説明

置換ベンゾピラン化合物の製造方法

本発明は置換されたベンゾピラン化合物の新規製造方法と、それに相応する新規中間体化合物および前記中間体化合物の新規製造方法に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下記化学式1で表される置換されたベンゾピラン化合物の新規製造方法と、それに相応する新規中間体および前記中間体の新規製造方法に関するものである。
【0002】
【化1】

(1)
【0003】
前記化学式1において、R1、R2、R3、R4、AおよびYは各々発明の詳細な説明で定義する通りである。
【背景技術】
【0004】
本発明に係る置換されたベンゾピラン化合物は欧州特許第0173516号等により公知のロイコトリエン受容体拮抗薬であり、ロイコトリエンおよび5−α−還元酵素により誘発される疾患の治療剤として知られている。本発明の製造方法と係る先行技術として、特開平3−95144号には下記化学式(A)で表されるフェノール化合物から4段階の製造工程により3−アミノ−2−ヒドロキシアセトフェノンを製造する方法が記載されているが、前記製造方法はその製造経路が長いため効率的であるとは言えず、特にアミノ基を導入するための還元段階(a)ではPd/Cを利用した水素化反応を遂行するため爆発の危険性を持っているため産業的に適用するには問題点が多いということが指摘されてきた。
【0005】
【化2】

【0006】
前記反応式において、Xはハロゲン原子を表す。
【0007】
また、米国特許第5,675,036号、米国特許第5,597,929号および国際公開特許WO94/12492号に記載された合成方法は、合成が難しいアセトフェノン化合物(D)を中間体として使用しているだけでなく、アミン部分からアミド基を導入する際に必要となる塩化アシル(E)を製造するために爆発性と腐食性が非常に強いSOCl2を使用しなければならないため安全と環境的な側面において適合しない。また、生成された塩化アシルは一般的に不安定であるため、商業的な生産においてそれを調節することは難しい。
【0008】
【化3】

【0009】
本発明は欧州特許第0173516号に記述されているベンゾピラン化合物のうちの一部化合物の新規製造方法に関するもので、従来の製造方法と比べてはるかに少ない反応段階からなっているため安全で効率的であり、産業的に有用である。特に、本発明による製造方法は既存の線形工程より効率的と言える収束形経路によって行われ、特に水素化反応のような危険な工程がなく、反応過程中に生成される中間体物質が非常に安定で、分離および精製が非常に容易である。
【0010】
【特許文献1】欧州特許第0173516号
【特許文献2】特開平3−95144号
【特許文献3】米国特許第5,675,036号
【特許文献4】米国特許第5,597,929号
【特許文献5】国際公開特許WO94/12492号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は下記化学式1で表される化学構造を有する置換されたベンゾピラン化合物の製造方法と、その製造に使用される新規中間体化合物、そして前記中間体化合物の製造方法をその特徴とする。
【化4】

(1)
【0012】
前記化学式1において、R1はC1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、C2-20アルキニル基、フェニル基、ナフタレニル基およびインダニル基からなる群から選択され、それらは各々C1-20アルキル基、C2-20アルケニル基およびC2-20アルキニル基からなる群から選択された1個乃至2個の置換基(これら置換基を構成する炭素原子のうち最大5個までは選択的に酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子、ベンゼン環、チオフェン環、ナフタレン環、C4-7炭素環、カルボニル基、カルボニルオキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アジド基またはニトロ基で置換されることができる)により置換され、
【0013】
2およびR4は各々水素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、1〜3個のアリール基で置換されたC1-6アルキル基、C1-6アルコキシカルボニル基、アリール基で置換されたC1-6アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、C1-6アルコキシC1-6アルキル基、C3-9トリアルキルスズ基、トリアリールスズ基、またはC3-9トリアルキルシリル基を表し、この時、アリール基またはアリールはフェニル基、ハロゲン原子、C1-6アルキル基およびC1-6アルコキシ基からなる群から選択された1〜3個の置換基で置換されたフェニル基であり、
【0014】
3は水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルチオ基、または−COOR5(この時、R5は水素原子またはC1-6アルキル基)を表し、
【0015】
Aは単結合であるか、またはC1-10アルキル基およびフェニル基のうちから選択された1〜3個の置換基で置換または非置換されたC1-10アルキレン基、C2-10アルケニレン基、またはC2-10アルキニレン基であり、
【0016】
Xはハロゲン原子であり、
【0017】
Yは酸素原子または硫黄原子である。
【0018】
前記化学式1で表される置換されたベンゾピラン化合物の製造において、R1はフェニル基または置換されたフェニル基であることが好ましく、この時、前記の置換されたフェニル基はC1-20アルキル基、C2-20アルケニル基およびC2-20アルキニル基からなる群から選択された1個乃至2個の置換基(これら置換基を構成する炭素原子のうち最大5個までは選択的に酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子、ベンゼン環、チオフェン環、ナフタレン環、C4-7炭素環、カルボニル基、カルボニルオキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アジド基またはニトロ基によって置換されることができる)で置換されていてもよい。R1はフェニル基のp−位置に前記で例示したものの中から選択された一つの置換基によって置換されたフェニル基である場合が好ましく、特に、
【0019】
【化5】

である場合が好ましい。
【0020】
前記化学式1で表される置換されたベンゾピラン化合物の製造において、R2およびR4は各々水素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、1〜3個のアリール基で置換されたC1-6アルキル基またはC1-6アルコキシカルボニル基であることが好ましい。特に、R2およびR4は各々水素原子であることが更に好ましい。
【0021】
前記化学式1で表される置換されたベンゾピラン化合物の製造において、R3は水素原子である。
【0022】
前記化学式1で表される置換されたベンゾピラン化合物の製造において、Aは単結合であるか、またはC1-10アルキル基およびフェニル基のうちから選択された1〜3個の置換基で置換または非置換されたメチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ビニレン、プロペニレン、ブテニレン、ブタジエニレンまたはエチニレン基である場合が好ましく、特にAは単結合である場合が更に好ましい。
【0023】
本発明による前記化学式1で表される置換されたベンゾピラン化合物は下記反応式1に表された通り、下記化学式2で表される化合物と下記化学式3で表される化合物を反応させて製造することができる。
【0024】
【化6】

【0025】
前記反応式1において、R1、R2、R3、R4、A、XおよびYは各々前記化学式1で定義する通りである。
【0026】
前記反応式1による製造方法は、カリウムまたは銅触媒、リガンドおよび塩基が存在下で有機溶媒を使用して還流温度で行われる。
【0027】
前記反応で使用される溶媒としては高い極性を有する有機溶媒、例えばN,N'−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ピリジン、1,4−ジオキサン、C1-6アルカノール(メタノール、エタノール、t−ブタノール)からなる群から選択された単独溶媒またはそれらの混合溶媒を使用するようにし、特にN,N'−ジメチルホルムアミドを使用することが好ましい。
【0028】
前記反応で使用される触媒としてはカリウムまたは銅含有化合物を反応物質の量に対して0.1〜100モル%の範囲で使用するようにし、ヨウ化銅、塩化銅およびCu2Oからなる群から選択されることが好ましく、特にヨウ化銅(CuI)を使用することが好ましい。
【0029】
前記反応で使用されるリガンドは、例えばジアミン類またはホスフィン類のリガンドを触媒使用量を基準にして0.5〜3当量の範囲で使用し、N,N'−ジメチルエチレンジアミン、トランス−N,N'−1,2−シクロヘキサンジアミンおよびトランス−N,N'−ジメチル−1,2−シクロヘキサンジアミンからなる群から選択することが好ましく、特にN,N'−ジメチルエチレンジアミンを使用することが好ましい。
【0030】
前記反応で使用される塩基としては、例えばカリウムt−ブトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムメトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド、水素化ナトリウム、水素化カリウムのような水素化物、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸ナトリウムのようなアルカリ金属炭酸塩、またはリン酸カリウム、リン酸ナトリウムのようなアルカリ金属リン酸塩を基質に対して1〜10当量の範囲で使用し、特にアルカリ金属リン酸塩を使用することが好ましい。
【0031】
前記反応式1による製造方法において好ましい様態は、下記反応式1aで表される通り、下記化学式2aで表される化合物と下記化学式3aで表される化合物、その塩またはその溶媒和物(例:水和物)を反応させ、下記化学式1aで表される置換されたベンゾピラン化合物、その塩またはその溶媒和物(例:水和物)を製造することである。


【0032】
【化7】

反応式1a
【0033】
前記反応式1aにおいて、触媒としてヨウ化銅、リガンドとしてN,N'−ジメチルエチレンジアミン、そして塩基としてリン酸カリウムの存在下で、溶媒としてN,N'−ジメチルホルムアミドを使用し、70〜100℃で一日以上攪拌反応させる。
【0034】
一方、前記反応式1による合成方法において、反応物質として使用された前記化学式2で表される化合物(特に化学式2aで表される化合物)と前記化学式3で表される(特に化学式3aで表される化合物)は、前記化学式1で表される化合物の合成に利用される新規中間体化合物である。従って、本発明は新規中間体化合物として前記化学式2および前記化学式3で表される化合物も本発明の権利範囲に含まれる。
【0035】
本発明による新規中間体化合物として前記化学式2で表される化合物は、下記反応式2で表される通り、下記化学式4で表される化合物を加水分解して合成することができる。
【0036】
【化8】

反応式2
【0037】
前記反応式2において、R1、R2、AおよびYは各々前記化学式1で定義する通りである。
【0038】
前記反応式2において、水、有機溶媒またはその混合溶媒を使用する条件で、塩基を利用した加水分解を行いアミド基を導入する。本発明の加水分解に使用される塩基/溶媒の条件は当該分野の専門家には自明であり、具体的に、メタノール、エタノール、t−ブタノールのようなC1-6アルカノール溶媒またはそれらの混合溶媒を溶媒として使用し、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属水酸化物を塩基として使用する。
【0039】
前記反応式2による加水分解において好ましい様態は、下記反応式2aで表される通り、下記化学式4aで表される化合物、その塩またはその溶媒和物(例:水和物)を水酸化カリウム/t−ブタノールの条件下で反応させ、下記化学式2aで表される化合物、その塩またはその溶媒和物(例:水和物)を合成することである。


【0040】
【化9】

反応式2a
【0041】
また、本発明による新規中間体化合物である前記化学式3で表される化合物は、下記反応式3で表される通り、(a)下記化学式5で表される化合物と下記化学式6で表される化合物を反応させ、下記化学式7で表される化合物を合成した後、(b)これを環化反応させて製造することができる。
【0042】
【化10】

反応式3
【0043】
前記反応式3において、R3、R4およびXは各々化学式1で定義するとおりであり、Zは活性化された離脱基を表す。
【0044】
前記反応式3による活性化された離脱基(Z)の例としては、ハロゲン原子、−N(R6)(OR6)(この時、R6はC1-6アルキル基)で表される活性化されたアミド基、R7O−、R7S−またはR7SO2O−(この時、R7はC1-6アルキル基、任意で置換されたフェニル基または任意で置換されたフェニルC1-6アルキル基)、または
【0045】
【化11】

(この時、R8はC1-6アルキル基、任意で置換されたフェニル基または任意で置換されたフェニルC1-6アルキル基であり、Yは各々酸素原子または硫黄原子)である。
【0046】
活性化された離脱基(Z)としてR7O−が好ましく、この時R7がC1-6アルキル基、任意で置換されたフェニル基または任意で置換されたフェニルC1-6アルキル基の場合であり、R7がC1-6アルキル基、例えば、メチル基、エチル基、i−ブチル基またはt−ブチル基である場合が更に好ましく、特にR7がエチル基の場合が最も好ましい。
【0047】
前記反応式3による製造過程(a)はN,N'−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランのようなエーテル溶媒、トルエン、ベンゼン、ヘキサンまたはC1-6アルカノール(例えばメタノール、エタノール、t−ブタノール)のような有機溶媒、および塩基(カリウムt−ブトキシド、ナトリウムメトキシドおよび、カリウムメトキシドのようなアルカリ金属アルコキシド、水素化ナトリウムのような水素化物、そしてカリウムアミドおよびナトリウムアミドのようなアミドからなる群から選択される)の存在下で行う。
【0048】
前記反応式3による製造過程(b)の環化反応は酸の存在下で行われる。例えば、硫酸の存在下で、溶媒媒質としてC1-6アルカノールまたは酢酸のような溶媒を使用して環化反応を行うことができ、また、C1-6アルカノール/テトラヒドロフランの混合溶媒を使用して塩酸の存在下で環化反応を行うことができる。
【0049】
また、これを代替する酸/溶媒は当該分野の専門家には自明であり、前記反応は水、C1-6アルカノール、およびベンゼンまたはトリエンのような不飽和炭素環炭化水素のような適合した溶媒の中で、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、過塩素酸またはp−トルエンスルホン酸のような酸および、三塩化アルミニウムまたは四塩化チタンのようなルイス酸を使用して行われる。前記環化反応は硫酸の存在下でメタノール溶媒を使用して行うことが好ましい。
【0050】
前記反応式3による製造方法において好ましい様態は、下記反応式3aで表される通り、(a)下記化学式5aで表される化合物と下記化学式6aで表される化合物、その塩またはその溶媒和物(例:水和物)を反応させ、下記化学式7aで表される化合物、その塩またはその溶媒和物(例:水和物)を製造した後、(b)それを環化反応させて下記化学式7aで表される化合物、その塩またはその溶媒和物(例:水和物)を製造することである。
【0051】
【化12】

化学式3a
【0052】
一方、本発明による前記反応式3の合成方法において、前記化学式7で表される化合物(特に、化学式7aで表される化合物)は新規中間体化合物であり、従って、本発明は中間体化合物として前記化学式7で表される化合物も本発明の権利範囲に含まれる。
【0053】
前記化学式7で表される化合物は便宜上、本発明でジ・ケト形(di-keto type)と表示するが、前記化学式7で表される化合物はケト・エノール形および環状ヒドロキシクロマノン形(cyclic hydroxy chromanone)としても存在することができる。従って、本発明は前記化学式7で表される化合物の全ての互変異性型を含む。
【0054】
【化13】

環状ヒドロキシクロマノン形
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
(実施例)
以下、本発明を実施例によって詳述するが、これらの実施例によって限定されるものではない。
【実施例1】
【0056】
4−(4−フェニルブトキシ)ベンズアミドの製造
4−(4−フェニルブトキシ)ベンゾニトリル(1.9g,7.5mmol)とt−ブタノール(37mL)の溶液に水酸化ナトリウム(2.1g,38mmol)を入れて4時間還流した。混合物を室温になるように冷却した後、水とメタノール混合溶液(4:1,100mL)に注いだ。得られた添加物を濾過、水で洗浄し、真空乾燥させて白色固体の目標化合物(1.9g,94%)が得られた。
1H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ7.81−7.83(m,3H)、7.15−7.30(m,6H)、6.95(d,J=9.0Hz,2H)、4.04(t,J=5.9Hz,2H)、2.65(t,J=6.9Hz,2H)、1.73(t,J=3.2Hz,4H)
【実施例2】
【0057】
2−ヨード−6−[1、3−ジオキソ−3−(テトラゾール−5−イル)プロピル]フェノールの製造
窒素雰囲気下で、2−ヒドロキシ−3−ヨードアセトフェノン(1.5g,5.7mmol)、エチル−1H−テトラゾール−5−カルボキシレート(1.1g,7.5mmol)およびカリウムt−ブトキシド(3.2g,28.7mmol)の混合物に無水ジメチルホルムアミド(30mL)を加えて、50℃で3時間攪拌した。混合溶液を常温に冷ました後、冷たい1N HCl(120mL)にゆっくり入れた。得られたオレンジ色の沈殿物を濾過し、水で洗浄し、真空乾燥させて目標化合物が得られ、これを加熱しながら酢酸エチルに溶かし、ヘキサンを加えて0℃で2時間静置した。その後、生成物を濾過してヘキサンで洗浄した後、真空乾燥させて黄色固体の精製生成物(1.7g,83%)が得られた。
1H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ8.99(br s,1H)、8.10(dd,J=7.7,1.8Hz,1H)、7.80(dd,J=8.0,1.7Hz,1H)、6.95(t,J=7.8Hz,1H)、3.57(d,J=16.5Hz,1H)、3.20(d,J=16.5Hz,1H)
【実施例3】
【0058】
8−ヨード−4−オキソ−2−テトラゾール−5−イル−1H−1−ベンゾピランの製造
メタノール(20mL)に前記実施例2で製造された精製生成物(1.5g,4.2mmol)を混合、攪拌した後、スラリーを製造し、濃硫酸(265μL,5.0mmol)を加えて反応物を7時間還流した。混合物が室温になるように冷却した後、0℃に維持させながら1時間置いておいた。得られた生成物を濾過して冷たいメタノール、水、冷たいメタノールの順で洗浄した。生成物を真空乾燥させ、薄黄色固体の目標化合物(1.3g,93%)が得られた。
1H NMR(300MHz,DMSO−d6)δ8.35(dd,J=7.7,1.7Hz,1H)、8.07(dd,J=7.8,1.5Hz,1H)、7.33(t,J=8.0Hz,1H)、7.11(s,1H)
【実施例4】
【0059】
4−オキソ−8−[4−(4−フェニルブトキシ)ベンゾイルアミノ]−2−テトラゾール−5−イル−4H−1−ベンゾピランの製造
窒素雰囲気下で、前記実施例1で得られた精製生成物(108mg,0.40mmol)、前記実施例3で得られた精製生成物(68mg,0.20mmol)、ヨウ化銅(11.4mg,0.04mmol)、リン酸カリウム(255mg,0.80mmol)およびN,N'−ジメチルエチレンジアミン(13μL,0.08mmol)を混合した。前記混合物に無水ジメチルホルムアミド(1mL)を入れて100℃で2日間攪拌した。反応溶液を常温になるように冷ました後、水(15mL)を注いだ。ここに飽和塩酸水溶液を入れ、pH1〜2となるように酸性化させた。沈殿物を濾過して得られた固体をメタノール(10mL)に懸濁させて、濾過し、残った前記実施例1で得られた精製生成物を除去した。得られた固体に酢酸ナトリウム(32mg,0.40mmol)を加えてメタノール(7mL)に溶かした後、濾過液に飽和塩酸水溶液を加えた。生成された混合物を濾過して冷たいメタノールで洗浄した後、真空乾燥させ、薄黄色固体の目標化合物(77mg,81%)が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0060】
以上、説明したとおり、本発明は先行技術と比べ、製造工程が比較的簡単でありながらも安全で商業的に利用するのに有用である。特に、前記化学式1で表される置換されたベンゾピラン化合物を合成する過程で、反応中間体として合成される前記化学式2、3および7で表される化合物各々は新規中間体物質として安定性が優れ、その有用性が非常に大きい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式2で表される化合物と下記化学式3で表される化合物を反応させて製造されることを特徴とする下記化学式1で表される化合物、その塩またはその溶媒和物。
【化1】

前記式において、
1はC1-20アルキル基、C2-20アルケニル基、C2-20アルキニル基、フェニル基、ナフタレニル基およびインダニル基からなる群から選択され、これらは各々C1-20アルキル基、C2-20アルケニル基およびC2-20アルキニル基からなる群から選択された1個乃至2個の置換基(これら置換基を構成する炭素原子のうち最大5個までは選択的に酸素原子、硫黄原子、窒素原子、ハロゲン原子、ベンゼン環、チオフェン環、ナフタレン環、C4-7炭素環、カルボニル基、カルボニルオキシ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アジド基またはニトロ基によって置換される)で置換されていてもよく、
2およびR4は各々水素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、1〜3個のアリール基で置換されたC1-6アルキル基、C1-6アルコキシカルボニル基、アリール基で置換されたC1-6アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、C1-6アルコキシC1-6アルキル基、C3-9トリアルキルスズ基、トリアリールスズ基、またはC3-9トリアルキルシリル基を表し、この時、アリール基またはアリールはフェニル基、またはハロゲン原子、C1-6アルキル基およびC1-6アルコキシ基からなる群から選択された1〜3個の置換基で置換されたフェニル基であり、
3は水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、ニトロ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-6アルキルチオ基、または−COOR5(この時、R5は水素原子またはC1-6アルキル基)を表し、
Aは単結合であるか、またはC1-10アルキル基およびフェニル基のうちから選択された1乃至3個の置換基で置換または非置換されたC1-10アルキレン基、C2-10アルケニレン基、またはC2-10アルキニレン基であり、
Xはハロゲン原子であり、
Yは酸素原子または硫黄原子である。
【請求項2】
前記R1
【化2】

であり、R2、R3およびR4が各々水素原子であり、Aが単結合であり、XがI、BrまたはClであり、Yが酸素原子であることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
前記反応が、パラジウムまたは銅含有化合物の触媒、ジアミンリガンドおよび塩基の存在下で行われることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項4】
前記反応がヨード化銅、塩化銅およびCu2Oからなる群から選択された触媒、N,N'−ジメチルエチレンジアミン、トランス−N,N'−1,2−シクロヘキサンジアミンおよびトランス−N,N'−ジメチル−1,2−シクロヘキサンジアミンからなる群から選択されたリガンド、炭酸セシウムおよびリン酸カリウムからなる群から選択された塩基の存在下で行われることを特徴とする請求項3記載の製造方法。
【請求項5】
前記反応がヨード化銅の触媒、N,N'−ジメチルエチレンジアミンリガンドおよびリン酸カリウム塩基の存在下で行われることを特徴とする請求項4記載の製造方法。
【請求項6】
前記反応がジメチルホルムアミド溶媒を使用する条件で行われることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項記載の製造方法。
【請求項7】
下記化学式2aで表される化合物と下記化学式3aで表される化合物、その塩またはその溶媒和物を反応させ、下記化学式1aで表される化合物、その塩またはその溶媒和物を製造することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【化3】

【請求項8】
前記反応がジメチルホルムアミド溶媒、ヨード化銅の触媒、N,N'−ジメチルエチレンジアミンリガンドおよびリン酸カリウム塩基の存在下で70〜100℃で行われることを特徴とする請求項7記載の製造方法。
【請求項9】
下記化学式2で表される中間体化合物、その塩またはその溶媒和物。
【化4】

(2)
前記化学式2において、R1、R2、AおよびYは各々請求項1で定義したものと同一である。
【請求項10】
前記化学式2で表される中間体化合物が4−(4−フェニルブトキシ)ベンズアミドであることを特徴とする請求項9記載の化合物。
【請求項11】
(a)下記化学式5で表される化合物と下記化学式6で表される化合物を反応させ、下記化学式7で表される化合物を製造した後、
(b)これを環化反応させて製造すること
を特徴とする下記化学式3で表される化合物の製造方法。
【化5】

前記化学式において、R3、R4およびXは各々請求項1で定義したものと同一であり、Zは活性化された離脱基を表す。
【請求項12】
前記環化反応が硫酸存在下でメタノール溶媒を使用して行われることを特徴とする請求項11記載の製造方法。
【請求項13】
(a)下記化学式5aで表される化合物と下記化学式6aで表される化合物、その塩またはその溶媒和物を反応させ、下記化学式7aで表される化合物、その塩またはその溶媒和物を製造した後、
(b)これを環化反応させ、下記化学式3aで表される化合物、その塩またはその溶媒和物を製造すること
を特徴とする請求項11記載の製造方法。
【化6】

【請求項14】
下記化学式7で表されることを特徴とする中間体化合物、その塩またはその溶媒和物。
【化7】

(7)
前記化学式7において、R3、R4およびXは各々請求項1で定義したものと同一である。
【請求項15】
前記化学式7で表される中間体化合物が2−ヨード−6−[1,3−ジオキソ−3−(テトラゾール−5−イル)プロピル]フェノールであることを特徴とする請求項14記載の化合物。

【公表番号】特表2007−522206(P2007−522206A)
【公表日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553050(P2006−553050)
【出願日】平成17年2月7日(2005.2.7)
【国際出願番号】PCT/KR2005/000365
【国際公開番号】WO2005/077942
【国際公開日】平成17年8月25日(2005.8.25)
【出願人】(505053947)エスケー ケミカルズ カンパニー リミテッド (16)
【Fターム(参考)】