説明

繊維機械の機台管理システム

【課題】音声及び/又は画像を利用して、繊維機械に関する情報を管理者や現場作業者に的確かつ迅速に伝達可能とした機台管理システムを提供することを目的とする。
【解決手段】複数の機台10がネットワーク200を介して管理コンピュータ314に接続されて管理される繊維機械の機台管理システム1であって、集音及び撮像して音声及び画像データを入力する集音マイク17・撮像カメラ18と、該集音マイク17・撮像カメラ18により入力された音声及び画像データを記憶する記憶装置103と、該記憶装置103に記憶された音声及び画像データを音声及び画像出力するスピーカ19・液晶モニタ15と、該記憶装置103から、任意の音声及び画像データを該スピーカ19・液晶モニタ15に出力させる機台制御装置14とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維機械の機台管理システムに関し、より詳細には、音声及び画像を利用して機台情報を伝達する新規な管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動ワインダーや精紡機などの繊維機械は、複数の機台が並設されて構成されており、機台の故障に関する情報や、運転情報、運転設定、生産量情報などの情報(機台情報)を収集し、これらの機台情報から機台の現在又は過去の状況を液晶モニタ等の表示装置に表示する機台管理システムが構築されている。すなわち、繊維機械は工場内に複数の機台が配設され、繊維機械に精通したオペレータ(管理者や現場作業者)が機台毎に必ずしも配備されない。そのため、このような機台管理システムによれば、少ない人員で複数の機台を集中して管理できる。例えば、特許文献1においては、運転情報や運転設定などの機台情報を表示装置において視覚的に容易に把握できるようにした機台情報の表示システムが開示されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−87703号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した特許文献1に開示される機台管理システムでは、検出装置による検出結果が機台毎に設けられた表示装置に表示されるだけであり、パッケージや糸に生じた不良箇所の詳細や機械部品の不具合などの情報は、口頭やメモ指示書によって伝達されていた。糸(パッケージ)や部品の不具合を、口頭や文書で的確に形容するのは難しい。そのため、かかる繊維機械に関する情報を、繊維機械に精通したオペレータや他の機台に配備されたオペレータなどにうまく伝達できないだけでなく、急を要する場合には煩わしく、機台の管理を的確かつ迅速に行うことができなかった。
【0004】
そこで、本発明においては、繊維機械の機台管理システムに関し、前記従来の課題を解決するもので、音声及び/又は画像を利用して、繊維機械に関する情報を管理者や現場作業者に的確かつ迅速に伝達可能とした機台管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0006】
すなわち、請求項1においては、複数の機台がネットワークを介して管理コンピュータに接続されて管理される繊維機械の機台管理システムであって、集音及び/又は撮像して音声及び/又は画像データを入力する機台情報入力手段と、該機台情報入力手段により入力された音声及び/又は画像データを記憶する機台情報記憶手段と、該機台情報記憶手段に記憶された音声及び/又は画像データを音声及び/又は画像出力する機台情報出力手段と、該機台情報記憶手段から、任意の音声及び/又は画像データを該機台情報出力手段に出力させる制御手段とを有するものである。
【0007】
請求項2においては、複数の機台がネットワークを介して管理コンピュータに接続されて管理される繊維機械の機台管理システムであって、集音及び/又は撮像して音声及び/又は画像データを入力する機台情報入力手段と、該機台情報入力手段により入力された音声及び/又は画像データをリアルタイムで送受信する通信手段と、該通信手段により送信された音声及び/又は画像データをリアルタイムで音声及び/又は画像出力する機台情報出力手段とを有するものである。
【0008】
請求項3においては、前記ネットワークを介して、繊維機械に関するサービス情報を配信し前記機台情報出力手段に出力させるサービス情報配信手段を有するものである。
【0009】
請求項4においては、複数の機台がネットワークを介して管理コンピュータに接続されて管理される繊維機械の機台管理システムであって、集音して音声データを入力する機台情報入力手段と、該機台情報入力手段により入力された音声データを記憶する機台情報記憶手段と、該機台情報記憶手段に記憶された音声データを音声出力する機台情報出力手段と、該機台情報入力手段により入力された音声データを認識する音声認識手段と、該音声手段による認識結果に基づいて所定の処理を行うように機台を制御する制御手段とを有するものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0011】
請求項1に示す構成としたので、機台情報、特に、繊維機械の運転音や糸(パッケージ)・部品の映像を管理者や現場作業者に的確かつ迅速に伝達することができる。
【0012】
請求項2に示す構成としたので、管理コンピュータ及び機台の間で、機台情報、特に、繊維機械の運転音や糸(パッケージ)・部品の映像を、管理者や現場作業者により的確かつ迅速に伝達できる。
【0013】
請求項3に示す構成としたので、作業者等が有意なサービス情報を分かり易い状態で逸早く入手でき、繊維機械の利便性が向上する。
【0014】
請求項4に示す構成としたので、繊維機械の特徴的な運転音から、繊維機械に関する各種設定の変更や、運転状態の診断などが可能となり、システムの取扱性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1は本発明の機台管理システムの全体的な構成を示した概略構成図、図2は機台の操作部の正面図、図3は機台制御装置のブロック図、図4は管理コンピュータの正面図、図5は管理コンピュータのブロック図、図6は別実施例の管理コンピュータのブロック図、図7は別実施例の機台制御装置のブロック図である。
【0016】
なお、以下の本実施例において、繊維機械の機台管理システム1は、玉揚装置を備えた自動ワインダーに適用した場合について説明するが、繊維機械としては、自動ワインダーに限定されるものではなく、例えば、梳紡機、精紡機、織機、編み機、紡糸巻取機、延伸仮撚機、空気式紡績機等に適用できる。
【0017】
図1に示すように、機台管理システム1は、複数の機台10・10・・・から構成されている。機台10は、複数の巻取ユニット11・11・・・が並設されて構成され、各巻取ユニット11を機台制御装置14にて制御するとともに、ネットワーク200を介して管理コンピュータ314に接続されている。
【0018】
この巻取ユニット11について概説すると、この巻取ユニット11は、供給される給糸ボビンから糸を巻き戻し、これをフリクションドラムの回転駆動力によって綾振りしつつボビンに巻き取り、所定のパッケージを形成するように構成されている。そして、給糸ボビンからパッケージに至る糸道の途中には、バルーンコントローラ、糸の有無を検出するヤーンセンサー、糸に所定の張力を付与するテンサー、糸にワックスを塗布するワキシング装置、糸の不良部を検出するスラブキャッチャー、糸欠陥が有ったときにカッターで糸を切断するヤーンクリアラー、及び糸切れ時に上糸(パッケージ側の糸端)と下糸(給糸ボビン側の糸端)とを繋ぐスプライサー等が配設されている。また、機台10ごとに、機台長手方向に走行して巻取ユニットからパッケージを自動的に玉揚げする玉揚装置(図略)が併設されている。
【0019】
巻取ユニット11にはユニットコントローラ13が設けられており、ユニットコントローラ13が機台制御装置14に接続されている(図3参照)。この機台制御装置14によって、巻取ユニット11・11・・・が所定の運転条件で運転されるように制御される。
【0020】
図2に示すように、機台10には、音声データを入力する機台情報入力手段としての集音マイク17と、画像データを入力する機台情報入力手段としての撮像カメラ18と、音声データを音声出力する機台情報出力手段としてのスピーカ19と、画像データを画像出力する機台情報出力手段としての液晶モニタ15と、及びコマンドやデータを入力する入力装置20とが集中して取り付けられた制御部10aが設けられており、それぞれが機台制御装置14に接続されている。そして、集音マイク17及び撮像カメラ18から入力された音声及び画像データが、スピーカ19及び液晶モニタ15より音声及び画像出力される。
【0021】
集音マイク17は、制御部10aに固設されるが、後述するように機台10から着脱可能に取り付けられるのが好ましい。集音マイク17としては、通常のマイクロフォンを用いることができ、集音した音声データをデジタルデータとして出力可能なデジタルレコーダを用いることができる。特に、集音マイク17としては、指向性が高く、ノイズが入らずに必要な音だけを集めることができるものを用いるのが好ましい。具体的には、機台10は、複数の巻取ユニット11・11・・・が常時駆動され騒音(ノイズ)がひどいため、このようなノイズを除去して、オペレータの音声や巻取ユニット11のエア音(ノズル音、糸繋ぎ音など)を集音可能なものが好ましい。
【0022】
撮像カメラ18は、集音マイク17と同様に、制御部10aに固設されるが、機台10から着脱可能に取り付けられるのが好ましい。撮像カメラ18としては、例えば、撮像素子としてCCDを用い、撮像した画像データをデジタルデータとして出力可能なデジタルビデオカメラを用いることができる。この撮像カメラ18により生成される画像データは、動画・静止画などその形態を問わない。また、撮像カメラ18は、一定の場所を撮像する構成としてもよいが、視野の方向を変更して様々な角度から画像を撮像できるように、機台10に対し相対位置変動可能に取り付けられてもよい。
【0023】
液晶モニタ15は、入力された画像データを出力可能である。スピーカ19は、入力された音声データが音声出力される内臓式のスピーカ及びイヤホンのいずれかである。また、入力装置20は、キーボード、マウス、及びスイッチパネル等のいずれかや、これらの一部若しくは全部の集合体であり、集音マイク17及び撮像カメラ18による集音及び撮像の開始・停止や、集音及び撮像された音声及び画像の出力の開始・停止の諸操作の入力指示を行うことができるように構成される。その他に、制御部10aには、印字出力可能なプリンタ等が配設されてもよい。
【0024】
集音マイク17及び撮像カメラ18により集音及び撮像される機台情報としては、機台10の液晶モニタ15に対峙したオペレータ(管理者や現場作業者など)の音声・映像、巻取ユニット11の運転音、あるいは巻取ユニット11の故障箇所やパッケージの映像等である。
【0025】
集音マイク17及び撮像カメラ18は、機台10より持ち出し可能とされ、少なくとも機台10の一端側の巻取ユニット11から他端側の巻取ユニット11まで持ち運ぶことができるように取り付けられるのが好ましい。かかる場合には、集音マイク17及び撮像カメラ18は、機台制御装置14と有線若しくは無線の通信手段を介して接続され、機台10に着脱可能に取り付けられる。このような構成とすることで、略同一構成の巻取ユニット11が長手方向に連設された機台10において、各巻取ユニット11の個別の状態や運転音(ノズル音、糸繋ぎ音など)の集音及び撮像が可能となる。
【0026】
なお、集音マイク17及び撮像カメラ18は、少なくとも何れか一方、好ましくは両方が各機台10に具備される。各機台10に集音マイク17及び撮像カメラ18を両方具備する場合は、集音マイク17及び撮像カメラ18が一体に構成されてもよい。また、入力された音声及び画像データの内、何れか一方のデータのみが機台制御装置14に備える記憶装置103に記憶されるように構成されてもよい。これらのデータの記憶先は、管理コンピュータ314に備える記憶装置303であってもよい。さらに、集音マイク17と撮像カメラ18とが、制御部10aのみならず、各巻取ユニット11に配置されたり、各巻取ユニット11間を移動する玉揚装置に配置される構成であっても良い。
【0027】
図2及び図3に示すように、機台制御装置14は、機台10及び機台10に備える各種入出力機器(集音マイク17等)の制御に関するデータやプログラムの記憶機能、該データやプログラムを実行するための展開・演算機能、音声及び画像データを記憶する機台情報記憶機能、及びネットワーク200を介して他の機台10の機台制御装置14や管理コンピュータ314との間で通信する通信機能等を具備するものである。具体的には、機台制御装置14は、汎用コンピュータやサーバコンピュータ等の公知の情報処理装置と同様な構成とすることができ、各種演算処理や制御を実行するCPU100、プログラムが記憶されるROM101、各種情報(データ)等を一時的に記憶するRAM102、音声及び画像データを記憶する機台情報記憶手段としての記憶装置103、及び音声若しくは画像データをネットワーク200を介して管理コンピュータ300等に送受信する通信手段としてのネットワークインターフェース104等とで構成される。これらのCPU100等は、上述した集音マイク17や撮像カメラ18等とバスを介して接続されている。
【0028】
集音マイク17及び撮像カメラ18により入力された音声及び画像データは、一時的にRAM102に蓄積された後、大容量の音声及び画像データを記憶することができる記憶装置103に記憶される。記憶装置103は、機台制御装置14若しくはWebサーバ(管理コンピュータ314に限定しない)に備えるハードディスクドライブやCD−ROMの記録媒体である。記憶装置103に格納された音声及び画像データは、CPU100によって読み出され、修正・書き込みが行われ、又はネットワークインターフェース104に送られる。その際、入力装置20が操作されることによって、記憶装置103から任意の音声及び画像データが読み出される。入力装置20の操作としては、例えば、液晶モニタ15に表示された音声及び画像データの一覧から、キー操作により所定の音声及び画像が選択される。そして、CPU100は、選択された音声及び画像データを記憶装置103から読み出して、スピーカ19から音声を出力させるとともに、液晶モニタ15に画像を出力させる。
【0029】
集音マイク17及び撮像カメラ18を用いて音声及び画像データを入力し、スピーカ19及び液晶モニタ15に音声及び画像出力する処理は、例えば、次のような勤務交替の引き継ぎにおいて利用される。まず、作業者が機台制御装置14の集音マイク17及び撮像カメラ18に対峙して、引き継ぐべき内容として、パッケージや糸に生じた不良箇所の詳細や機械部品の不具合に対するコメントを録音・録画しておく。この作業者の容姿およびコメントは、音声及び画像データとして記憶装置103に記憶される。そして、作業者が交代され、交代した作業者が入力装置20を操作することで、スピーカ19から前の作業者の音声が出力され、液晶モニタ15に前の作業者の容姿等が出力されて、前の作業者が録音・録画しておいたコメントが再生される。そのため、交代した作業者は、音声及び画像によって、機台10の不具合を容易に把握することができる。なお、このような作業者のコメントに代えて、巻取ユニット11の運転音や映像を録音・録画してもよいのは言うまでもない。
【0030】
このように、本実施例の機台管理システム1は、記憶装置103に格納された音声及び画像データの中から任意のものをスピーカ19及び液晶モニタ15から出力可能に構成されているため、繊維機械の運転音や不具合を生じた糸(パッケージ)・部品の映像を、音声及び画像によって、オペレータに的確かつ迅速に伝達することができる。
【0031】
また、ネットワークインターフェース104は、機台制御装置14をネットワーク200に接続するためのインターフェースである。機台制御装置14は、このネットワークインターフェース104によって、ネットワーク200を介して管理コンピュータ314と接続されている。
【0032】
ネットワーク200は、所定の工場内に構築されたイントラネットであり、ネットワーク200を介して機台10(機台制御装置14)と管理コンピュータ314とが相互接続されている。ネットワーク200は、機台10(機台制御装置14)と管理コンピュータ314とを通信可能に接続するものであればよく、インターネット内で接続してもよいし、モバイル通信を用いてもよい。なお、各機台10の機台制御装置14同士の間でLANが構築されてもよい。
【0033】
図4及び図5に示すように、管理コンピュータ314は、ネットワーク200を介して機台制御装置14・14・・・と接続され、集音マイク317、撮像カメラ318、スピーカ319、液晶モニタ315、及び入力装置320等が設けられている。集音マイク317や撮像カメラ318等の構成は、上述した機台制御装置14に設けられる集音マイク17等の構成と同様である。この集音マイク317及び撮像カメラ318によって、主に管理コンピュータ314に対峙する管理者や現場作業者の音声及び画像が集音及び撮像される。また、CPU300は、集音マイク317等とバス接続されている。なお、記憶装置303は、管理コンピュータ314若しくはWebサーバに備えるハードディスクドライブやCD−ROMの記録媒体である。
【0034】
集音マイク317及び撮像カメラ318によって入力された音声及び画像データは、一時的にRAM302に蓄積された後、記憶装置303に記憶される。入力装置320が操作されることで、CPU300によって記憶装置303から任意の音声及び画像データが読み出され、修正・書き込みが行われ、又はネットワークインターフェース304に送られる。ネットワークインターフェース304は、管理コンピュータ314をネットワーク200に接続するためのインターフェースである。
【0035】
機台制御装置14及び管理コンピュータ314の記憶装置103・303に記憶された音声及び画像データは、機台10の入力装置20や管理コンピュータ314の入力装置320より出力を要求する入力操作があれば、それぞれのCPU100・300の指令に基づいて、ネットワーク200を介して送信され、機台10の出力機器(スピーカ19等)や管理コンピュータ314の出力機器(液晶モニタ315等)に出力することが可能である。例えば、記憶装置103に記憶された音声及び画像データを管理コンピュータ314のスピーカ319及び液晶モニタ315より音声及び画像出力させたり、記憶装置303に記憶された音声及び画像データを、機台管理装置14のスピーカ19及び液晶モニタ15より音声及び画像出力させたりすることができる。
【0036】
通常、オペレータは、システムを監視して管理する作業者、複雑な機械の修理ができる作業者、あるいは主にパッケージの交換を行う作業者等に分かれ、機台10に関与したオペレータが該当する機台情報を持ちえているとは限らない。機台10に原因不明の不具合が生じたとき、担当する作業者では対応することができない場合には、当該作業者機台10にて不具合に関する機台情報を集音及び撮像し、入力された音声及び画像データを管理コンピュータ314にて音声及び画像出力させることができる。管理コンピュータ314の付近には、より適任の作業者が待機しており、当該作業者によって音声及び画像から機台情報が把握されて、次の対応が検討される。なお、音声及び画像データは、ネットワーク200を介して管理コンピュータ314に送信されるのみならず、その他の機台10にも送信されて音声及び画像出力させることもできる。
【0037】
このように、本実施例の機台管理システム1は、機台制御装置14及び管理コンピュータ314より入力された音声及び画像データが、ネットワークインターフェース104・304からネットワーク200へと送信可能とされているため、管理コンピュータ314及び機台10・10・・・の間で、音声及び画像を利用して、機台情報をより的確かつ迅速に伝達できる。
【0038】
なお、所定の機台制御装置14にて入力された音声及び画像データは、必ずしも当該機台制御装置14の記憶装置103に記憶される必要はなく、管理コンピュータ314の記憶装置303や、その他の機台制御装置14の記憶装置103に記憶されてもよい。かかる場合は、音声及び画像データが記憶された記憶装置103・303から、任意の音声及び画像データが読み出されて、所定の機台制御装置14に送信される。
【0039】
本実施例の機台上述した機台制御装置14には、記憶装置103が必ずしも設けられなくてもよい。かかる場合には、管理コンピュータ314に記憶装置303が設けられ、機台制御装置14の集音マイク17及び撮像カメラ18によって入力された音声及び画像データが、ネットワークインターフェース104よりネットワーク200を介して管理コンピュータ314へと直ちに送信されて、記憶装置303に記憶される。記憶装置303に記憶された音声及び画像データは、所定の機台制御装置14のCPU100によって、ネットワーク200を介して機台制御装置14に送信される。すなわち、記憶装置303に記憶された音声及び画像データは、機台制御装置14からでも、管理コンピュータ314からでも音声及び画像出力が可能である。このように、管理コンピュータ314にて、機台制御装置14より入力された音声及び画像データを集中して管理することも可能である。
【0040】
また、管理コンピュータ314によって、巻取ユニット11が遠隔操作されるように構成されてもよい。具体的には、管理コンピュータ314の入力装置320が操作されると、CPU300からの指令がネットワーク200を介して機台制御装置14に送られて、CPU100によりユニットコントローラ13が制御され、各巻取ユニット11の設定が変更され、運転が制御される。所定の機台10から、他の機台10を構成する巻取ユニット11を遠隔操作可能に構成してもよい。このように巻取ユニット11を遠隔操作できれば、伝達された音声及び画像データに基づいて、的確かつ迅速に巻取ユニット11の設定を変更し、運転を制御できる。
【0041】
さらに、機台制御装置14・14・・・及び管理コンピュータ314との間で、リアルタイムで音声及び画像データが送受信されるように構成されてもよい。具体的には、所定の機台10の集音マイク17及び撮像カメラ18より入力された音声及び画像データは、ネットワークインターフェース104からネットワーク200を介して管理コンピュータ314に送信され、スピーカ319及び液晶モニタ315よりリアルタイムで音声及び画像出力される。同時に、管理コンピュータ314の集音マイク317及び撮像カメラ318より入力された音声及び画像データは、ネットワークインターフェース304からネットワーク200を介して所定の機台10に送信され、スピーカ19及び液晶モニタ15よりリアルタイムで音声及び画像出力される。このように、所定の機台制御装置14と管理コンピュータ314との間でリアルタイムの双方向通信が可能に構成されることで、音声及び画像による機台情報の伝達がより容易となり、迅速になる。このような構成とする場合には、音声及び画像データは、記憶装置103・303に記憶されることなくネットワーク200を介して送受信される。
【0042】
図6に示すシステムは、上述した機台管理システム1の構成に加えて、繊維機械に関するサービス情報が格納されたサービス情報データベース305が管理コンピュータ314に設けられており、ネットワーク200を介して、サービス情報データベース305に格納された各サービス情報が配信されて、各機台10のスピーカ19及び液晶モニタ15から音声及び画像出力されるように構成されている。
【0043】
ここで、サービス情報とは、繊維機械に関する各種情報であって、巻取ユニット11を構成するパーツに関する情報や、技術的な支援サービスを提供する旨の情報、及び顧客ごとの特定の情報などを含む。これらのサービス情報は、音声及び画像データとして、サービス情報データベース305に格納される。具体的には、パーツ情報データベース305aにはパーツに関するデータが、技術支援情報データベース305bには技術的な支援サービスを提供する旨のデータが、顧客情報データベース305cには顧客ごとの特定のデータが格納して記憶されている。
【0044】
サービス情報データベース305は、管理コンピュータ314に設けられるが、管理コンピュータ314より物理的に分離されてネットワーク200に接続されてもよく、その形態は問わない。また、サービス情報データベース305は、各データベース305a〜305cの維持運用を行う専用のソフトウェアを備えるようにするのがセキュリティ管理上及びシステムの構築上で好ましい。また、処理に応じた階層構造を持つサーバ装置としてもよい。
【0045】
これらのサービス情報は、サービス情報データベース305からネットワーク200を介して機台制御装置14に自動若しくは(入力装置320が操作されて)手動で配信され、機台10のスピーカ19及び液晶モニタ15より音声及び画像出力される。サービス情報が自動配信される場合には、配信される間隔は定期/不定期のいずれでもよい。このように、ネットワーク200を介して、サービス情報データベース305に格納された各サービス情報を配信して、各機台10のスピーカ19及び液晶モニタ15から音声及び画像出力されるように構成することで、有意なサービス情報を分かり易い状態で逸早く入手でき、繊維機械の利便性が向上する。
【0046】
なお、本実施例では、サービス情報データベース305をWebサーバとし、サービス情報を、音声・動画・静止画などの各種Webコンテンツとして管理用ホームページに配信し、各機台10からこの管理用ホームページにアクセスしてWebコンテンツを閲覧するように構成してもよい。さらには、サービス情報を元に、機台10からネットワークを介してパーツやサービスの発注を受けることができるように構成してもよい。
【0047】
図7に示すシステムは、上述した機台管理システム1の構成に加えて、機台制御装置14に、集音マイク17により集音された音声データを認識する音声認識装置106が設けられている。音声認識装置106は、集音マイク17により入力された音声データを音の波形(周波数)として認識するものである。つまり、本システムでは、この音声認識装置106によって、記憶装置103に格納された音声データと音声認識装置106にて認識された音声データとが波形として認識され、機台制御装置14(CPU100)は、両波形を対比して一致/不一致を判定し、この判定結果(音声認識結果)に基づいて、特定のオペレータにのみ繊維機械の設定変更を許容するように制御(音声制御)したり、巻取ユニット11の運転音から運転状態を診断(音診断)したり、オペレータが集音マイク17に向けて発声した言語の意味内容に応じて機台10の設定が変更されたりするように制御する。
【0048】
ここで、繊維機械の設定変更とは、巻取ユニット11毎の運転/停止を切り換えたり、機台10の運転モード(例えば、メンテナンスモードや待機モードなど)を切り換えたり、上述した管理コンピュータ314との通信を可能としたりすることを含む。
【0049】
一例として、音声認識結果に基づいて、特定のオペレータ(管理者)しか機台10の運転/停止を行えないように処理する構成について説明する。まず、特定のオペレータの音声データが予め記憶装置103に記憶される。そして、機台10の運転/停止を切り換える際に、当該オペレータが集音マイク17に向けて発声し、入力された音声データが音声認識装置106にて認識され、記憶装置103に予め記憶された音声データに基づく波形と対比される。そして、両波形が一致することで機台10の運転/停止が切り換えられる。この構成において、当該オペレータ以外の者が同様の操作を行った場合には、記憶装置103に記憶された音声データと音声認識装置106により認識された音声データに基づく波形が不一致なため、機台10の運転/停止が切り換えられられることはない。すなわち、所定のオペレータ(例えば、管理者)のみが、繊維機械の設定を変更できるので、不用意に設定が変更されて、繊維機械が誤操作するのを防止でき、メンテナンス中に巻取ユニット11が誤操作されて運転を開始してしまうのを防止できる。
【0050】
また、巻取ユニット11の運転音から運転状態を診断する場合には、記憶装置103に正常な状態の巻取ユニット11の運転音を予め音声データとして記憶しておく。そして、集音マイク17によって運転中の巻取ユニット11の運転音を集音し音声データを入力すると、この音声データが音声認識装置106にて認識され、記憶装置103に予め記憶された音声データに基づく波形と対比されることで、運転中の巻取ユニット11の状態が診断される。特に、巻取ユニット11のような繊維機械は、特徴的なエア音が生成されるため、このような音診断から不具合を容易に発見できる。
【0051】
このように、音声認識装置106を設けて、音声認識結果に基づいて所定の処理を行うように機台10を制御することで、巻取ユニット11の特徴的な運転音から、各種の設定変更や運転状態の診断などを行うことができ、システムの取扱性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の機台管理システムの全体的な構成を示した概略構成図。
【図2】機台の操作部の正面図。
【図3】機台制御装置のブロック図。
【図4】管理コンピュータの正面図。
【図5】管理コンピュータのブロック図。
【図6】別実施例の管理コンピュータのブロック図。
【図7】別実施例の機台制御装置のブロック図。
【符号の説明】
【0053】
1 機台管理システム
10 機台
13 ユニットコントローラ
14 機台管理装置
15 液晶モニタ
17 集音マイク
18 撮像カメラ
19 スピーカ
103 記憶装置
104 ネットワークインターフェース
200 ネットワーク
314 管理コンピュータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機台がネットワークを介して管理コンピュータに接続されて管理される繊維機械の機台管理システムであって、集音及び/又は撮像して音声及び/又は画像データを入力する機台情報入力手段と、該機台情報入力手段により入力された音声及び/又は画像データを記憶する機台情報記憶手段と、該機台情報記憶手段に記憶された音声及び/又は画像データを音声及び/又は画像出力する機台情報出力手段と、該機台情報記憶手段から、任意の音声及び/又は画像データを該機台情報出力手段に出力させる制御手段とを有することを特徴とする繊維機械の機台管理システム。
【請求項2】
複数の機台がネットワークを介して管理コンピュータに接続されて管理される繊維機械の機台管理システムであって、集音及び/又は撮像して音声及び/又は画像データを入力する機台情報入力手段と、該機台情報入力手段により入力された音声及び/又は画像データをリアルタイムで送受信する通信手段と、該通信手段により送信された音声及び/又は画像データをリアルタイムで音声及び/又は画像出力する機台情報出力手段とを有することを特徴とする繊維機械の機台管理システム。
【請求項3】
請求項1及び請求項2に記載の繊維機械の機台管理システムは、前記ネットワークを介して、繊維機械に関するサービス情報を配信し前記機台情報出力手段に出力させるサービス情報配信手段を有することを特徴とする繊維機械の機台管理システム。
【請求項4】
複数の機台がネットワークを介して管理コンピュータに接続されて管理される繊維機械の機台管理システムであって、集音して音声データを入力する機台情報入力手段と、該機台情報入力手段により入力された音声データを記憶する機台情報記憶手段と、該機台情報記憶手段に記憶された音声データを音声出力する機台情報出力手段と、該機台情報入力手段により入力された音声データを認識する音声認識手段と、該音声手段による認識結果に基づいて所定の処理を行うように機台を制御する制御手段とを有することを特徴とする繊維機械の機台管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−336155(P2006−336155A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−162832(P2005−162832)
【出願日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】