化合物を表し、Xは、Maに結合可能な基を表し、Xは、Maの電荷を中和するために必要な基を表す。なお、XとXとは、互いに結合して5員、6員、又は7員の環を形成していてもよい。
【0050】
一般式(I−1)中のR〜Rは、一般式(I)中のR〜Rと同義であり、好ましい態様も同様である。
一般式(I−1)中のMaは、金属原子又は金属化合物を表し、特定染料が分子内に有する金属原子又は金属化合物と同義であり、その好ましい範囲も同様である。
一般式(I−1)中のRは、一般式(I)中のRと同義であり、好ましい態様も同様である。
【0051】
一般式(I−1)におけるXは、Maに結合可能な基であればいずれであってもよく、水、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール)等、更に「金属キレート」[1]坂口武一・上野景平著(1995年 南江堂)、同[2](1996年)、同[3](1997年)等、に記載の化合物に由来する基が挙げられる。中でも、製造の点で、水、カルボン酸化合物、アルコール類、アミン化合物、アミド化合物が好ましく、水、カルボン酸化合物、アミド化合物がより好ましい。
【0052】
一般式(I−1)に置けるXは、Maの電荷を中和するために必要な基を表し、例えば、ハロゲン原子、水酸基、カルボン酸基、燐酸基、スルホン酸基、R−CONHCO−R(Rは、各々独立に、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を示す。以下、「アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基」を「置換基R」とも称する。)、及びR−CONHSO−R(Rは、各々独立に、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基)等が挙げられ、中でも、製造の点で、ハロゲン原子、水酸基、カルボン酸基、スルホン酸基、R−CONHCO−R、及びR−CONHSO−Rが好ましく、水酸基、カルボン酸基、及びR−CONHCO−Rがより好ましい。
【0053】
一般式(I−1)におけるXとXとは、互いに結合してMaと共に5員、6員、又は7員の環を形成してもよい。形成される5員、6員、及び7員の環は、飽和環であっても不飽和環であってもよい。また、5員、6員、及び7員の環は、炭素原子及び水素原子のみで構成されていてもよい、窒素原子、酸素原子、及び硫黄原子から選ばれる原子を少なくとも1個有するヘテロ環であってもよい。
【0054】
−一般式(I−2)で表される錯体化合物−
【0055】
【化4】

【0056】
一般式(I−2)において、R、R、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、及びR13は、各々独立に、水素原子、又は置換基を表す。R及びR14は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。Maは、金属原子又は金属化合物を表す。
【0057】
一般式(I−2)中のR〜Rは、一般式(I)中のR〜Rと同義であり、好ましい態様も同様である。
一般式(I−2)中のR〜R13で表される置換基は、一般式(I)中のR〜Rで表される置換基と同義であり、その好ましい態様も同様である。一般式(I−2)中のR〜R13で表される置換基が更に置換可能な基である場合には、前記置換基Rのいずれかで置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0058】
一般式(I−2)中のRは、一般式(I)中のRと同義であり、好ましい態様も同様である。
一般式(I−2)中のR14は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表し、R14の好ましい範囲は、一般式(I−2)中のRの好ましい範囲と同様である。R14が更に置換可能な基である場合には、前記置換基Rのいずれかで置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。

【0059】
一般式(I−2)中のMaは、金属又は金属化合物を表し、特定染料が分子内に有する金属原子又は金属化合物と同義であり、その好ましい範囲も同様である。
【0060】
一般式(I−2)中のRとR、RとR10、R11とR12、R12とR13は、各々独立に、互いに結合して5員、6員、又は7員の飽和環、或いは不飽和環を形成していてもよい。形成される飽和環、又は不飽和環としては、RとR、RとR、RとR、及びRとRで形成される飽和環、又は不飽和環と同義であり、好ましい例も同様である。
【0061】
−一般式(I−3)で表される錯体化合物−
【0062】
【化5】

【0063】
一般式(I−3)において、R、R、R、及びRは、各々独立に、水素原子、又は置換基を表し、Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。R及びRは、各々独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、又はヘテロ環アミノ基を表す。Maは、金属原子又は金属化合物を表す。X及びXは、各々独立にNRa(Raは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基を表す。)、酸素原子、又は硫黄原子を表す。Y及びYは、各々独立に、NRb(Rbは水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、アルキルスルホニル基、又はアリールスルホニル基を表す。)、酸素原子、硫黄原子、又は炭素原子を表す。Xは、Maと結合可能な基を表し、aは0、1、又は2を表す。RとYとは互いに結合して5員、6員、又は7員の環を形成していてもよく、RとYとは互いに結合して5員、6員、又は7員の環を形成していてもよい。
【0064】
一般式(I−3)中のR〜R、及びRは、一般式(I)中のR〜R、及びRと同義であり、好ましい態様も同様である。
一般式(I−3)中のMaは、金属又は金属化合物を表し、特定染料が分子内に有する金属原子又は金属化合物と同義であり、その好ましい範囲も同様である。
【0065】
一般式(I−3)中、R及びRは、各々独立に、アルキル基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは1〜12の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基で、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは2〜12のアルケニル基で、例えば、ビニル基、アリル基、3−ブテン−1−イル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜36、より好ましくは6〜18のアリール基で、例えば、フェニル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは1〜12のヘテロ環基で、例えば、2−チエニル基、4−ピリジル基、2−フリル基、2−ピリミジニル基、1−ピリジル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、ベンゾトリアゾール−1−イル基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは1〜18のアルコキシ基で、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ドデシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは1〜18のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ基、ナフチルオキシ基)、アルキルアミノ基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは1〜18のアルキルアミノ基で、例えば、メチルアミノ基、エチルアミノ基、プロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、イソプロピルアミノ基、t−ブチルアミノ基、t−オクチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、N,N−ジエチルアミノ基、N,N−ジプロピルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、N−メチル−N−エチルアミノ基)、アリールアミノ基(好ましくは炭素数6〜36、より好ましくは6〜18のアリールアミノ基で、例えば、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基、N−エチル−N−フェニルアミノ基)、又はヘテロ環アミノ基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは1〜12のヘテロ環アミノ基で、例えば、2−アミノピロール基、3−アミノピラゾール基、2−アミノピリジン基、3−アミノピリジン基)を表す。
【0066】
一般式(I−3)中、R及びR表されるアルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、又はヘテロ環アミノ基が、更に置換可能な基である場合には、前記置換基Rのいずれかで置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0067】
一般式(I−3)中、X及びXは、各々独立に、NRa、酸素原子、又は硫黄原子を表す。Raは水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜36、より好ましくは1〜12の直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基で、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−アダマンチル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜24、より好ましくは2〜12のアルケニル基で、例えば、ビニル基、アリル基、3−ブテン−1−イル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜36、より好ましくは6〜18のアリール基で、例えば、フェニル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは1〜12のヘテロ環基で、例えば、2−チエニル基、4−ピリジル基、2−フリル基、2−ピリミジニル基、1−ピリジル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、ベンゾトリアゾール−1−イル基)、アシル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは2〜18のアシル基で、例えば、アセチル基、ピバロイル基、2−エチルヘキシル基、ベンゾイル基、シクロヘキサノイル基)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜24、より好ましくは1〜18のアルキルスルホニル基で、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜24、より好ましくは6〜18のアリールスルホニル基で、例えば、フェニルスルホニル基、ナフチルスルホニル基)を表す。また、Raが置換可能な場合はさらに置換基で置換されていてもよく、複数の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
及びXとして好ましくは、各々独立に、酸素原子、又は硫黄原子であり、X及びXとして特に好ましくは、ともに酸素原子である。
【0068】
一般式(I−3)中、Y及びYは、各々独立にNRb、硫黄原子、又は炭素原子を表し、Rbは、一般式(I−3)中のXにおけるRaと同義である。
及びYとして好ましくは、各々独立に、NRb(Rbは水素原子、又は炭素数1〜8のアルキル基)であり、Y及びYとして特に好ましくは、ともにNHである。
【0069】
一般式(I−3)中、RとYとが互いに結合して、R、Y、及び炭素原子と共に5員環(例えば、シクロペンタン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、テトラヒドロチオフェン、ピロール、フラン、チオフェン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン)、6員環(例えば、シクロヘキサン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、テトラヒドロピラン、ジオキサン、ペンタメチレンスルフィド、ジチアン、ベンゼン、ピペリジン、ピペラジン、ピリダジン、キノリン、キナゾリン)、又は7員環(例えば、シクロヘプタン、ヘキサメチレンイミン)を形成してもよい。
【0070】
一般式(I−3)中、RとYとが互いに結合して、R、Y、及び炭素原子と共に5員、6員、又は7員の環を形成していてもよい。形成される5員、6員、及び7員の環は、一般式(I−3)中のRとY及び炭素原子で形成される環中の1個の結合が二重結合に変化した環が挙げられる。
【0071】
一般式(I−3)中、RとY、及びRとYが結合して形成される5員、6員、及び7員の環が、更に置換可能な環である場合には、前記置換基Rのいずれかで置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0072】
一般式(I−3)中、XはMaと結合可能な基を表し、一般式(I−1)におけるXと同様な基が挙げられる。aは0、1、又は2を表す。
【0073】
一般式(I−3)で表される錯体化合物の好ましい態様を以下に示す。
即ち、R〜R、R、及びMaは、それぞれ、特定染料の好ましい態様であり、X及びXは、各々独立にNRa(Raは水素原子、アルキル基、ヘテロ環基)、又は酸素原子であり、Y及びYは、各々独立にNRb(Rbは水素原子、又はアルキル基)、窒素原子、又は炭素原子であり、Xは酸素原子、又は窒素原子を介して結合する基であり、R及びRは、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、又はアルキルアミノ基を表すか、RとYとが互いに結合して5員又は6員環を形成し、RとYとが互いに結合して5員、6員環を形成する、aは0又は1で表される態様である。
【0074】
一般式(I−3)で表される錯体化合物のより好ましい態様を以下に示す。
即ち、R〜R、R、Maはそれぞれ、特定染料の好ましい態様であり、X及びXは、酸素原子であり、YはNHであり、Yは窒素原子であり、Xは酸素原子、又は窒素原子を介して結合する基であり、R及びRは、それぞれ独立に、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、又はアルキルアミノ基を表すか、RとYとが互いに結合して5員又は6員環を形成し、RとYとが互いに結合して5員、6員環を形成する、aは0又は1で表される態様である。
【0075】
特定染料は、特定染料の好ましい態様である一般式(I−1)で表される錯体化合物、一般式(I−2)で表される錯体化合物、および一般式(I−3)で表される錯体化合物の中でも、一般式(I−3)で表される錯体化合物であることが特に好ましい。
【0076】
特定染料のモル吸光係数は、膜厚の観点から高い方が好ましい。また、最大吸収波長λmaxは、色純度向上の観点から、520nm〜580nmが好ましく、530nm〜570nmが更に好ましい。なお、最大吸収波長及びモル吸光係数は、分光光度計UV−2400PC(島津製作所社製)により測定されるものである。
特定染料の融点は、溶解性の観点から高すぎないことが好ましい。
【0077】
本発明の繊維染色用染料組成物中のピロメテン染料の含有量は、耐光性と耐久性を十分に発現する観点から、本発明の繊維染色用染料組成物の全固形分質量に対して、10質量%〜100質量%であることが好ましく、20質量%〜100質量%であることがより好ましい。
本発明に用いるピロメテン染料は、1種のみ用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
以下、本発明に用いるピロメテン染料の具体例(例示化合物1〜例示化合物31)を示す。但し、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0078】
【化6】

【0079】
【化7】

【0080】
【化8】

【0081】
【化9】

【0082】
これら特定染料の例示化合物のうち、例示化合物26〜30は一般式(I−1)で表される錯体化合物の例示化合物でもあり、例示化合物31は一般式(I−2)で表される錯体化合物の例示化合物でもあり、例示化合物1〜25は一般式(I−3)で表される錯体化合物の例示化合物でもある。
【0083】
また、上記例示化合物以外にも、特開2008−292970号公報記載の例示化合物(Ia−3)〜(Ia−83)、(Ia−1)〜(IIa−20)、(I−1)〜(I−36)(II−1)〜(II−11)、及び(III−1)〜(III−103)、特許第3324279号公報記載の例示化合物(I−1)〜(I−35)、特許第3279035号公報記載の例示化合物(I−1)〜(I−13)、特開平11−256057号公報記載の例示化合物(2−1)〜(2−32)、(3−1)〜(3−32)、(4−1)〜(4−26)、及び(5−1)〜(5−26)、特開2005−77953号公報記載の例示化合物(I−1)〜(I−6)、及び(VII−1)〜(VII−8)、特開平11−352686号公報記載の例示化合物(1−1)〜(1−45)、特開2000−19729号公報記載の例示化合物(1−1)〜(1−50)、ならびに特開平11−352685号公報記載の例示化合物(1−1)〜(1−45)なども、特定染料の例として挙げられる。
【0084】
本発明の繊維染色用染料組成物は、色相を補うなどの目的で、更に他の色材を更に含んでいてもよい。他の色材としては、種々の公知の顔料、染料を使用することができる。
本発明におけるピロメテン染料と併用する色材として好ましいのは、染料であり、中でも、アントラキノン化合物が好ましい。
【0085】
(アントラキノン化合物)
本発明の繊維染色用染料組成物は、アントラキノン化合物を含有することが好ましい。アントラキノン化合物を含有することにより表現可能な色の範囲が大きく広がるだけでなく、理由は明らかではないが、繊維染色用染料組成物の耐光性や耐久性の向上をもたらす。
【0086】
アントラキノン化合物は、分子内にアントラキノン骨格を有していれば、特に制限されないが、記述のピロメテン染料と併用する観点からは、後述する一般式(II)で表されるジアミノアントラキノン化合物であることが好ましい。
さらに、一般式(II)で表されるジアミノアントラキノン化合物は、吸収特性の観点から、後述する一般式(III)で表される化合物がより好ましく、熱安定性の観点から、後述する一般式(IV)で表される化合物がより好ましく、更には、吸収特性と熱安定性の両立の観点からは、後述する一般式(V)又は後述する一般式(VI)で表される化合物であることが特に好ましい。
まず、一般式(II)で表されるアミノアントラキノン化合物について説明する。
【0087】
−一般式(II)で表されるアミノアントラキノン化合物−
【0088】
【化10】

【0089】
一般式(II)において、R11a及びR12aは、各々独立に、水素原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表すが、R11aとR12aとが同時に水素原子を表すことはない。n11は、1〜4の整数を表し、n11が2〜4の整数である場合、複数のNR11a12aは同一でも異なっていてもよい。
【0090】
11a、R12aで表されるアルキル基として好ましくは、炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10のアルキル基であり、例えば、メチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。
【0091】
11a、R12aで表されるアリール基として好ましくは、炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル、o−メチルフェニル、p−メチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、2,6−ジエチルフェニルビフェニル、2,6−ジブロモフェニル、ナフチル、アントラニル、フェナントリルなどが挙げられる。
【0092】
11a、R12aで表されるヘテロ環基として好ましくは、炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環基であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子を含む。ヘテロ環基としては、例えば、イミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、チエニル、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、ナフトチアゾリル、ベンズオキサゾリル、カルバゾリル基、アゼピニル基などが挙げられる。
【0093】
また、R11a、R12aで表されるアルキル基、アリール基、ヘテロ環基は、更に置換基を有してもよい。
11a、R12aで表されるアルキル基、アリール基、ヘテロ環基が更に置換基を有する場合の置換基としては、例えば、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10のアルキル基であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10のアルケニル基であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10のアルキニル基であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラニル、フェナントリルなどが挙げられる。)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜10のアミノ基であり、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、又はヘテロ環アミノ基が含まれる。具体的な例としては、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノ、ジフェニルアミノ、ジトリルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールオキシ基であり、例えば、フェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、芳香族ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12の芳香族へテロ環オキシ基であり、例えば、ピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、キノリルオキシなどが挙げられる。)、
【0094】
アシル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12のアシル基であり、例えば、アセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニル基であり、例えば、フェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10のアシルオキシ基であり、例えば、アセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜10のアシルアミノ基であり、例えば、アセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜12のアルコキシカルボニルアミノ基であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30、より好ましくは炭素数7〜20、特に好ましくは炭素数7〜12のアリールオキシカルボニルアミノ基であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12のスルホニルアミノ基であり、例えば、メタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30、より好ましくは炭素数0〜20、特に好ましくは炭素数0〜12のスルファモイル基であり、例えば、スルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12のカルバモイル基であり、例えば、カルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12のアルキルチオ基であり、例えば、メチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールチオ基であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、
【0095】
芳香族ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12の芳香族ヘテロ環チオ基であり、例えば、ピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12のスルホニル基であり、例えば、メシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12のスルフィニル基であり、例えば、メタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12のウレイド基であり、例えば、ウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12のリン酸アミド基であり、例えば、ジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜12のヘテロ環基であり、ヘテロ原子としては例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子がふくまれる。具体的な例としては、例えば、イミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、チエニル、ピペリジル、モルホリノ、ベンズオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、カルバゾリル基、アゼピニル基などが挙げられる。)、シリル基(好ましくは炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは炭素数3〜24のシリル基であり、例えば、トリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる。)などが挙げられる。これらの置換基は、更に置換されてもよい。
【0096】
一般式(II)において、n11は、1〜4の整数を表し、n11が2〜4の整数である場合、複数のNR11a12aは同一でも異なっていてもよい。
【0097】
−一般式(III)で表されるジアミノアントラキノン化合物−
【0098】
【化11】

【0099】
一般式(III)において、R21a及びR22aは、各々独立に、アルキル基、又はアリール基を表す。
【0100】
21a、R22aで表されるアルキル基として好ましくは、炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10のアルキル基であり、例えば、メチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。
【0101】
21a、R22aで表されるアリール基として好ましくは、炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル、o−メチルフェニル、p−メチルフェニル、2,6−ジメチルフェニル、2,6−ジエチルフェニルビフェニル、2,6−ジブロモフェニル、ナフチル、アントラニル、フェナントリルなどが挙げられる。
【0102】
また、R21a、R22aで表されるアルキル基、アリール基は、更に置換基を有してもよく、置換基の例としては、一般式(II)中のR11a、R12aで表されるアルキル基、アリール基、ヘテロ環基の置換基として既述した例が挙げられる。中でも、該置換基の例としては、好ましくは、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、スルファモイル基、スルホニル基、ウレイド基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、スルホ基、カルボキシル基などである。これらの詳細及び好ましい態様については、既述の例の通りである。
【0103】
−一般式(IV)で表されるジアミノアントラキノン化合物−
【0104】
【化12】

【0105】
一般式(IV)において、R31a、R32a、R33a、及びR34aは、各々独立に、アルキル基、又はハロゲン原子を表す。
【0106】
一般式(IV)中のR31a、R32a、R33a、R34aで表されるアルキル基として好ましくは、炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜5、特に好ましくは炭素数1〜2のアルキル基であり、例えば、メチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。
【0107】
一般式(IV)中のR31a、R32a、R33a、R34aで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、塩素原子、臭素原子が好ましい。
【0108】
一般式(IV)において、R35a及びR36aは、各々独立に、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、スルホ基もしくはその塩、アミノスルホニル基、アルコキシスルホニル基、又はフェノキシスルホニル基を表す。
【0109】
一般式(IV)中のR35a、R36aで表されるアルキル基は、一般式(IV)中のR31a、R32a、R33a、R34aで表されるアルキル基と同義であり、好ましい態様も同様である。
【0110】
一般式(IV)中のR35a、R36aで表されるアルコキシ基は、好ましくは、炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ、2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。
【0111】
一般式(IV)中のR35a、R36aで表されるアリールオキシ基は、好ましくは、炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリールオキシ基であり、例えば、フェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。
【0112】
一般式(IV)中のR35a、R36aで表されるスルホ基及びその塩は、スルホン酸基及びスルホン酸塩に由来の基が好ましい。スルホン酸塩は、4級アンモニウム塩又はアミンの塩が好ましく、炭素数4〜30(好ましくは10〜30、より好ましくは15〜30)のスルホン酸塩が特に好ましい。
【0113】
一般式(IV)中のR35a、R36aで表されるアミノスルホニル基は、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数2〜15のアミノスルホニル基であり、具体例として、エチルアミノスルホニル基、プロピルアミノスルホニル基、イソプロピルアミノスルホニル基、ブチルアミノスルホニル基、イソブチルアミノスルホニル基、sec−ブチルアミノスルホニル基、ペンチルアミノスルホニル基、イソペンチルアミノスルホニル基、ヘキシルアミノスルホニル基、シクロヘキシルアミノスルホニル基、2−エチルヘキシルアミノスルホニル基、デシルアミノスルホニル基、ドデシルアミノスルホニル基、フェニルアミノスルホニル基などが挙げられ、またジアルキルアミノスルホニル基として、ジメチルアミノスルホニル基、ジエチルアミノスルホニル基、ジプロピルアミノスルホニル基、ジイソプロピルアミノスルホニル基、ジブチルアミノスルホニル基、ジsec−ブチルアミノスルホニル基、ジsec−プロピルアミノスルホニル基、ジヘキシルアミノスルホニル基、メチルエチルアミノスルホニル基、メチルブチルアミノスルホニル基、エチルブチルアミノスルホニル基、フェニルメチルアミノスルホニル基などが挙げられる。このうち、特にアルキル部位の炭素数が4〜15のジアルキルアミノスルホニル基が好ましい。
【0114】
一般式(IV)中のR35a、R36aで表されるアルコキシスルホニル基は、好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは2〜20、更に好ましくは2〜15、特に好ましくは4〜15のアルコキシスルホニル基であり、具体例として、ブチルスルホニル基、ヘキサンスルホニル基、デシルスルホニル基、ドデシルスルホニル基などが挙げられる。
【0115】
一般式(IV)中のR35a、R36aで表されるフェノキシスルホニル基は、好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは6〜20、特に好ましくは6〜15のフェノキシスルホニル基であり、具体例として、フェノキシスルホニル基、トリルスルホニル基などが挙げられる。
【0116】
一般式(IV)中のR35a、R36aは、さらに置換基を有してもよく、該置換基の例としては、一般式(II)中のR11a、R12aで表されるアルキル基、アリール基、ヘテロ環基の置換基として既述した例が挙げられる。
【0117】
一般式(IV)において、n31、n32は、0〜2の整数を表し、n=2の場合、複数のR35a、R36aは同一でも異なっていてもよい。
【0118】
以上に示したアントラキノン化合物の中でも、下記一般式(V)ジアミノアントラキノン化合物および下記一般式(VI)で表されるジアミノアントラキノン化合物からなる群より選択される化合物が好ましい。
【0119】
−一般式(V)で表されるジアミノアントラキノン化合物−
【0120】
【化13】

【0121】
一般式(V)において、R41a、R42a、R43a、及びR44aは、各々独立に、アルキル基、又はハロゲン原子を表し、一般式(IV)中のR31a、R32a、R33a、R34aにおけるアルキル基、ハロゲン原子と同義であり、好ましい態様も同様である。
一般式(V)中のR45a、R46a、R47a、及びR48aは、各々独立に、アルキル基、スルホ基もしくはその塩、又はアミノスルホニル基を表す。R45a及びR47aのいずれか一方と、R46a及びR48aのいずれか一方とは、スルホ基もしくはその塩、又はアミノスルホニル基を表す。R45a、R46a、R47a、及びR48aは、一般式(IV)中のR35a、R36aで表されるアルキル基、スルホ基もしくはその塩、アミノスルホニル基と同義であり、好ましい態様も同様である。
【0122】
−一般式(VI)で表されるジアミノアントラキノン化合物−
【0123】
【化14】

【0124】
一般式(VI)において、R51a、R52a、R53a、及びR54aは、各々独立に、アルキル基、又はハロゲン原子を表し、一般式(IV)中のR31a、R32a、R33a、R34aにおけるアルキル基、ハロゲン原子と同義であり、好ましい態様も同様である。
【0125】
一般式(VI)中、R55a及びR56aは、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表し、該アルキル基は一般式(IV)中のR31a、R32a、R33a、R34aにおけるアルキル基と同義であり、好ましい態様も同様である。
また、R57a及びR58aは、各々独立に、水素原子又はアルキル基を表し、該アルキル基は、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜5のアルキル基であり、特に好ましくはメチル基である。
【0126】
一般式(VI)中、L51a及びL52aは、各々独立に二価の連結基を表し、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、−O−、−S−、−NR−、−SO−、−CO−、又はこれらの複数を組み合わせてなる二価の連結基が好ましい。L51a、L52aとしてより好ましくは、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数6〜12のフェニレン基、スルホニルアミノ基、又はこれらの複数を組み合わせてなる二価の連結基であり、特に好ましくは、炭素数1〜10のアルキレン基、スルホニルアミノ基、又はこれらの複数を組み合わせてなる二価の連結基である。
【0127】
前記炭素数1〜10のアルキレン基又はこれと−O−等とを組み合わせてなる二価の連結基としては、無置換でも置換基を有してもよく、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン基、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、エチレンアミノスルホニル基、プロピレンアミノスルホニル基、ブチレンアミノスルホニル基、ペンチレンアミノスルホニル基、1−メチルエチレンスルホニル基等が挙げられる。中でも、炭素数2〜10のアルキレンアミノスルホニル基(例:エチレンアミノスルホニル基、プロピレンアミノスルホニル基、ブチレンアミノスルホニル基、ペンチレンアミノスルホニル基)が好ましい。
前記炭素数6〜20のアリーレン基又はこれと−O−等とを組み合わせてなる二価の連結基としては、無置換でも置換基を有してもよく、例えば、フェニレン、ビフェニレン、フェニレンアミノスルホニル基等が挙げられ、中でも、炭素数6〜12のアリーレンアミノスルホニル基(例:フェニレンアミノスルホニル基など)が好ましい。
また、−NR−のRは、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基を表す。具体的なアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソブチル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、2−エチルヘキシル基などが挙げられる。
【0128】
一般式(VI)中、L53a及びL54aは、各々独立に、酸素原子、又は−NH−基を表す。
【0129】
上記のうち、本発明において好ましいアントラキノン化合物は、一般式(V)又は一般式(VI)で表されるジアミノアントラキノン化合物より選択される化合物であり、更には下記の場合が特に好ましい。すなわち、一般式(V)においては、R41a、R42a、R43a、及びR44aがメチル基、エチル基、もしくは臭素原子であって、R45a、R46aが炭素数2〜15のアミノスルホニル基であり、R47a、R48aがメチル基である場合が好ましく、また、一般式(VI)においては、R51a、R52a、R53a、及びR54aがメチル基、エチル基、もしくは臭素原子であって、R55a及びR56aが水素原子もしくはメチル基であり、R57a及びR58aが水素原子、メチル基であって、L51a及びL52aが炭素数1〜10のアルキレンアミノスルホニル基、炭素数7〜12のアラルキレンアミノスルホニル基、又は炭素数2〜10のアルキレンオキシ基であり、L53a及びL54aが酸素原子である場合が好ましい。
【0130】
アントラキノン化合物は、1種のみ用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
以下、本発明におけるピロメテン染料と組み合わされ得るアントラキノン化合物の具体例を示す。但し、本発明においては、これらに制限されるものではない。
【0131】
【化15】

【0132】
【化16】

【0133】
【化17】

【0134】
【化18】

【0135】
【化19】

【0136】
【化20】

【0137】
アントラキノン化合物の本発明の繊維染色用染料組成物中の比率は、染料化合物の総質量に対して、5質量%〜95質量%であることが好ましい。
【0138】
本発明の繊維染色用染料組成物は、更に、溶剤、種々の添加剤等の材料を含有していてもよい。
本発明の繊維染色用染料組成物を、既述のピロメテン染料と、溶剤および添加剤の少なくとも一方の材料とを含む組成物とすることで、捺染のためのインク、ないしは、浸漬染色のための染色液とすることができる。ピロメテン染料と混合されるこれらの材料は、非常に多岐に渡るが、繊維産業および服飾産業、および関連業者に公知のものが適宜に使用可能である。
【0139】
−溶剤−
溶剤としては、例えば、水、及び、水溶性ないし非水溶性の有機溶剤が挙げられる。
水溶性ないし非水溶性の有機溶剤としては、例えば、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルノルマルブチルケトン等のケトン類、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、ジエチルベンゼン、スチレンなどの芳香族類、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族溶剤類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサジンなどのエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、塩化メチレンなどのエステル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類、カプロラクタム等のラクタム類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコ−ルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、クロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、等が使用可能な例として挙げられる。
溶剤は、1種のみ用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0140】
−添加剤−
添加剤としては、例えば、分散剤、界面活性剤、浸透剤、防腐剤、防カビ剤、粘度調整剤、電気伝導度調整剤、pH緩衝剤、酸化防止剤、キレート化剤、消泡剤等が挙げられる。
分散剤としては、例えば、ポリスチレン、ポリアクリル酸およびその塩、ポリメタクリル酸およびその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル等のポリマー、およびこれらの共重合体等が挙げられる。具体的には、スチレン−無水マレイン酸共重合体等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられる。
防カビ剤としては、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、4−クロロ−3−メチルフェノール等が挙げられる。
粘度調整剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、セルロース類、デンプンエーテル等が挙げられる。
添加剤は、1種のみ用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0141】
本発明の繊維染色用染料組成物が、溶剤及び添加剤の少なくとも一方を含む場合、インクないし染色液として用いられる本発明の繊維染色用染料組成物中の、ピロメテン染料の比率は、繊維染色用染料組成物全質量に対して70質量%以下であるのが好ましく、50質量%の範囲であるのがより好ましい。
【0142】
本発明の繊維染色用染料組成物は、耐光性、及び耐久性に優れることから、捺染染色または浸漬染色に好適である。
【0143】
<繊維材料>
本発明の繊維材料は、既述の本発明の繊維染色用染料組成物を用いて染色されて構成される。
繊維材料の態様としては、例えば、布が挙げられる。
繊維材料は、本発明におけるピロメテン染料と、溶剤及び添加剤の少なくとも一方とを含んで構成される繊維染色用染料組成物であるインクないし染色液により、捺染ないし染色することが好ましい。このようにして、本発明の繊維染色用染料組成物を用いて、被染色材料(生地)を捺染ないし染色して得られた繊維材料は、鮮明な着色を示すと共に、高い耐光性、耐洗濯性を示し、衣類など様々な用途に好適に使用され得る。
捺染ないし染色に当たっては、同業者に公知の手法および装置を適宜用いることが可能である。
【0144】
本発明の繊維染色用染料組成物を用いた捺染染色ないし浸漬染色の対象となる被染色材料(生地)は、特に制限されず、例えば、木綿、リネン、麻、ジュード、ラミー繊維、ビスコース人絹、ベンベルグ等のセルロース繊維、羊毛、絹、ポリアミド−6,6、ポリアミド−6、ポリアミド−11やポリアミド−4等のポリアミド繊維及びこれらの混交品により構成された布が用いられる。また、ポリエステル、ナイロンやアクリル等の合成繊維を用いて構成される布であってもよい。
【実施例】
【0145】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
【0146】
< 実施例1 −繊維の浸漬染色− >
〔実施例1−1〕
下記組成の成分を混合して染色液1−1を調製した。
・ピロメテン染料〔下記化合物(1)の染料〕 5部
・溶剤〔メチルエチルケトン〕 95部
【0147】
【化21】

【0148】
なお、上記化合物(1)は、前記例示化合物1に相当する
【0149】
別途、10番手綿繊維を20本使用して染色用に綿組紐を作製し、作製した染色液1−1に30秒間浸漬し染色した。引き上げた組紐をマングルで絞って余分な染色液を落とし、その後、オーブンにて100℃で2分加熱処理して染料を定着させ、繊維材料1−1を作成した。
【0150】
〔実施例1−2〕
染色液1−1の調製において、化合物(1)に替えて、下記の化合物(2)を使用した以外は同様にして染色液1−2を調製した。次に、繊維材料1−1の作成において、染色液1−1の代わりに染色液1−2を用いた他は同様にして綿組紐を染色し、繊維材料1−2を作成した。
【0151】
【化22】

【0152】
なお、上記化合物(2)は、前記例示化合物8に相当する
【0153】
〔実施例1−3〕
下記組成の成分を混合して染色液1−3を調製した。
・ピロメテン染料〔化合物(1)の染料〕 5部
・アントラキノン化合物〔下記化合物(3)の染料〕 1部
・溶剤〔メチルエチルケトン〕 95部
【0154】
【化23】

【0155】
繊維材料1−1の作成において、染色液1−1の代わりに染色液1−3を用いた他は同様にして綿組紐を染色し、繊維材料1−3を作成した。
【0156】
〔実施例1−4〕
下記組成の成分を混合して染色液1−4を調製した。
・ピロメテン染料〔前記化合物(1)の染料〕 5部
・アントラキノン化合物〔前記化合物(3)の染料〕 5部
・溶剤〔メチルエチルケトン〕 95部
【0157】
繊維材料1−1の作成において、染色液1−1の代わりに染色液1−4を用いた他は同様にして綿組紐を染色し、繊維材料1−4を作成した。
【0158】
〔比較例1−1〕
染色液1−1の調製において、化合物(1)に替えて、下記の化合物(4)(マゼンタ染料)を使用した以外は同様にして染色液1−101を調製した。次に、繊維材料1−1の作成において、染色液1−1の代わりに染色液1−101を用いた他は同様にして綿組紐を染色し、繊維材料1−101を作成した。
【0159】
【化24】

【0160】
〔比較例1−2〕
染色液1−1の調製において、化合物(1)に替えて、下記の化合物(5)(マゼンタ染料)を使用した以外は同様にして染色液1−102を調製した。次に、繊維材料1−1の作成において、染色液1−1の代わりに染色液1−102を用いた他は同様にして綿組紐を染色し、繊維材料1−102を作成した。
【0161】
【化25】

【0162】
以上の実施例1−1から1−4で染色した綿組紐(繊維材料1−1〜繊維材料1−4)は非常に鮮明な紫色の着色を呈し良好な染色が行われたことがわかった。
【0163】
また、実施例1−1〜実施例1−4、および比較例1−1〜比較例1−2にて染色した組紐(繊維材料1−1〜繊維材料1−4、及び繊維材料1−101〜繊維材料1−102)の耐光性試験、及び耐洗濯性試験を、それぞれJIS−L0842(紫外線カーボンアーク灯光に対する染色堅ろう度試験方法)、及びJIS−L0844(洗濯に対する染色堅ろう度試験方法)に準拠した方法によって行った。なお、JIS−L0844では、詳細には、A法のA−2号に準拠する方法で評価した。
結果を表1に示す。
【0164】
【表1】

【0165】
耐光性は、等級が高いほど、繊維材料が、標準退色するまでにかかる時間及び放射露光量が大きいことを示す。すなわち、等級が高いほど色褪せにくく、耐光性に優れる。また、耐洗濯性は、等級が高いほど、繊維材料から色素が脱落し難いことを示す。すなわち、等級が高いほど色褪せにくく、耐洗濯性に優れる。
【0166】
表1からもわかるように、実施例1のピロメテン染料を含有する染色液(繊維染色用染料組成物)を用いた染色は、比較例1−1および比較例1−2で用いたマゼンタ染料を含有する染色液を用いた染色に比較して高い耐久性を示した。
【0167】
< 実施例2 −繊維の捺染染色− >
〔実施例2−1〕
下記組成の染料と添加剤とを混合して染料分散物2−1を調製した。
・ピロメテン染料〔前記化合物(1)の染料〕 10部
・溶剤〔ジプロピレングリコール〕 50部
・添加剤〔分散剤;スチレン−無水マレイン酸共重合体〕 20部
・溶剤〔イオン交換水〕 20部
【0168】
さらに、以下の組成で生地(被染色材料;綿平織り布)の前処理液を調製した。
・固定化剤〔硝酸カルシウム4水和物(和光純薬工業社製)〕 15部
・溶剤〔1,3−プロパンジオール〕 10部
・溶剤〔イオン交換水〕 80部
【0169】
得られた前処理液を、ローラーを用いて綿平織り布に均一に塗布し、前処理液が乾かないうちにテキスタイルプリンタを用いて染料分散物2−1を塗布した。その後、160℃で30分乾燥処理した後、水洗して未固着の染料を洗い落とすことで、捺染された綿布である繊維材料2−1を得た。
【0170】
〔実施例2−2〕
染料分散物2−1の調製において、化合物(1)に替えて、前記化合物(2)を使用した以外は同様にして染料分散物2−2を調製した。次に、繊維材料2−1の作成において、染料分散物2−1の代わりに染料分散物2−2を用いた他は同様にして綿平織り布を捺染し、繊維材料2−2を作成した。
【0171】
〔実施例2−3〕
下記組成の染料と添加剤とを混合して染料分散物2−3を調製した。
・ピロメテン染料〔前記化合物(1)の染料〕 10部
・アントラキノン化合物〔前記化合物(3)の染料〕 2.5部
・溶剤〔ジプロピレングリコール〕 48部
・添加剤〔分散剤;スチレン−無水マレイン酸共重合体〕 20部
・溶剤〔イオン交換水〕 17部
【0172】
次に、繊維材料2−1の作成において、染料分散物2−1の代わりに染料分散物2−3を用いた他は同様にして綿平織り布を捺染し、繊維材料2−3を作成した。
【0173】
〔実施例2−4〕
下記組成の染料と添加剤とを混合して染料分散物2−4を調製した。
・ピロメテン染料〔前記化合物(1)の染料〕 10部
・アントラキノン化合物〔前記化合物(3)の染料〕 10部
・溶剤〔ジプロピレングリコール〕 48部
・添加剤〔分散剤;スチレン−無水マレイン酸共重合体〕 20部
・溶剤〔イオン交換水〕 10部
【0174】
次に、繊維材料2−1の作成において、染料分散物2−1の代わりに染料分散物2−4を用いた他は同様にして綿平織り布を捺染し、繊維材料2−4を作成した。
【0175】
〔比較例2−1〕
染料分散物2−1の調製において、化合物(1)に替えて、前記化合物(4)(マゼンタ染料)を使用した以外は同様にして染料分散物2−101を調製した。次に、繊維材料2−1の作成において、染料分散物2−1の代わりに染料分散物2−101を用いた他は同様にして綿平織り布を捺染し、繊維材料2−101を作成した。
【0176】
〔比較例2−2〕
染料分散物2−1の調製において、化合物(1)に替えて、前記化合物(5)(マゼンタ染料)を使用した以外は同様にして染料分散物2−101を調製した。次に、繊維材料2−1の作成において、染料分散物2−1の代わりに染料分散物2−101を用いた他は同様にして綿平織り布を捺染し、繊維材料2−101を作成した。
【0177】
実施例2−1〜実施例2−4で作製した捺染した綿布(繊維材料2−1〜繊維材料2−4)は非常に鮮明な紫色の着色を呈した。また、実施例2−1〜実施例2−4、および比較例2−1〜比較例2−2にて捺染を行った布帛(繊維材料2−1〜繊維材料2−4、及び繊維材料2−101〜繊維材料2−102)の耐光性試験、および耐洗濯性試験を、それぞれJIS−L0842法、およびJIS−L0844(A法、A−2号)に準拠した方法によって行った。
結果を表2に示す。
【0178】
【表2】

【0179】
JIS−L0842法、およびJIS−L0844(A法、A−2号)による評価の等級の詳細は、既述のとおりである。
表2からもわかるように、実施例2のピロメテン染料を含有する染色分散液(繊維染色用染料組成物)を用いた捺染は、比較例2−1および2−2のマゼンタ染料を含有する染色液を用いた捺染に比較して高い耐久性を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピロメテン染料を含む繊維染色用染料組成物。
【請求項2】
前記ピロメテン染料は、下記一般式(I)で表される化合物が金属原子又は金属化合物に配位したジピロメテン系金属錯体化合物である請求項1に記載の繊維染色用染料組成物。
【化1】


〔一般式(I)中、R、R、R、R、R、及びRは、各々独立に、水素原子、又は置換基を表す。Rは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基を表す。〕
【請求項3】
更に、アントラキノン染料を含む請求項1又は請求項2に記載の繊維染色用染料組成物。
【請求項4】
捺染染色に用いられる請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の繊維染色用染料組成物。
【請求項5】
浸漬染色に用いられる請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の繊維染色用染料組成物。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の繊維染色用染料組成物を用いて染色された繊維材料。
【請求項7】
布である請求項6に記載の繊維材料。

【公開番号】特開2012−127032(P2012−127032A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280895(P2010−280895)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】