説明

織物の複数の層を線に沿って特に織物品の縁に沿って固定する方法、及び該方法によって作製された織物品

本発明は、線に沿って、特に、2本の縫い糸が上と下とにそれぞれ結ばれる種類の織物品の縁に沿って、複数の織物層を固定する方法に関する。それらの糸の一方は第1の所定温度で状態が変化し、第2の所定温度で作動するそれらの織物層の熱結合手段が設けられる。状態が変化する糸が第2の温度よりも低い第1の温度で溶融し、状態が変化する糸が溶融した後に他方の糸が除去される。このようにして、縫い目がない良好に配置された集合体が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の織物層を、線に沿って、特に織物品、詳細には排他的にではなく下着、特にタイイングを必要とする縁を有するパンツまたはブラジャーなどの物品の縁に沿って固定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下着物品の開口部の縁にタイイングを行う方法、言い換えれば、縁に重なり合うように二つに折り畳まれた織物リボンによって縁を覆う方法は既知であり、このリボンは従来それを適所に固定するために縫われている。
【0003】
最近、縫い糸に由来する不快さ、及び美観上の理由の両方から、下着の縫い目の使用を避ける目的が増加している。
【0004】
熱可塑性繊維を用いて超音波により(特許文献1参照)、または熱接着により(特許文献2参照)、または縫い合わせ及び熱接着の組み合わせを用いる方法により(特許文献3参照)、複数の織物層を縁に沿って固定することは既に提案されている。
【特許文献1】国際公開第02/28210号パンフレット
【特許文献2】欧州特許第1033084号明細書
【特許文献3】米国特許2048343号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
最初の2つの提案に関しては、リボンを正確に位置合せするという問題があり、リボンは目で見える縫い目という欠点を有している。通常の上糸、例えば綿から作られた糸が、熱接着剤の下糸、例えば酢酸セルロースから作られた糸と共に縫い目に使用される。上糸は、ホットメルト処理の後にその場所に残り、目で見える。
【0006】
本発明の目的は、織物品を線、特に目に見えない縫い目を有する縁に沿って集めて、詳細には、物品の縁部に十分に固定される縫い目無しのタイイングを行うことを可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、上糸及び下糸からなる2つの縫い糸を用いて、線に沿って特に織物品の縁に沿って複数の織物層を固定する方法であって、一方の糸は第1の所定温度で状態が変化し、第2の所定温度で作動する前記織物層の熱接着手段を設けて、状態が変化する一方の糸を第2の温度よりも低い第1の温度で溶融させ、一方の糸が溶融した後に他方の糸を除去することを特徴とする方法によって達成される。
【0008】
第1の糸の温度が溶融温度を越えて上昇して熱接着温度に達すると、第1の糸が溶融して第1及び第2の糸の間の結び目が消失するので、第2の糸を除去することからなるこの処理は、必要であれば手作業でも実施が容易である。したがって、残りの糸は、単純な仮縫いの場合、もはや物品に結合せず、手で引き抜くことによって簡単に除去することができる。
【0009】
縫い目はニードル糸とボビン糸とを備える機械を使用して作られ、ボビン糸はホットメルト材料から作られることが有利である。
【0010】
集まり線が縁からなる場合、集められる異なる層は、基本織物品の層と縁取りリボンの少なくとも1層とからなることが有利である。これは、縁の片側だけに添付された1つのリボンとすることができ、または両側に添付された2つのリボンとすることもできる。リボンを主要物品の縁に重ね合わせてタイイングを行うことが好ましい。
【0011】
本発明に係る織物は、天然または合成繊維から作られた任意の種類の織布または不織材料を意味するが、使用可能であれば、基本物品の全て若しくは一部を作るため、または装飾縁或いはタイイングリボンの全て若しくは一部を作るために、織物産業で使用し得るプラスチックシートを意味する。特に、リボン及び基本物品は同じ織物材料から作ることができる。
【0012】
下着に使用される幾つかの材料などの軽量で脆弱な材料から基本物品が作られる場合に、本発明に係る方法は特に有用である。詳細には、関連する物品は、ブラジャーカップ(デコルテ及び腕の下)と背中(背中の頂部及び底部)にタイイングが作られるアンダーワイアブラジャー、腰及び大腿部の開口部にタイイングが作られる三角ブラジャー、ビキニパンツ、パンツ及び紐とすることができる。
【0013】
本発明による熱接着手段は、任意の種類とすることができるが、集められる層の間に配置される熱接着材料のフィルムからなることが有利である。このフィルムは、接着剤ダボによって固定することができる。特に有利な方法では、層の間の熱接着接合が、背後の接着された織物層の表面全体に連続するのではなく、逆に材料とリボンとの弾性的な伸張に適合する変形可能な網目を形成するように、フィルムが製造中に穿孔される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、この種のタイイングの具体的な実施の形態を説明する。
【0015】
タイイングが行われる物品及びリボンの基本的な材料は、81%のポリアミドマイクロファイバと、190g/m2 であって、30Nで長手方向の伸び170%、幅方向の伸び110%を有する19%のリクラ(Lycra)(登録商標)との組成物からなる弾性的なロックニット編織物から作られることが有利である。
【0016】
例えば、ホットメルト接着剤は、厚さ約50μmの穿孔フィルムの形で配置されたポリウレタン接着剤とすることができ、弾性があって穿孔されたフィルムを押し出し成型する間に孔が形成される。このフィルムは、活性化され得ないポリウレタン接着剤ダボを用いて、紐状リボンとして使用される主要材料の上に配置される。したがって、これは接着剤ダボ−接着剤フィルムの材料からなる複合体で作られた紐を与える。この紐は、物品上に作られるタイイングの幅の2倍に等しい幅のリボンに切断される。
【0017】
タイイングガイドを備えたジグザグ縫い機械を用いて、リボンが部品の縁を重ね合わせて縫い付けられる。ホットメルト糸はボビン上に配置され、非ホットメルト糸はニードルに挿入される。ホットメルト糸は、90℃で溶融を開始するカウント55デシテックス(dtex)のコポリアミド糸である。ニードル中の糸は、少なくとも180℃の温度に耐熱性があるポリエステルである。
【0018】
集合体は、プレートまたはシリンダ熱接着機を用いて熱接着される。接着の間、折り目の形成を防止するために、物品はシリコン被覆シートで互いに保持される。180℃の温度及び約3バールの圧力で、熱接着が行われる。
【0019】
この180℃の温度は、ホットメルト糸の溶融温度よりも高いが、ニードルに装着された糸の溶融温度よりも低く、縫い目のタイイングは消失する。
【0020】
次いで、ポリエステルの保持糸が除去される。
【0021】
得られるタイイングは完全に位置合わせされ、縫い目無しとなる。また、それは縁に必要な弾性に適合している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上糸及び下糸からなる2つの縫い糸を用いて、織物品の縁に沿って複数の織物層を固定する方法において、前記縫い糸の一方の糸は第1の所定温度で状態が変化し、第2の所定温度で作動する前記織物層の熱接着手段を設けて、前記状態が変化する前記一方の糸を前記第2の温度よりも低い第1の温度で溶融させ、前記一方の糸が溶融した後に他方の糸を除去することを特徴とする方法。
【請求項2】
ニードル糸とボビン糸とを備える機械を使用して縫い目を作成し、前記ボビン糸をホットメルト材料から作ることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
集められる異なる層は、織物品の層と縁取りリボンの少なくとも1層とからなることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
タイイングを行うために前記リボンを縁に重ね合わせることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記リボンは、前記織物品と同じ織物材料から作られていることを特徴とする請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
前記熱接着手段は、集められる層の間に配置される熱接着材のフィルムからなることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記熱接着材のフィルムを接着剤ダボによって固定することを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
穿孔した熱接着材のフィルムを使用することを特徴とする請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の方法を用いて作製されたことを特徴とする織物品。
【請求項10】
下着に関するものであることを特徴とする請求項9に記載の織物品。

【公表番号】特表2006−516689(P2006−516689A)
【公表日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502126(P2006−502126)
【出願日】平成16年1月29日(2004.1.29)
【国際出願番号】PCT/FR2004/000207
【国際公開番号】WO2004/068983
【国際公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(504208658)サラ リー コーポレーション (8)
【氏名又は名称原語表記】SARA LEE CORPORATION
【Fターム(参考)】