説明

美容装置

【課題】美容装置において、皮膚を加熱しつつも、角栓を吸引することにある。
【解決手段】RF電極21,22を通じた高周波電流により皮膚は加熱される。高周波電流は角栓及び毛穴を含む皮膚の深部を比較的高速で加熱することができるため、角栓の溶解に好適である。高周波電流の供給と同時にポンプ13が駆動することで、吸引ノズル18内の空気が吸引されて角栓及び毛穴を含む皮膚が吸引ノズル18の内部で吸引口19側に吸引される。ここで、RF電極21,22は、吸引された皮膚の外周を覆うように吸引ノズル18の嵌合穴18aに嵌め込まれている。このため、RF電極21,22が吸引口19を通じた皮膚の吸引を阻害することなく、毛穴から角栓を抜き出すだけの吸引力を確保することができる。これにより、加熱や吸引による美容効果に加えて、角栓を吸引することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、美容装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、美容の分野において、高周波電流を肌に与えることで美容効果が得られることが知られている。この原理を利用した美容装置として、例えば、特許文献1に示される構成が採用されている。この美容装置は、図8に示すように、ユーザの肌に当てられる筒体102を備えている。この筒体102の内部の中央には、高周波ヘッド103が設けられている。この高周波ヘッド103の下面には皮膚に高周波電流を供給する電極101が嵌め込まれている。筒体102の内部空間は、装置の内部に延びる送気管105と連通している。具体的には、筒体102内における高周波ヘッド103に隣接した位置に送気管105の一端が接続されることで、その位置に吸引口108が形成されている。送気管105の他端は装置の内部においてポンプ106に接続されている。ポンプ106は、送気管105を介して、筒体102内の空気を吸引して筒体102内を真空状態とする。これにより、皮膚を筒体102内における高周波ヘッド103側に吸引することができる。このように、皮膚を吸引することでマッサージ効果が得られる。
【0003】
また、皮膚の吸引時においては、皮膚が電極101に接触した状態となる。このとき、装置からの高周波電流が電極101を介して皮膚に供給される。これにより、皮膚を加熱することができる。皮膚が加熱されることで、血行が促進されて肌の引き締め等の美容効果が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実用新案登録第3079554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、筒体102内を真空状態としたとき、皮膚は筒体102内の中央に向かうにつれて電極101に接近する態様で吸引される。このため、吸引時の皮膚に電極101を接触させることを考えると、高周波ヘッド103は筒体102内の中央部に設置する必要がある。
【0006】
このように、筒体102内の中央部には高周波ヘッド103が設けられるところ、吸引口108は筒体102内の中央に位置する高周波ヘッド103の外側に設けざるをえない。この構成においては、ポンプ106の吸引力にて吸引口108から肌表面の液体や汚れ等を吸引できるものの、吸引口108は皮膚から離れた位置にあるため、毛穴に詰まった角栓を吸引するだけの吸引力を発生させることはできなかった。
【0007】
この発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、皮膚を加熱しつつも、角栓を吸引することができる美容装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を達成するための手段について説明する。
第1の発明は、吸引ポンプの駆動によって吸引ノズルの内部の排気を通じて皮膚を吸引する美容装置において、前記吸引ノズル内に吸引される皮膚の外周に沿って形成される加熱部を備えたことをその要旨としている。
【0009】
第2の発明においては、前記加熱部は前記吸引ノズルの先端側に設けられていることをその要旨としている。
第3の発明は、前記加熱部の皮膚に接触する先端側の面積は、同加熱部の基端側の面積に比して大きく形成されることをその要旨としている。
【0010】
第4の発明においては、前記加熱部は前記吸引ノズルの先端部の全周に亘って分散して設けられることをその要旨としている。
第5の発明は、前記加熱部は皮膚に高周波電流を供給する複数の電極であって、前記複数の電極は、前記吸引ノズル内に皮膚が吸引された状態において皮膚に接触する位置に設けられることをその要旨としている。
【0011】
第6の発明においては、前記加熱部は熱及び光の少なくとも何れか一方を通じて皮膚を加熱することをその要旨としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、美容装置において、皮膚を加熱しつつも、角栓を吸引することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施形態における美容装置の構成を示した断面図。
【図2】第1の実施形態における(a)は図1のAの範囲の拡大図、(b)は(a)のB−B線断面図。
【図3】第1の実施形態における美容装置による皮膚の吸引及び加熱態様を示した説明図。
【図4】第2の実施形態における美容装置の吸引ノズル等を示した正面図。
【図5】図4のC−C線断面図。
【図6】第3の実施形態における(a)は図1のAの範囲に相当する部分の拡大図、(b)は(a)のD−D線断面図。
【図7】第4の実施形態における美容装置の吸引ノズル等を示した正面図。
【図8】従来の美容装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施形態)
以下、本発明にかかる美容装置を具体化した第1の実施形態について図1〜図3を参照して説明する。
【0015】
図1に示すように、美容装置は、制御装置11と、RF(Radio Frequency)発信機15と、一対のRF電極21,22と、ポンプ13とを備える。ポンプ13は、吸引経路20を介してハウジング30の外面に設けられた吸引ノズル18に連結されている。吸引ノズル18の先端側には、RF電極21,22が設けられている。また、美容装置には、電源回路17が設けられ、同電源回路17から制御装置11、RF発信機15及びポンプ13に電力が供給される。
【0016】
制御装置11は、RF発信機15に制御信号を出力する。RF発信機15は、電源回路17からの電流を高周波電流(交流電流)に変換するインバータを備える。RF発信機15は、制御信号に基づき変換した高周波電流をRF電極21,22へ供給する。
【0017】
RF電極21,22が肌に当てられたとき、皮膚がRF電極21,22間を接続する電気的抵抗となる。これにより、RF発信機15及びRF電極21,22を備えた回路が電気的に閉じて、同回路に高周波電流が流れる。この回路の経路、詳しくは両RF電極21,22間には皮膚が存在するため、皮膚に高周波電流を供給することができる。ここで、皮膚は電気的抵抗として作用する。従って、皮膚にて電気エネルギが熱エネルギとして消費されるため、皮膚を温めて血行や毛穴の開きを促進することができる。
【0018】
制御装置11は、ポンプ13に吸引を要求する旨の制御信号を出力する。このポンプ13は、制御信号に基づき吸引経路20を通じて吸引ノズル18内の空気を吸引する。
また、図1に示すように、美容装置は、ユーザによって操作される電源スイッチ16を備える。電源スイッチ16は、図1に示すように、樹脂製のハウジング30に取り付けられている。電源スイッチ16が操作されると、その旨の操作信号が制御装置11に出力される。制御装置11は、この操作信号に基づき、RF発信機15及びポンプ13に同時、かつ間欠的に制御信号を出力する。これにより、吸引及び高周波電流の供給が同時、かつ間欠的に行われる。制御装置11は、電源スイッチ16からの操作信号を再び受けると、ポンプ13及びRF発信機15の作動を停止することにより皮膚の吸引及び高周波電流の供給を停止する。
【0019】
図2(a)に示すように、吸引ノズル18は先端側(図2(a)の右側)に向かうにつれて径が小さくなる先細りの円筒状に形成されている。吸引ノズル18は絶縁体のゴム若しくは樹脂で形成されている。吸引ノズル18の内部空間は、吸引経路20を介してポンプ13と連通している。具体的には、ハウジング30の側壁30aにおいて、吸引ノズル18の基端側の中央に対応する部分には、吸引経路20の端部が側壁30aを貫通して接続されることで吸引口19が形成されている。また、吸引経路20の吸引ノズル18と反対側の端部はポンプ13に接続されている。図2(b)に示すように、吸引ノズル18の先端面における上下両側には嵌合穴18aが形成されている。下側の嵌合穴18aにはRF電極21が嵌め込まれて、上側の嵌合穴18aにはRF電極22が嵌め込まれている。各RF電極21,22が嵌合穴18aに嵌め込まれた状態において、RF電極21,22及び吸引ノズル18は一体の円筒状をなす。すなわち、吸引ノズル18の先端面と両RF電極21,22の先端面とは同一平面上にある。RF電極21,22は、吸引ノズル18の壁の内部を通ってハウジング30の側壁30aを貫通してハウジング30の内部に導入される2本の導線38を介してRF発信機15に接続されている。
【0020】
次に、美容装置の使用方法について、その作用とともに説明する。以下の操作はユーザによって行われる。
まず、図3に示すように、皮膚に吸引ノズル18及びRF電極21,22の先端面を接触させる。この状態で、電源スイッチ16が操作されると、吸引ノズル18内で吸引口19側に皮膚が吸引されるとともに、RF電極21,22間の皮膚に高周波電流が供給される。具体的には、皮膚に供給される電流の経路39は、両RF電極21,22の下面を結ぶ線分を底辺とする略半円弧状に形成される。この電流の経路39に沿って皮膚が加熱されて加熱領域35が形成される。この加熱領域35は皮膚における角質から表皮に亘って形成される。従って、角質及び表皮とともに毛穴に詰まった角栓を加熱することができる。ここで、角栓は加熱されることで溶解する。また、皮膚が加熱されることで血行が促進されて毛穴が開く。これらによって、角栓は毛穴から脱出しやすくなる。さらに、血行促進に伴う肌の引き締め効果が得られる。
【0021】
また、ポンプ13が駆動されると、吸引口19から吸引ノズル18内の空気が吸引されて同吸引ノズル18の内部は真空状態となる。このとき、皮膚は吸引ノズル18の内部で吸引口19側に吸引される。この吸引により皮膚に刺激が与えられて血行が促進される。この血行促進に伴い、上述と同様に毛穴が開く。また、皮膚は吸引ノズル18の内部において摘まれた状態となる。摘まれた状態とは、吸引ノズル18の内部における肌面がその中央、すなわち、吸引口19に対向する位置に向かうにつれて吸引口19側に突出した状態である。このとき、毛穴は肌面に向かうにつれてより開いた状態となる。従って、角栓の毛穴からの脱出が容易な状態となる。
【0022】
以上のような皮膚の吸引及び高周波電流の供給が間欠的に行われる。これにより、角栓が毛穴から脱出しやすい状態となり、所定のタイミングで吸引口19の吸引力にて角栓を毛穴から抜き出すことができる。毛穴から脱出した角栓は、吸引口19に吸い込まれて吸引経路20中をポンプ13側に移動する。ここで、図1に示すように、吸引経路20の経路中にはフィルタ33が設けられている。このフィルタ33は、空気の通過を許容するとともに、吸引ノズル18から吸い込んだ角栓等の異物のポンプ13側への流入を規制して溜め込む。このフィルタ33に溜まった異物は、所定周期毎に取り除く、若しくはフィルタ33を新品に交換する必要がある。このように、毛穴からの角栓除去が完了した場合、又は加熱若しくは吸引による美容効果が得られた場合には、電源スイッチ16の操作を通じて、皮膚の吸引及び高周波電流の供給を停止させる。
【0023】
このように、美容装置は、加熱や吸引による美容効果に加えて、角栓を吸引することができる。具体的には、RF電極21,22は吸引ノズル18の嵌合穴18aに嵌め込まれている。従って、吸引された皮膚と吸引口19との間には吸引力を阻害するものがないため、角栓に作用する吸引力を増大させることができる。これにより、毛穴に詰まった角栓を確実に抜き出すことができる。
【0024】
また、ハウジング30の側壁30aにおける吸引ノズル18内の中央に吸引口19を大きく形成することができる。従って、毛穴から抜け出した角栓を確実に吸引口19から吸い込むことができる。
【0025】
以上、説明した実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(1)RF電極21,22を通じた高周波電流により皮膚は加熱される。高周波電流は角栓及び毛穴を含む皮膚の深部を比較的高速で加熱することができるため、角栓の溶解に好適である。高周波電流の供給と同時にポンプ13が駆動することで、吸引ノズル18内の空気が吸引されて角栓及び毛穴を含む皮膚が吸引ノズル18の内部で吸引口19側に吸引される。ここで、RF電極21,22は、吸引された皮膚の外周を覆うように吸引ノズル18の嵌合穴18aに嵌め込まれている。このため、RF電極21,22が吸引口19を通じた皮膚の吸引を阻害することなく、毛穴から角栓を抜き出すだけの吸引力を確保することができる。これにより、加熱や吸引による美容効果に加えて、角栓を吸引することができる。
【0026】
(2)RF電極21,22は吸引ノズル18の先端側に設けられている。従って、吸引ノズル18の先端側を皮膚に当てた際には、RF電極21,22は確実に皮膚に当たることになる。これにより、皮膚の吸引時には、その吸引された皮膚の角栓を加熱して脱出を促すことができる。
【0027】
(第2の実施形態)
以下、本発明にかかる美容装置を具体化した第2の実施形態について、図4及び図5を参照して説明する。この実施形態の美容装置は、図1に示す第1の実施形態の美容装置とほぼ同様の構成を備え、RF電極の数や形状が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0028】
本実施形態における美容装置は、図4に示すように、4つのRF電極41〜44を備えている。各RF電極41〜44は、吸引ノズル18の軸方向からみて吸引口19を中心として90度間隔に形成される嵌合穴18aに嵌め込まれている。
【0029】
図5に示すように、各RF電極41〜44の先端側には、外側に略直角に屈曲された当接部48が形成されている。当接部48の先端面が皮膚に接触することで、皮膚とRF電極41〜44との接触面積が確保される。すなわち、RF電極41〜44に当接部48が形成されることで、RF電極41〜44の皮膚に接触する先端側の面積は、RF電極41〜44の基端側における前記先端側の面と同一方向の面積より大きく形成される。
【0030】
RF電極41〜44は、RF電極41及びRF電極43の組み合わせと、RF電極42及びRF電極44の組み合わせとからなる。制御装置11は、RF発信機15を介して両組に交互に高周波電流を供給する。
【0031】
以上の構成によれば、RF電極の数が多く、さらに各RF電極41〜44に当接部48が形成されるため、RF電極41〜44と皮膚との合計の接触面積を増大させることができる。従って、皮膚内において電流が供給される領域が広がる。このため、図5に示すように、RF電極41,43間の皮膚に供給される高周波電流に伴う加熱領域45も大きくなる。同様に、RF電極42,44間の皮膚にも上記加熱領域45に直交する加熱領域46が形成される。従って、より広範囲に亘って皮膚を加熱することができる。
【0032】
ここで、RF電極間の距離に応じて皮膚内において高周波電流が到達する最大深さ、ひいては加熱領域の最大深さが決まる。皮膚において、この加熱領域の最大深さとなる位置は、RF電極間を結ぶ線分の中点に相当する位置となる。本例では、各組のRF電極間の距離は等しく、各組のRF電極を結ぶ線分の中点は何れも吸引口19に対応する位置で共通する。このため、図5に示すように、両加熱領域45,46の最大深さとなる角質の深部及び表皮の浅部に両加熱領域45,46が重なった重複領域47が形成される。従って、毛穴に詰まった角栓の少なくとも一部を重複領域47に含ませることができる。重複領域47においては、両加熱領域45,46の加熱量が作用するため、加熱量を増大させることができる。これにより、より確実に角栓を溶解させて、角栓の吸引を容易とすることができる。
【0033】
以上、説明した実施形態によれば、第1の実施形態の(1)及び(2)の作用効果に加え、以下の作用効果を奏することができる。
(3)RF電極の数が多く、さらにRF電極41〜44の先端面が大きく形成されているため、RF電極41〜44と皮膚との合計の接触面積を増大させることができる。従って、RF電極41,43間及びRF電極42,44間の皮膚に高周波電流が供給されることに伴う加熱領域45,46も大きく形成することができる。また、RF電極41〜44は吸引ノズル18の先端側の全周に亘って分散して設けられている。これにより、広範囲に亘って皮膚を加熱することができ、加熱される領域に角栓が含まれる可能性が高まるとともに、広範囲において上述した美容効果が得られる。
【0034】
また、加熱量が大きい重複領域47を毛穴に詰まった角栓を含むように形成することができる。従って、より確実に角栓を溶解させて、角栓の吸引を行うことができる。
さらに、RF電極41〜44の先端面が大きいため、皮膚が確実にその先端面に接触する。従って、いっそう確実にRF電極41〜44と皮膚との接触を介して皮膚を加熱することができる。
【0035】
(第3の実施形態)
以下、本発明にかかる美容装置を具体化した第3の実施形態について、図6(a)及び(b)を参照して説明する。この実施形態の美容装置は、図1に示す第1の実施形態の美容装置とほぼ同様の構成を備え、RF電極の位置及び形状が上記第1の実施形態と異なっている。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0036】
図6(a)に示すように、RF電極51,52は、それぞれ吸引ノズル18の上下方向における外側において、ハウジング30の側壁30aに設けられている。また、RF電極51,52の先端面は、吸引ノズル18の先端面と同一面上に形成されている。さらに、図6(b)に示すように、RF電極51,52は、吸引ノズル18の周面に沿う曲面状に形成されている。
【0037】
以上、説明した実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(4)RF電極51,52を吸引ノズル18の外側に構成した場合であっても、吸引ノズル18を皮膚に接触させたとき、RF電極51,52の先端面は吸引ノズル18の先端面と同一面上に形成されるため皮膚に接触する。そして、吸引ノズル18内での皮膚の吸引と同時に、RF電極51,52を介して皮膚を加熱することができる。これにより、第1の実施形態と同様に角栓を吸引することができる。
【0038】
(第4の実施形態)
以下、本発明にかかる美容装置を具体化した第4の実施形態について説明する。この実施形態の美容装置は、図1に示す第1の実施形態の美容装置とほぼ同様の構成を備え、皮膚を加熱する加熱部が上記第1〜第3の実施形態と異なっている。
【0039】
まず、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。図2(a)に示すように、RF電極21,22に替えて電気抵抗の大きい金属からなる2つの発熱部60が設けられている。また、図1に示すように、RF発信機15に替えて、発熱部60への導線62を介した電力の供給を許可又は規制するスイッチング回路61が設けられている。制御装置11は、スイッチング回路61を介して、電源回路17から発熱部60への電流の供給を制御する。本例では、導線62は2本の導線(往路及び復路)からなる。すなわち、各導線62は1つの発熱部60及びスイッチング回路61を備えた閉回路を構成する。スイッチング回路61を介して電源回路17から電流が発熱部60に供給されると、抵抗加熱により発熱部60は発熱する。
【0040】
図3に示すように、装置の使用時においては、発熱部60は皮膚に接触させられる。このため、発熱部60の熱は角質及び表皮に伝達される。このように、発熱部60からの熱伝達により皮膚を安全に加熱することができる。このため、皮膚の血行が促進されることで、肌の引き締め等の美容効果に加え、毛穴が開くため角栓の吸引を容易とすることができる。
【0041】
上記同様に第2及び第3の実施形態におけるRF電極51,52、41〜44を発熱部60に替え、RF発信機15をスイッチング回路61に替え、1本の導線38を2本の導線62に替えることで、上記同様に皮膚が加熱される美容装置を構成することができる。
【0042】
特に、図4及び図5に示すように、発熱部60の数を増やすとともに、発熱部60の先端側に当接部48を形成し、その先端面を大きく形成することで、皮膚と発熱部60との接触面積を増やすことができる。また、発熱部60は吸引ノズル18の先端側の全周に亘って分散して設けられている。このため、より広い範囲に亘って皮膚を加熱することができる。従って、加熱される領域に角栓が含まれる可能性が高まるとともに、広範囲において上述した美容効果が得られる。
【0043】
また、図2(a)及び図5に示すように、発熱部60は吸引ノズル18の先端側に設けられている。このため、発熱部60における吸引ノズル18の軸方向の長さを小さくすることができる。従って、吸引ノズル18の露出面が減少し、この露出面からの放熱を減らすことができる。これにより、皮膚の加熱に係る電力消費を抑制することができる。
【0044】
また、発熱部60は熱伝達により皮膚を加熱するため、RF電極のように2つを1組として設ける必要がなく、美容装置の設計の自由度が向上する。よって、図7に示すように、1つの発熱部60を吸引ノズル18の外側に全周に亘って筒状に形成することも可能である。本構成においては、発熱部60及び導線62は一組で済むため、装置をよりシンプルに構成することができる。
【0045】
以上、説明した実施形態によれば、以下の作用効果を奏することができる。
(4)発熱部60が発熱することで、発熱部60に接する皮膚が加熱される。これにより、皮膚の血行が促進されることで、肌の引き締めの美容効果に加え、毛穴が開くため角栓の吸引を容易とすることができる。
【0046】
なお、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することができる。
・上記各実施形態においては、吸引ノズル18は円筒状に形成されていたが、皮膚を吸引する内部空間を有していれば、円筒に限らず、例えば角筒状に形成されてもよい。
【0047】
・上記各実施形態において、美容装置の電源は、バッテリ等の内部電源でもよいし、商用電源であってもよい。
・上記各実施形態においては、RF電極は吸引ノズル18の外側若しくは先端側に設けられていた。しかし、RF電極は、吸引ノズル18内に吸引された皮膚の外周に位置するのであれば、吸引ノズル18の内側に設けてもよい。これは、RF電極が吸引ノズル18内に吸引された皮膚の外周に存在すれば、RF電極によって皮膚の吸引、ひいては角栓の吸引が阻害されないからである。
【0048】
・第1〜第3の実施形態においては、皮膚を加熱する加熱部はRF電極であり、第4の実施形態においては、加熱部は発熱部60であった。しかし、皮膚を加熱可能であれば、加熱部はこれらに限らず、例えば、ハロゲンランプやLED(発光ダイオード)等の光源からの光で皮膚を加熱してもよい。この場合であっても、光源は、吸引ノズル18内に吸引された皮膚の外周に設けられる。光源で加熱する場合、光源と皮膚とを接触させる必要はないため、例えば、図6(a)において、ハウジング30の側壁30aを基準として光源は吸引ノズル18より低い位置に存在していてもよい。このようにしても、吸引ノズル18と接触する皮膚周辺に光を照射することができる。また、上記RF電極、発熱部60及び光源を適宜組み合わせて構成してもよい。
【0049】
・第1及び第3の実施形態においては2つのRF電極が設けられ、第2の実施形態においては4つのRF電極が設けられていたが、RF電極の数は複数であればこれらに限定されない。例えば、第2の実施形態において、図4に示したRF電極41,43を省略して構成した場合であっても、RF電極42,44には当接部48が形成されることで、皮膚とRF電極42,44との接触面積を確保することができ、広範囲に亘って皮膚を加熱することができる。
【0050】
また、例えば、第1の実施形態において、一方のRF電極21を吸引ノズル18の嵌合穴18aに設け、他方のRF電極22をハウジング30の外面に設けてもよい。この場合、RF電極22はユーザが美容装置を把持したとき、手の皮膚に接触する位置に設けられる。RF電極22に手の皮膚が接触した状態において、RF電極21を施術対象の皮膚に当てることで、RF電極21,22間に高周波電流が供給される。よって、皮膚を加熱することができる。また、施術対象に当てられるRF電極21を大きく形成することも可能である。これにより、肌とRF電極21との接触面積がより確保される。
【0051】
・第1〜第4の実施形態においては、電源スイッチ16が操作されることで、皮膚の吸引及び加熱が同時に行われていた。しかし、美容装置は、操作により皮膚が加熱されるスイッチと、操作により間欠的な吸引によるマッサージが開始されるスイッチとを備えていてもよい。この場合、両スイッチが操作されることで、上述した加熱及び吸引による美容効果が得られる。また、吸引によるマッサージ及び加熱の何れか一方を利用することも可能となる。
【0052】
・第1〜第3の実施形態においては、高周波電流を皮膚に供給していたが、低周波電流であってもよい。
【符号の説明】
【0053】
11…制御装置、13…ポンプ、18…吸引ノズル、21,22、41〜44、51,52…RF電極、60…発熱部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引ポンプの駆動によって吸引ノズルの内部の排気を通じて皮膚を吸引する美容装置において、
前記吸引ノズル内に吸引される皮膚の外周に沿って形成される加熱部を備えた美容装置。
【請求項2】
請求項1に記載の美容装置において、
前記加熱部は前記吸引ノズルの先端側に設けられている美容装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の美容装置において、
前記加熱部の皮膚に接触する先端側の面積は、同加熱部の基端側の面積に比して大きく形成される美容装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の美容装置において、
前記加熱部は前記吸引ノズルの先端部の全周に亘って分散して設けられる美容装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載の美容装置において、
前記加熱部は皮膚に高周波電流を供給する複数の電極であって、
前記複数の電極は、前記吸引ノズル内に皮膚が吸引された状態において皮膚に接触する位置に設けられる美容装置。
【請求項6】
請求項1〜4の何れか一項に記載の美容装置において、
前記加熱部は熱及び光の少なくとも何れか一方を通じて皮膚を加熱する美容装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−194174(P2011−194174A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67289(P2010−67289)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】