説明

置換テトラヒドロβ−カルボリンの製造方法

本明細書では、置換テトラヒドロβ-カルボリン誘導体の改善された合成プロセスが提供される。詳細には、本明細書では、式(I)の(S)-4-クロロフェニル6-クロロ-1-(4-メトキシフェニル)-3,4-ジヒドロ-1H-ピリド[3,4-b]インドール-2(9H)-カルボキシラートを製造するのに有用な改善されたプロセスが提供される。
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、引用によりその全体であらゆる目的のために本明細書中に組み込まれている2009年5月27日に出願の米国特許仮出願第61/181652号に基づく優先権の利益を主張する。
(1. 分野)
本明細書では、置換テトラヒドロβ-カルボリン誘導体の合成プロセスが提供される。詳細には、本明細書では、(S)-4-クロロフェニル6-クロロ-1-(4-メトキシフェニル)-3,4-ジヒドロ-1H-ピリド[3,4-b]インドール-2(9H)-カルボキシラートを製造するのに有用なプロセスが提供される。
【背景技術】
【0002】
(2. 背景)
置換テトラヒドロβ-カルボリン誘導体は、生物活性を有することが示されている。各々が引用によりその全体で本明細書中に組み込まれている国際公開第2005/089764号、国際公開第2006/113703号、国際公開第2008/127715号及び国際公開第2008/127714号を参照されたい。
【0003】
置換テトラヒドロβ-カルボリン誘導体の合成方法は、国際公開第2005/089764号及び国際公開第2006/113703号中に記載されている。これらの方法は、置換テトラヒドロβ-カルボリン誘導体の各種調製方法を開示しているが、代替の又は改善されたそれらの調製方法、とりわけ大規模で環境に優しい製造方法が、なお求められている。
【0004】
本出願中でのいずれの参考文献の引用も、このような参考文献が本出願にとって先行技術であることを承認するものと解釈すべきでない。
【発明の概要】
【0005】
(3. 発明の要旨)
本明細書では、置換テトラヒドロβ-カルボリン誘導体の合成プロセスが提供される。置換テトラヒドロβ-カルボリン誘導体は、VEGF産生の阻害において特定の治療的価値を有することが示されている。国際公開第2005/089764号、国際公開第2006/113703号、国際公開第2008/127715号及び国際公開第2008/127714号を参照されたい。
【0006】
本明細書では、式(II)の化合物の製造方法であって、
【化1】

i)式(IV)の化合物をキラル酸の混合物と、第1溶媒混合物中で反応させる工程、及び
【化2】

ii)該反応生成物を第2溶媒混合物中で再結晶して式(II)の化合物を提供する工程を含み、
式中、Xはハロゲンであり;且つ
Rは置換又は非置換のC1〜C8アルキルである、前記製造方法が提供される。
【0007】
本明細書では、さらに、式(II)の化合物の製造方法であって、
【化3】

約1当量の式(IV)の化合物を約0.5当量のキラル酸と、約1〜約5(容積/容積)%の範囲の水:溶媒の比率で水と溶媒とを含む第1溶媒混合物中で反応させて式(II)の化合物を提供することを含み、
【化4】

式中、Xはハロゲンであり;且つ
Rは置換又は非置換のC1〜C8アルキルである、前記製造方法が提供される。
【0008】
本明細書では、さらに、式(I)の化合物、或いはその医薬として許容し得る塩、水和物又は溶媒和物の製造方法であって、
【化5】

i)式(IV)の化合物をキラル酸と第1溶媒混合物中で反応させて式(II)の化合物を提供する工程
【化6】

(式中、Xはハロゲンであり、且つRは置換又は非置換のC1〜C8アルキルである)、及び
ii)式(II)の化合物を式(III)の化合物と、塩基、及び水と溶媒とを含む第2溶媒混合物の存在下で反応させて式(I)の化合物を提供する工程
【化7】

(式中、Xは、出現する毎に独立にハロゲンであり、且つRは置換又は非置換のC1〜C8アルキルである)を含む、前記製造方法が提供される。
【0009】
一実施態様において、第1溶媒混合物は、約1〜約5(容積/容積)%の範囲の水:溶媒の比率の、水と溶媒との混合物である。
【0010】
一実施態様において、第1溶媒混合物の比率は、約2〜約5(容積/容積)%の水:溶媒の範囲にある。
【0011】
別の実施態様において、第1溶媒混合物中の溶媒は、C1〜C8飽和アルコール又はそれらの混合物である。
【0012】
別の実施態様において、第1溶媒混合物中の溶媒は、メタノール、エタノール、1-プロパノール、1-ブタノール、又はこれらの混合物である。
【0013】
別の実施態様において、第1溶媒混合物中の溶媒は、メタノール、エタノール、又はこれらの混合物である。
【0014】
別の実施態様において、第1溶媒混合物中の溶媒は、エタノールである。
【0015】
一実施態様において、第2溶媒混合物中の溶媒は、iPrOAc、EtOAc、MTBE、MEK、DCM、DCE、トルエン、DMA、又はこれらの混合物である。
【0016】
別の実施態様において、第2溶媒混合物中の溶媒は、EtOAc又はMEK、或いはこれらの混合物である。
【0017】
別の実施態様において、第2溶媒混合物中の溶媒はMEKである。
【0018】
一実施態様において、式(I)の化合物は、式(X)の化合物である。
【化8】

【発明を実施するための形態】
【0019】
(4. 発明の詳細な説明)
(4.1 用語)
本明細書中で使用する場合、用語「ハロゲン」及び「ハロ」は、フッ素、塩素、臭素、及びヨウ素から独立に選択される置換基を指す。
【0020】
本明細書中で使用する場合、用語「アルキル」は、限定はされないが、一般に、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、オクチル、n-オクチルなどを含む、直鎖又は分岐鎖の配置を有する飽和ヒドロカルビル基を指す。一部の実施態様において、用語「アルキル」は、C1〜C8、C1〜C6、又はC1〜C4アルキルを包含する。
【0021】
適切なアルキル置換基の例は、水素;或いはハロゲン、ヒドロキシル、C1〜C8アルコキシ、C2〜C8アルキレンから選択される1つ以上の置換基;-C(O)-Rn;-C(O)O-Rb;-C(O)-NH-Rb;C3〜C14シクロアルキル;アリール;ヘテロアリール;ヘテロシクリル;ヒドロキシル、ハロゲン、C1〜C4アルコキシ、アミノ、アルキルアミノ、アセトアミド、-C(O)-Rb、-C(O)O-Rb、アリール、3〜12員の複素環、又は5〜12員のヘテロアリールから独立に選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよいC1〜C8アルキルを含み、さらにここで、該アルキルアミノは、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ、又はC1〜C4アルキルで置換されていてもよい5〜12員のヘテロアリールで置換されていてもよく、さらにここで、該アセトアミドは、C1〜C4アルコキシ、スルホニル、又はアルキルスルホニルで置換されていてもよく、さらにここで、該3〜12員の複素環は、ヒドロキシル、-C(O)-Rn、-C(O)O-Rn、又はオキソで置換されていてもよいC1〜C4アルキルで置換されていてもよく、さらにここで、該アミノは、C1〜C4アルコキシカルボニル、イミダゾール、イソチアゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピロール、チアゾール、又はC1〜C6アルキルで置換されたスルホニルで置換されていてもよく、ここで、ピリジン及びチアゾールは、それぞれ、C1〜C4アルキルで置換されていてもよく;
ここで、Rbは、ヒドロキシル;アミノ;ヒドロキシル、アミノ、アルキルアミノ、C1〜C4アルコキシ、C1〜C6アルキル、オキソ、-C(O)O-Rnから独立に選択される1つ以上で置換されていてもよい3〜12員の複素環、又はC1〜C4アルキルで置換されていてもよい5〜12員のヘテロアリールで置換されていてもよいアルキルアミノ;C1〜C4アルコキシ;C2〜C8アルケニル;C2〜C8アルキニル;アリール(ここで、該アリールは、ハロゲン又はC1〜C4アルコキシから独立に選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい);5〜12員のヘテロアリール;アセトアミド、-C(O)O-Rn、5〜6員の複素環、又はヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ、アミノ、若しくはアルキルアミノで置換されていてもよいC1〜C6アルキルから独立に選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよい3〜12員の複素環;又はC1〜C4アルコキシ、アリール、アミノ、若しくは3〜12員の複素環から独立に選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよいC1〜C8アルキルであり、ここで、該アミノ及び3〜12員の複素環は、C1〜C6アルキル、オキソ、又は-C(O)O-Rnから独立に選択される1つ以上の置換基で置換されていてもよく、且つここで、Rnは、ヒドロキシル、C1〜C4アルコキシ、アミノ、又はC1〜C6アルキルである。
【0022】
本明細書中で使用する場合であって、且つそうでないことを指摘しない限り、用語「製造方法(複数可)」又は「製造するための方法(複数可)」は、本明細書中で開示される化合物を調製するのに有用である、本明細書中で開示される方法を指す。本明細書中で開示される方法に対する修正(例えば、出発原料、試薬、保護基、溶媒、温度、反応時間、精製)も、本明細書中で提供される方法及びプロセスに包含される。
【0023】
本明細書中で使用する場合であって、且つそうでないことを指摘しない限り、用語「添加する」、「反応させる」又は「〜の存在下で」などは、ある反応物、試薬、溶媒、触媒、反応基などを、別の反応物、試薬、溶媒、触媒、反応基などと接触させることを意味する。反応物、試薬、溶媒、触媒、反応基などは、そうでないことを指定しない限り、個々に、同時又は別々に添加することができ、且つ任意の順序で添加することができる。それらは、加熱の存在又は不在下で添加することができ、且つ任意選択で不活性雰囲気下で添加することもできる。「反応させる」は、インサイチュ(in situ)での形成又は反応基が同一分子中に存在する分子内反応を指す。
【0024】
本明細書中で使用する場合、用語「医薬として許容し得る塩(複数可)」は、無機の酸及び塩基、並びに有機の酸及び塩基を含む、医薬として許容し得る非毒性の酸又は塩基から調製される塩を指す。本明細書中で提供される化合物の医薬として許容し得る適切な塩基付加塩としては、限定はされないが、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム及び亜鉛から調製される金属塩、又はリシン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N-メチルグルカミン)及びプロカインから調製される有機塩が挙げられる。非毒性の適切な酸としては、限定はされないが、酢酸、アルギン酸、アントラニル酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、フロ酸、ガラクツロン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グリコール酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、フェニル酢酸、リン酸、プロパン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、硫酸、酒石酸、及びp-トルエンスルホン酸などの無機及び有機酸が挙げられる。特定の非毒性酸としては、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、及びメタンスルホン酸が挙げられる。その他のものも当技術分野で周知であり、例えば、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」第18版、Mack Publishing、Easton、PA(ペンシルヴェニア)州、(1990)又は「Remington:The Science and Practice of Pharmacy」第19版、Mack Publishing、Easton、PA(ペンシルヴェニア)州、(1995)を参照されたい。
【0025】
本明細書中で使用する場合、「約」は、生じるプロセス(process)が記載値でのプロセス(process)と実質的に同一である、所定値を中心とした範囲を意味する。一実施態様において、「約」は、所定の値又は範囲の25%以内を意味する。例えば、ある化合物がある組成物中に「70重量%」で存在するとは、該成分が52重量%〜88重量%で存在するすべての組成物を少なくとも包含する。別の実施態様において、「約」は、所定の値又は範囲の10%以内を意味する。例えば、ある成分がある組成物中に「70重量%」で存在するとは、該成分が63重量%〜77重量%で存在するすべての組成物を少なくとも包含する。
【0026】
基又は試薬に関する頭字語又は記号は、次のように定義される:
AUC=曲線下面積、DCE=ジクロロエタン、DCM=ジクロロメタン、DMA=ジメチルアセトアミド、EtOAc=酢酸エチル、HPLC=高速液体クロマトグラフィー、IPC=インプロセス制御/試験、iPrOAc=酢酸イソプロピル、MEK=メチルエチルケトン、MTBE=メチルtert-ブチルエーテル、VEGF=血管内皮細胞増殖因子。
【0027】
(4.2 プロセス)
本明細書では、一実施態様において、式(I)のテトラヒドロβ-カルボリン誘導体、或いはその医薬として許容し得る塩、水和物又は溶媒和物の製造方法が提供される。
【化9】

式中、Xは、出現する毎に独立にハロゲンであり、Rは置換又は非置換のC1〜C8アルキルである。
【0028】
一実施態様において、テトラヒドロβ-カルボリンは、式(Ia)の化合物、或いはその医薬として許容し得る塩、水和物又は溶媒和物である。
【化10】

式中、Xは、出現する毎に独立にハロゲンであり、且つRは置換又は非置換のC1〜C8アルキルである。
【0029】
一実施態様において、テトラヒドロβ-カルボリンは、式(I)又は(Ia)の化合物(ここで、XはClである)、或いはその医薬として許容し得る塩、水和物又は溶媒和物である。
【0030】
別の実施態様において、テトラヒドロβ-カルボリンは、式(I)又は(Ia)の化合物(ここで、Rはメチルである)、或いはその医薬として許容し得る塩、水和物又は溶媒和物である。
【0031】
特定の実施態様において、テトラヒドロβ-カルボリンは、式(I)又は(Ia)の化合物(ここで、XはClであり、且つRはメチルである)、或いはその医薬として許容し得る塩、水和物又は溶媒和物である。
【0032】
一実施態様において、テトラヒドロβ-カルボリンは、式(X)の構造を有する(S)-4-クロロフェニル6-クロロ-1-(4-メトキシフェニル)-3,4-ジヒドロ-1H-ピリド[3,4-b]インドール-2(9H)-カルボキシラートである。
【化11】

【0033】
本明細書では、一実施態様において、式(I)の化合物、或いはその医薬として許容し得る塩、水和物又は溶媒和物(ここで、Xは、出現する毎に独立にハロゲンであり、且つRは置換又は非置換のC1〜C8アルキルである)の製造方法であって、式(II)の化合物を式(III)の化合物とスキームAに示すように反応させる工程を含む製造方法が提供される。
【0034】
【化12】

【0035】
第1工程(i)では、(S)-6-クロロ-1-(4-メトキシフェニル)-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-ピリド[3,4-b]インドール(S)-2-アセトアミド-3-フェニルプロパン酸塩などの式(II)の化合物を、式(II)の化合物を水とiPrOAc、EtOAc、MTBE、MEK、DCM、DCE、トルエン、DMA又はこれらの混合物などの適切な有機溶媒とを含む第2溶媒混合物中に溶解すること、及び炭酸カリウム水溶液などの適切な塩基の最初の部分を添加することによって遊離塩基に転換する。該二相混合物を、約20〜約40℃の範囲などの適切な温度で、約1〜約4時間の範囲などの適切な時間撹拌し、次いで、水相を除去し、有機層を、約pH7.5未満などの適切なpHに到達するまで水で洗浄する。溶媒の容積を、約30℃未満などの適切な温度で真空を用いる又は用いない蒸留などの適切な方法によって、元の溶媒容積の例えば約50%まで減少させる。
【0036】
第1工程(i)の実施態様において、適切な溶媒は、EtOAc又はMEK、或いはこれらの混合物である。
【0037】
第1工程(i)の実施態様において、適切な溶媒はMEKである。
【0038】
第2工程(ii)では、炭酸カリウム水溶液などの適切な塩基の次の部分を添加し、混合物を、クロロギ酸4-クロロフェニルなどの式(III)の化合物と、約35〜約45℃未満の範囲などの適切な温度で約1〜約4時間の範囲などの適切な時間反応させる。
【0039】
第2工程(ii)の実施態様において、適切な反応温度は、約40±2℃未満である。
【0040】
第2工程(ii)からの反応混合物を、約20〜約30℃の範囲などの適切な温度まで冷却し、次いで、水相を除去する。有機層を、約pH7.5未満などの適切なpHに到達するまで水で洗浄する。有機溶液を、PE又はPPフィルターなどのインラインフィルターを経由して濾過する。第2溶媒混合物の容積を、約50℃未満などの適切な温度での真空を用いる又は用いない蒸留などの適切な方法によって、元の溶媒容積の例えば約20%まで減少させる。残留混合物を、約20〜約30℃の範囲などの適切な温度まで約1〜約4時間の範囲などの適切な時間冷却し、次いで、ヘプタンを、約1〜約4時間の範囲などの適切な時間にわたって添加する。混合物を、約20〜約30℃の範囲などの適切な温度で約1〜約4時間の範囲などの適切な時間撹拌する。
【0041】
第2工程(ii)の実施態様において、反応混合物が冷却される適切な温度は、約25±3℃であり、蒸留混合物が冷却される適切な温度は約25±3℃であり、ヘプタン混合物が撹拌される適切な温度は、約25±3℃である。
【0042】
ヘプタン混合物を、濾過し、水、及びヘプタンとの混合物中に適切な溶媒を含む第3溶媒混合物、例えば、EtOAcとヘプタンとの混合物、又はMEKとヘプタンとの混合物で洗浄し、約45〜約55℃の範囲などの適切な温度で、約1〜3日間などの適切な時間乾燥して、式(I)の目標化合物を得る。得られる式(I)の材料を、任意選択で、さらに精製することができる。例えば、式(I)の化合物を、約9倍までなどの適切な量のEtOAc又はMEKなどの適切な溶媒に取り、約85〜約90℃の範囲などの適切な温度まで加熱し、約1〜約3時間の範囲などの適切な時間撹拌する。次いで、混合物を、約20〜約30℃の範囲などの適切な温度まで約1〜約4時間の範囲などの適切な時間冷却し、ヘプタンを、約1〜約4時間の範囲などの適切な時間にわたって添加する。次いで、混合物を、濾過し、第3溶媒混合物で洗浄し、乾燥して精製された式(I)の化合物を得る。
【0043】
第2工程(ii)の一実施態様において、式(I)の混合物が冷却される適切な温度は、約25±3℃である。
【0044】
別の実施態様において、第3溶媒混合物は、MEKとヘプタンとの混合物である。
【0045】
別の実施態様において、式(I)の混合物中の溶媒はMEKである。
【0046】
本明細書では、一実施態様において、式(II)の化合物(ここで、Xはハロゲンであり、且つRは置換又は非置換のC1〜C8アルキルである)の製造方法であって、スキームBに示すように、式(IV)の化合物をキラル酸と反応させる工程を含む製造方法が提供される。
【0047】
【化13】

【0048】
第1工程(i)のキラル分割工程では、式(IV)の化合物を適切なキラル酸と、水及び適切な溶媒を含む第1溶媒混合物中で、約64〜約78℃などの適切な温度で、約15〜45分などの適切な時間反応させる。次いで、反応混合物を、約20〜30℃などの適切な温度まで、2〜4時間などの適切な時間にわたって冷却し、次いで、約20〜30℃などの適切な温度で約10〜20時間などの適切な時間撹拌する。
【0049】
反応混合物を濾過し、第2工程(ii)である再結晶工程で、エタノールなどの適切な溶媒を添加し、再結晶混合物を、約78℃などの適切な温度まで適切な時間加熱する。次いで、再結晶混合物を、約20〜30℃などの適切な温度まで2〜4時間などの適切な時間にわたって冷却し、約20〜30℃などの適切な温度で約10〜20時間などの適切な時間撹拌し、濾過し、約45〜55℃などの適切な温度で約1〜3日間などの適切な時間乾燥して式(II)の化合物を得る。
【0050】
一実施態様において、水及び溶媒を含む第1溶媒混合物は、約1〜約5(容積/容積)%の水:溶媒の範囲の比率で存在する。
【0051】
別の実施態様において、第1溶媒混合物の比率は、約2〜約5(容積/容積)%の水:溶媒の範囲にある。
【0052】
別の実施態様において、第1溶媒混合物中の溶媒は、メタノール、エタノール、1-プロパノール、1-ブタノール、又はこれらの混合物である。
【0053】
別の実施態様において、第1溶媒混合物中の溶媒は、メタノール、エタノール、又はこれらの混合物である。
【0054】
別の実施態様において、第1溶媒混合物中の溶媒はエタノールである。
【0055】
代替の実施態様において、スキームBに示すプロセスは、種晶添加キラル分割法として実施される。
【0056】
種晶添加キラル分割法の第1工程(i)であるキラル分割工程では、約1当量の式(IV)の化合物を、約0.1〜約0.5当量の範囲のキラル酸と、水と、メタノール、エタノール、1-プロパノール、又は1-ブタノール、或いはこれらの混合物などの適切な溶媒とを約1〜約5(容積/容積)%の水:溶媒の範囲の比率で含む第1溶媒混合物中で反応させる。分割混合物を、約1〜約2重量%の範囲の量の式(IV)などの適切な式(IV)の種晶と約50〜約60℃の範囲などの適切な温度で処理した。次いで、混合物を、約10〜約20℃の範囲などの適切な温度まで約1〜約2時間の範囲などの適切な時間にわたって冷却し、次いで、約10〜約20℃の範囲などの適切な温度で約1〜約2時間の範囲などの適切な時間撹拌する。
【0057】
一実施態様において、第1溶媒混合物の比率は、約2〜約5(容積/容積)%の水:溶媒の範囲にある。
【0058】
別の実施態様において、第1溶媒混合物中の溶媒は、メタノール、エタノール、又はこれらの混合物である。
【0059】
別の実施態様において、第1溶媒混合物中の溶媒は、エタノールである。
【0060】
別の実施態様において、第1溶媒混合物中の溶媒は、エタノールである。
【0061】
第1工程(i)の実施態様において、適切な種晶添加温度は、約55±3℃であり、種晶添加混合物が冷却される適切な温度は、約15±2℃であり、冷却された混合物が撹拌される適切な温度は、約15±2℃である。
【0062】
次いで、冷却された混合物を、第2工程(ii)であるスラリー洗浄工程で濾過し、第1溶媒混合物を添加し、混合物を、約20〜約25℃の範囲などの適切な温度で適切な時間撹拌する。次いで、懸濁液を、約10〜20℃の範囲などの適切な温度まで適切な時間にわたって冷却し、濾過し、約45〜約55℃の範囲などの適切な温度で約1〜3日間などの適切な時間乾燥して式(II)の化合物を得る。
【0063】
次のスラリー洗浄工程(i)の実施態様において、混合物が撹拌される適切な温度は、約22±2℃であり、懸濁液が冷却される適切な温度は、約15±2℃である。
【0064】
特定の実施態様において、スキームB1に示すプロセスは、式(II)の化合物を調製するのに再結晶工程を含まない1工程法として実施される。
【0065】
【化14】

【0066】
式(IV)の化合物(1当量)を適切なキラル酸(約0.51当量)と、第1溶媒混合物中で、約16〜20時間などの適切な時間反応させる。冷却、濾過、乾燥すると、式(II)の化合物が得られる。一実施態様において、第1溶媒混合物は、約1〜約5(容積/容積)%の水:エタノールの範囲の比率のエタノールと水との混合物である。別の実施態様において、第1溶媒混合物は、約2〜約5(容積/容積)%の水:エタノールの範囲の比率のエタノールと水との混合物である。特定の実施態様において、エナンチオマー過剰率は、約90%e.e.を超える。特定の実施態様において、エナンチオマー過剰率は、約95%e.e.を超える。特定の実施態様において、エナンチオマー過剰率は、約98%e.e.を超える。特定の実施態様において、エナンチオマー過剰率は、約99%.e.e.を超える。特定の実施態様において、エナンチオマー過剰率は、約99.5%.e.e.を超える。特定の実施態様において、エナンチオマー過剰率は、約100%e.e.である。
【0067】
別の実施態様において、1当量の式(IV)の化合物を、約0.5、約0.8、又は約0.5〜約1.0当量の適切なキラル酸と反応させる。キラル酸の実施態様には、限定はされないが、N-アセチル-L-フェニルアラニン((S)-2-アセトアミド-3-フェニルプロパン酸とも呼ばれる)、(S)-2-(メトキシカルボニルアミノ)-3-フェニルプロパン酸、(S)-2-(イソプロポキシカルボニルアミノ)-3-フェニルプロパン酸、(S)-2-ベンズアミド-3-フェニルプロパン酸、(S)-2-(4-クロロベンズアミド)-3-フェニルプロパン酸、(S)-2-(4-メトキシベンズアミド)-3-フェニルプロパン酸、(S)-3フェニル-2-(4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド)プロパン酸、(S)-2-イソブチルアミド-3-フェニルプロパン酸、(S)-3-フェニル-2-(フェニルスルホンアミド)プロパン酸、(S)-3-フェニル-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニルスルホンアミド)プロパン酸、(S)-2-(4-メトキシフェニルスルホンアミド)-3-フェニルプロパン酸、(S)-2-(4-メチルフェニルスルホンアミド)-3-フェニルプロパン酸、(1,1’-ビナフタレン)-2,2’-ジカルボン酸、3-ブロモ-8-カンファースルホン酸、カンファー-8-スルホン酸、カンファー-10-スルホン酸、2,3:4,6-ジ-O-イソプロピリデン-キシロ-ヘキスロソン酸、4-ヒドロキシジナフト[2,1-d:1’,2’-f]-1,3,2-ジオキサホスフェピン4-オキシド、4-ヒドロキシ-3-フェニルブタン酸ラクトン、モッシャー(Mosher)酸、乳酸及びその誘導体、マンデル酸及びその誘導体、3-メントキシ酢酸、3-メチルグリシン、2-メチル-2-フェニルブタン二酸、ナプロキセン、5-オキソ-2-ピロリジンカルボン酸、2-[((フェニルアミノ)カルボニル)オキシ]プロパン酸、1-フェニルエタンスルホン酸、酒石酸及びその誘導体、1,2,3,4-テトラヒドロ-3-イソキノリンスルホン酸(2,4,5,7-テトラニトロ-9-フオレニリデンアミノキシ(fuorenylideneaminoxy))-プロピオン酸、4-チアゾリデンカルボン酸、並びに引用によりその全体で本明細書中に組み込まれている「ジアステレオマー塩法による光学分割のCRCハンドブック(CRC Handbook of Optical Resolutions via Diastereomeric Salt Formation)」D.Kozma(編)、CRC Press 2002、51〜61頁及び補遺2(579〜625頁)中に開示のさらなる試薬を包含する。
【0068】
別の実施態様において、キラル酸は、N-アセチル-L-フェニルアラニン、(S)-2-(メトキシカルボニルアミノ)-3-フェニルプロパン酸、(S)-2-(イソプロポキシカルボニルアミノ)-3-フェニルプロパン酸、(S)-2-ベンズアミド-3-フェニルプロパン酸、(S)-2-(4-クロロベンズアミド)-3-フェニルプロパン酸、(S)-2-(4-メトキシベンズアミド)-3-フェニルプロパン酸、(S)-3-フェニル-2-(4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド)プロパン酸、(S)-2-イソブチルアミド-3-フェニルプロパン酸、(S)-3-フェニル-2-(フェニルスルホンアミド)プロパン酸、(S)-3-フェニル-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニルスルホンアミド)プロパン酸、(S)-2-(4-メトキシフェニルスルホンアミド)-3-フェニルプロパン酸、又は(S)-2-(4-メチルフェニルスルホンアミド)-3-フェニルプロパン酸である。
【0069】
別の実施態様において、キラル酸は、N-アセチル-L-フェニルアラニンである。
【0070】
本明細書では、一実施態様において、式(IV)の化合物(ここで、Xはハロゲンであり、且つRは置換又は非置換のC1〜C8アルキルである)の製造方法であって、スキームCに示すように、式(V)の化合物(ここで、HBは、式(V)の化合物と塩を形成するのに適した塩酸又は酢酸などの酸である)を溶媒和された塩基と反応させる工程を含む製造方法が提供される。
【0071】
【化15】

【0072】
水などの適切な溶媒中の式(V)の化合物を、水性水酸化アンモニウムなどの適切な塩基、及びEtOAc又はiPrOAcなどの適切な溶媒と混合する。生じる混合物を、約25〜35℃などの適切な温度まで約15〜45分間などの適切な時間加熱し、次いで、約20〜30℃などの適切な温度まで冷却し、約30〜90分間などの適切な時間撹拌する。水相を除去し、有機層を水で洗浄する。有機層の容積を、真空下に約50℃以下などの適切な温度まで加熱することによって元の有機溶媒の容積の約20%などの適切な程度まで減少させる。残りの容積を、1つ以上のヘプタンなどの適切な溶媒で補充し、約20〜30℃などの適切な温度で約1〜3時間などの適切な時間撹拌し、式(IV)の化合物を、濾過により分離し、約45〜55℃などの適切な温度で1〜3日間などの適切な時間乾燥する。
【0073】
本明細書では、一実施態様において、式(V)の化合物(ここで、Xはハロゲンであり、Rは置換又は非置換のC1〜C8アルキルであり、HBは、式(V)の化合物と塩を形成するのに適した酸である)の製造方法であって、スキームDに示すように、式(VII)の化合物を、酸HB(ここでHB’は、式(VII)の化合物のアミノ基と塩を形成するのに適した酸である)及び溶媒の存在下で式(VI)の化合物と反応させる工程を含む製造方法が提供される。
【0074】
【化16】

【0075】
置換5-クロロトリプタミン塩酸塩などの式(VII)の化合物を、式(VI)のアルキル置換アルデヒド化合物などの式(VI)の化合物と、塩酸などの適切な第1酸の存在下に、水又はEtOAcなどの適切な溶媒中、約0.3〜0.7Mなどの適切な濃度で、約100℃などの適切な温度で約10〜20時間などの適切な時間反応させる。混合物を、約20〜30℃などの適切な温度まで冷却し、濾過する。得られる粗固体を、酢酸などの適切な第2酸と共に約20〜30℃などの適切な温度で約30〜90分間などの適切な時間撹拌し、次いで、濾過し、酢酸などの適切な酸で洗浄する。粗生成物を、水又はEtOAcなどの適切な溶媒中、約20〜30℃などの適切な温度で約0.5〜2時間などの適切な時間撹拌し、次いで、濾過し、水又はEtOAcなどの適切な溶媒で洗浄して、式(V)の目標化合物を得る。式(V)の化合物を、約45〜55℃などの適切な温度で真空下に約1〜6日間の範囲などの適切な時間乾燥する。
【0076】
特定の実施態様において、適切な第1溶媒は水である。
【0077】
本明細書では、特定の実施態様において、前記のような複数の工程を含むプロセスが提供される。
【0078】
本明細書では、一実施態様において、式(I)の置換テトラヒドロβ-カルボリン誘導体
【化17】

【0079】
或いは、その医薬として許容される塩、水和物又は溶媒和物(式中、Xは、出現する毎に独立にハロゲンであり、且つRは置換又は非置換のC1〜C8アルキルである)の製造方法であって、
【0080】
式(VII)の化合物(ここで、HB’は、式(VII)の化合物のアミノ基と塩を形成するのに適した塩酸又は酢酸などの酸である)を式(VI)のアルデヒド化合物と、塩酸などの適切な酸、及び水又はEtOAcなどの溶媒の存在下で反応させて式(V)の化合物を得る工程を含み、
【化18】

【0081】
さらに、式(V)の化合物(ここで、HBは、式(V)の化合物と塩を形成するのに適した塩酸又は酢酸などの酸である)をHN4OHなどの塩基と、溶媒の存在下で反応させて式(IV)の化合物を得る工程を含み、
【化19】

【0082】
さらに、式(IV)の化合物をキラル酸と、ある比率の水:溶媒を含む第1溶媒混合物中で(ここで、該溶媒は、メタノール、エタノール又はこれらの混合物である)反応させ、次いで任意選択で反応生成物を水及び溶媒(ここで、該溶媒はエタノールである)を含む第2溶媒混合物中で再結晶して式(II)の化合物を得る工程を含み、
【化20】

【0083】
さらに、式(II)の化合物を式(III)の化合物と反応させて式(I)の化合物を得る工程を含み、
【化21】

【0084】
さらに、式(I)の化合物を、約9倍までなどの適切な量のMEK又はEtOAcなどの適切な溶媒中に取ることによって式(I)の化合物を任意選択で精製し、次いで、加熱、撹拌、濾過し、EtOAcとヘプタンとの混合物又はMEKとヘプタンとの混合物などの適切な溶媒で洗浄し、乾燥する工程を含む製造方法が提供され、ここで、一実施態様において、適切な溶媒混合物は、MEKヘプタンとの混合物であり、
【0085】
ここで、式(I)の化合物に関して、Xは、出現する毎に独立にハロゲン、一実施態様ではクロロであり、且つRは、置換又は非置換のC1〜C8アルキルであり、一実施態様において、アルキルはメチルである。
【0086】
本明細書に記載の実施態様を、以下の第5節中に示す実施例によってさらに説明するが、該実施例を、本明細書に記載の実施態様の範囲を限定するものと解釈すべきでない。
【0087】
本明細書に記載のプロセスで有用な出発原料及び試薬は、商業的供給源から得ることができるか、或いは当業者にとって公知の方法を使用して調製することができる。
【実施例】
【0088】
(5. 実施例)
(5.1 (S)-4-クロロフェニル6-クロロ-1-(4-メトキシフェニル)-3,4-ジヒドロ-1H-ピリド[3,4-b]インドール-2(9H)-カルボキシラート、式(X)の化合物の合成)
【化22】

【0089】
(5.1.1 6-クロロ-1-(4-メトキシフェニル)-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-ピリド[3,4-b]インドール塩酸塩、式(Va)の化合物の合成)
(一般的情報):スキームEに示す反応は、300ガロンのガラスライニング反応器中で実施した。式(VIIa)の5-クロロトリプタミン*HCl化合物(99%AUC)はABChem Technologies社から、式(VIa)のp-アニスアルデヒド化合物(99.7%AUC)はAlfa Aesar社から購入した。試薬級の37%HCl、酢酸、及び酢酸エチルを使用した。
【0090】
(手順):37%HCl(16.9kg)を精製水(329.0kg)で希釈して0.5M HCl溶液を調製した。反応器中に式(VIIa)の5-クロロトリプタミン塩酸塩化合物(40.0kg、173.1モル、1.0当量)、続いて0.5M HCl(340.6kg、8.5X)、及び式(VIa)のp-アニスアルデヒド化合物(28.5kg、209.3モル、1.2当量)を仕込んだ。生じたスラリーを、100±2℃まで加熱し、14時間還流した。スラリーを、45℃未満まで冷却し、IPCのためHPLC分析でサンプル試験し(限界:式(Va)の目標化合物に対して式(VIIa)の5-クロロトリプタミン塩酸塩化合物が1.0%以下)、合格することを見出した。スラリーを、25±2℃まで冷却し、ヌッチェフィルターで濾過した。情報を得る目的で、湿りケーキのサンプルを採取した。湿りケーキ(150.1kg)を、容器に再び仕込み、続いて酢酸(181.6kg、4.5X)を添加し、スラリーを25±2℃で1時間撹拌した。スラリーをヌッチェフィルターで濾過し、ケーキを酢酸(45.4kg、1.1X)で洗浄した。情報を得る目的で、湿りケーキのサンプルを採取した。容器に湿りケーキ(149.8kg)続いて酢酸エチル(155.7kg、3.9X)を再び仕込み、スラリーを25±2℃で1時間撹拌した。スラリーをヌッチェフィルターで濾過し、ケーキを酢酸エチル(38.9kg、1.0X)で洗浄した。さらなる酢酸エチル(20kg、0.5X)を使用して、容器から残存している式(Va)の化合物を取り出した。湿りケーキ(113.3kg)を50℃に設定して真空下で4日間乾燥した。全部で55.1kgの式(Va)の化合物が、灰白色の固体として得られた。Mp=302℃(分解);IR:3168、2906、2767、1612、1513、1421、1248、1174、1032cm-1;HPLC(標準):7.89分;ES-MS=313.33(M+H);
【化23】

【0091】
(5.1.2 6-クロロ-1-(4-メトキシフェニル)-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-ピリド[3,4-b]インドール、式(IVa)の化合物の合成)
(一般的情報):スキームEに示す反応は、300ガロンのガラスライニング反応器中で実施した。工業級のヘプタンに加えて、試薬級の水酸化アンモニウム、37%塩酸、及び酢酸エチルを使用した。HClスクラバー(100ガロン反応器)には飲用水を、他のすべての処理目的には家庭系からの精製水を使用した。
【0092】
(手順):100ガロン反応器中で37%塩酸(182.9kg)を飲用水(240L)で希釈してHClスクラバーを準備した。300ガロン反応器中に、式(Va)の化合物(55.1kg、157.8モル)、続いて精製水(225L、4.1X)、28〜30%水酸化アンモニウム(124.5kg、138L、1031.6モル、2.5X)、次いで酢酸エチル(497kg、552L、10X)を仕込んだ。混合物を、30±2℃まで30分間加熱し、次いで、25±2℃まで冷却し、さらなる時間撹拌した。二相混合物を固形分及びpHの分析のためサンプル試験し、合格することが見出された(IPC限界:肉眼で固体が認められない、水相のpH>9.0)。水相を除去し、有機相を、水で2回(2×367L、2×6.7X)洗浄して、水相のpHを7.5未満とした。バッチを、真空下で約2×容まで蒸留した(約110L;最大バッチ温度:30℃)。ヘプタン(376.9kg、551L、10X)を約2時間にわたって仕込み、25±2℃でさらに2時間撹拌した。生成した式(IVa)の化合物を、ヌッチェフィルターで分離し、ヘプタン(125.6kg、183L、3.3X)と酢酸エチル(16.5kg、18L、0.3X)との混合物で洗浄した。湿りケーキ(67.6kg)を、50℃に設定して真空下に2日間乾燥した。全部で46.3kgの式(IVa)の化合物が、灰白色の固体として得られた。Mp=161℃;IR:2903、2836、1610、1511、1439、1243、1173、1029cm-1;HPLC(標準):7.89分;HPLC(ChiralPAK AD-H、20%IPA/ヘキサン):13.3、18.3分;ES-MS=313.33(M+H);
【化24】

【0093】
(5.1.3 6-クロロ-1-(4-メトキシフェニル)-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-ピリド[3,4-b]インドール、式(IVa)の化合物の別途合成)
(手順):脱イオン水(8L)に濃塩酸(0.36L)を、23〜17℃の温度に維持しながら徐々に添加した。反応容器中に式(VIIa)の化合物5-クロロトリプタミン塩酸塩(1kg)を仕込み、次いで23〜17℃の温度に維持しながら、式(VIa)の化合物p-アニスアルデヒド(0.60L)を添加した。懸濁液を、還流するまで加熱し、反応が完結するまで還流下に保持した。反応は、8〜18時間後に完結し、その時点で、5-クロロトリプタミン塩酸塩含有量はHPLCの面積パーセントで測定するとNMT1.0%である。懸濁液を約27〜23℃の温度まで冷却した。次いで、懸濁液を濾過して、粗の湿り(±)-ピペリジノインドール塩酸塩の生成物を得た。
【0094】
純酢酸(4L)に粗の湿り(±)-ピペリジノインドール塩酸塩を添加した。懸濁液を約27〜23℃の温度で少なくとも1時間撹拌した。次いで、懸濁液を濾過して湿り生成物を得て、次いでそれを純酢酸(0.5L)で洗浄した。湿り生成物に純酢酸(0.5L)を添加して洗浄を繰り返した。湿り(±)-ピペリジノインドール塩酸塩の生成物を酢酸エチル(4L)に添加し、懸濁液を約27〜23℃の温度で少なくとも1時間撹拌した。次いで、懸濁液を濾過して湿り(±)-ピペリジノインドール塩酸塩の生成物を得た。湿り生成物を酢酸エチル(0.8L)で2回洗浄し、次いで、秤量して湿り重量(Wwet)を得た。湿り生成物のサンプルは、残留溶媒の含有量に関するLODを測定するのにも使用された。
【0095】
式、W=Wwet-(Wwet×LOD/100)kgを使用して湿り(±)-ピペリジノインドール塩酸塩生成物の重量(W)(kg)を計算する。
【0096】
脱イオン水(4×W)Lに、上記で単離された湿り(±)-ピペリジノインドール塩酸塩(Wwet)kgを、温度を25〜15℃に維持しながら添加する。溶液に酢酸エチル(10×W)Lを、温度を25〜15℃に維持しながら添加する。25%水酸化アンモニウム(2.8×W)Lを、温度を30〜15℃に維持しながら30分間にわたって添加する。反応混合物の温度を、約27〜33℃の温度まで加熱し、約27〜33℃の温度で少なくとも30分間撹拌する。反応混合物を約28〜22℃の温度まで冷却し、反応混合物を約28〜22℃の温度で少なくとも60分間撹拌する。水相のpHを測定するために反応混合物のサンプルを採取する。撹拌を止め、相を少なくとも30分間分離させる。水相を排出し、次いで、有機相に酢酸エチル(5×W)Lを、温度を15〜30℃に維持しながら添加する。温度を28〜23℃に安定化する。脱イオン水(7×W)Lを、温度を約28〜22℃に維持しながら添加する。二相混合物を、温度を約28〜22℃に維持しながら約10〜20分間撹拌する。撹拌を止め、相を少なくとも30分間分離させ、次いで、水相を排出する。
【0097】
有機相に脱イオン水(7×W)Lを、温度を約28〜22℃に維持しながら添加する。二相混合物を、温度を約28〜22℃に維持しながら10〜20分間撹拌し、次いで、相を少なくとも30分間分離させる。水相を排出する。有機相に脱イオン水(7×W)Lを、温度を約28〜22℃に維持しながら添加する。二相混合物を、温度を約28〜22℃に維持しながら10〜20分間撹拌し、次いで、相を少なくとも30分間分離させる。水相を排出する。水相をサンプル採取し、pHを測定する。pH>7.5であるなら、前記の水洗を繰り返す。pH<7.5であるなら、n-ヘプタン(5×W)Lを、温度を30℃以下に維持しながら20〜30分間にわたって添加する。混合物を、ほぼ-0.85バールの圧力下で温度を50℃以下に維持しながら(4.4×W)kgの溶媒が留出するまで蒸留する。n-ヘプタン(6×W)Lを、温度を50℃以下に維持しながら20〜30分間にわたって添加する。混合物を、ほぼ-0.85バールの圧力下で温度を50℃以下に維持しながら(4.4×W)kgの溶媒が留出するまで蒸留する。n-ヘプタン(6×W)Lを、温度を50℃以下に維持しながら20〜30分間にわたって添加する。混合物をサンプル採取し、GC分析で酢酸エチル:n-ヘプタンの比率を測定する。混合物を窒素雰囲気下で約28〜22℃の温度まで冷却し、次いで、混合物を、温度を約28〜22℃に維持しながら少なくとも2時間撹拌する。生成物を濾過して湿りケーキを得る。湿りケーキを、n-ヘプタン(2.8×W)Lと酢酸エチル(0.3×W)Lとの混合物で洗浄する。湿り生成物を真空下に50℃以下の温度でLOD<2.0%となるまで乾燥する。
【0098】
(5.1.4 (S)-6-クロロ-1-(4-メトキシフェニル)-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-ピリド[3,4-b]インドール(S)-2-アセトアミド-3-フェニルプロパノアート、式(IIa)の化合物の合成)
(一般的情報):スキームEに示す反応は、300ガロンのガラスライニング反応器中で実施した。キラル酸であるN-アセチル-L-フェニルアラニン(99.5%AUC)はParagon社から購入した。メタノール(試薬級)及びエタノール(無水エタノール、200プルーフ、試薬級)を使用した。
【0099】
(手順):300ガロンの反応器中に、式(IVa)の化合物(23.1kg、78.3モル、ロット04-PVC-001X、1.0当量)、続いてキラル酸であるN-アセチル-L-フェニルアラニン(12.2kg、58.9モル、0.80当量)及びメタノール(547.5kg、693L、30X)を仕込んだ。混合物を64±2℃まで加熱し、30分間保持し、溶解を確認し、次いで、溶液を3時間にわたって25±2℃まで徐々に冷却した。スラリーを、25±2℃でさらに16時間撹拌した。スラリーを濾過し、湿りケーキを容器に再度仕込んだ。容器にエタノール(584.5kg、740L、32X)を仕込み、スラリーを78±2℃まで加熱した。溶解を確認し、次いで、溶液を3時間にわたって25±2℃まで徐々に冷却した。スラリーを25±2℃でさらに16時間撹拌した。スラリーを濾過し、湿りケーキをエタノール(45.5kg、58L、2.5X)で洗浄した。湿りケーキ(37.1kg)を50℃に設定して真空下に2日間乾燥した。全部で15.5kgの式(IIa)の目標化合物を灰白色固体として得た。HPLC:94.9%e.e.(ChiralPak AD-RHカラム、150×4.6mm、5μm;ヘキサン、イソプロパノール、ジエチルアミン);Mp=214℃、IR:3271、1634、1541、1400、1251、1179cm-1;
.
【化25】

式(IIa)の化合物のパーセントエナンチオマー過剰率(%e.e.)は、次式:
%e.e.式(IIa)=[(AUC式(IIa)-AUC(R)-式(IIa))/(AUC式(IIa)+AUC(R)-式(IIa))]×100
(式中、用語「(R)-式(IIa)」は、式(IIa)の化合物の(R)異性体を指す)を使用して計算される。
【0100】
(5.1.5 (S)-6-クロロ-1-(4-メトキシフェニル)2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-ピリド[3,4-b]インドール(S)-2-アセトアミド-3-フェニルプロパノアート、式(IIa)の化合物の種晶添加による合成)
(手順):無水エタノール(2.9L)に脱イオン水(0.058L)を添加し、次いでN-アセチル-(L)-フェニルアラニン(0.36kg)を、温度を約28〜22℃に維持しながら添加する。混合物を約30〜60分間にわたって加熱還流する。混合物を約58〜52℃の温度まで冷却し、インプロセス制御(IPC)のためサンプル採取する。
【0101】
無水エタノール(19.6L)に脱イオン水(0.4L)を添加し、次いで温度を約28〜22℃に維持しながら(±)-ピペリジノインドール(1kg)を添加する。混合物を還流するまで加熱し、還流温度に約50〜70分間維持し、インプロセス制御(IPC)のためサンプル採取する。
【0102】
(±)-ピペリジノインドールの溶液にN-アセチル-(L)-フェニルアラニン溶液の25%を、温度を約58〜52℃に維持しながら約10〜15分間にわたって添加する。反応混合物に(S)-ピペリジノインドール形態B(0.01kg)を種晶添加する。約58〜52℃の温度で約5分間撹拌し、インプロセス制御(IPC)のためサンプル採取する。
【0103】
N-アセチル-(L)-フェニルアラニン溶液の残りの75%を、温度を約58〜52℃に維持しながら約2時間にわたって添加する。懸濁液を、温度を約58〜52℃に維持しながら約1時間撹拌する。懸濁液を、約17〜13℃の温度までほぼ線形速度で約2時間にわたって冷却する。次いで、懸濁液を、温度を約17〜13℃に維持しながら約1時間撹拌する。懸濁液を濾過し、生成物を、前以て約17〜13℃の温度まで冷却した無水エタノール(5.4L)と脱イオン水(0.11L)との混合物で洗浄して湿り生成物を得る。湿り生成物を、前以て約24〜20℃の温度まで冷却した無水エタノール(13.5L)と脱イオン水(0.28L)との混合物に添加する。懸濁液を、温度を約24〜20℃に維持しながら約2時間撹拌し、次いで、懸濁液を約17〜13℃の温度まで冷却する。懸濁液を濾過し、前以て約17〜13℃の温度まで冷却した無水エタノール(5.4L)と脱イオン水(0.08L)との混合物で洗浄する。キラルHPLC分析のため湿り生成物のサンプルを採取する。
【0104】
前以て約25〜15℃の温度に調節した無水エタノール(36.3L)と脱イオン水(0.7L)との混合物に、温度を約25〜15℃に維持しながら、粗の湿り(S)-ピペリジノインドールAc-Phe生成物を添加する。混合物を還流するまで加熱し、還流温度で約50〜70分間撹拌し、次いでインプロセス制御(IPC)のためサンプル採取する。懸濁液を、約17〜13℃の温度までほぼ一定の速度で約4時間にわたって冷却する。懸濁液を濾過し、前以て約17〜13℃の温度まで冷却した無水エタノール(3.9L)と脱イオン水(0.08L)との混合物で洗浄する。キラルHPLC分析のため湿り生成物のサンプルを採取する。湿り生成物を真空下に50℃以下の温度でLODが10.0wt%以下(好ましくは、約8.0wt%〜10.0wt%のLOD)になるまで乾燥する。
【0105】
(5.1.6 (S)-4-クロロフェニル6-クロロ-1-(4-メトキシフェニル)-3,4-ジヒドロ-1H-ピリド[3,4-b]インドール-2(9H)-カルボキシラート、式(X)の化合物の合成)
(一般的情報):スキームEに示す反応は、300ガロンのガラスライニング反応器中で実施した。無水炭酸カリウム(試薬級)、酢酸エチル(試薬級)、及びヘプタン(工業級)を使用した。クロロギ酸4-クロロフェニル(>98%)はAldrich社から購入した。家庭系から精製した水をすべての処理目的に採用した。
【0106】
(手順):300ガロン反応器中で、炭酸カリウム(27.0kg、195モル、3.3当量)の水(592L)溶液(4.2wt%)を調製した後、処理し、ドラムに詰めた。反応器に、式(IIa)の化合物(30.8kg、59.2モル、1.0当量)、酢酸エチル(266.4kg、296L、9.6X)、及び4.2wt%炭酸カリウム溶液(322.6kg、10.5X)を仕込んだ。二相スラリーを、25±2℃で3時間撹拌し、IPCのためサンプル採取した(限界:目で見える固体がない、水相のpH<9.0)。完結したら、下の水相を除去し、有機相を水(237L、7.7X)で洗浄して水相のpHを7.5未満とした。有機層をドラムに排出し、容器を酢酸エチル(30kg、1X)で洗浄した。バッチ溶液を、1μmのフィルターを通して容器に再び仕込んだ。バッチを、30℃の最高バッチ温度で真空下に約148L(4.8X)まで蒸留した。反応器に、4.2wt%炭酸カリウム溶液(322.6kg、10.5X)を仕込んだ。式(IIIa)の化合物クロロギ酸4-クロロフェニル(13.5kg、71.1モル、1.2当量)を、バッチ温度を30℃未満に維持しながら30分間にわたって仕込んだ。スラリーを25±2℃で1時間撹拌し、インプロセス試験のためサンプルを送った(PV-5に対して1.0%以下のPV-4遊離塩基で合格)。完結したら、スラリーを濾過し、湿りケーキを、水(119L、3.9X)、続いて酢酸エチル(53.3kg、59L、1.9X)で洗浄した。IPCのため湿りケーキをサンプル試験し、合格した(限界:ROI≦0.5%)。湿りケーキ(39.1kg)を、50℃に設定して真空下に2日間乾燥した。全部で21.9kgの式(X)の目標化合物を灰白色固体として得た。HPLC純度:98.7%(ChiralPak AD-RHカラム、150×4.6mm、5μm、移動相B(1リットルに対して1mLジエチルアミン+1000mLイソプロパノール)/移動相A(1リットルに対して1mLジエチルアミン+1000mLヘキサン)=20:80、注入量10μL、1.0mL/分、40℃、230nmで検出);Mp=222〜223℃;IR:3168、2906、2767、1612、1513、1421、1248、1174、1032cm-1;HPLC(標準):14.5分;HPLC(ChiralPAK AD-H、30%IPA/ヘキサン):22分;ES-MS=467.29(M+H)。
【化26】

【0107】
(5.1.7 (S)-4-クロロフェニル6-クロロ-1-(4-メトキシフェニル)-3,4-ジヒドロ-1H-ピリド[3,4-b]インドール-2(9H)-カルボキシラート、式(X)の化合物の別途合成)
(手順):式(IIa)(KF(0.23%)によるエタノール(9%)の補正後、220.32gから200gに補正)の30±3℃で激しく撹拌されたMEK(4L)懸濁液に、8.4%炭酸カリウム水溶液(1048g)を添加した。懸濁液を、30±3℃で少なくとも60分間撹拌した。二相混合物を、固体分及びpH分析のためIPC用サンプルを採取した(限界:目で見える固体がない、水相のpH>9.0)。層を分離させ、有機相を8.4%炭酸カリウム水溶液(1048g)で洗浄した。次いで、有機相を1μmのフィルターを通して容器に再び仕込んだ。容器に8.4%炭酸カリウム水溶液(1048g)を仕込んだ。次いで、クロロギ酸4-クロロフェニル(77.13g、1.05当量)を、バス(bath)温度を40±2℃に維持しながら30分間にわたって仕込んだ。バッチを約40±2℃でさらに2時間撹拌し、次いで、IPCのためサンプル採取した(限界:式(X)に対してNMT0.1%の式(IIa))。層を分離させ、有機相を、精製水(2×720g)で2回洗浄した。有機層を、大気圧条件下に約85〜90℃で約4Xの容積(約800mLのMEK)まで蒸留し、KFのためのサンプルを採取した。バッチをMEK(3.2L)で希釈し、約85〜90℃で大気圧条件下に約4Xの容積(約800mLのMEK)まで再蒸留し、KFのためのサンプルを採取した。これらの工程を、残留有機層に関して適切なKF値(0.5%未満)が達成されるまで繰り返した。次いで、有機層を室温(25±2℃)まで冷却し、ヘプタン(1.35kg)で約1時間にわたって希釈した。
【0108】
スラリーを25±2℃で約1時間にわたって撹拌した。生成物を濾過して分離し、湿りケーキを得た。湿りケーキを、ヘプタン(130g)と酢酸エチル(260g)との混合物で洗浄し、吸引下に30分間乾燥し、次いで真空下に50±3℃で13時間乾燥して、146.5gの純粋な式(X)の化合物を得た(収率:90%、LCAP:99.8%、キラル純度:100%)。
【0109】
(5.1.7.1 同伴された式(IIa)の化合物の除去)
この実施例では、第5.1.5節で式(X)の化合物の合成について記載した手順で得られる反応生成物から同伴された式(IIa)の化合物を除去する方法を示す。
【0110】
(小スケールでの評価):同伴された式(IIa)の化合物を除去するのに適した再処理手順を提供するために一連の実験を実施した。実験の代表的なリストを表1に示す。溶媒、バッチ温度、時間、及び溶媒容積は、すべて、再処理手順の有効性にとって決定的に重要であることが見出された。前記の手順によって得られた式(X)の化合物を8倍容の酢酸エチル中で3時間還流する実験は、一貫した収率及び純度を提供し、パイロットプラントでの再処理手順に対する基礎として使用された。
【表1】

【0111】
(プラントスケールでの実験)
【0112】
(一般的情報):酢酸エチル(試薬級)を使用した。
【0113】
(手順):100ガロン反応器に、式(X)の化合物(21.6kg、46.2モル)、続いて酢酸エチル(157.3kg、175L、8.1X)を仕込んだ。スラリーを77±2℃まで加熱し、3時間撹拌した。スラリーを20〜23℃まで約1.5時間にわたって冷却した。スラリーを20〜23℃で約4時間撹拌した。スラリーを濾過し、湿りケーキを酢酸エチル(19.7kg、21.9L、1X)で洗浄した。IPCのために湿りケーキのサンプルを採取した(限界:ROI≦0.5%)。湿りケーキを、真空下に外界温度で2時間、30±2℃で2時間、40±2℃で2時間、そして50℃で乾燥するまで(2日間)乾燥した。全部で17.7kgの式(X)の化合物を灰白色固体として得た(HPLC;純度99.5%、>99.9%e.e.)。
【0114】
キラル純度は、HPLC分析に続いて%エナンチオマー過剰率として計算した(カラム:ChiralPak AD-RH、150×4.6mm、5μm、移動相:ヘキサン(0.1%v/vジエチルアミン)及びイソプロパノール(0.1%v/vジエチルアミン)(80:20)、カラム温度:40℃、流量:1.0mL/分、検出:UV230nm)。(R)-式(IVa)及び(S)-式(IVa)の保持時間は、それぞれ11.3分及び22.2分である。式(X)の化合物に関するパーセントエナンチオマー過剰率(%e.e.)を、次式を使用して計算した:
%e.e.式(X)=[(AUC式(X)-AUC(R)-式(X))/(AUC式(X)+AUC(R)-式(X)PV-5)]×100
(式中、用語「(R)-式(X)」は式(X)の化合物の(R)異性体を指す)。
【0115】
(5.2 6-クロロ-1-(4-メトキシフェニル)-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-ピリド[3,4-b]インドール、式(IVa)の化合物のキラル分割)
この実施例では、2〜5%v/vの水を含有するエタノールが、約98%を超える光学純度を有する式(IIa)の化合物(S)-6-クロロ-1-(4-メトキシフェニル)-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-ピリド[3,4-b]インドール(S)-2-アセトアミド-3-フェニルプロパノアートをもたらすことを示す。
【0116】
(手順):式(IVa)の化合物6-クロロ-1-(4-メトキシフェニル)-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-ピリド[3,4-b]インドール(1当量)、及びN-アセチル-L-フェニルアラニン(0.51当量)を、260mLのエタノールと表2に示すような水含有量との種々の混合物に溶解し、還流下で18時間加熱した。次いで、混合物を冷却し、濾過して、式(IIa)の化合物(S)-6-クロロ-1-(4-メトキシフェニル)-2,3,4,9-テトラヒドロ-1H-ピリド[3,4-b]インドール(S)-2-アセトアミド-3-フェニルプロパノアートを表2に報告する収率及びエナンチオマー純度で得た。キラル純度は、HPLC分析に続いて%エナンチオマー過剰率として計算される(カラム:ChiralPak AD-H、150×4.6mm、5μm、移動相:イソプロパノール:ヘキサン:ジエチルアミン=20:80:1、カラム温度:25℃、流量:1.0mL/分、検出:UV230nm)。(R)-式(IIa)及び(IIa)の化合物の保持時間は、それぞれ0.71分及び1.00分である。式(IIa)の化合物に関するパーセントエナンチオマー過剰率(%e.e.)を、次式を使用して計算した:
%e.e.式(IIa)=[(AUC式(IIa)-AUC(R)-式(IIa))/(AUC式(IIa)+AUC(R)-式(IIa))]×100
(式中、用語「(R)-式(IIa)」は式(IIa)の化合物の(R)異性体を指す)。
【表2】

【0117】
当業者は、定型的を超えない実験を使用して、本明細書に記載の特定の実施態様に対する多くの等価態様を認識し、或いは突き止めることができるであろう。このような等価態様は、後記の特許請求の範囲に包含されると解釈される。本明細書中で言及したすべての刊行物、特許、及び特許出願は、あたかもそれぞれ個々の刊行物、特許、及び特許出願が、引用により本明細書中に具体的且つ個別的に組み込まれていると解釈されると同様な程度まで、引用により本明細書中に組み込まれている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)の化合物の製造方法であって、
【化1】

i)式(IV)の化合物をキラル酸の混合物と第1溶媒混合物中で反応させる工程、及び
【化2】

ii)反応生成物を第2溶媒混合物中で再結晶して該式(II)の化合物を得る工程を含み、
式中、Xはハロゲンであり、且つ
Rは置換又は非置換のC1〜C8アルキルである、前記製造方法。
【請求項2】
Xがクロロである、請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
Rが、ハロゲン、ヒドロキシル、又はC1〜C8アルコキシから選択される1つ以上の置換基で置換されたC1〜C8アルキルである、請求項1記載の製造方法。
【請求項4】
Rがメチルである、請求項1記載の製造方法。
【請求項5】
Xがクロロであり、且つRがメチルである、請求項1記載の製造方法。
【請求項6】
前記第1溶媒混合物が、約1〜約5(容積/容積)%の水:溶媒の範囲の比率の、水と溶媒との混合物である、請求項1記載の製造方法。
【請求項7】
前記第1溶媒混合物の比率が、約2〜約5(容積/容積)%の水:溶媒の範囲にある、請求項6記載の製造方法。
【請求項8】
前記第1溶媒混合物中の前記溶媒が、メタノール、エタノール、1-プロパノール、1-ブタノール、又はこれらの混合物である、請求項7記載の製造方法。
【請求項9】
前記第1溶媒混合物中の前記溶媒が、メタノール、エタノール、又はこれらの混合物である、請求項8記載の製造方法。
【請求項10】
前記第1溶媒混合物中の前記溶媒が、エタノールである、請求項9記載の製造方法。
【請求項11】
前記第2溶媒混合物中の前記溶媒が、水と溶媒との混合物であって、該溶媒が、iPrOAc、EtOAc、MTBE、MEK、DCM、DCE、トルエン、DMA、又はこれらの混合物である、請求項1記載の製造方法。
【請求項12】
前記第2溶媒混合物中の前記溶媒が、EtOAc又はMEK、或いはこれらの混合物である、請求項11記載の製造方法。
【請求項13】
前記第2溶媒混合物中の前記溶媒が、MEKである、請求項12記載の製造方法。
【請求項14】
式(II)の化合物の製造方法であって、
【化3】

約1当量の式(IV)の化合物を約0.1〜約0.5当量の範囲のキラル酸と、約1〜約5%(容積/容積)の水:エタノールの範囲の比率のエタノールと水との混合物を含む第1溶媒混合物中で反応させて、該式(II)の化合物を得る工程を含み、
【化4】

式中、Xはハロゲンであり、且つ
Rは置換又は非置換のC1〜C8アルキルである、前記製造方法。
【請求項15】
前記キラル酸が、約0.5当量である、請求項14記載の製造方法。
【請求項16】
前記第1溶媒混合物の比率が、約2〜約5(容積/容積)%の水:エタノールの範囲にある、請求項14記載の製造方法。
【請求項17】
式(I)の化合物、或いはその医薬として許容し得る塩、水和物又は溶媒和物の製造方法であって、
【化5】

i)式(IV)の化合物をキラル酸と第1溶媒混合物中で反応させて、式(II)の化合物を得る工程:
【化6】

(式中、Xはハロゲンであり、且つRは置換又は非置換のC1〜C8アルキルである)、及び
ii)該式(II)の化合物を式(III)の化合物と、塩基、及び水と溶媒とを含む第2溶媒混合物の存在下で反応させて式(I)の化合物を得る工程:
【化7】

(式中、Xは、出現する毎に独立にハロゲンであり、且つRは置換又は非置換のC1〜C8アルキルである)を含む、前記製造方法。
【請求項18】
前記第1溶媒混合物が、約1〜約5(容積/容積)%の水:溶媒の範囲の比率の、水と溶媒との混合物である、請求項17記載の製造方法。
【請求項19】
前記第1溶媒混合物の比率が、約2〜約5(容積/容積)%の水:溶媒の範囲にある、請求項18記載の製造方法。
【請求項20】
前記第1溶媒混合物中の前記溶媒が、メタノール、エタノール、1-プロパノール、1-ブタノール、又はこれらの混合物である、請求項18記載の製造方法。
【請求項21】
前記第1溶媒混合物中の前記溶媒が、メタノール、エタノール、又はこれらの混合物である、請求項20記載の製造方法。
【請求項22】
前記第1溶媒混合物中の前記溶媒が、エタノールである、請求項21記載の製造方法。
【請求項23】
前記第2溶媒混合物中の前記溶媒が、iPrOAc、EtOAc、MTBE、MEK、DCM、DCE、トルエン、DMA、又はこれらの混合物である、請求項17記載の製造方法。
【請求項24】
前記第2溶媒混合物中の前記溶媒が、EtOAc又はMEK、或いはこれらの混合物である、請求項23記載の製造方法。
【請求項25】
前記第2溶媒混合物中の前記溶媒が、MEKである、請求項24記載の製造方法。
【請求項26】
式(I)の化合物が、式(X)の化合物である、請求項1記載の製造方法
【化8】


【請求項27】
前記式(II)の化合物が、下記化合物である、請求項1記載の製造方法
【化9】


【請求項28】
前記キラル酸が、N-アセチル-L-フェニルアラニン、(S)-2-(メトキシカルボニルアミノ)-3-フェニルプロパン酸、(S)-2-(イソプロポキシカルボニルアミノ)-3-フェニルプロパン酸、(S)-2-ベンズアミド-3-フェニルプロパン酸、(S)-2-(4-クロロベンズアミド)-3-フェニルプロパン酸、(S)-2-(4-メトキシベンズアミド)-3-フェニルプロパン酸、(S)-3-フェニル-2-(4-(トリフルオロメチル)ベンズアミド)プロパン酸、(S)-2-イソブチルアミド-3-フェニルプロパン酸、(S)-3-フェニル-2-(フェニルスルホンアミド)プロパン酸、(S)-3-フェニル-2-(4-(トリフルオロメチル)フェニルスルホンアミド)プロパン酸、(S)-2-(4-メトキシフェニルスルホンアミド)-3-フェニルプロパン酸、又は(S)-2-(4-メチルフェニルスルホンアミド)-3-フェニルプロパン酸である、請求項1、15又は18のいずれか一項記載の製造方法。
【請求項29】
前記キラル酸が、N-アセチル-L-フェニルアラニンである、請求項1、15又は18のいずれか一項記載の製造方法。
【請求項30】
式(V)の化合物を、溶媒和された塩基と反応させることによって式(IV)の化合物を製造する工程をさらに含み、
【化10】

式中、Xはハロゲンであり、
Rは置換又は非置換のC1〜C8アルキルであり、且つ
HBは、式(V)の化合物との塩を形成するのに適した酸である、請求項1記載の製造方法。
【請求項31】
HBが、式(V)の化合物との塩を形成するのに適した、塩酸又は酢酸などの酸であり、且つ前記溶媒和された塩基が、酢酸エチル又は酢酸イソプロピルとの混合物の状態の水性水酸化アンモニウムである、請求項30記載の製造方法。
【請求項32】
式(VII)の化合物を
【化11】

式(VI)の化合物と、適切な溶媒中で適切な酸の存在下に反応させることによって式(V)の化合物を製造する工程をさらに含み、
【化12】

式中、Xはハロゲンであり、
Rは置換又は非置換のC1〜C8アルキルであり、且つ
HB’は式(VII)の化合物のアミノ基との塩を形成するのに適した酸である、請求項30記載の製造方法。
【請求項33】
前記適切な酸が塩酸であり、前記溶媒が水又はEtOAcであり、且つHB’が塩酸又は酢酸である、請求項32記載の製造方法。

【公表番号】特表2012−528181(P2012−528181A)
【公表日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−513231(P2012−513231)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際出願番号】PCT/US2010/036273
【国際公開番号】WO2010/138644
【国際公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(503369705)ピーティーシー セラピューティクス,インコーポレーテッド (31)
【Fターム(参考)】