説明

繊維組成物および染色助剤

【課題】染色性と堅ろう度の悪い繊維の、これ等の欠点を大幅に改良できる染色助剤を提供する。
【解決手段】層間アニオンがラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸およびオレイン酸の中から選ばれた少なくとも1種以上の高級脂肪酸であり、層間隔が20〜40Åに拡大され、BET比表面積が1〜30m2/g、平均2次粒子径が0.1〜1.0μmの範囲にある、ハイドロタルサイト類を染色助剤として、繊維に含有させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維用染色助剤および染色性、堅ろう度に優れた繊維ならびにその繊維製品に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維の染色は、繊維の持つ極性基、換言すると、カチオン性またはアニオン性を利用して、それと化学的結合または強い親和性を有するアニオンまたはカチオン染料を用い染色できる。
【0003】
他方、極性基が弱いか殆ど極性を有しないポリウレタンとかポリエステルでは、高温高圧水中で繊維間に空ゲキを生じさせ、この空ゲキに分散染料を導入し、閉じ込める方法も取られている。
【0004】
しかし、この方法は、コストがかかるのと、高温洗濯時に分散染料が排出され、他の洗濯物に色が移行する、いわゆる堅ろう度が悪い問題がある。また、耐紫外線性、耐熱性等にも不十分な場合が多い。
【0005】
以上のような背景にあって、本発明者は全く新しい発想により、下記式(2)で表される結晶表面が強いプラス荷電を有するハイドロタルサイト類をポリウレタンに含有させることにより、ポリウレタンの染色性を改善できることを提案した。(特許文献1参照)
【0006】
【化2】

(但し、式中、M2+はMgおよびZnの2価金属の少なくとも1種を、M3+はAlおよびFeの3価金属の少なくとも1種を、AはNO,Cl,Br,ClO,HCOOおよびCHCOOからなる群から選ばれた1価アニオンの少なくとも1種を示し、xおよびmはそれぞれ次の範囲を満足する数を表す。0<x<0.5,0≦m<2)
【0007】
上記式(2)で表される特定の1価アニオンからなるハイドロタルサイト類は、ポリウレタン等の染色性の悪い繊維の染色性向上にかなりの効果があった。しかし、それでもなお染色性が不十分であり、とくに青色に対して効果が弱く、且つ高温水での堅ろう性においても不十分であり、洗濯等により退色しやすく、且つ他の繊維を染色汚染することが分かった。
【0008】
【特許文献1】特開2000−229510号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上記式(2)を用いた従来技術でも未だに解決されていない。(a)染色性の更なる改良、特に最も染色が難しい青色においても良好な染色ができること、(b)更には、欧州等で多用される、高温水(約70〜80℃)に対しても良好な堅ろう性を示すことができる染色助剤を開発することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題を解決するべく、更に鋭意研究を行った結果、上記2つの課題の原因を発見するに至った。その結果によると、酸性染料はプラスに荷電している式(2)のハイドロタルサイト類の結晶表面にその殆どが化学吸着しているだけで、イオン交換反応により、ハイドロタルサイト類の層間に入って化学結合していない。青色の酸性染料は、赤とか黄色に比べ、イオンの大きさが大きく、赤とか黄色染料に比べ、層間に入りにくいことも分かった。したがって、酸性染料がハイドロタルサイト層間にイオン交換反応して入り、化学結合すれば、その結合力が表面吸着に比べ強いため、前記2つの課題を同時に解決できると考えられる。
【0011】
以上の考えに基づくと、酸性染料の中で最も大きなアニオン径を有する青色が約20Åであることから、ハイドロタルサイト類によってすべての酸性染料が容易にイオン交換反応で層間に入るためには、約24〜25Å以上の単位層厚(基本層が約4.7Å、アニオンが入る中間層が約20Å、基本層はM2+とM3+の水酸化物からなる八面体層)が必要である。
【0012】
この様な条件を満たすハイドロタルサイト類の探索とそれ等の合成法を鋭意追及した結果、下記式(1)
【0013】
【化1】

(但し、式中、M2+は2価金属の少なくとも1種以上、好ましくはMgおよび/またはZnを示し、M3+は3価金属の少なくとも1種以上、好ましくはAlおよび/またはGa、特に好ましくはAlを示し、Aは炭素数が10以上、好ましくは12〜22、特に好ましくは12〜18の高級脂肪酸の少なくとも1種以上、例えば、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エルカ酸、リノール酸、リノレイン酸等を示し、xおよびmは、それぞれ、0<x<0.5、好ましくは0.2≦x≦0.4、特に好ましくは0.25≦x≦0.4,0≦m<5、好ましくは0≦m<2の範囲にある)で表されるハイドロタルサイト類を有効成分として用いることにより、染色性と堅ろう性の優れた繊維を得られることを発明した。
【0014】
本発明の染色助剤は、繊維に対し、0.1〜20重量%含有させることにより、目的とする効果を発揮できる。
【0015】
本発明で用いる染料は、酸性染料以外に、同じアニオン系である反応性染料、含金属染料も用いることができる。さらに、分散染料も用いることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、繊維の染色性が著しく向上すると共に、堅ろう度も向上し、繊維混紡時の染色ムラを大幅に無くし、同色性を高められる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の式(1)で表されるハイドロタルサイト類は、炭素数が10以上、好ましくは12〜20、特に好ましくは12〜18の高級脂肪酸をイオン交換性である層間アニオンとしていることを特徴とする。層間アニオンのアニオン染料によるイオン交換は、染料のイオン径よりも層間アニオン径が大きいほど、行われ易い。そのため、高級脂肪酸の炭素数が多いほど好ましいはずであるが、一方、親水性は、換言すると、染料イオンのハイドロタルサイト類層間への親和性は、高級脂肪酸の炭素数が少ないほど良い。また、高級脂肪酸の炭素数が増えるほどそれらのアルカリ金属塩の水溶性が低下し、少なくとも約25以上になると、水に不溶となり、その様なアニオンを層間アニオンとして持つハイドロタルサイト類の合成が実質的に困難となる。
【0018】
したがって、大きなイオン半径と親水性という相反する要求を同時に満足させるために、炭素数の好ましい範囲がある。特に好ましい炭素数は12〜18であり、この様な高級脂肪酸としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エルカ酸等である。この中でも特に、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸の少なくとも1種以上が好ましい。
【0019】
単位層の厚みは、イオン交換性を決める最も重要な要素であり、それはXRD測定で最も低角側にある回析ピークから決定できる。単位層の厚さとしては、21Å以上、好ましくは24Å以上、特に好ましくは26Å以上である。
【0020】
式(1)のM2+としては、Mg,Ni,Cu,Zn,Co,Mn等を使用できるが、白色性、無毒性、コスト等の理由で、Mgおよび/またはZnが好ましい。M3+としては、Al,Fe,Co,Ga,In等を使用できるが、M2+と同様の理由でAlが最も好ましい。
【0021】
式(1)のxの範囲は、0<x<0.5と広い範囲を取り得るが、xの値の増加に対応して層間アニオン量が増加することから、xが大きいほど染料を層間に結合できる量も増えることから、xが大きいほど好ましい傾向にある。但し、xが大きくなり過ぎると、M3+のM2+(OH)への固溶限界を越え、層間アニオン量が頭打ちになる。この頭打ちになるのが、xが約0.4である。
【0022】
以上の理由により、xの特に好ましい範囲は、0.25≦x≦0.4である。
【0023】
本発明の式(1)のハイドロタルサイト類は、繊維に対し、0.1〜20重量%、好ましくは1〜6重量%配合することにより、繊維に機械的強度等の悪影響を及ぼすこと無く優れた染色性を発揮する。
【0024】
本発明の式(1)のハイドロタルサイト類が、繊維の優れた染色助剤となるためには、繊維製造における紡糸性が良好であることも必要である。良好な紡糸性を示すためには、式(1)のハイドロタルサイト類のBET比表面積が好ましくは1〜30m/g、特には5〜20m/gであり、且つ、粒度分布測定で求められる平均2次粒子径が好ましくは1.5μm以下、特に好ましくは1.0μm以下である。
【0025】
本発明の式(1)のハイドロタルサイト類の製造は、M2+とM3+の水溶性塩水溶液と水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物および/または炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩のアルカリ水溶液を水媒体中、攪拌下に、pHを8以上、好ましくは9〜11の範囲に保って共沈させ、その後、アルカリ金属炭酸塩水溶液で洗浄し、次いで水洗して、CO2−型(層間アニオンがCO2−)のハイドロタルサイト類を合成する。これをオートクレーブで100℃以上、好ましくは120℃から200℃で、好ましくは10時間以上、水で熱処理し、結晶成長と凝集を少なくする。この後、硝酸、塩酸等の、1価のアニオンの酸により、CO2−をNOとかClにイオン交換し、続いて、式(1)に相当する炭素数10以上の高級脂肪酸のアルカリ金属塩水溶液に加え、好ましくは100〜200℃で加熱水和させることにより製造できる。
【0026】
本発明のAによるイオン交換反応は、好ましくは当モル以上のアニオンを添加して行う。イオン交換反応後は、水洗することが好ましい。
【0027】
本発明で用いる繊維としては、例えばアクリル、アセテート、ナイロン、ビニリデン、ビニロン、ポリアセタール、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリクラール、ポリプロピレン等を挙げることができ、好ましくは、ナイロン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレンの繊維である。
【0028】
本発明の染色性良好な繊維は、上記ポリマーに式(1)のハイドロタルサイト類を含有させて紡糸することにより製造できる。紡糸方法としては、従来公知の乾式、湿式および溶融のいずれかを適宜選択して繊維形に成形できる。
【0029】
本発明の繊維の染色は、通常の合成繊維、天然繊維の染色法と同じ方法を用いて良い。すなわち浸染法、パッドスチーム法、パッドサーモフィックス法、捺染法およびスプレー法等の染色法を適用できる。
【0030】
染色機としては、液流染色機、ウインス染色機およびエアーフロー染色機等の通常の染色機を用いることができる。
【0031】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【0032】
[実施例]
各種評価は以下の方法で行った。
(1)ハイドロタルサイト類の単位層厚の測定
粉末X線回析法により、X線回析パターンを測定し、最も低角側のピーク(殆どの場合、最強ピーク)位置から、ブラッグの式により求めた。
(2)BET比表面積
液体窒素吸着法により測定した。
(3)粒度分布の測定
粉末をエタノールに入れて、超音波で5分間処理した後、エタノール溶媒中での粒度分布をレーザー回析法で測定した。
(4)繊維の染色性評価
数平均分子量1800のポリテトラメチレンエ−テルグリコ−ル400gと、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト91.7gとを乾燥窒素雰囲気下、80℃で3時間、攪拌下で反応させて、末端がイソシアネ−トでキャップされたポリウレタンプレポリマ−を得た。これを室温に冷却した後、ジメチルアセトアミド720gを加え溶解して、ポリウレタンプレポリマ−溶液を調製した。一方、エチレンジアミン8.11gおよびジエチルアミン1.37gをジメチルアセトアミド390gに溶解し、これを前記プレポリマ−溶液に室温下添加して、粘度4500ポイズ(30℃)のポリウレタン溶液を得た。
このポリウレタン溶液に、ポリウレタン固形分に対して、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノ−ル)を1重量%、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロ−ベンゾトリアゾ−ルを0.5重量%および表1に記載するハイドロタルサイト類を2重量%添加し、ポリウレタンウレア原液を得た。この様にして得られたポリウレタンウレア原液に、ジメチルアセトアミド1110gを加え、フィルム用ド−プを下記条件で製膜し、フィルムを得た。
[製膜条件]
ド−プスリット長;0.035mm
脱溶媒条件;熱風100℃×15分
得られたフィルム各1gを下記条件にて各別浴にて染色した。
染料;ナイロサン ブルーN−GFL
pH;4(酢酸にて調整)
温度、時間;90℃、60分
浴比;1:20
染色後水洗;流水すすぎ10分
染色終了後、染色のレベルを下記基準にて級判定した。
5級 濃青色、4級 青色、3級 水色、2級 淡い水色、1級 白または無色透明
(5)生地の染色堅ろう度
JIS L0844変退色により評価を行った。その際の使用洗剤は、花王(株)製、洗剤商品名「アタック」2g/リットル、洗濯液温度50℃および80℃の2条件で各30分間洗濯後、30分間流水すすぎした後、脱水し、室温(25℃,70%RH)にて、24時間乾燥後の色相の変化を測定した。
[色相の変化(△級)=生地の洗濯前の級−生地の洗濯後の級]
洗濯前の級数が大きく、且つ△級の数値が小さいほど、色変化が少なく染色性と堅ろう性が良好と言える。
【実施例1】
【0033】
[染色助剤:ラウリン酸型ハイドロタルサイト類の合成]
市販のCO型ハイドロタルサイト(商品名:DHT−4)200g:BET比表面積=12m/g、平均2次粒子径=0.46μm、最大2次粒子径=0.81μm、化学組成Mg0.68Al0.32(OH)(CO0.16・0.50HOを、約2リットルの温水(約70℃)に加え、攪拌下に0.5モル/リットルのHNO水溶液1.9リットルを、pHを約3〜4の間に主とて保って添加した。この反応でCO2−をNOにイオン交換した。ラウリン酸(日本油脂製NAA−122)188gを約1.5リットルの温水(約90℃)に、これとほぼ当量のNaOHと共に加え、溶解後、NO型ハイドロタルサイトスラリーに加え、約90℃で30分間攪拌した。この後、減圧ろ過、温水(約80℃)洗後、熱風乾燥機に入れ、約120℃で10時間乾燥し、その後、アトマイザーで粉砕した。この物のX線回析測定の結果、単位層の厚さd=24.1Åであった。このX線回析パターンには、NO型(d=約8.9Å)およびCO型(d=約7.6Å)ハイドロタルサイト類の回析は残っていなかった。化学分析、全有機炭素および熱分析により求めた化学組成は次の通りである。Mg0.68Al0.32(OH)(C1123COO)0.32・0.40HO。この物のBET比表面積は14m/g、平均2次粒子径は0.40μm、最大2次粒子径は0.85μmであった。
【実施例2】
【0034】
[染色助剤:ミリスチン酸型ハイドロタルサイト類の合成]
実施例1において、ラウリン酸の代わりにミリスチン酸(日本油脂製NAA−142)220gと、それと当量のNaOHを用いる以外は実施例1と同様に行った。得られた粉末のX線回析測定の結果、単位層の厚さd=27.1Åであった。このX線回析パターンには、ハイドロタルサイト類のNO型もCO型も残っていなかった。この物の化学組成は次の通りである。Mg0.68Al0.32(OH)(C1327COO)0.32・0.42HO。この物のBET比表面積は15m/g、平均2次粒子径は0.47μm、最大2次粒子径は1.2μmであった。
【実施例3】
【0035】
[染色助剤:パルミチン酸型ハイドロタルサイト類の合成]
実施例1において、ラウリン酸の代わりにパルミチン酸(日本油脂製A−1600)242gと、それと当量のNaOHを用いる以外は実施例1と同様に行った。得られた粉末のX線回析測定の結果、単位層の厚さd=29.5Åであった。このX線回析パターンには、ハイドロタルサイト類のNO型もCO型も残っていなかった。この物の化学組成は次の通りである。Mg0.68Al0.32(OH)(C1531COO)0.32・0.44HO。この物のBET比表面積は12m/g、平均2次粒子径は0.45μm、最大2次粒子径は0.92μmであった。
【実施例4】
【0036】
[染色助剤:オレイン酸型ハイドロタルサイト類の合成]
実施例1において、ラウリン酸の代わりにオレイン酸(日本油脂製エキストラオレインA−1981)290gと、それと当量のNaOHを用いる以外は実施例1と同様に行った。得られた粉末のX線回析測定の結果、単位層の厚さd=36.7Åであった。このX線回析パターンには、ハイドロタルサイト類のNO型もCO型も残っていなかった。この物の化学組成は次の通りである。Mg0.68Al0.32(OH)(C1733COO)0.32・0.48HO。この物のBET比表面積は12m/g、平均2次粒子径は0.47μm、最大2次粒子径は0.98μmであった。
【実施例5】
【0037】
[染色助剤:ラウリン酸−オレイン酸混合型ハイドロタルサイト類の合成]
実施例1において、ラウリン酸の量を110gに減らし、その代わり、これにオレイン酸145gを追加し、これ等と当量のNaOHを混合する以外は実施例1と同様に行った。得られた粉末のX線回析測定の結果、単位層の厚さd=29.5Åであった。このX線回析パターンには、ハイドロタルサイト類のNO型もCO型も残っていなかった。この物の化学組成は次の通りである。Mg0.68Al0.32(OH)(C1123COO)0.16(C1733COO)0.16・0.48HO。この物のBET比表面積は16m/g、平均2次粒子径は0.52μm、最大2次粒子径は0.98μmであった。
【0038】
[比較例1]
染色助剤のハイドロタルサイト類を添加しなかったことを除いて、実施例と同様に行い評価を行った結果を表1に示す。
【0039】
[比較例2]
染色助剤として、実施例1で合成したNO型ハイドロタルサイト類のスラリーに、4gのステアリン酸(日本油脂製NAA−180)とそれと当量のNaOHを温水(約80℃)約100ミリリットルに溶解した溶液を攪拌下に加え、約80℃で5分間攪拌後、ろ過、水洗、乾燥、粉砕したものをポリウレタンに添加して実施例と同様に行って評価した。なお、この粉末のX線回析測定の結果、単位層の厚さd=8.9Åであった。この物の化学組成は次の通りである。Mg0.68Al0.32(OH)(NO0.32・0.36HO。この物のBET比表面積は15m/g、平均2次粒子径は0.56μm、最大2次粒子径は0.86μmであった。
【0040】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)
【化1】

(但し、式中、M2+は2価金属の少なくとも1種以上、M3+は3価金属の少なくとも1種以上、Aは炭素数10〜25の高級脂肪酸の少なくとも1種以上、をそれぞれ示し、xおよびmは、それぞれ、0<x<0.5,0≦m<5の範囲にある)で表されるハイドロタルサイト類を繊維に対し、0.1〜20重量%含有させることを特徴とする染色性に優れた繊維組成物。
【請求項2】
式(1)において、M2+とM3+がそれぞれMgおよび/またはZn,Alである請求項1記載の繊維組成物。
【請求項3】
式(1)のAが、炭素数12〜18の範囲にある高級脂肪酸である請求項1記載の繊維組成物。
【請求項4】
式(1)のAが、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸およびオレイン酸の中から選ばれた少なくとも1種以上である請求項1記載の繊維組成物。
【請求項5】
式(1)のxの範囲が0.2≦x≦0.4の範囲にある請求項1記載の繊維組成物。
【請求項6】
式(1)のハイドロタルサイト類のBET比表面積と平均2次粒子径がそれぞれ1〜30m/g,0.1〜1.0μmの範囲にある請求項1記載の繊維組成物。
【請求項7】
下記式(1)
【化1】

(但し、式中、M2+は2価金属の少なくとも1種以上、M3+は3価金属の少なくとも1種以上、Aは炭素数10〜25の高級脂肪酸の少なくとも1種以上、をそれぞれ示し、xおよびmは、それぞれ、0<x<0.5,0≦m<5の範囲にある)で表されるハイドロタルサイトを有効成分とする繊維の染色助剤。
【請求項8】
式(1)のM2+がMgおよび/またはZnであり、M3+がAlであり、Aが炭素数12〜20の範囲にある高級脂肪酸の少なくとも1種以上であり、xが0.2≦x≦0.4の範囲にある請求項7記載の染色助剤。
【請求項9】
式(1)のハイドロタルサイト類のBET比表面積が1〜30m/g、平均2次粒子径が0.1〜1.0μmの範囲にある請求項7記載の染色助剤。

【公開番号】特開2008−163491(P2008−163491A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−351894(P2006−351894)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(391001664)株式会社海水化学研究所 (26)
【Fターム(参考)】