美容装置
【課題】美容装置において、電極及び肌間の電流集中を抑制することにある。
【解決手段】制御装置11は、何れかのRF電極に肌が接触していない旨判断すると、肌及びRF電極の接触面積が不十分であるとして、両電極群28,29に高周波電流を供給しない。これにより、肌が一部のRF電極に接触した状態において、その接触部分に電流が集中することが抑制される。
【解決手段】制御装置11は、何れかのRF電極に肌が接触していない旨判断すると、肌及びRF電極の接触面積が不十分であるとして、両電極群28,29に高周波電流を供給しない。これにより、肌が一部のRF電極に接触した状態において、その接触部分に電流が集中することが抑制される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、美容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パルス光を肌に照射するとともに、低周波電流又は高周波電流を肌に供給する美容装置が知られている。この美容装置を使用することを通じて、パルス光によって肌の細胞を活性化させるとともに、低周波電流又は高周波電流によって皮膚を適当な温度まで加熱して肌を引き締める美容効果がある。
【0003】
上記装置として、例えば、特許文献1に記載の構成が公知である。なお、この文献における装置は治療を目的とした治療装置であるが、パルス光及び低周波電流により上述した美容効果を奏することができる。図10に示すように、装置の探触子であるプローブ100は、その内部に設けられるパルス光源102と、肌に直接押し当てられる透明電極101とを備える。プローブ100は2つ1組で構成される。両透明電極101が肌に当てられることで、両透明電極101を介して装置からの低周波電流が体内に供給される。また、パルス光源102から照射される光は透明電極101を介して肌に照射される。本構成によれば、パルス光及び低周波電流による美容効果が同時に得られる。
【0004】
また、例えば、特許文献2に示される美容装置は、両電極が単一のプローブに配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−10331号公報
【特許文献2】特開平9−154910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記両装置における電極は、凹凸がある例えば顔等に当てられる。従って、図11に示すように、透明電極101を当てる部位によっては、透明電極101と肌との接触面積を十分に確保できず、透明電極101の一部のみが肌に接触することがある。透明電極101の一部のみが肌に接触した場合には、その一部に集中して電流が流れ込む。これにより、皮膚の温度が上記適当な温度を超えて、期待される美容効果が十分に得られないおそれがある。
【0007】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電極及び肌間の電流集中を抑制することができる美容装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を達成するための手段について説明する。
第1の発明は、皮膚との接触を介して皮膚に電流を供給する複数の電極と、
前記電極への電流の供給を制御する制御装置と、前記電極と皮膚との接触を検出する接触センサと、を備え、前記制御装置は、前記接触センサの検出結果に基づき判断される前記電極及び皮膚の接触面積に応じて前記電極へ供給する電流を制御することをその要旨としている。
【0009】
第2の発明は、前記複数の電極のうち、最も離れて位置する2つの電極に前記接触センサを設けることをその要旨としている。
第3の発明は、縦横に格子状に配設される前記複数の電極のうち角に位置する電極に前記接触センサを設けることをその要旨としている。
【0010】
第4の発明は、前記電極は2つで1組の複数組にて構成され、前記各電極に前記接触センサを設け、前記制御装置は前記各接触センサの検出結果に基づき組をなす2つの前記電極が皮膚に接触していると判断した組の電極にのみ電流を供給することをその要旨としている。
【0011】
第5の発明は、前記接触センサは、静電容量方式又は赤外線方式の接触センサであることをその要旨としている。
第6の発明は、前記接触センサは、静電容量方式のものを採用し、同センサは前記複数の電極のうち少なくとも1つの電極の周囲に形成されるとともに、同電極の皮膚側に露出する面と同一面を有することをその要旨としている。
【0012】
第7の発明は、前記接触センサは、前記電極に供給される電流を検出するとともに、同電極に印加される電圧を検出するセンサと、前記センサの検出結果に基づき皮膚のインピーダンスを算出するとともに、算出されたインピーダンスが、前記電極及び皮膚の接触面積が確保された状態での皮膚のインピーダンスを基準に設定されるしきい値以下であるか否かを判断する判断部とからなることをその要旨としている。
【0013】
第8の発明は、光を皮膚に照射する光源を、前記複数の電極の背面側に設け、前記電極は透明電極としたことをその要旨としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、美容装置において、電極及び肌間の電流集中を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態における美容装置の構成図。
【図2】第1の実施形態における美容装置の正面図。
【図3】第1の実施形態における美容装置の内部構成を示した断面図。
【図4】第1及び第3の実施形態における美容装置の下面図。
【図5】第1の実施形態におけるRF電極の側面図。
【図6】第1の実施形態におけるRF電極の下面図。
【図7】第2の実施形態における美容装置の下面図。
【図8】他の実施形態における美容装置の下面図。
【図9】他の実施形態における美容装置の下面図。
【図10】従来のプローブの断面図。
【図11】従来のプローブの電極が肌に当てられたときの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
以下、本発明にかかる美容装置を具体化した第1の実施形態について図1〜6を参照して説明する。本例における美容装置では、パルス光及び高周波電流を皮膚に与えることで美容効果が得られる。
【0017】
まず、美容装置におけるパルス光に関する構成について説明する。
図1に示すように、美容装置は、制御装置11と、光源用照射回路13と、光源14とを備える。制御装置11は、RF制御回路11aと、センサ制御回路11bと、光源制御回路11cとを備えてなる。光源制御回路11cは、光源用照射回路13に制御信号を出力する。この光源用照射回路13は、制御信号に基づき、バッテリ(内部電源)からの電力を光源14へ供給する。光源14は電力が供給されることで発光する。本例では、光源14として、キセノンフラシュを採用している。キセノンフラシュでは皮膚の浅い部分(表皮)を温めるとともに、同部分の細胞を活性化させる効果が得られる。なお、本例では、皮膚に悪影響を及ぼすとされる400nm以下の波長の光は光学フィルタ(図示略)でカットされる。
【0018】
次に、美容装置における高周波電流に関する構成について説明する。
図1に示すように、美容装置は、RF(Radio Frequency)発信機15と、両電極群28,29と、接触センサ24a〜24pと、を備える。RF制御回路11aは、RF発信機15に制御信号を出力する。RF発信機15は、制御信号に基づき、バッテリ(内部電源)からの直流電流を高周波電流(交流電流)に変換するとともに、変換した高周波電流を第1及び第2の電極群28,29へ供給する。
【0019】
第1の電極群28はRF電極21a〜21hからなり、第2の電極群はRF電極21i〜21pからなる。各RF電極21a〜21pは、ITO(Indium Tin Oxide)で形成された透明電極が採用されている。第1の電極群28のRF電極21a〜21hは導線37を介して並列接続されている。同様に、第2の電極群29のRF電極21i〜21pは導線38を介して並列接続されている。各導線37,38はRF発信機15に接続されている。
【0020】
両電極群28,29が肌に当てられたとき、皮膚を介して第1の電極群28(RF電極21a〜21h)及び第2の電極群29(RF電極21a〜21p)間で電流の授受がなされる。このとき、皮膚が電極群28,29間を接続する電気的抵抗となる。これにより、RF発信機15及び両電極群28,29を備えた装置の内部回路が電気的に閉じて、同回路に高周波電流が流れる。このため、皮膚に高周波電流を供給することができる。すなわち、RF電極21a〜21pが肌に当てられたときには、RF電極21a〜21pの設置範囲全域に亘る皮膚に高周波電流を供給することができる。皮膚は電気的抵抗として作用するため、皮膚にて電気エネルギが熱エネルギとして消費される。これにより、皮膚(真皮、皮下脂肪)が温められて真皮のコラーゲンや皮下脂肪が収縮して肌を引き締めることができる。ここで、皮膚の温度は加熱しすぎても期待される美容効果が得られない。また、光源14からのパルス光の照射によって表皮が温められることで、皮膚のインピーダンス(電気的抵抗)が下がる。従って、高周波電流を確実に表皮より深い真皮及び皮下脂肪まで到達させることができるため、相乗効果が得られる。
【0021】
図4に示すように、各接触センサ24a〜24pは各RF電極21a〜21pに対応して設けられている。本例において、接触センサ24a〜24pは、静電容量方式のセンサが採用されている。本方式のセンサでは、接触センサ24a〜24pと皮膚との接触による静電容量の変化に基づき皮膚の接触の有無が検出される。図1に示すように、接触センサ24a〜24pの検出結果はセンサ制御回路11bに出力される。センサ制御回路11bは、例えば、接触センサ24aの検出結果に基づき接触センサ24aに肌が接触している旨認識した場合には、接触センサ24aに対応するRF電極21aに肌が接触していると判断する。従って、制御装置11は、接触センサ24a〜24pの検出結果に基づき、全ての接触センサ24a〜24p、すなわち全てのRF電極21a〜21pに肌が接触している旨判断した場合、肌とRF電極21a〜21pとの接触面積が十分に確保されているとして、RF電極21a〜21pに高周波電流を供給する。このときの電流は、全てのRF電極21a〜21pが肌に接触したことを想定した値に設定されている。制御装置11は、接触センサ24a〜24pの検出結果に基づき、一部のRF電極にしか肌が接触していないと判断した場合には、両電極群28,29に電力を供給しない。
【0022】
また、図1に示すように、美容装置は、ユーザによって操作される電源スイッチ16及び光照射スイッチ17を備える。電源スイッチ16及び光照射スイッチ17は、図2に示すように、装置の外形をなす樹脂製のハウジング30に取り付けられている。電源スイッチ16が操作されると、制御装置11等の装置各部にバッテリ電力(動作電力)が供給される。そして、センサ制御回路11bは、接触センサ24a〜24pからの検出結果を待つ待機状態となる。この待機状態において、センサ制御回路11bは、接触センサ24a〜24pの検出結果に基づき、全てのRF電極21a〜21pに肌が接触している旨判断した場合、その旨を示す信号をRF制御回路11aに出力する。RF制御回路11aはセンサ制御回路11bからの信号に基づき制御信号(高周波電流供給指令信号)をRF発信機15へ出力する。これにより、RF発信機15は、両電極群28,29に高周波電流を供給可能な状態となる。このとき、両電極群28,29間に肌が接触していれば、RF発信機15からの高周波電流が皮膚に供給される。この状態において、電源スイッチ16が操作されると、装置各部への電力供給が遮断される。そして、RF電極21a〜21p及び皮膚への電力供給も停止される。
【0023】
美容装置の各部に動作電力が供給された状態において、光照射スイッチ17が操作されると、その旨の操作信号が光源制御回路11cに出力される。光源制御回路11cは、光照射スイッチ17からの操作信号を受けると、光源用照射回路13を介して図示しないバッテリの電力を光源14に供給する。これにより、光源14が所定周期毎に発光する。光源制御回路11cは、光照射スイッチ17からの操作信号を再び受けると、光源用照射回路13を介して光源14への電力供給を停止する。
【0024】
以上のように、電源スイッチ16の操作により、高周波電流が供給される。また、高周波電流が供給されている状態において、光照射スイッチ17を操作することで、高周波電流及びパルス光を同時に供給することができる。なお、美容装置の電源は、バッテリに限らず商用電源であってもよい。この場合、装置のバッテリを省略できる。
【0025】
次に、光源14及び両電極群28,29の構成について、図3〜図6を参照しつつ説明する。
図3に示すように、ハウジング30の底部には、透過板33が嵌め込まれている。この透過板33は、光透過性及び非導電性を有する例えば、石英ガラス若しくはアクリル樹脂からなる。ハウジング30の内部には反射部材32が設けられている。反射部材32は上側に向かうにつれて穴径が小さくなる傘状に形成されている。また、反射部材32の内面は、光を反射させる性質を有する例えばアルミニウムの層が形成される。反射部材32の内頂部には、管球からなる光源14が設けられている。従って、反射部材32は、光源14からその上側に拡散する光を透過板33側に反射させる。光源14からのパルス光は透過板33を介して皮膚に照射される。
【0026】
図4に示すように、透過板33の外側に露出する面には計16個のRF電極21a〜21pが配置される。RF電極21a〜21pは、左右上下方向に沿って4×4の行列をなすように配置されている。ここで、左右方向に並ぶ電極を行とし、上下方向に並ぶ電極を列とする。上側から1行目にはRF電極21a〜21dが配置され、2行目にはRF電極21e〜21hが配置され、3行目にはRF電極21i〜21lが配置され、4行目にはRF電極21m〜21pが配置されている。すなわち、左から順に1列目にはRF電極21a,21e,21i,21mが配置され、2列目にはRF電極21b,21f,21j,21nが配置され、3列目にはRF電極21c,21g,21k,21oが配置され、4列目にはRF電極21d,21h,21l,21pが配置されている。
【0027】
図5に示すように、各RF電極21a〜21pの周囲には、接触センサ24a〜24pが設けられている。接触センサ24a〜24pは、RF電極21a〜21pの全周に亘って沿う態様にて設けられている。接触センサ24a〜24p及びRF電極21a〜21iは、透過板33の反対側に同一の接触面25を形成する。ここで、図6に示すように、RF電極21a〜21pを皮膚に対して移動させるときには、接触面25の外側から皮膚が接触していく。これにより、接触面25の一部にのみ皮膚が接触した場合であれ、接触センサ24a〜24pは確実に肌の接触を検出することができる。なお、透過板33及び皮膚がそれらの全面で面接触する態様でRF電極21a〜21pが皮膚に当てられた場合には、RF電極21a〜21p及び接触センサ24a〜24pはほぼ同時に皮膚に接触する。以上のように、肌がRF電極21a〜21pにのみ接触することを抑制することができる。
【0028】
RF電極21a〜21pは、透過板33に紫外線硬化型の接着剤により接着されている。前述のように、RF電極21a〜21pとしてITOからなる透明電極が採用されている。このため、RF電極21a〜21pを透過板33の全域に亘って配置した場合であれ、それらが光源14からの光を遮ることはない。
【0029】
図3に示すように、第1の電極群28を構成するRF電極21a〜21hは、透過板33の厚さ方向に貫通する導線37にて並列接続されている。また、第2の電極群29を構成するRF電極21i〜21pは、透過板33の厚さ方向に貫通する導線38にて並列接続されている。両導線37,38は、それぞれハウジング30の内部のRF発信機15に接続されている。また、各接触センサ24a〜24pには、透過板33の厚さ方向に貫通する導線39が接続されている。この導線39は、それぞれハウジング30の内部の制御装置11(センサ制御回路11b)に接続されている。
【0030】
以上のように構成される美容装置は、RF電極21a〜21pが肌に当てられて使用される。ここで、RF電極21a〜21pは肌に対して変形しない透過板33に配置されて、顔や腕等の凹凸がある各部に当てられるため、常に、全てのRF電極21a〜21pが肌に接触するとは限らない。例えば、図4に2点鎖線で示すように、肌が領域40における部分にのみ接触して、領域40に位置する接触センサ24a,24b,24c,24e,24fにのみ接触する場合がある。このとき、制御装置11は、接触センサ24a〜24pの検出結果に基づき、接触センサ24a,24b,24c,24e,24fを含む領域40以外のRF電極21d,21g〜21pに肌が接触していない旨判断して、両電極群28,29に高周波電流を供給しない。換言すると、何れかのRF電極に肌が接触していない旨判断されると、肌及びRF電極の接触面積が不十分であるとして、高周波電流が供給されない。
【0031】
制御装置11は、高周波電流の供給中においても所定周期毎に接触センサ24a〜24pの検出結果に基づき、全てのRF電極21a〜21pが肌に接触しているか否か判断する。そして、制御装置11は、何れかのRF電極に肌が接触していない旨判断した時点で、両電極群28,29への高周波電流の供給を停止する。
【0032】
ここで、接触センサ24a〜24pを備えない従来の美容装置では、例えば、肌が全ての第2の電極群29と、第1の電極群28のうちRF電極21aとに接触した場合、本来8つのRF電極21a〜21hに分散される電流が1つのRF電極21aに集中して流れる。本例では、肌が全てのRF電極21a〜21pに接触した旨判断されたことを条件に高周波電流が供給されるため、上記のような電流集中の発生を抑制することができる。これにより、真皮を適切な温度に加熱することができ、上述のような美容効果が確実に得られる。また、美容効果が期待できない状況での電流供給を抑制できるところ、無駄な電力消費を低減することができる。
【0033】
以上、説明した実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)制御装置11は、何れかのRF電極に肌が接触していない旨判断すると、肌及びRF電極の接触面積が不十分であるとして、両電極群28,29に高周波電流を供給しない。従って、肌が一部のRF電極に接触した状態において、その接触するRF電極に電流が集中することが抑制される。これにより、上述した美容効果が確実に得られる。
【0034】
(2)接触センサ24a〜24pは、静電容量方式のセンサが採用されている。本方式のセンサにおいては、RF電極21a〜21pと一体で形成することができる。よって、より確実に肌がRF電極21a〜21pに接触しているか否かを検出できる。
【0035】
(3)RF電極21a〜21pとしてITOからなる透明電極が採用されている。このため、光源14からのパルス光がRF電極21a〜21pにより遮られることはない。
(4)接触センサ24a〜24pは、RF電極21a〜21pと同一の接触面25を有する態様で、各RF電極21a〜21pの周囲に設けられている。これにより、接触面25の一部にのみ肌が接触する場合であれ、接触センサ24a〜24pは確実に肌の接触を検出することができる。
【0036】
(第2の実施形態)
以下、本発明にかかる美容装置を具体化した第2の実施形態について、図7を参照して説明する。この実施形態の美容装置は、電極と肌との接触の有無を検出する方式が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、この実施形態の美容装置は、図1に示す第1の実施形態の美容装置と同様の構成を備えている。
【0037】
図7に示すように、接触センサ41〜44は、透過板33における同図の上下左右の各端部に設けられる。すなわち、透過板33の周縁部において接触センサ41はRF電極21b,21cの間に位置し、接触センサ42はRF電極21n,21oの間に位置し、接触センサ43はRF電極21h,21lの間に位置し、接触センサ44はRF電極21e,21iの間に位置する。
【0038】
本実施形態における接触センサ41〜44は赤外線方式が採用されている。本方式においては、人体が放射する赤外線を受光して、これを電気信号に変換する。この電気信号を赤外線の検出結果として制御装置11(センサ制御回路11b)に出力する。ここで、人体が接触センサ41〜44に近づくにつれて接触センサ41〜44が出力する電圧レベルは大きくなる。制御装置11は、各接触センサ41〜44からの電気信号の電圧レベルが一定値を超えたとき、RF電極21a〜21pが肌に接触した旨の判断をする。これは、透過板33の周縁部の4つの接触センサ41〜44により肌が検出された場合、それらの内側に存在するRF電極21a〜21pは当然に肌に接触していると考えられるからである。なお、一定値は、肌が接触センサ41〜44付近のRF電極に接触したときに接触センサ41〜44において生成される電気信号の電圧レベル未満の値に設定されている。ここで、接触センサ41〜44付近のRF電極とは、例えば、接触センサ41であればRF電極21b,21c,21f,21gである。そして、制御装置11は、接触センサ41〜44の検出結果に基づきRF発信機15を介して両電極群28,29に高周波電流を供給する。すなわち、接触センサ41〜44からの電気信号のうち1つでも電圧レベルが一定値を超えないものがある場合には、肌が接触していない電極が存在する、すなわちRF電極21a〜21iと肌との接触面積が不十分であるとして、両電極群28,29に高周波電流を供給しない。これにより、第1の実施形態と同様に、RF電極21a〜21pの一部のRF電極に肌が接触する場合にその接触した部分に電流が集中することが抑制される。
【0039】
制御装置11は、高周波電流の供給中においても所定周期毎に接触センサ41〜44の検出結果に基づき、全てのRF電極21a〜21pが肌に接触しているか否か判断する。そして、接触センサ41〜44のうち1つでも肌を検出していない旨判断される場合には、その検出していないセンサ付近のRF電極が肌に接触していないとして両電極群28,29への高周波電流の供給が停止される。
【0040】
本実施形態においては、接触センサ41〜44を透過板33の周縁部において、4つの辺の中央に設けることにより、4つの接触センサ41〜44だけで各RF電極21a〜21pが肌に全て接触しているか否かを検出することができる。また、接触センサ41〜44は、透過板33における図4の上下左右の各端部に設けられているため、光源14からのパルス光を遮ることはない。さらに、接触センサ41〜44は4つで済むため、美容装置をより簡易に構成できる。
【0041】
以上、説明した実施形態によれば、第1の実施形態の(1)及び(3)の作用効果に加え、以下の作用効果を奏することができる。
(5)接触センサ41〜44は赤外線方式が採用されている。制御装置11は、4つの接触センサ41〜44からの検出結果(電気信号)の電圧レベルがすべて一定値を超えたとき、両電極群28,29に高周波電流を供給する。このように、RF電極21a〜21pと肌との接触面積が十分に確保されたときに高周波電流が供給される。従って、肌が一部のRF電極に接触して、その肌に電流が集中することを抑制できる。これにより、美容効果を確実に得ることができる。
【0042】
(第3の実施形態)
以下、本発明にかかる美容装置を具体化した第3の実施形態について説明する。この実施形態の美容装置は、RF電極が2つで1組として制御されている点が第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、この実施形態の美容装置は、図1に示す第1の実施形態の美容装置と同様の構成を備えている。
【0043】
本実施形態ではRF電極21a〜21pは、RF電極21a及びRF電極21bの組み合わせ、RF電極21c及びRF電極21dの組み合わせ、以下同様にして、計8組で構成されている。各RF電極はRF発信機15に接続されている。制御装置11は、RF発信機15を介して各組のRF電極にそれぞれ高周波電流を供給する。すなわち、RF発信機15は例えば、各RF電極21a〜21pへの電力経路(導線37,38等)を開閉するスイッチング回路を備える。制御装置11は、RF発信機15のスイッチング回路のスイッチング動作を通じて、高周波電流を供給するRF電極21a〜21pの組を高速で切り替える。RF電極21a〜21pの各組に供給される電流は第1の実施形態における両電極群28,29間に供給される電流より小さく(例えば、8分の1程度)設定されている。
【0044】
以上のように構成される美容装置は、RF電極21a〜21pが肌に当てられて使用される。ここで、RF電極21a〜21pは、顔や腕等の凹凸がある各部に当てられるため、常に、全てのRF電極21a〜21pが肌に接触するとは限らない。例えば、図4に示すように、肌が領域40に位置する接触センサ24a,24b,24c,24e,24fにのみ接触する場合がある。このとき、制御装置11は、接触センサ24a〜24pの検出結果に基づき、接触センサ24a,24b,24c,24e,24fを含む領域40に肌が接触している旨認識する。そして、制御装置11は領域40に含まれるRF電極21a,21bの組み合わせ及びRF電極21e,21fの組み合わせの計2組に交互に高周波電流を供給する。ここで、接触センサ24cには肌が接触しているものの、接触センサ24dは肌の接触を検出していない。従って、それら接触センサ24c,24dに対応するRF電極21c,21dの組には高周波電流が供給されない。制御装置11は、所定周期毎に接触センサ24a〜24pの検出結果に基づき、高周波電流を供給するRF電極の組を更新する。
【0045】
また、RF電極21a〜21pの組毎に切り替えて高周波電流を供給することで、各組に供給する電力を小さくすることができる。
さらに、肌が接触していると認識される領域の増大に応じて、その増大した領域におけるRF電極の組への高周波電流の供給が開始される。従って、例えば、2つの電極から構成される上記背景技術で説明した美容装置と異なり、肌とRF電極との接触面積に関わらず、単位肌面積当たりに供給される電力をほぼ一定に保つことができる。
【0046】
以上により、第1の実施形態と同様に、RF電極及び肌間の電流集中を抑制できる。また、全てのRF電極21a〜21pに肌が接触していない場合であっても、接触しているRF電極を介して皮膚に高周波電流を供給して、上述のような美容効果が得られる。
【0047】
また、肌が接触していると認識される領域に存在するRF電極の組にのみ高周波電流が供給される。従って、肌が接触していないと認識されるRF電極、上記例ではRF電極21d,21g〜21pに高周波電流を供給するべく、RF発信機15を介して行われるスイッチング動作を省略できる。これにより、肌が接触するRF電極の組間で順に高周波電流を供給することができる。このため、RF電極が接触する肌により高い頻度で高周波電流を供給して迅速に美容効果を得ることができる。
【0048】
なお、本実施形態においても、RF電極21a〜21pの一部分のみに肌が接触することで、多少の電流集中は考えられるものの、上述のように、各組に供給される電力が比較的小さいため大きな電流集中は発生しない。また、そもそも、RF電極のサイズが小さいので、RF電極の一部分に肌が接触する状況が発生しづらい。
【0049】
以上、説明した実施形態によれば、第1の実施形態の(1)〜(4)の作用効果に加え、以下の作用効果を奏することができる。
(6)接触センサ24a〜24pの検出結果に基づき肌が接触していると認識される領域に存在するRF電極の組に順に高周波電流が供給される。これにより、RF電極21a〜21pの一部の組に肌が当接した場合であっても、単位肌面積当たりに供給される電力をほぼ一定に保つことができる。これにより、RF電極及び肌間の電力集中を抑制することができる。また、一部のRF電極の組にしか肌が接触していない場合であっても、その接触するRF電極の組について高周波電流を供給することができる。従って、全てのRF電極21a〜21pを接触させるのが困難な顔等の凹凸の多い部分に使用するのに好適である。
【0050】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・第2の実施形態においては、接触センサ41〜44は、透過板33における図7の上下左右の各端部に設けられていた。しかし、接触センサ41〜44の数及び位置はこれに限定されるものではない。例えば、透過板33の面の中央に1つ設置してもよい。本構成においても、透過板33の面の中央に肌が接触する場合には、RF電極21a〜21pのうち多数が肌に接触すると想定される。このため、RF電極21a〜21pと肌との接触面積を確保することができ、第2の実施形態と同様の効果が得られる。
【0051】
・第2の実施形態においては、透過板33の上下左右の各端部に赤外線方式の接触センサ41〜44が設けられていた。しかし、その接触センサ41〜44に替えて静電容量方式のセンサを接触センサ41〜44と同じ位置に設けてもよい。
【0052】
・第1の実施形態においては、各RF電極21a〜21pの周囲に接触センサ24a〜24pが設けられていた。しかし、RF電極の一側面側に接触センサを設けてもよい。
・第1の実施形態においては、制御装置11は、全てのRF電極21a〜21pが肌に接触している旨判断したとき、両電極群28,29に高周波電流を供給していた。しかし、RF電極21a〜21pと肌との接触面積(合計)がある程度確保されていれば、全てのRF電極21a〜21pに肌が接触していなくてもよい。例えば、肌が10個以上のRF電極に接触している旨判断したとき、両電極群28,29に高周波電流を供給してもよい。この場合であっても、接触面積がある程度確保されるため、電流集中を抑制できる。
【0053】
・第3の実施形態において示した高周波電流を供給するRF電極の組み合わせは一例であって、組み合わせは変更可能である。
・第1〜第3の実施形態においては、高周波電流を皮膚に供給していたが、低周波電流であってもよい。
【0054】
・第1〜第3の実施形態においては、光源14としてキセノンフラシュが採用されていた。しかし、光源14は美容効果が得られるものであれば、これに限らず、LED(発光ダイオード)又はハロゲンランプ等であってもよい。
【0055】
・第1及び第3の実施形態においては、接触センサ24a〜24pは各RF電極21a〜21pに対応して設けられていた。しかし、全てのRF電極21a〜21pに接触センサが設けられていなくてもよい。例えば、図8に示すように、透過板33の対角にある2つのRF電極21a及びRF電極21pに対応して接触センサ24a及び接触センサ24pが設けられていてもよい。本構成においては、接触センサ24b〜24oを省略できる。このように、最も離れた一対のRF電極に接触センサを設けることで、少ないセンサで肌とRF電極21a〜21pとの接触面積が確保されているか否かが認識できる。すなわち、接触センサ24a,24pの両方により肌の接触が検出されたときには、RF電極21a〜21pの各組に高周波電流が供給される。このとき、少なくとも領域45に亘って肌が接触していると想定される。なお、領域45は、図8に2点鎖線で示されるように、両接触センサ24a,24pを含む透過板33の対角線に沿って延びる領域である。同図では領域45内に10個のRF電極が存在している。よって、RF電極21a〜21pの大半(16分の10以上)の面積が肌に接触していることになる。これにより、肌とRF電極21a〜21pとの接触面積が確保された状態で高周波電流が供給される。
【0056】
また、図9に示すように、透過板33の4つの角部のRF電極21a,21d,21m,21pに接触センサ24a,24d,24m,24pを設けてもよい。接触センサ24a,24d,24m,24pの全てのセンサにより肌の接触が検出されたときには、RF電極21a〜21pの各組に高周波電流が供給される。このとき、領域45,46に亘って肌が接触していると想定される。領域46は、領域45に交わる対角線に沿って延びる領域である、本例では、領域45と同様に10個のRF電極が含まれている。よって、全てのRF電極21a〜21pに肌が接触していることになる。これにより、肌とRF電極21a〜21pとの接触面積が確保された状態で高周波電流が供給される。
【0057】
上記両構成によれば、接触センサの数を抑制しつつ、肌とRF電極21a〜21pとの接触面積を確保した状態で皮膚に高周波電流を供給することができる。このため、上記各実施形態と同様に、電流集中を抑制することができる。
【0058】
・第1の実施形態、並びに図8及び図9に示した実施形態における静電容量方式のセンサを赤外線方式のセンサに置換してもよい。この場合には、赤外線方式のセンサはRF電極の近傍に設置される。
【0059】
・第1〜第3の実施形態においては、RF電極としてITOからなる透明電極が採用されていた。しかし、RF電極は透明電極でない例えば銅等を採用してもよい。この場合であっても、光源14からの光はRF電極間の隙間を通じて肌に照射される。
【0060】
・第1〜第3の実施形態においては、美容装置は光源14を備えていたが、光源14を省略してもよい。この場合であっても、RF電極を介した高周波電流により美容効果が得られる。
【0061】
・第1〜第3の実施形態においては、RF電極は計16個であったが、RF電極の数はこれに限定されるものではない。例えば、2つのRF電極で構成されていてもよい。この場合であっても、接触センサの検出結果に基づき、肌とRF電極との接触面積が小さい旨判断された場合には、制御装置11は、両RF電極に供給する高周波電流を小さくする若しくは供給を停止する。これにより、肌とRF電極との接触面積が不十分な場合における電流集中を抑制することができる。
【0062】
・第1〜第3の実施形態においては、接触センサは静電容量方式又は赤外線方式であったが、RF電極21a〜21pへの肌の接触が検出できれば、接触センサの方式はこれらに限定されるものではない。例えば、RF電極21a〜21pに供給される電流に基づきRF電極への接触の有無を判断してもよい。この場合には、例えば、導線37,38にホール素子等の電流センサを設ける。この電流センサの検出結果は制御装置11に出力される。制御装置11は、電流センサの検出結果に基づき、RF電極に電流が供給されるときにはそのRF電極に肌が接触している旨判断する。また、上記方式の他、電磁誘導方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式等のセンサであってもよい。また、例えば、肌の色を検知するセンサや肌の水分を検知するセンサであってもよい。さらに、上記各種センサを組み合わせてもよい。
【0063】
さらに、皮膚のインピーダンスの算出を通じてRF電極21a〜21pの接触の有無及び接触面積を検出することもできる。具体的には、図1に2点鎖線で示すように、美容装置は、RF電極21a〜21pの何れかの組のRF電極に供給される電流と、そのRF電極に印加される電圧とを検出する電流電圧検出センサ50を備える。電流電圧検出センサ50の検出結果は、制御装置11の判断部11dに出力される。判断部11dは、電流電圧センサの検出結果に基づき皮膚のインピーダンスを算出する。皮膚のインピーダンスは電圧と電流の比で算出することができる。
【0064】
判断部11dは、算出された皮膚のインピーダンスと、自身のメモリ(図示略)に記憶されるしきい値との比較を通じて、RF電極21a〜21pに肌が接触しているか否か、さらにはRF電極21a〜21pと肌との接触面積が十分に確保されているか否かが判断される。
【0065】
ここで、皮膚のインピーダンスは、RF電極21a〜21pの接触面積に応じて変化する。すなわち、接触面積が大きくなるにつれて、皮膚のインピーダンスは減少する。しきい値は、接触面積が十分に確保された状態でRF電極21a〜21pが肌に接触したときの皮膚のインピーダンスを基準に設定される。ここで、皮膚のインピーダンスは、RF電極間隔距離及び周波数によっても変化するため、それらを加味した上で設定する。
【0066】
判断部11dは、皮膚のインピーダンスがしきい値以下となったとき、接触面積が十分に確保されたとしてRF電極21a〜21pに高周波電流を供給する。これによって、上記各実施形態と同様に電流集中を抑制することができる。
【符号の説明】
【0067】
11…制御装置、14…光源、21a〜21p…RF電極、24a〜24p、41〜44…接触センサ、33…透過板。
【技術分野】
【0001】
この発明は、美容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パルス光を肌に照射するとともに、低周波電流又は高周波電流を肌に供給する美容装置が知られている。この美容装置を使用することを通じて、パルス光によって肌の細胞を活性化させるとともに、低周波電流又は高周波電流によって皮膚を適当な温度まで加熱して肌を引き締める美容効果がある。
【0003】
上記装置として、例えば、特許文献1に記載の構成が公知である。なお、この文献における装置は治療を目的とした治療装置であるが、パルス光及び低周波電流により上述した美容効果を奏することができる。図10に示すように、装置の探触子であるプローブ100は、その内部に設けられるパルス光源102と、肌に直接押し当てられる透明電極101とを備える。プローブ100は2つ1組で構成される。両透明電極101が肌に当てられることで、両透明電極101を介して装置からの低周波電流が体内に供給される。また、パルス光源102から照射される光は透明電極101を介して肌に照射される。本構成によれば、パルス光及び低周波電流による美容効果が同時に得られる。
【0004】
また、例えば、特許文献2に示される美容装置は、両電極が単一のプローブに配設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−10331号公報
【特許文献2】特開平9−154910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記両装置における電極は、凹凸がある例えば顔等に当てられる。従って、図11に示すように、透明電極101を当てる部位によっては、透明電極101と肌との接触面積を十分に確保できず、透明電極101の一部のみが肌に接触することがある。透明電極101の一部のみが肌に接触した場合には、その一部に集中して電流が流れ込む。これにより、皮膚の温度が上記適当な温度を超えて、期待される美容効果が十分に得られないおそれがある。
【0007】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電極及び肌間の電流集中を抑制することができる美容装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を達成するための手段について説明する。
第1の発明は、皮膚との接触を介して皮膚に電流を供給する複数の電極と、
前記電極への電流の供給を制御する制御装置と、前記電極と皮膚との接触を検出する接触センサと、を備え、前記制御装置は、前記接触センサの検出結果に基づき判断される前記電極及び皮膚の接触面積に応じて前記電極へ供給する電流を制御することをその要旨としている。
【0009】
第2の発明は、前記複数の電極のうち、最も離れて位置する2つの電極に前記接触センサを設けることをその要旨としている。
第3の発明は、縦横に格子状に配設される前記複数の電極のうち角に位置する電極に前記接触センサを設けることをその要旨としている。
【0010】
第4の発明は、前記電極は2つで1組の複数組にて構成され、前記各電極に前記接触センサを設け、前記制御装置は前記各接触センサの検出結果に基づき組をなす2つの前記電極が皮膚に接触していると判断した組の電極にのみ電流を供給することをその要旨としている。
【0011】
第5の発明は、前記接触センサは、静電容量方式又は赤外線方式の接触センサであることをその要旨としている。
第6の発明は、前記接触センサは、静電容量方式のものを採用し、同センサは前記複数の電極のうち少なくとも1つの電極の周囲に形成されるとともに、同電極の皮膚側に露出する面と同一面を有することをその要旨としている。
【0012】
第7の発明は、前記接触センサは、前記電極に供給される電流を検出するとともに、同電極に印加される電圧を検出するセンサと、前記センサの検出結果に基づき皮膚のインピーダンスを算出するとともに、算出されたインピーダンスが、前記電極及び皮膚の接触面積が確保された状態での皮膚のインピーダンスを基準に設定されるしきい値以下であるか否かを判断する判断部とからなることをその要旨としている。
【0013】
第8の発明は、光を皮膚に照射する光源を、前記複数の電極の背面側に設け、前記電極は透明電極としたことをその要旨としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、美容装置において、電極及び肌間の電流集中を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1の実施形態における美容装置の構成図。
【図2】第1の実施形態における美容装置の正面図。
【図3】第1の実施形態における美容装置の内部構成を示した断面図。
【図4】第1及び第3の実施形態における美容装置の下面図。
【図5】第1の実施形態におけるRF電極の側面図。
【図6】第1の実施形態におけるRF電極の下面図。
【図7】第2の実施形態における美容装置の下面図。
【図8】他の実施形態における美容装置の下面図。
【図9】他の実施形態における美容装置の下面図。
【図10】従来のプローブの断面図。
【図11】従来のプローブの電極が肌に当てられたときの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
以下、本発明にかかる美容装置を具体化した第1の実施形態について図1〜6を参照して説明する。本例における美容装置では、パルス光及び高周波電流を皮膚に与えることで美容効果が得られる。
【0017】
まず、美容装置におけるパルス光に関する構成について説明する。
図1に示すように、美容装置は、制御装置11と、光源用照射回路13と、光源14とを備える。制御装置11は、RF制御回路11aと、センサ制御回路11bと、光源制御回路11cとを備えてなる。光源制御回路11cは、光源用照射回路13に制御信号を出力する。この光源用照射回路13は、制御信号に基づき、バッテリ(内部電源)からの電力を光源14へ供給する。光源14は電力が供給されることで発光する。本例では、光源14として、キセノンフラシュを採用している。キセノンフラシュでは皮膚の浅い部分(表皮)を温めるとともに、同部分の細胞を活性化させる効果が得られる。なお、本例では、皮膚に悪影響を及ぼすとされる400nm以下の波長の光は光学フィルタ(図示略)でカットされる。
【0018】
次に、美容装置における高周波電流に関する構成について説明する。
図1に示すように、美容装置は、RF(Radio Frequency)発信機15と、両電極群28,29と、接触センサ24a〜24pと、を備える。RF制御回路11aは、RF発信機15に制御信号を出力する。RF発信機15は、制御信号に基づき、バッテリ(内部電源)からの直流電流を高周波電流(交流電流)に変換するとともに、変換した高周波電流を第1及び第2の電極群28,29へ供給する。
【0019】
第1の電極群28はRF電極21a〜21hからなり、第2の電極群はRF電極21i〜21pからなる。各RF電極21a〜21pは、ITO(Indium Tin Oxide)で形成された透明電極が採用されている。第1の電極群28のRF電極21a〜21hは導線37を介して並列接続されている。同様に、第2の電極群29のRF電極21i〜21pは導線38を介して並列接続されている。各導線37,38はRF発信機15に接続されている。
【0020】
両電極群28,29が肌に当てられたとき、皮膚を介して第1の電極群28(RF電極21a〜21h)及び第2の電極群29(RF電極21a〜21p)間で電流の授受がなされる。このとき、皮膚が電極群28,29間を接続する電気的抵抗となる。これにより、RF発信機15及び両電極群28,29を備えた装置の内部回路が電気的に閉じて、同回路に高周波電流が流れる。このため、皮膚に高周波電流を供給することができる。すなわち、RF電極21a〜21pが肌に当てられたときには、RF電極21a〜21pの設置範囲全域に亘る皮膚に高周波電流を供給することができる。皮膚は電気的抵抗として作用するため、皮膚にて電気エネルギが熱エネルギとして消費される。これにより、皮膚(真皮、皮下脂肪)が温められて真皮のコラーゲンや皮下脂肪が収縮して肌を引き締めることができる。ここで、皮膚の温度は加熱しすぎても期待される美容効果が得られない。また、光源14からのパルス光の照射によって表皮が温められることで、皮膚のインピーダンス(電気的抵抗)が下がる。従って、高周波電流を確実に表皮より深い真皮及び皮下脂肪まで到達させることができるため、相乗効果が得られる。
【0021】
図4に示すように、各接触センサ24a〜24pは各RF電極21a〜21pに対応して設けられている。本例において、接触センサ24a〜24pは、静電容量方式のセンサが採用されている。本方式のセンサでは、接触センサ24a〜24pと皮膚との接触による静電容量の変化に基づき皮膚の接触の有無が検出される。図1に示すように、接触センサ24a〜24pの検出結果はセンサ制御回路11bに出力される。センサ制御回路11bは、例えば、接触センサ24aの検出結果に基づき接触センサ24aに肌が接触している旨認識した場合には、接触センサ24aに対応するRF電極21aに肌が接触していると判断する。従って、制御装置11は、接触センサ24a〜24pの検出結果に基づき、全ての接触センサ24a〜24p、すなわち全てのRF電極21a〜21pに肌が接触している旨判断した場合、肌とRF電極21a〜21pとの接触面積が十分に確保されているとして、RF電極21a〜21pに高周波電流を供給する。このときの電流は、全てのRF電極21a〜21pが肌に接触したことを想定した値に設定されている。制御装置11は、接触センサ24a〜24pの検出結果に基づき、一部のRF電極にしか肌が接触していないと判断した場合には、両電極群28,29に電力を供給しない。
【0022】
また、図1に示すように、美容装置は、ユーザによって操作される電源スイッチ16及び光照射スイッチ17を備える。電源スイッチ16及び光照射スイッチ17は、図2に示すように、装置の外形をなす樹脂製のハウジング30に取り付けられている。電源スイッチ16が操作されると、制御装置11等の装置各部にバッテリ電力(動作電力)が供給される。そして、センサ制御回路11bは、接触センサ24a〜24pからの検出結果を待つ待機状態となる。この待機状態において、センサ制御回路11bは、接触センサ24a〜24pの検出結果に基づき、全てのRF電極21a〜21pに肌が接触している旨判断した場合、その旨を示す信号をRF制御回路11aに出力する。RF制御回路11aはセンサ制御回路11bからの信号に基づき制御信号(高周波電流供給指令信号)をRF発信機15へ出力する。これにより、RF発信機15は、両電極群28,29に高周波電流を供給可能な状態となる。このとき、両電極群28,29間に肌が接触していれば、RF発信機15からの高周波電流が皮膚に供給される。この状態において、電源スイッチ16が操作されると、装置各部への電力供給が遮断される。そして、RF電極21a〜21p及び皮膚への電力供給も停止される。
【0023】
美容装置の各部に動作電力が供給された状態において、光照射スイッチ17が操作されると、その旨の操作信号が光源制御回路11cに出力される。光源制御回路11cは、光照射スイッチ17からの操作信号を受けると、光源用照射回路13を介して図示しないバッテリの電力を光源14に供給する。これにより、光源14が所定周期毎に発光する。光源制御回路11cは、光照射スイッチ17からの操作信号を再び受けると、光源用照射回路13を介して光源14への電力供給を停止する。
【0024】
以上のように、電源スイッチ16の操作により、高周波電流が供給される。また、高周波電流が供給されている状態において、光照射スイッチ17を操作することで、高周波電流及びパルス光を同時に供給することができる。なお、美容装置の電源は、バッテリに限らず商用電源であってもよい。この場合、装置のバッテリを省略できる。
【0025】
次に、光源14及び両電極群28,29の構成について、図3〜図6を参照しつつ説明する。
図3に示すように、ハウジング30の底部には、透過板33が嵌め込まれている。この透過板33は、光透過性及び非導電性を有する例えば、石英ガラス若しくはアクリル樹脂からなる。ハウジング30の内部には反射部材32が設けられている。反射部材32は上側に向かうにつれて穴径が小さくなる傘状に形成されている。また、反射部材32の内面は、光を反射させる性質を有する例えばアルミニウムの層が形成される。反射部材32の内頂部には、管球からなる光源14が設けられている。従って、反射部材32は、光源14からその上側に拡散する光を透過板33側に反射させる。光源14からのパルス光は透過板33を介して皮膚に照射される。
【0026】
図4に示すように、透過板33の外側に露出する面には計16個のRF電極21a〜21pが配置される。RF電極21a〜21pは、左右上下方向に沿って4×4の行列をなすように配置されている。ここで、左右方向に並ぶ電極を行とし、上下方向に並ぶ電極を列とする。上側から1行目にはRF電極21a〜21dが配置され、2行目にはRF電極21e〜21hが配置され、3行目にはRF電極21i〜21lが配置され、4行目にはRF電極21m〜21pが配置されている。すなわち、左から順に1列目にはRF電極21a,21e,21i,21mが配置され、2列目にはRF電極21b,21f,21j,21nが配置され、3列目にはRF電極21c,21g,21k,21oが配置され、4列目にはRF電極21d,21h,21l,21pが配置されている。
【0027】
図5に示すように、各RF電極21a〜21pの周囲には、接触センサ24a〜24pが設けられている。接触センサ24a〜24pは、RF電極21a〜21pの全周に亘って沿う態様にて設けられている。接触センサ24a〜24p及びRF電極21a〜21iは、透過板33の反対側に同一の接触面25を形成する。ここで、図6に示すように、RF電極21a〜21pを皮膚に対して移動させるときには、接触面25の外側から皮膚が接触していく。これにより、接触面25の一部にのみ皮膚が接触した場合であれ、接触センサ24a〜24pは確実に肌の接触を検出することができる。なお、透過板33及び皮膚がそれらの全面で面接触する態様でRF電極21a〜21pが皮膚に当てられた場合には、RF電極21a〜21p及び接触センサ24a〜24pはほぼ同時に皮膚に接触する。以上のように、肌がRF電極21a〜21pにのみ接触することを抑制することができる。
【0028】
RF電極21a〜21pは、透過板33に紫外線硬化型の接着剤により接着されている。前述のように、RF電極21a〜21pとしてITOからなる透明電極が採用されている。このため、RF電極21a〜21pを透過板33の全域に亘って配置した場合であれ、それらが光源14からの光を遮ることはない。
【0029】
図3に示すように、第1の電極群28を構成するRF電極21a〜21hは、透過板33の厚さ方向に貫通する導線37にて並列接続されている。また、第2の電極群29を構成するRF電極21i〜21pは、透過板33の厚さ方向に貫通する導線38にて並列接続されている。両導線37,38は、それぞれハウジング30の内部のRF発信機15に接続されている。また、各接触センサ24a〜24pには、透過板33の厚さ方向に貫通する導線39が接続されている。この導線39は、それぞれハウジング30の内部の制御装置11(センサ制御回路11b)に接続されている。
【0030】
以上のように構成される美容装置は、RF電極21a〜21pが肌に当てられて使用される。ここで、RF電極21a〜21pは肌に対して変形しない透過板33に配置されて、顔や腕等の凹凸がある各部に当てられるため、常に、全てのRF電極21a〜21pが肌に接触するとは限らない。例えば、図4に2点鎖線で示すように、肌が領域40における部分にのみ接触して、領域40に位置する接触センサ24a,24b,24c,24e,24fにのみ接触する場合がある。このとき、制御装置11は、接触センサ24a〜24pの検出結果に基づき、接触センサ24a,24b,24c,24e,24fを含む領域40以外のRF電極21d,21g〜21pに肌が接触していない旨判断して、両電極群28,29に高周波電流を供給しない。換言すると、何れかのRF電極に肌が接触していない旨判断されると、肌及びRF電極の接触面積が不十分であるとして、高周波電流が供給されない。
【0031】
制御装置11は、高周波電流の供給中においても所定周期毎に接触センサ24a〜24pの検出結果に基づき、全てのRF電極21a〜21pが肌に接触しているか否か判断する。そして、制御装置11は、何れかのRF電極に肌が接触していない旨判断した時点で、両電極群28,29への高周波電流の供給を停止する。
【0032】
ここで、接触センサ24a〜24pを備えない従来の美容装置では、例えば、肌が全ての第2の電極群29と、第1の電極群28のうちRF電極21aとに接触した場合、本来8つのRF電極21a〜21hに分散される電流が1つのRF電極21aに集中して流れる。本例では、肌が全てのRF電極21a〜21pに接触した旨判断されたことを条件に高周波電流が供給されるため、上記のような電流集中の発生を抑制することができる。これにより、真皮を適切な温度に加熱することができ、上述のような美容効果が確実に得られる。また、美容効果が期待できない状況での電流供給を抑制できるところ、無駄な電力消費を低減することができる。
【0033】
以上、説明した実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)制御装置11は、何れかのRF電極に肌が接触していない旨判断すると、肌及びRF電極の接触面積が不十分であるとして、両電極群28,29に高周波電流を供給しない。従って、肌が一部のRF電極に接触した状態において、その接触するRF電極に電流が集中することが抑制される。これにより、上述した美容効果が確実に得られる。
【0034】
(2)接触センサ24a〜24pは、静電容量方式のセンサが採用されている。本方式のセンサにおいては、RF電極21a〜21pと一体で形成することができる。よって、より確実に肌がRF電極21a〜21pに接触しているか否かを検出できる。
【0035】
(3)RF電極21a〜21pとしてITOからなる透明電極が採用されている。このため、光源14からのパルス光がRF電極21a〜21pにより遮られることはない。
(4)接触センサ24a〜24pは、RF電極21a〜21pと同一の接触面25を有する態様で、各RF電極21a〜21pの周囲に設けられている。これにより、接触面25の一部にのみ肌が接触する場合であれ、接触センサ24a〜24pは確実に肌の接触を検出することができる。
【0036】
(第2の実施形態)
以下、本発明にかかる美容装置を具体化した第2の実施形態について、図7を参照して説明する。この実施形態の美容装置は、電極と肌との接触の有無を検出する方式が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、この実施形態の美容装置は、図1に示す第1の実施形態の美容装置と同様の構成を備えている。
【0037】
図7に示すように、接触センサ41〜44は、透過板33における同図の上下左右の各端部に設けられる。すなわち、透過板33の周縁部において接触センサ41はRF電極21b,21cの間に位置し、接触センサ42はRF電極21n,21oの間に位置し、接触センサ43はRF電極21h,21lの間に位置し、接触センサ44はRF電極21e,21iの間に位置する。
【0038】
本実施形態における接触センサ41〜44は赤外線方式が採用されている。本方式においては、人体が放射する赤外線を受光して、これを電気信号に変換する。この電気信号を赤外線の検出結果として制御装置11(センサ制御回路11b)に出力する。ここで、人体が接触センサ41〜44に近づくにつれて接触センサ41〜44が出力する電圧レベルは大きくなる。制御装置11は、各接触センサ41〜44からの電気信号の電圧レベルが一定値を超えたとき、RF電極21a〜21pが肌に接触した旨の判断をする。これは、透過板33の周縁部の4つの接触センサ41〜44により肌が検出された場合、それらの内側に存在するRF電極21a〜21pは当然に肌に接触していると考えられるからである。なお、一定値は、肌が接触センサ41〜44付近のRF電極に接触したときに接触センサ41〜44において生成される電気信号の電圧レベル未満の値に設定されている。ここで、接触センサ41〜44付近のRF電極とは、例えば、接触センサ41であればRF電極21b,21c,21f,21gである。そして、制御装置11は、接触センサ41〜44の検出結果に基づきRF発信機15を介して両電極群28,29に高周波電流を供給する。すなわち、接触センサ41〜44からの電気信号のうち1つでも電圧レベルが一定値を超えないものがある場合には、肌が接触していない電極が存在する、すなわちRF電極21a〜21iと肌との接触面積が不十分であるとして、両電極群28,29に高周波電流を供給しない。これにより、第1の実施形態と同様に、RF電極21a〜21pの一部のRF電極に肌が接触する場合にその接触した部分に電流が集中することが抑制される。
【0039】
制御装置11は、高周波電流の供給中においても所定周期毎に接触センサ41〜44の検出結果に基づき、全てのRF電極21a〜21pが肌に接触しているか否か判断する。そして、接触センサ41〜44のうち1つでも肌を検出していない旨判断される場合には、その検出していないセンサ付近のRF電極が肌に接触していないとして両電極群28,29への高周波電流の供給が停止される。
【0040】
本実施形態においては、接触センサ41〜44を透過板33の周縁部において、4つの辺の中央に設けることにより、4つの接触センサ41〜44だけで各RF電極21a〜21pが肌に全て接触しているか否かを検出することができる。また、接触センサ41〜44は、透過板33における図4の上下左右の各端部に設けられているため、光源14からのパルス光を遮ることはない。さらに、接触センサ41〜44は4つで済むため、美容装置をより簡易に構成できる。
【0041】
以上、説明した実施形態によれば、第1の実施形態の(1)及び(3)の作用効果に加え、以下の作用効果を奏することができる。
(5)接触センサ41〜44は赤外線方式が採用されている。制御装置11は、4つの接触センサ41〜44からの検出結果(電気信号)の電圧レベルがすべて一定値を超えたとき、両電極群28,29に高周波電流を供給する。このように、RF電極21a〜21pと肌との接触面積が十分に確保されたときに高周波電流が供給される。従って、肌が一部のRF電極に接触して、その肌に電流が集中することを抑制できる。これにより、美容効果を確実に得ることができる。
【0042】
(第3の実施形態)
以下、本発明にかかる美容装置を具体化した第3の実施形態について説明する。この実施形態の美容装置は、RF電極が2つで1組として制御されている点が第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。なお、この実施形態の美容装置は、図1に示す第1の実施形態の美容装置と同様の構成を備えている。
【0043】
本実施形態ではRF電極21a〜21pは、RF電極21a及びRF電極21bの組み合わせ、RF電極21c及びRF電極21dの組み合わせ、以下同様にして、計8組で構成されている。各RF電極はRF発信機15に接続されている。制御装置11は、RF発信機15を介して各組のRF電極にそれぞれ高周波電流を供給する。すなわち、RF発信機15は例えば、各RF電極21a〜21pへの電力経路(導線37,38等)を開閉するスイッチング回路を備える。制御装置11は、RF発信機15のスイッチング回路のスイッチング動作を通じて、高周波電流を供給するRF電極21a〜21pの組を高速で切り替える。RF電極21a〜21pの各組に供給される電流は第1の実施形態における両電極群28,29間に供給される電流より小さく(例えば、8分の1程度)設定されている。
【0044】
以上のように構成される美容装置は、RF電極21a〜21pが肌に当てられて使用される。ここで、RF電極21a〜21pは、顔や腕等の凹凸がある各部に当てられるため、常に、全てのRF電極21a〜21pが肌に接触するとは限らない。例えば、図4に示すように、肌が領域40に位置する接触センサ24a,24b,24c,24e,24fにのみ接触する場合がある。このとき、制御装置11は、接触センサ24a〜24pの検出結果に基づき、接触センサ24a,24b,24c,24e,24fを含む領域40に肌が接触している旨認識する。そして、制御装置11は領域40に含まれるRF電極21a,21bの組み合わせ及びRF電極21e,21fの組み合わせの計2組に交互に高周波電流を供給する。ここで、接触センサ24cには肌が接触しているものの、接触センサ24dは肌の接触を検出していない。従って、それら接触センサ24c,24dに対応するRF電極21c,21dの組には高周波電流が供給されない。制御装置11は、所定周期毎に接触センサ24a〜24pの検出結果に基づき、高周波電流を供給するRF電極の組を更新する。
【0045】
また、RF電極21a〜21pの組毎に切り替えて高周波電流を供給することで、各組に供給する電力を小さくすることができる。
さらに、肌が接触していると認識される領域の増大に応じて、その増大した領域におけるRF電極の組への高周波電流の供給が開始される。従って、例えば、2つの電極から構成される上記背景技術で説明した美容装置と異なり、肌とRF電極との接触面積に関わらず、単位肌面積当たりに供給される電力をほぼ一定に保つことができる。
【0046】
以上により、第1の実施形態と同様に、RF電極及び肌間の電流集中を抑制できる。また、全てのRF電極21a〜21pに肌が接触していない場合であっても、接触しているRF電極を介して皮膚に高周波電流を供給して、上述のような美容効果が得られる。
【0047】
また、肌が接触していると認識される領域に存在するRF電極の組にのみ高周波電流が供給される。従って、肌が接触していないと認識されるRF電極、上記例ではRF電極21d,21g〜21pに高周波電流を供給するべく、RF発信機15を介して行われるスイッチング動作を省略できる。これにより、肌が接触するRF電極の組間で順に高周波電流を供給することができる。このため、RF電極が接触する肌により高い頻度で高周波電流を供給して迅速に美容効果を得ることができる。
【0048】
なお、本実施形態においても、RF電極21a〜21pの一部分のみに肌が接触することで、多少の電流集中は考えられるものの、上述のように、各組に供給される電力が比較的小さいため大きな電流集中は発生しない。また、そもそも、RF電極のサイズが小さいので、RF電極の一部分に肌が接触する状況が発生しづらい。
【0049】
以上、説明した実施形態によれば、第1の実施形態の(1)〜(4)の作用効果に加え、以下の作用効果を奏することができる。
(6)接触センサ24a〜24pの検出結果に基づき肌が接触していると認識される領域に存在するRF電極の組に順に高周波電流が供給される。これにより、RF電極21a〜21pの一部の組に肌が当接した場合であっても、単位肌面積当たりに供給される電力をほぼ一定に保つことができる。これにより、RF電極及び肌間の電力集中を抑制することができる。また、一部のRF電極の組にしか肌が接触していない場合であっても、その接触するRF電極の組について高周波電流を供給することができる。従って、全てのRF電極21a〜21pを接触させるのが困難な顔等の凹凸の多い部分に使用するのに好適である。
【0050】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・第2の実施形態においては、接触センサ41〜44は、透過板33における図7の上下左右の各端部に設けられていた。しかし、接触センサ41〜44の数及び位置はこれに限定されるものではない。例えば、透過板33の面の中央に1つ設置してもよい。本構成においても、透過板33の面の中央に肌が接触する場合には、RF電極21a〜21pのうち多数が肌に接触すると想定される。このため、RF電極21a〜21pと肌との接触面積を確保することができ、第2の実施形態と同様の効果が得られる。
【0051】
・第2の実施形態においては、透過板33の上下左右の各端部に赤外線方式の接触センサ41〜44が設けられていた。しかし、その接触センサ41〜44に替えて静電容量方式のセンサを接触センサ41〜44と同じ位置に設けてもよい。
【0052】
・第1の実施形態においては、各RF電極21a〜21pの周囲に接触センサ24a〜24pが設けられていた。しかし、RF電極の一側面側に接触センサを設けてもよい。
・第1の実施形態においては、制御装置11は、全てのRF電極21a〜21pが肌に接触している旨判断したとき、両電極群28,29に高周波電流を供給していた。しかし、RF電極21a〜21pと肌との接触面積(合計)がある程度確保されていれば、全てのRF電極21a〜21pに肌が接触していなくてもよい。例えば、肌が10個以上のRF電極に接触している旨判断したとき、両電極群28,29に高周波電流を供給してもよい。この場合であっても、接触面積がある程度確保されるため、電流集中を抑制できる。
【0053】
・第3の実施形態において示した高周波電流を供給するRF電極の組み合わせは一例であって、組み合わせは変更可能である。
・第1〜第3の実施形態においては、高周波電流を皮膚に供給していたが、低周波電流であってもよい。
【0054】
・第1〜第3の実施形態においては、光源14としてキセノンフラシュが採用されていた。しかし、光源14は美容効果が得られるものであれば、これに限らず、LED(発光ダイオード)又はハロゲンランプ等であってもよい。
【0055】
・第1及び第3の実施形態においては、接触センサ24a〜24pは各RF電極21a〜21pに対応して設けられていた。しかし、全てのRF電極21a〜21pに接触センサが設けられていなくてもよい。例えば、図8に示すように、透過板33の対角にある2つのRF電極21a及びRF電極21pに対応して接触センサ24a及び接触センサ24pが設けられていてもよい。本構成においては、接触センサ24b〜24oを省略できる。このように、最も離れた一対のRF電極に接触センサを設けることで、少ないセンサで肌とRF電極21a〜21pとの接触面積が確保されているか否かが認識できる。すなわち、接触センサ24a,24pの両方により肌の接触が検出されたときには、RF電極21a〜21pの各組に高周波電流が供給される。このとき、少なくとも領域45に亘って肌が接触していると想定される。なお、領域45は、図8に2点鎖線で示されるように、両接触センサ24a,24pを含む透過板33の対角線に沿って延びる領域である。同図では領域45内に10個のRF電極が存在している。よって、RF電極21a〜21pの大半(16分の10以上)の面積が肌に接触していることになる。これにより、肌とRF電極21a〜21pとの接触面積が確保された状態で高周波電流が供給される。
【0056】
また、図9に示すように、透過板33の4つの角部のRF電極21a,21d,21m,21pに接触センサ24a,24d,24m,24pを設けてもよい。接触センサ24a,24d,24m,24pの全てのセンサにより肌の接触が検出されたときには、RF電極21a〜21pの各組に高周波電流が供給される。このとき、領域45,46に亘って肌が接触していると想定される。領域46は、領域45に交わる対角線に沿って延びる領域である、本例では、領域45と同様に10個のRF電極が含まれている。よって、全てのRF電極21a〜21pに肌が接触していることになる。これにより、肌とRF電極21a〜21pとの接触面積が確保された状態で高周波電流が供給される。
【0057】
上記両構成によれば、接触センサの数を抑制しつつ、肌とRF電極21a〜21pとの接触面積を確保した状態で皮膚に高周波電流を供給することができる。このため、上記各実施形態と同様に、電流集中を抑制することができる。
【0058】
・第1の実施形態、並びに図8及び図9に示した実施形態における静電容量方式のセンサを赤外線方式のセンサに置換してもよい。この場合には、赤外線方式のセンサはRF電極の近傍に設置される。
【0059】
・第1〜第3の実施形態においては、RF電極としてITOからなる透明電極が採用されていた。しかし、RF電極は透明電極でない例えば銅等を採用してもよい。この場合であっても、光源14からの光はRF電極間の隙間を通じて肌に照射される。
【0060】
・第1〜第3の実施形態においては、美容装置は光源14を備えていたが、光源14を省略してもよい。この場合であっても、RF電極を介した高周波電流により美容効果が得られる。
【0061】
・第1〜第3の実施形態においては、RF電極は計16個であったが、RF電極の数はこれに限定されるものではない。例えば、2つのRF電極で構成されていてもよい。この場合であっても、接触センサの検出結果に基づき、肌とRF電極との接触面積が小さい旨判断された場合には、制御装置11は、両RF電極に供給する高周波電流を小さくする若しくは供給を停止する。これにより、肌とRF電極との接触面積が不十分な場合における電流集中を抑制することができる。
【0062】
・第1〜第3の実施形態においては、接触センサは静電容量方式又は赤外線方式であったが、RF電極21a〜21pへの肌の接触が検出できれば、接触センサの方式はこれらに限定されるものではない。例えば、RF電極21a〜21pに供給される電流に基づきRF電極への接触の有無を判断してもよい。この場合には、例えば、導線37,38にホール素子等の電流センサを設ける。この電流センサの検出結果は制御装置11に出力される。制御装置11は、電流センサの検出結果に基づき、RF電極に電流が供給されるときにはそのRF電極に肌が接触している旨判断する。また、上記方式の他、電磁誘導方式、抵抗膜方式、表面弾性波方式等のセンサであってもよい。また、例えば、肌の色を検知するセンサや肌の水分を検知するセンサであってもよい。さらに、上記各種センサを組み合わせてもよい。
【0063】
さらに、皮膚のインピーダンスの算出を通じてRF電極21a〜21pの接触の有無及び接触面積を検出することもできる。具体的には、図1に2点鎖線で示すように、美容装置は、RF電極21a〜21pの何れかの組のRF電極に供給される電流と、そのRF電極に印加される電圧とを検出する電流電圧検出センサ50を備える。電流電圧検出センサ50の検出結果は、制御装置11の判断部11dに出力される。判断部11dは、電流電圧センサの検出結果に基づき皮膚のインピーダンスを算出する。皮膚のインピーダンスは電圧と電流の比で算出することができる。
【0064】
判断部11dは、算出された皮膚のインピーダンスと、自身のメモリ(図示略)に記憶されるしきい値との比較を通じて、RF電極21a〜21pに肌が接触しているか否か、さらにはRF電極21a〜21pと肌との接触面積が十分に確保されているか否かが判断される。
【0065】
ここで、皮膚のインピーダンスは、RF電極21a〜21pの接触面積に応じて変化する。すなわち、接触面積が大きくなるにつれて、皮膚のインピーダンスは減少する。しきい値は、接触面積が十分に確保された状態でRF電極21a〜21pが肌に接触したときの皮膚のインピーダンスを基準に設定される。ここで、皮膚のインピーダンスは、RF電極間隔距離及び周波数によっても変化するため、それらを加味した上で設定する。
【0066】
判断部11dは、皮膚のインピーダンスがしきい値以下となったとき、接触面積が十分に確保されたとしてRF電極21a〜21pに高周波電流を供給する。これによって、上記各実施形態と同様に電流集中を抑制することができる。
【符号の説明】
【0067】
11…制御装置、14…光源、21a〜21p…RF電極、24a〜24p、41〜44…接触センサ、33…透過板。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚との接触を介して皮膚に電流を供給する複数の電極と、
前記電極への電流の供給を制御する制御装置と、
前記電極と皮膚との接触を検出する接触センサと、を備え、
前記制御装置は、前記接触センサの検出結果に基づき判断される前記電極及び皮膚の接触面積に応じて前記電極へ供給する電流を制御する美容装置。
【請求項2】
請求項1に記載の美容装置において、
前記複数の電極のうち、最も離れて位置する2つの電極に前記接触センサを設ける美容装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の美容装置において、
縦横に格子状に配設される前記複数の電極のうち角に位置する電極に前記接触センサを設ける美容装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の美容装置において、
前記電極は2つで1組の複数組にて構成され、
前記各電極に前記接触センサを設け、
前記制御装置は前記各接触センサの検出結果に基づき組をなす2つの前記電極が皮膚に接触していると判断した組の電極にのみ電流を供給する美容装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の美容装置において、
前記接触センサは、静電容量方式又は赤外線方式の接触センサである美容装置。
【請求項6】
請求項5に記載の美容装置において、
前記接触センサは、静電容量方式のものを採用し、同センサは前記複数の電極のうち少なくとも1つの電極の周囲に形成されるとともに、同電極の皮膚側に露出する面と同一面を有する美容装置。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の美容装置において、
前記接触センサは、前記電極に供給される電流を検出するとともに、同電極に印加される電圧を検出するセンサと、前記センサの検出結果に基づき皮膚のインピーダンスを算出するとともに、算出されたインピーダンスが、前記電極及び皮膚の接触面積が確保された状態での皮膚のインピーダンスを基準に設定されるしきい値以下であるか否かを判断する判断部とからなる美容装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の美容装置において、
光を皮膚に照射する光源を、前記複数の電極の背面側に設け、
前記電極は透明電極とした美容装置。
【請求項1】
皮膚との接触を介して皮膚に電流を供給する複数の電極と、
前記電極への電流の供給を制御する制御装置と、
前記電極と皮膚との接触を検出する接触センサと、を備え、
前記制御装置は、前記接触センサの検出結果に基づき判断される前記電極及び皮膚の接触面積に応じて前記電極へ供給する電流を制御する美容装置。
【請求項2】
請求項1に記載の美容装置において、
前記複数の電極のうち、最も離れて位置する2つの電極に前記接触センサを設ける美容装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の美容装置において、
縦横に格子状に配設される前記複数の電極のうち角に位置する電極に前記接触センサを設ける美容装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の美容装置において、
前記電極は2つで1組の複数組にて構成され、
前記各電極に前記接触センサを設け、
前記制御装置は前記各接触センサの検出結果に基づき組をなす2つの前記電極が皮膚に接触していると判断した組の電極にのみ電流を供給する美容装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の美容装置において、
前記接触センサは、静電容量方式又は赤外線方式の接触センサである美容装置。
【請求項6】
請求項5に記載の美容装置において、
前記接触センサは、静電容量方式のものを採用し、同センサは前記複数の電極のうち少なくとも1つの電極の周囲に形成されるとともに、同電極の皮膚側に露出する面と同一面を有する美容装置。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の美容装置において、
前記接触センサは、前記電極に供給される電流を検出するとともに、同電極に印加される電圧を検出するセンサと、前記センサの検出結果に基づき皮膚のインピーダンスを算出するとともに、算出されたインピーダンスが、前記電極及び皮膚の接触面積が確保された状態での皮膚のインピーダンスを基準に設定されるしきい値以下であるか否かを判断する判断部とからなる美容装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の美容装置において、
光を皮膚に照射する光源を、前記複数の電極の背面側に設け、
前記電極は透明電極とした美容装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−194173(P2011−194173A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67288(P2010−67288)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]