説明

織物材料の疎水化法

少なくとも1種の有機ポリマー及び少なくとも1種の有機又は無機の粒子状固体を含む少なくとの1種の水性液を用いて処理することにより、織物材料を仕上げる方法であって、有機又は無機の固体が、少なくとも5.5g/Lの割合で上記水性液中に存在していることを特徴とする方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種の有機ポリマー及び少なくとも1種の有機又は無機の粒子状固体を含む少なくとの1種の水性液を用いて織物材料を処理することにより、織物材料を仕上げる方法であって、有機又は無機の固体が、少なくとも5.5g/L(リットル)の割合で上記水性液中に存在していることを特徴とする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
織物の仕上げは、商業的に重要になりつつある分野である。特に、水及び汚物(汚水)を寄せ付けないようにするために織物を仕上げることには関心が大きい。現代の方法は、ある場合は、いわゆるLotus-EffectRを利用し、そして粗面を施すことにより織物に撥水性能を付与するものである。
【0003】
特許文献1(WO96/04123)には、加工された凹凸の表面構造を有する自己洗浄表面が開示されている。この構造は、特にその構造パラメータにより特性化されている。この構造は、例えば、熱可塑的に形成可能な疎水性材料に特定の構造をエンボスするか、或いはUHURで処理された表面にテフロン(登録商標)粉末を施すことにより、製造される。特許文献2(US3354022)には、同様に製造された撥水表面が開示されている。
【0004】
特許文献3(EP−A0933388)には、まずフォトリソグラフィによりネガ型を製造し、この型を用いてプラスチックフィルムをエンボスし、その後エンボスされたプラスチックフィルムをフッ素化アルキルシランで疎水化する各工程を含む構造化表面を製造する方法が開示されている。
【0005】
しかしながら、上述の方法は、織物に汚物(汚水)及び水を寄せ付けない仕上げをするために適当ではない。
【0006】
特許文献4(WO02/84013)では、ポリエステルの繊維を、1%のAerosilR8200疎水化シリカゲルが懸濁した熱いデカリン浴(80℃)に通して引き抜くことによりポリエステルの繊維を疎水化する方法が提案されている。
【0007】
特許文献5(WO02/84016)では、織られたポリエステル布地を、1%のAeroperlR8200疎水化シリカゲルが懸濁した熱いDMSO(ジメチルスルホキシド)の浴(50℃)に通して引き抜くことにより上記布地を疎水化する方法が提案されている。
【0008】
これらの2つの疎水化方法は、溶剤を繊維が部分溶解するように選択するとの共通の特徴を持っている。このことは、大量の有機溶剤の使用が必要となり、多くの場合望ましくないことである。さらに、有機溶剤による処理は、繊維の機械的性質に影響を及ぼす。
【0009】
特許文献6(WO01/75216)では、織物繊維及び布地に、一方が分散媒体で、他方がコロイド等の2成分層を設けることにより、織物繊維及び布地に水及び汚物(汚水)を寄せ付けないようにする方法が提案されている。特許文献6に記載の仕上げ方法では、コロイドが仕上げ層と周囲の表面との間の境界層で濃縮されることが観察されることから、コロイドが分散媒体中に異方性分散された仕上げ層が設けられている。この方法は5g/L以下のAerosil−812Sを含む仕上げ液を使用している。
【0010】
しかしながら、特許文献6に記載の方法で仕上げられた織物は、多くの場合、満足するする機械的強度を持たない。
【0011】
【特許文献1】WO96/04123
【特許文献2】US3354022
【特許文献3】EP−A0933388
【特許文献4】WO02/84013
【特許文献5】WO02/84016
【特許文献6】WO01/75216
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従って、本発明の目的は、上述の不利が無く、極めて優れた、水及び汚物(汚水)を寄せ付けない性能(撥水性、撥汚水性)を付与する、織物材料を仕上げる方法を提供することである。さらに、本発明の別の目的は、水及び汚物(汚水)を寄せ付けない織物を提供することである。さらにまた、本発明の別の目的は、織物材料に水及び汚物(汚水)を寄せ付けない仕上げをするための液(liquor)を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者等は、上記目的が、冒頭に定義された方法により達成されることを見いだした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の織物(textile)材料は、一方で、繊維、粗糸、ヤーン(yarn)、糸(thread)であり、他方で織布(textile fabric)、例えば織物、ニット、不織布及び衣服(garments)である。戸外用織物の製造に使用される織布が好ましい。戸外用織物の例としては、帆、傘、防水布、グラウンドシート、テーブルクロス、及び椅子、ブランコ(swings)及びベンチ等のための家具カバーを挙げることができる。
【0015】
本発明の織物材料は、異種の物質から構成することができる。例えば、天然繊維及び合成繊維、さらには混合繊維である。天然繊維の例としては、絹、毛及び綿を挙げることができる。合成繊維の例としては、ポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリエチレンテレフタレート、及びビスコースを挙げることができる。同様に、変性天然繊維を、本発明の方法に従って被覆することもできる、例えば酢酸セルロースを被覆することができる。
【0016】
本発明の方法は、少なくとも1種の水性液を利用する。本発明の方法の水性液は、少なくとも5質量%の水を含むことができる液も包含している。水性液の水含有量は、好ましくは少なくとも25質量%、さらに好ましくは少なくとも50質量%、特に好ましくは少なくとも75質量%である。最大の水含有量は99質量%、好ましくは97質量%、さらに好ましくは95質量%である。
【0017】
本発明で使用される水性液は、有機溶剤、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、酢酸、n−ブタノール、イソブタノール、n−ヘキサノール及び異性体、n−オクタノール及び異性体、n−ドデカノール及び異性体、及びさらに水を含むことができる。有機溶剤は、本発明の水性液の1〜50質量%、好ましくは2〜25質量%を占めることができる。
【0018】
本発明の方法に使用される少なくとも1種の液は、少なくとも1種の有機ポリマーを含んでいる。有機ポリマーはバインダとして働くことができる。バインダの作用は、有機ポリマーが、例えば粒子同士を結合し、及び粒子と被覆すべき織物材料とを結合するフィルムを形成することによってもたらされる。
【0019】
本発明の一態様において、少なくとも1種の有機ポリマーとしては、25℃での水への溶解度が1g/L未満であるエチレン性不飽和疎水性モノマーの重合体又は共重合体を挙げることができる。共重合体では、疎水性モノマーは、共重合体の少なくとも50質量%、好ましくは75質量%を占めている。
【0020】
好ましいモノマーは、下記の群:
即ち、C2〜C24−オレフィン、特に炭素原子数2〜24個のα−オレフィン、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−ヘキサデセン又は1−オクタデセン;
スチレン類、例えばスチレン、α−メチルスチレン、シス−スチルベン、トランス−スチルベン;
ジオレフィン、例えば1,3−ブタジエン、シクロペンタジエン、クロロプレン又はイソプレン;
5〜C18−シクロオレフィン、例えばシクロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルネン、2量化シクロペンタジエン;
直鎖又は分岐のC1〜C20−アルカンカルボン酸のビニルエステル、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n−ブタン酸ビニル、n−ヘキサン酸ビニル、n−オクタン酸ビニル、ラウリン酸ビニル及びステアリン酸ビニル;
1〜C20−アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−エイコシル(メタ)アクリレート、
から選択され、特に好ましくはハロゲン化モノマー及びシロキサン基を有するモノマーの群から選択される。
【0021】
ハロゲン化モノマーの例としては、塩化ビニル及び塩化ビニリデン等の塩素化オレフィンを挙げることができる。
【0022】
特に最も好ましいハロゲン化モノマーとしては、フッ素オレフィン、例えばフッ化ビニリデン、トリフルオロクロロエチレン、テトラフルオロクロロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、US2592069及びUS2732370に記載のフッ化又はパーフッ化C3〜C11−カルボン酸のビニルエステル、フッ化又は全フッ化(perfluorianted)アルコール(例、フッ化又は全フッ化C3〜C14−アルキルアルコール)の(メタ)アクリル酸エステル、例えばUS2642416、US3239557、BR1118007、US3462296に記載の
【0023】
【化1】

の(メタ)アクリル酸エステルを挙げることはできる。
【0024】
同様に、例えばグリシジル(メタ)アクリレートと式I:
【0025】
【化2】

【0026】
[但し、R1が水素、CH3又はC25を表し、
2がCH3又はC25を表し、
xが4〜12の整数、特に好ましくは6〜8の整数であり、
yが1〜11の整数、特に好ましくは1〜6の整数である。]
で表されるエステルとの共重合体、或いはグリシジル(メタ)アクリレートとフッ素化カルボン酸のビニルエステルとの共重合体。
【0027】
有用な共重合体として、さらに、例えば
【0028】
【化3】

等のフッ化又は全フッ化C3〜C12−アルキルアルコールの(メタ)アクリル酸エステルと、
非ハロゲン化C1〜C20−アルコールの(メタ)アクリル酸エステル{例、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−エイコシル(メタ)アクリレート}との共重合体も挙げることができる。
【0029】
適当なフッ素化重合体及び共重合体の概括は、例えばM. Lewin et al. Chemical Processing of Fibers and Fabrics, Part B, 第2巻, Marcel Dekker, New York (1984), 172頁以降及び178-182頁に記載されている。
【0030】
さらに、好適なフッ素化ポリマーは、例えばDE199120810に記載されている。
【0031】
シロキサン基を有するオレフィンの群から、例えば下記の一般式IIa〜IIcで表されるオレフィンを挙げることができる:
【0032】
【化4】

【0033】
[但し、R3は、
1〜C18−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、n−へプチル、イソヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル;好ましくはC1〜C6−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル;さらに好ましくはC1〜C4−アルキル、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル;そして中でもメチル;
6〜C14−アリール、例えばフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントリル、2−アントリル、9−アントリル、1−フェナントリル、2−フェナントリル、3−フェナントリル、4−フェナントリル及び9−フェナントリル、好ましくはフェニル、1−ナフチル及び2−ナフチル、さらに好ましくはフェニル;
3〜C12−シクロアルキル、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロへプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル及びシクロドデシル、好ましくはシクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロへプチル、或いは
Si(CH33
から選択される。
【0034】
1は、前記の通りである。
【0035】
nは0〜6、特に1〜2の整数である。
【0036】
mは2〜10000、特に100までの整数である。]
さらに有用なポリマーとして、
ポリエーテル、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリテトラヒドロフラン;
ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、
脂肪族又は芳香族ジカルボン酸及び/又は脂肪族又は芳香族ジアルコールから形成される部分芳香族ポリエステル、例えば、炭素原子数2〜18個の脂肪族ジアルコール(例、エチレングリコール、プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール又はビスフェノールA)と、炭素原子数3〜18個の脂肪族ジカルボン酸(例、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸及びα,ω−デカンジカルボン酸)とから形成されたポリエステル;
テレフタル酸と、脂肪族ジアルコール(例、エチレングリコール、プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール又は1,8−オクタンジオール)とから形成されたポリエステル
を挙げることができる。
【0037】
上記のポリエステルは、例えば炭素原子数4〜12個のモノアルコール(例、n−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、n−デカノール又はn−ドデカノール)で停止され得る。
【0038】
上記のポリエステルは、例えばモノカルボン酸(例、ステアリン酸)で停止され得る。
【0039】
さらに有用なポリマーとして、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、N,N−ジメチロール−4,5−ジヒドロキシエチレン尿素(これらはC1〜C5−アルコールでエーテル化されていても良い)も挙げることができる。
【0040】
有機ポリマーの分子量は、広い範囲から選択することができる。重量平均分子量は、1000〜10000000g/molが一般的で、2500〜5000000g/molが好ましい。分子量は、下記の方法の少なくと1つにより測定される:光散乱法、ゲル透過クロマトグラフィ(GPC)、粘度計。ポリオレフィンの群から選択されるポリマー(例、ポリエチレン、ポリプロピレン又はポリイソブチレン、さらにエチレンとプロピレン、ブチレン又は1−ヘキセンとの共重合体)を使用する場合、分子量は30000〜5000000g/molが有利である。
【0041】
分子量分布の幅は、それ自体臨界的ではないが、通常1.1〜20の範囲である。2〜10が一般的である。
【0042】
本発明の一態様において、上述の有機ポリマーの割合は、一般に液の少なくとも0.1g/L、液の少なくとも1g/Lが好ましく、特に液の少なくとも10g/Lが好ましい。その最大量は、例えば500g/L、好ましくは、250g/L、さらに好ましくは100g/Lである。
【0043】
本発明の一態様において、上述の有機ポリマーはその液に溶解しない。本発明の有機ポリマーにおけるこの溶解しないとは、液への室温での溶解度が一般に1g/L未満、好ましくは0.1g/L未満であることを意味する。
【0044】
本発明の一態様は、少なくとも2種の異なる有機ポリマーを用いることを包含している。
【0045】
本発明の一態様において、少なくとも1種の有機ポリマーは、中央値粒径の尺度(メジアン値、数平均)が、一般に0.1〜50μm、好ましくは0.5〜30μm、さらに好ましくは20μm以下である粒子状で存在し得る。
【0046】
本発明の方法で使用される少なくとも一種の水性液は、上述のポリマーとは異なる、少なくとも1種の粒子状の疎水性固体を、少なくとも5.5g/L、好ましくは7g/L、さらに好ましくは10g/Lの割合で含んでいる。少なくとも2種の粒子状の疎水性固体を用いる場合、少なくとも1種は5.5g/Lの割合で存在することが好ましい。粒子状の疎水性固体の最大割合は、一般に、合計で150g/Lである。粒子状の疎水性固体は、無機でも有機でも良いが、無機が好ましい。
【0047】
好適な材料の例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン及びポリスチレン、さらにこれら相互の共重合体、これらと、1種以上の他のオレフィン(スチレン、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、無水マレイン酸又はN−メチルマレイミド)との共重合体を挙げることができる。好ましいポリエチレン又はポリプロピレンは、例えばEP−A0761696に記載されている。
【0048】
特に有用な材料としては、無機材料、特に、周期表第3〜14族の固体の無機酸化物、炭酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩又は硫酸塩、例えば酸化カルシウム、二酸化ケイ素又は酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム又はケイ酸カルシウムを挙げることができ、これらの中で酸化アルミニウム又は二酸化ケイ素が好ましい。シリカゲル形態の二酸化ケイ素が特に好ましい。熱分解シリカゲルが極めて好ましい。固体無機酸化物は、400〜800℃に加熱することにより、熱的に疎水性にされ得るが、或いは、好ましくは物理吸着又は化学吸着した有機又は有機金属化合物により熱的に疎水化される。このため、粒子は、被覆の前に、例えば少なくとも1個の官能基を有する有機金属アルキルリチウム(例、アルキルリチウム化合物、例えばメチルリチウム、n−ブチルリチウム、又はn−ヘキシルリチウム)、或いはシラン(例、ヘキサメチルジシラザン、オクチルトリメトキシシラン)、特にハロゲン化シラン(例、トリメチルクロロシラン又はジクロロジメチルシラン)と反応させる。
【0049】
粒子状の疎水性固体における疎水性とは、その溶解度が一般に1g/L未満、好ましくは0.3g/L未満である(室温で測定)ことを意味すると理解されるべきである。
【0050】
無機固体は、本質的に多孔性であることが好ましい。多孔構造は、ドイツ標準DIN66131に準拠して測定されたBET表面積で特性化することが最も好ましい。使用される無機固体のBET表面積は、一般に5〜1000m2/gであり、10〜800m2/gが好ましく、さらに20〜500m2/gが好ましい。
【0051】
本発明の一態様において、疎水性固体の少なくとも1種は、粒子状のものである。中央値粒径の尺度(メジアン値、数平均)は、少なくとも1nmが一般的で、少なくとも3nm、さらに少なくとも6nmが好ましい。最大の粒径(メジアン値、数平均)は、350nmが一般的で、100nmが好ましい。粒径は、透過型電子顕微鏡等の通常使用される方法を用いて測定することができる。
【0052】
有機ポリマーの、有機又は無機の粒子状固体に対する質量比は、一般に9:1〜1:9の範囲であり、4:1〜1:4の範囲、さらに7:3〜4:6の範囲が好ましい。
【0053】
本発明の一態様において、少なくとも一種の疎水性固体が、球形粒子の形態で存在していることであり、そして少なくとも75質量%、好ましくは少なくとも90%が球形で存在し、残りの粒子が顆粒状で存在する粒子状固体を包含する。
【0054】
本発明の一態様において、少なくとも1種の疎水性固体は凝集体を形成している。1種以上の疎水性固体が凝集体で存在している場合(凝集体は2〜数千の一次粒子から構成され、それぞれ球状である)、粒子状及び寸法に関する詳細は一次粒子に関するものである。
【0055】
本発明の方法で使用される少なくとも一種の液は、イオン性又は非イオン性の乳化剤の群から選択される少なくとも一種の界面活性剤を含むことができる。
【0056】
有用な非イオン性乳化剤としては、例えば、エトキシル化モノ−、ジ−及びトリ−アルキルフェノール(エトキシル化度:3〜50;アルキル基:C4〜C12)、及びエトキシル化脂肪アルコール(エトキシル化度:3〜80;アルキル基:C8〜C36)を挙げることができる。その例としては、LutensolRグレード(BASFアクチェンゲゼルシャフト製)又はTritonRグレード(Union Carbide社製)を挙げることができる。
【0057】
有用なアニオン性乳化剤としては、例えば、硫酸アルキル(アルキル基:C8〜C12)のアルカリ金属及びアンモニウム塩、エトキシル化アルカノール(エトキシル化度:4〜30;アルキル基:C12〜C18)の硫酸モノエステルのアルカリ金属及びアンモニウム塩、エトキシル化アルキルフェノール(エトキシル化度:3〜50;アルキル基:C4〜C12)の硫酸モノエステルのアルカリ金属及びアンモニウム塩、アルキルスルホン酸(アルキル基:C12〜C18)のアルカリ金属及びアンモニウム塩、及びアルキルアリールスルホン酸(アルキル基:C9〜C18)のアルカリ金属及びアンモニウム塩を挙げることができる。
【0058】
有用なカチオン性乳化剤は、一般に、C6〜C18−アルキル−、C6〜C18−アラルキル−又はヘテロ環−含有の1級、2級、3級又は4級アンモニウム塩、アルカノールアンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、オキサゾリニウム塩、モルホリニウム塩、チアゾリニウム塩、及びさらにアミンオキシドの塩、キノリニウム塩、イソキノリニウム塩、トロピリウム塩、スルホニウム塩及びホスホニウム塩である。その例として、酢酸ドデシルアンモニウム又は対応する塩酸塩、種々の2−(N,N,N−トリメチルアンモニウム)エチルパラフィン酸エステルの塩化物又は酢酸塩、N−セチルピリジニウムクロリド、N−ラウリルピリジニウムスルフェート、またN−セチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムブロミド、N−ドデシル−N,N,N−トリメチルアンモニウムブロミド、N,N−ジステアリル−N,N−ジメチルアンモニウムクロリド、及びGermini界面活性剤N,N−(ラウリルジメチル)エチレンジアミンジブロミドを挙げることができる。さらに夥しい例が、H.Stache,Tensid−Taschenbuch,Carl−Hanser−Verlag,Munich,Vienna,1981及びMcCutcheon’s,Emulsifiers & Detergents,MC Publishing Company, Glen Rock, 1989に記載されている。
【0059】
極めて特に好ましい例として、例えばエチレンと、少なくとも1種のα,β−不飽和モノ−若しくはジ−カルボン酸、又はα,β−不飽和モノ−若しくはジ−カルボン酸の少なくとも1種の無水物(例、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、メチレンマロン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸)との共重合体を挙げることができる。カルボキシル基は、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウム又はアミン(例、トリエチルアミン、ジエチルアミン、エチルアミン、トリメチルアミン、ジメチルアミン、メチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−(n−ブチル)ジエタノールアミン又はN,N−ジメチルエタノールアミン)で、部分的又は全体的に中和され得る。
【0060】
液中の乳化剤の割合は、広い範囲から選択することができ、一般に0.1〜100g/Lの範囲、好ましくは0.2〜10g/Lの範囲から選択することができる。
【0061】
本発明の方法は、織物材料を少なくとも1種の水性液で処理することにより行われる。同一又は異種の液を用いて複数の処理工程を実施することも可能である。
【0062】
本発明の一態様において、本発明の方法は、織物を、まず少なくとも一種の有機ポリマー及びさらに有機又は好ましくは無機の粒子状固体で処理する工程、及び次いで有機ポリマーを含むが、有機又は無機の粒子状固体を含まない新しい液で処理する工程を含んでいる。
【0063】
本発明の一態様において、本発明の方法は、織物を、まず少なくとも一種の有機ポリマー及びさらに有機又は好ましくは無機の粒子状固体で処理する工程、及び次いで別の有機ポリマーを含むが、有機又は無機の粒子状固体を含まない新しい液で処理する工程を含んでいる。
【0064】
本発明の一態様において、本発明の方法は、織物を、まず少なくとも一種の有機ポリマー及びさらに有機又は好ましくは無機の粒子状固体で処理する工程、及び次いで有機ポリマーを含まないが、第1工程で使用した無機の粒子状固体を含む新しい液で処理する工程を含んでいる。
【0065】
本発明の方法を行う際の温度は、それ自体は臨界的ではない。液温度は、一般に10〜60℃の範囲であり、15〜30℃が好ましい。
【0066】
本発明の方法の処理パラメータは、本発明の方法により、一般に25〜85質量%、好ましくは40〜70質量%の範囲にあるウエットピックアップ(wet pickup)を製造することができるように選択される。
【0067】
本発明の方法は、織物の仕上げに通常使用される機械、例えばパッダ(pad-mangle)で行うことができる。実質的な素子が、相互に接触する2個のロールであって、そしてその間に織物を案内する、垂直織物搬送パッド(vertical textile feed pad-mangle)が好ましい。液はロール上に満たされ、織物を濡らす。圧力により、織物がはさまれ、押し出され、一定の付加物が保証される。
【0068】
本発明の一態様において、パッダの織物搬送速度は、一般に1〜40m/分の範囲、好ましくは1〜30m/分の範囲である。
【0069】
本発明に従い処理した後の処理織物は、織物工業において慣用の方法により乾燥され得る。
【0070】
本発明の処理は、連続又はバッチで行われる加熱処理の後に行うことができる。加熱処理の時間は、広い範囲で選択することができる。加熱処理は、原則として約10秒〜約30分間、好ましくは約30秒〜約5分間で行うことができる。加熱処理は、一般に180℃以下の温度、好ましくは150℃以下の温度に加熱することにより行われる。勿論、加熱処理の温度を布の感受性に適合させることが必要である。
【0071】
加熱処理の好適な方法の例としては熱風乾燥を挙げることができる。
【0072】
本発明の一態様において、織物材料には、本発明の処理の前に、結合層を設ける。結合層は、プライマーを用いて設けることができる。プライマーの塗布は、染色合成繊維を仕上げる場合に行うことが好ましい。
【0073】
本発明の一態様において、処理すべき織物材料に塗布された結合層が、例えば、一種以上のポリマーとすることができ、この場合ポリマーの合成を織物材料上で行うことも可能である。特に有用なポリマーは、架橋した又は架橋する基を有しており、例えば天然又は合成ポリマーは遊離のヒドロキシル基、カルボニル基、1級又は2級のアミノ基又はチオール基を有している。極めて有用なポリマーの例としては、リグニン、ポリサッカライド、ポリビニルアルコール、及びポリエチレンイミンである。架橋は、例えば、イソシアネート、ジメチロール尿素又はN,N−ジメチロール−4,5−ジヒドロキシエチレン尿素(DMDHEU)とのその後の反応により行われる。他の特に好ましい架橋剤は、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂(メタノールでエーテル化されていても良い)である。
【0074】
別の態様において、ポリエステル又はポリアミドを処理する場合、織物の0.01〜1質量%、好ましくは0.1〜0.5質量%を、水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液等の強塩基で部分鹸化により鹸化する。
【0075】
さらに本発明は、本発明の方法により仕上げられた織物材料も提供する。本発明の仕上げでは、本発明の織物に1つ以上の被覆層(coat)を設ける。本発明の織物材料は特に良好な汚物(汚水)及び水を寄せ付けない特性(撥汚物性、撥水性)を示す。本発明の織物材料は、さらに極めて良好な機械強度を示す。本発明に従い被覆された織物材料においては、使用される固体が、仕上げ被覆層全域に亘って等方性又は実質的に等方性に分布している。即ち、仕上げ被覆層と周囲の雰囲気との間の境界層において集中は見られない。一態様において、本発明の織物は、一般に0.5〜50g/m2、好ましくは1〜20g/m2、さらに好ましくは1.5〜10g/m2の被覆層を含んでいる。
【0076】
さらに本発明は、少なくとも1種の有機ポリマー及び少なくとも1種の有機又は無機の粒子状固体を含む、織物材料を仕上げるための水性液であって、有機又は無機の固体が、少なくとも5.5g/Lの割合で上記水性液中に存在していることを特徴とする水性液も提供する。本発明の水性液は、さらなる成分、例えば1種以上の有機溶剤又は1種以上の乳化剤を含むことができる。
【0077】
本発明は、織物材料を仕上げるために本発明の液を使用する方法も提供する。
【0078】
本発明は、さらに水性液を製造する方法(以下本発明の製法という)も提供する。本発明の製法は、下記の成分:
少なくとも1種の有機ポリマー、
少なくとも1種の有機又は無機の粒子状固体、
水、及び
任意に1種以上の有機溶剤、及び
任意に別の成分、例えば1種以上の乳化剤を、
有機又は無機の粒子状固体の量を、有機又は無機の固体が、少なくとも5.5g/Lの割合で上記水性液中に存在するように選択した状態で、混合することを含んでいる。
【0079】
本発明の製法は、室温〜約100℃の範囲の温度で通常行われ、室温が好ましい。
【0080】
本発明の製法は、一般に、均一化工程、例えば機械的又は空気式の撹拌、振とう、超音波又はこれらの組合せを包含している。
【0081】
成分を添加する順序は、基本的には自由に選択することができる。例えば、第1工程を、ポリマーと有機又は無機の固体との、水及び溶剤を含まない混合物を調製し、その後そのドライ混合物を有機溶剤又は水と有機溶剤の混合物又は水に分散させることにより行う。
【0082】
本発明の製法の一態様において、開始工程では、有機ポリマー、有機又は無機の粒子状固体、任意に1種以上の有機溶剤、及び任意に1種以上の乳化剤、そしてさらに任意に水を含む配合物を調製する。本発明の方法で織物材料の処理を実施する前に、本発明の液を上記配合物を水で希釈することにより製造する。本発明の配合物は、15質量%以下、好ましくは約0.1〜10質量%、さらに好ましくは5質量%以下の水を含むことが好ましい。本発明の配合物はまた水を含まなくても良い。
【0083】
本発明は、さらに有機ポリマー、有機又は無機の粒子状固体、任意に1種以上の有機溶剤、及び任意に1種以上の乳化剤、及びさらに任意に水を含み、且つ水の割合が約0.1〜10質量%、さらに好ましくは約5質量%であることを特徴とする配合物も提供する。
【0084】
本発明を説明する実施例を以下に示す。
【実施例】
【0085】
[実施例1](本発明の液の製造)
実施例1.1(液1.1の製造)
下記の配合を機械的撹拌によりフラスコ内で混合した:
883.5mlの脱塩水、
62.4gのランダム共重合体の水性分散液(固形分20質量%){この共重合体は10質量%のメタクリル酸及び90質量%の下記の化合物:
【0086】
【化5】

から形成され、Mn3000g/モル(ゲル透過クロマトグラフィ)を有する}、
15.6gのランダム共重合体の水性分散液(固形分20質量%){この共重合体は20質量%のアクリル酸及び80質量%のエチレンから形成され、Mw20000g/モルを有し、N,N−ジメチルエタノールアミンでpH8.5と9.5の間に中和されている}、及び
25.2gのイソプロパノール。
【0087】
その後、13.3gのジメチルシロキサン変性熱分解シリカ{BET表面積:225m2/g(ドイツ標準DIN66131に従い測定)、一次粒径:10nm(メジアン値、数平均)}を添加し、混合物中に10分間分散させ(Ultraturrax撹拌器)、水性液1.1を得た。
【0088】
実施例1.2(液1.2の製造)
下記の配合を機械的撹拌によりフラスコ内で混合した:
899.5mlの脱塩水、
52.4gのランダム共重合体の水性分散液(固形分20質量%){この共重合体は10質量%のメタクリル酸及び90質量%の下記の化合物:
【0089】
【化6】

から形成され、Mn2900g/モル(ゲル透過クロマトグラフィ)を有する}、
14.6gのランダム共重合体の水性分散液(固形分20質量%){この共重合体は20質量%のアクリル酸及び80質量%のエチレンから形成され、Mw20000g/モルを有し、N,N−ジメチルエタノールアミンでpH8.5と9.5の間に中和されている}、及び
25.2gのイソプロパノール。
【0090】
その後、8.3gのトリメチルシロキサン変性熱分解シリカ{BET表面積:200m2/g(ドイツ標準DIN66131に従い測定)、一次粒径:10nm(メジアン値、数平均)}を添加し、混合物中に10分間分散させ(Ultraturrax撹拌器)、水性液1.2を得た。
【0091】
実施例1.3(液1.3の製造)
下記の配合を機械的撹拌によりフラスコ内で撹拌した:
884.5mlの脱塩水、
66.3gのランダム共重合体の水性分散液(固形分20質量%){この共重合体は10質量%のメタクリル酸及び90質量%の下記の化合物:
【0092】
【化7】

から形成され、Mn3000g/モル(ゲル透過クロマトグラフィ)を有する}、
13.8gのランダム共重合体の水性分散液(固形分20質量%){この共重合体は20質量%のアクリル酸及び80質量%のエチレンから形成され、Mw20000g/モルを有し、N,N−ジメチルエタノールアミンでpH8.5と9.5の間に中和されている}、及び
30.2gのイソプロパノール。
【0093】
その後、5.2gのジメチルシロキサン変性熱分解シリカ{BET表面積:225m2/g(ドイツ標準DIN66131に従い測定)、一次粒径:10nm(メジアン値、数平均)}を添加し、混合物中に10分間分散させ(Ultraturrax撹拌器)、水性液1.3を得た。
【0094】
実施例1.4(液1.4の製造)
下記の配合を機械的撹拌によりフラスコ内で撹拌した:
886.3mlの脱塩水、
20.8gのランダム共重合体の水性分散液(固形分20質量%){この共重合体は10質量%のメタクリル酸及び90質量%の下記の化合物:
【0095】
【化8】

から形成され、Mn3000g/モル(ゲル透過クロマトグラフィ)を有する}、
57gのランダム共重合体の水性分散液(固形分20質量%){この共重合体は20質量%のアクリル酸及び80質量%のエチレンから形成され、Mw25000g/モルを有し、N,N−ジメチルエタノールアミンでpH8.5と9.5の間に中和されている}、及び
28.4gのイソプロパノール。
【0096】
その後、7.5gのジメチルシロキサン変性熱分解シリカ{BET表面積:225m2/g(ドイツ標準DIN66131に従い測定)、一次粒径:10nm(メジアン値、数平均)}を添加し、混合物中に10分間分散させ(Ultraturrax撹拌器)、水性液1.4を得た。
【0097】
[実施例2](織物仕上げ)
実施例2.1
220g/m2の基本重量(坪量)のポリエステル織布を、パッダ(Mathis社製、モデルHVF12085)上において液1.1で処理した。ロールの絞り圧力は2.6バールであった。これにより60%のウエットピックアップを製造した。塗布速度は2m/分であった。次いで、処理されたポリエステル織布を、120℃のテンターで乾燥した。最終加熱処理を、循環空気を用いて150℃で3分間行った。処理されたポリエステル織布2.1を得た。
【0098】
実施例2.2
160g/m2の基本重量(坪量)のポリアミド織布を、パッダ(Mathis社製、モデルHVF12085)上において液1.1で処理した。ロールの絞り圧力は2.6バールであった。これにより65%のウエットピックアップを製造した。塗布速度は2m/分であった。次いで、処理されたポリアミド織布を、120℃のテンターで乾燥した。最終加熱処理を、循環空気を用いて150℃で3分間行った。処理されたポリアミド織布2.2を得た。
【0099】
実施例2.3
295g/m2の基本重量(坪量)のポリアクリル織布を、パッダ(Mathis社製、モデルHVF12085)上において液1.1で処理した。ロールの絞り圧力は2.6バールであった。これにより50%のウエットピックアップを製造した。塗布速度は2m/分であった。次いで、処理されたポリアクリル織布を、120℃のテンターで乾燥した。最終加熱処理を、循環空気を用いて150℃で3分間行った。処理されたポリアクリル織布2.3を得た。
【0100】
実施例2.4
220g/m2の基本重量(坪量)のポリエステル織布を、パッダ(Mathis社製、モデルHVF12085)上において液1.2で処理した。ロールの絞り圧力は2.6バールであった。これにより60%のウエットピックアップを製造した。塗布速度は2m/分であった。次いで、処理されたポリアミド織布を、120℃のテンターで乾燥した。最終加熱処理を、循環空気を用いて150℃で3分間行った。処理されたポリエステル織布2.4を得た。
【0101】
実施例2.5
160g/m2の基本重量(坪量)のポリアミド織布を、パッダ(Mathis社製、モデルHVF12085)上において液1.2で処理した。ロールの絞り圧力は2.6バールであった。これにより65%のウエットピックアップを製造した。塗布速度は2m/分であった。次いで、処理されたポリアミド織布を、120℃のテンターで乾燥した。最終加熱処理を、循環空気を用いて150℃で3分間行った。処理されたポリアミド織布2.5を得た。
【0102】
実施例2.6
295g/m2の基本重量(坪量)のポリアクリル織布を、パッダ(Mathis社製、モデルHVF12085)上において液1.2で処理した。ロールの絞り圧力は2.6バールであった。これにより50%のウエットピックアップを製造した。塗布速度は2m/分であった。次いで、処理されたポリアミド織布を、120℃のテンターで乾燥した。最終加熱処理を、循環空気を用いて150℃で3分間行った。処理されたポリアクリル織布2.6を得た。
【0103】
3.本発明に従い処理された織物サンプルの撥水試験
本発明に従い処理された試験されるべき織物サンプルを、手で引張り、傾斜が1°〜90°の範囲で連続的に調整可能である平坦な木製ボードに釘で固定した。その後、カニューレ(cannula)を用いて、10mmの高さから、単一の水滴を織物サンプルに滴下した。水滴は4.7mgの質量であった。傾斜角度を徐々に増加させ、玉になって動き出し、付着の痕跡がなくなる傾斜角度まで、徐々に増加させた。その結果を表1に示す。
【0104】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の有機ポリマー及び少なくとも1種の有機又は無機の粒子状固体を含む少なくとの1種の水性液を用いて織物材料を処理することにより、織物材料を仕上げる方法であって、該有機又は無機の固体が、少なくとも5.5g/Lの割合で上記水性液中に存在していることを特徴とする方法。
【請求項2】
少なくとも1種の有機又は無機の固体が疎水性である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
処理前に、織物の表面に結合層を設ける請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
固体が、少なくとも1種の無機の固体である請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
有機又は無機の固体が、少なくとも7g/Lの割合で上記水性液中に存在している請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
有機又は無機の固体が、1〜350nmの範囲の粒径(メジアン値、数平均)を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法により仕上げられた織物材料。
【請求項8】
少なくとも1種の有機ポリマー及び少なくとも1種の有機又は無機の粒子状固体を含む水性液であって、有機又は無機の固体が、少なくとも5.5g/Lの割合で上記水性液中に存在していることを特徴とする水性液。
【請求項9】
織物材料を仕上げるために、請求項8に記載の水性液を使用する方法。
【請求項10】
下記の成分:
少なくとも1種の有機ポリマー、
少なくとも1種の有機又は無機の粒子状固体、
水、及び
任意に1種以上の有機溶剤、及び
任意に別の成分
を混合することにより請求項8に記載の水性液を製造する方法であって、
有機又は無機の粒子状固体の量を、該有機又は無機の粒子状固体が、少なくとも5.5g/Lの割合で上記水性液中に存在するように選択することを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項8に記載の水性液を製造するために配合物を使用する方法であって、
上記配合物が、有機ポリマー、有機又は無機の粒子状固体、任意に1種以上の有機溶剤、及び任意に1種以上の乳化剤、及びさらに任意に水を含み、そして水の割合が15質量%以下であることを特徴とする使用方法。
【請求項12】
有機ポリマー、有機又は無機の粒子状固体、任意に1種以上の有機溶剤、及び任意に1種以上の乳化剤、及びさらに任意に水を含み、且つ水の割合が15質量%以下であることを特徴とする配合物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の有機ポリマー、及び1〜350nmの範囲のメジアン粒径(数平均)を有する少なくとも1種の有機又は無機の粒子状固体、そしてエチレンと、少なくとも1種のα,β−不飽和モノ−若しくはジ−カルボン酸又は少なくとも1種のα,β−不飽和モノ−若しくはジ−カルボン酸の無水物との共重合体から選択される少なくとも1種の乳化剤を含む少なくとも1種の水性液を用いて織物材料を処理することにより、織物材料を仕上げる方法であって、該有機又は無機の固体が、少なくとも5.5g/Lの割合で上記水性液中に存在していることを特徴とする方法。
【請求項2】
少なくとも1種の有機又は無機の固体が疎水性である請求項1に記載の方法。
【請求項3】
処理前に、織物の表面に結合層を設ける請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
固体が、少なくとも1種の無機の固体である請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
有機又は無機の固体が、少なくとも7g/Lの割合で上記水性液中に存在している請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
有機又は無機の固体が、1〜350nmの範囲の粒径(メジアン値、数平均)を有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法により仕上げられた織物材料。
【請求項8】
少なくとも1種の有機ポリマー、及び1〜350nmの範囲のメジアン粒径(数平均)を有する少なくとも1種の有機又は無機の粒子状固体、そしてエチレンと、少なくとも1種のα,β−不飽和モノ−若しくはジ−カルボン酸又は少なくとも1種のα,β−不飽和モノ−若しくはジ−カルボン酸の無水物との共重合体から選択される少なくとも1種の乳化剤を含む水性液であって、有機又は無機の固体が、少なくとも5.5g/Lの割合で上記水性液中に存在していることを特徴とする水性液。
【請求項9】
織物材料を仕上げるために、請求項8に記載の水性液を使用する方法。
【請求項10】
下記の成分:
少なくとも1種の有機ポリマー、
1〜350nmの範囲のメジアン粒径(数平均)を有する少なくとも1種の有機又は無機の粒子状固体、
エチレンと、少なくとも1種のα,β−不飽和モノ−若しくはジ−カルボン酸又は少なくとも1種のα,β−不飽和モノ−若しくはジ−カルボン酸の無水物との共重合体から選択される少なくとも1種の乳化剤、
水、及び
適宜に1種以上の有機溶剤、及び
適宜に別の成分
を混合することにより請求項8に記載の水性液を製造する方法であって、
有機又は無機の粒子状固体の量を、有機又は無機の粒子状固体が、少なくとも5.5g/Lの割合で上記水性液中に存在するように選択することを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項8に記載の水性液を製造するために配合物を使用する方法であって、
上記配合物が、少なくとも1種の有機ポリマー、1〜350nmの範囲のメジアン粒径(数平均)を有する少なくとも1種の有機又は無機の粒子状固体、適宜に1種以上の有機溶剤、エチレンと、少なくとも1種のα,β−不飽和モノ−若しくはジ−カルボン酸又は少なくとも1種のα,β−不飽和モノ−若しくはジ−カルボン酸の無水物との共重合体から選択される少なくとも1種の乳化剤、及びさらに適宜に水を含み、そして水の割合が15質量%以下であることを特徴とする使用方法。
【請求項12】
有機ポリマー、1〜350nmの範囲のメジアン粒径(数平均)を有する有機又は無機の粒子状固体、適宜に1種以上の有機溶剤、及びエチレンと、少なくとも1種のα,β−不飽和モノ−若しくはジ−カルボン酸又は少なくとも1種のα,β−不飽和モノ−若しくはジ−カルボン酸の無水物との共重合体から選択される少なくとも1種の乳化剤、及びさらに適宜に水を含み、且つ水の割合が15質量%以下であることを特徴とする配合物。

【公表番号】特表2006−518012(P2006−518012A)
【公表日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501652(P2006−501652)
【出願日】平成16年1月29日(2004.1.29)
【国際出願番号】PCT/EP2004/000776
【国際公開番号】WO2004/074568
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(595123069)ビーエーエスエフ アクチェンゲゼルシャフト (847)
【氏名又は名称原語表記】BASF Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】