説明

美容処理装置

【課題】 電池を必要とせず、トリートメント中に発電をするための動作負担をかけることなく、かつ冷涼感も得ることのできる美容処理装置を提供する。
【解決手段】 ペルチェ素子の片面に、肌面と接触する円盤状チタンを貼付し、他の面には熱容量の大きい銅鋳部材を蓄熱材として貼付し、温度差電力発生手段を構築し、該温度差電力発生手段により生じた電力を動力源として作動する、肌面を刺激する手段、例えば電流刺激手段を具備して構成実現した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肌面の美容向上を可能とした、熱電変換素子を用いた美容処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、肌面の美容効果を得るため、可視帯域の一部から赤外帯域の光を肌面に照射し、また刺激電流を通電する美容処理装置が市販され人気を博している。
【0003】
これらの製品は、乾電池等の一次電池や商用電源により充電される二次電池を電源として作動しているものが大部分を占める。
【0004】
近年、使い勝手や環境問題を考慮して電池を要しない、自家発電による前記同様の機能を有する美容処理装置も開発され、市販されている。(例えば特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】 特開2008−264507
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
以上に記した従来の美容処理装置では、使用済み電池処理の環境負荷問題が存在し、また自家発電タイプのものは、常に肌面に接するローターをせわしく回転させ、発電する必要があり、美容に肝要なリラクゼーションを得ることができない。
【0007】
本発明は、このような従来の美容処理装置が有していた問題を解決しようとするものであり、電池を必要とせず、せわしくローターを回転することも不要で、使用者に施術上の負担をかけることがなく、かつトリートメント中に冷涼感も得ることのできる美容処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記目的を達成するために、熱電変換素子、例えばペルチェ素子の片面に、肌面と接触する比較的熱容量の低い部材を貼付し、他の面には熱容量の大きい部材を蓄熱材として貼付し、温度差電力発生手段を構築する。
【0009】
該温度差電力発生手段の出力は、出力インピーダンスは低いものの、出力電圧は目的とする電圧値に達していないため、DC/DCコンバーターにより所定の電圧値に昇圧する。
【0010】
該DC−DCインバーターの出力は、パルス駆動回路、間欠駆動回路及び電磁波発生回路の電源となり、パルス駆動回路の出力は肌面と接触する肌面電極、手掌と接触する手掌電極に供給され、間欠駆動回路の出力はLEDに供給され、また電磁波発生回路の出力はコンデンサを介して肌面と接触する肌面電極に供給される。
【0011】
上記の構成部材は、熱伝導度の低いプラスチックケースに収納され、肌面と接触する肌面電極、手掌と接触する手掌電極のみがプラスチックケース外に配設される。
【0012】
本発明による美容処理装置の使用方法は、トリートメントする前に冷蔵庫の、例えばチルドルームに該美容処理装置を放置し、十分に冷却された後トリートメントを開始する。
【0013】
当初、前記ペルチェ素子の両面温度は同一の約2℃であるので、温度差電力は発生しないが、肌面と接触する比較的熱容量の低い肌面電極を介し、ペルチェ素子の片面が体温と同等に加温されるので温度差電力が生じ、肌面と接触する肌面電極、手掌と接触する手掌電極間にパルス電圧が発生し、電磁波出力が肌面と接触する肌面電極に印加されると同時に前記LEDが間欠発光するに至り、この動作は前記ペルチェ素子の他の面に貼付した熱容量の大きい蓄熱材の温度が、体温と同等になるまで持続する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば上記したごとく、熱電変換素子の温度差を電力に変換して作動するので、一般家庭にある冷蔵庫を利用して電池を必要とせず、経済的で環境に優しい、使用者に施術上の負担をかけることがなく、かつトリートメント中に冷涼感も得ることのできる美容処理装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】 本発明の一実施例で、一部断面で示す概略図ある。
【図2】 本発明の一実施例で、肌面電極にローラーを付加した概略図である。
【図3】 本発明の一実施例を示す電気的ブロック図である。図面内に付された符号は図1、図2、図3全てにわたり同一体を示す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
熱電変換素子、例えばペルチェ素子の片面に、肌面と接触する比較的熱容量の低い部材を貼付し、他の面には熱容量の大きい部材を蓄熱材として貼付し、温度差電力発生手段を構築し、該温度差電力発生手段により生じた電力を源とし、肌面を刺激する電流刺激手段、光刺激手段及び電磁波刺激手段を具備して構成実現した。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明の一実施例を示す概略図であって、上部半分は断面で示され、ペルチェ素子3の片面には肌面と接触する比較的熱容量の低い円盤状の耐食チタン部材を貼付して肌面電極1とし、他の面には熱容量の大きい円筒状の銅鋳部材を貼付して蓄熱材4とし、温度差電力発生手段を構築している。
【0018】
肌面電極1に耐食チタン部材を使用した理由は、金属アレルギーを防止するためで、同一理由で手掌電極2も耐食チタン部材を使用している。
【0019】
また、蓄熱材4に銅鋳部材を使用した理由は、比熱即ち熱容量が大きいのに加え、結露等により発生する恐れのあるカビ類に対し、抗菌作用があるからである。
【実施例2】
【0020】
図2に示す実施例は、図1に示した実施例の肌面電極1の形状を円盤状から軸受け状に変更し、該軸受けにローラー11を回転自在に嵌合し、電気的及び熱的に一体化して肌面電極1としたもので、他の構造は同一である。
【0021】
前記軸受け部は熱伝導度が高く、比較的熱容量の低いアルミ部材を使用し、前記ローラー11には金属アレルギーを防止するため、耐食チタン部材を使用している。
【0022】
図1に示した実施例では、肌面を円盤状の肌面電極1が摺動接触するのに対し、図2に示す実施例では、ローラー状の肌面電極1が回転接触するので、肌面に対する摩擦が少ない特長を有する。
【0023】
図3は本発明の実施例1及び実施例2に共通な電気的ブロック図であって、前記温度差電力発生手段、即ちペルチェ素子3の出力電圧はDC/DCコンバーター6により所定の電圧値に昇圧される。
【0024】
DC/DCコンバーター6は、バイポーラトランジスタを用いたLC発振回路構成となっており、2次側を巻き上げ、その両端電圧を整流直流化して後続のパルス駆動回路7、間欠駆動回路8及び電磁波発生回路12の電源としている。
【0025】
パルス駆動回路7は、低閾値ゲイト電圧を有するMOS型FETを用いた無安定マルチバイブレーターにより構成され、その発振周波数は皮膚刺激に適した1KHzとなっている。
【0026】
また間欠駆動回路8は、前記パルス駆動回路7同様、低閾値ゲイト電圧を有するMOS型FETを用いた無安定マルチバイブレーターにより構成され、その発振周波数は2Hzとなっている。
【0027】
電磁波発生回路12はLC発振回路構成となっており、その出力はコンデンサCを介し肌面電極1に印加されている。
【0028】
無安定マルチバイブレーター構成素子としてMOS型FETを使用した理由は、入力インピーダンスが高く、発振周波数を決定するCR定数のうち、Cの値を小さくすることができ、回路の占有面積を縮小することが可能であるからである。
【0029】
パルス駆動回路7の出力は、スイッチ10を介し、各々肌面電極1及び手掌電極2に供給され、使用条件に合わせ極性を反転可能となっており、肌面電極1には高周波的に浮かせるため、インダクターLが挿入されている。
【0030】
間欠駆動回路8の出力は、LED9に供給され、0.25秒ごとに点灯及び消灯を繰り返し実行し、連続点灯に起因する肌面の光照射慣れによる美容効果低下を防止している。
【0031】
また間欠駆動回路8の出力は、ペルチェ素子3の出力電圧値が一定値を下回ると、出力が遮断されるように構成されており、LED9の点滅の有無により本美容処理装置の使用の可否が判断できるようになっている。
【0032】
上記説明の各ブロックの電気回路は、プリント基板上に搭載形成され、図1及び図2に示す収納ケース5に内包される。(図示せず)
【0033】
上記説明のとおり、本発明によれば熱電変換素子の温度差を電力に変換して作動するので、一般家庭にある冷蔵庫を利用して電池を必要とせず、経済的で環境に優しい、使用者に施術上の負担をかけることがなく、かつトリートメント中に冷涼感も得ることのできる美容処理装置を提供することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
蓄熱材の温度と、体温の温度差を利用して発電する仕組みであるので、整形外科治療の冷熱療法、温熱療法に電気刺激、光刺激及び電磁波刺激を加えた療法として利用できる可能性がある。
【符号の説明】
【0035】
1 肌面電極 2 手掌電極
3 ペルチェ素子 4 蓄熱材
5 収納ケース 6 DC/DCコンバーター
7 パルス駆動回路 8 間欠駆動回路
9 LED 10 スイッチ
11 ローラー 12 電磁波発生回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱電変換素子の一方の面に、肌面と接触する比較的熱容量の低い部材を貼付し、他の一方の面には熱容量の大きい部材を蓄熱材として貼付して温度差電力発生手段を構築し、該温度差電力発生手段により生じた電力を動力源とし作動する、肌面刺激手段を具備したことを特徴とする美容処理装置。
【請求項2】
前記熱電変換素子として、ペルチェ素子を用いた請求項1記載の美容処理装置。
【請求項3】
前記肌面刺激手段が、肌面を通電する電流刺激手段、肌面を照射する光刺激手段及び肌面を放射する電磁波刺激手段を同時、または任意の組み合わせ、または個別に具備したことを特徴とする請求項1または請求項2記載の美容処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−284459(P2010−284459A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−156164(P2009−156164)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【出願人】(505293602)有限会社ロウテック (6)
【Fターム(参考)】