説明

繊維用抗菌柔軟剤組成物

【課題】 抗菌性に優れた繊維用抗菌柔軟剤組成物を提供する。
【解決手段】 一般式(1)で示される第4級アンモニウム塩(A)および柔軟性付与成分(B)を含有することを特徴とする繊維用抗菌柔軟剤組成物である。
【化1】


[式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立に炭素数が1〜22の脂肪族炭化水素基;R3は、炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基、炭素数7〜22のアリールアルキル基または炭素数8〜22のアリールアルケニル基;R4は炭素数8〜22の脂肪族炭化水素基;fは1〜3の整数、Xf−はf価の超強酸アニオンを表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は繊維用の抗菌柔軟剤組成物に関する。さらに詳しくは、超強酸アニオンを対イオンとする第4級アンモニウム塩を含有する繊維用抗菌柔軟剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
通常の洗濯で衣類などを洗濯して室内に干す場合、特に、梅雨時など微生物の繁殖しやすい環境で衣類を室内で乾燥又は保存すると、菌に由来する不快な臭いが発生する問題がある。この不快な臭いは、洗濯しても完全に落としきれない皮脂やタンパク質などの汚れが原因であり、菌の増殖で発生すると考えられる。この問題を解決するために、抗菌剤を併用した柔軟剤組成物が開示されている(例えば、特許文献1)。しかしながら、従来の組成物では、十分満足できる抗菌性が得られなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−20974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、繊維が生乾きの状態で湿度の高い室内で乾燥させた時にも高い抗菌性を有する繊維用柔軟剤組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の第4級アンモニウム塩と柔軟性付与成分を含有することでこれらの問題点を解決できることを見出し、本発明に到達した。すなわち本発明は、超強酸アニオンを対イオンとする第4級アンモニウム塩(A)および柔軟性付与成分(B)を含有することを特徴とする繊維用抗菌柔軟剤組成物である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の繊維用抗菌柔軟剤組成物は、繊維が生乾きの状態で湿度の高い室内で乾燥させた時にも高い抗菌性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の繊維用抗菌柔軟剤組成物は、一般式(1)で示される第4級アンモニウム塩(A)[以下において、単に「第4級アンモニウム塩(A)と表記することがある]および柔軟性付与成分(B)を必須成分として含有する。必須成分のうち第4級アンモニウム塩(A)は抗菌性の観点から含有するものである。以下、第4級アンモニウム塩(A)を表す一般式(1)について説明する。
【0008】
【化1】

【0009】
式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立に炭素数が1〜22の脂肪族炭化水素基;R3は、炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基、炭素数7〜22のアリールアルキル基または炭素数8〜22のアリールアルケニル基;R4は炭素数8〜22の脂肪族炭化水素基;fは1〜3の整数、Xf−はf価の超強酸アニオンを表す。
【0010】
1およびR2で表される脂肪族炭化水素基としては直鎖並びに分岐の飽和および不飽和の炭化水素基(アルキル基およびアルケニル基など)が挙げられる。直鎖の脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ヤシ油由来のアルコールから水酸基を除いたアルキル基(以下、ヤシ油アルキル基と略記する。)、およびオレイル基などが挙げられ、分岐の炭化水素基としては、イソプロピル基および2−エチルヘキシル基などが挙げられる。これらのうち好ましいのは炭素数1〜14、さらに炭素数1〜8、特に炭素数1または2、最も好ましいのはメチル基である。また、R1とR2 は同一であっても異なっていてもよいが、同一であるのが好ましい。
【0011】
3は炭素数1〜22の直鎖もしくは分岐の脂肪族炭化水素基または炭素数が7〜22のアリールアルキルもしくはアリールアルケニル基を表す。直鎖もしくは分岐の脂肪族炭化水素基としては、前記例示したものが挙げられ、アリールアルキル基としてはベンジル基およびフェネチル基など、アリールアルケニル基としてはスチリル基およびシンナミル基などが挙げられる。R3のうち好ましくは炭素数が1〜18の直鎖もしくは分岐の脂肪族炭化水素基または炭素数が7〜15のアリールアルキルもしくはアリールアルケニル基、さらに好ましくは炭素数が6〜14の直鎖もしくは分岐の脂肪族炭化水素基である。
【0012】
4は炭素数8〜22の直鎖または分岐の脂肪族炭化水素基(アルキル基およびアルケニル基など)を表す。直鎖の脂肪族炭化水素基としては、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ヤシ油アルキル基およびオレイル基などが挙げられ、分岐の脂肪族炭化水素基としては、2−エチルヘキシル基などが挙げられる。R4のうち好ましくは炭素数8〜18の直鎖または分岐の脂肪族炭化水素基、さらに好ましくは炭素数10〜16の直鎖または分岐の脂肪族炭化水素基である。
【0013】
一般式(1)で示される第4級アンモニウム塩(A)を構成する第4級アンモニウムカチオン基の具体例としては、R3が脂肪族炭化水素基の場合は、例えば、1つの長鎖アルキル基を有するもの(トリメチルドデシルアンモニウム、トリメチルテトラデシルアンモニウム、トリメチルヘキサデシルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウム、トリメチルヤシ油アルキルアンモニウム、トリメチル−2−エチルヘキシルアンモニウム、ジメチルエチルドデシルアンモニウム、ジメチルエチルテトラデシルアンモニウム、ジメチルエチルヘキサデシルアンモニウム、ジメチルエチルオクタデシルアンモニウム、ジメチルエチルヤシ油アルキルアンモニウム、ジメチルエチル−2−エチルヘキシルアンモニウム、メチルジエチルドデシルアンモニウム、メチルジエチルテトラデシルアンモニウム、メチルジエチルヘキサデシルアンモニウム、メチルジエチルオクタデシルアンモニウム、メチルジエチルヤシ油アルキルアンモニウムおよびメチルジエチル−2−エチルヘキシルアンモニウム);1つの長鎖アルケニル基を有するもの(トリメチルオレイルアンモニウム、ジメチルエチルオレイルアンモニウムおよびメチルジエチルオレイルアンモニウム);並びに、2つの長鎖アルキル基を有するもの(ジメチルジヘキシルアンモニウム、ジメチルジオクチルアンモニウム、ジメチルジデシルアンモニウムおよびジメチルジドデシルアンモニウム)が挙げられる。また、R3 がアリールアルキル基の場合は、例えば、ジメチルデシルベンジルアンモニウム、ジメチルドデシルベンジルアンモニウム、ジメチルテトラデシルベンジルアンモニウム、ジメチルヘキサデシルベンジルアンモニウム、ジメチルヤシ油アルキルベンジルアンモニウム、ジメチルオレイルベンジルアンモニウムおよびジメチル−2−エチルヘキシルベンジルアンモニウムが挙げられる。これらのうち抗菌性の観点から好ましいのは、ジメチルジデシルアンモニウム、トリメチルヘキサデシルアンモニウム、ジメチルドデシルベンジルアンモニウムおよびジメチルテトラデシルベンジルアンモニウムである。
【0014】
一般式(1)におけるXf−はf価の超強酸アニオンであり、fは1〜3の整数、好ましくは1もしくは2である。超強酸アニオンを構成する超強酸は、100%硫酸より強い酸強度を有する酸(「超強酸・超強塩基」田部浩三、野依良治著、講談社サイエンティフィック刊、p1参照)であり、Hammettの酸度関数(H0)が100%硫酸の−11.93未満のものであり、Xf−とプロトンが結合した超強酸Xf−・f Hの第1解離段階でのHammett酸度関数(H0)が−12以下である超強酸である。これらの超強酸としては、プロトン酸およびプロトン酸/ルイス酸の組み合わせからなる酸が挙げられる。プロトン酸の具体例としては、トリフルオロメタンスルホン酸(H0=−14.10)、およびペンタフルオロエタンスルホン酸(H0=−14.00)などが挙げられる。プロトン酸/ルイス酸の組み合わせに用いられるプロトン酸としては、ハロゲン化水素(フッ化水素、塩化水素、臭化水素およびヨウ化水素など)が挙げられ、ルイス酸としては三フッ化硼素、五フッ化リン、五フッ化アンチモン、五フッ化砒素および五フッ化タウリンなどが挙げられる。プロトン酸/ルイス酸の組み合わせは任意であるが、組み合わせて得られる超強酸の具体例としては、四フッ化硼素酸、六フッ化リン酸、塩化フッ化硼素酸、六フッ化アンチモン酸、六フッ化砒酸および六フッ化タウリンなどが挙げられる。上記の超強酸のうち、抗菌性および皮膚刺激性の観点から、好ましいのはトリフルオロメタンスルホン酸、四フッ化硼素酸および六フッ化リン酸である。
【0015】
本発明における第4級アンモニウム塩(A)としては、上記第4級アンモニウムカチオン基が上記超強酸アニオンXf−を対イオンとする塩であれば特に限定されず、任意の組み合わせのものが挙げられる。第4級アンモニウム塩(A)のうち、抗菌性と皮膚刺激性の観点から好ましいのは、ジメチルジデシルアンモニウム、トリメチルヘキサデシルアンモニウム、ジメチルドデシルベンジルアンモニウムおよびジメチルテトラデシルベンジルアンモニウムなどから選ばれる1種以上の第4級アンモニウムカチオンと、トリフルオロメタンスルホン酸、四フッ化硼素酸および六フッ化リン酸などから選ばれる1種以上のHammett酸度関数(H0)が−12.00以下の超強酸のアニオンとの組み合わせである。
【0016】
本発明における第4級アンモニウム塩(A)の重量に基づく遊離ハロゲン含量(測定法:イオンクロマトグラフィー)は、皮膚刺激性の観点から、好ましくは100ppm以下、さらに好ましくは0〜50ppm、とくに好ましくは0〜10ppmである。
【0017】
第4級アンモニウム塩(A)の製造方法としては限定はなく公知の方法でよいが、遊離ハロゲン含量の観点から好ましいのは下記の[I]および[II]の方法、操作上の観点からさらに好ましいのは[II]である。
【0018】
[I] 第4級アンモニウム塩〔例えば、一般式(1)における第4級アンモニウム基とハロゲンアニオンからなる塩〕の水溶液(20〜70重量%)に前記超強酸のアルカリ金属塩(ナトリウム塩またはカリウム塩など)を加え(第4級アンモニウム塩/超強酸塩の当量比は通常1/1〜1/1.5、好ましくは1/1.05〜1/1.3)、70〜80℃で約2時間撹拌混合して得られる水溶液を静置して分液した下層(水層)を除去し、上層中の水分を減圧留去して、目的の第4級アンモニウム塩を得る。更に上層と同量の水を加え70〜80℃で1時間攪拌し静置して分液する工程を必要により繰り返して精製する方法がよい。
【0019】
[II] 第3級アミンと同当量以上(好ましくは1.1〜5.0当量)の炭酸ジアルキルエステル(アルキル基の炭素数1〜5)を溶媒(例えば、メタノール)の存在下(第3級アミンの重量に基づいて10〜1,000%)または非存在下、反応温度80〜200℃、好ましくは100〜150℃で反応させて第4級アンモニウム塩を形成し、さらに前記超強酸を添加(第4級アンモニウムの当量に基づいて1.0〜1.2当量)し、10〜60℃で1〜3時間撹拌して塩交換する。溶媒を50〜120℃で減圧留去して、目的の第4級アンモニウム塩を得る。
【0020】
本発明における第4級アンモニウム塩(A)は、常温で、通常、固状(ブロック状、ワックス状もしくは粉末状)または液状(粘ちょう液状もしくはペースト状)であり、いずれの形態でもよい。固状の場合の融点は通常25〜120℃である。
【0021】
本発明における柔軟性付与成分(B)は、公知の繊維用柔軟剤組成物において柔軟性付与成分として知られている成分であれば特に限定されない。柔軟性付与成分(B)としては、例えば1分子中に2個の長鎖アルキル基を有する第4級アンモニウムハロゲン塩、シリコーン系高分子およびカチオン系高分子などのほかに、前記特許文献1に挙げられた化合物が挙げられる。柔軟性付与成分(B)のうち好ましいのは、一般式(2)で示されるカチオン性界面活性剤(B1)、一般式(3)で示されるカチオン性界面活性剤(B2)および一般式(4)で示されるカチオン性界面活性剤(B3)からなる群から選ばれる1種以上のカチオン性界面活性剤である。(B1)〜(B3)のうちの1種以上と前記第4級アンモニウム塩(A)とを併用することにより、繊維用抗菌柔軟剤組成物としての抗菌性に優れ、かつ抗菌性が複数回の洗濯によっても低下することが少なく(耐洗濯性が優れ)、さらには組成物としての貯蔵安定性が良好で、皮膚刺激性も少なく、かつ、処理後の繊維の臭気、柔軟性、さっぱり感および吸水性の全てを満足するという優れた抗菌性柔軟剤組成物となる。
【0022】
【化2】

【0023】
式(2)中、Rは炭素数1〜24のアルキル基、炭素数2〜24のアルケニル基または炭素数2〜24のβ−ヒドロキシアルキル基;Rは炭素数6〜24のアルキル基、炭素数6〜24のアルケニル基、炭素数8〜24のアルカポリエニル基またはベンジル基であり、2個のRは同一でも異なっていてもよい。hは1〜5の整数であり、Yh−は超強酸アニオンを除くh価のアニオンである。
【0024】
【化3】

【0025】
式(3)中、R7は炭素数6〜24のアルキル基、炭素数6〜24のアルケニル基、炭素数8〜24のアルカポリエニル基またはベンジル基;Rは炭素数1〜24のアルキル基、炭素数2〜24のアルケニル基または炭素数2〜24のβ−ヒドロキシアルキル基である。Z1は水素原子またはRCO−で表される基(このR7は前記のR7と同様)である。Qは炭素数1〜24のアルキル基、炭素数2〜24のアルケニル基、炭素数2〜24のβ−ヒドロキシアルキル基またはRCO−OCH2CH2−で表される基(このR7は前記のR7と同様)である。hは1〜5の整数であり、Yh−は超強酸アニオンを除くh価のアニオンである。
【0026】
【化4】

【0027】
式(4)中、RおよびR10は炭素数1〜24のアルキル基、炭素数2〜24のアルケニル基または炭素数2〜24のβ−ヒドロキシアルキル基;R11およびR12は炭素数6〜24のアルキル基、炭素数6〜24のアルケニル基、炭素数8〜24のアルカポリエニル基またはベンジル基である。hは1〜5の整数であり、Yh−は超強酸アニオンを除くh価のアニオンである。
【0028】
以下において、カチオン性界面活性剤(B1)〜(B3)を表す一般式(2)〜(4)について説明する。
【0029】
一般式(2)〜(4)において、R、R、RおよびR10は直鎖もしくは分岐の炭素数1〜24、好ましくは炭素数1〜8、さらに好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、直鎖もしくは分岐の炭素数2〜24、好ましくは炭素数2〜8のアルケニル基、又はアルキル基の炭素数2〜24、好ましくは炭素数2〜8、さらに好ましくは炭素数2〜4のβ−ヒドロキシアルキル基であり、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、2−エチルヘキシル基、ペンチル基、オクチル、ウンデシル基、トリデシル基、ペンタデシル基およびヘプタデシル基など、アルケニル基としては、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、アリル基、メタリル基、オクテニル基、ウンデセニル基、トリデセニル基、ペンタデセニル基およびヘプタデセニル基などが挙げられる。また、β−ヒドロキシアルキル基としては、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシラウリル基、2−ヒドロキシパルミチル基、2−ヒドロキシステアリル基などが挙げられる。これらのうち好ましいのは、アルキル基およびβ−ヒドロキシアルキル基、特に好ましいのはメチル基、エチル基、2−ヒドロキシエチル基および2−ヒドロキシプロピル基であり、最も好ましいのはメチル基である。
【0030】
、R、R11およびR12は炭素数6〜24、好ましくは炭素数8〜24の直鎖もしくは分岐のアルキル基、炭素数6〜24、好ましくは炭素数8〜24の直鎖もしくは分岐のアルケニル基、炭素数8〜24、好ましくは炭素数10〜24の直鎖もしくは分岐のアルカポリエニル基(リノレイル基などのアルカジエニル基、およびアルカトリエニル基など)またはベンジル基である。好ましい例はRで例示したアルキル基およびアルケニル基のうち炭素数6〜24の直鎖のもの、さらに好ましいのはペンタデシル基、ヘプタデシル基、トリデセニル基、ペンタデセニル基、ヘプタデセニル基およびこれらの混合物である。一般式(2)における2個のRは同一であっても異なっていてもよい。
【0031】
一般式(3)におけるZ1は水素原子または式:RCO−(なお、Rは前述のRとして挙げた基と同様の基が挙げられ、1分子中に2個以上のRを含む場合は同一でも異なっていてもよい)で表される基、例えばオクタノイル基、ラウロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基およびオレオイル基があげられ、好ましくはパルミトイル基、ステアロイル基、オレオイル基およびこれらの混合物である。Qは炭素数1〜24のアルキル基、炭素数2〜24のアルケニル基、炭素数2〜24のβ−ヒドロキシアルキル基または式:RCO−OCH2CH2−(なお、Rは前述のRとして挙げた基と同様の基が挙げられ、1分子中に2個以上のRを含む場合は同一でも異なっていてもよい)で表される基であり、これらのうち好ましいのは、炭素数1〜4のアルキル基および炭素数2〜4のβ−ヒドロキシアルキル基および式:RCO−OCH2CH2−で表される基、特に好ましいのはメチル基、エチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、並びにパルミトイル基、ステアロイル基、オレオイル基およびこれらの混合物である式:RCO−OCH2CH2−で表される基である。
【0032】
一般式(2)〜(4)中のhは1〜5、好ましくは1〜3の整数であり、Yh−は超強酸アニオンを除くh価の対イオンであり、ハロゲンイオン(クロルイオン、フッ素イオン、臭素イオンおよびヨウ素イオン)、OH、無機酸アニオン(炭酸アニオン、燐酸アニオンおよび硫酸アニオンなど)、および有機酸アニオンが挙げられる。有機酸アニオンを構成する有機酸としては、1価または2価〜5価のカルボン酸類[炭素数1〜18の1価の脂肪族カルボン酸(蟻酸、酢酸、酪酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸およびドデカン酸など)、2〜5価の脂肪族カルボン酸(しゅう酸、アジピン酸、クエン酸、イタコン酸など)、並びに芳香族カルボン酸(安息香酸、フタル酸およびトリメリット酸など)]、スルホン酸類(炭素数1〜18のアルキル基を有するスルホン酸、例えばメチルスルホン酸およびエチルスルホン酸など、炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキル置換芳香族スルホン酸、例えばp−トルエンスルホン酸およびドデシルベンゼンスルホン酸など、ナフタレンスルホン酸並びにp−フェノールスルホン酸など)、硫酸エステル類(炭素数1〜12のアルキルもしくはアルケニル基を有する硫酸エステル、たとえばメチル硫酸エステル、エチル硫酸エステル、オクチル硫酸エステル、2−エチルヘキシル硫酸エステル、デシル硫酸エステルおよびドデシル硫酸エステルなど)、リン酸エステル類(炭素数1〜12のアルキルもしくはアルケニル基を有する燐酸エステル、たとえばオクチル燐酸エステル、2−エチルヘキシル燐酸エステル、デシル燐酸エステルおよびドデシル燐酸エステルなど)、並びに炭素数6〜36の1〜4価のフェノール類(フェノール、p−クロロフェノール、β−ナフトール、o−およびp−ニトロフェノール、p−アミノフェノール、カテコールおよびレゾルシンなど)などが含まれる。Yh−のうち好ましいのはクロルイオン、メチル硫酸イオン、エチル硫酸イオンおよびメチル炭酸イオンで、特に好ましいのは、メチル硫酸イオンおよびエチル硫酸イオンである。
【0033】
前記カチオン性界面活性剤(B1)〜(B3)は、柔軟性の観点から、好ましくは、分子中に少なくとも1種(好ましくは1〜3種、さらに好ましくは1種)のアルケニル基を有するカチオン性界面活性剤である。(B1)は、一般式(2)におけるRのうちの少なくとも一部が炭素数8〜24のアルケニル基、特に、ヘプタデセニル基、ペンタデセニル基またはトリデセニル基であることが好ましく、ヘプタデセニル基であることがとりわけ好ましい。(B2)は、一般式(2)におけるRのうちの少なくとも一部、またはZ1を構成するRのうちの少なくとも一部が炭素数8〜24のアルケニル基、特に、ヘプタデセニル基、ペンタデセニル基またはトリデセニル基であることが好ましく、ヘプタデセニル基であることがとりわけ好ましい。
【0034】
前記カチオン性界面活性剤(B)は、ヨウ素価が、通常0〜140、好ましくは20〜120、さらに好ましくは40〜110、特に好ましくは50〜100である。 ヨウ素価が20以上であれば吸水性がさらに良好になり、120以下であれば、さらに柔軟性が向上しやすい。
【0035】
一般式(2)で表されるカチオン性界面活性剤(B1)のうち好ましいものの例としては、Rがメチル、エチル、ブチルまたはβ−ヒドロキシエチル基で、Rがペンタデシル、ヘプタデシル、ヘプタデセニルおよび/または2−ヒドロキシオクチル基のもの、具体的には以下に示す(B11)〜(B15)等があげられる。
(B11)R=メチル基、R=ヘプタデセニル基、Yh−=CH3SO4 、h=1
(B12)R=メチル基、R=ヘプタデセニル基/ヘプタデシル基(60/40重量%;以下において特に限定しない限り、%は重量%を表す)、Yh−=CH3SO4 、h=1
(B13)R=β−ヒドロキシエチル基、R2=ペンタデシル基/ヘプタデセニル基(30/70%)、Yh−=CH3SO4 、h=1
(B14)R=メチル基、R=ペンタデシル基/ヘプタデシル基(40/60%)、Yh−=Cl 、h=1
(B15)R=エチル基、R=ペンタデシル基、Yh−=C25SO4 、h=1
【0036】
一般式(3)で示されるカチオン性界面活性剤(B2)のうち好ましいものの例としては、Rがメチル、エチル、ブチルまたはβ−ヒドロキシエチル基、Rがペンタデシル、ヘプタデシル、ヘプタデセニルおよび/または2−ヒドロキシオクチル基、Z1が水素、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイルおよび/またはオレオイル基、並びにQがメチル、エチルまたはβ−ヒドロキシエチル基のもの、具体的には以下に示す(B21)〜(B24)があげられる。
(B21)R=メチル基、R=ヘプタデシル基/ヘプタデセニル基(37/63%)、Z1=ステアロイル基/オレオイル基(37/63%)、Q=β−ヒドロキシエチル基、Yh−=CH3SO4 、h=1
(B22)R=メチル基、R=ヘプタデセニル基、Z1=オレオイル基、Q=β−ヒドロキシエチル基、Yh−=CH3SO4 、h=1
(B23)R=エチル基、R=ペンタデシル基、Z1=ステアロイル基、Q=メチル基、Yh−=CH3SO4 、h=1
(B24)R=メチル基、R=ペンタデシル基/ヘプタデシル基(40/60%)、Z1=パルミトイル基/ステアロイル基(40/60%)、Q=β−ヒドロキシエチル基、Yh−=Cl
【0037】
一般式(4)で示されるカチオン性界面活性剤(B3)のうち好ましいものの例としては、RおよびR10がメチル、エチル、ブチルまたはβ−ヒドロキシエチル基、R11およびR12がペンタデシル、ヘプタデシル、ヘプタデセニルおよびステアリル、および/またはオレイル基のもの、具体的には以下に示す(B31)〜(B33)があげられる。
【0038】
(B31)R=メチル基、R10=メチル基、R11=ステアリル基、R12=ステアリル基、Yh−=CH3SO4 、h=1
(B32)R=メチル基、R10=エチル基、R11=オレオイル基、R12=オレイル基、Yh−=CH3CH2SO4 、h=1
(B33)R=メチル基、R10=メチル基、R11=ステアリル/オレイル(50/50%)R12=ステアリル/オレイル(50/50%)、Yh−=Cl 、h=1
【0039】
カチオン性界面活性剤(B1)は、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などの炭素数6〜24の脂肪酸にジエチレントリアミンとを150〜200℃で加熱縮合させて得られたアミド型の第3級アミンを塩酸、酢酸などの酸で中和する方法、又は該アミド型の第3級アミンをメチルクロライド、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチル硫酸、ジエチル硫酸などのアルキル化剤を加圧下、加熱して反応する方法などで得られる。
【0040】
カチオン性界面活性剤(B2)は、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸などの炭素数6〜24、好ましくは8〜24の脂肪酸とトリエタノールアミンを150〜200℃で加熱縮合させてエステル型の第3級アミンを作り、これに塩酸、酢酸などの酸で中和する方法や、前記のアルキル化剤を加圧下、加熱して反応する方法などで得ることができる。
【0041】
カチオン性界面活性剤(B3)は、例えば、ジオレイルメチルアミン、ジステアリルメチルアミンなどの3級アミンに前記のアルキル化剤を加圧下、加熱して反応する方法などで得ることができる。
【0042】
カチオン性界面活性剤(B1)〜(B3)のうち、柔軟性の観点から、好ましいものはカチオン性界面活性剤(B1)またはカチオン性界面活性剤(B1)とカチオン性界面活性剤(B2)の併用であり、併用の場合の(B1)/(B2)の好ましい重量比率は、40/60〜98/2、さらに好ましくは50/50〜80/20である。
【0043】
本発明の抗菌性柔軟剤組成物における必須成分である前記第4級アンモニウム塩(A)および柔軟性付与成分(B)の重量比率(A/B)は、好ましくは2/98〜90/10、さらに好ましくは5/95〜70/10である。この範囲であれば、抗菌性の観点で好ましい。
【0044】
本発明の抗菌性柔軟剤組成物は、必須成分としての前記第4級アンモニウム塩(A)および柔軟性付与成分(B)以外に、任意成分として、非イオン界面活性剤(C)、アニオン性界面活性剤(D)、両性界面活性剤(E)、親水性溶剤(F)、水溶性無機塩(G)、その他の添加剤(H)および水(I)からなる群から選ばれる1種以上を含有してもよい。
【0045】
非イオン界面活性剤(C)としては、アルキレンオキシド付加型非イオン界面活性剤およびアルキルアミンオキシドなどが挙げられる。非イオン性界面活性剤(C)を含有することにより、配合安定性がさらに良好に発揮できる。
【0046】
アルキレンオキシド付加型非イオン界面活性剤としては、高級アルコール(炭素数8〜24)アルキレン(炭素数2〜8)オキサイド(活性水素1個当たりの付加モル数1〜100)付加物、アルキル(炭素数1〜12)フェノールEO(活性水素1個当たりの付加モル数1〜30、EOはエチレンオキサイドの略)付加物、脂肪酸(炭素数8〜18)EO(活性水素1個当たりの付加モル数1〜30)付加物、高級アミン(炭素数8〜24)アルキレン(炭素数2〜8)オキサイド(活性水素1個当たりの付加モル数1〜100)付加物、ポリプロピレングリコール(分子量200〜4000)EO(活性水素1個当たりの付加モル数1〜50)付加物およびポリオキシエチレン(活性水素1個当たりの付加モル数3〜30)アルキル(炭素数6〜20)アリルエーテルなどが挙げられる。これらのうち、好ましいのは高級アルコールアルキレンオキサイド付加物および高級アミンアルキレンオキサイド付加物である。
【0047】
アニオン性界面活性剤(D)としては、炭素数8〜24の炭化水素基を有するエーテルカルボン酸またはその塩[(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテル酢酸ナトリウムなど]、炭素数8〜24の炭化水素基を有するエーテル硫酸エステル塩[(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリル硫酸ナトリウムなど]、炭素数8〜24の炭化水素基を有するスルホコハク酸エステル塩[スルホコハク酸モノもしくはジアルキルエステルのジもしくはモノナトリウム塩、スルホコハク酸(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)モノもしくはジアルキルエステルのジもしくはモノナトリウム塩等]、(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド硫酸ナトリウム、炭素数8〜24の炭化水素基を有するスルホン酸塩[ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等]、炭素数8〜24の炭化水素基を有するリン酸エステル塩[ラウリルリン酸ナトリウム、(ポリ)オキシエチレン(重合度=1〜100)ラウリルエーテルリン酸ナトリウム等]、脂肪酸塩[ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸トリエタノールアミン等]、アシル化アミノ酸塩[ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸ザルコシンナトリウム、ヤシ油脂肪酸サルコシントリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸ナトリウム、ラウロイルメチル−β−アラニンナトリウム等]等が挙げられる。これらのうち好ましいものは、エーテルカルボン酸またはその塩、脂肪酸塩およびアシル化アミノ酸塩である。アニオン性界面活性剤(D)を含有することにより、配合安定性がさらに良好に発揮できる。
【0048】
両性界面活性剤(E)としては、ベタイン型両性界面活性剤[ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ウリルヒドロキシスルホベタイン、ラウロイロアミドエチルヒドロキシエチルカルボキシメチルベタインヒドロキシプロピルリン酸ナトリウム等]、アミノ酸型両性界面活性剤[β−ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等]などが挙げられる。
両性界面活性剤(E)を含有することにより、配合安定性がさらに良好に発揮できる。
【0049】
親水性溶剤(F)としては、炭素数1〜4のアルコールおよびグリコール系溶剤からなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。炭素数1〜4のアルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノールおよびt−ブチルアルコール等が挙げられる。グリコール系溶剤としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブチレングリコールおよび1,3−ブチレングリコー等のグリコール;グリコールのモノアルキルエーテル{エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルおよびジプロピレングリコールモノメチルエーテルなど};並びにグリコールのジアルキルエーテル{エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルおよびジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテルなど}が挙げられる。これらのうち好ましくはエチレングリコール、プロピレングリコールおよびジエチレングリコール、さらに好ましくはプロピレングリコールである。また、2種以上を併用する場合の比率は特に限定されない。親水性溶剤(F)を含有することにより、配合安定性がさらに良好に発揮できる。
【0050】
水溶性無機塩(G)としては、25℃での100gの水に対して10g以上溶解することのできる無機塩が挙げられる。例えばアルカリ金属塩[ハロゲン化物(塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウムおよびフッ化ナトリウムなど)、硫酸塩(硫酸ナトリウムおよび硫酸カリウムなど)およびリン酸塩(リン酸ナトリウムおよびリン酸カリウムなど)]、アルカリ土類金属塩[ハロゲン化物(塩化カルシウムおよび塩化マグネシウムなど)および硫酸塩(硫酸マグネシウムなど)]並びにアンモニウム塩[ハロゲン化物(塩化アンモニウムなど)および硫酸塩(硫酸アンモニウムなど)]があげられる。これらのうち好ましくは、アルカリ金属塩、特に塩化ナトリウムまたは硫酸ナトリウムである。水溶性無機塩(G)を含有することにより、配合安定性がさらに良好に発揮できる。
【0051】
その他の添加剤(H)としては、公知の抗菌剤(塩化ベンザルコニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、イソチアゾリン系、カーバニド系、イミダゾール系、ビグアナイド系およびチアゾール系抗菌剤等)、香料(d−リモネン、シンアミックアルデヒドおよびメチルヨノン等)、着色剤(青色1号、緑色3号および赤色1号等)、保湿成分(オリーブ油、アボガド油、ヒアルロン酸、レシチン、アルギン酸塩およびラノリン等)、および再汚染防止剤(アニオン性水溶性高分子など)が挙げられる。
【0052】
本発明の繊維用抗菌柔軟剤組成物における各成分の有効成分含有量(重量%)は以下の通りである。
第4級アンモニウム塩(A)は、通常0.1〜15.0%、好ましくは0.2〜10.0%、さらに好ましくは0.5〜6.0%である。柔軟性付与成分(B)は、通常3〜50%、好ましくは5〜40%、さらに好ましくは5〜35%である。(A)と(B)がこの範囲であると抗菌性がさらに良好になりやすく、さらに、配合安定性、皮膚刺激性、抗菌性および抗菌スペクトルの全てを満足し、かつ、処理後の繊維の臭気、柔軟性、さっぱり感および皮膚刺激性の全てを満足し易い傾向になる。
【0053】
非イオン界面活性剤(C)は、通常0〜10%、好ましくは0〜5%、さらに好ましくは1〜3%である。アニオン性界面活性剤(D)は、通常0〜20%、好ましくは0〜10%、さらに好ましくは0〜5%である。両性界面活性剤(E)は、通常0〜20%、好ましくは0〜10%、さらに好ましくは0〜5%である。親水性溶剤(F)は、通常0〜20%、好ましくは0〜15%、さらに好ましくは2〜13%である。水溶性無機塩(G)は、通常0〜2.0%、好ましくは0〜1.5%、さらに好ましくは0〜1.0%である。その他の添加剤(H)は、通常0〜10.0、好ましくは0〜5%、さらに好ましくは0.001〜3%である。(C)〜(H)が、この範囲であると柔軟性、吸水性および配合安定性が特に優れる。
【0054】
水(I)を含有する場合は、柔軟剤組成物のうちの1%以上、好ましくは40〜95%、さらに好ましくは60〜90%である。
【0055】
本発明の抗菌柔軟剤組成物は、20℃で液状であっても固状であってもかまわないが、好ましくは液状であり、特に好ましくは乳化液または透明均一液である。
【0056】
本発明の抗菌柔軟剤組成物が液状の場合の25℃における粘度は、好ましくは5〜1,000mPa・s、さらに好ましくは10〜500mPa・s、特に好ましくは10〜300mPa・sである。
【0057】
本発明の抗菌柔軟剤組成物は、天然繊維、合繊繊維およびこれらの混紡交編繊繊維の柔軟性付与に特に有用である。天然繊維としては、木綿、麻、羊毛などが挙げられ、化合繊繊維としてはレーヨン、アセテートなどの再生セルロース繊維、ポリエステル、ポリアミド繊維、アクリル、スパンデックスなどの合成繊維が挙げられる。これらの混紡交編繊繊維としては、木綿や麻と他の繊維(羊毛、ポリエステル、ポリアミド、アクリルなど)、羊毛と他の繊維(ポリエステル、ポリアミド、アクリルなど)、ポリエステル繊維と他の繊維(レーヨン、アセテート、ポリアミド、アクリル、スパンデックスなど)、ポリアミド繊維と他の繊維(レーヨン、アセテート、アクリル、スパンデックスなど)が挙げられる。繊維の形態としては、布、不織布、編織物および衣服などが挙げられる。
【0058】
本発明の抗菌柔軟剤組成物は、通常1ppm〜0.5%の範囲の濃度(有効成分)に希釈されて使用される。
【0059】
浴比は特に限定されないが通常1:4〜1:40、好ましくは1:6〜1:30である。
【0060】
本発明の抗菌柔軟剤組成物の使用温度は適用する繊維の種類によって任意に選択できるが、通常5〜80℃、好ましくは20〜50℃である。
【実施例】
【0061】
以下、製造例および実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下において、部は重量部を示す。
【0062】
[超強酸アニオンを対イオンとする第4級アンモニウム塩(A)の製造例]
製造例1
加熱冷却装置、攪拌機および滴下ロートを備えたガラス製反応容器に、メタノール56部、メチルジn−デシルアミン163部(0.52モル)、および炭酸ジメチル144部(1.6モル)を仕込み、120℃で20時間反応させた後、メタノールと炭酸ジメチルの一部を留去してジメチルジn−デシルアンモニウムメチルカーボネートの83%メタノール溶液250部(0.52モル)を得た。この溶液250部に、室温でトリフルオロメタンスルホン酸79.5部(0.53モル)を加えて2時間攪拌した。この反応溶液に粒状苛性カリを添加して中和(pH:6〜8)し、析出する塩を濾過後、濾液のメタノールを留去し、減圧乾燥(減圧度950hpa、105℃×3時間)して120℃で溶融状態にして取り出し、有効成分約100%の常温で固体のジメチルジn−デシルアンモニウムトリフルオロメタンスルホン酸塩(A1)250部を得た。(A1)の重量に基づく遊離塩素含量は10ppm以下であった。
【0063】
製造例2
製造例1と同様にして得られたジメチルジn−デシルアンモニウムメチルカーボネートの83%メタノール溶液250部(0.52モル)に、さらに、30〜60℃の温度に保ちながら42%四フッ化硼素酸水溶液114部(0.55モル)を2時間で徐々に加えた。その後、さらに、同温度で1時間攪拌した後、静置分液した上層を分取し、メタノールと水を減圧下、80〜100℃で留去して、さらに減圧乾燥(減圧度950hpa、105℃×3時間)した後、80℃で溶融状態にして、析出した塩を200メッシュ金網で濾過して除き、有効成分約100%の常温で固体のジメチルジn−デシルアンモニウム四フッ化硼素酸塩(A2)206部を得た。(A2)の重量に基づく遊離塩素含量は10ppm以下であった。
【0064】
[柔軟性付与成分(B)の製造例]
製造例3
一般式(2)において、R=メチル基、R=ヘプタデセニル基、Yh−=CH3SO4 およびh=1であるカチオン性界面活性剤(B1)の製造:
耐圧反応容器に、オレイン酸メチル600部、ジエチレントリアミン104部および次亜燐酸1部を仕込み、液中に窒素を通じながら150℃まで昇温した。徐々に減圧にした後、メタノールおよび水を留去しながら反応を行い、さらにプロピレングリコール243部を仕込み、75〜85℃でジメチル硫酸129部を徐々に滴下して、一般式(2)で表されるイミダゾリン環を有するカチオン性界面活性剤(B1)の有効成分約75%のプロピレングリコール溶液(B1−P)を得た。(B1)のヨウ素価は99であった。
【0065】
製造例4
一般式(3)において、R=メチル基、R=ヘプタデシル基/ヘプタデセニル基(37/63%)、Z1=ステアロイル基/オレオイル基(37/63%)、Q=β−ヒドロキシエチル基、Yh−=CH3SO4 およびh=1であるカチオン性界面活性剤(B2)の製造]:
耐圧反応容器に、トリエタノールアミン104部、オレイン酸186部、ステアリン酸321部および次亜燐酸1部を仕込み、窒素を流しながら180℃まで昇温し、水を留去しながら反応を行い、さらにプロピレングリコール245部を仕込み、ジメチル硫酸107部を徐々に滴下して4級化を行い、一般式(3)で表されるエステル基を有するカチオン性界面活性剤(B2)の有効成分75%のプロピレングリコール溶液(B2−P)を得た。(B2)のヨウ素価は90であった。
【0066】
実施例1〜6および比較例1〜3
前記製造例1〜4で得られた(A1)、(A2)、(B1−P)および(B2−P)、さらに任意成分としての、下記の非イオン性界面活性剤(C1)または(C2)、親水性溶剤(F)としてのプロピレングリコール、並びに水溶性無機塩(G)としての硫酸ナトリウムを下記の表1に記載の有効成分含有量となるような部数使用し、水(I)を加えて全量が100部となるように配合して、本発明の繊維用抗菌性柔軟剤組成物を調製した。また、比較例1〜3では、第4級アンモニウム塩(A)の比較成分として、下記の化合物(Y1)および(Y2)を用いた。なお、表1中の部数は各成分の有効成分換算の部数である。
【0067】
非イオン性界面活性剤(C1):R(EO)20OH (Rは主にC1427およびC1529
非イオン性界面活性剤(C2):C1327[(EO)/(PO)]−(EO)
(但し、/はランダム付加、−はブロック付加を表す。また、(C1)および(C2)はいずれも有効成分約100%である。)
【0068】
比較成分
(Y1):塩化ジメチルジn−デシルアンモニウム(有効成分50%の水溶液)
(Y2):ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩(有効成分20%水溶液)
【0069】
本発明の繊維用抗菌柔軟剤組成物の抗菌性について評価した。評価方法を下記に示す。
【0070】
(布の柔軟剤処理条件)
実施例1〜6および比較例1〜3の繊維用抗菌柔軟剤組成物0.3gを水で希釈し1Lの柔軟剤組成物希釈溶液をそれぞれ調製した。それぞれの希釈溶液に、試布(綿金巾3号 JIS L0803−1980 約18mm角の正方形の試験片0.4g)を入れ5分間浸漬した。次いで、遠心脱水機で絞り、それを柔軟剤処理後試験布とした。また、上記試布を柔軟剤処理前試験布とした。
【0071】
(抗菌性試験)
本発明における抗菌性の評価はJIS L 1902(繊維製品の抗菌力試験方法)に準処して評価した。即ち、黄色ブドウ球菌を普通ブイヨン培地で培養し、菌数を1〜5×108とした菌母液をニュートリエント培地20倍希釈液で菌数2.5×10〜1.0×10cfu/mlになるように希釈した。柔軟剤処理前試験布および柔軟剤処理後試験布を滅菌したバイアル瓶に採取し、前述の試験菌液をそれぞれの試験布上に0.2mL滴下した。それぞれの試験布を温度37±1℃で18時間培養する。前述のバイアル瓶に入った試験布に生理食塩水20mLを加え、キャップを締めて、手振り(振り幅30cm、30回振とう)し、菌を洗い出す。洗い出し液1mLを適宜希釈する。その希釈液をニュートリエント寒天培地に50μL塗抹し、37±1℃、24〜48時間培養し、寒天培地上のコロニー数を測定し、下式から生菌数を算出した。表1に生菌数を示す。
(生菌数の計算)
生菌数=コロニー数 × 希釈倍率 × 20(洗い出しに用いた生理食塩水のml数)
【0072】
(判定基準)
下記式で算出される静菌活性値が2.0以上であれば抗菌性有りと判定する。
静菌活性値 =Mb−Mc
Mb=柔軟剤処理前試験布の18時間培養後の生菌数の常用対数値
Mc=柔軟剤処理後試験布の18時間培養語の生菌数の常用対数値
【0073】
【表1】

【0074】
表1の結果から、本発明の繊維用抗菌柔軟剤組成物は、抗菌性に優れていることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明の繊維用抗菌柔軟剤組成物は抗菌性に優れているため、衣料などの繊維製品の柔軟剤組成物として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1)で示される第4級アンモニウム塩(A)および柔軟性付与成分(B)を含有することを特徴とする繊維用抗菌柔軟剤組成物。
【化1】

[式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立に炭素数が1〜22の脂肪族炭化水素基;R3は、炭素数1〜22の脂肪族炭化水素基、炭素数7〜22のアリールアルキル基または炭素数8〜22のアリールアルケニル基;R4は炭素数8〜22の脂肪族炭化水素基;fは1〜3の整数、Xf−はf価の超強酸アニオンを表す。]
【請求項2】
一般式(1)におけるXf−とプロトンが結合した超強酸Xf−・f Hの第1解離段階でのHammett酸度関数(H0)が−12以下である請求項1記載の繊維用抗菌柔軟剤組成物。
【請求項3】
前記柔軟性付与成分(B)が一般式(2)で示されるカチオン性界面活性剤(B1)、一般式(3)で示されるカチオン性界面活性剤(B2)および一般式(4)で示されるカチオン性界面活性剤(B3)からなる群から選ばれる1種以上のカチオン性界面活性剤である請求項1または2記載の繊維用抗菌柔軟剤組成物。
【化2】

[式(2)中、Rは炭素数1〜24のアルキル基、炭素数2〜24のアルケニル基または炭素数2〜24のβ−ヒドロキシアルキル基;Rは炭素数6〜24のアルキル基、炭素数6〜24のアルケニル基、炭素数8〜24のアルカポリエニル基またはベンジル基であり、2個のRは同一でも異なっていてもよい。hは1〜5の整数であり、Yh−は超強酸アニオンを除くh価のアニオンである。]
【化3】

[式(3)中、R7は炭素数6〜24のアルキル基、炭素数6〜24のアルケニル基、炭素数8〜24のアルカポリエニル基またはベンジル基;Rは炭素数1〜24のアルキル基、炭素数2〜24のアルケニル基または炭素数2〜24のβ−ヒドロキシアルキル基である。Z1は水素原子またはRCO−で表される基(このR7は前記のR7と同様)である。Qは炭素数1〜24のアルキル基、炭素数2〜24のアルケニル基、炭素数2〜24のβ−ヒドロキシアルキル基またはRCO−OCH2CH2−で表される基(このR7は前記のR7と同様)である。hは1〜5の整数であり、Yh−は超強酸アニオンを除くh価のアニオンである。]
【化4】

[式(4)中、RおよびR10は炭素数1〜24のアルキル基、炭素数2〜24のアルケニル基または炭素数2〜24のβ−ヒドロキシアルキル基;R11およびR12は炭素数6〜24のアルキル基、炭素数6〜24のアルケニル基、炭素数8〜24のアルカポリエニル基またはベンジル基である。hは1〜5の整数であり、Yh−は超強酸アニオンを除くh価のアニオンである。]
【請求項4】
前記カチオン性界面活性剤(B1)〜(B3)が、分子中に少なくとも1種のアルケニル基を有するカチオン性界面活性剤である請求項3記載の繊維用抗菌性柔軟剤組成物。
【請求項5】
前記カチオン性界面活性剤(B)が、20〜120のヨウ素価を有する請求項3または4記載の繊維用抗菌柔軟剤組成物。

【公開番号】特開2012−1862(P2012−1862A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−140219(P2010−140219)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)
【Fターム(参考)】