説明

置換フェノール類の製造方法

【課題】芳香族炭素環にアルキル基やアルコキシ基等の置換基を有する置換フェノール類の効率のよい製造方法の提供。
【解決手段】イミド構造を有する窒素含有環状化合物の存在下、下記式(1)


で表される置換ジアリールエタン化合物を酸素酸化した後、酸で処理して、下記式(2)


で表される置換フェノール類を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェノール樹脂、合成染料、可塑剤、医薬、農薬などの原料として有用な置換フェノール類の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フェノールはクメンの酸化により工業的に製造されている。また、Adv. Synth. Catal., 2001, 343, 809には、N−ヒドロキシフタルイミドを触媒としたクメンの酸化によるフェノールの合成法が報告されている。しかし、ベンゼン環にアルキル基やアルコキシ基等の置換基を有する置換フェノール類を効率よく製造する方法は少ない。
【0003】
【非特許文献1】Adv. Synth. Catal., 2001, 343, 809
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の目的は、芳香族炭素環にアルキル基やアルコキシ基等の置換基を有する置換フェノール類を効率よく製造しうる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した結果、置換基を有する芳香族炭化水素と芳香族ビニル化合物との反応により容易に得られる置換ジアリールエタン化合物を、イミド系触媒の存在下で酸化すると、置換基を有する芳香族炭化水素に対応する置換フェノール類が選択的に生成することを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、下記式(I)
【化1】

[式中、Xは酸素原子又は−OR基(Rは水素原子又はヒドロキシル基の保護基を示す)を示す]
で表される骨格を環の構成要素として含む窒素原子含有環状化合物の存在下、下記式(1)
【化2】

[式中、環Ar1、環Ar2は、それぞれ単環又は多環の芳香族炭素環を示し、Y1は環Ar1に結合している電子供与性基を示し、Y2は環Ar2に結合している電子吸引性基を示す。pは1以上の整数であり、qは0又は1以上の整数である。Y1が複数個の場合(pが2以上の整数の場合)、複数個のY1は同一であっても異なっていてもよく、それらが互いに結合して環Ar1上の炭素原子とともに環を形成していてもよい。Y2が複数個の場合(qが2以上の整数の場合)、複数個のY2は同一であっても異なっていてもよく、それらが互いに結合して環Ar2上の炭素原子とともに環を形成していてもよい]
で表される置換ジアリールエタン化合物を酸素により酸化した後、酸で処理して、下記式(2)
【化3】

(式中、環Ar1、Y1、pは前記に同じ)
で表される置換フェノール類を得ることを特徴とする置換フェノール類の製造方法を提供する。
【0007】
前記窒素原子含有環状化合物には、下記式(3)
【化4】

[式中、nは0又は1を示す。Xは酸素原子又は−OR基(Rは水素原子又はヒドロキシル基の保護基を示す)を示す。R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基又はアシルオキシ基を示し、R1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが互いに結合して、環状イミド骨格を構成する炭素原子又は炭素−炭素結合と共に、二重結合、又は芳香族性若しくは非芳香族性の環を形成してもよい。前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、又はR1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが互いに結合して形成された二重結合又は芳香族性若しくは非芳香族性の環には、下記式(a)
【化5】

(式中、n、Xは前記に同じ)
で表されるN−置換環状イミド基がさらに1又は2個以上形成されていてもよい]
で表される化合物が含まれる。
【0008】
前記式(1)中のY1における電子供与性基は、アルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、置換オキシ基、置換チオ基、アミノ基、モノ又はジ置換アミノ基から選択された置換基であってもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、置換基を有する芳香族炭化水素と芳香族ビニル化合物との反応により容易に得られる置換ジアリールエタン化合物から、種々の置換フェノール類を効率よく良好な収率で得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[置換ジアリールエタン化合物]
本発明において原料として用いる置換ジアリールエタン化合物は、前記式(1)で表される。式(1)中、環Ar1、環Ar2は、それぞれ単環又は多環の芳香族炭素環を示す。Y1は環Ar1に結合している電子供与性基を示し、Y2は環Ar2に結合している電子吸引性基を示す。pは1以上の整数であり、qは0又は1以上の整数である。Y1が複数個の場合(pが2以上の整数の場合)、複数個のY1は同一であっても異なっていてもよく、それらが互いに結合して環Ar1上の炭素原子(環Ar1を構成する炭素原子)とともに環を形成していてもよい。Y2が複数個の場合(qが2以上の整数の場合)、複数個のY2は同一であっても異なっていてもよく、それらが互いに結合して環Ar2上の炭素原子(環Ar2を構成する炭素原子)とともに環を形成していてもよい。
【0011】
環Ar1、環Ar2における単環又は多環の芳香族炭素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環、アントラセン環、ナフタセン環等の1〜10環程度の芳香族炭素環が挙げられる。これらの中でも、1〜5環の芳香族炭素環、特にベンゼン環及びナフタレン環が好ましい。
【0012】
1における電子供与性基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、置換オキシ基、置換チオ基、アミノ基、モノ又はジ置換アミノ基などが挙げられる。アルキル基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ヘキシル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル基などの炭素数1〜20(好ましくは1〜12、さらに好ましくは1〜6程度)の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が挙げられる。シクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロデシル、シクロドデシル基などの3〜20員(好ましくは3〜15員、さらに好ましくは5〜6員)のシクロアルキル基が挙げられる。
【0013】
置換オキシ基としては、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシ、テトラデシルオキシ、オクタデシルオキシ基などの炭素数1〜20(好ましくは1〜12、さらに好ましくは1〜6程度)のアルコキシ基;ホルミルオキシ、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ベンゾイルオキシ基などの炭素数1〜20(好ましくは1〜12、さらに好ましくは1〜6程度)のアシルオキシ基;ベンゼンスルホニルオキシ、p−トルエンスルホニルオキシ基などのスルホニルオキシ基;メトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、フェノキシカルボニルオキシ基などの炭素数2〜21(好ましくは2〜13、さらに好ましくは2〜7程度)の置換オキシカルボニルオキシ基(アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基等)などが挙げられる。置換チオ基としては、例えば、メチルチオ、エチルチオ、ブチルチオ、デシルチオ基などの炭素数1〜20(好ましくは1〜12、さらに好ましくは1〜6程度)のアルキルチオ基などが挙げられる。モノ又はジ置換アミノ基としては、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ基等のモノ又はジアルキルアミノ基;1−ピロリジニル、ピペリジノ、モルホリノ基等の環状アミノ基;アセチルアミノ、プロピオニルアミノ、ベンゾイルアミノ基等のアシルアミノ基;ベンゼンスルホニルアミノ、p−トルエンスルホニルアミノ基等のスルホニルアミノ基などが挙げられる。
【0014】
1が複数個の場合、複数個のY1が互いに結合して環Ar1上の炭素原子とともに形成する環としては、シクロプロパン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環などの3〜8員のシクロアルカン環;オキセタン環、オキソラン環、オキサン環、ジオキソラン環、ジオキサン環などが挙げられる。これらの環は置換基を有していてもよい。置換基としては、例えば、メチル、エチル基等のアルキル基(例えば、炭素数1〜6のアルキル基);メトキシ、エトキシ基等のアルコキシ基;フッ素、塩素、臭素原子等のハロゲン原子などが挙げられる。
【0015】
1の位置は特に制限はないが、原料調製の容易性、反応の選択性等の点から、1−アリールエチル基(環Ar2に置換基Y2を有していてもよい)が結合している位置のオルト位又はパラ位(環Ar1が多環の場合はそれらに相当する位置)が好ましい。Y1が複数個の場合は、その少なくとも1つが、1−アリールエチル基(環Ar2に置換基Y2を有していてもよい)が結合している位置のオルト位又はパラ位であるのが好ましい。Y1の個数pは1以上の整数であるが、好ましくは1〜3、さらに好ましくは1又は2である。
【0016】
2における電子吸引性基としては、例えば、ハロゲン原子、ハロアルキル基、アリール基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基、シアノ基、ニトロ基、スルホ基、置換オキシスルホニル基などが挙げられる。ハロゲン原子には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が含まれる。ハロアルキル基としては、例えば、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ブロモメチル基などの炭素数1〜20程度(好ましくは1〜12、さらに好ましくは1〜6程度)のハロアルキル基が挙げられる。
【0017】
アリール基には、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル基などが含まれる。置換オキシカルボニル基としては、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル基などのC1-20アルコキシ−カルボニル基(好ましくはC1-12アルコキシ−カルボニル基、さらに好ましくはC1-6アルコキシ−カルボニル基);フェニルオキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル基などのアリールオキシカルボニル基(好ましくはC6-20アリールオキシ−カルボニル基);ベンジルオキシカルボニル基などのアラルキルオキシカルボニル基(好ましくはC7-21アラルキルオキシ−カルボニル基)などが挙げられる。アシル基としては、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル、ヘキサノイル基などの炭素数1〜20程度(好ましくは1〜12、さらに好ましくは1〜6程度)の脂肪族アシル基;ベンゾイル、ナフトイル基などの芳香族アシル基などが例示できる。置換オキシスルホニル基としては、例えば、メトキシスルホニル基、エトキシスルホニル基等の炭素数1〜20程度(好ましくは1〜12、さらに好ましくは1〜6程度)の置換オキシスルホニル基などが挙げられる。
【0018】
2が複数個の場合、複数個のY2が互いに結合して環Ar2上の炭素原子とともに形成する環としては、環状酸無水物骨格などが挙げられる。
【0019】
2の位置は特に制限はない。Y2の個数pは0又は1以上の整数であるが、好ましくは0〜3、さらに好ましくは0〜2である。
【0020】
式(1)で表される置換ジアリールエタン化合物の代表的な例として、例えば、1−メチル−4−(1−フェニルエチル)ベンゼン、1,2−ジメチル−4−(1−フェニルエチル)ベンゼン、1,3−ジメチル−4−(1−フェニルエチル)ベンゼン、1−t−ブチル−4−(1−フェニルエチル)ベンゼン、4−[1−(4−クロロフェニル)エチル]−1,2−ジメチルベンゼン、4−(1−フェニルエチル)アニソール、1,2−ジメトキシ−4−(1−フェニルエチル)ベンゼン、1,4−ジメトキシ−3−(1−フェニルエチル)ベンゼン、1−メチルチオ−4−(1−フェニルエチル)ベンゼン、1−シクロヘキシル−4−(1−フェニルエチル)ベンゼン、4−(1−フェニルエチル)フェノール、4−(1−フェニルエチル)チオフェノール、1−メチルチオ−4−(1−フェニルエチル)ベンゼン、4−(1−フェニルエチル)アニリン、N−メチル−4−(1−フェニルエチル)アニリン、N,N−ジメチル−4−(1−フェニルエチル)アニリン、2−メチル−6−(1−フェニルエチル)ナフタレン、2−メトキシ−6−(1−フェニルエチル)ナフタレンなどが挙げられる。
【0021】
式(1)で表される置換ジアリールエタン化合物は、例えば、下記式(4)
【化6】

(式中、環Ar1、Y1、pは前記に同じ)
で表される置換基を有する芳香族炭化水素(例えば、置換ベンゼン類、置換ナフタレン類等)と、下記式(5)
【化7】

(式中、環Ar2、Y2、qは前記に同じ)
で表される芳香族ビニル化合物(例えば、スチレン類、ビニルナフタレン類等)とを反応させることにより製造できる。
【0022】
この反応は溶媒の存在下又は非存在下で行われる。溶媒としては反応を損なわないような溶媒であれば特に制限されない。反応は、通常、酸触媒の存在下で行われる。酸触媒としては、例えば、塩化第二鉄、臭化第二鉄、塩化アルミニウム、塩化チタン、塩化ジルコニウム、塩化亜鉛、塩化スズ等のルイス酸;硫酸などのブレンステッド酸などが挙げられる。
【0023】
式(4)で表される置換基を有する芳香族炭化水素と式(5)で表される芳香族ビニル化合物の使用割合は、特に限定されず、コスト等に応じて適宜選択できる。一般に、式(4)で表される置換基を有する芳香族炭化水素を過剰量用いる場合が多い。反応温度は、例えば30〜150℃、好ましくは40〜120℃、さらに好ましくは50〜100℃程度である。
【0024】
反応終了後、例えば、水洗等により酸触媒を除去し、蒸留等により、生成した置換ジアリールエタン化合物を取得できる。
【0025】
[窒素原子含有環状化合物]
本発明の製造方法においては、触媒として、式(I)で表される骨格を環の構成要素として含む窒素原子含有環状化合物を用いる。式(I)において、窒素原子とXとの結合は単結合又は二重結合である。Xは酸素原子又は−OR基(Rは水素原子又はヒドロキシル基の保護基を示す)を示す。前記窒素原子含有環状化合物は、分子中に、式(I)で表される骨格を複数個有していてもよい。また、この窒素原子含有環状化合物は、前記Xが−OR基であり且つRがヒドロキシル基の保護基である場合、式(I)で表される骨格(但し、Xが−OR基である)のうちRを除く部分が複数個、Rを介して結合していてもよい。
【0026】
式(I)中、Rで示されるヒドロキシル基の保護基としては、有機合成の分野で慣用のヒドロキシル基の保護基を用いることができる。このような保護基として、例えば、アルキル基(例えば、メチル、t−ブチル基などのC1-4アルキル基など)、アルケニル基(例えば、アリル基など)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基など)、アリール基(例えば、2,4−ジニトロフェニル基など)、アラルキル基(例えば、ベンジル、2,6−ジクロロベンジル、3−ブロモベンジル、2−ニトロベンジル、トリフェニルメチル基など);置換メチル基(例えば、メトキシメチル、メチルチオメチル、ベンジルオキシメチル、t−ブトキシメチル、2−メトキシエトキシメチル、2,2,2−トリクロロエトキシメチル、ビス(2−クロロエトキシ)メチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル基など)、置換エチル基(例えば、1−エトキシエチル、1−メチル−1−メトキシエチル、1−イソプロポキシエチル、2,2,2−トリクロロエチル、2−メトキシエチル基など)、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、1−ヒドロキシアルキル基(例えば、1−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシヘキシル、1−ヒドロキシデシル、1−ヒドロキシヘキサデシル、1−ヒドロキシ−1−フェニルメチル基など)等のヒドロキシル基とアセタール又はヘミアセタール基を形成可能な基など;アシル基(例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル基などのC1-20脂肪族アシル基等の脂肪族飽和又は不飽和アシル基;アセトアセチル基;シクロペンタンカルボニル、シクロヘキサンカルボニル基などのシクロアルカンカルボニル基等の脂環式アシル基;ベンゾイル、ナフトイル基などの芳香族アシル基など)、スルホニル基(メタンスルホニル、エタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホニル、ナフタレンスルホニル基など)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル基などのC1-4アルコキシ−カルボニル基など)、アラルキルオキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル基、p−メトキシベンジルオキシカルボニル基など)、置換又は無置換カルバモイル基(例えば、カルバモイル、メチルカルバモイル、フェニルカルバモイル基など)、無機酸(硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸など)からOH基を除した基、ジアルキルホスフィノチオイル基(例えば、ジメチルホスフィノチオイル基など)、ジアリールホスフィノチオイル基(例えば、ジフェニルホスフィノチオイル基など)、置換シリル基(例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、トリベンジルシリル、トリフェニルシリル基など)などが挙げられる。
【0027】
また、Xが−OR基である場合において、式(I)で表される骨格のうちRを除く部分が複数個、Rを介して結合する場合、該Rとして、例えば、オキサリル、マロニル、スクシニル、グルタリル、フタロイル、イソフタロイル、テレフタロイル基などのポリカルボン酸アシル基;カルボニル基;メチレン、エチリデン、イソプロピリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、ベンジリデン基などの多価の炭化水素基(特に、2つのヒドロキシル基とアセタール結合を形成する基)などが挙げられる。
【0028】
好ましいRには、例えば、水素原子;ヒドロキシル基とアセタール又はヘミアセタール基を形成可能な基;カルボン酸、スルホン酸、炭酸、カルバミン酸、硫酸、リン酸、ホウ酸などの酸からOH基を除した基(アシル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基等)などの加水分解により脱離可能な加水分解性保護基が好ましい。Rとしては特に水素原子が好ましい。
【0029】
前記式(I)で表される骨格を環の構成要素として含む窒素原子含有環状化合物には、前記式(3)で表される環状イミド骨格を有する環状イミド系化合物が含まれる。式(3)において、nは0又は1を示す。Xは酸素原子又は−OR基(Rは水素原子又はヒドロキシル基の保護基を示す)を示す。R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基又はアシルオキシ基を示し、R1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが互いに結合して、環状イミド骨格を構成する炭素原子又は炭素−炭素結合と共に、二重結合、又は芳香族性若しくは非芳香族性の環を形成してもよい。前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、又はR1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが互いに結合して形成された二重結合又は芳香族性若しくは非芳香族性の環には、前記式(a)(式中、n、Xは前記に同じ)で表される環状イミド基がさらに1又は2個以上形成されていてもよい。
【0030】
式(3)で表される環状イミド系化合物において、置換基R1、R2、R3、R4、R5及びR6のうちハロゲン原子には、ヨウ素、臭素、塩素およびフッ素原子が含まれる。アルキル基には、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、デシル、ドデシル基などの炭素数1〜30(特に、炭素数1〜20程度)の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が含まれる。
【0031】
アリール基には、フェニル、トリル、キシリル、ナフチル基などが含まれ、シクロアルキル基には、シクロペンチル、シクロヘキシル基などが含まれる。アルコキシ基には、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシ、ヘキシルオキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシ基などの炭素数1〜30(特に、炭素数1〜20程度)のアルコキシ基が含まれる。
【0032】
置換オキシカルボニル基には、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル、デシルオキシカルボニル基などのC1-30アルコキシ−カルボニル基(特に、C1-20アルコキシ−カルボニル基);シクロペンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル基などのシクロアルキルオキシカルボニル基(特に、3〜20員シクロアルキルオキシカルボニル基);フェニルオキシカルボニル基などのアリールオキシカルボニル基(特に、C6-20アリールオキシ−カルボニル基);ベンジルオキシカルボニル基などのアラルキルオキシカルボニル基(特に、C7-21アラルキルオキシ−カルボニル基)などが挙げられる。
【0033】
アシル基としては、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、デカノイル、ラウロイル基などのC1-30脂肪族アシル基(特に、C1-20脂肪族アシル基)等の脂肪族飽和又は不飽和アシル基;アセトアセチル基;シクロペンタンカルボニル、シクロヘキサンカルボニル基などのシクロアルカンカルボニル基等の脂環式アシル基;ベンゾイル基などの芳香族アシル基などが例示できる。
【0034】
アシルオキシ基としては、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、イソブチリルオキシ、バレリルオキシ、ピバロイルオキシ、デカノイルオキシ、ラウロイルオキシ基などのC1-30脂肪族アシルオキシ基(特に、C1-20脂肪族アシルオキシ基)等の脂肪族飽和又は不飽和アシルオキシ基;アセトアセチルオキシ基;シクロペンタンカルボニルオキシ、シクロヘキサンカルボニルオキシ基などのシクロアルカンカルボニルオキシ基等の脂環式アシルオキシ基;ベンゾイルオキシ基などの芳香族アシルオキシ基などが例示できる。
【0035】
前記置換基R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なっていてもよい。また、前記式(3)において、R1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが互いに結合して、環状イミド骨格を構成する炭素原子又は炭素−炭素結合と共に、二重結合、または芳香族性又は非芳香族性の環を形成してもよい。好ましい芳香族性又は非芳香族性環は5〜12員環、特に6〜10員環程度であり、複素環又は縮合複素環であってもよいが、炭化水素環である場合が多い。このような環には、例えば、脂環式環(シクロヘキサン環などの置換基を有していてもよいシクロアルカン環、シクロヘキセン環などの置換基を有していてもよいシクロアルケン環など)、橋かけ環(5−ノルボルネン環などの置換基を有していてもよい橋かけ式炭化水素環など)、ベンゼン環、ナフタレン環などの置換基を有していてもよい芳香族環(縮合環を含む)が含まれる。前記環は芳香族環で構成される場合が多い。前記環は、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子などの置換基を有していてもよい。
【0036】
前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、又はR1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが互いに結合して形成された二重結合又は芳香族性若しくは非芳香族性の環には、前記式(a)で表される環状イミド基がさらに1又は2個以上形成されていてもよい。例えば、R1、R2、R3、R4、R5又はR6が炭素数2以上のアルキル基である場合、このアルキル基を構成する隣接する2つの炭素原子を含んで前記環状イミド基が形成されていてもよい。また、R1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが互いに結合して、環状イミド骨格を構成する炭素−炭素結合と共に二重結合を形成する場合、該二重結合を含んで前記環状イミド基が形成されていてもよい。さらに、R1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが互いに結合して、環状イミド骨格を構成する炭素原子又は炭素−炭素結合と共に、芳香族性若しくは非芳香族性の環を形成する場合、該環を構成する隣接する2つの炭素原子を含んで前記環状イミド基が形成されていてもよい。
【0037】
好ましい環状イミド系化合物には、下記式で表される化合物が含まれる。
【化8】

(式中、R11〜R16は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基又はアシルオキシ基を示す。R17〜R26は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子を示す。R17〜R26は、隣接する基同士が結合して、式(3c)、(3d)、(3e)、(3f)、(3h)又は(3i)中に示される5員又は6員のN−置換環状イミド骨格を形成していてもよい。式(3f)中、Aはメチレン基又は酸素原子を示す。Xは前記に同じ)
【0038】
置換基R11〜R16におけるハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基としては、前記R1〜R6における対応する基と同様のものが例示される。
【0039】
置換基R17〜R26において、アルキル基には、前記例示のアルキル基と同様のアルキル基、特に炭素数1〜6程度のアルキル基が含まれ、ハロアルキル基には、トリフルオロメチル基などの炭素数1〜4程度のハロアルキル基、アルコキシ基には、前記と同様のアルコキシ基、特に炭素数1〜4程度の低級アルコキシ基、置換オキシカルボニル基には、前記と同様の置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基など)が含まれる。また、アシル基としては前記と同様のアシル基(脂肪族飽和又は不飽和アシル基、アセトアセチル基、脂環式アシル基、芳香族アシル基等)などが例示され、アシルオキシ基としては前記と同様のアシルオキシ基(脂肪族飽和又は不飽和アシルオキシ基、アセトアセチルオキシ基、脂環式アシルオキシ基、芳香族アシルオキシ基等)などが例示される。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素原子が例示できる。置換基R17〜R26は、通常、水素原子、炭素数1〜4程度の低級アルキル基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、ニトロ基、ハロゲン原子である場合が多い。
【0040】
好ましいイミド化合物のうち5員のN−置換環状イミド骨格を有する化合物の代表的な例として、例えば、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシ−α−メチルコハク酸イミド、N−ヒドロキシ−α,α−ジメチルコハク酸イミド、N−ヒドロキシ−α,β−ジメチルコハク酸イミド、N−ヒドロキシ−α,α,β,β−テトラメチルコハク酸イミド、N−ヒドロキシマレイン酸イミド、N−ヒドロキシヘキサヒドロフタル酸イミド、N,N′−ジヒドロキシシクロヘキサンテトラカルボン酸ジイミド、N−ヒドロキシフタル酸イミド、N−ヒドロキシテトラブロモフタル酸イミド、N−ヒドロキシテトラクロロフタル酸イミド、N−ヒドロキシヘット酸イミド、N−ヒドロキシハイミック酸イミド、N−ヒドロキシトリメリット酸イミド、N,N′−ジヒドロキシピロメリット酸ジイミド、N,N′−ジヒドロキシナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、α,β−ジアセトキシ−N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシ−α,β−ビス(プロピオニルオキシ)コハク酸イミド、N−ヒドロキシ−α,β−ビス(バレリルオキシ)コハク酸イミド、N−ヒドロキシ−α,β−ビス(ラウロイルオキシ)コハク酸イミド、α,β−ビス(ベンゾイルオキシ)−N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシ−4−メトキシカルボニルフタル酸イミド、4−クロロ−N−ヒドロキシフタル酸イミド、4−エトキシカルボニル−N−ヒドロキシフタル酸イミド、N−ヒドロキシ−4−ペンチルオキシカルボニルフタル酸イミド、4−ドデシルオキシ−N−ヒドロキシカルボニルフタル酸イミド、N−ヒドロキシ−4−フェノキシカルボニルフタル酸イミド、N−ヒドロキシ−4,5−ビス(メトキシカルボニル)フタル酸イミド、4,5−ビス(エトキシカルボニル)−N−ヒドロキシフタル酸イミド、N−ヒドロキシ−4,5−ビス(ペンチルオキシカルボニル)フタル酸イミド、4,5−ビス(ドデシルオキシカルボニル)−N−ヒドロキシフタル酸イミド、N−ヒドロキシ−4,5−ビス(フェノキシカルボニル)フタル酸イミドなどの式(3)におけるXが−OR基で且つRが水素原子である化合物;これらの化合物に対応する、Rがアセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等のアシル基である化合物;N−メトキシメチルオキシフタル酸イミド、N−(2−メトキシエトキシメチルオキシ)フタル酸イミド、N−テトラヒドロピラニルオキシフタル酸イミドなどの式(3)におけるXが−OR基で且つRがヒドロキシル基とアセタール又はヘミアセタール結合を形成可能な基である化合物;N−メタンスルホニルオキシフタル酸イミド、N−(p−トルエンスルホニルオキシ)フタル酸イミドなどの式(3)におけるXが−OR基で且つRがスルホニル基である化合物;N−ヒドロキシフタル酸イミドの硫酸エステル、硝酸エステル、リン酸エステル又はホウ酸エステルなどの式(3)におけるXが−OR基で且つRが無機酸からOH基を除した基である化合物などが挙げられる。
【0041】
好ましいイミド化合物のうち6員のN−置換環状イミド骨格を有する化合物の代表的な例として、例えば、N−ヒドロキシグルタルイミド、N−ヒドロキシ−α,α−ジメチルグルタルイミド、N−ヒドロキシ−β,β−ジメチルグルタルイミド、N−ヒドロキシ−1,8−デカリンジカルボン酸イミド、N,N′−ジヒドロキシ−1,8;4,5−デカリンテトラカルボン酸ジイミド、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド(N−ヒドロキシナフタル酸イミド)、N,N′−ジヒドロキシ−1,8;4,5−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドなどの式(3)におけるXが−OR基で且つRが水素原子である化合物;これらの化合物に対応する、Rがアセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等のアシル基である化合物;N−メトキシメチルオキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド、N,N′−ビス(メトキシメチルオキシ)−1,8;4,5−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドなどの式(3)におけるXが−OR基で且つRがヒドロキシル基とアセタール又はヘミアセタール結合を形成可能な基である化合物;N−メタンスルホニルオキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド、N,N′−ビス(メタンスルホニルオキシ)−1,8;4,5−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドなどの式(3)におけるXが−OR基で且つRがスルホニル基である化合物;N−ヒドロキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド又はN,N′−ジヒドロキシ−1,8;4,5−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドの硫酸エステル、硝酸エステル、リン酸エステル又はホウ酸エステルなどの式(3)におけるXが−OR基で且つRが無機酸からOH基を除した基である化合物などが挙げられる。
【0042】
前記式(I)で表される骨格を環の構成要素として含む窒素原子含有環状化合物には、上記環状イミド系化合物の他に、環状アシルウレア骨格[−C(=O)−N−C(=O)−N−]を有する環状アシルウレア系化合物が含まれる。環状アシルウレア系化合物の代表的な例として、下記式(6)
【化9】

(式中、Ra、Rdは、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、保護基で保護されていてもよいヒドロキシル基、保護基で保護されていてもよいカルボキシル基、又はアシル基を示し、Rb、Rcは、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基又はアシルオキシ基を示す。Ra、Rb、Rc、Rdのうち少なくとも2つが互いに結合して、式中の環を構成する原子とともに二重結合、又は芳香族性若しくは非芳香族性の環を形成してもよく、RbとRcは一体となってオキソ基を形成してもよい。Rは前記に同じ)
で表されるヒドロ−1−ヒドロキシ(又は1−置換オキシ)−1,3,5−トリアジン−2,6−ジオン化合物が挙げられる。
【0043】
式(6)中、Ra、Rdにおけるアルキル基、アリール基、シクロアルキル基、アシル基としては、上記R1〜R6におけるアルキル基等と同様のものが例示される。ヒドロキシル基の保護基としては、前記のものが挙げられる。
【0044】
カルボキシル基の保護基としては、有機合成の分野で慣用の保護基、例えば、アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシなどのC1-6アルコキシ基など)、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基など)アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基など)、トリアルキルシリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ基など)、置換基を有していてもよいアミノ基(例えば、アミノ基;メチルアミノ基、ジメチルアミノ基などのモノ又はジC1-6アルキルアミノ基など)などが挙げられる。
【0045】
b、Rcにおけるハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基としては、上記R1〜R6におけるアルキル基等と同様のものが例示される。
【0046】
式(6)において、Ra、Rb、Rc、Rdのうち少なくとも2つが互いに結合して、式中に示される環を構成する原子(炭素原子及び/又は窒素原子)とともに二重結合、又は芳香族性若しくは非芳香族性の環を形成してもよく、Rb、Rcは一体となってオキソ基を形成してもよい。好ましい芳香族性又は非芳香族性環としては前記と同様のものが例示される。
【0047】
式(6)で表される化合物のなかでも、下記式(6a)で表されるイソシアヌル酸誘導体が好ましい。
【化10】

[式中、R、R′、R″は、同一又は異なって、水素原子又はヒドロキシル基の保護基を示す]
【0048】
環状アシルウレア系化合物に含まれる代表的な化合物の例として、例えば、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリヒドロキシ−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン(=1,3,5−トリヒドロキシイソシアヌル酸)、1,3,5−トリアセトキシ−ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(メトキシメチルオキシ)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン、ヘキサヒドロ−1−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジン−2,6−ジオン、ヘキサヒドロ−1−ヒドロキシ−3,5−ジメチル−1,3,5−トリアジン−2,6−ジオン、1−アセトキシ−ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン−2,6−ジオン、1−アセトキシ−ヘキサヒドロ−3,5−ジメチル−1,3,5−トリアジン−2,6−ジオンなどが挙げられる。
【0049】
前記窒素原子含有環状化合物のうち、Xが−OR基で且つRが水素原子である化合物(N−ヒドロキシ環状化合物)は、公知の方法に準じて、又は公知の方法の組み合わせにより製造することができる。また、前記窒素原子含有環状化合物のうち、Xが−OR基で且つRがヒドロキシル基の保護基である化合物は、対応するRが水素原子である化合物(N−ヒドロキシ環状化合物)に、慣用の保護基導入反応を利用して、所望の保護基を導入することにより調製することができる。
【0050】
具体的には、前記環状イミド系化合物のうち、Xが−OR基で且つRが水素原子である化合物(N−ヒドロキシ環状イミド化合物)は、慣用のイミド化反応、例えば、対応する酸無水物とヒドロキシルアミンとを反応させ、酸無水物基の開環及び閉環を経てイミド化する方法により得ることができる。また、例えば、N−アセトキシフタルイミドは、N−ヒドロキシフタルイミドに無水酢酸を反応させたり、塩基の存在下でアセチルハライドを反応させることにより得ることができる。また、これ以外の方法で製造することも可能である。
【0051】
特に触媒として好ましい環状イミド系化合物は、脂肪族多価カルボン酸無水物(環状無水物)又は芳香族多価カルボン酸無水物(環状無水物)から誘導されるN−ヒドロキシイミド化合物(例えば、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシフタルイミド、N,N′−ジヒドロキシピロメリット酸ジイミド、N−ヒドロキシグルタルイミド、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド、N,N′−ジヒドロキシ1,8:4,5−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドなど);及び該N−ヒドロキシイミド化合物のヒドロキシル基に保護基を導入することにより得られる化合物などが含まれる。
【0052】
前記環状アシルウレア系化合物のうち、例えば、1,3,5−トリアセトキシ−ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン(=1,3,5−トリアセトキシイソシアヌル酸)は、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリヒドロキシ−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン(=1,3,5−トリヒドロキシイソシアヌル酸)に無水酢酸を反応させたり、塩基の存在下でアセチルハライドを反応させることにより得ることができる。
【0053】
式(I)で表される骨格を環の構成要素として含む窒素原子含有環状化合物は、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。前記窒素原子含有環状化合物は反応系内で生成させてもよい。また、前記窒素原子含有環状化合物は担体に担持した形態で用いてもよい。担体としては、活性炭、ゼオライト、シリカ、シリカ−アルミナ、ベントナイトなどの多孔質担体を用いる場合が多い。窒素原子含有環状化合物の担体への担持量は、担体100重量部に対して、例えば0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜30重量部、さらに好ましくは1〜20重量部程度である。
【0054】
前記窒素原子含有環状化合物の使用量は、例えば、広い範囲で選択でき、例えば、式(1)で表される置換ジアリールエタン化合物1モルに対して、0.0000001〜1モル、好ましくは0.0001〜0.5モル、さらに好ましくは0.001〜0.4モル、特に好ましくは0.01〜0.35モル程度である。
【0055】
本発明では、前記窒素原子含有環状化合物とともに助触媒を用いることもできる。助触媒として、金属化合物が挙げられる。助触媒として金属化合物を用いることにより、反応速度や反応の選択性を向上させることができる。金属化合物として、特に遷移金属化合物が好ましい。遷移金属化合物としては、遷移金属[周期表3族〜12族元素(V、Mo、Mn、Fe、Ru、Co、Cu等)]のハロゲン化物、有機酸塩、オキソ酸塩、錯体などが挙げられる。より具体的には、コバルト化合物を例にとると、塩化コバルト、臭化コバルト、酢酸コバルト、オクチル酸コバルト、ナフテン酸コバルト、硫酸コバルト、硝酸コバルト、コバルトアセチルアセトナートなどが例示される。遷移金属化合物としては、コバルト化合物又はマンガン化合物が好ましい。金属化合物の使用量は、前記窒素原子含有環状化合物1モルに対して、例えば0.001〜0.1モル程度、好ましくは0.005〜0.08モル程度である。
【0056】
本発明では、また、助触媒として、少なくとも1つの有機基が結合した周期表15族又は16族元素を含む多原子陽イオン又は多原子陰イオンとカウンターイオンとで構成された有機塩を用いることもできる。助触媒として前記有機塩を用いることにより、反応速度や反応の選択性を向上させることができる。
【0057】
また、本発明の方法では、系内に、ラジカル発生剤(ラジカル開始剤等)やラジカル反応促進剤を存在させてもよい。このような成分として、例えば、ハロゲン(塩素、臭素など)、過酸(過酢酸、m−クロロ過安息香酸など)、過酸化物(過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド(TBHP)等のヒドロペルオキシドなど)、アゾ系化合物(アゾビスイソブチロニトリル等)などが挙げられる。これらの成分を系内に存在させると、酸化反応が促進される場合がある。前記成分の使用量は、前記窒素原子含有環状化合物1モルに対して、例えば0.001〜2モル、好ましくは0.01〜1モル、さらに好ましくは0.05〜0.8モル程度である。
【0058】
[反応]
本発明では、前記式(I)で表される骨格を環の構成要素として含む窒素原子含有環状化合物の存在下で、前記式(1)で表される置換ジアリールエタン化合物を酸素により酸化した後、酸で処理する。
【0059】
式(1)で表される置換ジアリールエタン化合物の酸化反応は、通常、有機溶媒中で行われる。有機溶媒としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類;クロロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素;ニトロベンゼン、ニトロメタンなどのニトロ化合物;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸などの有機酸(特に、脂肪族飽和カルボン酸);これらの混合溶媒などが挙げられる。溶媒としては、アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類;酢酸エチルなどのエステル類などを用いる場合が多い。
【0060】
酸素としては分子状酸素を使用できる。分子状酸素は特に制限されず、純粋な酸素を用いてもよく、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素などの不活性ガスで希釈した酸素や空気、希釈空気を使用してもよい。酸素は系内で発生させてもよい。酸素の使用量は、基質である置換ジアリールエタン化合物の種類等に応じて適宜選択できるが、通常、置換ジアリールエタン化合物1モルに対して、0.5モル以上(例えば、1モル以上)、好ましくは1〜100モル、さらに好ましくは2〜50モル程度である。置換ジアリールエタン化合物に対して過剰モルの酸素を使用する場合が多い。
【0061】
酸化反応の際の反応温度は、置換ジアリールエタン化合物の種類等に応じて適宜選択でき、例えば30〜150℃、好ましくは40〜120℃、さらに好ましくは50〜100℃程度である。反応は、常圧又は加圧下で行うことができる。反応圧力は、通常、0.1〜10MPa、好ましくは0.1〜5MPa程度である。反応時間は、反応温度及び反応圧力に応じて、例えば10分〜48時間、好ましくは1〜24時間程度の範囲から選択できる。反応は、酸素の存在下又は酸素の流通下、回分式、半回分式、連続式等の慣用の方式で行うことができる。
【0062】
酸化反応により、式(1)で表される置換ジアリールエタン化合物における第3級炭素原子[2つのアリール基(環Ar1、環Ar2に係る基)とメチル基とが結合している炭素原子]部位が酸化されて対応するヒドロペルオキシドが生成するものと考えられる。
【0063】
酸化反応終了後、例えば反応液に酸を添加して酸処理を行う。酸としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、燐酸などの無機酸;メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等のスルホン酸;強酸性陽イオン交換樹脂;二酸化硫黄、三酸化硫黄などが挙げられる。酸は水溶液等の希釈した溶液の形態で用いてもよい。酸処理温度は、例えば−40℃〜40℃、好ましくは−20℃〜25℃、さらに好ましくは−10℃〜10℃程度である。
【0064】
上記酸処理により、目的化合物である式(2)で表されるフェノール類が選択的に生成する。この際、下記式(7)
【化11】

(式中、環Ar2、Y2、qは前記に同じ)
で表されるアリールメチルケトン類(アセトフェノン化合物等)が同時に生成する。すなわち、本発明では、酸化により生成したヒドロペルオキシドが酸により分解する際、選択的に電子供与性基の結合したアリール基側(環Ar1側)がフェノール類となり、他方のアリール基側(環Ar2側)がアリールメチルケトン類となる。このため、本発明によれば、アルキル基やアルコキシ基等の電子供与性基を有するフェノール類を工業的に効率よく製造できる。
【0065】
反応終了後、反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、吸着、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段やこれらを組み合わせにより分離精製できる。
【0066】
こうして得られた置換フェノール類は、フェノール樹脂、合成染料、可塑剤、医薬、農薬などの原料として使用できる。
【実施例】
【0067】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0068】
製造例1
o−キシレン(200mL)にスチレン(20mmol)とFeCl3・6H2O(2mmol)を加え、80℃で4時間撹拌した。反応後、水洗により触媒を除去し、蒸留精製を行うことで、1,2−ジメチル−4−(1−フェニルエチル)ベンゼンを得た。収率は80%であった。
【0069】
製造例2
o−キシレン(200mL)に4−クロロスチレン(20mmol)とFeCl3・6H2O(2mmol)を加え、80℃で4時間撹拌した。反応後、水洗により触媒を除去し、蒸留精製を行うことで、4−[1−(4−クロロフェニル)エチル]−1,2−ジメチルベンゼンを得た。収率は89%であった。
【0070】
製造例3
アニソール(200mL)にスチレン(20mmol)とFeCl3・6H2O(2mmol)を加え、80℃で4時間撹拌した。反応後、水洗により触媒を除去し、蒸留精製を行うことで、4−(1−フェニルエチル)アニソールを得た。収率は80%であった。
【0071】
製造例4
1,2−ジメトキシベンゼン(200mL)にスチレン(20mmol)とFeCl3・6H2O(2mmol)を加え、80℃で4時間撹拌した。反応後、水洗により触媒を除去し、蒸留精製を行うことで、1,2−ジメトキシ−4−(1−フェニルエチル)ベンゼンを得た。収率は59%であった。
【0072】
製造例5
1,4−ジメトキシベンゼン(200mL)にスチレン(20mmol)とFeCl3・6H2O(2mmol)を加え、80℃で4時間撹拌した。反応後、水洗により触媒を除去し、蒸留精製を行うことで、1,4−ジメトキシ−3−(1−フェニルエチル)ベンゼンを得た。収率は51%であった。
【0073】
実施例1
反応器に、1,2−ジメチル−4−(1−フェニルエチル)ベンゼン(10mmol)、N−ヒドロキシフタルイミド(1mmol)、アゾビスイソブチロニトリル(0.3mmol)、アセトニトリル(3mL)を仕込み、常圧酸素雰囲気下、75℃で6時間撹拌した。その後、0℃まで冷却し、0.1M−H2SO4(10mL)を滴下して加え、30分撹拌した。その後、アンモニア水溶液で中和し、反応液をガスクロマトグラフィーにて分析したところ、3,4−ジメチルフェノールが46%の収率で、アセトフェノンが50%の収率で、3,4−ジメチルアセトフェノンが2.7%の収率で生成し、フェノールが痕跡量生成していた。1,2−ジメチル−4−(1−フェニルエチル)ベンゼンの転化率は64%であった。
【0074】
実施例2
反応器に、1,2−ジメチル−4−(1−フェニルエチル)ベンゼン(10mmol)、N−ヒドロキシフタルイミド(1mmol)、アゾビスイソブチロニトリル(0.3mmol)、アセトニトリル(3mL)を仕込み、常圧酸素雰囲気下、75℃で6時間撹拌した。その後、0℃まで冷却し、陽イオン交換樹脂(商品名「アンバーリスト15J」)0.5g加え、1時間撹拌した。その後、反応液をガスクロマトグラフィーにて分析したところ、3,4−ジメチルフェノールが50%の収率で、アセトフェノンが50%の収率で、3,4−ジメチルアセトフェノンが1%の収率で生成し、フェノールが痕跡量生成していた。1,2−ジメチル−4−(1−フェニルエチル)ベンゼンの転化率は62%であった。
【0075】
実施例3
1,2−ジメチル−4−(1−フェニルエチル)ベンゼンの代わりに4−[1−(4−クロロフェニル)エチル]−1,2−ジメチルベンゼンを用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。反応液をガスクロマトグラフィーにて分析したところ、3,4−ジメチルフェノールが43%の収率で、4−クロロアセトフェノンが48%の収率で、3,4−ジメチルアセトフェノンが2.4%の収率で生成し、4−クロロフェノールは検出されなかった。4−[1−(4−クロロフェニル)エチル]−1,2−ジメチルベンゼンの転化率は63%であった。
【0076】
実施例4
1,2−ジメチル−4−(1−フェニルエチル)ベンゼンの代わりに4−(1−フェニルエチル)アニソールを用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。反応液をガスクロマトグラフィーにて分析したところ、4−メトキシフェノールが54%の収率で、アセトフェノンが54%の収率で生成し、フェノールは検出されなかった。4−(1−フェニルエチル)アニソールの転化率は54%であった。
【0077】
実施例5
1,2−ジメチル−4−(1−フェニルエチル)ベンゼンの代わりに1,2−ジメトキシ−4−(1−フェニルエチル)ベンゼンを用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。反応液をガスクロマトグラフィーにて分析したところ、3,4−ジメトキシフェノールが48%の収率で、アセトフェノンが55%の収率で生成し、フェノールは検出されなかった。1,2−ジメトキシ−4−(1−フェニルエチル)ベンゼンの転化率は64%であった。
【0078】
実施例6
1,2−ジメチル−4−(1−フェニルエチル)ベンゼンの代わりに1,4−ジメトキシ−3−(1−フェニルエチル)ベンゼンを用いたこと以外は実施例1と同様の操作を行った。反応液をガスクロマトグラフィーにて分析したところ、2,5−ジメトキシフェノールが22%の収率で、アセトフェノンが25%の収率で生成し、フェノールが痕跡量生成していた。1,4−ジメトキシ−3−(1−フェニルエチル)ベンゼンの転化率は36%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I)
【化1】

[式中、Xは酸素原子又は−OR基(Rは水素原子又はヒドロキシル基の保護基を示す)を示す]
で表される骨格を環の構成要素として含む窒素原子含有環状化合物の存在下、下記式(1)
【化2】

[式中、環Ar1、環Ar2は、それぞれ単環又は多環の芳香族炭素環を示し、Y1は環Ar1に結合している電子供与性基を示し、Y2は環Ar2に結合している電子吸引性基を示す。pは1以上の整数であり、qは0又は1以上の整数である。Y1が複数個の場合(pが2以上の整数の場合)、複数個のY1は同一であっても異なっていてもよく、それらが互いに結合して環Ar1上の炭素原子とともに環を形成していてもよい。Y2が複数個の場合(qが2以上の整数の場合)、複数個のY2は同一であっても異なっていてもよく、それらが互いに結合して環Ar2上の炭素原子とともに環を形成していてもよい]
で表される置換ジアリールエタン化合物を酸素により酸化した後、酸で処理して、下記式(2)
【化3】

(式中、環Ar1、Y1、pは前記に同じ)
で表される置換フェノール類を得ることを特徴とする置換フェノール類の製造方法。
【請求項2】
窒素原子含有環状化合物が、下記式(3)
【化4】

[式中、nは0又は1を示す。Xは酸素原子又は−OR基(Rは水素原子又はヒドロキシル基の保護基を示す)を示す。R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基又はアシルオキシ基を示し、R1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが互いに結合して、環状イミド骨格を構成する炭素原子又は炭素−炭素結合と共に、二重結合、又は芳香族性若しくは非芳香族性の環を形成してもよい。前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、又はR1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが互いに結合して形成された二重結合又は芳香族性若しくは非芳香族性の環には、下記式(a)
【化5】

(式中、n、Xは前記に同じ)
で表されるN−置換環状イミド基がさらに1又は2個以上形成されていてもよい]
で表される化合物である請求項1記載の置換フェノール類の製造方法。
【請求項3】
1における電子供与性基が、アルキル基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、置換オキシ基、置換チオ基、アミノ基、モノ又はジ置換アミノ基から選択された置換基である請求項1記載の置換フェノール類の製造方法。

【公開番号】特開2008−222571(P2008−222571A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−59228(P2007−59228)
【出願日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(000002901)ダイセル化学工業株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】