説明

美容装置

【課題】電極から施療部位に対して施療のための電流を適切に供給し、美容効果を高めることができる美容装置を提供する。
【解決手段】美容装置10の施療部20は、回転板21の中心軸X1に対して直交(交差)する面の接触面21c上において、中心軸X1を間に挟んで対向する位置に極性の異なる電極22,23が設けられる。そして、電極22,23から皮膚に電流を供給して施療を行う際、モータ12に駆動にて施療部20を回転させながらその施療が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、施療部位に電流を供給して施療を行う美容装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、使用者(被施療者)の皮膚との接触を介して該皮膚に電流を供給する電極を備える美容装置が知られている。この美容装置では、極性の異なる電極に皮膚が接触した状態で両電極に例えば高周波電流が供給されると、体内にその高周波電流が流れる。そして、体内を流れる高周波電流により筋肉に刺激を与えたり皮膚を適当な温度まで温めたりすることで肌を引き締める美容効果がある。このときの両電極間の皮膚内を流れる電流の経路は、両電極を結ぶ線分を底辺とする略半円状となり、両電極間の中間位置で皮膚の最も深い部分を流れる。そして、このような皮膚の比較的深い部分(深部)を重点的に温めることで、効率よく真皮のコラーゲンや皮下脂肪を収縮させて美容効果を高めることができる。
【0003】
また、このような美容装置(施療装置)では、例えば特許文献1に示すように、両電極(活性化電極及び帰還電極)をそれぞれ備え、活性化電極(回転電極)がローラ状に形成されたものがある。この美容装置では、施療部位から離れた身体の任意の部分に帰還電極を接触させた状態で、活性化電極を皮膚表面で転がしながら施療を行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−289562号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の特許文献1に示される美容装置では、帰還電極を固定位置とした状態で活性化電極を移動させるため、施療動作中の両電極間の中間位置、つまり皮膚の深部の電流が流れる領域が定まらず美容効果を高めることが困難であった。
【0006】
また、例えば両電極間の距離(中間位置)が変わらないように活性化電極を皮膚表面の同じ部分で前後に転がすことが考えられるが、皮膚表面に局所的に電極を接触させ電流を集中させると、一部の皮膚表面温度が過度に上昇する虞がある。結果として、美容効果を高めることに支障を来す虞があった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、電極から施療部位に対して施療のための電流を適切に供給し、美容効果を高めることができる美容装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、使用者の施療部位との接触を介して該施療部位に電流を供給する電極が回転可能に構成された美容装置であって、極性の異なる前記電極が少なくとも一組設けられた施療部と、前記施療部を回転駆動させる駆動源とを備え、前記施療部の回転駆動により極性の異なる前記電極が前記施療部の中心軸に対して交差する方向の同一平面上において前記中心軸を間に挟んで対向する位置で周回するように構成されたことを特徴とする。
【0009】
また上記構成において、前記施療部は、極性の異なる前記電極の中間位置が前記中心軸上となるように構成されることが好ましい。
また上記構成において、前記施療部は、前記電極が設けられた接触面の前記中心軸上に対応する部分に回転駆動による前記使用者の施療部位からの位置ずれを防止すべくその施療部位に食い込む突起部を備えることが好ましい。
【0010】
また上記構成において、前記電極は、前記施療部に対して傾動可能に保持されることが好ましい。
また上記構成において、前記施療部位の温度を検知する温度検知手段を備えることが好ましい。
【0011】
また上記構成において、前記温度検知手段は、前記突起部に備えられることが好ましい。
また上記構成において、前記電極への電流の供給及び前記駆動源を制御する制御部を備えるものであり、前記制御部は、前記温度検知手段により検知された温度に基づいて前記施療部の回転速度及び前記電極に供給する電流の少なくとも一方を制御することが好ましい。
【0012】
また上記構成において、前記温度検知手段により検知された温度が所定値以上となったことを使用者に報知する報知手段を備えることが好ましい。
また上記構成において、前記電極への電流の供給を制御する制御部を備えるものであり、前記制御部は、施療時における前記電極間の抵抗値が許容範囲内であるかを判定して前記電極に供給する電流を低下又は停止させることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電極から施療部位に対して施療のための電流を適切に供給し、美容効果を高めることができる美容装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)は実施形態における美容装置の上面図、(b)は美容装置の断面図。
【図2】(a)は別例における美容装置の上面図、(b)は美容装置の部分断面図。
【図3】別例における美容装置の部分断面図。
【図4】別例における美容装置の部分断面図。
【図5】検知温度に基づくモータの回転数制御について説明するためのフロー図。
【図6】別例における美容装置の断面図。
【図7】別例における美容装置の部分断面図。
【図8】電極と回転板との連結部分の拡大図。
【図9】抵抗値に基づく高周波発振部の出力電流制御について説明するためのフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面に従って説明する。
図1(a)(b)に示すように、本実施形態の美容装置10は、使用者が把持可能な大きさの略四角箱形状をなす本体ハウジング11内に駆動源としてのモータ12を備えている。モータ12の回転軸12aと互いのギヤ12b,13aにて駆動連結された出力軸13は、本体ハウジング11に軸受14を介して支持され、本体ハウジング11の上面部11aから先端部が突出している。出力軸13の先端部には施療部20が連結され、施療部20はモータ12の回転駆動に基づいて回転する。
【0016】
本体ハウジング11の側面11bには、使用者が美容装置10をオンオフ操作するためのスイッチ15が設けられている。スイッチ15は、本体ハウジング11内に収容保持された制御部16に電気的に接続されている。またモータ12は、制御部16に電気的に接続されている。
【0017】
制御部16は、本体ハウジング11内に収容保持された電源部(バッテリー)17及び高周波発振部18に電気的に接続されている。高周波発振部18は、電源部17から供給された直流電流から高周波電流(交流電流)を生成して施療部20に設けられる後述の電極22,23に供給する。尚、この高周波電流の周波数は、「1kHz〜100MHz」の範囲に設定されることが好ましく、「500kHz〜45MHz」とすることがより好ましい。また、高周波電流の出力は、「0.01A〜2A」の範囲に設定されることが好ましく、「0.1A〜0.3A」とすることがより好ましい。
【0018】
施療部20は、略円板状に形成された回転板21と、回転板21上に設けられた一対の電極22,23とを有する。回転板21は、例えば絶縁性部材からなり、その裏面側、即ち本体ハウジング11と対向するハウジング側面21aの中央部分に連結部21bが設けられている。連結部21bは、出力軸13の先端部分に設けられた連結部13bを収容可能な略球面状凹部を有して形成されている。出力軸13と施療部20とは、連結部13b,21b間にボール19aを介在させて構成した等速ジョイント19にて接続されている。つまり、出力軸13から施療部20への回転伝達を行いつつ、施療部20が出力軸13に対して傾動可能に支持されている。
【0019】
施療部20は、回転板21の中心Oを通る中心軸X1に対して回転可能となるように出力軸13に連結されている。回転板21の表面側(ハウジング側面21aとは反対側の面)は、使用者の皮膚(施療部位)に押し当てて施療動作を行う接触面21cとなっており、接触面21cは、中心軸X1に対して直交(交差)する面にて形成されている。接触面21cには、極性の異なる電極22,23が設けられている。電極22,23は、略長方形に形成され、長手方向が回転板21の径方向の直交方向に沿って設けられている(図1(a)参照)。また、電極22,23は、回転板21の中心O(中心軸X1)を挟んで反対側に配置され、中心Oからの距離L1,L2が同一距離となる位置(電極22,23の中間位置が中心Oとなる位置)で接触面21c上に固定されている。因みに、電極22,23と高周波発振部18とは、例えば図1(b)に点線で示す配線24及びスリップリング(図示略)等を介して電気的に接続され、回転駆動する回転板21に設けた電極22,23に高周波電流が供給可能に構成されている。
【0020】
次に、このように構成された美容装置10の動作(作用)について説明する。
スイッチ15が使用者によってオン操作されると、その旨の操作信号が制御部16に出力される。制御部16は、操作信号に基づいて電源部17を起動する。起動された電源部17は、高周波発振部18に直流電流を供給する。高周波発振部18は、直流電流から高周波電流を生成して電極22,23に供給する。また、電源部17は、モータ12に対して駆動電流を供給する。
【0021】
モータ12の回転軸12aが回転駆動されると、施療部20の回転板21が前記中心軸X1を中心として回転する。即ち、回転板21の電極22,23が中心軸X1を周回するように前記中心軸X1を中心として回転する。使用者により回転板21の接触面21cが皮膚に接触するように対向配置されると、電極22,23が皮膚に接触しながら中心軸X1を中心として周回する。ここで、出力軸13と施療部20とは等速ジョイント19により連結されており、出力軸13の軸X2に対して施療部20の角度(中心軸X1の角度)が変更されても、出力軸13の回転運動は施療部20側に伝達されるようになっている。従って、使用者は、施療部20の角度を自由に変更することができ、回転板21の接触面21cを皮膚に対向配置させて周回する電極22,23を皮膚に容易且つ確実に接触させることができる。
【0022】
電極22,23が使用者の皮膚に接触すると、電極22,23間に介在する皮膚が電気的抵抗となり、施療を行いたい皮膚に対して高周波電流が流れる。電極22,23から皮膚に供給された電気エネルギーは皮膚にて熱エネルギーとなって該皮膚が温められる。このときの皮膚内を流れる電流の経路は、両電極22,23を結ぶ線分を底辺とする略半円状となり、両電極22,23間の中間位置で皮膚の最も深い部分となる。本実施形態では、施療部20が回転して電極22,23が中心軸X1を中心に周回することから、周回する電極22,23の内側範囲に電流を供給する範囲を集約することができる。しかも、皮膚表面においては電極22,23を集中して接触、即ち皮膚表面に局所的に電流を集中させることなく、電極22,23の中間位置(中心軸X1上)に対応する皮膚の深部を中心として電流を集中でき、施療を望む皮膚深部を効果的に温めることができる。このように互いに異極の電極22,23を周回させながら皮膚に電流を供給することで、施療対象の皮膚深部に適切に電流を供給でき、美容効果を高めることができる。
【0023】
美容装置10の停止動作は、使用者によりスイッチ15がオフ操作されることで、その旨の操作信号が制御部16に出力され、制御部16が操作信号に基づいて高周波発振部18及びモータ12の駆動を停止させることで行われる。
【0024】
次に、本実施形態の特徴的な効果を記載する。
(1)本実施形態の美容装置10の施療部20は、回転板21の中心軸X1に対して直交(交差)する面の接触面21c上において、中心軸X1を間に挟んで対向する位置に極性の異なる電極22,23が設けられてなる。そして、電極22,23から皮膚に電流を供給して施療を行う際、モータ12の駆動にて施療部20を回転させながらその施療が行われる。これにより、周回する電極22,23の内側範囲に電流を供給する範囲を集約することができる。しかも、皮膚表面においては電極22,23を集中して接触、即ち皮膚表面に局所的に電流を集中させることなく一部の皮膚表面温度が過度に上昇するのを防止しながら、電極22,23の中間位置に対応する皮膚の深部を中心に電流を集中でき、施療を望む皮膚深部を効果的に温めることができる。結果、このように施療対象の皮膚深部に施療のための電流が適切に供給されることで、美容効果を高めることができる。
【0025】
(2)施療部20は、回転板21上の電極22,23の中間位置が中心軸X1上に設定されている。つまり、周回動作する電極22,23の中間位置が中心O(中心軸X1上)に固定され、中心Oに対応する皮膚の深部が施療動作中に常に温められることとなり、美容効果をより一層高めることができる。
【0026】
(3)出力軸13と施療部20とを等速ジョイント19により連結したことで、施療部20の角度が自由に変更可能となるため、周回動作する電極22,23を皮膚に容易且つ確実に接触させることができる。
【0027】
(4)美容装置10は、極性の異なる電極22,23が同一部材(回転板21)に設けられており、使用時に施療対象の皮膚に接触させるだけで済む。つまり、極性の異なる電極を個別に設け、片方は施療部位、もう片方は身体の離れた部位に接触が要求される上記特許文献1に示す従来構成と比べて、使用者の操作が容易となる。また、各電極22,23に接続する給電ケーブルなどの部品点数の増加を抑えることができる。
【0028】
尚、本発明の実施形態は、以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、電極22,23が中心軸X1に対して直交する方向の同一平面(接触面21c)上に配置されたが、中心軸X1に対して他の角度で交差する方向の平面上に配置してもよい。
【0029】
・上記実施形態において、各電極22,23の中心O(中心軸X1)からの距離L1,L2を異なる距離に設定してもよい。
・上記実施形態では、回転板21に極性の異なる電極22,23を一組設けたが、これに限定されない。例えば、極性の異なる電極22,23を複数組設け、各組の中間位置が中心Oとなるように配置してもよい。
【0030】
・上記実施形態では、回転板21(電極22,23)を中心軸X1に対して一方向(360度)で周回動作(回転動作)させたが、例えば180度や90度といった他の角度で電極22,23を周回動作(往復動作)させてもよい。
【0031】
・上記実施形態において、施療部20に回転駆動による施療部位の皮膚からの位置ずれを防止するための突起部を設けてもよい。例えば図2(a)(b)に示すように、回転板21の接触面21cの中心O(中心軸X1上)に半球状の突起部31を設けてもよい。そして、突起部31の先端部を皮膚に食い込むように接触させて施療部20(回転板21)を回転させて使用することにより、回転駆動する施療部20の中心Oの位置が施療対象の皮膚に対してずれるのを防止することができる。その結果、施療動作における電極22,23の位置ずれを低減して美容効果を高めることができる。尚、上記した突起部31は回転板21に一体形成、別体で装着する態様でもよく、材質も金属、樹脂のいずれであってもよい。また、例えば図3に示すように、突起部31と回転板21との間に弾性部材32を設けてもよい。これにより、弾性部材32にて不要な力を吸収して適度に突起部31を皮膚に押し当てることができる。
【0032】
・上記実施形態において、使用者の施療部位の皮膚の温度を検知する温度検知手段を設けてもよい。例えば図4に示すように、回転板21の突起部31に例えばサーミスタ等の温度センサ33を設けて施療する皮膚の温度を検出可能とし、この検出温度に基づいて制御部16がモータ12の回転速度(回転数)を変更する構成としてもよい。
【0033】
図5に制御部16による温度センサ33の検出温度Tに基づく制御の流れの一例を示す。図5に示すように、制御部16が電源部17を起動し(ステップ41)、電源部17からモータ12、高周波発振部18及び温度センサ33に駆動電流が供給される(ステップ42)。次いで、制御部16は、温度センサ33により検出された検出温度Tが設定温度Ts以上であるかを判定する(ステップ43)。検出温度Tが設定温度Ts以上である場合には、制御部16は、モータ12の回転数を上げる制御を行う(ステップ44)。この回転数の変更は、例えば毎分100回転から毎分150回転まで変更させる。これにより、検出温度Tに基づいてモータ12の回転数、つまり、回転板21の回転数を上げることで、回転毎で電極22,23が皮膚の同じ部分に接触している時間が短くなり、皮膚の温度が設定温度Tsに比べて過度に上昇するのを防止できる。尚、回転板21の回転数は、「毎分80回転〜180回転」の範囲が好ましく、「毎分90回転〜100回転」とすることがより好ましい。また、速度を上げた後の回転数は、「毎分100回転〜200回転」の範囲が好ましい。また、設定温度Tsは、「40℃〜44℃」が好ましく、「41℃〜42℃」とすることがより好ましい。
【0034】
また、ステップ43において検出温度Tが設定温度Tsより小さかった場合、又はステップ44において回転数を増加させた後には、制御部16は、所定時間後に検出温度Tが設定温度Ts以上であるかを判定する(ステップ45)。次いで、検出温度Tが設定温度Ts以上である場合には、制御部16は、モータ12の回転数を上げる制御を行う(ステップ46)。また、検出温度Tが設定温度Tsより小さかった場合には、制御部16は、モータ12の回転数を下げる(例えば毎分150回転から毎分100回転に戻す)制御を行う(ステップ47)。このような制御を繰り返して検出温度Tが設定温度Tsとなるように制御することで、施療する皮膚の過度な温度上昇が抑えられ、美容効果を高めることができる。尚、制御部16は、例えば検出温度Tに基づいて、高周波発振部18から電極22,23に供給される出力電流を変更してもよく、また、回転数と出力電流との両方を組み合わせて制御してもよい。
【0035】
また、例えば上記した検出温度Tが所定値以上の場合に、それを使用者に報知する報知手段を備えてもよい。例えば図6に示すように、本体ハウジング11の側面11cには、報知手段としてのスピーカ34が設けられており、制御部16と接続されている。制御部16は、温度センサ33により検出された検出温度Tが所定値以上となった場合に、スピーカ34から音を発して使用者に報知する。このような構成では、温められた皮膚の温度に応じて使用者に施療部位の移動を促すことができ、美容効果を高めることができる。尚、報知手段は、スピーカ34に限らず、例えばLED等の光を発する手段を用いてもよい。また、上記した報知手段は、検出温度Tの変化を報知する以外にも用いてよい。例えば、使用時間が所定時間を経過したことを報知するために用いてもよい。
【0036】
また図4及び図6に示すように、施療部20の回転中心で且つ皮膚との接触が安定する突起部31に温度センサ33を設けたことで、温度センサ33の位置ずれを低減でき、皮膚温度を高精度に検出することができる。尚、温度検知手段として、例えば非接触型の温度センサ等の他の手段を設けてもよい。
【0037】
・上記実施形態において、例えば電極22,23が回転板21に対して傾動可能に保持された構成としてもよい。例えば図7及び図8に示すように、回転板21に設けられた球体連結部21dと、電極22に設けられ球面凹部22aとを連結した構成としてもよい。回転板21の接触面21cには、電極22の形状に応じた凹部21eが設けられ、該凹部21eの底部の中央部に球体連結部21dが突出形成されている。球体連結部21dは、例えば金属部材からなり、高周波発振部18に電気的に接続されている。電極22の端面22bには、球体連結部21dの先端部分の球形状に対応した球面凹部22aが形成されている。そして、球体連結部21dと球面凹部22aとを連結することにより、高周波発振部18に電気的に接続された状態で電極22が傾動可能となっている。尚、電極23については、電極22と同様の構成となっているため説明を省略する。このような構成では、電極22,23が皮膚の表面の凹凸に応じて傾動して電極22,23と皮膚との接触性を高めることにより、高周波電流を皮膚に効率良く供給することができる。また、図8に示すように、球体連結部21dの先端部分の表面には、例えば潤滑剤として導電性グリース21fが塗布されており、連結部分の電気抵抗を少なくして電気的接続性を高めた構成となっている。
【0038】
・上記実施形態において、制御部16が施療時における電極22,23間の抵抗値に基づいて、高周波発振部18の出力電流を制御する構成としてもよい。図9に制御部16による抵抗値に基づく制御の流れの一例を示す。図9に示すように、制御部16が電源部17を起動し、電源部17からモータ12及び高周波発振部18に駆動電流が供給される(ステップ51)。次いで、制御部16は、例えば施療動作が開始され電極22,23間に高周波電流が流れると、電極22,23間の電圧及び電流値から抵抗値を算出する(ステップ52)。次いで、算出された抵抗値が許容される所定値の範囲内であるかを判定する(ステップ53)。この許容範囲の値は、電極22,23が皮膚に正しく接触した状態における抵抗値に基づいて設定する。次いで、抵抗値が許容範囲外である場合には、出力電流を例えば半分にする(ステップ54)。これにより、電極22,23と皮膚との接触が不完全となり抵抗値が増加した場合に、電極22,23に供給する出力電流を減少させることにより、皮膚と電極22,23との接触面積が小さくなることで皮膚の温度が過度に上昇するのを防止できる。また、ステップ53において、抵抗値が許容範囲内である場合には、制御部16は、抵抗値の算出及び判定を繰り返し行う。尚、制御部16は、抵抗値の判定結果に基づいて出力電流の供給そのものを停止する設定としても、上記した効果と同様の効果を得ることができる。
【0039】
・上記実施形態において、駆動源としてのモータ12から施療部20に駆動力を伝達する構成は一例であり、適宜変更してもよい。例えば等速ジョイント19を省略して出力軸13の先端部分に回転板21を直接固定してもよい。
【0040】
・上記実施形態では、電極22,23から皮膚に供給する電流は高周波電流に限らず、低周波電流でもよい。
・上記実施形態において、電源部17は、バッテリー等の内部電源に限らず、商用電源等の外部電源を用いてもよい。
【0041】
・上記実施形態において、各部材の形状・構成等は一例であり、適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0042】
10…美容装置、12…モータ(駆動源)、16…制御部、20…施療部、21…回転板(施療部)、21c…接触面、22,23…電極(施療部)、31…突起部、33…温度センサ(温度検知手段)、X1…中心軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の施療部位との接触を介して該施療部位に電流を供給する電極が回転可能に構成された美容装置であって、
極性の異なる前記電極が少なくとも一組設けられた施療部と、
前記施療部を回転駆動させる駆動源とを備え、
前記施療部の回転駆動により極性の異なる前記電極が前記施療部の中心軸に対して交差する方向の同一平面上において前記中心軸を間に挟んで対向する位置で周回するように構成されたことを特徴とする美容装置。
【請求項2】
請求項1に記載の美容装置において、
前記施療部は、極性の異なる前記電極の中間位置が前記中心軸上となるように構成されたことを特徴とする美容装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の美容装置において、
前記施療部は、前記電極が設けられた接触面の前記中心軸上に対応する部分に回転駆動による前記使用者の施療部位からの位置ずれを防止すべくその施療部位に食い込む突起部を備えたことを特徴とする美容装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の美容装置において、
前記電極は、前記施療部に対して傾動可能に保持されたことを特徴とする美容装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の美容装置において、
前記施療部位の温度を検知する温度検知手段を備えたことを特徴とする美容装置。
【請求項6】
請求項3に従属の請求項5に記載の美容装置において、
前記温度検知手段は、前記突起部に備えられたことを特徴とする美容装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の美容装置において、
前記電極への電流の供給及び前記駆動源を制御する制御部を備えるものであり、
前記制御部は、前記温度検知手段により検知された温度に基づいて前記施療部の回転速度及び前記電極に供給する電流の少なくとも一方を制御することを特徴とする美容装置。
【請求項8】
請求項5又は6に記載の美容装置において、
前記温度検知手段により検知された温度が所定値以上となったことを使用者に報知する報知手段を備えたことを特徴とする美容装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の美容装置において、
前記電極への電流の供給を制御する制御部を備えるものであり、
前記制御部は、施療時における前記電極間の抵抗値が許容範囲内であるかを判定して前記電極に供給する電流を低下又は停止させることを特徴とする美容装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−78432(P2013−78432A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219380(P2011−219380)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】