説明

織機における遊星歯車式耳組装置

【課題】遊星歯車式耳組装置において、ボビンホルダ等のメンテナンスの為に行われる支持フレームに対する遊星機構の脱着作業を簡素化し、その作業が容易且つ短時間で行える構成を提供する。
【解決手段】織機のフレーム間に架装された梁(17)上で織幅方向に位置調整可能に設けられた支持フレーム(11、15)と、支持フレーム(11、15)に支持されて回転駆動される回転軸(2)と、回転軸(2)に対し相対回転不能に支持された遊星キャリア(3)と、回転軸(2)を相対回転可能に貫通させる貫通孔を有すると共に支持フレーム(11、15)に対し回転不能な状態で遊星キャリア(3)と同軸的に配置される太陽ギヤ(41)と、回転軸(2)に対し相対回転不能に設けられた駆動伝達部材(13)を含む駆動機構とを備えた遊星歯車式耳組装置において、駆動伝達部材(13)と回転軸(2)とが軸線方向に分離可能に組み合わされており、駆動伝達部材(13)が軸受(BR)を介して支持フレーム(11、15)に支持されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、織機における遊星歯車式耳組装置に関し、特に、装置の支持フレームに支持されて回転駆動される回転軸と、該回転軸に対し相対回転不能に支持された遊星キャリアであって前記回転軸に対する対称的な配置で一対の支持軸を回転自在に支持する遊星キャリアと、前記回転軸を相対回転可能に貫通させる貫通孔を有する太陽ギヤであって前記支持フレームに対し回転不能な状態で前記遊星キャリアと同軸的に配置される太陽ギヤと、一端にボビンホルダが固定された前記一対の支持軸の各々の他端に取り付けられた遊星ギヤであって前記太陽ギヤと間接的に噛合する一対の遊星ギヤと、前記回転軸を回転駆動する為の駆動機構であって前記回転軸に対し相対回転不能に設けられた駆動伝達部材を含む駆動機構とを備えた遊星歯車式耳組装置に関する。なお、前記の「間接的に噛合」とは、遊星ギヤと太陽ギヤとが直接的に噛合しているのではなく、太陽ギヤと噛合する別のギヤに対し遊星ギヤが噛合していることを表す。
【背景技術】
【0002】
織機に用いられる遊星歯車式耳組装置(以下、「遊星耳組装置」という)として、例えば、特許文献1に記載されたものがある。この特許文献1に記載の遊星耳組装置は、支持フレームとしての支持台に対し軸受を介して回転自在に支持された駆動軸(回転軸)と、軸部が一体に形成されると共に駆動軸と同軸的に配置された回転支持体(遊星キャリア)と、支持台に対し相対回転不能に設けられると共に回転支持体の軸部が貫通する貫通孔を有する太陽歯車(太陽ギヤ)とを含む。なお、回転支持体は、その軸部が太陽歯車の貫通孔内において軸受によって回転自在に支持されている。すなわち、回転支持体と太陽歯車とは同軸的な配置となっている。また、同軸的に(軸心を一致させて)配置された駆動軸と回転支持体の軸部とは、軸接手によって連結されている。そして、駆動軸には、回転支持体側とは反対側の端部において、従動側の駆動伝達部材としての被動タイミングプーリが取り付けられており、その被動タイミングプーリが駆動モータに連結された駆動タイミングプーリとタイミングベルトを介して連結されている。
【0003】
なお、特許文献1に記載の遊星耳組装置では、前記の被動タイミングプーリ、タイミングベルト及び駆動タイミングプーリを含む駆動機構を、織機のフレーム(サイドフレーム)の位置又はそれよりも外側に配置する構成となっている。その為、前記の回転支持体、太陽歯車を含む遊星機構を織幅に合せて位置調整可能できる様に、被動タイミングプーリから回転支持体の軸部までの間に延在する駆動軸の長さが変更可能となる構成を採用している。しかし、その様な構成の場合、駆動軸が長尺となる為、種々の問題が生じてしまう。
【0004】
例えば、その様な長尺の駆動軸は撓み易く、高速での回転時において駆動軸は撓んだ状態で回転する。その為、駆動軸と回転支持体の軸部との連結部や駆動軸を支持する軸受、あるいは駆動機構に掛かる負荷が大きくなり、それらの破損を招いてしまう。また、駆動軸と回転軸とを連結するにあたり、両者の軸心を完全に一致させた状態で連結するのが難しく、軸心がズレた状態となる可能性が高い。その場合も、前記連結部や軸受等に掛かる負荷が大きくなり、それらの破損を招いてしまう。更に、駆動軸の長さを変更することに伴って駆動機構に掛かる負荷が変わる為、織幅に合せた遊星機構の位置調整毎にタイミングベルトの張力の調整を行わなければならない。
【0005】
また、パイプ形状の第1の軸部材と該第1の軸部材にスライド可能に嵌入される第2の軸部材とで駆動軸を形成し、第1の軸部材に対する第2の軸部材の嵌入量を変更して長さを調整する構成である為、遊星機構の位置調整において、最も外側の位置は第1の軸部材の長さに規制されると共に、調整量は第1の軸部材に嵌入可能な第2の軸部材の長さに制限される為、配置や調整量に制限を受けるという問題もある。加えて、調整範囲を大きくする為には、長さの異なる複数の前記軸部材を準備しなければならず、コスト面でも問題がある。
【0006】
以上から、特許文献1に記載の遊星耳組装置をおける位置調整の為の機構は、実用的なものとはいえず、実際には殆ど採用されていないものである。そして、一般的には、特許文献2に開示されている様な構成、すなわち、織機の左右フレーム間に架設された梁上に支持フレームとしてのブラケットを立設し、そのブラケットを梁上で織幅方向に位置調整可能とする構成が採用されている。
【0007】
ところで、遊星耳組装置において、ボビンホルダや内部のギヤ等のメンテナンスを行うには、前記の遊星機構を支持フレーム(ブラケット)から取り外す必要があり、その為に、前記のメンテナンスに伴い、支持フレームに対し遊星機構を脱着する作業が行われる。但し、前述の様に太陽ギヤを貫通して回転駆動される回転軸(駆動軸と支持軸とを一体的に組み付けたものも含む)に対し遊星キャリアを相対回転不能に設ける形式の従来の遊星耳組装置においては、その回転軸の端部に(従動側の)駆動伝達部材(特許文献1の被動タイミングプーリ等)が固定されており、その従動側の駆動伝達部材は前記回転軸のみによって支持された構成となっている。
【0008】
その為、前記の様な従来の遊星耳組装置では、前記メンテナンスに伴う遊星機構の脱着作業において、従動側の駆動伝達部材を回転軸に取り付けたままで遊星機構を支持フレームから取り外す様にしなければならない。すなわち、従来の遊星耳組装置では、前記脱着作業において、駆動機構から従動側の駆動伝達部材を取り外さなければならない構成となっている。
【0009】
しかし、その様な構成では、遊星機構の脱着作業に伴って前記の従動側の駆動伝達部材を取り外す作業を行わなければならないだけでなく、例えば、その従動側の駆動伝達部材が駆動プーリとタイミングベルトによって連結された従動プーリ(特許文献1における被動タイミングプーリ)である場合には、従動プーリに巻き掛けられたタイミングベルトを取り外したり、再び掛け直す作業を行わなければならないと共に、タイミングベルトを掛け直した後に、タイミングベルトの張力を調整する作業もやり直さなければならない。また、従動側の駆動伝達部材が駆動ギヤと直接的又は間接的に噛合する従動ギヤである場合には、駆動ギヤとの噛合を外した後の再連結伴い、噛合するギヤ間のバックラッシを調整する作業をやり直さなければならない。
【0010】
この様に、従来の前記形式の遊星耳組装置では、前記メンテナンスの為に遊星機構を支持フレームに対し脱着する作業が煩雑なものとなり、その作業に費やす時間、労力等の負担が大きいものとなっている。
【特許文献1】特開2002−302840号公報
【特許文献2】特開2004−190192号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の課題は、前述の形式の遊星耳組装置において、ボビンホルダやギヤ等のメンテナンスの為に行われる支持フレームに対する遊星機構の脱着作業を簡素化し、その作業が容易且つ短時間で行える構成を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、織機のフレーム間に架装された梁上に立設される支持フレームであって前記梁上で織幅方向に位置調整可能に設けられた支持フレームと、該支持フレームに支持されて回転駆動される回転軸と、該回転軸に対し相対回転不能に支持された遊星キャリアであって前記回転軸に対する対称的な配置で一対の支持軸を回転自在に支持する遊星キャリアと、前記回転軸を相対回転可能に貫通させる貫通孔を有する太陽ギヤであって前記支持フレームに対し回転不能な状態で前記遊星キャリアと同軸的に配置される太陽ギヤと、一端にボビンホルダが固定された前記一対の支持軸の各々の他端に取り付けられた遊星ギヤであって前記太陽ギヤと間接的に噛合する一対の遊星ギヤと、前記回転軸を回転駆動するための駆動機構であって前記回転軸に対し相対回転不能に設けられた駆動伝達部材を含む駆動機構とを備えた遊星歯車式耳組装置を前提とする。
【0013】
そして、前記課題のもとに、本発明の遊星耳組装置では、前記駆動伝達部材と前記回転軸とが前記回転軸の軸線方向に分離可能に組み合わされており、前記駆動伝達部材が軸受を介して前記支持フレームに支持されていることを特徴とする。
【0014】
なお、本発明においては、前記の支持フレームを、前記駆動機構を収容する空間を画定する外周壁と前記遊星機構を支持する前側壁とを含み、且つ、前記前側壁には前記遊星機構を支持するための前記遊星機構の外周面の一部が嵌挿される貫通孔が形成された構造とし、その上で、前記遊星機構を、前記外周面の一部で前記貫通孔に嵌め合わされた状態において、前記回転軸の回転軸線が前記駆動機構における前記駆動伝達部材の回転軸線と前記回転軸の軸線方向に見て同じ位置となるように前記回転軸が前記遊星機構中で支持されている構造とするのが好ましい。更に、その場合において、前記遊星機構が前記回転軸の軸線方向に見て円形の外周面であって前記回転軸の回転軸線上に中心を持つ円形の外周面を有するものとし、前記支持フレームにおける貫通孔を前記遊星機構における円形の外周面が嵌め合わさる円形の貫通孔とするのが好ましい。また、本発明においては、前記回転軸を、一体物の軸部材として形成するのが好ましい。
【0015】
更に、前記駆動伝達部材が駆動軸上に設けられた駆動プーリとタイミングベルトを介して連結された従動プーリである場合において、前記の駆動伝達部材を支持するための軸受を、その少なくとも一部が前記軸線方向において前記駆動伝達部材と重複した位置となる様に配置するのが好ましい。
【0016】
また、本発明では、前記駆動伝達部材よりも後端側でネジ部材によって前記回転軸に対し固定された位置規制部材により、前記駆動伝達部材の前記軸線方向の位置が固定されるものとし、その上で、前記支持フレームが、前記位置規制部材のネジ部材が挿入される孔と対向する壁面にネジ部材を外部から操作可能とするための貫通孔を有するものとしてもよい。また、その場合において、前記ネジ部材が、前記回転軸の後端面に螺挿されるものとしてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、駆動機構における駆動伝達部材であって回転軸に対し相対回転不能に設けられた駆動伝達部材(従動側の駆動伝達部材)は、軸受を介して支持フレームに支持されている為、回転軸が存在しない状態においても、駆動側の駆動伝達部材(駆動プーリ、駆動ギヤ等)と連結される位置を維持することができる。しかも、この従動側の駆動伝達部材は、回転軸に対し軸線方向に分離可能に組み合わされている。従って、駆動機構における従動側の駆動伝達部材と駆動側の駆動伝達部材との連結状態を維持したまま、回転軸を従動側の駆動伝達部材から分離することができる。その構成により、前記メンテナンスの為の遊星機構の脱着作業においては、従動側の駆動伝達部材と駆動側の駆動伝達部材との連結状態を解除することなく遊星機構を支持フレームから取り外すことができるため、前記脱着作業における駆動側の駆動伝達部材に対する従動側の駆動伝達部材の連結解除及び再連結、並びにそれに伴う調整が不要となり、遊星機構の脱着作業が簡素化される。その結果、前記脱着作業が容易且つ短時間で行えるものとなる。
【0018】
また、支持フレームを、遊星機構の外周面の一部が嵌挿されて遊星機構を支持するための貫通孔が前側壁に形成されたものとし、その上で、遊星機構を、前記貫通孔に嵌め合わされた状態で、回転軸の回転軸線が駆動機構における従動側の駆動伝達部材の回転軸線と回転軸の軸線方向に見て同じ位置となるように回転軸が支持されている構造とすることにより、遊星機構の支持フレームに対する再装着時において、遊星機構における回転軸の回転軸線と駆動機構における従動側の駆動伝達部材の回転軸線とを容易に一致させることができ、両者の軸心のずれに起因する軸受や駆動伝達部材の破損等を防止することができる。
【0019】
更に、前記の様に遊星機構が支持フレームの貫通孔で支持される構成において、遊星機構が回転軸の軸線方向に見て円形の外周面であって回転軸の回転軸線上に中心を持つ円形の外周面を有し、且つ、支持フレームにおける貫通孔を遊星機構の前記円形の外周面が嵌め合わさる円形の貫通孔とすることにより、織機においてワープラインの角度が変更された場合でも、それに合せた遊星機構の位相調整が容易に行えるものとなる。
【0020】
また、回転軸を一体物の軸部材で形成されたものとすることにより、その回転軸は、遊星機構中での支持に加え、駆動機構側においても駆動伝達部材及び軸受を介して支持フレームに支持された状態となる。従って、回転軸の半径方向の支持が安定したものとなり、高速回転に伴う回転軸の振れ(特に、端部での変位)を抑えることができる。
【0021】
更に、前記の駆動伝達部材が、駆動軸上に設けられた駆動プーリとタイミングベルトを介して連結された従動プーリである場合において、駆動伝達部材(従動プーリ)を支持する軸受を、その少なくとも一部が回転軸の軸線方向において駆動伝達部材と重複する配置で設けることにより、タイミングベルトの張力を前記軸受を介して支持フレームで受けることができ、タイミングベルトの張力によって前記軸受や回転軸に掛かる負荷による影響を軽減することができる。
【0022】
また、回転軸に対しネジ部材で固定される位置規制部材によって前記駆動伝達部材の回転軸上で位置を固定されるものとし、且つ、支持フレームが、ネジ部材を外部から操作可能とするための貫通孔を有するものとすることにより、回転軸と駆動伝達部材とを分離する作業がより容易に行えるものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳述する。
【0024】
図1、2に示すのは本発明の一実施形態であって、図1は、本発明が適用される遊星耳組装置の一部断面側面図であり、図2は、遊星耳組装置における遊星機構部分の背面断面図である。なお、図1の遊星機構部分は、図2のB−B断面を矢印の方向で見た図として示してあり、また、図2は、図1のA−A断面を矢印の方向で見た図として示してある。但し、図2には、遊星機構部分のみを示しており、また、本来なら示されない後述のプーリ等が参考のために仮想線で示されている。
【0025】
前述の様に、本発明が適用される遊星耳組装置1は、織機の左右のフレーム(図示せず)間に架装される梁17上に立設される支持フレームとしてのブラケット11と、そのブラケット11に支持される遊星機構10とを含む。また、遊星機構10は、回転軸2、遊星キャリア3、太陽ギヤ41を含む太陽ギヤ形成部材4、一対の遊星ギヤ5、5、一対の中継ギヤ6、6、及び一対のボビンホルダBHを含む。なお、ボビンホルダBHは、例えば、特開平9−137334号公報等に開示された公知のものである。よって、以下では、ボビンホルダに関する説明については省略する。また、以下の説明において、前(前側)は、回転軸2の軸線方向におけるボビンホルダBH側(図1における図面右側)をいい、後(後側)は、ボビンホルダBHとは反対の側(図1における図面左側)をいう。また、軸線方向とは、回転軸2の中心軸線(回転軸線)と平行な方向(向きは問わず)をいい、半径方向とは、前記の軸線方向と直交する方向をいう。
【0026】
回転軸2は、後述の駆動機構によって回転駆動される軸であり、太陽ギヤ形成部材4に形成された貫通孔44を貫通し、貫通孔44内において軸受を介して太陽ギヤ形成部材4に対し回転自在に支持されている。
【0027】
太陽ギヤ形成部材4は、前側に位置する部分であって外周部にギヤ歯が形成されたギヤ部である太陽ギヤ41と、太陽ギヤ41から後方へ延びる軸部42と、軸部42から半径方向へ放射状に拡がる様に形成されたフランジ部43とを形成している。なお、フランジ部43は、その外周面が軸線方向で見て円形の円盤状のものであって、その外周円の中心が貫通孔44の中心軸線上に位置するように形成されたものである。また、前記の貫通孔44は、軸部42及び太陽ギヤ41を貫通して形成されている。
【0028】
また、太陽ギヤ形成部材4には、円筒状のギヤカバー7が取り付けられている。このギヤカバー7は、前記した太陽ギヤ41、遊星ギヤ5、5及び中継ギヤ6、6から成るギヤ列、並びに遊星キャリア3を囲繞するように設けられている。そして、ギヤカバー7は、太陽ギヤ形成部材4の軸部42が嵌挿される貫通孔74を有しており、この貫通孔74と太陽ギヤ形成部材4の軸部42とが嵌め合わされると共に、フランジ部43の前面に当接した状態で、フランジ部43を通して螺挿されるネジ部材45によって太陽ギヤ形成部材4に対し一体的に固定されている。
【0029】
前記のようにして一体化された太陽ギヤ形成部材4及びギヤカバー7は、ブラケット11によって支持されている。ブラケット11は、後述の駆動機構を収容する様に箱状の形態を為しており、外周壁11dで囲まれた領域の前面を前側壁11aで閉塞するようにかたちで構成されている。また、ブラケット11の前側壁11aには、太陽ギヤ形成部材4のフランジ部43が嵌挿される貫通孔11bが形成されている。
【0030】
更に、ブラケット11は、外周壁11d及び前側壁11aと一体的に形成された基部11cを有しており、図示しない織機のフレーム間に架設された梁17の上面に設けられたスライドレール18上に基部11cを載置した状態で立設されている。そして、基部11cの軸線方向に延在する両側面には、ネジ部材によって固定ピース19、19が取り付けられており、この固定ピース19、19により、ブラケット11のスライドベース18上での位置が固定される構成となっている。言い換えると、固定ピース19、19を基部11cに取り付けているネジ部材を緩めることにより、ブラケット11はスライドベース18上で移動可能となり、遊星耳組装置1の織幅方向(梁17の延在方向)の位置が調整可能となる。
【0031】
太陽ギヤ形成部材4及びギヤカバー7は、太陽ギヤ形成部材4のフランジ部43がブラケット11の前側壁11aに形成された貫通孔11bに嵌挿されると共に、ギヤカバー7の貫通孔74周りの後面がブラケット11の貫通孔周りの前面に当接して位置決めされた状態で、ブラケット11の前記前側壁11aを通して螺挿された複数のネジ部材(図示せず)によってブラケット11に対し固定されている。従って、太陽ギヤ形成部材4(太陽ギヤ41)及びギヤカバー7は、遊星耳組装置1において回転不能な状態で設けられている。また、太陽ギヤ形成部材4に対し軸受を介して支持されている回転軸2は、太陽ギヤ形成部材4を介してブラケット11に対し回転自在に支持された状態となっている。
【0032】
遊星キャリア3は、図示の例では、外周にリムを形成した円盤状の形態を為しており、中心部に回転軸2が嵌挿される貫通孔31が形成されている。また、遊星キャリア3において、貫通孔31が形成される部分(回転軸2が嵌挿される部分)及び後述の遊星ギヤ5等を支持する支持軸が支持される部分は、他の部分と比べて肉厚のボス部として形成されている。そして、回転軸2が嵌挿される貫通孔31には、回転軸2に装着されたキー23が嵌合されるキー溝34が形成されている。従って、遊星キャリア3は、回転軸2に対し相対回転不能となっており、太陽ギヤ形成部材4に対し回転軸2と共に回転自在に支持されている。すなわち、遊星耳組装置1において、遊星キャリア3は、回転軸(中心軸)2の軸心周りに回転自在に設けられた状態となっている。
【0033】
また、遊星キャリア3には、それぞれが一対で、回転軸の軸心に対し対称的な位置に配置された2組の支持軸対51、51及び61、61が支持されている。
【0034】
一対の支持軸51、51の各々は、一端にボビンホルダBHが取り付けられると共に、遊星キャリア3に形成された貫通孔32を貫通し、他端側で遊星ギヤ5を支持している。各支持軸51は、ボビンホルダBH及び遊星ギヤ5を相対回転不能に支持すると共に、遊星キャリア3に対し貫通孔32内に設けられた軸受を介して回転自在に支持されている。従って、各ボビンホルダBH及び各遊星ギヤ5は、支持軸51を介して遊星キャリア3に対し回転自在に支持されている。
【0035】
なお、各遊星ギヤ5、5の配置は、支持軸51に支持された状態で、太陽ギヤ形成部材4の太陽ギヤ41と噛合しない位置となっている。言い換えると、支持軸51の遊星キャリア3上での配置は、回転軸2との軸心間の距離が、太陽ギヤ41の半径と遊星ギヤ5の半径とを合せた寸法よりも大きくなる様な位置に設定されている。
【0036】
また、一対の支持軸61、61は、各々が中継ギヤ6を支持するためのものである。各支持軸61は、それによって支持される中継ギヤ6が太陽ギヤ41及び遊星ギヤ5の両ギヤに噛合する様な位置で、遊星キャリア3に形成された貫通孔33に嵌挿されて支持されている。各支持軸61は、遊星キャリア3に対し回転不能に支持されており、中継ギヤ6が支持軸61に対し軸受を介して回転自在に支持されている。従って、中継ギヤ6は、遊星キャリア3に対し回転自在な状態で、支持軸61を介して遊星キャリア3に支持されている。
【0037】
これらの構成から成る遊星機構10では、遊星キャリア3が回転軸2の軸心を中心として回転駆動されることにより、回転軸2の軸心から偏心した位置で遊星キャリア3に支持された一対の遊星ギヤ5、5及び一対の中継ギヤ6、6が回転軸2の軸心周りを公転する。その際、各中継ギヤ6は、太陽ギヤ41に噛合した状態で前記公転を行うため、その公転に伴い、支持軸61の軸心を中心として回転する。これにより、中継ギヤ6と噛合する遊星ギヤ5も中継ギヤ6の回転に伴って支持軸51の軸心を中心に回転(自転)する。その結果、遊星ギヤ5を相対回転不能に支持する支持軸51に取り付けられたボビンホルダBHは、回転軸2(遊星キャリア3)の回転に伴い、回転軸2の軸心周りで公転しつつ自転する遊星運動を行う。
【0038】
前記のボビンホルダBHに遊星運動を行わせるための回転軸2の駆動機構について、図示の例では、図示しない織機の主軸(原動モータ)を駆動源として回転する駆動軸12の回転を回転軸2に伝達する機構を採用している。詳しくは、回転軸2には、その後端部において本発明でいう駆動伝達部材としての従動プーリ13が組み付けられている。回転軸2と従動プーリ13とは、従動プーリ13の基部13bに形成された貫通孔に回転軸2が嵌挿された状態で、キー24によって相対回転不能に組み合わされている。そして、この従動プーリ13が、駆動軸12上に設けられた駆動プーリ14とタイミングベルト16によって連結されている。それにより、駆動軸12の回転が、駆動プーリ14、タイミングベルト16及び従動プーリ13を介して回転軸2へ伝達され、回転軸2が回転駆動されて遊星キャリア3が回転する構成となってる。
【0039】
更に詳しくは、回転軸2は、従動プーリ13に嵌挿される部分が径の小さい小径部21に形成されており、それよりも前側が拡径されていて段部22が形成されている。従って、回転軸2の後端側から嵌め込まれる従動プーリ13は、回転軸2の前記段部22に当接することによって位置決めされる。そして、回転軸2の後端面に螺挿されるネジ部材26により、回転軸2よりも大径の位置規制部材としてのワッシャ25が回転軸2に取り付けられている。但し、回転軸2の小径部21は、その長さ寸法が従動プーリ13の基部13bの軸線方向の寸法よりも小さいため、ワッシャ25は従動プーリ13の基部13bの後端面に当接した状態となり、回転軸2とワッシャ25との間には僅かな間隙が存在している。そして、ネジ部材26を回転軸2の後端面に対し締め込むことにり、従動プーリ13は、回転軸2の段部22とワッシャ25とで挟み込まれた状態となって回転軸2に対する軸線方向の位置が固定される。また、回転軸2に対する従動プーリ13の位相は、前記のキー24によって固定されている。
【0040】
因みに、図示の駆動機構において、駆動軸12は、軸受ブッシュを介してブラケット11を貫通しており、また、駆動プーリ14は、割り締め構造によって駆動軸12の軸線方向における任意の位置で固定可能なプーリ支持部材14aを介して駆動軸12に取り付けられており、その回転中心を駆動軸12の軸心に一致させた状態で設けられている。
【0041】
そして、図示の駆動機構においては、前記の駆動伝達部材としての従動プーリ13が、軸線方向における従動プーリ13の存在範囲において、軸受BRを介して支持フレームとしてのブラケット11に支持されている。
【0042】
詳しくは、従動プーリ13には、回転軸2に嵌め合わされる基部13bとタイミングベルト16が巻き掛けられる外周部13cとの間に、後側に開口するリング状の溝13aが形成されており、一方で、ブラケット11の後端面には、前側(プーリ側)へ延びる円筒部15aが形成された軸受ケース15が取り付けられていて、この円筒部15aが、軸受ケース15をブラケット11に組み付けた状態において、従動プーリ13の溝13a内に侵入した状態となっている。そして、軸受ケース15の円筒部15aの内周面と従動プーリ13の基部13bの外周面との間に軸受が介装されている。
【0043】
この構成により、従動プーリ13は、ブラケット11に対し軸受ケース15及び軸受を介し回転自在に支持された状態となっている。すなわち、図示の構成では、駆動機構における従動側の駆動伝達部材(従動プーリ13)は、従来のように回転軸2のみによって支持されるのではなく、支持フレーム(ブラケット11)に対しても支持されている。言い換えると、従動プーリ13は、回転軸2が存在しない状態においても、駆動機構中において駆動プーリ14との連結状態を維持できる構成となっている。
【0044】
なお、図示の構成において、軸受ケース15は、その円筒部15aの中心軸線が、ブラケット11の前側壁11aに形成された貫通孔11bの中心軸線の延長線上に位置するようにブラケット11に組み付けられている。従って、軸受ケース15も支持フレームの一部と考えると、ブラケット11と軸受ケース15とで構成される支持フレームには、同一直線上に中心を持つ貫通孔11aの内周面と円筒部15aの内周面が形成されていることになる。
【0045】
以上の様な遊星耳組装置1の構成によれば、ボビンホルダBHや内部のギヤ機構等のメンテナンスのために遊星機構10を遊星耳組装置1(ブラケット11)から取り外す必要が生じた場合には、ネジ部材26及びワッシャ25を外し、回転軸2に対する従動プーリ13の位置固定状態を解除する。それにより、ブラケット11に支持された従動プーリ13に対し回転軸2が軸線方向に変位自在の状態となる。そこで、前述したギヤカバー7をブラケット11に固定しているネジ部材を外すことにより、遊星キャリア3、太陽ギヤ形成部材4、回転軸2を含む遊星機構10とブラケット11とが分離可能となり、遊星機構をブラケット11から取り外すことができる。
【0046】
しかも、前記構成により、遊星機構10をブラケット11から取り外しても、従動プーリ13をブラケット11内の駆動機構中に残したままとすることができる。言い換えると、従動プーリ13と駆動プーリ14との連結状態を維持したまま遊星機構10をブラケット11から取り外すことができる。従って、メンテナンス等のために遊星機構10を取り外す際にも、従動側の駆動伝達部材を駆動機構から取り外す必要がないため、遊星機構10の脱着時における従動側の駆動伝達部材と駆動側の駆動伝達部材との連結解除及び再連結作業、並びに調整作業が省略でき、遊星機構10の脱着作業が簡素化される。
【0047】
更に、図示の構成では、遊星機構10をブラケット11に装着する際に、遊星機構10の外周面の一部を為している太陽ギヤ形成部材4のフランジ部43をブラケット11の前側壁に形成された貫通孔11bに嵌挿する構成となっており、それにより、遊星機構10における回転軸2の軸心と駆動機構側の従動プーリ13の軸心とを容易に一致させることができ、両者の軸心がズレた状態で組み合わされることが防止できる。
【0048】
詳しくは、前述の様に、軸受ケース15及びブラケット11で構成される支持フレームには、同一直線上に中心を持つ貫通孔11bの内周面と円筒部15aの内周面とが形成されており、円筒部15aの内周面には、従動プーリ13が軸受を介して同軸的に支持されている。従って、従動プーリ13は、貫通孔11bの内周面と同軸的な配置となっている。一方、遊星機構10においては、太陽ギヤ形成部材4のフランジ部43は、その外周面の中心が貫通孔44の中心軸線上に位置する様に形成されており、回転軸2は、貫通孔44内において軸受により支持されていて軸心を貫通孔44の中心軸線に一致させた状態で支持されている。従って、回転軸2は、遊星機構10中において、太陽ギヤ形成部材4に対しフランジ部43の外周面に対し同軸的な配置となっている。
【0049】
これらの構成にれば、フランジ部43の外周面に対し同軸的な配置の回転軸2と貫通孔11bの内周面に対し同軸的な位置の従動プーリ13とは、ブラケット11の貫通孔11bに太陽ギヤ形成部材4のフランジ部43を嵌め合せた状態では、軸心が一致した状態となる。この様に、支持フレームにおいて遊星機構10を支持する貫通孔11bと軸心を一致させた状態で従動プーリ13が設けられると共に、遊星機構10において貫通孔11bに嵌挿される外周面(フランジ部43の外周面)と軸心を一致させた状態で回転軸2が設けられる構成とすることにより、支持フレーム(ブラケット11)に対し遊星機構10を取り付けるにあたり、フランジ部43を貫通孔11bに嵌挿するだけで、回転軸2と従動プーリ13とを軸心が一致した状態とすることができる。
【0050】
そして、この様な構成によれば、従動プーリ13の基部13bに形成された貫通孔と回転軸2の小径部21との間にガタが存在している場合であっても、従動プーリ13と回転軸2との両者の軸心を一致させることができるため、両者の軸心にズレが生じていることに起因して軸受や従動プーリ13に掛かる負荷が増大してそれらが破損する、といった状態が発生するのを防止することができる。
【0051】
また、図示の構成では、回転軸2が一体物の単一の軸部材として形成されており、遊星機構をブラケット11に組み付けた状態では、その回転軸2が、ブラケット11に固定された太陽ギヤ形成部材4に対してだけでなく、軸線方向における従動プーリ13の位置においても、軸受BR等を介してブラケット11に支持される構造となっている。それにより、回転軸2の半径方向の支持が安定したものとなり、回転軸2の高速回転に伴う振動(軸の振れ)を十分に抑制できる。
【0052】
更に、図示の構成では、軸受ケース15には、円筒部15aの中心軸線を中心としてワッシャ25よりも大径の貫通孔が形成されている。すなわち、ワッシャ25におけるネジ部材26を挿通する為の孔と対向する軸受ケース15の壁面に対し貫通孔が形成されている。この構成によれば、位置規制部材としてのワッシャ25を固定するためのネジ部材26を外部から操作することができ、遊星機構の脱着作業が容易に行える。
【0053】
なお、本発明は、以上の実施例で説明したものに限定されるものではなく、以下の様に変形させた態様でも実施することができる。
【0054】
(1)前記実施例では、駆動機構において、駆動軸12の回転を回転軸2に伝達する機構を、駆動軸12上の駆動プーリ14と回転軸2に組み付けられた駆動伝達部材としての従動プーリ13とをタイミングベルト16で連結する構成としたが、これに代えて、駆動伝達部材を従動ギヤとし、ギヤ列によって駆動軸12の回転を回転軸2に対し伝達するようにしてもよい。
【0055】
(2)前記実施例では、駆動伝達部材(従動プーリ13)の軸線方向の位置を固定する位置規制部材としてネジ部材26によって軸線方向へ押圧されるワッシャ25を用いたが、これに代えて、位置規制部材を、回転軸2の駆動伝達部材よりも後端部側に設けられて割締め機構や押しネジ等によってその位置が固定される円筒状の部材としてもよい。また、その様な位置規制部材を採用する場合において、前記割締め機構のネジ部や押しネジを外部から操作可能とするために、それらのネジ部材(ネジ部材が挿入される孔)に対向するブラケット11の壁面に貫通孔を形成しておくのが好ましい。
【0056】
(3)前記実施例では、遊星機構10の一部の外周面(太陽ギヤ形成部材4のフランジ部43の外周面)がブラケット11(支持フレーム)における円形の貫通孔11bに嵌挿されて遊星機構10が支持される構成としたが、支持フレームに形成される貫通孔及びその貫通孔に嵌挿される遊星機構の外周面の形状については、前記実施例の様な円形に限らず、楕円形もしくは多角形等であってもよい。
【0057】
但し、前記実施例の様に貫通孔等を円形に形成した場合は、支持フレームに対する遊星機構の位相調整に制限を受けることがないという利点がある。すなわち、遊星機構における円形の外周面を支持フレームにおける円形の貫通孔に嵌挿する構成であれば、両者を嵌め合せた状態でも遊星機構は支持フレームに対し回転自在であるため、支持フレームに対する遊星機構(太陽ギヤ形成部材、延ては太陽ギヤ)の位相がその嵌め合いによって制限を受けることがない。そのため、例えば、前記実施例における太陽ギヤ形成部材4(ギヤカバー7)を固定するためにブラケット11に形成されたネジ部材を挿通させるための孔を、貫通孔11bと中心を一致させた円弧状の長孔とすることにより、ブラケット11に対する遊星機構10(太陽ギヤ形成部材4)の位相を自在に変更することができるものとなる。因みに、支持フレームに対する遊星機構(太陽ギヤ)の位相の変更は、例えば、織機においてワープラインの角度が変更された場合において、一対のボビンホルダから引き出される耳糸による開口が閉口状態となったときの耳糸の角度をワープラインに応じて変更する等のために行われる。なお、支持フレームに対する遊星機構の位相を変更する場合は、それに合わせて駆動側の駆動伝達部材(駆動プーリ)の駆動軸に対する位相も変更する必要がある。
【0058】
また、前記実施例では、太陽ギヤ4を含む太陽ギヤ形成部材4の外周面(フランジ部43の外周面)を、ブラケット11における貫通孔11bに嵌挿される遊星機構10の一部の外周面としたが、これに限らず、例えば、前記実施例におけるギヤカバー7の一部の外周面が前記貫通孔11bに嵌挿される構成とすることも可能である。
【0059】
(4)前記実施例では、駆動軸12が織機の主軸を駆動源とするものとしたが、本発明の遊星耳組装置はこれに限定されず、駆動軸12が専用モータで駆動されるものであってもよい。また、回転軸2を直接的に専用モータで駆動するものであってもよい。
【0060】
さらに、本発明は、以上で説明したいずれの実施形態にも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々に変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明が適用される遊星耳組装置の一実施形態を示す一部断面側面図
【図2】図1に示す遊星耳組装置のA−A断面による背面図
【符号の説明】
【0062】
1 遊星耳組装置(遊星歯車式耳組装置)
10 遊星機構
11 ブラケット(支持フレーム)
11b 貫通孔
12 駆動軸
13 従動プーリ
14 駆動プーリ
15 軸受ケース
16 タイミングベルト
17 梁
18 スライドレール
19 ギヤ列
2 回転軸
3 遊星キャリア
4 太陽ギヤ形成部材
41 太陽ギヤ
42 軸部
43 フランジ部
5 遊星ギヤ
51 支持軸
6 中継ギヤ
61 支持軸
7 ギヤカバー
BR 軸受

【特許請求の範囲】
【請求項1】
織機のフレーム間に架装された梁上に立設される支持フレームであって前記梁上で織幅方向に位置調整可能に設けられた支持フレームと、該支持フレームに支持された遊星機構と、前記支持フレーム内に設けられた駆動機構とを含む遊星歯車式耳組装置であって、前記遊星機構が、前記支持フレームに対し回転自在に支持された回転軸と、該回転軸に対し相対回転不能に支持される遊星キャリアであって前記回転軸に対する対称的な配置で一対の支持軸を回転自在に支持する遊星キャリアと、前記回転軸が相対回転可能に貫通する貫通孔を有する太陽ギヤであって前記支持フレームに対し回転不能な状態で前記遊星キャリアと同軸的に配置される太陽ギヤと、一端にボビンホルダが固定された前記一対の支持軸の各々の他端に取り付けられた遊星ギヤであって前記太陽ギヤと間接的に噛合する一対の遊星ギヤとを含み、前記駆動機構が、前記回転軸に対し相対回転不能に設けられた駆動伝達部材を含み、前記駆動機構によって前記回転軸を回転駆動することにより前記遊星キャリアを回転させる遊星歯車式耳組装置において、
前記駆動伝達部材と前記回転軸とが前記回転軸の軸線方向に分離可能に組み合わされており、前記駆動伝達部材が軸受を介して前記支持フレームに支持されている、
ことを特徴とする織機における遊星歯車式耳組装置。
【請求項2】
前記支持フレームは、前記駆動機構を収容する空間を画定する外周壁と前記遊星機構を支持する前側壁とを含むと共に、前記前側壁には、前記遊星機構を支持するための前記遊星機構の外周面の一部が嵌挿される貫通孔が形成されており、
前記遊星機構は、前記外周面の一部で前記貫通孔に嵌め合わされた状態において、前記回転軸の回転軸心が前記駆動機構における前記駆動伝達部材の回転軸心と前記回転軸の軸線方向に見て同じ位置となるように前記回転軸が前記遊星機構中で支持されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の織機における遊星歯車式耳組装置。
【請求項3】
前記遊星機構は、前記回転軸の軸線方向に見て円形の外周面であって前記回転軸の回転軸心上に中心を持つ円形の外周面を有し、
前記支持フレームにおける前記貫通孔は、前記遊星機構における前記円形の外周面が嵌め合わさる円形の貫通孔である、
ことを特徴とする請求項2に記載の織機における遊星歯車式耳組装置。
【請求項4】
前記回転軸が、一体物の軸部材として形成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の織機における遊星歯車式耳組装置。
【請求項5】
前記駆動伝達部材が、駆動軸上に設けられた駆動プーリとタイミングベルトを介して連結された従動プーリであって、
前記軸受は、その少なくとも一部が、前記軸線方向において前記駆動伝達部材と重複した位置に配置される、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の織機における遊星歯車式耳組装置。
【請求項6】
前記駆動伝達部材は、前記回転軸に対し前記駆動伝達部材よりも後端側でネジ部材により固定された位置規制部材によって軸線方向の位置が固定されており、
前記支持フレームは、前記位置規制部材の前記ネジ部材が挿入される孔と対向する壁面に前記ネジ部材を外部から操作可能とするための貫通孔を有している、
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の織機における遊星歯車式耳組装置。
【請求項7】
前記ネジ部材は、前記回転軸の後端面に螺挿されている、
ことを特徴とする請求項6に記載の織機における遊星歯車式耳組装置。

【図1】
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【図2】
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